JP2015171721A - シーム溶接装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接終了後のローラ電極へのワークの付着を防止する。
【解決手段】シーム溶接を行う前に、電極ホルダ3a,3bと押さえ板ホルダ8とを下降させたときに、ローラ電極1a,1bがワーク20と接触する。ソレノイド9は、ワーク20にローラ電極1a,1bが接触してシーム溶接が行われた後に、アーム7を介して昇降部6と押さえ板5とを下降させ、押さえ板5をワーク20と接触させる。ソレノイド9は、電極ホルダ3a,3bと押さえ板ホルダ8とが上昇してローラ電極1a,1bがワーク20から離れた後に、アーム7を介して昇降部6と押さえ板5とを上昇させ、押さえ板5をワーク20から離す。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えばIC、水晶振動子等の回路素子の容器に蓋を溶接するシーム溶接装置に関するものである。
IC、水晶振動子等の回路素子の封止作業は、パッケージにこれらの回路素子を収納して、配線や試験調整作業を行った後の最終製造工程として行われる。封止方法としては、樹脂封止、気密封止などがある。
気密封止法は、金属又はセラミックスのパッケージの中に素子を収納固定し、乾燥した不活性ガス雰囲気中でリッド(蓋)をかぶせて素子を完全に密封する方法である。この気密封止法によれば、水分などの不純物の侵入がなく、また局所加熱による封止なので、熱応力の影響も少なく樹脂封止に比べて高い封止信頼性を得ることができる。
この気密封止法のひとつであるシーム接合法を用いて、パッケージにリッドを溶接するシーム溶接装置がある。このシーム溶接装置は、円板状のローラ電極によってワークに圧力を加えながら電流を流すことにより、発生するジュール熱によってワークを溶融させて接合を得るものである。
図6はシーム溶接装置によるシーリング作業を説明する図である。シーム溶接装置は、円板状のローラ電極100a,100bと、ローラ電極100a,100bに給電する導電シャフト101a,101bと、導電シャフト101a,101bに給電する電極ホルダ102a,102bと、電極ホルダ102a,102bを保持する電極保持アーム103a,103bとを備えている。図6における104はICや水晶振動子等のチップ、105はチップ104を収納するパッケージ、106はリッドである。
このシーム溶接装置は、リッド106にローラ電極100a,100bを所定の圧力下で接触させる。そして、パッケージ105を載置した図示しないトレイあるいは電極保持アーム103a,103bを移動させながら、給電ブロック102a、導電シャフト101a、ローラ電極100a、リッド106、ローラ電極100b、導電シャフト101b、給電ブロック102bという経路で電流を流すことにより、リッド106がパッケージ105に溶接される。
しかしながら、従来のシーム溶接装置では、溶接終了後にローラ電極100a,100bを上昇させると、ワーク(パッケージ105とリッド106)がローラ電極100a,100bに付着したまま上昇してしまうという問題点があった。
これに対して、出願人は、このようなローラ電極へのワークの付着を防止する手法を提案した(特許文献1参照)。特許文献1に開示された手法では、ワークにローラ電極100a,100bを接触させながら、ワークを図7(A)のAの方向に移動させるか、あるいはローラ電極100a,100bを図7(A)のBの方向に移動させることにより、ローラ電極100a,100bを回転させて溶接を行ない、溶接終了後にローラ電極100a,100bへの通電を停止して、ワークをBの方向に移動させるか、あるいはローラ電極100a,100bをAの方向に移動させることにより、図7(B)に示すようにローラ電極100a,100bを溶接時と逆方向に微小角度回転させた後、図7(C)に示すようにローラ電極100a,100bを上昇させるようにしていた。
このように、特許文献1に開示された手法では、ローラ電極を溶接時と逆方向に微小角度回転させることで、ワークをローラ電極から引き剥がすようにしていた。しかし、ワークの小型化の進展により、ワークの質量が軽くなったため、特許文献1に開示された手法を適用しても、ローラ電極へのワークの付着を防止することが難しくなってきた。
そこで、出願人は、リッドを押さえる押圧片を備えた封止装置を提案した(特許文献2参照)。図8(A)、図8(B)に示すように、この封止装置では、固定部材107は図示しない電極支持部に固定され、電極支持部と一体的に上下動する。回転フレーム108は、回転軸である支点112を中心として回動自在に固定部材107に支持されている。回転フレーム108に固定された押圧片109は、樹脂製の薄板からなる。この押圧片109は、ローラ電極100aと100bの間に位置するように配置される。なお、図8(A)、図8(B)では手前側のローラ電極100aの図示を省略して奥側のローラ電極100bのみを図示している。回転フレーム108に固定された支え部110は、ステンレス製の丸棒からなり、その先端には樹脂製の摩擦軽減部材が取り付けられている。図8(A)、図8(B)における111はパッケージ105とリッド106が載置されたトレイである。
図8(A)のようにローラ電極100bがリッド106に接触している状態では、支え部110の先端がトレイ111の上面に当接することで、押圧片109は支え部110および回転フレーム108と共に一体的に回動する。この回動は支点112を中心にした反時計方向の回動である。この回動により、押圧片109の下端は、リッド106から離れるようになっている。
次に、トレイ111が図8(A)の右方向に移動して、溶接が終了すると、図示しない電極支持部が上昇して、図8(B)のようにローラ電極100bが上昇する。電極支持部を上昇させることで、固定部材107が上昇し、支え部110の先端もトレイ111の上面から離れる。これにより、押圧片109は支え部110および回転フレーム108と共に回動する。この回動は支点112を中心にした時計方向の回動である。この回動により、押圧片109の下端は、ローラ電極100bよりも下方に突出し、リッド106の上面を下方に押圧する。押圧片109は、ローラ電極100bがリッド106から離れた後、暫くの間はリッド106を押し続ける状態を維持するので、リッド106やパッケージ105がローラ電極100bに付着していたとしても、ローラ電極100bから剥がすことができる。
特許第3194208号公報 特開2013−125835号公報
以上のように、特許文献2に開示された手法では、押圧片でワークを押圧することにより、ワークをローラ電極から剥がすようにしていた。しかしながら、特許文献2に開示された手法では、支え部の上下動によって押圧片を上下動させるため、ワークの高さやトレイの表面状態により押圧片の動作距離に差が生じ、ワークをローラ電極から剥離できない可能性があった。また、剥離を安定させるためにローラ電極の上下動を大きくした場合、生産タクト(作業時間)が増加するという問題点があった。また、溶接中はトレイが支え部の先端と接触しつつ移動するため、支え部の先端が次第に摩耗し、この摩耗によって押圧片の動作距離が変化してしまうので、部品の管理が難しいという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、溶接終了後のローラ電極へのワークの付着を防止し、作業効率を向上させることができるシーム溶接装置を提供することを目的とする。
本発明のシーム溶接装置は、1対のローラ電極と、前記ローラ電極を導電シャフトを介して回動自在に軸支すると同時に前記ローラ電極に給電するための電極ホルダと、絶縁材料からなる押さえ板と、前記押さえ板を前記1対のローラ電極の間に吊り下げる形で支持する吊り下げ機構と、前記電極ホルダと前記吊り下げ機構とをトレイ上に載置された溶接対象のワークと垂直な方向に移動させる駆動機構と、前記押さえ板を前記ワークと垂直な方向に移動させるアクチュエータとを備え、前記駆動機構は、シーム溶接を行う前に前記電極ホルダと前記吊り下げ機構とを前記ワークに近づく方向に下降させ、シーム溶接終了後に前記電極ホルダと前記吊り下げ機構とを前記ワークから離れる方向に上昇させ、前記アクチュエータは、前記電極ホルダの下降により前記ワークに前記1対のローラ電極が接触してシーム溶接が行われた後に、前記押さえ板を下降させて前記ワークと接触させ、前記電極ホルダと前記吊り下げ機構とが上昇して前記1対のローラ電極が前記ワークから離れた後に、前記押さえ板を上昇させて前記ワークから離すことを特徴とするものである。
また、本発明のシーム溶接装置の1構成例は、さらに、前記駆動機構と前記アクチュエータとを制御する制御手段と、動作タイミング情報を予め記憶する記憶手段とを備え、前記制御手段は、前記動作タイミング情報に基づいて前記駆動機構と前記アクチュエータとを制御することを特徴とするものである。
また、本発明のシーム溶接装置の1構成例において、前記吊り下げ機構は、前記押さえ板を前記1対のローラ電極の間に吊り下げる形で支持する支持部材と、前記支持部材を上下動可能に支持する押さえ板ホルダと、前記アクチュエータの動きを前記支持部材に伝達するアームとからなり、前記駆動機構は、前記電極ホルダを上下動可能に支持すると同時に、前記押さえ板ホルダを支持し、シーム溶接を行う前に前記電極ホルダと前記押さえ板ホルダとを前記ワークに近づく方向に下降させ、シーム溶接終了後に前記電極ホルダと前記押さえ板ホルダとを前記ワークから離れる方向に上昇させ、前記アクチュエータは、前記電極ホルダの下降により前記ワークに前記1対のローラ電極が接触してシーム溶接が行われた後に、前記アームを介して前記支持部材と前記押さえ板とを下降させ、前記電極ホルダと前記押さえ板ホルダとが上昇して前記1対のローラ電極がワークから離れた後に、前記アームを介して前記支持部材と前記押さえ板とを上昇させることを特徴とするものである。
本発明によれば、押さえ板の上下動作をアクチュエータ駆動とすることで、ワークの高さやトレイの状態に関係なく、ワークがシーム溶接終了後にローラ電極に付着して浮き上がることを確実に防止することができる。また、本発明では、従来のようにローラ電極を溶接時と逆方向に回転させたり、ローラ電極の上下動を大きくしたりする必要がないので、シーム溶接の生産タクトを短縮することができる。さらに、本発明では、トレイと接触する支え部のような部品が不要なので、シーム溶接装置の部品の消耗を抑えることができ、部品の管理を容易にすることができる。
また、本発明では、動作タイミング情報を予め記憶手段に記憶させておき、この動作タイミング情報に基づいて駆動機構とアクチュエータとを制御することにより、ワークに応じた最適なタイミング設定が可能になるので、最適かつ安定な剥離動作を実現することができる。
本発明の実施の形態に係るシーム溶接装置の電極部分の正面図および側面図である。 本発明の実施の形態に係るシーム溶接装置の電気的な接続関係を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係るシーム溶接装置の動作を説明する図である。 本発明の実施の形態に係るシーム溶接装置の動作を説明する図である。 本発明の実施の形態に係るシーム溶接装置の動作を説明する図である。 従来のシーム溶接装置によるシーリング作業を説明する図である。 従来のシーム溶接装置においてローラ電極へのワークの付着を防止する手法を説明する図である。 従来の封止装置においてローラ電極へのワークの付着を防止する手法を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1(A)は本発明の実施の形態に係るシーム溶接装置の電極部分の正面図、図1(B)は図1(A)の右側から見た電極部分の側面図である。本実施の形態のシーム溶接装置は、金属等の導電材料からなる円板状の1対のローラ電極1a,1bと、金属等の導電材料からなる円柱状の導電シャフト2a,2bと、導電シャフト2a,2bを回動自在に軸支すると同時に導電シャフト2a,2bに給電する、金属等の導電材料からなる電極ホルダ3a,3bと、導電シャフト2a,2bの軸方向の動きを制限する、金属等の導電材料からなるストッパ4a,4bと、例えばセラミック等の絶縁材料からなる板状の押さえ板5と、押さえ板5が1対のローラ電極1a,1bの間に位置するように、押さえ板5を吊り下げる形で支持する支持部材である昇降部6と、昇降部6を上下動させるアーム7と、アーム7を上下動可能に支持する押さえ板ホルダ8と、アーム7を駆動するアクチュエータである直動型のソレノイド9と、昇降部6の水平方向の位置を規定するための2本のシャフト10,11と、アーム7を上方へ引き上げる役目を果たすバネ12a,12bと、アーム7の上方向への動きを止めるストッパ13とを備えている。昇降部6とアーム7と押さえ板ホルダ8とシャフト10,11とは押さえ板5の吊り下げ機構を構成している。
昇降部6とアーム7と押さえ板ホルダ8とシャフト10,11とは、導電材料からなるものでもよいし、絶縁材料からなるものでもよい。なお、図1(B)では、本実施の形態の特徴的な構成である押さえ板5の部分の構造を分かり易くするため、ストッパ4aと電極ホルダ3aと導電シャフト2aとローラ電極1aの図示を省略している。
図示しない駆動機構は、電極ホルダ3a,3bを上下動可能に支持する。電極ホルダ3a,3bの上下方向の大まかな位置は駆動機構によって制御される。さらに、電極ホルダ3a,3bは、ローラ電極1a,1bとワーク20との接触によって上下方向の位置が抑制されていない状態では、駆動機構によって規制される上下動範囲の中で最も下の位置まで自重で降りていることになる。この電極ホルダ3a,3bは、ワイヤー等によって図示しない電源と電気的に接続されている。
円柱状の導電シャフト2a,2bは、電極ホルダ3a,3bの貫通穴に挿入されて支えられており、滑り摩擦で回転するようになっている。ローラ電極1a,1bは、導電シャフト2a,2bの一端に取付けられ、導電シャフト2a,2bの他端には、導電シャフト2a,2bの軸方向の動きを制限するためのストッパ4a,4bが取り付けられている。こうして、電極ホルダ3a,3bは、導電シャフト2a,2bの軸受として機能すると同時に、導電シャフト2a,2bに電流を供給する役目を果たす。ローラ電極1a,1bは、電極ホルダ3a,3bが下降したときにワーク20の所望の被接合部と接触するように配設されている。
押さえ板ホルダ8は、前記駆動機構に固定されている。この押さえ板ホルダ8は、アーム7を回動可能に支持する。アーム7は、軸14を中心として図1(B)の紙面の面内を時計回り及び反時計回りに回動可能である。アーム7に設けられた突起18a,18bには、バネ12a,12bの一端が掛けられ、ばね12a,12bの他端は、押さえ板ホルダ8に設けられた突起19a,19bに掛けられている。
シャフト10の一端は押さえ板ホルダ8に固定され、シャフト10の他端は昇降部6を貫通している。これにより、昇降部6は、シャフト10に沿って摺動できるようになっている。また、押さえ板ホルダ8はシャフト11を上下動可能に支持しており、シャフト11の他端は昇降部6に固定されている。こうして、昇降部6は、シャフト10,11に沿って上下動可能であると同時に、その水平方向(図1(B)左右方向及び図1(B)の紙面と垂直な方向)の位置はシャフト10,11によって規定される。
昇降部6には、押さえ板5が固定されている。押さえ板5は、上記の昇降部6の水平方向の位置の規定により、ローラ電極1aと1bの間に位置するように配設される。
ソレノイド9のプッシュロッド(押し出し棒)16は、図1(B)の17の位置でアーム7と接触している。ソレノイド9がオフの状態(プッシュロッド16が最短の状態)では、アーム7がバネ12a,12bによって上方に引き上げられ、ストッパ13に当接する位置で止まる。アーム7は昇降部6に設けられた突起15の位置で昇降部6を下から支えるようになっており、アーム7の動作により昇降部6が上方に押し上げられる。この状態では、押さえ板5の下端は、図1(B)に示すようにローラ電極1a,1bの下端よりも上方に位置するようになっている。
ソレノイド9がオンになると、プッシュロッド16が下方に動いてアーム7を押し下げる。これにより、昇降部6と押さえ板5とは、アーム7によって規制される上下動範囲の中で最も下の位置まで自重で下降する。押さえ板5の下端の位置は昇降部6の突起15と当接するアーム7の先端の位置によって決まり、アーム7の先端の位置はプッシュロッド16のストローク量によって決まるが、押さえ板5の下端がローラ電極1a,1bの下端よりも下方に突出できるようになっている。
図2はシーム溶接装置の電気的な接続関係を示すブロック図である。シーム溶接装置は、上記の駆動機構30と、ローラ電極1a,1bに電流を供給する電源31と、シーム溶接装置全体を制御する制御部32と、制御部32のプログラムとシーム溶接装置の動作のタイミング情報などを予め記憶する記憶部33とを備えている。
次に、シーム溶接装置の動作を図3、図4(A)、図4(B)、図5(A)、図5(B)を参照して詳細に説明する。
まず、制御部32は、駆動機構30によって電極ホルダ3a,3bと押さえ板ホルダ8とを下降させる。この下降に伴ってローラ電極1a,1bと押さえ板5も下降する。図3のように、ローラ電極1a,1bがワーク20(図6の例ではパッケージ105とリッド106)と接触すると、電極ホルダ3a,3bの下降が抑えられる。制御部32は、電極ホルダ3a,3bを下降させようとしているにも拘わらず、電極ホルダ3a,3bが下降しないので、ローラ電極1a,1bとワーク20とが接触したことを検知し、駆動機構30による電極ホルダ3a,3bと押さえ板ホルダ8の駆動を停止する。この状態では、ソレノイド9がオフなので、上記のとおり押さえ板5の下端は、ローラ電極1a,1bの下端よりも上方に位置するようになっている。
ローラ電極1a,1bがワーク20と接触した後、従来と同様にシーム溶接を行う。すなわち、制御部32は、駆動機構30によって電極ホルダ3a,3bと押さえ板ホルダ8とを水平方向(ここでは図3右方向)に移動させながら、電源31から電極ホルダ3a、導電シャフト2a、ローラー電極1a、ワーク20、ローラー電極1b、導電シャフト2b、電極ホルダ3bという経路で電流を流す。これにより、ワーク20が溶接される(図6の例ではリッド106がパッケージ105に溶接される)。電源31からの通電が終了した時点で、シーム溶接が終了する(図4(A))。
次に、制御部32は、ソレノイド9に電流を供給してソレノイド9をオン状態にする。ソレノイド9がオンになると、上記のとおり、アーム7の先端が下降して、昇降部6及び押さえ板5が下降し、押さえ板5の下端がワーク20と接触する(図4(B))。
続いて、制御部32は、駆動機構30によって電極ホルダ3a,3bと押さえ板ホルダ8とを上昇させる。この上昇に伴ってローラ電極1a,1bも上昇し、ローラ電極1a,1bがワーク20から離れる。このとき、ソレノイド9がオン状態のままであり、押さえ板5には、昇降部6及び押さえ板5自体の重さによる下向きの力が掛かるので、ワーク20がローラ電極1a,1bに付着していたとしても、ワーク20をローラ電極1a,1bから引き剥がすように押さえ板5がワーク20を押圧する(図5(A))。
最後に、制御部32は、ソレノイド9への通電を停止してソレノイド9をオフにする。ソレノイド9がオフになり、プッシュロッド16が上方に戻ると、アーム7を押し下げていた力がなくなるので、アーム7がバネ12a,12bによって上方に引き上げられ、ストッパ13に当接する位置で止まる。このアーム7の動作により昇降部6及び押さえ板5が上昇し、押さえ板5がワーク20から離れる(図5(B))。そして、制御部32は、駆動機構30によって電極ホルダ3a,3bと押さえ板ホルダ8とを次のワーク20の位置まで水平方向(図3右方向)に移動させる。こうして、図3の状態に戻る。
以上のように、本実施の形態では、押さえ板5の上下動作をソレノイド駆動とすることで、ワーク20の高さやトレイ21の状態に関係なく、ワーク20がシーム溶接終了後にローラ電極1a,1bに付着して浮き上がることを確実に防止することができる。
また、本実施の形態では、押さえ板5の動作を電気的に制御できるため、ワーク20のサイズが異なる場合でも最適なタイミングに調整することが可能である。電極ホルダ3a,3bと押さえ板ホルダ8が下降するタイミング(ローラ電極1a,1bが下降するタイミング)、溶接開始タイミング、溶接終了タイミング、ソレノイド9がオンするタイミング(押さえ板5が下降するタイミング)、電極ホルダ3a,3bと押さえ板ホルダ8が上昇するタイミング(ローラ電極1a,1bが上昇するタイミング)、ソレノイド9がオフするタイミング(押さえ板5が上昇するタイミング)の各情報は、予め記憶部33に設定しておくことが可能である。制御部32は、記憶部33に予め設定されたタイミング情報に基づいて動作する。こうして、ワーク20に応じた最適なタイミング設定が可能になるので、最適かつ安定な剥離動作を実現することができる。したがって、本実施の形態では、特許文献1,2に開示された手法と比較してワークがローラ電極に付着する可能性を大幅に低減することができる。
また、本実施の形態では、従来のようにローラ電極の上下動を大きくする必要がないので、シーム溶接の生産タクト(作業時間)を短縮することができる。特許文献2に開示された手法では、1溶接当たりの生産タクトは例えば1.2秒である。これに対して、本実施の形態の1溶接当たりの生産タクトは例えば0.8秒である。
また、本実施の形態では、トレイと接触する支え部のような部品が不要なので、特許文献2に開示された手法と比較してシーム溶接装置の部品の消耗を抑えることができ、部品の管理を容易にすることができる。
なお、駆動機構30はシーム溶接装置を収納する真空チャンバーの外に配設することができるので、真空中で使用可能なソレノイド9を採用すれば、真空中での溶接に本発明を適用することができる。
また、本実施の形態では、アクチュエータの例としてソレノイド9を例に挙げて説明しているが、これに限るものではなく、例えば油圧アクチュエータを用いてもよい。
本実施の形態で説明した制御部32と記憶部33は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインタフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って本実施の形態で説明した処理を実行する。
本発明は、シーム溶接に適用することができる。
1a,1b…ローラ電極、2a,2b…導電シャフト、3a,3b…電極ホルダ、4a,4b,13…ストッパ、5…押さえ板、6…昇降部、7…アーム、8…押さえ板ホルダ、9…ソレノイド、10,11…シャフト、12a,12b…バネ、16…プッシュロッド、30…駆動機構、31…電源、32…制御部、33…記憶部。

Claims (3)

  1. 1対のローラ電極と、
    前記ローラ電極を導電シャフトを介して回動自在に軸支すると同時に前記ローラ電極に給電するための電極ホルダと、
    絶縁材料からなる押さえ板と、
    前記押さえ板を前記1対のローラ電極の間に吊り下げる形で支持する吊り下げ機構と、
    前記電極ホルダと前記吊り下げ機構とをトレイ上に載置された溶接対象のワークと垂直な方向に移動させる駆動機構と、
    前記押さえ板を前記ワークと垂直な方向に移動させるアクチュエータとを備え、
    前記駆動機構は、シーム溶接を行う前に前記電極ホルダと前記吊り下げ機構とを前記ワークに近づく方向に下降させ、シーム溶接終了後に前記電極ホルダと前記吊り下げ機構とを前記ワークから離れる方向に上昇させ、
    前記アクチュエータは、前記電極ホルダの下降により前記ワークに前記1対のローラ電極が接触してシーム溶接が行われた後に、前記押さえ板を下降させて前記ワークと接触させ、前記電極ホルダと前記吊り下げ機構とが上昇して前記1対のローラ電極が前記ワークから離れた後に、前記押さえ板を上昇させて前記ワークから離すことを特徴とするシーム溶接装置。
  2. 請求項1記載のシーム溶接装置において、
    さらに、前記駆動機構と前記アクチュエータとを制御する制御手段と、
    動作タイミング情報を予め記憶する記憶手段とを備え、
    前記制御手段は、前記動作タイミング情報に基づいて前記駆動機構と前記アクチュエータとを制御することを特徴とするシーム溶接装置。
  3. 請求項1または2記載のシーム溶接装置において、
    前記吊り下げ機構は、
    前記押さえ板を前記1対のローラ電極の間に吊り下げる形で支持する支持部材と、
    前記支持部材を上下動可能に支持する押さえ板ホルダと、
    前記アクチュエータの動きを前記支持部材に伝達するアームとからなり、
    前記駆動機構は、前記電極ホルダを上下動可能に支持すると同時に、前記押さえ板ホルダを支持し、シーム溶接を行う前に前記電極ホルダと前記押さえ板ホルダとを前記ワークに近づく方向に下降させ、シーム溶接終了後に前記電極ホルダと前記押さえ板ホルダとを前記ワークから離れる方向に上昇させ、
    前記アクチュエータは、前記電極ホルダの下降により前記ワークに前記1対のローラ電極が接触してシーム溶接が行われた後に、前記アームを介して前記支持部材と前記押さえ板とを下降させ、前記電極ホルダと前記押さえ板ホルダとが上昇して前記1対のローラ電極がワークから離れた後に、前記アームを介して前記支持部材と前記押さえ板とを上昇させることを特徴とするシーム溶接装置。
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