以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態に従う熱源機を含んで構成された給湯装置10の概略構成を説明するブロック図である。
図1を参照して、給湯装置10は、燃焼缶体6と、燃焼バーナ7と、点火トランス78と、送風ファン8と、入水管11と、熱交換器12と、出湯管16と、排煙筒30と、コントローラ100とを含む。図1の構成例では、給湯装置10のうちの燃焼バーナ7、送風ファン8およびコントローラ100によって、本実施の形態による熱源機を構成することができる。
入水管11は、たとえば水道管と接続されて、水道水を被加熱媒体として熱交換器12に入力するように構成される。燃焼バーナ7の噴射ノズル70は、燃焼缶体6の上部に配設される。
燃焼バーナ7は、たとえば、液体燃料として石油(灯油)を噴霧する噴射ノズル70を有するガンタイプバーナによって構成される。燃焼バーナ7は、さらに、電磁開閉弁71と、電磁供給ポンプ72と、燃料供給管73と、リターン管74と、油温検出センサ75と、流量制御弁76とを有する。燃焼バーナ7は、「燃焼機構」の一実施例に対応する。送風ファン8は、燃焼バーナ7に燃焼用空気を供給する。
噴射ノズル70から噴霧された燃料は、送風ファン8からの燃焼用空気と混合される。点火トランス78によって着火されることにより、噴射ノズル70からの燃料が燃焼されて火炎が生じる。燃焼バーナ7からの火炎によって生じる燃焼熱は、燃料缶体6内で熱交換器12へ与えられる。燃焼缶体6の燃焼ガスの流れ方向下流側には熱交換後の燃焼排ガスを排出処理するための排煙筒30が開口されている。
熱交換器12は、燃焼バーナ7からの燃焼熱によって、熱交換器12内を通流する入水管11からの水道水を加熱する。熱交換器12によって加熱された湯は、出湯管16を経由してカラン15等から出湯される。
入水管11には、入水温度Tw(℃)を検出するための温度センサ17と、通水流量Q(l/m)を検出する流量センサ18が設けられる。出湯管16には、出湯温度Th(℃)を検出するための温度センサ19が設けられている。
図2は、燃焼バーナ7の構成を詳細に説明するためのブロック図である。
図2を参照して、燃料供給管73は、図示しない燃料タンクから噴射ノズル70へ液体燃料(以下、単に燃料とも称する)を導く。燃料供給管73には、電磁開閉弁71および電磁供給ポンプ72が介装される。
電磁開閉弁71は、図示しない燃料タンクから燃料供給管73への燃料供給をオンオフするために、コントローラ100からの制御指令Soに応じて開閉する。電磁供給ポンプ72は、コントローラ100からの制御指令Spに応じて、開状態の電磁開閉弁71を経由して供給された燃料を昇圧する。電磁供給ポンプ72によって昇圧された燃料は、噴射ノズル70から霧状に噴射される。
リターン管74は、燃料供給管73により供給された液体燃料の一部を、燃料供給管73に戻すように配設される。図2の例では、リターン管74は、電磁開閉弁71よりも下流側であって、電磁供給ポンプ72よりも上流側に燃料を戻すように構成される。
リターン管74には、リターン油の油温を検出する油温検出センサ75と、リターン油の流量を制御するための流量制御弁76と、リターン油の逆流を防止するための逆止弁77とが介装されている。
流量制御弁76の弁開度は、コントローラ100からの制御指令Svに応じて調整される。流量制御弁76によってリターン油の流量が調整されることにより、噴射ノズル70から噴霧される燃料量(以下、単に「燃料量」とも称する)が制御される。基本的には、燃焼バーナ7による燃焼量は、燃料量に比例する。したがって、流量制御弁76の弁開度
を制御することによって、燃焼バーナ7による燃焼量を制御できる。
噴射ノズル70による燃料噴霧口の周囲には、バーナコーン80が配設される。したがって、構造上、噴射ノズル70から噴霧された燃料の一部がバーナコーン80に付着する可能性がある。バーナコーン80には、送風ファン8から供給された燃焼用空気を導入するための孔(図示せず)が複数設けられている。導入された空気と噴霧後に蒸発した燃料との混合気が燃焼されることにより、各孔に火炎が形成される。燃焼量が増えると、バーナコーン80の外部まで、拡散火炎が形成される。
バーナコーン80の低温時に、噴射ノズル70から噴霧された燃料が付着すると、未燃HCの発生による臭気がユーザに感知される虞がある。一方で、バーナコーン80の温度が上昇していると、付着した燃料は即座に気化するため、未燃HCの発生による臭気の問題点は発生し難い。
再び図1を参照して、コントローラ100は、たとえばマイクロコンピュータによって構成される。コントローラ100は、ユーザ操作に応じて、給湯装置10の動作を制御する。たとえばユーザ操作は、給湯運転のオンオフ指示や、給湯の設定温度を含む。代表的な機能として、コントローラ100は、出湯温度Thが設定温度Trに従って制御されるように、燃焼バーナ7への燃焼制御指令を生成する。燃焼制御指令は、図2に示した制御指令So,Sp,Svを含む。燃焼制御指令に従って燃焼バーナ7による燃焼熱が制御されることにより、給湯装置10における出湯温度Thが制御される。
図3は、実施の形態1に従う燃焼バーナ7の燃焼制御を説明するための機能ブロック図である。図3を始めとする各機能ブロック図に示された各ブロックの機能については、コントローラ100内に当該機能を有する回路(ハードウェア)を構成してもよいし、予め設定されたプログラムに従ってコントローラ100がソフトウェア処理を実行することにより実現してもよい。
図3を参照して、コントローラ100は、号数演算部110と、燃焼制御部120とを備える。燃焼制御部120は、オンオフ燃焼制御部130と、比例燃焼制御部140と、着火制御部150と、制御モード選択部160とを有する。
号数演算部110は、設定温度Tr、入水温度Tw、出湯温度Thおよび流量Qに基づいて、要求号数Rgを演算する。要求号数Rgは、燃焼バーナ7に要求される発生熱量に相当する。
一般に、要求号数における号数=1(1号)とは、Q=1(L/min)の流量を25(℃)昇温させるのに必要な熱量を意味する。したがって、給湯装置10での水温上昇に必要な理論的熱量量(号数)Rg*は、たとえば、下記の式(1)に従って設定することができる。
Rg*=(Tr−Tc)・Q/25 …(1)
式(1)中において、(Tr−Tc)は熱交換器12での目標昇温量に相当する。当該目標昇温量と流量Qとの積により、上記Rg*が演算される。
さらに、出湯温度Thおよび設定温度Trの温度偏差(Tr−Th)のフィードバック制御をさらに組合せて要求号数Rgを設定することも可能である。この場合には、式(1)に従って算出された号数と、温度偏差(Tr−Th)のPI制御に基づく号数との和に従って、Rg*が設定される。
なお、要求号数Rgは、給湯装置10での実際の熱効率ηを考慮して設定される(たとえば、Rg=Rg*/η)。熱効率ηは、燃焼バーナ7による燃焼熱量に対する被加熱媒体が受ける熱量の比で定義される。一例として、非潜熱回収型の給湯装置ではη=0.8前後であり、潜熱回収型の給湯装置ではη=0.9程度である。熱効率ηは、実験等によって予め求められた固定値であってもよく、運転中の温度および燃料量に基づいて逐次学習された値であってもよい。
燃焼制御部120は、給湯装置10の運転オンオフ指令に従って、号数演算部110によって演算された要求号数Rgに応じた燃焼熱を燃焼バーナ7が発生するように、燃焼バーナ7への制御指令So,Sp,Svを制御する。たとえば、給湯装置10の運転オン時には、給湯装置10の流量Qが所定の最小作動流量(MOQ)を超えると、燃焼バーナ7が作動される。一方で、燃焼バーナ7の作動中に、流量Qが最小作動流量(MOQ)よりも低くなると、あるいは、給湯装置10の運転がオフされると、燃焼バーナ7の作動が停止される。燃焼バーナ7の停止時には、燃焼も停止される。
たとえば、最低作動流量(MOQ)は、流量センサ18による検出が不正確になったり、熱交換器12内で沸騰が発生したりする不具合が生じることなく、給湯装置10が安定的に動作できる最小流量として予め設定される。
燃焼バーナ7の作動中には、燃焼制御部120は、要求号数Rgに応じた熱量を燃焼バーナ7が発生できるように、燃焼バーナ7での燃焼号数Gsを設定する。噴射ノズル70から噴霧される燃料量は、要求号数Rgに応じて設定された燃焼号数Gsに従って制御される。すなわち、以下の説明において、燃焼バーナ7における燃焼号数Gsは、噴射ノズル70から噴霧される燃料量に比例するパラメータである。燃焼バーナ7の制御指令So,Sp,Svは、燃焼号数Gsに従った燃料量が噴射されるように設定される。
本実施の形態では、燃焼バーナ7の作動時には、オンオフ燃焼制御部130によるオンオフ燃焼制御と、比例燃焼制御部140による比例燃焼制御とが選択的に適用される。
図4および図5を用いて、比例燃焼制御およびオンオフ燃焼における燃焼動作の態様を説明する。
図4は、比例燃焼制御における燃焼バーナの動作例を示す波形図であり、図5はオンオフ燃焼制御における燃焼バーナ7の動作例を示す波形図である。
図4を参照して、比例燃焼制御では、噴射ノズル70からの燃料噴霧が連続的に実行される。すなわち、燃焼バーナ7での燃焼が継続されて、燃焼期間が連続的に設けられる。さらに、燃焼号数Gsは、要求号数Rgに応じて連続的に調整される。
たとえば、燃焼号数Gsは、熱効率を考慮して設定された要求号数Rgに比例して逐次設定される。さらに、主に制御指令Svによって、噴射ノズル70から噴霧される燃料量が、燃焼号数Gsに比例して調整される。
比例燃焼制御によれば、噴射ノズル70から噴霧される燃料量は、要求号数Rgに応じて変化する。このため、要求号数Rgが小さい領域では、噴射ノズル70から噴霧される燃料量を絞る必要がある。しかしながら、燃料量が低い領域では、噴射ノズル70からの噴霧態様が不安定になることにより、燃焼熱の制御が困難となる。
したがって、本実施の形態による熱源機では、特許文献1と同様に、要求号数Rgが小さい領域では、図5に示すオンオフ燃焼制御を適用する。
図5を参照して、オンオフ燃焼制御では、燃焼バーナ7の作動中に、燃料が噴射される燃焼期間と、燃料噴射が停止される燃焼停止期間とが交互に設けられる。図5の例では、時刻t0〜t1、t2〜t3およびt4以降に燃焼期間が設けられる。各燃焼期間において、燃焼号数Gsは一定値Gonに設定される。燃焼号数Gonは、噴射ノズル70による燃焼噴霧態様が安定的である領域に設定されている。
一方で、時刻t1〜t2間およびt3〜t4間の燃焼停止期間の各々では、噴射ノズル70からの燃料の供給が停止される。
オンオフ燃焼制御では、燃焼号数Gs=Gonである燃焼期間長Tonと、Gs=0である燃焼停止期間長Toffの比率Kt(Kt=Toff/Ton)を制御することによって、燃焼バーナ7から発生される燃焼熱が制御される。
オンオフ燃焼制御における実質的な燃焼号数Gs*は下記の式(2)で与えられる。式(2)を変形することにより、比率Ktは、燃焼号数Gs*を要求号数Rgに応じて設定することにより、式(3)に従って求めることができる。なお、オンオフ燃焼制御では、Gs*<Gonである。
Gs*=Gon・Ton/(Ton+Toff) …(2)
Kt=(Gon/Gs*)−1 …(3)
一般的には、燃焼期間長Tonを固定した上で、燃焼停止期間長Toffを制御するように上記比率Ktが制御される。
再び図3を参照して、制御モード選択部160は、号数演算部110によって演算された要求号数Rgに応じて、オンオフ燃焼制御および比例燃焼制御の一方を選択する。たとえば、要求号数Rgが大きい領域では比例燃焼制御が選択される一方で、要求号数Rgが小さい領域ではオンオフ燃焼制御が選択される。
オンオフ燃焼制御の選択時には、オンオフ燃焼制御部130が、図5に示したような燃焼態様を実現するように、特に、要求号数Rgに応じた燃焼号数Gs*を得るための比率Ktが実現されるように、制御指令So,Sp,Svを生成する。オンオフ燃焼制御部130は「第1の制御部」に対応する。
比例燃焼制御の選択時には、比例燃焼制御部140が、要求号数Rgに比例した燃焼号数Gsに従った燃料量の噴霧が連続的に実行されるように、制御指令So,Sp,Svを生成する。比例燃焼制御部140は「第2の制御部」に対応する。
燃焼停止状態からの燃焼開始時、すなわち点火時には、いずれの制御モードにおいても、着火制御部150によって燃焼が制御される。着火制御部150は、所定の着火パターンに従って、燃焼バーナ7における燃焼号数Gs、すなわち、噴射ノズル70から噴霧される燃料量を制御する。したがって、燃焼バーナ7の点火を伴う燃焼開始時には、要求号数Rgにかかわらず、着火パターンに従って燃焼バーナ7における燃焼号数Gsが制御される。
図6は、着火制御部150による点火時の着火パターン例を説明するための概念的な波形図である。
図6を参照して、図4および図5の時刻t0,t2,t4において、燃焼停止状態から燃焼開始が指示されると、第1の初期燃焼号数Gaまで燃焼号数Gsが所定のレートで上
昇される。燃焼号数Gs=Gaに対応する燃料量になると、点火トランス78(図1)によって噴霧燃料が着火される。
時刻taにおいて、図示しない炎検出センサによって炎が検出されると、燃焼号数Gsは、第2の初期燃焼号数Gbまで所定レートで変化する。そして、時刻tb=tbにおいて、燃焼号数Gsが第2の初期燃焼号数Gbに達する。燃焼号数Gsは、所定期間Tcの間、第2の初期燃焼号数Gbに維持される。
時刻tbから所定期間Tcが経過すると、時刻tcにおいて着火パターンは終了される。着火パターンの終了後は、燃焼号数Gsは、オンオフ燃焼制御または比例燃焼制御によって設定された燃焼号数(図4,図5)に向かって一定レートで変化する。
このように、燃焼開始時には、燃料への確実な着火を優先して、着火制御部150が、その時点での要求号数Rgとは無関係に、図6に示した着火パターンに従って燃焼号数Gsを制御する。
図7は、実施の形態1に従う燃焼バーナ7の燃焼制御を説明するフローチャートである。以下では、図7を始めとするフローチャートの各ステップにおける処理は、コントローラ100によるソフトウェア処理および/またはハードウェア処理によって実行されるものとする。
コントローラ100は、給湯装置10の運転がオンされた状態で流量Qが最低作動流量(MOQ)を上回ると、MOQオンを検出して、燃焼バーナ7の作動を開始する。コントローラ100は、燃焼バーナ7の作動中には、図7に示すフローチャートに従う制御処理を繰返し実行する。
コントローラ100は、ステップS110では、現在の設定温度Tr、入水温度Tw、出湯温度Thおよび流量Qに基づいて、要求号数Rgを演算する。すなわち、ステップS110による処理は、図3の号数演算部110の機能に相当する。
コントローラ100は、ステップS120では、ステップS110で演算された要求号数Rgを所定の判定値Rtと比較する。コントローラ100は、Rg>Rtのとき(S120のYES判定時)、すなわち、要求号数Rgが比較的大きい場合には、ステップS130に処理を進める。
コントローラ100は、ステップS130では、図4で説明した比例燃焼制御によって燃焼バーナ7による燃焼熱を制御する。上述のように、比例燃焼制御の適用時には、燃焼バーナ7における燃焼号数Gsは、要求号数Rgに応じて設定される。
これに対して、コントローラ100は、Rg≦Rtのとき(S120のNO判定時)、すなわち、要求号数Rgが比較的小さい場合には、ステップS140に処理を進める。コントローラ100は、ステップS140では、図5で説明したオンオフ燃焼制御によって燃焼バーナ7による燃焼熱を制御する。上述のように、オンオフ燃焼制御の適用時には、燃焼バーナ7における燃焼号数Gsは、要求号数Rgに応じた比率Ktに従って燃焼期間(Gs=Ton)および燃焼停止期間(Gs=0)を交互に繰り返すように設定される。
すなわち、ステップS120による処理は図3の制御モード選択部160の機能に相当し、ステップS130による処理は図3の比例燃焼制御部140の機能に相当し、ステップS140による処理は図3のオンオフ燃焼制御部130の機能に相当する。
コントローラ100は、ステップS160により、燃焼開始時であるか否かを判定する。ステップS160は、最小作動流量の検知(MOQオン)に応じた燃焼開始の指示時に、YES判定とされる。さらに、ステップS160は、オンオフ燃焼制御の適用中における燃焼停止期間からの自動的な燃焼開始の指示時にもYES判定とされる。図4および図5の例では、ステップS160は、時刻t0、t2,t4の各々においてYES判定とされる。
一方で、燃焼バーナ7の燃焼中を含め、燃焼開始が指示されない場合には、ステップS160はNO判定とされる。
コントローラ100は、燃焼開始時でないとき(S160のNO判定時)には、ステップS200による処理をスキップする。この場合には、ステップS130ないしS140で設定された燃焼号数Gsに従って燃焼バーナ7の動作が制御されることになる。
これに対して、コントローラ100は、燃焼開始時(ステップS160のYES判定時)には、ステップS200に処理を進めて着火制御を実行する。着火制御では、所定の着火パターンに従って燃焼バーナ7の燃焼号数Gsが制御される。
図8は、ステップS200に示した着火制御の処理シーケンスを説明するためのフローチャートである。図8には、着火制御部150による機能のうちの燃料量(燃焼号数)の設定に係る処理部分が示される。
図8を参照して、コントローラ100は、ステップS210により、今回の燃焼開始が、MOQオンに応じた初回の点火に該当するか否かを判定する。したがって、燃焼バーナ7の作動開始時における初回点火時には、オンオフ燃焼制御および比例燃焼制御のいずれが適用されていても、ステップS210はYES判定とされる。
なお、燃焼バーナ7の作動中に、オンオフ燃焼制御の燃焼停止期間から燃焼期間へ遷移するとき、あるいは、オンオフ燃焼制御の燃焼停止期間中に比例燃焼制御への切り換えが指示されたときにも、燃焼開始が指示されて、ステップS160はYES判定となる。しかしながら、これらの燃焼開始のための点火時には、ステップS210はNO判定とされる。すなわち、燃焼バーナ7の作動開始時のみステップS210はYES判定とされるとともに、燃焼バーナ7の当該作動が終了されるまでの間、2回目以降の点火ではステップS210はNO判定とされる。
たとえば、図4および図5の例では、時刻t0ではステップS210がYES判定とされる一方で、時刻t2,t4ではステップS210はNO判定とされる。
コントローラ100は、2回目以降の点火時(S210のNO判定時)には、ステップS220に処理を進めて、図6に従った着火パターンを設定する。上述したように、図6の着火パターンに従えば、確実な着火に適した初期燃焼号数Ga,Gbが設定される(Ga=G0,Gb=G1)。
一方で、コントローラ100は、初回点火時(S210のYES判定時)には、ステップS220に処理を進めて、図9に従った着火パターンを設定する。
図9を参照して、初回点火時には、図中に点線で示した図6の着火パターンと比較して、炎検知後の第2の初期燃焼号数Gbが増大される。図9の例では、2回目以降の点火時にはGb=G1であるのに対して、初回点火時にはGb=G2(G2>G1)に設定される。これにより、炎検知後では、着火のために本来必要な燃料量(Gb=G1)に対して過剰な燃料量が、噴射ノズル70から供給される。これにより、バーナコーン80を速やかに昇温するための余剰な熱量を発生させることができる。
一方で、初回点火時においても、点火までの第1の初期燃焼号数Gaは、図6の着火パターンと同様に、Ga=0に設定されることが好ましい。初回点火時においても、炎が検知されるまでの間は、着火性を考慮した最適な燃料量を設定するためである。
このように、図6および図9の着火パターンを選択的に用いることにより、オンオフ燃焼制御が適用される場合において、MOQオンによる初回点火時には、燃焼停止期間からの再点火時と比較して、着火パターンにおける燃焼量を増加することができる。
これにより、初回点火時には、バーナコーン80を早期に昇温できる。この結果、噴射ノズル70から噴霧された燃料が付着しても、未燃HCの発生による臭気を防止できる。なお、自動的に燃焼期間および燃焼作動期間が交互に設けられるオンオフ制御では、着火パターンによる点火が繰り返し実行される。このため、図9に示した着火パターンを常時使用すると、燃焼バーナ7による燃焼熱が過剰となって熱交換器12の出口での湯温が過上昇するのに応じて燃焼バーナ7による燃焼が禁止されることにより、出湯温度Thの制御に不具合を生じることが懸念される。
したがって、オンオフ燃焼制御中において、バーナコーン80の温度が既に上昇している2回目以降の点火時には、バーナコーン80を昇温するための熱量が除外された、初回点火時よりも燃焼量が抑制された着火パターン(図6)に従って燃焼開始時の燃焼が制御される。これにより、燃焼開始時における燃焼バーナ7による燃焼熱が過剰となることを防止できる。
また、比例燃焼制御の適用時にも、初回点火時には、着火パターンにおける燃焼量を増加することによって、未燃HCの発生を抑制することができる。また、オンオフ燃焼制御から比例燃焼制御への切換えに伴って、オンオフ燃焼制御の燃焼停止期間から燃焼が開始される場合には、上記2回目以降の点火時とみなして図6の着火パターンに従って燃焼開始時の燃焼が制御される。これにより、燃焼開始時における燃焼バーナ7による燃焼熱が過剰となることを防止できる。
以上のように、本実施の形態1に従う熱源機を含む給湯装置10では、点火頻度が高くなるオンオフ燃焼制御が適用されても、初回点火時におけるバーナコーン80への燃料付着による未燃HC発生の抑制と、2回目以降の点火時における過剰な燃焼熱の発生防止とを両立するように、燃焼開始時における燃焼制御を適切に行なうことができる。また、比例燃焼制御の適用時においても同様に、燃焼開始時における燃焼を適切に制御することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、初回点火時と2回目以降の点火時との間で燃焼開始時の着火パターンを変更する制御を説明した。しかしながら、初回点火時であっても、燃焼バーナ7の作動停止からの経過時間が短い場合等、バーナコーン80の温度が低下していない場合には、燃料が付着しても未燃HCは発生しない。したがって、実施の形態2では、バーナコーンの温度推定を反映した燃焼バーナ7の燃焼制御について説明する。
図10は、実施の形態2に従う燃焼バーナの燃焼制御を説明するためのブロック図である。
図10を図3と比較して、実施の形態2では、コントローラ100によって構成される
燃焼制御部120は、バーナコーン80の温度を推定するための温度推定部155をさらに含む。温度推定部155は、バーナコーン80の温度を推定するためのカウント値CNT(t)を生成する。カウント値CNT(t)は、バーナコーン80の推定温度に応じた値となるように、温度推定部155によって増減される。カウント値CNT(t)は、着火制御部150に与えられる。図10中のその他の部分の構成は、実施の形態1(図3)と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
実施の形態2に従う燃焼制御では、図7に示したフローチャートのステップS200での処理、すなわち、着火制御部150の機能として、図8のフローチャートに代えて、図11に示したフローチャートによる制御処理が実行される。
図11は、実施の形態2に従う燃焼制御における着火制御の処理シーケンスを説明するためのフローチャートである。
図11を図8と参照して、実施の形態2に従う着火制御では、コントローラ100は、初回点火による燃焼開始時(S210のYES判定時)には、ステップS250により、温度推定部155によるカウント値CNT(t)を判定値CNtと比較する。
図12および図13は、温度推定部155によって増減されるカウント値CNT(t)の変化の例を示す図である。
図12を参照して、カウント値CNT(t)は、燃焼バーナ7の燃焼が停止されると(時刻tx)、所定値C0に設定される(CNT(t)=C0)。すなわち、燃焼バーナ7の作動停止による燃焼停止時、および、オンオフ燃焼制御における燃焼期間の終了時(燃焼停止期間の開始時)の各々において、CNT(t)=T0に設定される。
カウント値CNT(t)は、燃焼バーナ7の燃焼が停止されている間、一定の割合で減少される。この結果、再び燃焼が開始される時刻tyにおけるカウント値CNT(t)は、燃焼が停止された期間(時刻tx〜tyの経過時間)が長いほど小さくなる。したがって、時刻tyでのカウント値CNT(t)が判定値CNtよりも低いときに、バーナコーン80が低温であると判定することができる。
あるいは、図13に示されるように、燃焼バーナ7での燃焼中にカウント値CNT(t)を増加させることも可能である。
図13を参照して、燃焼が停止されている時刻tx〜tyにおけるカウント値CNT(t)の挙動は図12と共通である一方で、燃焼バーナ7での燃焼中(時刻txまで、および、時刻ty以降)では、燃焼熱によるバーナコーン80の加熱を考慮して、カウント値CNT(t)が増加される。この際に、バーナコーン80での熱容量に基づいて、温度飽和等を考慮してカウント値CNT(t)の増加を調整することが好ましい。
このように、温度推定部155は、バーナコーン80に温度センサを設けることなく、燃焼バーナ7による燃焼の履歴に基づいて、バーナコーン80の温度を推定できる。すなわち、ステップS250では、等価的に、温度推定部155によるバーナコーン80の推定温度が所定の判定温度より低いか否かが判定される。
再び図11を参照して、コントローラ100は、カウント値CNT(t)が判定値CNtよりも低い場合には(S250のYES判定時)、バーナコーン80が低温であると判断して、ステップS230に処理を進める。これにより、図9に従った着火パターンが選択される。これにより、着火のために本来必要な燃料量(Gb=G1)に対して過剰な燃
料量が供給されることで、バーナコーン80を早期に昇温することができる。
一方、コントローラ100は、カウント値CNT(t)が判定値CNt以上である場合には(S250のNO判定時)、バーナコーン80が低温ではないと判断して、ステップS220に処理を進める。これにより、バーナコーン80を昇温するための熱量が除外された、初回点火時よりも燃焼量が抑制された着火パターン(図6)に従って燃焼開始時の燃焼が制御される。これにより、バーナコーンの低温時にのみ、バーナコーン80を昇温するための図9に従った着火パターンが選択される。
したがって、実施の形態2に従う燃焼制御によれば、初回点火時であっても、バーナコーン80の非低温時には過剰な燃料量が供給されることを防止できる。したがって、実施の形態1での効果に加えて、過剰な燃焼熱の発生をさらに確実に防止することができるので、燃焼開始時における燃焼をさらに適切に制御することができる。
[実施の形態3]
実施の形態1および2では、燃焼開始時における好ましい着火パターンについて説明した。実施の形態3では、燃焼終了に伴う送風ファンの制御について説明する。
図1に示された送風ファン8から燃焼機構7へ供給される空気量は、送風ファン8の回転数(以下、単に「ファン回転数」とも称する)に応じて増減する。したがって、噴射ノズル70からの噴霧燃料量と、送風ファン8からの空気量(燃焼用空気)との比率(空燃比)が適正値(たとえば、理論空燃比)に維持されるように、送風ファン8の回転数は制御される必要がある。
図14は、実施の形態3に従うファン回転数制御のための構成を説明する機能ブロック図である。
図14を参照して、ファン回転数制御部170は、ファン回転数設定部180と、ファンモータ制御部190とを含む。ファン回転数設定部180は、燃焼動作時には、燃焼バーナ7における燃焼号数Gsに応じて、送風ファン8の目標回転数Nf♯を設定する。回転数センサ91は、送風ファン8のファン回転数Nfを検出する。ファンモータ制御部190は、検出されたファン回転数Nfが目標回転数Nf♯に一致するように、送風ファン8を回転駆動するためのファンモータ9への供給電圧Vsを制御する。
たとえば、ファンモータ9が直流電動機で構成される場合には、供給電圧Vsは、レベル可変の直流電圧、あるいは、デューティ可変のパルス状電圧である。供給電圧Vsは、目標回転数Nf♯に基づくフィードフォワード制御および/または、ファン回転数Nfおよび目標回転数Nf♯の偏差に基づくフィードバック制御により設定される。
このようなファン回転数制御によって、送風ファン8からの燃焼用空気の供給量が適切な空燃比となるように制御されることによって、燃焼バーナ7での燃焼状態が良好に維持される。
さらに、ファン回転数設定部180は、燃焼開始時および燃焼停止時には所定パターンに従ってファン回転数を制御する。
図15は、燃焼開始時および燃焼停止時におけるファン回転数制御の比較例を説明するための概念的な波形図である。
図15を参照して、時刻tsにおける燃焼開始の指示に応じて、時刻t0から、図6または図9に示された着火パターンに従って生成された燃焼号数Gsに従って、噴射ノズル70からの燃料噴射が開始される。
図6および図9で説明したように、時刻t0から燃料噴射が開始された後、燃焼号数Gs=Ga(第1の初期燃焼号数)となると点火トランス78によって噴霧燃料が着火され、炎検出センサ(図示せず)によって炎が検出されると(時刻ta)、第2の初期燃焼号数Gbまで燃焼号数Gsが変化する。実施の形態1および2で説明したように、MOQオンに対応した燃焼開始時と、オンオフ制御における燃焼開始時との間で、着火するまでの第1の初期燃焼号数Gaが共通値に設定される一方で、着火後の第2の初期燃焼号数Gbは異なる値に設定される。そして、時刻tcにおいて着火パターンは終了される。以降の斜線で囲まれた時間帯では、燃焼号数Gsは、オンオフ燃焼制御または比例燃焼制御による要求号数Rgに従って制御される。
そして、時刻teにおいて、カランの閉操作等によってMOQがオフされたこと(すなわち、出湯停止)に応じて、燃焼が停止される。これにより、燃焼バーナ7による燃料噴射が停止されるので、燃焼号数Gs=0となる。
燃焼停止の際には、燃焼停止(時刻te)から予め定められた時間Tppが経過するまで、送風ファン8の作動を継続するポストパージ運転が実行される。以下では、ポストパージ運転の継続時間Tppを、ポストパージ時間Tppとも称する。
図15では、燃焼停止(時刻te)からポストパージ時間Tppが経過する前に、時刻trにおいて、再びカランの開栓等によってMOQがオンされて出湯が再開されたときの動作が示される。MOQの再オンに応じて、時刻t0♯から、着火パターンに従って燃焼号数Gs=Gaに設定されている。
比較例では、上記の燃焼開始、燃焼停止および、燃焼再開に応じて、送風ファン8の回転数は、図15に示されるように制御される。
燃焼開始時において、送風ファン8の目標回転数Nf♯は、時刻tsにおける燃焼開始の指示に応じて、燃料噴射が開始される時刻t0よりも前の時刻tfにおいて、着火パターンに対応した適正値に設定される(Nf♯=N1)。着火パターン中における回転数N1は、時刻ta〜tcにおける着火パターンにおいて、安定的な点火が得られるような値に予め調整されている。
そして、時刻tcにおいて着火パターンが終了されると、時刻tc〜teの間(斜線で囲まれた時間帯)では、目標回転数Nf♯は、オンオフ燃焼制御または比例燃焼制御に従う燃焼号数Gsに応じて、適切な空燃比が維持されるように設定される。
比較例によるファン回転数制御では、燃焼停止後のポストパージ期間(時刻te〜tp)において、送風ファン8の目標回転数Nf♯は、着火パターンに対応した適正値N1に設定される(Nf♯=N1)。なお、MOQオンが検出されないまま、燃焼停止からポストパージ時間Tppが経過すると、送風ファン8は停止される(Nf♯=0)。
ポストパージ期間では、燃焼時の未燃成分を送風によって除去するために送風ファン8の作動が維持される。未燃成分の除去に必要な送風ファン8の作動時間は、数秒程度であるが、実際のポストパージ時間Tppは、これよりも長く、たとえば、5分間前後設けられる。
比較例によれば、ポストパージ期間内を通じて、送風ファン8の目標回転数Nf♯=N1に維持することにより、MOQオフ後の再出湯によるMOQの再オン(時刻tr)に対して、速やかに燃焼バーナ7による燃焼を再開することができる。これに対して、燃焼停止後早期に送風ファン8を停止すると、送風ファン8の回転数を0からN1に立ち上げるまでの間燃焼を開始できないため、MOQの再オンから燃焼開始までの所要時間が増大する。このため、出湯再開後に出湯温度が低下することが懸念される。
その一方で、比較例に従ったファン回転数制御では、ポストパージ期間内において、ファン回転数が、着火パターンに適した回転数N1に維持されるため、燃焼缶体6内の機器(特に、熱交換器12)の温度が低下することによって、出湯再開後における熱効率が低下することが懸念される。
図16には、MOQオフに応じた燃焼停止時における実施の形態3に従うファン回転数制御を説明するための概念的な波形図が示される。
図16を参照して、実施の形態3に従う熱源機では、ポストパージ期間において、送風ファン8の目標回転数Nf♯は、着火パターンに適した回転数N1も低い回転数N2に設定される期間が設けられる。たとえば、ポストパージ期間の開始(時刻te)からMOQが再びオンされる時刻trまでの間、Nf♯=N2(N2<N1)に設定される。
そして、目標回転数Nf♯は、時刻trからN1へ向けて上昇される。そして、実際のファン回転数Nf=N1に復帰した後の時刻t0♯から、着火パターンに従って燃焼バーナ7による燃料噴射が再開される。
この結果、実施の形態3によれば、ポストパージ期間中に、ファン回転数Nfが比較例よりも低い期間が存在するため、当該期間において、燃焼缶体6内の機器(特に、熱交換器12)の温度低下を抑制することができる。なお、ポストパージ期間での回転数N2については、着火パターンに対応した回転数N1までの復帰に要する時間と、燃焼缶体6内での温度低下の抑制効果とがトレードオフの関係となるので、両者のバランスが取れるような適正値を実機実験等によって予め見出すことが好ましい。
これにより、MOQオフに対応した燃焼停止時におけるポストパージ期間において、出湯再開時における温度低下を抑えながら、熱源機における熱効率を改善することができる。
上記のポストパージ期間と同様のファン回転数制御は、オンオフ燃焼制御での自動的な燃焼停止時にも実行することができる。
図17には、オンオフ燃焼制御での燃焼停止時における比較例に従うファン回転数制御が示され、図18には、オンオフ燃焼制御での燃焼停止時における実施の形態3に従うファン回転数制御が示される。
図17を参照して、オンオフ燃焼制御では、時刻t1またはt3(図5)における燃焼期間(Gs=Ga)の終了に伴って、燃料噴射が停止される(Gs=0)。上述のように、オンオフ燃焼制御では、燃焼号数Gsに応じて、燃焼期間長Tonと燃焼停止期間長Toffとの比率が制御される。燃焼期間における送風ファンの目標回転数Nf♯は、燃焼期間の燃焼号数Gonに対して適切な空燃比が維持するための回転数Nonに設定される。
比較例では、図15の場合と同様に、燃焼停止期間における送風ファン8の目標回転数Nf♯は、着火パターンに適した回転数N1に維持される。これは、燃焼期間の再開時における速やかな燃焼の再開に備えるためである。
しかしながら、燃焼停止期間長Toffが比較的長い場合には、ファン回転数をN1に維持することによる燃焼缶体6内の温度低下によって、出湯再開後における熱効率が低下することが懸念される。
図18を参照して、実施の形態3によれば、燃焼停止期間(時刻t1〜t2)の一部において、送風ファン8の目標回転数Nf♯は、着火パターンに適した回転数N1も低い回転数N2に設定される。たとえば、燃焼停止期間の開始時において、Nf♯=N2に設定することができる。
一方で、燃焼期間が再開される時刻t2またはt4においては、実際のファン回転数Nfは、着火パターンに適した回転数N1に復帰していることが必要である。したがって、ファン回転数NfがN2からN1へ復帰するのに要する時間を考慮して、燃焼停止期間の前半の時刻t1〜t10において、Nf♯=N2に設定することができる。
そして、時刻t10から送風ファン8の目標回転数Nf♯をN2から上昇させて、時刻t11には、Nf♯=N2とする。これにより、時刻t2またはt4においては、実際のファン回転数Nfは、着火パターンに適した回転数N1に復帰される。この結果、燃料期間の再開に際して、着火パターンに従った燃焼を速やかに再開できる。
オンオフ燃焼制御では、燃焼号数Gsに応じて燃焼停止期間長Toffが予め設定されている。したがって、ファン回転数をN2からN1まで復帰させるのに要する時間を考慮して、Nf♯=N2となる時間(回転数低下時間Tcnt)がなるべく長く確保できるように、燃焼停止期間長Toffに応じて時刻t10を決定することができる。
これにより、燃焼停止期間長Toffを変化させることなく、燃焼停止期間における燃焼缶体6内の温度低下を、比較例(Nf♯=N1に維持)よりも低減することができる。これにより、オンオフ燃焼制御による出湯温度Thの制御に影響を与えることなく、熱源機における熱効率を改善することができる。
なお、オンオフ燃焼制御において、燃焼停止期間長Toffの調整によって式(3)の比率Ktを制御する場合には、燃焼停止期間の前半における回転数N2を、燃焼停止期間長Toffに応じて可変に制御することも可能である。
ここで、ファン回転数をN2からN1まで復帰させるのに要する時間は、回転数差(N1−N2)に基づいて逆算することが可能である。したがって、燃焼停止期間長Toffに応じて、燃焼停止期間の終了までにファン回転数NfをN1まで復帰させることが可能な、ファン回転数N2および回転数低下時間Tcntの組を決定することができる。このような、ファン回転数N2および回転数低下時間Tcntの組についても、実機実験等によって、燃焼停止期間長Toffに応じた適正値を予め見出しておくことが可能である。
このように、実施の形態3に従う熱源機によれば、燃焼動作の停止から燃焼動作が再開されるまでの間、具体的には、MOQオフに応じた燃焼停止によるポストパージ期間および、オンオフ燃焼制御での自動的な燃焼停止による燃焼停止期間の両方において、送風ファン8の回転数が着火パターンに対応した回転数N1よりも低下させる期間を設けることができる。これにより、当該期間での燃焼缶体6内の温度低下低減によって熱効率を改善することができる。
次に、図19および図20を用いて、本実施の形態3に従う熱源機における燃焼停止時のファン回転数制御の制御処理を説明する。図19および図20に示された処理は、コントローラ100によって周期的に実行される。
図19を参照して、コントローラ100は、ステップS100により、燃焼停止が指示されたかどうかを判定する。上述のように、燃焼停止指示には、カラン閉操作等による給湯停止(MOQオフ)に応じた燃焼停止と、オンオフ燃焼制御における自動的な燃焼停止とが存在する。燃焼停止が指示されていない場合(ステップS100のNO判定時)には、以下の処理は実行されない。
コントローラ100は、燃焼停止が指示された場合(S100のYES判定時)には、ステップS110により、MOQオフに伴う燃焼停止であるかどうかを判定する。MOQオフによる燃焼停止である場合(S110のYES判定時)には、コントローラ100は、図16に示したファン回転数制御を実現するために、ステップS120に処理を進める。
コントローラ100は、ステップS120により、燃焼停止からの経過時間を測定するためのタイマTを初期化する(T=0)とともに、ステップS130により、送風ファン8の目標回転数Nf♯を、着火パターンに対応した回転数N1よりも低いN2に設定する。さらに、コントローラ100は、ステップS140により、タイマTをカウントアップする。
コントローラ100は、タイマTの計時中に、カランの開操作等によってMOQが再びオンされるのに応じて燃焼がオンされると、ステップS150のYES判定による割り込み処理によって、ステップS160に処理を進める。ステップS160では、目標回転数Nf♯が着火パターンに対応した回転数N1まで上昇される。これにより、実際のファン回転数NfがN1まで上昇すると、着火パターンに従った燃料噴射が再開される。
コントローラ100は、燃焼の非再開時(ステップS150のNO判定時)には、ステップS170により、タイマTによる計時がポストパージ時間Tppに達したか否かを判定する。燃焼停止からポストパージ時間Tppが経過するまでは(S170のNO判定時)、ステップS130〜S150の処理を繰返されることにより、送風ファン8の目標回転数Nf♯はN2に維持される。
コントローラ100は、タイマTによる計時がポストパージ時間Tppに達すると(S170のYES判定時)、ステップS180に処理を進めて、送風ファン8を停止する。
ステップS120〜S180の処理により、MOQオフに応じた燃焼停止からポストパージ時間Tppが経過するまでの間、ファン回転数Nfを着火パターンに対した回転数N1よりも低下させた状態(回転数N2)で、送風ファン8によるポストパージが実行される。また、燃焼が再開されると、ファン回転数NfがN1に復帰した後に燃料噴射を再開することにより、円滑に燃焼を再開することができる。
これに対して、コントローラ100は、MOQオフによらない燃焼停止である場合、すなわち、オンオフ燃焼制御による自動的な燃焼停止の場合(S110のNO判定時)には、図18に示したファン回転数制御を実現するために、図20のステップS200に処理を進める。
図20を参照して、コントローラ100は、ステップS200により、ステップS120と同様に、燃焼停止からの経過時間を測定するためのタイマTを初期化する(T=0)。さらに、コントローラ100は、ステップS210により、オンオフ燃焼制御の燃焼停止期間長Toffに基づいて、ファン回転数N2からN1に復帰させるために必要な所要時間を考慮して、燃焼停止期間における回転数低下時間Tcntを設定する。
なお、上述のように、ファン回転数N2(N2<N1)は、固定値であってもよいし、燃焼停止期間長Toffに応じた可変値であってもよい。ファン回転数N2が可変値である場合には、ステップS210によって、ファン回転数N2と回転数低下時間Tcntとの両方が設定される。ファン回転数N2を可変値とすることで、燃焼缶体6内の温度低下をさらに低減することが可能でとなる。
コントローラ100は、ステップS230により、タイマTをカウントアップする。さらに、コントローラ100は、ステップ240により、タイマTによる計時が回転数低下時間Tcntに達したか否かを判定する。燃焼停止から回転数低下時間Tcntが経過するまでは(S240のNO判定時)、ステップS220,S230の処理が繰返されることにより、送風ファン8の目標回転数Nf♯はN2に維持される。
コントローラ100は、タイマTによる計時が回転数低下時間Tcntに達すると(S240のYES判定時)、ステップS250に処理を進めて、送風ファン8の目標回転数Nf♯を着火パターンに対応した回転数N1まで上昇させる。これにより、燃焼停止期間の終了(すなわち、次の燃焼時間の開始)までに、実際のファン回転数NfをN1まで上昇することができるので、出湯温度Thの制御のためのオンオフ燃焼制御に従った燃焼停止期間長Toffは、ファン回転数を一時的に低下させても変化しない。
このように、実施の形態3に従う熱源機によれば、MOQオフに応じた燃焼停止によるポストパージ期間および、オンオフ燃焼制御での自動的な燃焼停止による燃焼停止期間の両方において、次回の燃焼開始に大きな影響を与えることなく、燃焼缶体6内の温度低下低減によって熱効率を改善することができる。
なお、実施の形態3では、回転数N1は「第1の回転数」に対応し、回転数N2は「第2の回転数」に対応する。さらに、図16および図18に示されるように、回転数N2で送風ファン8が作動する期間(第2の期間)よりも後に、回転数N1で送風ファン8が作動する期間(第1の期間)が設けられている。また、回転数低下時間Tcntは「第1の時間」に対応する。
なお、本実施の形態では、液体燃料として石油(灯油)を噴霧する燃焼バーナを有する給湯装置を代表例として説明したが、本発明の適用はこのような構成例に限定されるものではない。すなわち、液体燃料を噴霧する燃焼機構を有する熱源機に対して、本発明による燃焼開始時(点火時)における燃焼制御を共通に適用することが可能である。