JP2015175035A - 円筒型スパッタリングターゲット材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 円筒型成形体の金属カプセルへの挿入が容易で、安価で且つ安定して円筒型スパッタリングターゲット材を製造できる方法を提供する。
【解決手段】 複数個の円筒型成形体を得る工程と、前記円筒型成形体の内周面に沿う外周面を有する軸体に、前記複数個の円筒型成形体を積層するようにして挿入する工程と、前記円筒型成形体の外周面に沿う内周面を有する筒体を、前記積層された複数個の円筒型成形体に挿入する工程と、前記積層された複数個の円筒型成形体の全体を前記軸体、前記筒体および蓋体により覆い金属カプセルを形成して、減圧封止する工程と、前記金属カプセルに熱間静水圧プレスを施し円筒型焼結体を得る工程と、を含む円筒型スパッタリングターゲット材の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 複数個の円筒型成形体を得る工程と、前記円筒型成形体の内周面に沿う外周面を有する軸体に、前記複数個の円筒型成形体を積層するようにして挿入する工程と、前記円筒型成形体の外周面に沿う内周面を有する筒体を、前記積層された複数個の円筒型成形体に挿入する工程と、前記積層された複数個の円筒型成形体の全体を前記軸体、前記筒体および蓋体により覆い金属カプセルを形成して、減圧封止する工程と、前記金属カプセルに熱間静水圧プレスを施し円筒型焼結体を得る工程と、を含む円筒型スパッタリングターゲット材の製造方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、円筒型スパッタリングターゲット材の製造方法に関するものである。
スパッタリングにおけるスパッタリングターゲットの使用効率を向上させる方法として、円筒型スパッタリングターゲットを使用した、マグネトロン型回転スパッタリング法の使用が進んできている。この方式は、スパッタリングターゲットの表面が全面に亘ってエロージョンとなり、均一にスパッタリングされるため、従来の平板状スパッタリングターゲットを使用する方式に比べて格段に高い使用効率が得られることが知られている。
円筒型スパッタリングターゲットを使用したスパッタリング法によって製造される膜の具体例には、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイやタッチパネル等の配線膜や保護膜、太陽電池の裏面電極や光吸収層等の薄膜等があり、近年これらの製品への使用例が増えてきている。
円筒型スパッタリングターゲットを使用したスパッタリング法によって製造される膜の具体例には、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイやタッチパネル等の配線膜や保護膜、太陽電池の裏面電極や光吸収層等の薄膜等があり、近年これらの製品への使用例が増えてきている。
円筒型スパッタリングターゲット材の製造方法としては、例えば特許文献1のように、金属粉末を加圧成形して、外径をOD、内径をID、厚さをhとしたときに、所定の関係を満たす円筒型成形体を円筒型充填空間を有する金属カプセル内に複数個積層するように挿入した後、減圧封止し、その後、熱間静水圧プレスを施し、一体型の焼結体を得る方法が提案されている。
上述した特許文献1に開示される円筒型スパッタリングターゲット材の製造方法は、ハンドリング性が良好な円筒型成形体の密度を均一にすることができ、焼結時の収縮が均一で、原料歩留が高い円筒型スパッタリングターゲット材の製造が可能となる点で有用な技術である。
一方、特許文献1では、円筒型充填空間を有する金属カプセルに所定形状の円筒型成形体を積層するように挿入しようとすると、金属カプセルを形成する筒体の内周面と軸体の外周面とにそれぞれ沿うように円筒型成形体を挿入させる必要があった。そして、熱間静水圧プレスで高い相対密度の焼結体を得るためには、金属カプセルと得ようとする焼結体とのクリアランスはできるだけ小さくする必要がある。
本発明者の検討によると、特許文献1の製造方法では、特に、円筒型成形体自体の質量が大きい場合には、その円筒型成形体と金属カプセルとの接触に伴う破損を抑制するために、位置合わせを慎重に行う必要があり、作業工数が増加するという問題を確認した。
一方、特許文献1では、円筒型充填空間を有する金属カプセルに所定形状の円筒型成形体を積層するように挿入しようとすると、金属カプセルを形成する筒体の内周面と軸体の外周面とにそれぞれ沿うように円筒型成形体を挿入させる必要があった。そして、熱間静水圧プレスで高い相対密度の焼結体を得るためには、金属カプセルと得ようとする焼結体とのクリアランスはできるだけ小さくする必要がある。
本発明者の検討によると、特許文献1の製造方法では、特に、円筒型成形体自体の質量が大きい場合には、その円筒型成形体と金属カプセルとの接触に伴う破損を抑制するために、位置合わせを慎重に行う必要があり、作業工数が増加するという問題を確認した。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、円筒型成形体の金属カプセルへの挿入が容易で、安価で且つ安定して円筒型スパッタリングターゲット材を製造できる方法を提供することである。
すなわち本発明は、
複数個の円筒型成形体を得る工程と、
前記円筒型成形体の内周面に沿う外周面を有する軸体に、前記複数個の円筒型成形体を積層するようにして挿入する工程と、
前記円筒型成形体の外周面に沿う内周面を有する筒体を、前記積層された複数個の円筒型成形体に挿入する工程と、
前記積層された複数個の円筒型成形体の全体を前記軸体、前記筒体および蓋体により覆い金属カプセルを形成して、減圧封止する工程と、
前記金属カプセルに熱間静水圧プレスを施し円筒型焼結体を得る工程と、を含む円筒型スパッタリングターゲット材の製造方法の発明である。
前記軸体は、円筒体であることが好ましい。
複数個の円筒型成形体を得る工程と、
前記円筒型成形体の内周面に沿う外周面を有する軸体に、前記複数個の円筒型成形体を積層するようにして挿入する工程と、
前記円筒型成形体の外周面に沿う内周面を有する筒体を、前記積層された複数個の円筒型成形体に挿入する工程と、
前記積層された複数個の円筒型成形体の全体を前記軸体、前記筒体および蓋体により覆い金属カプセルを形成して、減圧封止する工程と、
前記金属カプセルに熱間静水圧プレスを施し円筒型焼結体を得る工程と、を含む円筒型スパッタリングターゲット材の製造方法の発明である。
前記軸体は、円筒体であることが好ましい。
また、本発明では、前記軸体を軸方向が水平になるように配置して、前記円筒型成形体の内周面を軸体の外周面に沿うように複数個積層して挿入することが好ましい。
本発明によれば、円筒型成形体の金属カプセルへの挿入が容易となり、安価な円筒型スパッタリングターゲット材を安定して製造することができ、スパッタリング技術にとって有用な技術となる。
本発明の特徴は、円筒型スパッタリングターゲット材を得るために、金属カプセルに円筒型成形体を挿入する際に特定の手順を規定したことにある。これにより、本発明の製造方法は、円筒型成形体を破損させることなく容易に金属カプセルへ挿入することが可能となり、安価な円筒型スパッタリングターゲット材を安定して製造できる。以下、本発明について詳述する。
本発明では、先ず、複数個の円筒型成形体を得る。この円筒型成形体を得る方法は、例えば、金型内に金属粉末を充填して常温でプレスする方法が簡便であるため好ましい。このとき、円筒型スパッタリングターゲット材として使用したときに、パーティクルの問題を生じさせないためには、バインダ等の添加剤を用いないことが好ましい。
本発明で適用する円筒型成形体の相対密度は、50%以上にすることが好ましい。これは、予め円筒型成形体の強度を増しておくことで、円筒型成形体の運搬や、続く筒体への挿入等のハンドリングにおける円筒型成形体の破損を防ぐためである。また、予め円筒型成形体の密度を確保する理由は、複数の円筒型成形体に熱間静水圧プレスを施す際に、焼結における個々の円筒型成形体の収縮が過度に進む場合には、圧縮による寸法変形で円筒型焼結体に曲がりや局所的な収縮等が生じる問題を抑制するためでもある。
また、円筒型成形体のハンドリング時の破損をより確実に防ぐために、円筒型成形体を得る工程の後に仮焼工程を設けて、円筒型成形体の表面を硬くして形状保持力を向上させることがより好ましい。
本発明で適用する円筒型成形体の相対密度は、50%以上にすることが好ましい。これは、予め円筒型成形体の強度を増しておくことで、円筒型成形体の運搬や、続く筒体への挿入等のハンドリングにおける円筒型成形体の破損を防ぐためである。また、予め円筒型成形体の密度を確保する理由は、複数の円筒型成形体に熱間静水圧プレスを施す際に、焼結における個々の円筒型成形体の収縮が過度に進む場合には、圧縮による寸法変形で円筒型焼結体に曲がりや局所的な収縮等が生じる問題を抑制するためでもある。
また、円筒型成形体のハンドリング時の破損をより確実に防ぐために、円筒型成形体を得る工程の後に仮焼工程を設けて、円筒型成形体の表面を硬くして形状保持力を向上させることがより好ましい。
本発明で適用できる金属粉末は、Mo、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Wなどの高融点金属単体、それら複数を混合したものや合金でもよく、特に限定されない。また、金属粉末の平均粒径は、特に限定はしないところ、0.5〜1000μmのものを用いることが好ましい。尚、本発明でいう平均粒径は、JIS Z 8901で規定される、レーザー光を用いた光散乱法による球相当径で表す。
本発明で適用できる円筒型成形体は、外径が50〜500mm、高さが10〜300mmの範囲のものに好適である。これにより、本発明では、わざわざ運搬装置に頼ることなく、円筒型成形体を動力駆動の運搬装置などに頼らないで持ち運べるサイズおよび質量にすることができ、よりハンドリング性の向上が可能となる。
本発明で適用できる円筒型成形体は、外径が50〜500mm、高さが10〜300mmの範囲のものに好適である。これにより、本発明では、わざわざ運搬装置に頼ることなく、円筒型成形体を動力駆動の運搬装置などに頼らないで持ち運べるサイズおよび質量にすることができ、よりハンドリング性の向上が可能となる。
次に、本発明では、図1に示すように、上記で得た複数の円筒型成形体1の内周面が金属カプセルとなる軸体2の外周面に沿うように円筒型成形体1を複数個積層して挿入する工程を経る。ここで、筒体2の下端には、予め金属カプセルの下蓋となる蓋体4を固定しておくことが好ましく、これにより円筒型成形体1の端部の位置合わせを容易に行うことができる。
上記で説明したように、円筒型成形体1は、仮焼工程を設けてその表面を硬くして形状保持力を向上させることができるところ、熱間静水圧プレスの性質から、金属カプセル6と円筒型成形体1のクリアランスを小さくすることが好ましく、金属カプセル6の軸体2の外周面と筒体3の内周面とにそれぞれ沿うように円筒型成形体1を挿入させる場合に、円筒型成形体1を破損させる虞がある。
本発明では、先ず、円筒型成形体1の内周面が金属カプセル6となる軸体2の外周面に沿うように円筒型成形体1を複数個積層して挿入することにより、円筒型成形体1の外周面の位置合わせを考慮する必要がなく、短時間で円筒型成形体1を軸体2に挿入することができる。このとき、円筒型成形体1の挿入は、例えば円筒型成形体の外周面を3〜8方向からチャッキングできる治具などを用いて挿入することが好ましい。
尚、円筒型成形体1の挿入は、軸体2を軸方向が鉛直になるように配置して、軸体2の端部から挿入してもよいところ、軸体2を軸方向が水平になるように配置して、軸体2の端部から挿入することが、円筒型成形体1のハンドリングの点から好ましい。
また、本発明で適用する軸体2は、中実を用いることができるところ、図2に示すように軸体2に中空の円筒体を用いることが好ましい。これにより、金属カプセル6に熱間静水圧プレスを施す際に、金属カプセル6の外周面と内周面から等方的に加圧され、金属カプセル6の外周面と内周面とにおける変形抵抗に大きな差が生じないため、得られる円筒型焼結体の割れの発生を防止する上で好適である。
上記で説明したように、円筒型成形体1は、仮焼工程を設けてその表面を硬くして形状保持力を向上させることができるところ、熱間静水圧プレスの性質から、金属カプセル6と円筒型成形体1のクリアランスを小さくすることが好ましく、金属カプセル6の軸体2の外周面と筒体3の内周面とにそれぞれ沿うように円筒型成形体1を挿入させる場合に、円筒型成形体1を破損させる虞がある。
本発明では、先ず、円筒型成形体1の内周面が金属カプセル6となる軸体2の外周面に沿うように円筒型成形体1を複数個積層して挿入することにより、円筒型成形体1の外周面の位置合わせを考慮する必要がなく、短時間で円筒型成形体1を軸体2に挿入することができる。このとき、円筒型成形体1の挿入は、例えば円筒型成形体の外周面を3〜8方向からチャッキングできる治具などを用いて挿入することが好ましい。
尚、円筒型成形体1の挿入は、軸体2を軸方向が鉛直になるように配置して、軸体2の端部から挿入してもよいところ、軸体2を軸方向が水平になるように配置して、軸体2の端部から挿入することが、円筒型成形体1のハンドリングの点から好ましい。
また、本発明で適用する軸体2は、中実を用いることができるところ、図2に示すように軸体2に中空の円筒体を用いることが好ましい。これにより、金属カプセル6に熱間静水圧プレスを施す際に、金属カプセル6の外周面と内周面から等方的に加圧され、金属カプセル6の外周面と内周面とにおける変形抵抗に大きな差が生じないため、得られる円筒型焼結体の割れの発生を防止する上で好適である。
次に、本発明では、筒体3の内周面が、積層された複数の円筒型成形体1の外周面に沿うように筒体3を挿入する工程を経る。
本発明では、予め前工程で円筒型成形体1を軸体2に複数個積層して挿入されているため、既に円筒型成形体1の内周面が軸体2の外周面に位置決めされた状態にある。これにより、本発明の製造方法では、筒体3を積層された複数の円筒型成形体1の外周面に沿うようにのみ位置決めして挿入することができ、作業工数の削減に加え、円筒型成形体1の破損の抑制に寄与するという効果を奏する。
尚、筒体3の挿入は、軸体2を鉛直に配置して、円筒型成形体1の端部から挿入してもよいところ、軸体2を水平に配置して、円筒型成形体1の端部から挿入することが、筒体3のハンドリングの点から好ましい。
本発明では、予め前工程で円筒型成形体1を軸体2に複数個積層して挿入されているため、既に円筒型成形体1の内周面が軸体2の外周面に位置決めされた状態にある。これにより、本発明の製造方法では、筒体3を積層された複数の円筒型成形体1の外周面に沿うようにのみ位置決めして挿入することができ、作業工数の削減に加え、円筒型成形体1の破損の抑制に寄与するという効果を奏する。
尚、筒体3の挿入は、軸体2を鉛直に配置して、円筒型成形体1の端部から挿入してもよいところ、軸体2を水平に配置して、円筒型成形体1の端部から挿入することが、筒体3のハンドリングの点から好ましい。
次に、図2に示すように、積層された複数の円筒型成形体1の全体を軸体2、筒体3および蓋体4により覆い金属カプセル6を形成して、減圧封止する工程を経る。このとき、金属カプセル6を加熱しながら蓋体4に設けた脱気パイプ5から脱気することが好ましい。脱気は、加熱温度100〜600℃の範囲で、1kPaよりも低い減圧下で行うことが好ましい。
尚、図2では、円筒型成形体1を6個積層しているところ、個々の円筒型成形体1の厚さを小さくし、7個以上の円筒型成形体1を積層することが好ましい。これは、個々の円筒型成形体1の厚さを薄くすることで、円筒型成形体1の軸方向の密度が向上でき、強度向上が図れるとともに、運搬等のハンドリング性を良好にするためである。
尚、図2では、円筒型成形体1を6個積層しているところ、個々の円筒型成形体1の厚さを小さくし、7個以上の円筒型成形体1を積層することが好ましい。これは、個々の円筒型成形体1の厚さを薄くすることで、円筒型成形体1の軸方向の密度が向上でき、強度向上が図れるとともに、運搬等のハンドリング性を良好にするためである。
次に、脱気封止した金属カプセル6に熱間静水圧プレスを施して、複数の円筒型成形体1を接合した円筒型焼結体を得る。
熱間静水圧プレスは、十分な接合強度と相対密度を有する円筒型スパッタリングターゲット材を得るために、温度450℃以上金属粉末の融点未満、圧力30〜150MPa、0.5〜10.0時間の条件で行うことが好ましい。
加圧力が150MPaを超えると、耐え得る装置が限られるという問題がある。また、焼結時間が0.5時間未満では、焼結を十分に進行させるのが難しく、高密度の焼結体を得にくい。一方、10時間を超える焼結時間は、製造効率が落ちるため避ける方がよい。
本発明では、450℃以上の温度で30MPa以上の圧力にすることにより、相対密度を高くできることに加え、円筒型成形体1同士の十分な接合強度を得ることができる。
また、金属粉末の融点未満の温度で焼結することにより、一体成型された円筒型焼結体の組織中で結晶粒の粗大化が抑制され、スパッタリング時の異常放電等の不具合を低減することができる。
本発明では、均一微細な結晶粒および十分な接合強度を有した円筒型スパッタリングターゲット材を得るために、熱間静水圧プレスの温度範囲を700〜1250℃にすることが好ましい。
熱間静水圧プレスは、十分な接合強度と相対密度を有する円筒型スパッタリングターゲット材を得るために、温度450℃以上金属粉末の融点未満、圧力30〜150MPa、0.5〜10.0時間の条件で行うことが好ましい。
加圧力が150MPaを超えると、耐え得る装置が限られるという問題がある。また、焼結時間が0.5時間未満では、焼結を十分に進行させるのが難しく、高密度の焼結体を得にくい。一方、10時間を超える焼結時間は、製造効率が落ちるため避ける方がよい。
本発明では、450℃以上の温度で30MPa以上の圧力にすることにより、相対密度を高くできることに加え、円筒型成形体1同士の十分な接合強度を得ることができる。
また、金属粉末の融点未満の温度で焼結することにより、一体成型された円筒型焼結体の組織中で結晶粒の粗大化が抑制され、スパッタリング時の異常放電等の不具合を低減することができる。
本発明では、均一微細な結晶粒および十分な接合強度を有した円筒型スパッタリングターゲット材を得るために、熱間静水圧プレスの温度範囲を700〜1250℃にすることが好ましい。
また、本発明では、上記で得た円筒型焼結体の金属カプセルを機械加工で除去したあとに、スパッタリングターゲット材のスパッタ面やバッキングプレートに接合される面を旋盤等で切削加工を施す他、研磨加工等の手入れ処理を施すことが好ましい。これにより、目的の形状および寸法を有する円筒型スパッタリングターゲット材にすることができる。
先ず、円筒型成形体の寸法が外径=220mm、内径=135mm、高さ=48.5mmとなるように、市販の平均粒径6μmのMo粉末を金型内に充填し、20℃で成形圧100MPaのプレスをして円筒型成形体を33個作製した。
次に、これらの円筒型成形体を800℃の水素雰囲気で5時間の仮焼をして、円筒型成形体の形状保持力を向上させた。このときの円筒型成形体の密度をアルキメデス法により測定した結果、相対密度で60.2%であった。尚、本発明でいう相対密度とは、アルキメデス法により測定されたかさ密度を、成形体の組成比から得られる質量比で算出した元素単体の加重平均として得た理論密度で除した値に100を乗じて得た値をいう。
次に、これらの円筒型成形体を800℃の水素雰囲気で5時間の仮焼をして、円筒型成形体の形状保持力を向上させた。このときの円筒型成形体の密度をアルキメデス法により測定した結果、相対密度で60.2%であった。尚、本発明でいう相対密度とは、アルキメデス法により測定されたかさ密度を、成形体の組成比から得られる質量比で算出した元素単体の加重平均として得た理論密度で除した値に100を乗じて得た値をいう。
上記で得た33個の円筒型成形体を、図1に示すように、円筒型成形体1の内周面が円筒状の軸体2の外周面に沿うように積層して挿入した。このとき、円筒型成形体1を運搬して軸体2に挿入するときのハンドリングの際には、円筒型成形体1の欠け等の破損がなかったことを確認した。
次いで、筒体3の内周面が積層された複数の円筒型成形体1の外周面に沿うように筒体3を挿入した。このとき、筒体3を円筒型成形体1の内周面に挿入するときのハンドリングの際には、円筒型成形体1の欠け等の破損がなかったことを確認した。
次に、図2に示すように、積層された複数の円筒型成形体1の全体を軸体2、筒体3および蓋体4により覆い金属カプセル6を形成して、450℃の温度下で加熱しながら脱気パイプ5から脱気して封止した。
次に、金属カプセル6を温度1250℃、圧力147MPaの条件下で5時間保持する熱間静水圧プレス処理を施した後、機械加工により金属カプセル6を除去して円筒型の焼結体を得た。
次いで、筒体3の内周面が積層された複数の円筒型成形体1の外周面に沿うように筒体3を挿入した。このとき、筒体3を円筒型成形体1の内周面に挿入するときのハンドリングの際には、円筒型成形体1の欠け等の破損がなかったことを確認した。
次に、図2に示すように、積層された複数の円筒型成形体1の全体を軸体2、筒体3および蓋体4により覆い金属カプセル6を形成して、450℃の温度下で加熱しながら脱気パイプ5から脱気して封止した。
次に、金属カプセル6を温度1250℃、圧力147MPaの条件下で5時間保持する熱間静水圧プレス処理を施した後、機械加工により金属カプセル6を除去して円筒型の焼結体を得た。
上記で得た円筒型の焼結体は、円筒型成形体の破損による変形や、局所的に異常収縮した等の外観上に異常な箇所は認められず、均一に収縮した焼結体であることが確認できた。また、円筒型の焼結体から機械加工により試験片を採取し、この焼結体の密度をアルキメデス法により測定した結果、相対密度で99.2%であった。
1 円筒型成形体
2 軸体
3 筒体
4 蓋体
5 脱気パイプ
6 金属カプセル
2 軸体
3 筒体
4 蓋体
5 脱気パイプ
6 金属カプセル
Claims (3)
- 複数個の円筒型成形体を得る工程と、
前記円筒型成形体の内周面に沿う外周面を有する軸体に、前記複数個の円筒型成形体を積層するようにして挿入する工程と、
前記円筒型成形体の外周面に沿う内周面を有する筒体を、前記積層された複数個の円筒型成形体に挿入する工程と、
前記積層された複数個の円筒型成形体の全体を前記軸体、前記筒体および蓋体により覆い金属カプセルを形成して、減圧封止する工程と、
前記金属カプセルに熱間静水圧プレスを施し円筒型焼結体を得る工程と、
を含むことを特徴とする円筒型スパッタリングターゲット材の製造方法。 - 前記軸体が円筒体であることを特徴とする請求項1に記載の円筒型スパッタリングターゲット材の製造方法。
- 前記軸体を軸方向が水平になるように配置して、前記円筒型成形体の内周面を軸体の外周面に沿うように複数個積層して挿入することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の円筒型スパッタリングターゲット材の製造方法。
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- 2014-03-17 JP JP2014053109A patent/JP2015175035A/ja active Pending
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