JP2013230638A - インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物 - Google Patents

インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物 Download PDF

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Abstract

【課題】耐擦性に優れ、しかもノズルの目詰まりを低減でき、かつ保存安定性に優れるインク組成物、およびそれを用いたインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】色材と、熱変形温度が40℃以上である2種以上の樹脂粒子と、1気圧下相当での沸点が190℃以上250℃以下の2種以上のアルキルポリオールを15質量%以上25質量%以下の範囲で含有し、かつ、1気圧下相当での沸点が220℃以上250℃以下のアルキルポリオールの含有量が2%以上10%以下であり、1気圧下相当での沸点が240℃以上のピロリドン誘導体を実質的に含有しない、インク組成物を、被記録媒体に向けて吐出し付着させて画像を形成する画像形成工程と、前記被記録媒体を35〜100℃で加熱する加熱工程と、を含むインクジェット記録方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物に関する。
記録用ヘッドから吐出させた微小なインク滴によって画像や文字を記録するインクジェット記録方法は、従来、主に紙等のインク吸収性の被記録媒体表面への記録に利用されてきた。このようなインクジェット記録方法に用いられるインク組成物としては、各種の染料および/または顔料等の色材を高沸点有機溶剤および水の混合物に溶解ないし分散させたものが広く利用されている。かかる高沸点有機溶剤は、低揮発性および保水能力に優れていることから、インクジェット記録用ヘッドのノズルの乾燥防止に寄与している。
一方、紙等の吸水性の被記録媒体だけではなく、印刷本紙、合成紙、フィルム等のインク非吸収性または低吸収性の被記録媒体に対しても記録可能なインクジェット記録方法が求められ、さらに高速印刷を実現可能なインクジェット式記録方法が求められている。
例えば、特許文献1は、スチレン、ヘキシルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、及びメタクリル酸からなるモノマーを反応させて調製したラテックス粒子(平均粒子径230nm、ガラス転移温度−20℃〜+30℃)を4質量%と、6質量%の1,2−ヘキサンジオールと、6質量%の2−ピロリドンと、5質量%のジプロピレングリコールと、4質量%のジエチレングリコールと、0.5質量%の界面活性剤(フルオロアルキルポリエチレンオキシドアルコール類)と、2質量%のスチレンアクリルコポリマーでカプセル化されたカーボンブラック顔料と、水(残部)と、からなるインクジェットインク(計100質量%)を、サーマルインクジェット印刷ヘッドから非多孔質ビニル基材上に印刷する方法を開示している(特許文献1の実施例1〜3、段落0047)。
また、特許文献2は、非吸収性基材に記録するために、2.18質量%のマゼンタ顔料分散体と、1質量%の界面活性剤(SilwetL−7608)、10質量%のジエチレングリコール、5質量%のジプロピレングリコールメチルエーテル、3質量%の2−ピロリドン、2質量%のポリマーラテックス、および水を含有するインクが開示されている(特許文献2の段落0052)。
また、特許文献3は、着色剤及び樹脂からなる25℃で固体である固体成分の含有量を20%以上、25℃で液体である液体成分の含有量を20%以下、とした記録用インクが開示されている。具体的には、表面処理カーボンブラック分散体を6質量%、アクリルシリコーンエマルジョン(平均粒子径150nm、ガラス転移温度−15℃〜−6℃)を18%、5質量%の1,3−ブタンジオール、2質量%の2−ピロリドン、2質量%の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1質量%のフッ素系界面活性剤、0.1質量%のシリコーンエマルジョン系消泡剤、および微量成分と水からなるインクが開示されている(特許文献3の段落0215)。
特開2005−220352号公報 特開2004−114691号公報 特開2007−217671号公報
しかしながら、上記特許文献1〜特許文献3が開示するインクジェット記録用インク、もしくはインクジェット印刷方法により得られる記録物は、高沸点有機溶剤の含有量が多いため、インク非吸収性メディアに対する高速印刷において乾燥性や耐擦性が不十分であるという問題が生じる。
その一方で、高沸点有機溶剤を十分含有しないインク組成物では、インクジェット記録用ヘッドのノズルの乾燥を防止することができずノズルの目詰まりが生じやすくなる傾向があった。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、前記課題を解決することで、種々の被記録媒体に対して印刷可能なインクジェット記録方法を提供するものであり、すわなち、インク吸収性、インク低吸収性、さらにはインク非吸収性のいずれの被記録媒体上に記録した際においても、乾燥性や耐擦性に優れ、しかもノズルの目詰まりを低減できるインクジェット記録方法を提供するものである。
本願発明者は上記課題を解決するため鋭意検討したところ、以下の知見を得た。まず、インク吸収性、及び非吸収性又は低吸収性の被記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録方法において、高速印刷を実現するためには、当該被記録媒体上でのインクの乾燥速度を増大させる必要がある。乾燥速度を増大させる手段として、インクが付着した被記録媒体を加熱する温度を上げること、及びインクの材料として低揮発性かつ高沸点の溶剤の種類と含有量をコントロールすることが挙げられる。
特許文献1が開示する印刷方法において、例えば、16パスで記録するところを8パスと変更することにより印刷速度を上げた場合、非吸収性の被記録媒体、例えばポリプロピレンフィルム(PPフィルム)上でのインクの乾燥が遅くなるという問題が生じる。その結果、インクがPPフィルムに対して定着不良となり、得られる記録物が耐擦性に劣ることを見出した。また、特許文献2が開示するインクの場合、非吸収性の被記録媒体、例えばPPフィルム上のインクが十分乾燥しないという問題が生じる。その結果、インクがPPフィルムに対して定着不良となり、得られる記録物が耐擦性に劣ることを見出した。同様に、特許文献3が開示するインクの場合、非吸収性の被記録媒体、例えばPPフィルム上のインクが十分な耐擦性が得られないという問題が生じる。
そこで、本願発明者がさらに検討を重ねた結果、インク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体上でインクの乾燥が遅くなるという問題は、2−ピロリドン等の所定のピロリドン誘導体を実質的に使用しないこと、またはグリセリン等の沸点が280℃以上の溶剤を実質的に含有しないこと、によって解決できることを見出した。すなわち2−ピロリドン誘導体は沸点が比較的高く、インク非吸収性の被記録媒体上でのインクの乾燥性を低下させ、しかも、沸点が高いにもかかわらず、インクジェット記録用ヘッドのノズルの目詰まり防止効果が小さい。また、グリセリン等の沸点が280℃以上の溶剤は、ノズルの目詰まり防止には有効であるが、インク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体上で、インクが非常に乾燥し難くなる。そこで、本願発明者らは、沸点が190℃以上250℃以下のアルキルポリオールを含有し、かつ、沸点が220℃以上250℃以下のアルキルポリオールの含有量が2%以上10%以下にすることで、インク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体上でのインクの乾燥性と、ノズルの乾燥による目詰まり防止の両立という課題を、ある程度解決できることを見出した。さらに、十分な耐擦性を得るために、熱変形温度が40℃以上の樹脂を含有し、かつ、インク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体を35〜100℃で加熱することにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
色材と、熱変形温度が40℃以上である2種以上の樹脂粒子と、1気圧下相当での沸点が190℃以上250℃以下の2種以上のアルキルポリオールを10質量%以上25質量%以下の範囲で含有し、かつ、1気圧下相当での沸点が220℃以上250℃以下のアルキルポリオールの含有量が2質量%以上10質量%以下であり、1気圧下相当での沸点が240℃以上のピロリドン誘導体を実質的に含有しない、インク組成物を、被記録媒体に向けて吐出し付着させて画像を形成する画像形成工程と、前記被記録媒体を35〜100℃で加熱する加熱工程と、を含むことを特徴とする。
[適用例2]上記適用例に記載のインクジェット記録方法は、前記インク組成物はガラス転移温度が10℃以下の樹脂を実質的に含有しないことを特徴とする。
[適用例3]上記適用例に記載のインクジェット記録方法は、前記インク組成物は、1気圧下相当での沸点280℃以上のアルキルポリオールを実質的に含有しないことを特徴とする。
[適用例4]上記適用例に記載のインクジェット記録方法は、前記被記録媒体がインク非吸収又は低吸収性記録媒体であって、かつ、前記記録媒体に対する画像の記録速度が0.3m2/分以上であることを特徴とする。
[適用例5]上記適用例に記載のインクジェット記録方法は、下記(1)又は(2)の工程をさらに含むことを特徴とする。
(1)前記画像形成工程の前に行われ、前記インク組成物を付着させる被記録媒体の領域に向けて、背景用インク組成物を吐出し付着させて背景画像を形成する工程。
(2)前記画像形成工程の後に行われ、前記インク組成物が付着した被記録媒体の領域に向けて、背景用インク組成物を吐出し付着させて背景画像を形成する工程。
[適用例6]上記適用例に記載のインクジェット記録方法は、前記画像の少なくとも一部の領域における単位面積当たりの前記インク組成物の付着量は10mg/インチ2以上であることを特徴とする。
[適用例7]上記適用例に記載のインクジェット記録方法は、前記インク組成物が、ピロリドン誘導体を実質的に含有しないことを特徴とする。
[適用例8]本発明に係る記録装置の一態様は、上記インク組成物を用いて記録を行うことを特徴とする。
[適用例9]本発明に係る記録物の一態様は、上記インク組成物を用いて記録されたことを特徴とする。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.インク組成物
1.1.色材
本実施の形態に係るインク組成物は、色材を含んでなる。色材としては、染料または顔料が挙げられるが、耐水性、耐ガス性、耐光性等を有する観点から顔料であることが好ましい。
このような顔料としては、公知の無機顔料、有機顔料、カーボンブラックのいずれも用いることができる。これらの顔料は、インク組成物全量に対して0.5質量%以上20質量%以下の範囲で含まれることが好ましく、1質量%以上15質量%以下の範囲で含まれることがより好ましい。
無機顔料としては、特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、及び二酸化チタンが挙げられる。
上記のカーボンブラックとしては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、及びチャンネルブラック(C.I.ピグメントブラック7)が挙げられる。また、カーボンブラックの市販品として、例えば、No.2300、900、MCF88、No.20B、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上全て商品名、三菱化学株式会社製)、カラーブラックFW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリテックス35、U、V、140U、スペシャルブラック6、5、4A、4、250(以上全て商品名、エボニックデグサジャパン株式会社)、コンダクテックスSC、ラーベン1255、5750、5250、5000、3500、1255、700(以上全て商品名、コロンビアカーボン日本株式会社製)、リガール400R、330R、660R、モグルL、モナーク700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、エルフテックス12(以上全て商品名、キャボットジャパン株式会社製)が挙げられる。
無機顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機顔料としては、特に限定されないが、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料、及びアゾ系顔料が挙げられる。有機顔料の具体例としては、下記のものが挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、60、65、66、C.I.バットブルー4、60が挙げられる。中でも、C.I.ピ
グメントブルー15:3及び15:4のうち少なくともいずれかが好ましい。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、254、264、C.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。中でも、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、及びC.I.ピグメントバイオレット19からなる群から選択される一種以上が好ましい。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180、185、213が挙げられる。中でもC.I.ピグメントイエロー74、155、及び213からなる群から選択される一種以上が好ましい。
なお、グリーンインクやオレンジインク等、上記以外の色のインクに用いられる顔料としては、従来公知のものが挙げられる。
前記顔料をインク組成物に適用するためには、顔料が水中で安定的に分散保持できるようにする必要がある。その方法としては、後述する分散樹脂にて分散させる方法(以下、この方法により処理された顔料を「樹脂分散顔料」と記載する)、水溶性界面活性剤および/または水分散性界面活性剤の界面活性剤にて分散させる方法(以下、この方法により処理された顔料を「界面活性剤分散顔料」と記載する)、顔料粒子表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、前記の樹脂あるいは界面活性剤等の分散剤なしで水中に分散および/または溶解可能とする方法(以下、この方法により処理された顔料を「表面処理顔料」と記載する)等が挙げられる。本実施の形態に係るインク組成物は、樹脂分散顔料、界面活性剤分散顔料、表面処理顔料のいずれも用いることができ、必要に応じて複数種混合した形で用いることもできるが、少なくとも樹脂分散顔料を含有していることが好ましい。
前記分散樹脂または前記界面活性剤の顔料に対する添加量は、顔料100質量部に対して好ましくは1質量部〜100質量部であり、より好ましくは5質量部〜50質量部である。この範囲であることにより、顔料の水中への分散安定性が確保できる。
樹脂分散顔料、界面活性剤分散顔料、表面処理顔料を水中に分散させる方法としては、樹脂分散顔料については顔料と水と樹脂分散剤、界面活性剤分散顔料については顔料と水と界面活性剤、表面処理顔料については表面処理顔料と水、また各々に必要に応じて水溶性有機溶剤・中和剤等を加えて、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、オングミル等の従来用いられている分散機にて行なうことができる。この場合、顔料の粒子径としては、平均粒子径で20nm〜500nmの範囲になるまで、より好ましくは50nm〜200nmの範囲になるまで分散することが、顔料の水中での分散安定性を確保する点で好ましい。
ここで、本明細書における平均粒子径は、体積基準のものである。測定方法としては、例えば、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、日機装株式会社製のマイクロトラックUPA)が挙げられる。
色材として用いることができる染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。
当該染料として、以下に限定されないが、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
なお、色材は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、色材の含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、0.5〜10質量%であるとよい。
また、上記実施形態の記録方法が背景画像の形成工程をさらに含む場合に用いられる背景用インク組成物としては、例えば、優れた隠蔽性を付与する白色インク、光輝性を付与する金色や銀色のようなメタリックインク、及び前処理用や下地形成用のクリアインク等が挙げられる。これらのインクに用いられる色材は、上記の中から選択すればよい。
1.2.樹脂粒子
本実施の形態に係るインク組成物に関する特徴の他の一つは、インク組成物が40℃以上の熱変形温度を有する2種以上の樹脂粒子を含有する。なお、熱変形温度とは、ガラス転移温度(Tg)、最低造膜温度(MFT)、融点のいずれかを示す言葉である。
まず、インク組成物に含まれる樹脂粒子の熱変形温度が40℃以上であることにより、インクの定着性が良好となることから画像の耐擦性が良好なものとなる。上記熱変形温度は、インクの定着性がより良好となるため、40℃以上であることが好ましく、40〜150℃であることがより好ましく、50〜150℃がさらに好ましい。
また、熱変形温度が40℃以上の樹脂粒子がインク組成物に2種以上含まれることで、インクの定着性に優れることから画像の耐擦性が優れたものとなり、かつ目詰まり信頼性を確保することができる。インクの定着性に一層優れるため、また目詰まり信頼性を確保する為にインク組成物に含まれる全ての樹脂粒子の熱変形温度が40℃以上であることが好ましい。
上記の樹脂粒子としては、以下に限定されないが、例えば、後述する分散樹脂、樹脂エマルジョン、及びワックス(エマルジョン)が挙げられる。これらの中でも、インクの定着性が一層優れたものとなるため、2種以上の樹脂粒子の組み合わせとして、一種がワックス(エマルジョン)であり、他の一種がスチレン−アクリル酸共重合体系樹脂(エマルジョン)であると好ましい。なお、この好ましい組み合わせは、さらに他の種類の樹脂粒子が含まれることを制限するものではない。
一方で、インク組成物は、Tgが10℃以下の樹脂粒子を実質的に含有しないことが好ましい。これにより、画像の耐擦性が一層優れたものとなる。
なお、本明細書におけるガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に基づき、DSC曲線から求めることができる。
1.2.1.1.分散樹脂
本実施の形態に係るインク組成物は、分散樹脂を含んでいても良い。分散樹脂としては水溶性樹脂、水不溶性樹脂のいずれであっても良いが、水不溶性樹脂が好ましい。水不溶性樹脂の樹脂分散剤の構造は、特に限定されないが、好ましい例を挙げる。
1つめの例は、疎水性基をもつモノマーと親水性基を持つモノマーとのブロック共重合体樹脂からなり、少なくとも塩生成基をもつモノマーを含有しているものである。
疎水性基を持つモノマーは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n − ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n − アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n − ヘキシルメタクリレート、2 − エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類や酢酸ビニル等のビニルエステル類やアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類、スチレン、α − メチルスチレン、ビニルトルエン、4 − t− ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類などがあり、それぞれ単独あるいは2 種類以上を混合して用いることもできる。
親水性基を持つモノマーとしては、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、エチレングリコール・プロピレングリコールモノメタクリレートなどがあり、それぞれ単独あるいは2 種類以上を混合して用いることもできる。特に、ポリエチレングリコール(2〜30)モノメタクリレート、ポリエチレングリコール(1〜15)・プロピレングリコール(1〜15)モノメタクリレート、ポリプロピレングリコール(2〜30)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(2〜30) メタクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(2〜 30)メタクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合体)(1〜30)メタクリレートなどの分岐鎖を構成するモノマー成分を用いることによって、印刷画像の光沢性が向上する。
塩生成基をもつモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンカルボン酸、マレイン酸などがあり、それぞれ単独あるいは2種類以上を混合して用いることもできる。
さらに、片末端に重合成官能基を有するスチレン系マクロモノマー、シリコーン系マクロモノマーなどのマクロモノマーやその他のモノマーを併用することもできる。
2つめの例は、親水性構造単位(a)と疎水性構造単位(b)とを有する水不溶性樹脂である。親水性構造単位(a)は、親水性基含有のモノマーに由来するものであれば、特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものでも、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものでもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であっても、ノニオン性の親水性基であってもよい。
本発明における水不溶性樹脂は、解離性基を有するモノマー(解離性基含有モノマー)及び/又は非イオン性の親水性基を有するモノマーを用いて解離性基及び/又は非イオン性の親水性基を導入することができる。
前記解離性基は、乳化又は分散状態の安定性の観点から好ましい。解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の分散安定性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
前記親水性基含有モノマーとしては、解離性基含有モノマーが好ましく、解離性基とエチレン性不飽和結合とを有する解離性基含有モノマーがより好ましい。解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
疎水性構造単位(b)は、主鎖を形成する原子に連結基を介して結合された芳香環を有する構造単位を含むことが好ましい。このような芳香環を持つ構造単位では、芳香環が、連結基を介して水不溶性樹脂の主鎖をなす原子と結合され、水不溶性樹脂の主鎖をなす原子に直接結合しない構造を有するので、疎水性の芳香環と親水性構造単位との間に適切な距離が維持されるため、水不溶性樹脂と顔料との間で相互作用が生じやすく、強固に吸着して分散性がさらに向上する。
2つめの例のより詳細な好ましいモノマー種は特開2011−162692号公報に記載されている。
前記樹脂分散剤の分子量は、重量平均分子量として1,000〜200,000の範囲であることが好ましく、3,000〜150,000の範囲であることがより好ましい。分子量が前記範囲であることにより、顔料が水中で安定的に分散し、またインク組成物に適用した際の粘度制御等がしやすい。
また、酸価としては20程度以上の範囲であることが好ましく、50〜150の範囲であることがより好ましい。酸価がこの範囲であることにより、顔料粒子の水中での分散性が安定的に確保でき、またこれを用いたインク組成物にて記録された記録物の耐水性が良好となる。
さらに分散樹脂としては市販品を用いることもできる。詳しくは、ジョンクリル67(重量平均分子量:12,500、酸価:213、Tg:73℃)、ジョンクリル678(重量平均分子量:8,500、酸価:215、Tg:101℃)、ジョンクリル586(重量平均分子量:4,300、酸価:110、Tg:66℃)、ジョンクリル611(重量平均分子量:8,100、酸価:53、Tg:50℃)、ジョンクリル680(重量平均分子量:4,900、酸価:215)、ジョンクリル682(重量平均分子量:1,750、酸価:238、Tg:57℃)、ジョンクリル683(重量平均分子量:8,000、酸価:160、Tg:74℃)、ジョンクリル690(重量平均分子量:16,500、酸価:240、Tg:102℃)(以上商品名、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
分散樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、分散樹脂の含有量は特に制限されることなく、必要に応じて適宜決定すればよい。
1.2.2.樹脂エマルジョン
本実施形態のインク組成物は、樹脂エマルジョンを含んでもよい。樹脂エマルジョンは、被記録媒体が加熱される際、ワックス(エマルジョン)と共に樹脂被膜を形成することで、インク組成物を被記録媒体上に十分定着させて画像の耐擦性を良好にする効果を発揮する。そのため、樹脂エマルジョンは熱可塑性樹脂であることが好ましい。上記の効果により樹脂エマルジョンを含有するインク組成物を用いて記録された記録物は、インク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体上で耐擦性に優れたものとなる。
また、バインダーとして機能する樹脂エマルジョンはインク組成物中にエマルジョン状態で含有される。バインダーとして機能する樹脂をエマルジョン状態でインク組成物中に含有させることにより、インク組成物の粘度をインクジェット記録方式において適正な範囲に調整しやすく、かつ、インク組成物の保存安定性及び吐出安定性に優れたものとなる。
樹脂エマルジョンとしては、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、及び塩化ビニリデンの単独重合体又は共重合体、フッ素樹脂、及び天然樹脂が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂及びスチレン−(メタ)アクリル酸共重合体系樹脂のうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル系樹脂及びスチレン−アクリル酸共重合体系樹脂のうち少なくともいずれかがより好ましく、スチレン−アクリル酸共重合体系樹脂がさらに好ましい。なお、上記の共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体のうちいずれの形態であってもよい。
上記の樹脂エマルジョンとしては、公知の材料及び製造方法により得られるものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。当該市販品としては、以下に限定されないが、例えば、マイクロジェルE−1002、マイクロジェルE−5002(以上商品名、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001、ボンコート5454(以上商品名、DIC株式会社製)、SAE1014(商品名、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(商品名、サイデン化学株式会社製)、ジョンクリル390、ジョンクリル711、ジョンクリル511、ジョンクリル7001、ジョンクリル632、ジョンクリル741、ジョンクリル450、ジョンクリル840、ジョンクリル74J、ジョンクリルHRC−1645J、ジョンクリル734、ジョンクリル852、ジョンクリル7600、ジョンクリル775、ジョンクリル537J、ジョンクリル1535、ジョンクリルPDX−7630A、ジョンクリル352J、ジョンクリル352D、ジョンクリルPDX−7145、ジョンクリル538J、ジョンクリル7640、ジョンクリル7641、ジョンクリル631、ジョンクリル790、ジョンクリル780、ジョンクリル7610(以上商品名、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
樹脂エマルジョンとしては、酢酸ビニル系ポリマーやウレタン系ポリマーを用いることもでき、公知の材料・方法で得られるものを用いることもできる。さらにまた、市販品を用いることもでき、たとえば、酢酸ビニル系ポリマー粒子としては、ポリゾール S−5、S−6、S−5500(以上商品名、昭和高分子株式会社製)、ボンド CH2、CH3、CH5、CH7、CH18(以上商品名、コニシ株式会社製)などの酢酸ビニル系重合体ポリマー粒子、またはパンフレックス OM−4000、OM−4200(以上商品名、クラレ株式会社製)、スミカフレックス201HQ、305HQ、355HQ、400HQ、401HQ、408HQ、410HQ、450HQ、455HQ、456HQ、460HQ、465HQ、467HQ、470HQ、510HQ、520HQ、752、755(以上商品名、住友化学工業株式会社製)、デンカEVAテックス50、55N、59、60、65、70、75、80、81、82、88、90、100、170(以上商品名、電気化学工業株式会社製)、ケミパールV100、V200、V300、EV210H、(以上商品名、三井化学株式会社製)、ビニブラン3302、1570、1570J、1570K、1570L、1540K、1540L、A20J2、A23J1、A23J2、A34G2、A68J1、4495LL、A23P2E、A68J1N、A70J9、B90J9、TLE−383、4018、A22J7−F2、A22J8、1157、1502B改、1588C、1588CL、1588C改、1588FD、1080、1087、1090B、1571、A22J7−F2、4470、4485LL、4495LL、1042F、1008、GV−6170、GV−6181、1002、1017−AD、KM−01、1225、1245L(以上商品名、日信化学工業株式会社製)などのエチレン−酢酸ビニル系共重合体ポリマー粒子、またはスミカフレックス900HL、950HQ、951HQ(以上商品名、住友化学工業株式会社製)などのエチレン・酢酸ビニル・(メタ)アクリル酸類系共重合体ポリマー粒子、または;スミカフレックス850HQ(商品名、住友化学工業株式会社製)などのエチレン・酢酸ビニル・塩化ビニル系共重合体ポリマー粒子等、市販の酢酸ビニル系重合体ポリマー粒子が挙げられる。特に、酢酸ビニルモノマーに8〜35重量%程度のエチレンモノマーを混和し高圧下で乳化重合させ、エマルジョン化したエチレン−酢酸ビニル系ポリマー粒子が好ましく、酢酸ビニル樹脂単体よりも耐水性・耐候性・耐アルカリ性に優れ、また、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムに対する接着性や、耐擦性も向上する。上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、メディアの密着性、耐擦性、耐水性等の面から、酢酸ビニル含量が8〜35重量%、特には、12〜30重量%のものが好ましい。
ウレタン系樹脂としては、タケラックW−6021、W−5030、W−6061、WS−5000(以上商品名、三井化学株式会社製)、レザミンD−1060、D−2020、D−4080、D−4200、D−6300、D−6455(以上商品名、大日精化工業株式会社製)、スーパーフレックス90、スーパーフレックス107M、スーパーフレックス110、スーパーフレックス130、スーパーフレックス150、スーパーフレックス300、スーパーフレックス410、スーパーフレックス700、スーパーフレックス820(以上商品名、第一工業製薬株式会社製)が挙げられ、特に、熱変形温度が40℃以上のものが好ましい。
上記の樹脂エマルジョンの合成方法を以下に示す。但し、特に限定されることはなくいずれの方法で合成してもよく、必要に応じて複数の方法を組み合わせてもよい。その方法としては、所望のポリマー粒子を構成する成分の単量体中に重合触媒(重合開始剤)と分散剤とを混合して重合(すなわち乳化重合)する方法、親水性部分を持つポリマーを水溶性有機溶剤に溶解させその溶液を水中に混合した後に水溶性有機溶剤を蒸留等で除去することで粒子を得る方法、ポリマーを非水溶性有機溶剤に溶解させその溶液を分散剤と共に水溶液中に混合して粒子を得る方法等が挙げられる。上記の方法は、用いるポリマーの種類・特性に応じて適宜選択することができる。ポリマーを微粒子状態に分散する際に用いることのできる分散剤としては、特に制限はないが、アニオン性界面活性剤(たとえばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ラウリルリン酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩等)、ノニオン性界面活性剤(たとえばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル)が挙げられ、これらを単独あるいは二種以上を混合して用いることができる。
樹脂エマルジョンの平均粒子径は、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層良好にするため、好ましくは5nm〜400nmの範囲であり、より好ましくは20nm〜300nmの範囲である。
樹脂エマルジョンの含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、0.5〜7質量%の範囲であることが好ましい。含有量が上記範囲内であると、固形分濃度を低くすることができるため、吐出安定性を一層良好にすることができる。
1.2.3.ワックス
本実施形態のインク組成物は、ワックスを含有することが好ましい。さらに言えば、インク組成物に含まれる熱変形温度40℃以上である2種以上の樹脂粒子のうち、一種がワックスであるとより好ましい。インク組成物がワックスを含有することにより、インク吸収性、又は、非吸収性及び低吸収性の被記録媒体上でのインク組成物の定着性が一層優れたものとなる。ワックスの中でもエマルジョンタイプのものがより好ましい。上記ワックスとしては、以下に限定されないが、例えば、ポリエチレンワックスエマルジョン、パラフィンワックスエマルジョン、及びポリオレフィンワックスが挙げられる。中でも、耐擦性に優れるため、ポリエチレンワックスエマルジョン及びパラフィンワックスエマルジョンのうち少なくともいずれかが好ましい。
なお、本明細書における「ワックスエマルジョン」とは、主に、界面活性剤を使用して、固体ワックス粒子を水中に分散させたものを意味する。
1.2.3.1.パラフィンワックスエマルジョン
上記インク組成物がパラフィンワックスエマルジョンを含むことにより記録物にスリップ性能が付与され、これにより当該インクは耐擦性に優れたものとなる。なお、パラフィンワックスは、撥水性を有するため、記録物の耐水性を良好なものとすることができる。
本明細書における「パラフィンワックス」とは、いわゆる石油系ワックスを意味し、炭素数20〜30程度の直鎖状のパラフィン系炭化水素(ノルマル・パラフィン)を主成分とし、少量のイソ(iso)・パラフィンを含む重量平均分子量300〜500程度の炭化水素の混合物を意味する。
インク組成物がパラフィンワックスをエマルジョン状態で含有することにより、インクの粘度をインクジェット記録方式において適正な範囲に調整しやすく、かつ、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層優れたものとすることができる。
パラフィンワックスエマルジョンの融点は、記録物の被膜を一層強固にし、かつ画像の耐擦性を一層良好にするため、110℃以下であることが好ましい。一方で、パラフィンワックスエマルジョンの融点の下限は、被記録面が乾燥してべたつくことを防止するため、60℃以上が好ましい。さらに上記融点は、インクの吐出安定性を一層良好にするため、70〜95℃がより好ましい。
パラフィンワックスエマルジョンの平均粒子径は、安定的なエマルジョン状態とし、かつ、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層良好にするため、好ましくは5nm〜400nmの範囲であり、より好ましくは50nm〜200nmの範囲である。パラフィンワックスエマルジョンとしては、市販品をそのまま利用してもよい。当該市販品としては、以下に限定されないが、例えば、AQUACER537、AQUACER539(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)が挙げられる。
パラフィンワックスエマルジョンの含有量(固形分換算)は、インクの総質量(100質量%)に対して、0.1〜3質量%の範囲が好ましく、0.3〜2質量%の範囲がより好ましく、0.3〜1.5質量%の範囲がさらに好ましい。含有量が上記範囲内であると、インク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体上に、耐擦性、耐ブロッキング性、及び耐水性に一層優れた画像を形成することができ、かつ、目詰まり防止に優れたインクとすることができる。
1.2.3.2.ポリエチレンワックスエマルジョン
上記インク組成物がポリエチレンワックスエマルジョンを含むことにより、インクの耐擦性を優れたものとすることができる。
ポリエチレンワックスエマルジョンの製造方法を例示すると、エチレンを重合して製造したり、あるいは一般成形用のポリエチレンを熱分解により低分子量化して製造したりすることでポリエチレンワックスを作製する。そして、このポリエチレンワックスを酸化してカルボキシル基や水酸基を付加し、さらに界面活性剤を使用して乳化して、安定性に優れた水性ワックスエマルジョンの形態で、ポリエチレンワックスエマルジョンが得られる。
ポリエチレンワックスエマルジョンとしては、市販品をそのまま利用してもよい。当該市販品としては、以下に限定されないが、例えば、ノプコートPEM17(商品名、サンノプコ株式会社製)、ケミパールW4005(商品名、三井化学株式会社製)、AQUACER507、AQUACER515、AQUACER539(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)が挙げられる。
ポリエチレンワックスエマルジョンの平均粒子径は、インクの保存安定性及び吐出安定性を一層良好にするため、好ましくは5nm〜400nmの範囲であり、より好ましくは50nm〜200nmの範囲である。
ポリエチレンワックスエマルジョンの含有量(固形分換算)は、互いに独立して、インクの総質量(100質量%)に対して、0.1〜3質量%の範囲が好ましく、0.3〜2質量%の範囲がより好ましく、0.3〜1.5質量%の範囲がさらに好ましい。含有量が上記範囲内であると、インク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体上においても、インクを良好に固化・定着させることができ、かつ、インクの保存安定性及び目詰まり信頼性や吐出安定性が一層優れたものとなる。
1.3.アルキルポリオール類
本実施の形態に係るインク組成物は、1気圧相当下での沸点が190〜250℃の範囲内であるアルキルポリオール類を含んでなることが好ましい。本実施の形態に係るインク組成物は、前述の沸点範囲を満たすアルキルポリオール類を含むことで、被記録媒体種の影響をあまり受けずに、インク組成物の濡れ性、浸透性、乾燥性を制御することできる。これにより、種々の被記録媒体に対して定着性に優れた画像を記録することができると共に、インクジェット記録用ヘッドのノズルの目詰まりを低減させることができる。
また、本実施の形態に係るインク組成物中の前記アルキルポリオール類は、前述のデービス法により算出されたHLB値が5.0〜7.8の範囲内であるグリコールエーテル類のインクビヒクル中への可溶化剤という特性をも有する。
なお、本明細書における1気圧下相当での沸点は、熱分析装置を用いて測定することができる。
上記の沸点が190℃以上250℃以下のアルキルポリオールとしては、以下に限定されないが、例えば、1,2−ブタンジオール(沸点194℃)、エチレングリコール(沸点196℃)、1,2−エタンジオール(沸点197℃)、1,2−プロパンジオール(沸点188℃)、2−メチルペンタン−2,4−ジオール(沸点197℃)、ジブチレングリコール(沸点202℃)、1,3−ブチレングリコール(沸点207℃)1,3−ブタンジオール(沸点208℃)、1,2−ペンタンジオール(沸点210℃)、1,3−プロパンジオール(沸点210℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(沸点203℃)、2−メチル−1,3−プロパンジオール(沸点214℃)、及び2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(沸点210℃)、1,2−ヘキサンジオール(沸点223℃)、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール(沸点226℃)、1,2−ヘプタンジオール(沸点227℃)、1,4−ブタンジオール(沸点230℃)、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール(沸点230℃)、ジプロピレングリコール(沸点230℃)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(沸点244℃)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(249℃)、及び1,6−ヘキサンジオール(沸点250℃)が挙げられる。
上述された溶剤の中でも、1,2−ブタンジオール(沸点194℃)、1,3−ブタンジオール(沸点208℃)、1,2−ペンタンジオール(沸点210℃)、1,2−ヘキサンジオール(沸点223℃)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール(249℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(沸点203℃)が、保湿性、乾燥性等の観点から特に好ましい。
一方、インク組成物は、1気圧下相当での沸点が280℃以上のアルキルポリオール類を実質的に含まないことが好ましい。1気圧下相当での沸点が280℃以上のアルキルポリオール類を含むことにより、インク組成物の乾燥性が悪くなる傾向にある。その結果、種々の被記録媒体、特にインク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体において、画像の滲みが目立つだけでなく、インクが十分定着しないことに起因して画像の耐擦性にも劣る。例えば、1気圧下での沸点が280℃以上のアルキルポリオール類としては、1気圧下での沸点が290℃のグリセリン等が挙げられる。
本実施の形態に係るインク組成物は、1気圧下での沸点が190〜250℃の範囲内のポリオール類を少なくとも10質量%以上25質量%以下で含有することが好ましく、特に1気圧下での沸点が220〜250℃の範囲内のアルキルポリオールが2質量%以上10質量%以下であることが好ましい。また、より好ましくは1気圧下での沸点が220〜250℃の範囲内のアルキルポリオールの含有量が、1気圧下での沸点が190〜250℃の範囲内のポリオール類の総量の半分以下であることが好ましい。さらにより好ましくは1気圧下での沸点が190〜250℃の範囲内のポリオール類を12質量%以上18質量%以下で含有することが好ましく、さらにより好ましくは、沸点が230〜250℃の範囲内のアルキルポリオールの含有量が2質量%以上4質量%以下である。
またインク組成物に含まれるアルキルポリオール類の1気圧下での沸点が190℃未満であるとインク組成物の乾燥性が高まることにより、インクジェット記録用ヘッドのノズルの目詰まりが発生する場合がある。1気圧下での沸点が250℃より大きくなると、インク組成物の乾燥性が低下することで、画像の濃淡ムラが目立ち、画像の定着性が低下する場合がある。
前記アルキルポリオール類の含有量が、10質量%未満であると、インク組成物の乾燥性が高まることで、インクジェット記録用ヘッドのノズルの目詰まりが発生する場合がある。一方、25質量%よりも大きくなると、インク組成物の乾燥性が低下することで、画像の濃淡ムラが目立ち、画像の定着性が低下する場合がある。加えて、インク組成物の粘度をインクジェット記録方式に適した範囲に調整し難くなり、結果として、吐出量が低下したり、安定した吐出性が得られなくなる。
1.4.グリコールエーテル類
本実施の形態に係るインク組成物は、デービス法により算出されたHLB値が5.0〜8.0の範囲内であるグリコールエーテル類を含んでなる。本実施の形態に係るインク組成物は、前述のHLB値範囲を満たすグリコールエーテル類を含むことで、被記録媒体種の影響をあまり受けずに濡れ性・浸透速度を制御することできる。これにより、種々の被記録媒体、特にインク非吸収性または低吸収性の被記録媒体に対して濃淡ムラが少ない鮮明な画像を記録することができる。
ここで、本実施の形態において用いられるグリコールエーテル類のHLB値は、デービスらが提唱した化合物の親水性を評価する値であり、たとえば文献「J.T.Davies and E.K.Rideal,“Interface Phenomena”2nd ed.Academic Press,New York 1963」中で定義されているデービス法により求められる数値で、下記の式(1)によって算出される値をいう。
HLB値=7+Σ[1]+Σ[2] ・・・・・(1)
(但し、[1]は親水基の基数を表し、[2]は疎水基の基数を表す。)
下記の表1に、代表的な親水基および疎水基の基数を例示する。
Figure 2013230638
本実施の形態に係るインク組成物に含まれるグリコールエーテル類は、デービス法により算出されたHLB値が5.0〜7.8の範囲内であり、5.8〜7.8の範囲内であることが好ましい。HLB値が5.0未満であるとグリコールエーテル類の疎水性が高まり、主溶媒である水との親和性が低下してインクの保存安定性が低下する場合がある。HLB値が8.0より大きくなると、被記録媒体への濡れ性・浸透性の効果が減少し、画像の濃淡ムラが目立つ場合がある。特に、疎水表面であるインク非吸収性または低吸収性記録媒体への濡れ性の効果は顕著に低下する傾向がある。
このようなグリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノイソオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独または2種以上を混合して使用することができる。
前記例示したグリコールエーテル類の中でも、そのグリコールエーテル類中に含まれるアルキル基が分岐構造を有することがより好ましい。アルキル基が分岐構造を有するグリコールエーテル類を含有することで、特にインク非吸収性または低吸収性の被記録媒体に対して濃淡ムラが少ない鮮明な画像を記録することができる。具体的には、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘキシルエーテル、エチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソヘプチルエーテル、エチレングリコールモノイソオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、トリエチレングリコールモノイソオクチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル等が挙げられる。
前記グリコールエーテル類中に含まれるアルキル基の分岐構造の中でも、発色性をさらに高める観点から、2−メチルペンチル基、2−エチルペンチル基、2−エチルヘキシル基がさらに好ましく、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。具体的には、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルペンチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−メチルペンチルエーテル等が挙げられ、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル等が特に好ましい。
前記グリコールエーテル類の含有量は、被記録媒体への濡れ性及び浸透性を良好にして濃淡ムラを低減させたり、インクの保存安定性及び吐出信頼性を良好にしたりするため、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、0.05〜6質量%が好ましい。当該含有量が0.05質量%以上であると、インク組成物の濡れ性、浸透性、及び乾燥性が良好となって鮮明な画像が得られ、また印刷濃度(発色性)も良好となる。また、当該含有量が6質量%以下であると、インクが低粘度化してヘッドの目詰まり安定性に優れ、かつ、インク組成物中で完全に溶解するため保存安定性が良好となる。グリコールエーテル類の中でも難水溶性のものが効果的であり、その含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対して、0.1〜2質量%がより好ましい。
また、本実施の形態に係るインク組成物中の前記アルキルポリオール類は、デービス法により算出されたHLB値が5.0〜7.8の範囲内であるグリコールエーテル類のインクビヒクル中への可溶化剤という特性を有する。
1.5.界面活性剤
本実施の形態に係るインク組成物は、界面活性剤を含んでもよい。インク組成物に界面活性剤を含有させることにより、被記録媒体上に均一に濡れ拡がる作用が付与される。これにより、濃淡ムラが少ない鮮明な画像を記録することが可能となる。
このような効果を有する界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤であることが好ましい。このようなノニオン系界面活性剤としては、以下に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系、シリコーン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル系、多環フェニルエーテル系、ソルビタン誘導体、及びフッ素系の界面活性剤が挙げられ、中でもアセチレングリコール系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤のうち少なくともいずれかが好ましい。
1.5.1.アセチレングリコール系界面活性剤
アセチレングリコール系界面活性剤は、他のノニオン系界面活性剤と比較して、表面張力及び界面張力を適正に保持する能力に優れており、かつ、起泡を殆ど生じさせない。これにより、アセチレングリコール系界面活性剤を含有するインクは、ヘッドのノズル面等のインクと接触するプリンター部材との界面張力と、表面張力と、を適正に保持することができる。そのため、アセチレングリコール系界面活性剤を含有するインクをインクジェット記録方式に用いることにより、吐出安定性を良好にすることができる。さらに、他の起泡しやすい界面活性剤と組み合わせて使用することで、起泡し難くしたり、一旦発生した泡を消泡することができる。さらにまた、アセチレングリコール系界面活性剤は被記録媒体に対して良好な親和性(濡れ性)及び浸透性を示すため、これを含むインク組成物を用いて記録された画像は滲みの殆ど無い高精細なものとなる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、(以上全て商品名、エアープロダクツジャパン株式会社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3、DF110D(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、インクの保存安定性及び吐出安定性が一層良好なものとなるため、0.1質量%以上3質量%以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.2質量%以上1質量%以下である。
1.5.2.シリコーン系界面活性剤
シリコーン系界面活性剤は、他のノニオン系界面活性剤と比較して、被記録媒体上で滲みを生じないようにインクを均一に拡げる作用に優れる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物が好ましく挙げられる。当該ポリシロキサン系化合物としては、特に限定されないが、例えばポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。当該ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348、BYK−349(以上商品名、BYK社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業株式会社製)、オルフィンPD−501、オルフィンPD−502、オルフィンPD−570(以上商品名、日信化学工業株式会社製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
シリコーン系界面活性剤の含有量は、インクの保存安定性及び吐出安定性が一層良好なものとなるため、インクの総質量(100質量%)に対して、0.01質量%以上3質量%以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上2質量%以下である。
シリコーン系界面活性剤は起泡し易い為、前述のアセチレングリコール系界面活性剤と組み合わせて使用することで、インクとして泡切れを良くすることができる。
1.6.その他の添加剤
本実施の形態に係るインク組成物には、さらにその特性を向上させる観点から、以上に述べた構成成分の他に、必要に応じて浸透溶剤、保湿剤、防腐・防かび剤、pH調整剤、キレート化剤等を添加することができる。
1.7.水
本実施形態のインク組成物は、水を含有してもよい。特に、当該インクが水性インクである場合、水は、インクの主となる媒体であり、インクジェット記録において被記録媒体が加熱される際、蒸発飛散する成分となる。
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のような、イオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加などによって滅菌した水を用いると、顔料分散液及びこれを用いたインクを長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。
1.8.インク組成物の物性
インク組成物のpHは、中性ないしアルカリ性であることが好ましく、7.0〜10.0の範囲内であることがより好ましい。pHが酸性であると、インク組成物の保存安定性および分散安定性が損なわれることがある。また、インクジェット記録装置内のインク流路に用いられている金属部品の腐食等の不具合が発生しやすくなる。pHは、前述したpH調整剤を用いて中性ないしアルカリ性に調整することができる。
インク組成物の粘度は、20℃において1.5mPa・s〜15mPa・sの範囲であることが好ましく、2.0mPa・s〜10mPa・sであることがより好ましい。この範囲内であれば、後述する第1工程においてインクの吐出安定性を確保することができる。
インク組成物の表面張力は、25℃において15mN/m〜40mN/mであることが好ましく、20mN/m〜30mN/mであることがより好ましい。この範囲内であれば、後述する第1工程においてインクの吐出安定性を確保することができ、インク非吸収性または低吸収性の被記録媒体に対する適正な濡れ性を確保することができる。
1.9.インク組成物の製造方法
本実施の形態に係るインク組成物は、前述した材料を任意な順序で混合し、必要に応じて濾過等をして不純物を除去することにより得られる。ここで、色材は、あらかじめ水性媒体中に均一に分散させた状態に調製した上で混合した方が、取り扱いの簡便さ等から好ましい。
各材料の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合する方法が好適に用いられる。濾過方法としては、遠心濾過、フィルター濾過等を必要に応じて行なうことができる。
2.インクジェット記録方法
本発明の一実施形態は、インクジェット記録方法(以下、単に「記録方法」ともいう。)に係る。当該記録方法は、色材と、熱変形温度が40℃以上の2種以上の樹脂粒子と、沸点が190℃以上250℃以下の2種のアルキルポリオールを10質量%以上25質量以下で含有し、かつ、1気圧下相当での沸点が220℃以上250℃以下のアルキルポリオールの含有量が2%以上10%以下であり、所定のピロリドン誘導体を実質的に含有しないインク組成物(以下、「所定のインク組成物」ともいう。)を用いるものである。
そして、当該記録方法は、所定の被記録媒体の被記録面に所定のインク組成物の画像を形成する画像形成工程と、上記被記録媒体を35〜100℃で加熱する加熱工程と、を含むものである。
以下、本実施形態の記録方法の一例を工程ごとに詳細に説明する。
2.1.画像形成工程
本実施形態の記録方法は画像形成工程を含む。当該画像形成工程は、インクジェット方式で、インク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体に向けて、所定のインク組成物を吐出し付着(着弾)させて、画像、即ちインク塗膜を形成するものである。
インクジェット記録ヘッドは、前述したインク組成物を微細なノズルより液滴として吐出して該液滴を被記録媒体に付着させる方式であれば、いかなる方法も使用することができる。インクジェット記録ヘッドの方式として、たとえば以下の4つの方式が挙げられる。
第1の方式は、静電吸引方式と呼ばれるもので、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式、あるいはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式である。
第2の方式は、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式である。噴射したインク滴は噴射と同時に帯電させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。
第3の方式は、圧電素子を用いる方式であり、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射・記録させる方式である。
第4の方式は、熱エネルギーの作用によりインク液を急激に体積膨張させる方式であり、インク液を印刷情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射・記録させる方式である。
吐出される所定のインク組成物の粘度は、1〜8mPa・sであることが好ましい。インクの粘度が上記の範囲内であれば、吐出安定性が良好であるため、吐出する際のインクは加熱しなくてもよい。吐出する際のインクの温度は20〜40℃であることが好ましい。一方、インクを所定の温度で加熱することにより、粘度を上記範囲としてからインクを吐出させてもよい。
画像形成条件、即ち印刷条件について言えば、印刷解像度は、印刷速度を増大することができ、かつ、ブリーディング(滲み)や凝集ムラのない高画質な画像形成を実現できるため、360dpi×360dpi〜2,880dpi×2,880dpiであることが好ましい。また、画像の形成速度、即ち印刷速度は、耐擦性、発色性、及び耐ブリード性に優れるため、0.3m2/分以上であることが好ましく、0.3〜2.0m2/分以上であることがより好ましい。また、画像の少なくとも一部の領域における単位面積当たりのインク組成物の付着量は、発色性に優れるため、7mg/インチ2以上であることが好ましく、7〜30mg/インチ2であることがより好ましい。
なお、本明細書における「単位面積当たりのインク組成物の付着量」は、画像の少なくとも一部の領域において上記の好ましい範囲であればよく、画像における任意の2か所における当該付着量の平均値が上記の好ましい範囲であることが好ましく、画像全体の当該付着量の平均値が上記の好ましい範囲であることがより好ましい。
被記録媒体としては、所望に応じてどのようなものを用いてもよい。その中でも、本実施の形態に係るインクジェット記録装置では、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体を好適に用いることができる。なお、本明細書において「インク非吸収性及び低吸収性の記録媒体」とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体」を示す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
インク非吸収性の記録媒体としては、たとえばインクジェット印刷用に表面処理をしていない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。インク低吸収性の記録媒体として、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられる。
2.2.加熱工程
本実施形態の記録方法は加熱工程を含む。当該加熱工程は、インク非吸収性及び低吸収性の被記録媒体を35〜100℃で加熱するものである。換言すれば、本工程は、被記録媒体上に吐出されて付着したインク(画像)を乾燥するものである。本工程により、被記録媒体上に吐出されたインク中に含まれる液媒体が速やかに蒸発飛散して、所定のインク組成物中に含まれる樹脂粒子によって被膜が形成される。これにより、被記録媒体上においてインクの乾燥物が強固に定着(接着)した、耐擦性及び耐ブリード性に優れた高画質な画像を短時間で得ることができる。
なお、本明細書において、被記録媒体を加熱する場合の加熱温度は、被記録媒体、より詳しくはその被記録面における温度を指す。当該加熱温度は、赤外線サーモグラフィ装置 H2640/H2630(NEC Avio赤外線テクノロジー株式会社製)を用いたサーモグラフで測定することができる。
ここで、加熱される被記録媒体は、所定のインク組成物が吐出される前、途中、及び後のいずれの被記録媒体をも包含する。より詳しく言えば、被記録媒体に付着したインクを迅速に乾燥し定着させる目的で、上記の加熱工程を行う。したがって、上記の目的を達成できる限り、吐出前、吐出中、及び吐出後のうち少なくともいずれかのタイミングで被記録媒体を加熱すればよい。
吐出前の加熱としては、以下に限定されないが、例えば、加熱手段を搬送方向の上流側に設けて、被記録媒体を予め加熱しておくことが挙げられる。この場合、インクが付着するときの被記録媒体の被記録面の温度が35〜60℃程度であるとよい。
吐出中の加熱としては、以下に限定されないが、例えば、ヘッドから被記録媒体に向けてインクが吐出される領域の下方(搬送面から見て被記録媒体の反対側)に加熱手段を設け、インクの吐出及び着弾(付着)と被記録媒体の加熱とを同時に行うことが挙げられる。また、ヘッドから見て被記録媒体と反対側(ヘッドの上方)に加熱手段を設けて被記録媒体を加熱してもよい。
吐出後の加熱としては、以下に限定されないが、例えば、加熱手段を搬送方向の下流側に設けて、インクが付着した被記録媒体を加熱することが挙げられる。
これまで説明してきた加熱手段の具体例としては、被記録媒体の搬送面より下方(搬送面から見て被記録媒体の反対側)にプラテンヒーターを設けて、被記録面と反対側から被記録媒体を加熱する手段、搬送途中に被記録媒体を潜らせる加熱室又は恒温槽を設けて、被記録媒体を様々な方向から加熱する手段、及び被記録媒体の搬送面より上方にヒーターを設けて、被記録面の側から被記録媒体を加熱する手段などが挙げられる。また、プラテンヒーターを含むヒーター、加熱室、及び恒温槽の種類としては、以下に限定されないが、例えば、温風ヒーター、熱風ヒーター、及び赤外線ヒーターが挙げられる。
また、加熱条件について言えば、加熱温度は35〜100℃である。加熱温度が35℃以上であると、インク中の液媒体の蒸発飛散を効果的に促進することができ、インクの乾燥性(速乾性)が優れたものとなる。一方、加熱温度が100℃以下であると、インク非吸収性及び低吸収性の被記録媒体の変形を防止したり、被記録媒体の加熱冷却の際に画像の収縮などを防止したりすることができる。また、上記の効果が一層大きくなるため、加熱温度の下限は、好ましくは40℃以上、より好ましくは60℃以上である一方、加熱温度の上限は、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下である。
本発明の記録方法では、2−ピロリドン(沸点245℃)等、高沸点であり1気圧下相当での沸点240℃以上のピロリドン誘導体を実質的に含有しない。そのため、被記録媒体を変形させたり画像を収縮させたりしない程度の加熱温度であっても、所定のインク組成物は速乾性に優れる。その結果、画像の耐擦性及び耐ブリード性が優れたものとなる。また、加熱時間は、所定のインク組成物が十分乾燥する限り特に限定されないが、例えば10秒間〜2分間であるとよい。
2.3.背景画像の形成工程
本実施形態の記録方法は、複数種のインクを順に塗り重ねる印刷手法を意味する重ね塗り印刷を行う場合、下記(1)の工程又は(2)の工程(以下、それぞれ「工程(1)」及び「工程(2)」ともいう。)をさらに含むことが好ましい。
なお、以下では、背景画像と用語を区別するため、上述の画像形成工程により形成される画像を「前景画像」と称する場合もある。
工程(1)は、上述の画像形成工程、即ち前景画像の形成工程の前に行われ、所定のインク組成物を付着させる被記録媒体の領域に向けて、背景用インク組成物を吐出し付着させて背景画像を形成するものである。工程(1)が本実施形態に含まれる場合、記録方法は、当該工程(1)、前景画像の形成工程、上述の加熱工程の順に行われる。この場合、得られる記録物は、被記録媒体上に背景画像、前景画像がこの順に重なっているため、画像が形成された側から前景画像を見るのに適している。
また、工程(1)が本実施形態に含まれる場合、当該工程(1)と前景画像の形成工程との間に、加熱工程をさらに含むことがより好ましい。これにより、背景画像及び前景画像の間で滲みが生じる(ブリードする)のを効果的に防止することができる。当該工程(1)、及びさらに含まれ得る加熱工程の詳細については、それぞれ上述の前景画像の形成工程及び上述の加熱工程で説明した事項が適用できるため、ここでの説明を省略する。なお、上述の前景画像の形成工程及び工程(1)における画像形成条件は、互いに独立して決定され、かつ、上述の加熱工程及びさらに含まれ得る加熱工程における加熱条件も、互いに独立して決定されるものである。
一方、工程(2)は、上述の画像形成工程、即ち前景画像の形成工程の後に行われ、所定のインク組成物が付着した被記録媒体の領域に向けて、背景用インク組成物を吐出し付着させて背景画像を形成するものである。工程(2)が本実施形態に含まれる場合、記録方法は、前景画像の形成工程、当該工程(2)、及び上述の加熱工程の順に行われるか、又は前景画像の形成工程、上述の加熱工程、及び当該工程(2)の順に行われる。これらの場合、得られる記録物は、被記録媒体上に前景画像、背景画像がこの順に重なっているため、被記録媒体側から前景画像を見るのに適している。したがって、当該被記録媒体は、被記録媒体側から前景画像を視認可能な、透明又は半透明のものである。
また、工程(2)が本実施形態に含まれる場合であって、記録方法が前景画像の形成工程、当該工程(2)、及び上述の加熱工程の順に行われる場合、前景画像の形成工程と当該工程(2)との間に、加熱工程をさらに含むことがより好ましい。これにより、前景画像及び背景画像の間で滲みが生じる(ブリードする)のを効果的に防止することができる。当該工程(2)、及びさらに含まれ得る加熱工程の詳細については、それぞれ上述の前景画像の形成工程及び上述の加熱工程で説明した事項が適用できるため、ここでの説明を省略する。なお、上述の前景画像の形成工程及び工程(2)における画像形成条件は、互いに独立して決定され、かつ、上述の加熱工程及びさらに含まれ得る加熱工程における加熱条件も、互いに独立して決定されるものである。
このように、本実施形態によれば、インク非吸収性及び低吸収性の被記録媒体に対して所定のインク組成物を記録するに際して、高速印刷を実現しつつ、画像の耐擦性に優れ、さらには画像の耐ブリード性及びインクの保存安定性にも優れた、インクジェット記録方法を提供することができる。さらに、被記録媒体に対する加熱温度が35〜100℃という比較的低温度であって、かつ、背景画像を印刷することに起因して単位面積当たりのインクの総付着量(総吐出量)が多くならざるを得ない場合であっても、高速印刷を実現でき、画像の質にも極めて優れたインクジェット記録方法を提供することができる。
2.4.インクジェット記録装置
本発明の一実施形態は、インクジェット記録装置に係る。当該記録装置は、上記実施形態のインクジェット記録方法を用いて記録を行うものである。インクジェット記録装置としては、例えば、ラインプリンター及びシリアルプリンターが挙げられる。これらはプリンターの方式が異なる。簡潔にいえば、ラインプリンターは、被記録媒体の幅に相当する長さのラインヘッドを備えるものであり、ヘッドが(ほぼ)移動せずに固定されて、1パス(シングルパス)で印刷が行われるものである。一方、シリアルプリンターは、ヘッドが被記録媒体の搬送方向と直交した方向に往復移動(シャトル移動)しながら、通常2パス以上(マルチパス)で印刷が行われるものである。
また、インクジェット記録装置として、加熱機構を備えたプラテンに静止した被記録媒体に、ヘッドで走査を複数回行うことで1回の記録動作による画像の形成を行う、いわゆるラテラル方式の記録装置(以下、「ラテラルプリンター」という。)を挙げることもできる。このラテラルプリンターは、シリアルプリンターと比較して、大量に且つ高速で印刷することができる。これは、ラテラルプリンターを用いて得られる記録物におけるインクの乾燥時間が、シリアルプリンターのそれと比較して、格段に短いことに起因する。このように、本実施形態では、ラインプリンター、シリアルプリンター、及びラテラルプリンターのいずれの方式のプリンターも使用することができる。
3.実施例
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
3.1.顔料分散液の調製
3.1.1.ブラック顔料分散液1
実施例1〜実施例8、および比較例1〜比較例8に係るブラックインク組成物には、粒子状の分散樹脂1で分散させた顔料を含むブラック顔料分散液1を添加した。以下、ブラック顔料分散液1の製造方法を具体的に示す。
(1)粒子状の分散樹脂1の製造
ブラック顔料分散液1には、粒子状の分散樹脂1に含有されてなる顔料を用いた。ブラック顔料分散液1を調製するために、まず、以下の材料・方法を用いて粒子状の分散樹脂1を製造した。
反応容器内に、メチルエチルケトン20部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、及びモノマーとして、(a)成分;メタクリル酸(商品名:GE−110(MAA)、三菱瓦斯化学株式会社製)15部、(b)成分;スチレンマクロマー(商品名:AS−6S、数平均分子量6,000、50%トルエン溶液、東亜合成株式会社製)20部、(c)成分;2−エチルヘキシルメタクリレート(商品名:アクリエステルEH、三菱レイヨン株式会社製)30部、(c)成分;スチレンモノマー(商品名:スチレンモノマー、新日鉄化学株式会社製)30部、及び(e)成分;メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(上記の式(1)において、nが9、R1及びR3がメチル基、R2がエチレン基、商品名:NKエステルM−90G、新中村化学株式会社製)15部のうちのそれぞれ10%ずつを入れて攪拌混合しながら、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロート中に、上記各モノマーの残りの90%ずつを仕込み、次いで重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27部、メチルエチルケトン60部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。滴下終了後、その混合溶液の液温を75℃で2時間維持した後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、85℃で2時間熟成させ、反応終了とし、分散樹脂1を含む溶液を得た。得られた分散樹脂1を含む溶液を減圧乾燥して、粒子状の分散樹脂1を製造した。得られた粒子状の分散樹脂1の重量平均分子量は196,000であった。
(2)ブラック顔料分散液1の調製
顔料をインク組成物に添加する際には、あらかじめ該顔料を上記の「3.1.1.(1)粒子状の分散樹脂1の製造」で得られた粒子状の分散樹脂1で水中に分散させた顔料分散液(粒子状の分散樹脂に含有されてなる顔料からなる顔料分散液)を用いた。なお、使用した顔料は、水不溶性の性質を有するものである。
ブラック顔料分散液1は、以下のようにして調製した。まず、上記で得られた粒子状の分散樹脂1の25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、5規定−水酸化ナトリウム水溶液4.1部(中和度75%)、及びイオン交換水230部を加えてポリマーを中和し、次いでウルトラディスパー(浅田鉄工株式会社製)を用いて分散させた後(ディスパー翼、2,000回転/分、10分間)、顔料としてC.I.ピグメントブラック7を90部加え、さらに15℃以下で9,000回転/分で1時間分散処理した。
得られた分散液をピコミル(浅田鉄工株式会社製、分散メディア:ジルコニア、温度:20℃、分散メディア:分散液重量比=8:2)を用いて分散した(周速15m/秒、2時間)。得られた分散液をさらにマイクロフルイダイザー(商品名、Micro fluidics 社製)で分散した(200MPa、10パス)。次に、得られた分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、60℃の水浴に浸けて減圧下でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去して、固形分濃度が20%(顔料固形分:14%)の水分散体を得た。
次に得られた水分散体40gに、架橋剤(商品名:デナコールEX321、エポキシ当量140、水100gへの溶解量約27g(25℃)、ナガセケムテックス株式会社製)を0.177g加え、90℃下で1時間攪拌を行った。攪拌後、冷却し、孔径5μmのメンブランフィルターにて濾過することで、固形分濃度が20%(顔料固形分:14%)のブラック顔料分散液1を得た。
なお、ブラック顔料分散液1における架橋率は、40モル%であった。具体的には、架橋率は、以下のようにして算出した。
架橋率:(0.177/140)×100/(1.6×0.17/86)=40(モル%)
ここで、架橋剤使用量0.177g、エポキシ当量140、粒子状の分散樹脂1の使用量1.6g、粒子状の分散樹脂1中のメタクリル酸由来の構成単位の比率0.17、メタクリル酸の分子量86である。
また、架橋分散樹脂1の1g当たりの塩基で中和されたアニオン性基の量は、1.34mmolであった。なお、アニオン性基の量は、以下のようにして算出された。
架橋分散樹脂1の1g当たりの塩基で中和されたアニオン性基の量:111/56×0.75×(1.6/1.777)=1.34(mmol)
ここで、分散樹脂1の酸価111、中和度75%である。
また、架橋剤の使用量は、ポリマー1g当たりのアニオン性基量換算で、0.00126/1.6×1000=0.79mmolと反応する量である。
また、架橋分散樹脂1のガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に基づき、熱分析装置EXSTAR−6000(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)で測定したところ52℃であった。
3.1.2.ブラック顔料分散液2の調製
実施例9〜実施例15に係るブラックインク組成物には、スチレン−アクリル酸系分散樹脂であるジョンクリル611(商品名:BASFジャパン株式会社製)で分散させた顔料を含むブラック顔料分散液2を添加した。なお、顔料分散液2は、以下のようにして調製した。
まず、C.I.ピグメントブラック7 70部をスチレン−アクリル酸系分散樹脂であるジョンクリル611(商品名:BASFジャパン株式会社製)30部、水酸化カリウム1.70部、イオン交換水250部を混合して、ピコミル(浅田鉄工株式会社製、分散メディア:ジルコニア、温度:20℃、分散メディア:分散液重量比=8:2)を用いて分散した(周速15m/秒、2時間)。得られた分散液をさらにマイクロフルイダイザー(商品名、Micro fluidics 社製)で分散した(200MPa、10パス)。得られた水分散液を孔径5μmのメンブランフィルターにて濾過することで、固形分濃度が20%(顔料固形分:14%)のブラック顔料分散液2を得た。
3.2.インク組成物の調製
上記の「3.1.顔料分散液の調製」で調製したブラック顔料分散液を用いて、表2〜3に示す材料組成にて材料組成の異なる実施例1〜15及び比較例1〜8のブラックインク組成物を調製した。各インク組成物は、表2に示す材料を容器中に入れ、マグネチックスターラーにて2時間撹拌混合した後、孔径10μmのメンブランフィルターにて濾過してゴミや粗大粒子等の不純物を除去することにより調製した。
さらに、白色色材として市販の二酸化チタン顔料(シーアイ化成株式会社製、商品名「NanoTek(R)Slurry」、平均粒子径300nmの二酸化チタン粒子を固形分濃度15%の割合で含むスラリー白色顔料)を使用して、表2の実施例16に示す材料成分を混合攪拌、孔径10μmのメンブランフィルターにて濾過してゴミや粗大粒子等の不純物を除去することにより実施例16のホワイトインク組成物を調製した。
なお、表2〜3中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水はインク全量が100質量%となるように添加した。
Figure 2013230638
Figure 2013230638
表2、表3において商品名で記載した各材料は、以下の通りである。
・ジョンクリル537(BASFジャパン株式会社製、スチレン−アクリル系エマルジョン)
・ジョンクリル538(BASFジャパン株式会社製、スチレン−アクリル系エマルジョン)
・ジョンクリル2570(BASFジャパン株式会社製、スチレン−アクリル系エマルジョン)
・AQUACER515(ビックケミー・ジャパン株式会社製、ポリエチレンワックスエマルジョン(35%分散液))(融点135℃)
・BYK−348(ビックケミー・ジャパン株式会社製、シリコーン系界面活性剤)
・オルフィンPD−570(日信化学株式会社製、シリコーン系界面活性剤)
・サーフィノールDF110D(日信化学株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤)
3.3.インク組成物の評価
3.3.1.インク組成物の保存安定性
表2〜3に示した実施例1〜15及び比較例1〜8の各インク組成物を、各々サンプルビン内に密封して60℃環境下にて2週間放置した。放置後のインク組成物の粘度変化、及びインク成分の分離・沈降・凝集状況を観察することにより、インク組成物の保存安定性を評価した。評価結果を表4に示す。また評価基準は以下の通りである。
<粘度変化>
A:調製直後の粘度と比較して変化率が±5%未満。
B:調製直後の粘度と比較して変化率が±5%以上±10%未満。
C:調製直後の粘度と比較して変化率が±10%以上±20%未満。
D:調製直後の粘度と比較して変化率が±20%以上。
<インク成分の分離・沈降・凝集>
A:インク成分の分離・沈降・凝集が無い。
B:インク成分の分離・沈降・凝集のうちのいずれかがわずかに見られる。
C:インク成分の分離・沈降・凝集のうちのいずれかが明確に見られる。
D:インク成分の分離・沈降・凝集のうちのいずれかが著しい。
Figure 2013230638
3.3.2.インク組成物のインクジェットヘッド目詰まり性
表2及び表3に示した実施例1〜15及び比較例1〜8の各インク組成物を、インクジェットデジタルラベル印刷機であるSurePress L−4033A(商品名、セイコーエプソン株式会社社製)を用いて評価した。この印刷機(プリンター)は、概略的に説明すれば、インクの液滴を吐出するピエゾヘッドと、当該ヘッドから被記録媒体に向けてインクが吐出される領域の下方に設けられたプラテンヒーターと、プラテンヒーターよりも搬送方向の下流側に設けられた乾燥炉と、を備える。
表2及び表3に示した各インク組成物を、SurePress L−4033Aのヘッド内に充填した。充填後、ノズルチェックパターンを印刷して充填不良・ノズル目詰まりのないことを確認してから、プリンターの電源をOFFにして、ヘッドをホームポジションに戻した状態(すなわちヘッドにキャップした状態)にして、40℃/10〜20%RHの環境下で20日間放置した。放置後、必要に応じてクリーニング動作を行ってノズルチェックパターンを印刷してノズルの吐出状況を観察することで、インク組成物のインクジェットヘッドの目詰まり性を評価した。その評価基準を以下に示すと共に、その評価結果を表5に示す。
A:クリーニング動作が3回以内で、全ノズルからインク組成物が正常吐出された。
B:クリーニング動作が4回〜6回の範囲内で、全ノズルからインク組成物が正常吐出された。
C:クリーニング動作が7回〜10回の範囲内で、全ノズルからインク組成物が正常吐出された。
D:全ノズルからインク組成物が正常吐出されるまでにクリーニング動作が11回〜15回必要であった。
E:15回以上クリーニング動作を行なっても正常吐出されないノズルがあった。
Figure 2013230638
3.3.3.印刷物の印刷濃度測定
記録媒体としてインクをよく吸収する上質紙である55PW8R(商品名、リンテック株式会社製)を用いた。
インクジェットデジタルラベル印刷機であるSurePress L−4033A(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に実施例1〜15及び比較例1〜8のインク組成物を充填して、上記記録媒体に印刷した。印刷パターンとしては、横720dpi、縦720dpiの解像度で、100%のdutyで印刷できる塗り潰しパターンを作製しこれを用いた。印刷条件は、プリンターのヒーター設定を「印刷面の温度が45℃となる設定」とした。さらに、印刷中及び印刷直後の印刷物に対して75℃の温度の風を送風することにより乾燥処理を行った。なお、上記の送風強度は記録媒体表面での風速が2m/秒〜5m/秒程度となるように風を送る状態を示す。また、印刷直後の送風時間を1分間とした。
このような条件で印刷したときの印刷物の印刷濃度(O.D.値)を測定した。測定には、ポータブル反射濃度計RD−19T(商品名、サカタインクスエンジニアリング株式会社製)を用いた。その結果を表6に示す。また印刷物の印刷濃度の評価基準は、以下のとおりである。
A:O.D.値が1.4以上を示す。
B:O.D.値が1.3以上1.4未満を示す。
C:O.D.値が1.2以上1.3未満を示す。
D:O.D.値が1.2未満を示す。
Figure 2013230638
3.3.4.印刷物の濃淡ムラ評価
記録媒体としてインクをよく吸収する上質紙である55PW8R(商品名、リンテック株式会社製)と、インク非吸収性のポリプロピレンフィルムであるSY51M 2.6mil.PPWhite TC RP37 2.2mil.HIGH DENSITY WHITE(商品名、UPM RAFLATAC社製、以下「SY51M」と略記する)を用いた。
インクジェットデジタルラベル印刷機であるSurePress L−4033A(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に実施例1〜15及び比較例1〜8のインク組成物を充填して、上記記録媒体に印刷した。印刷パターンとしては、横720dpi、縦720dpiの解像度で、50%〜100%の範囲のdutyで10%刻みで印刷できる塗り潰しパターンを作製しこれを用いた。その他の印刷条件は、上記「3.3.3.印刷物の印刷濃度測定」と同様にした。
このような条件で印刷したときの印刷物の濃淡ムラを目視で確認した。その結果を表7に示す。また印刷物の濃淡ムラの評価基準は、以下のとおりである。
A:duty80%以上でも濃淡ムラが認められなかった。
B:duty70%まで濃淡ムラが認められなかった。
C:duty60%まで濃淡ムラが認められなかった。
D:duty60%以下でも濃淡ムラが認められた。
Figure 2013230638
3.3.5.印刷物の耐擦性評価
なお、この評価は室温(25℃)条件下の実験室で行った。
インクジェットデジタルラベル印刷機であるSurePress L−4033A(商品名、セイコーエプソン株式会社製)に実施例1〜15及び比較例1〜8のインク組成物を充填して、上記記録媒体に印刷した。印刷パターンとしては、横720dpi、縦720dpiの解像度で、100%のdutyで印刷できる塗り潰しパターンを作製しこれを用いた。なお、この評価は室温(25℃)条件下の実験室で行った。その他の印刷条件は、上記「3.3.3.印刷物の印刷濃度測定」と同様にした。
その後、室温(25℃)条件下の実験室にて5時間放置した印刷物の印刷面を学振型摩擦堅牢度試験機AB−301(商品名、テスター産業株式会社製)を用いて、荷重200g下・綿布にて20回擦ったときの印刷面の剥がれ状態や綿布へのインク移り状態を確認することにより、耐擦性を評価した。耐擦性の評価基準は、以下のとおりである。またその結果を表8に示した。
A:20回擦ってもインク剥がれ・綿布へのインク移りが認められなかった。
B:20回擦った後インク剥がれまたは綿布へのインク移りがわずかに認められた。
C:20回擦った後インク剥がれまたは綿布へのインク移りが認められた。
D:20回擦り終わる前に、インクの剥がれまたは綿布へのインク移りが認められた。
Figure 2013230638
3.3.6.重ね塗り印刷評価1(白→黒)
背景画像を形成する工程を追加したインクジェット記録(重ね塗り印刷)を行った。背景用インクとして、上記「3.2.インク組成物の調製」で調製した実施例16のホワイトインク組成物を用いた。
まず、SurePress L−4033Aのピエゾヘッドから、上記プラテンヒーターで45℃に加熱されたPPフィルム(SY51M)に向けて、実施例16のホワイトインク組成物を吐出し付着させて、白色の背景用ベタパターン画像(背景画像)を形成した。続いて、SurePress L−4033Aのうち別のピエゾヘッドから、上記白色のベタパターン画像に向けて、実施例1のブラックインク組成物を吐出し付着させて、黒色のベタパターン画像(黒色画像)を重ねて形成した(上記白色の画像形成及び黒色の画像形成を各8パスで行ったため、計16パスの印刷である。)。このときの印刷条件は、印刷解像度を1440dpi×720dpiとし、単位面積当たりのインクの付着量を10mg/インチ2とし、画像の形成速度(印刷速度)を0.934m2/分とした。
その後、乾燥炉で、このベタパターン画像を加熱した。このときの画像形成条件及び加熱条件は、実施例1で採った条件と同じである。
このようにして、フィルム上に、背景画像、黒色画像の順に重ね塗られた記録物を作製した。得られた記録物について、上記実施例1と同様にして耐擦性を評価した。
次に、ベタパターン画像中に白抜き文字が配置された画像に変更して、得られた記録物の白抜き文字の視認性を目視で観察した。評価基準は以下のとおりである。
A:8ポイントの白抜き文字がはっきりと視認できる。
B:8ポイントの白抜き文字の滲みがひどく文字として視認できない。
その結果、耐擦性については「A」であり、耐ブリード性については「A」であった。
また、比較実験として、ブラックインク組成物として比較例2のインクを用いた点以外は、上述と同様にして記録物を作製した。耐擦性及び耐ブリード性を評価した。その結果、耐擦性については「D」であり、耐ブリード性については「B」であった。
3.3.7.重ね塗り印刷評価2(黒→白)
黒色のベタパターン画像を形成し加熱した後に、白色の背景用ベタパターン画像を形成し加熱した点以外は、実施例9と同様にして記録物を作製した。評価結果を以下に示す。その結果、耐擦性については「A」であり、耐ブリード性については「A」であった。
また、比較実験として、ブラックインク組成物として比較例2のインクを用いた点以外は、上述と同様にして記録物を作製した。耐擦性及び耐ブリード性を評価した。その結果、耐擦性については「D」であり、耐ブリード性については「B」であった。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (9)

  1. 色材と、熱変形温度が40℃以上である2種以上の樹脂粒子と、1気圧下相当での沸点が190℃以上250℃以下の2種以上のアルキルポリオールを10質量%以上25質量%以下の範囲で含有し、かつ、1気圧下相当での沸点が220℃以上250℃以下のアルキルポリオールの含有量が2%以上10%以下であり、1気圧下相当での沸点が240℃以上のピロリドン誘導体を実質的に含有しない、インク組成物を、被記録媒体に向けて吐出し付着させて画像を形成する画像形成工程と、前記被記録媒体を35〜100℃で加熱する加熱工程と、を含むインクジェット記録方法。
  2. 前記インク組成物はガラス転移温度が10℃以下の樹脂を実質的に含有しない、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記インク組成物は、1気圧下相当での沸点280℃以上のアルキルポリオールを実質的に含有しない、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記被記録媒体がインク非吸収又は低吸収性記録媒体であって、かつ、前記記録媒体に対する画像の記録速度が0.3m2/分以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 下記(1)又は(2)の工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
    (1)前記画像形成工程の前に行われ、前記インク組成物を付着させる被記録媒体の領域に向けて、背景用インク組成物を吐出し付着させて背景画像を形成する工程。
    (2)前記画像形成工程の後に行われ、前記インク組成物が付着した被記録媒体の領域に向けて、背景用インク組成物を吐出し付着させて背景画像を形成する工程。
  6. 前記画像の少なくとも一部の領域における単位面積当たりの前記インク組成物の付着量は10mg/インチ2以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記インク組成物は、ピロリドン誘導体を実質的に含有しない、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法を用いて記録を行う、インクジェット記録装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれか一項に記載のインク組成物が記録された記録物。
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