JP2015172201A - 水性インキ組成物 - Google Patents

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智史 鷲尾
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Abstract

【課題】本発明は、発色性、粘度、分散安定性等に優れた水性インキ組成物を提供するこ
とにある。
【解決手段】水、1,2−アルカンジオール、顔料(ただし、有機化合物により顔料表面
が処理された酸化チタンを除く)、及び、顔料分散樹脂を含有する水性インキ組成物であ
って、1,2−アルカンジオールの含有量がインキ組成物中10〜20重量%であり、前
記顔料分散樹脂は炭素数10〜36のアルキル基を有することを特徴とする水性インキ組成物

【選択図】なし

Description

本発明は、発色性、粘度、分散安定性等に優れた水性インキ組成物に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出
し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式によれば、使用する装置の騒
音が小さく、操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、かつ
記録部材として普通紙を使用することができるという利点があるため、オフィスや家庭で
の出力機として広く用いられている。
一方、産業用途においても、インクジェット技術の向上によりデジタル印刷の出力機と
しての利用が期待され、溶剤インキやUVインキによる非吸収性の基材(PVC、PETなどのプ
ラスチック基材)に対しても印刷が可能な印刷機が実際に市販されてきた。しかし、近年
、環境面への対応といった点から水性インキの需要が高まっている。
水性インキには顔料分散タイプと染料タイプに大別することができるが、顔料分散タイ
プは、顔料が水に不溶であるために、インキ中での顔料分散性を保持させるために顔料分
散樹脂を用いて水中での分散安定化を図っている。(特許文献1,2,3)。また、イン
クジェット記録方式の場合、ノズルの乾燥防止を目的として、保湿剤と位置づけられる高
沸点の水溶性溶剤が含まれている。
一般的に、水性インキの乾燥機構は、インキが基材へ着弾後、基材への浸透と蒸発に分
類されるが、浸透の寄与が非常に大きく、コート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどの
疎水性が高い基材はインキの浸透が遅いため、多色印刷の場合はインキが混色してきれい
な画像を形成できない、印刷速度を上げられない等の問題があった。このため、インキ中
に浸透性の高い高沸点の水溶性溶剤を添加することにより乾燥性の向上を図る必要がある
。しかしながら、インキ中への浸透性溶剤の添加は、顔料分散状態を安定化させている顔
料分散樹脂の溶解状態を変化させ、顔料分散性および保存安定性を著しく低下させる場合
があった。即ち、浸透性の高い溶剤と、それが共存しても顔料分散性を低下させない顔料
分散樹脂の組み合わせが望まれていた。
特開昭64-6074号公報 特開昭64-31881号公報 特開平3-210373号公報 特開2003-55590号公報 特開2007-91909号公報
本発明は、発色性、粘度、分散安定性等に優れた水性インキ組成物を提供することにあ
る。
すなわち、本発明は水、1,2−アルカンジオール、顔料(ただし、有機化合物により
顔料表面が処理された酸化チタンを除く)、及び、顔料分散樹脂を含有する水性インキ組
成物であって、1,2−アルカンジオールの含有量がインキ組成物中10〜20重量%で
あり、前記顔料分散樹脂は炭素数10〜36のアルキル基を有することを特徴とする水性イン
キ組成物に関する。
また、本発明は、前記顔料分散樹脂の酸価が50〜400mgKOH/gであることを特徴とする上
記水性インキ組成物に関する。
また、本発明は、1,2−アルカンジオールが炭素数5〜6のアルカンジオールである上
記水性インキ組成物に関する。
また、本発明は、インクジェット用途である上記水性インキ組成物に関する。
また、本発明は、上記水性インキ組成物が、印刷されてなる印刷物に関する。
本発明により一般の印刷基材、特にコート紙、アート紙や塩化ビニルシートなどの疎水
性の高い基材への印刷適性に優れ、粘度、分散安定性、ドット形成能、乾燥性に優れる水
性インキ組成物を提供することが可能となる。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明について説明する。
本発明では、少なくとも水、1,2−アルカンジオール、顔料(ただし、有機化合物に
より顔料表面が処理された酸化チタンを除く)、及び、顔料分散樹脂を含有する水性イン
キ組成物であって、1,2−アルカンジオールの含有量がインキ組成物中10〜20重量
%であり、前記顔料分散樹脂は炭素数10〜36のアルキル基を有することにより、印刷によ
る発色性に優れ、インキの低粘度化を実現し、更には粘度、分散安定性に優れた水性イン
キ組成物を見出すに至った。
まず、本発明で使用することができる1,2−アルカンジオールについて説明する。本
発明で使用する1,2−アルカンジオールは、コート紙、アート紙やポリ塩化ビニルシー
トなどの疎水性の高い難浸透性基材上での濡れ性を高めるという観点から好ましい。1,
2−アルカンジオールとしては、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、
1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール等が挙げられる。この中でも炭素
数5〜6の1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオールを用いることでより良好
な画質の印刷物が得られる点で好ましい。また、1,2−ブタンジオールと1,2−ヘキ
サンジオールあるいは1,2−ペンタンジオールとを併用することにより、更に高い効果
が得られることからより好ましい。
1,2−アルカンジオールはインキ中に10〜20重量%含まれることが好ましく、1
1〜19重量%がより好ましい。10重量%よりも少ない場合はインキが乾燥し吐出性に
悪影響を与える可能性や、基材に対するインキの濡れ性が不十分となり画像形成に支障が
出る場合がある。また、20重量%よりも多い場合はドットの滲みや乾燥性不良、分散安
定性の低下が発生する場合がある。
また、その他の有機溶剤もインキの保湿性や基材への浸透性を調整するために併用する
ことができる。その他の有機溶剤としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エ
チレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエ
チレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、
ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピル
エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノ
メチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール
モノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコ
ールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール
モノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコ
ールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリ
コールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレング
リコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエ
チレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル
、テトラエチレングリコールブチルメチルエーテル等のグリコールジアルキルエーテル類
、1, 3-プロパンジオール、1, 3-ブタンジオール、1, 5-ペンタンジオール、1, 6-ヘキサ
ンジオール、2-メチル-2, 4-ペンタンジオール等のジオール類、2-ピロリドン、N-メチル
ピロリドン、N-エチルピロリドン、N-メチルオキサゾリジノン、N-エチルオキサゾリジノ
ン、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン等の複素環化合物が挙げられ、これらの溶剤
は単独で使用しても良く、複数を混合して使用することもできる。
また、水の含有量としては、インキの全重量の20〜80重量%、更に好ましくは25
〜75重量%の範囲である。
本発明で使用することができる顔料としては、有機化合物により顔料表面が処理された
酸化チタンを除き、従来既知のものが使用できる。本発明で使用することができるシアン
の顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue1、2、3、15:3、1
5:4、15:6、16、22、C.I.Vat Blue4、6等が挙げられる。
本発明で使用することができるマゼンタの顔料としては、例えば、C.I.Pigme
nt Red5、7、12、22、23、31、48(Ca)、48(Mn)、49、5
2、53、57(Ca)、57:1、112、122;キナクリドン固溶体、146、1
47、150、238、242、254、255、269、C.I.Pigment V
iolet 19、23、29、30、37、40、50等が挙げられる。
本発明で使用することができるイエローの顔料としては、例えば、C.I.Pigme
nt Yellow12,13,14,17,20,24,74,83,86,93,9
4,95,109,110,117,120,125,128,137,138,139
,147,148,150,151,154,155,166,168,180,185
、213等が挙げられる。
本発明で使用することができるブラックの顔料としては、ファーネス法、チャネル法で
製造されたカーボンブラックが挙げられる。例えば、これらのカーボンブラックであって
、一次粒子径が11〜40mμm(nm)、BET法による比表面積が50〜400m2
/g、揮発分が0.5〜10重量%、pH値が2乃至10等の特性を有するものが好適で
ある。このような特性を有する市販品としては下記のものが挙げられる。例えば、
No.33、40、45、52、900、2200B、2300、MA7、MA8、MC
F88(以上、三菱化学製)、RAVEN1255(コロンビア製)、REGAL330
R、400R、660R、MOGUL L(以上、キャボット製)、Nipex 160I
Q、Nipex 170IQ、Nipex 75、Printex 85、Printex
95、Printex 90、Printex 35、Printex U(以上、オリオ
ンエンジニアドカーボンズ株式会社製)等があり、何れも好ましく使用することができる
上述の中でもカラー顔料についてはシアン顔料としてC.I.Pigment Blu
e15:3、15:4、マゼンタ顔料としてC.I.Pigment Red122、1
50、C.I.Violet19、イエロー顔料としてC.I.Pigment Yel
low74、150、185を用いるのが好ましい。これらを使用することで極めて高い
耐候性、広い色域を実現することができる。
本発明では上述した顔料に限定されるものではなく、その他の顔料を使用してオレンジ
、グリーン等の特色や顔料を含まないクリアを組み合わせたインクセットとして使用する
こともできる。
本発明で使用することができる顔料の含有量としては、インク組成中で0.1〜20重
量%の範囲であり、好ましくは1〜15重量%である。
本発明で用いられる顔料分散樹脂は炭素数10〜36のアルキル基を有することを特徴とし
ている。炭素数10〜36のアルキル基を有していれば樹脂の種類は特に限定されない。例え
ば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、マレイン酸樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、
ウレタン樹脂、エステル樹脂等が挙げられる。中でもアクリル樹脂、スチレンアクリル樹
脂を使用することが好ましい。
アルキル基を有する樹脂の合成は基本となる樹脂骨格がもつカルボン酸などの官能基へ
アルキル基を有するアルコールやアミンを縮合させる方法や、樹脂合成時にアルキル基を
有するモノマーを使用することでアルキル基を有する樹脂を合成する方法が挙げられる。
アルキル基は炭素数10〜36の範囲であれば、直鎖であっても分岐していても何れも使用
することができるが、直鎖状のものが好ましい。直鎖のアルキル基としてはラウリル基(C
12)、ミリスチル基(C14)、セチル基(C16)、ステアリル基(C18)、アラキル基(C20)、ベヘ
ニル基(C22)、リグノセリル基(C24)、セロトイル基(C26)、モンタニル基(C28)、メリッシ
ル基(C30)、ドトリアコンタノイル基(C32)、テトラトリアコンタノイル基(C34)、ヘキサ
トリアコンタノイル基(C36)等が挙げられる。
本発明では顔料分散樹脂の有するアルキル基の炭素数を10〜36とすることで、顔料分散
体の低粘度化と粘度安定性を実現している。炭素数が10よりも小さいと粘度安定性が低下
し、長期の運用ができなくなるため実用に適さない。また、炭素数が36よりも大きいと顔
料分散体の粘度が高くなりすぎるため、インクジェット用途に適さなくなる。アルキル基
の炭素数として、好ましくは炭素数12〜30であり、更に好ましくは炭素数18〜24である。
本発明では顔料分散樹脂の酸価が50〜400mgKOH/gであることが好ましい。酸価が50mgKO
H/gよりも小さいと樹脂が水に対し溶解しにくくなるため、分散体の粘度が高くなる。ま
た、400mgKOH/gよりも大きい場合であっても樹脂間での相互作用が強まり、粘度が高くな
る場合がある。顔料分散樹脂の酸価は、好ましくは100〜350mgKOH/gであり、更に好まし
くは150〜300mgKOH/gである。
更に、顔料分散樹脂に芳香族基を導入することで、顔料分散性を高め、分散安定性を向
上させることが可能となる。芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基
、トリル基、キシリル基、メシチル基、アニシル基等が挙げられる。中でもフェニル基、
トリル基が分散安定性の面から好ましい。
本発明の顔料分散樹脂は水へ溶解度を上げるために、樹脂中の酸基を塩基で中和してあ
ることが好ましい。塩基としてはアンモニア水、ジメチルアミノエタノール、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基や水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等の無機塩基等を使用することができる。
本発明の顔料と顔料分散樹脂との重量比率は2/1〜100/1であることが好ましい。顔料分
散樹脂が2/1よりも多いと顔料分散体の粘度が高くなる傾向が見られる。また、100/1より
も少ないと分散性が低下し、粘度、分散等の安定性が低下する場合がある。顔料と顔料分
散樹脂の比率としてより好ましくは20/9〜50/1、更に好ましくは5/2〜25/1であり、最も
好ましくは20/7〜20/1である。
本発明の顔料分散体の製造方法としては下記の方法が挙げられるが、これに限定される
ものではない。まず顔料分散樹脂と水とが混合された水性媒体に顔料を添加し、混合攪拌
した後、分散機を用いて分散処理を行う。この後、必要に応じて遠心分離や濾過を行い、
顔料分散体を得ることができる。用いる分散機としては湿式分散機であれば何れであって
も使用することができるが、中でもビーズミルを用いることが好ましい。
本発明の水性インキ組成物はバインダー樹脂、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、防腐剤等
の添加物を加えることでインクジェット用インキとして用いることができる。
インクジェット用インキとして用いる場合にはインキ中の顔料濃度を0.1〜20重量
%にすることが好ましい。顔料濃度が0.1重量%よりも少ない場合は、一度の印刷では
十分な発色性が得られないことがある。一方、20重量%よりも高い場合ではインキの粘
度が高くなり、インクジェットヘッドからの吐出が困難となり、長期の印字安定性が低下
する場合がある。インキ中の顔料濃度として更に好ましくは1重量%〜15重量%であり
、最も好ましくは1.5重量%〜10重量%である。
印刷物の耐性を高めるために、本発明ではバインダー樹脂を更に添加することもできる
。水性インキのバインダー樹脂としては大別して水溶性樹脂と樹脂微粒子が知られている
が、一般に樹脂微粒子は水溶性樹脂と比較して高分子量であり、高い耐性を実現すること
ができる。また、樹脂微粒子はインキ粘度を低くすることができ、より多量の樹脂をイン
キ中に配合することができることから、インクジェットインキの耐性を高めるのに適して
いる。樹脂の種類としてはアクリル系、ウレタン系、スチレンブタジエン系、塩化ビニル
系、ポリオレフィン系等が挙げられる。インキの安定性、印刷物の耐性の面を考慮すると
アクリル系の樹脂微粒子を使用することが望ましい。
バインダー樹脂のガラス転移点温度(Tg)を高くすることで耐擦性、耐薬品性等の耐性を
向上させることが可能であり、好ましくは50〜120℃、より好ましくは80〜100℃の範囲と
するのが良い。50℃よりも低い場合には十分な耐性が得られず、実用にて印刷物からイン
キ塗膜が剥がれる場合がある。また、120℃よりも高い場合には塗膜が非常に硬くなり、
印刷物を折り曲げた際に印刷面にワレ、ヒビが生じる場合がある。
上記したようなバインダー樹脂のインキ中における含有量は、固形分でインキの全質量
の2重量%以上、30重量%以下の範囲であり、より好ましくは3重量%以上、20重量%以下
の範囲であり、特に好ましくは6重量%以上、15重量%以下の範囲である。
また、印刷物の画質を向上させるために界面活性剤を更に添加することができる。界面
活性剤としてはシリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレンジオール系界面
活性剤等が挙げられる。中でも印字安定性の面からもシリコン系の界面活性剤を使用する
ことが好ましい。界面活性剤の含有量としては0.05重量%以上2重量%以下の範囲が好ま
しい。
本発明のインクジェット用インキを印刷する基材は特に限定されないが、上質紙、コー
ト紙、アート紙、キャスト紙、合成紙の様な紙基材、ポリカーボネート、硬質塩ビ、軟質
塩ビ、ポリスチレン、発泡スチロール、PMMA、ポリプロピレン、ポリエチレン、PETの様
なプラスチック基材、ステンレスなどの金属基材、ガラス、木材等が使用できる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の記載にお
いて、「部」「%」及び「比率」とあるものは特に断らない限り重量基準である。
本発明で使用した顔料は以下に示す通りである。
シアン:LIONOGEN BLUE 7351(トーヨーカラー株式会社製)
マゼンタ:FASTOGEN SUPER MAGENTA RG(DIC社製)
CINQUASIA PINK D 4450(BASF社製)
トーシキレッド150TR(東京色材工業株式会社製)
イエロー:FAST YELLOW 7416(山陽色素株式会社)
LIONOGEN YELLOW ID250(トーヨーカラー株式会社製)
PALIOTOL YELLOW D 1155(BASF社製)
ブラック:PRINTEX 85(オリオンエンジニアドカーボンズ株式会社製)
(実施例1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブタノール93.4部を
仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、ラウリルメタクリレート9
5部、アクリル酸5部、および重合開始剤V-601(和光純薬製)6部の混合物を2時間かけて滴
下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−601(
和光純薬製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、分散樹脂1の溶液を得た
。さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール37.1部添加し中和し、水を10
0部添加し、水性化した。その後、100℃以上に加熱し、ブタノールを水と共沸させてブタ
ノールを留去し、不揮発分が50%になるように調整した。これより、分散樹脂1の不揮発
分50%の水性化溶液を得た。
顔料としてLIONOGEN BLUE 7351を20部、分散樹脂1の水性化溶液を12部、水68部をディ
スパーで予備分散した後、直径0.5mmのジルコニアビーズ1800gを充填した容積0.6Lのダイ
ノーミルを用いて2時間本分散を行い、本発明の水性顔料分散体を得た。このとき、顔料
と分散樹脂の不揮発分の比率は、顔料/分散樹脂(不揮発分) = 10/3となっている。
得られた水性顔料分散体を20部、定着樹脂(スチレンアクリル樹脂エマルジョン、Tg80
℃、Nv.40%)を20部、1,2−プロパンジオールを10部、水50部を混合容器へディスパー
で撹拌を行いながら順次投入し、十分に均一になるまで撹拌を行い、インクジェット用イ
ンキを作成した。このインキの粘度は5mPa・sであった。
(実施例2〜19、比較例1〜7)
表1に記載した組成の通り、分散樹脂2〜13を実施例1と同様にして作成した。得られた
分散樹脂を用いて、表2に記載した顔料分散樹脂、顔料で実施例1と同様に水性顔料分散体
の作成を行い、この水性顔料分散体を用いて実施例1と同様にインクジェット用インキを
作成し、評価を行った。なお、インクジェット用インキ作成時に粘度が高くなった場合に
は水を添加し、5mPa・sになるように粘度を調整した。
(発色性試験)
実施例1〜19、比較例1〜7で得られたインキについて、25℃の環境下でピエゾ素子を
有するインクジェットヘッドを搭載したインクジェットプリンター(武藤工業社製インク
ジェットプリンターVJ−1608HSJ)に充填し、下記基材を50℃に加温しながら印
字率100%のベタ印刷を実施。印刷物の白抜け度合の目視確認と、印字率100%の濃度(OD
値)を測色機(X−rite社製 eye−one pro)にて測定し確認。評価基準は
下記の通りであり、◎、○評価が実用可能領域である。
◎:基材に関わらずインキが十分に広がり目視で白抜けがない上に、印字率100%のOD値
差が±0.5以内である。
○:基材に関わらずインキが十分に広がり目視で白抜けがない上に、印字率100%のOD値
差が±1.0以内である。
△::基材に関わらずインキが十分に広がり目視で白抜けがないが、印字率100%のOD値
差が±1.0以上である。
×:基材によってインキの広がりが異なり、白抜けが存在する印刷物もあり、印字率100
%のOD値差が±1.0以上である。
(評価基材)
・ポリ塩化ビニルシート(PVC):メタマーク社製MD−5
・普通紙:日本製紙社製NPI−70
・布基材:デュポン社製TYVEK1082D
(インキの粘度測定)
インキの粘度をE型粘度計(東機産業社製TVE−20L)を用いて、25℃において回転
数50rpmという条件で測定を行った。
(インキの粘度安定性)
インキを70℃の恒温器に保存し、経時促進させた後、経時前後でのインキの粘度変化を
評価した。
◎:六週間保存後の粘度変化率が±10%未満
○:四週間保存後の粘度変化率が±10%未満
△:二週間保存後の粘度変化率が±10%未満
×:一週間保存後の粘度変化率が±10%以上
(インキの分散安定性)
作成したインキの分散粒子径を、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を
用いて測定した。測定に関しては、インキをイオン交換水で200倍に希釈して測定した
。また70℃の恒温器に保存し、経時促進させた後、経時前後でのインキの分散粒子径を評
価した。
◎:六週間保存後の粒径変化率が±50nm未満
○:四週間保存後の粘度変化率が±50nm未満
△:二週間保存後の粘度変化率が±50nm未満
×:一週間保存後の粘度変化率が±50nm以上
(ドット形成)
インキをインクジェットプリンター(エプソン社製「PM−750C」)のカートリッ
ジに詰めて、コート紙(王子製紙製OKトップコート+、米坪104.7g/m)およ

上質紙(日本製紙製NPI上質紙、米坪81.4g/m)に印刷した。印刷したサンプルを

ーペで観察し、ドット同士のつながりや滲み等、ドット形成について評価した。
◎:ドット同士のつながりがなく、滲み発生なし
〇:ドット同士のつながりが僅かにみられるが、滲み発生なし
△:ドット同士のつながりが僅かにみられ、若干滲みあり
×:ドット同士がつながっており、滲みも発生
(乾燥性評価)
武藤工業社製インクジェットプリンターVJ−1608HSJにて印刷パス数を変化さ
せ、PVCシートに印字率100%のベタ印刷を行った。それぞれの印刷物のモットリング
(むら)発生状況を観察し、乾燥性の評価を行った。評価基準は以下の通りとした。
◎:印刷パス数を4パスとして印刷した時にモットリングが発生しない
〇:印刷パス数を16パスとして印刷した時にモットリングが発生しない
△:印刷パス数を32パスとして印刷した時にモットリングが発生しない
×:印刷パス数を32パスとして印刷したときでもモットリングが発生する
評価の結果、実施例1〜19では1,2−アルカンジオールの含有量が10〜20重量
%で、炭素数10〜36のアルキル基を有する顔料分散樹脂を使用することによって発色性や
粘度、分散安定性、ドット形成、乾燥性が良好となることが見出された。また、顔料分散
樹脂の酸価の調整、芳香族基の導入、1,2−アルカンジオール量の最適化により更に高
い効果を得ることができている。
一方、比較例に関しては顔料分散樹脂が炭素数10〜36のアルキル基を有さない、もしく
は1,2−アルカンジオールの含有量が10〜20重量%の範囲外であることから、何れ
の性能も実施例と比べて低い結果となっている。
Figure 2015172201
Figure 2015172201

Claims (5)

  1. 水、1,2−アルカンジオール、顔料(ただし、有機化合物により顔料表面が処理された
    酸化チタンを除く)、及び、顔料分散樹脂を含有する水性インキ組成物であって、1,2
    −アルカンジオールの含有量がインキ組成物中10〜20重量%であり、前記顔料分散樹
    脂は炭素数10〜36のアルキル基を有することを特徴とする水性インキ組成物。
  2. 前記顔料分散樹脂の酸価が50〜400mgKOH/gであることを特徴とする請求項1記載の水性イ
    ンキ組成物。
  3. 1,2−アルカンジオールが炭素数5〜6のアルカンジオールである請求項1または2記載
    の水性インキ組成物。
  4. インクジェット用途であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の水性インキ組成
    物。
  5. 請求項1〜4いずれか記載の水性インキ組成物が、基材上に印刷されてなる印刷物。
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