JP2015166716A - ガスセンサ素子とその製造方法並びにガスセンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基準電極検出部30と、基準電極リード部31と、基準電極端子部32と、からなる基準電極3において、基準電極検出部31の一部又は全部の膜厚を、基準電極リード部31及び基準電極端子部32の膜厚よりも厚く形成した基準電極厚膜領域L11を設ける。
【選択図】図1
Description
このため、長期の使用により、基準電極や測定電極が加熱されると、電極を構成する白金粒子の凝集が起こり、粒界の容量成分が変化し、ガスセンサ素子の複素インピーダンスが大きくなり、ヒータの制御精度の低下を招く虞がある。
特許文献1の発明では、検出素子における排気ガスに最も曝され、高温となる底部や底部近傍において、測定電極の形成範囲を大きくすることで、熱に対する高い耐久性能を確保している。
また、検出素子の高温となる部位から離れる程、測定電極の形成範囲を小さくすることで、固体電解質が不活性な部位から受ける影響温度が最も高くなるヒータ接触部の外周面積が最も大きく、ヒータ接触部から素子の上端部にいくに従って面積を小さくすることによって固体電解質の不活性部分を低減し応答性低下を防止できるとされている。
このため、測定電極の高温部分における白金凝集による断線の確率は周方向でほとんどかわらず、周方向の電極面積を変化させても、白金電極の大幅な耐久性向上には繋がらない。
また、この技術を基準電極に当てはめても、測定電極と同様に、耐熱性向上の効果は得られない。
また、従来のガスセンサ素子では、基準電極の膜厚は一定であるため、長期に高温に晒されたときに、検出部先端の電極で白金粒子の凝集が起こり、素子の複素インピーダンスが上昇する。このため、インピーダンスに基づいてヒータの温度制御をした場合に、目標温度と実際の温度とにずれが生じ、安定した酸素濃度の検出が行えなくなる虞がある。
本発明のガスセンサ素子では、前記基準電極が、前記固体電解質体の閉塞端側の前記測定電極検出部に対向する範囲に設けられ、前記固体電解質体の内側に導入される基準ガスに接し、前記測定電極と共に前記検出部を構成する基準電極検出部(30)と、前記固体電解質体の開放端側内周面の所定範囲に設けられ、外部に接続される基準電極端子部(32)と、前記基準電極検出部と前記基準電極端子部とを繋ぐ基準電極リード部(31)と、を具備する。
さらに、本発明のガスセンサ素子では、少なくとも、前記基準電極検出部の一部又は全部の膜厚を、前記基準電極リード部及び前記基準電極端子部の膜厚よりも厚く形成した基準電極厚膜領域(L11)を具備することを特徴とする。
これによって、センサ出力の応答性の低下防止、並びに、センサ出力の安定化を図ることができる。
また、前記基準電極膜厚領域以外の部分において前記基準電極を構成する前記基準電極リード部及び前記基準電極の膜厚を薄くすることで、高額な貴金属の使用量を減らし、製造コストの削減を図ることができる。
さらに、前記基準電極膜厚領域以外の部分において、基準電極の配線抵抗が高くなるので、相対的にインピーダンスのキャパシタ成分の影響を少なくして、さらなるセンサ出力の安定化を図ることができる。
ガスセンサ素子1は、有底筒状の固体電解質体2と、その内周面201に形成した基準電極3と、その外周面202に形成した測定電極4とによって構成されている。
但し、本発明は、固体電解質体2を構成する固体電解質材料をジルコニアに限るものではなく、水素イオン伝導性を有するもの等にも適宜採用し得るものである。
固体電解質体2の外周には、一部を径大とした拡径部22が形成されている。
固体電解質体2の基端側は、外部との接続を図る信号取出部23を構成している。
固体電解質体外周面202の表面には、一定膜厚で、所定形状の測定電極4が形成されている。
基準電極3と測定電極4とは、白金を主成分とする多孔質電極膜によって形成されている。
基準電極検出部30は、固体電解質体2の内周面201において、周方向に対して全周に亘って設けられている。
基準電極リード部31は、固体電解質体2の内周面201において、一定の幅で軸方向に伸びる短冊状に設けられている。
なお、基準電極リード部31の周方向の幅は、1mm以上、内周長の84%以下、若しくは、9mm以下とするのが望ましい。
基準電極端子部32は、固体電解質体2の内周面201において、周方向に対して全周に亘って設けられている。
本発明の要部である基準電極3には、膜厚を厚く形成した基準電極厚膜領域L11と薄く形成した基準電極薄膜領域L12とが設けられている。
基準電極厚膜領域L11の膜厚T11は、基準電極薄膜領域L12の膜厚T12よりも0.1μm以上厚く形成されている。
また、本発明者の鋭意試験により、基準電極厚膜領域L11の膜厚T11は、0.6μm以上、1.4μm以下とするのが望ましいことが判明した。
さらに、基準電極薄膜領域L12の膜厚T12は、0.5μm以上、1.4μm以下とするのが望ましい。
一方、測定電極4の膜厚は一定で、0.7μm以上1.8μm以下とするのが望ましい。
ガスセンサ8は、内燃機関の燃焼排気等の被測定ガス中に含まれる酸素等の特定成分の検出に用いられる。
ガスセンサ8は、ガスセンサ素子1と、その内側に設けられ通電により発熱するヒータ5と、外部に接続する基準信号線34と、ガスセンサ素子1の基準電極端子部32と基準信号線34とを接続する基準電極端子金具33と、外部に接続する測定信号線44と、測定電極端子部42と測定信号線44とを接続する測定電極端子金具43と、ヒータ5への通電を図る一対の通電線55と、通電線55とヒータ5に設けた一対の通電端子53とを接続する一対の通電端子金具54と、固体電解質体2を収容保持する筒状のハウジング70と、基準電極端子金具33、測定電極端子金具43、一対の導通端子金具54を絶縁保持するインシュレータ6と、固体電解質体2の基端側を覆いつつ、基準信号線34、測定信号線44、一対の通電線55を束ねて、気密に封止する筒状のケーシング71と、ハウジング70の先端側から露出するガスセンサ素子2の検出部を保護するカバー体72とを具備する。
ハウジング70には、先端側に、カバー体72を固定するための加締め部701が形成されている。
ハウジング70の先端は筒状のハウジング基部700が設けられ、内側にガスセンサ素子2を収容している。
ハウジング70の先端側外周には、被測定ガスの流れるガス流路に固定するためのネジ部702が形成されている。
ハウジング70の外周には、ネジ部702を螺旋締めするための六角部704が形成されている。
ハウジング70の基端側にはボス部705が形成され、ケーシング71の大径部710が嵌着固定されている。
封止部材63は、金属製シール部材630、633、タルク等の粉末封止部材631、アルミナ等の絶縁封止部材632等によって構成されている。
ケーシング71は、ガスセンサ素子1の基端側を覆いつつ、インシュレータ6を保持すると共に、グロメット64を介して基準信号線34、測定信号線44、一対の通電線55を束ねつつ、ガスセンサ8の基端側を気密に封止している。
ケーシング71の小径部711は、加締部712によって加締め固定されている。
通気孔713には、撥水フィルタ62が配設されている。撥水フィルタ62は、気体は透過して、液体は遮断する、公知のフッ素繊維多孔体からなり、ガスセンサ8の内部への水滴の侵入を阻止している。
インシュレータ6は、アルミナ等の公知の絶縁材料からなり、基準端子金具33、測定端子金具43、一対の通電端子金具54を絶縁保持している。
基準電極導通部330は、ガスセンサ素子1の内周面に設けた基準電極端子部32と弾性的に当接して導通を図っている。
ヒータ把持部331は、ヒータ5を弾性的に把持し、固体電解質体2の内側の所定位置に固定している。
基準信号線圧着部333は、基準信号線34の芯線340を加締めて、基準信号線34と基準端子金具33との導通を確保している。
測定電極導通部430は、ガスセンサ素子1の外周面に設けた測定電極端子部42と弾性的に当接して導通を図っている。
測定電極リード部431は、インシュレータ6に保持されている。
測定信号線圧着部432は、測定信号線44の芯線440を加締めて、測定信号線44と測定端子金具43との導通を確保している。
インシュレータ6は、基準端子金具33、基準信号線34、測定端子金具43、測定信号線44とケーシング71との電気的絶縁を図っている。
それぞれのヒータ通電部540は、ヒータ5の基端側外周面に設けた一対のヒータ電極部53と弾性的に当接して導通を図っている。
それぞれの通電線圧着部542は、一対の通電線55の芯線550を加締めて、一対の通電線55と一対の通電端子金具54との導通を確保している。
基準電極検出部30の接する大気中の酸素濃度と測定電極検出部40の接する被測定ガス中の酸素濃度との差によって生じる基準電極3と測定電極4との間の起電力や、電極間に流れる電流から被測定ガス中の特定ガス成分の濃度を算出する。
また、基準電極3と測定電極4との間の交流インピーダンスの変化から、ガスセンサ素子1の温度を算出し、発熱体50の温度を所定温度に制御すべく、電力が制御されて一対の通電線55を介してヒータ5に供給される。
発熱体50には、タングステン、モリブデンシリサイト等の公知の抵抗発熱体が用いられる。
絶縁体52には、アルミナ等の公知の耐熱性絶縁材料が用いられている。
ヒータリード部51には、タングステン等の公知の導電性材料が用いられている。
ヒータ電極には、白金等の公知の導電性材料が用いられている。
カバー体72は、ステンレス、鉄、ニッケル合金等の公知の金属材料からなり、ガスセンサ素子1の先端に設けた検出部10を覆っている。
カバー体72のカバー体フランジ部722は、ハウジング70の先端に設けた加締め部701によって加締め固定されている。
カバー体72には、その内側に被測定ガスを導入するためのカバー体通気孔721が複数穿設されている。
例えば、本実施形態では、ガスセンサ素子1の先端に設けた検出部10を覆う一つのカバー体72を配設した例を示しているが、2以上のカバー体を同心に配設した多重筒構造のものを設けても良い。
また、本実施形態のカバー体通気孔721は、カバー体本体部720の側面をコ字型に切り欠いて、内側に折り曲げてルーバー状に形成した例を示してあるが、そのようなものに限定するものではなく、底面に貫通孔を穿設しても良いし、カバー体本体部720の側面の複数箇所において、軸方向に上下2段に配列するようにしても良い。
図4A、図4Bを参照して、従来の問題点と本発明の効果について説明する。
基準電極3と測定電極4との間に、一定の交流電圧を印加し、交流の周波数を変化させたときの電流を測定し、交流インピーダンスを求めて、横軸にインピーダンスZの実成分Zrと、縦軸に虚数成分Zcとを複素平面にプロットした複素インピーダンス平面プロット(いわゆるコールコールプロット)を図4A、図4Bに示す。
図4A、図4Bにおいて、初期の値を点線で、耐久試験後の値を実線で示している。
図4Aに示すように、従来の、基準電極を一定膜厚で形成した場合、長期の使用により電極を構成する白金粒子が凝集を起こし、白金粒子間の接触抵抗が大きくなり、表面積が小さくなり容量成分も大きくなる。
複素インピーダンスの変動により、測定されたインピーダンスに基づいて温度制御をした場合に、目標温度と実際の温度とのズレが大きくなり、センサの出力が不安定となる虞がある。
その結果、図4Bに示すように、電極間の複素インピーダンスZが初期値との差が小さくなっている。
したがって、複素インピーダンスの変動が少なく、安定した温度制御が可能となり、センサとしての信頼性も向上する。
図5は、各水準における基準電極4の膜厚プロファイルを模式的に表した断面図である。本発明者は、表1A、表1Bに示す33水準の試験を行った。
水準1〜3は、基準電極3を固体電解質体2の先端から基準電極端子部32の基端までを一定膜厚で、それぞれ1.8、1.4、1.0μmに形成している。
水準4〜9は、基準電極厚膜領域L11を固体電解質体2の先端から20mmの位置までとし、残余の部分を基準電極薄膜領域L12とし、それぞれの領域の厚膜部膜厚T11を1.0から0.4μm、薄膜部膜厚T12を0.8〜0.3μmまで、図5及び表1A、表1Bに示すようなプロファイルで変化させた。
水準10〜12は、表1A、表1Bに示すように、測定電極4の膜厚を変化させたものである。
水準13〜24は、基準電極膜厚領域L11の位置及び膜厚T11を図5、表1A、表1Bに示すように変動させ、臨界的意義を見いだすための試験である。
水準1〜26は、基準電極リード部31の周方向の幅を1mmに設定してある。
また、水準27〜29は、基準電極リード部31の周方向の幅をそれぞれ、3mm、6mm、9mmとしている。
水準30、31は、内周面201の全周に亘って基準電極リード部31を形成してある。
水準10、11、12、32、33は、外周面202に設けた測定電極4の膜厚をそれぞれ、1.4、1.8、2.2、0.7、0.6μmに変化させたものである。
それぞれの水準における詳細な膜厚分布は、表1A、表1Bに示した通りである。
水準10、11、12は、測定電極4の膜厚T13を、1.4、1.8、2.2μmに設定してある。
また、耐久後の出力変動を測定した。
さらに、それぞれの水準に対して、500℃、600℃、700℃における初期インピーダンスについて、測定した。
これを、相対化したものを図7Bに示す。
図7Bに示すように、被測定ガス温度T1とガスセンサ素子2の温度T2とは、相対的な温度変化がほぼ完全に一致する。
ガスセンサ素子2の先端から3mm程度の位置が最高温度に達し、検出部10は、最高温度の96%以内の温度で加熱されることが判明した。
表1A、表1B、図8A、図8Bに示す水準1〜9の結果から、基準電極厚膜領域L11における基準電極3の厚膜部膜厚T11は、0.5μmから0.6μmに臨界があることが判明した。
即ち、厚膜部膜厚T11を0.5μm以下とした場合には、耐久後のインピーダンスが大きく変動し、厚膜部膜厚T11を0.6μm以上とした場合には、耐久後のインピーダンスの変動が抑制され、基準電極3の微粒化を抑制できることが判明した。
即ち、水準17、18のように、基準電極厚膜部領域L11の基端側端縁の位置は、固体電解質体2の先端から3mm以内とした場合には、耐久後のインピーダンスが大きく変動し、厚膜部膜厚T11を1μmにしても、耐久性の向上を図ることができないことが判明した。
表1A、表1Bにおいて、水準19〜22の判定結果に○を付し、水準17、18、23、24の判定結果を×付してある。
図10は、水準20、27〜30、31の素子温度に対する交流インピーダンスの温度特性を示すものである。
図10に示すように、水準31のように、リード部31を全周に亘って形成した場合に比べ、リード部31の周方向幅Wを9mm以下とした水準20、27〜30では、いずれも交流インピーダンスの抵抗成分の温度特性勾配が大きくなることが判明した。
即ち、僅かな温度差でインピーダンスが大きく変化するので、ガスセンサ素子1の温度をインピーダンス制御をする際には、リード部31の周方向幅Wを9mm以下とすることによって、温度特性勾配を大きくして、素子温度ばらつきを小さくできる。
一方、水準1〜3は、耐久性は高いものの、基準電極3の白金使用量が高く、製造コストがかさみ、表1A、表1Bの判定では、×及び△の符号を付した。
このため、製造コスト削減を図りつつ、耐久性向上を実現するためには、水準5〜7の構成を取るのが望ましいことが判明した。
水準17、18では、基準電極膜厚領域L11が、ガスセンサ素子2の先端から5mm以内であるため、基準電極検出部30の微粒化が進み、出力にも影響があったものと推察される。
図11Cに示すように、測定電極4の膜厚は、0.7μm以上とすることによって、耐久性の向上を図ることができることが判明した。
図12に示すように、ガスセンサ素子2の先端から3mm付近の温度が最も高くなる。
基準電極4の耐久性向上の効果が現れるためには、ガスセンサ素子の先端から5mmの位置が臨界となるため、ガスセンサ素子2の最高温度位置から、少なくとも、1.5%以内の温度となる範囲を基準電極厚膜部領域L11とすることで、基準電極検出部30の耐久性向上を図ることができると考えられる。
また、基準電極厚膜部領域L11の上限L11maxを、ガスセンサ素子2の先端からの距離で表せば、L11max≦20mmが望ましい。
さらに、厚膜部膜厚T11は、0.6μm以上、1.4μm以下が望ましく、薄膜部膜厚T12は、0.5μm以上、1.4μm以下が望ましい。
本発明のガスセンサ素子1の製造方法について説明する。なお、以下の説明において、本発明の要部である基準電極層3以外のガスセンサ素子1を構成する部分の製造方法であって、公知の製造方法については説明を省略し、基準電極3の製造方法分を中心に説明する。
固体電解質体2は、ジルコニア等の公知の固体電解質材料を、ホットプレス等の公知の成形方法によって、一端が開口し、他端が閉塞する有底筒状に形成してある。
このとき、活性下地剤を塗布するに当たり、多孔質のゴム材、スポンジ材、フェルト材、ファイバー状のセラミック成形体のいずれかからなり、所定形状に形成した多孔質担体に活性下地剤を含浸して、固体電解質体2の内周面201に塗布する
活性下地剤を含浸させた多孔質担体を筆記具のペン先のように用いることで、固体電解質体2の内周面201に任意の形状で活性下地剤を塗布することができる。
また、基準電極リード部31となる位置では、活性下地剤を含浸させた多孔質担体の先端を内周面201に押しつけながら軸方向に直線的に移動させることで、一定の幅で活性下地剤を塗布することができる。
本発明者の鋭意試験により、活性下地剤に、沸点が108℃以下の揮発性溶剤を用いるのが望ましいことが判明した。試験結果については、表2を参照して後述する。
第1のメッキ工程P1では、所定形状に形成した活性下地材の内、基準電極厚膜領域L11となる部分のみが浸漬するようにメッキ液と還元剤とを注入して白金の析出を行う。
具体的には、固体電解質体2の底部21の内周面から5mm以上20mm以下の高さまでメッキ液を注入するのが望ましい。
このとき、活性下地材が塗布された基準電極検出部30となる部分のメッキ液が浸漬された部分のみに白金が析出される。
一定の膜厚まで白金が析出したら第2のメッキ工程P2に進む。
これによって、第1のメッキ工程P1と第2のメッキ工程P2との二度に亘って白金の析出が行われた基準電極厚膜領域L11の範囲の膜厚が厚くなり、第2のメッキ工程P2によってのみ白金の析出が行われた範囲の膜厚は薄くなる。
このとき、活性下地材が塗布されていない部分には、メッキが施されないため、固体電解質体2の内周面201に画いた活性下地材の形状に一致する形状の基準電極層3を形成することができる。
以上の工程により、所定の範囲の膜厚を厚くした基準電極3を形成することができる。
また、検出部10を構成する測定電極検出部40は、固体電解質体2の外周表面を全周方向に覆うように形成され、測定電極リード部41は、周方向の幅Wが、0.5mm以上、4mm以下の範囲で1本又は2本形成され、測定電極端子部42は、固体電解質体2の外周表面を全周方向に覆うように形成されている。
但し、測定電極4は、固体電解質体2の外周面202に形成するため、公知の製造方法によって形成することも可能である。
また、基準電極リード部41、基準電極端子部42の膜厚を段階的に薄くすることで、抵抗値がさらに高くなるので、長期の使用により基準電極検出部40の微粒化を生じた場合でもインピーダンス増加の影響を少なくすることもできる。
下地形成工程に用いる有機溶剤の種類を変えて、試験を行った結果について説明する。
多孔質担体として、フェルト材を幅1.5mmに加工し、所定の有機溶剤に白金錯体を溶解させた活性下地液を含浸させた。
この多孔質担体を用いて、固体電解質体2を横向きにした状態で内周面201に所定の形状の活性下地液を塗布し、固体電解質体2を立てた状態で乾燥した。
その後、メッキ液と還元剤とを含む溶液に浸漬し、メッキを実施し、メッキの線幅、メッキの滲み、活性液のたれ具合から良否判定を行った。
乾燥に時間のかかるターピネオール等は、乾燥途中で、活性下地剤が固体電解質体2の内周面201に濡れ広がり、活性下地剤を所望の形状に維持することが困難なためと推察される。
なお、前記実施形態におけるガスセンサ素子1と同じ構成については、同じ符号を付したので、説明を省略し、本実施形態におけるガスセンサ素子1aの特徴的な部分を中心に説明する。
前記実施形態においては、検出部10を構成する基準電極検出部30と測定電極検出部40が固体電解質体2の底部21の内外表面を覆うように形成された例を示したが、本実施形態においては、図13に示すように、底部21が露出するように、基準電極検出部30aと測定電極検出部40aとを形成して検出部10aを構成した点が相違する。
本発明の製造方法によれば、活性下地剤を塗布する際に、マスキング等を施さなくても、活性下地剤を含浸させた多孔質担体を筆記具のように用いて、任意の形状を画くことができるので、基準電極検出部30をこのような形状とすることができるのである。
また、本実施形態においても、前述の製造工程に従って、基準電極検出部40aの特定の範囲の膜厚T11を他の部分の膜厚T12よりも厚くすることで、基準電極4aに使用する白金の量を減らしつつ、優れた耐久性を有するガスセンサ素子1aを実現できる。
10、10a 検出部
11、11a 基準電極厚膜領域
12 基準電極薄膜領域
2 固体電解質体
3、3a 基準電極
30、30a 基準電極検出部
31 基準電極リード部
32 基準電極端子部
33 基準電極端子金具
34 基準信号線
340 芯線
4 測定電極
40、40a 測定電極検出部
41 測定電極リード部
42 測定電極端子部
43 測定電極端子金具
44 測定信号線
440 芯線
5 ヒータ
50 発熱体
51 発熱体リード部
52 ヒータ絶縁部
53 通電端子部
54 通電端子金具
55 通電線
550 芯線
6 インシュレータ
7 筐体部
70 ハウジング
71 ケーシング
72 カバー体
8 ガスセンサ
L10 検出部長さ
L11 厚膜部長さ
L11min 厚膜部長さ下限
L11max 厚膜部長さ上限
L12 薄膜部長さ
T11 厚膜部膜厚
T11min 厚膜部膜厚下限
T11max 厚膜部膜厚上限
T12 薄膜部膜厚
Claims (15)
- 少なくとも、一端が閉塞し他端が開放する有底筒状の固体電解質体(2)と、前記固体電解質体の内周面に設けた基準電極(3)と、前記固体電解質体の外周面に設けた測定電極(4)と、を具備し、前記固体電解質体の閉塞端側の所定の範囲を検出部(10)としたガスセンサ素子(1)であって、
前記測定電極が、前記固体電界質体の閉塞端側外周面の所定の範囲に設けられ被測定ガスに接し、前記検出部を構成する測定電極検出部(40)と、前記固体電解質体の開放端側外周面の所定範囲に設けられ、外部に接続される測定電極端子部(42)と、前記測定電極検出部と前記測定電極端子部とを繋ぐ測定電極リード部(41)とを具備し、
前記基準電極が、前記固体電解質体の閉塞端側の前記測定電極検出部に対向する範囲に設けられ、前記固体電解質体の内側に導入される基準ガスに接し、前記測定電極と共に前記検出部を構成する基準電極検出部(30)と、前記固体電解質体の開放端側内周面の所定範囲に設けられ、外部に接続される基準電極端子部(32)と、前記基準電極検出部と前記基準電極端子部とを繋ぐ基準電極リード部(31)とを具備し、
少なくとも、前記基準電極検出部の一部又は全部の膜厚を、前記基準電極リード部及び前記基準電極端子部の膜厚よりも厚く形成した基準電極厚膜領域(L11)を具備することを特徴とするガスセンサ素子 - 前記ガスセンサ素子を加熱活性化すべく、前記ガスセンサ素子の内側に、通電により発熱するヒータ(5)を収容して、加熱したときに、前記基準電極検出部が到達する最高温度から少なくとも1.5%以内の温度となる範囲を前記基準電極厚膜領域とした請求項1に記載のガスセンサ素子
- 前記基準電極厚膜領域の開放端側端縁の位置が、前記ガスセンサ素子の先端から5mm以上20mm以下の範囲にある請求項1又は2に記載のガスセンサ素子
- 前記基準電極検出部が、前記固体電解質体の内周面において、周方向に対して全周に亘って設けられ、前記基準電極リード部が、前記固体電解質体の内周面において、一定の幅で軸方向に伸びる短冊状に設けられ、前記基準電極端子部が、前記固体電解質体の内周面において、周方向に対して全周に亘って、若しくは一部に設けられた請求項1ないし3のいずれかに記載のガスセンサ素子
- 前記基準電極厚膜領域の膜厚を、前記基準電極における前記基準電極厚膜領域以外の部分の膜厚より、0.1μm以上厚くした請求項1ないし4のいずれかに記載のガスセンサ素子
- 前記基準電極厚膜領域の膜厚が0.6μm以上1.4μm以下である請求項1ないし5のいずれかに記載のガスセンサ素子
- 前記基準電極検出部において前記基準電極厚膜領域以外の膜厚が0.5μm以上1.4μm以下である請求項1ないし6のいずれかに記載のガスセンサ素子
- 前記基準電極リード部及び前記基準電極端子部の膜厚が0.5μm以上1.4μm以下である請求項1ないし7のいずれかに記載のガスセンサ素子
- 前基準電極リード部の内周方向の幅が9mm以下である請求項1ないし8いずれか記載のガスセンサ素子
- 前記測定電極の膜厚が一定で、0.7μm以上1.8μm以下である請求項1ないし9のいずれか記載のガスセンサ素子
- 請求項1ないし10のいずれか記載のガスセンサ素子の製造方法であって、一端が閉塞し他端が開口する有底筒状に形成した固体電解質体(2)の内周面(201)の所定範囲に、有機白金錯体と揮発性溶剤とを含む活性下地剤を塗布した後加熱を行って、前記基準電極(3)を形成する範囲に所望の形状に白金核を析出させる下地形成工程(P0)と、前記基準電極厚膜領域(L11)となる部分のみが浸漬するようにメッキ液と還元剤とを注入して白金の析出を行う第1のメッキ工程(P1)と、前記基準電極厚膜領域を含む基準電極の全体が浸漬するようにメッキ液と還元剤とを注入して白金の析出を行う第2のメッキ工程(P2)とを具備することを特徴とするガスセンサ素子の製造方法
- 前記第2のメッキ工程で用いるメッキ液の濃度を前記第1のメッキ工程で用いるメッキ液の濃度を低くした請求項11に記載のガスセンサ素子の製造方法
- 前記下地形成工程において、前記活性下地剤を塗布するに当たり、多孔質のゴム材、スポンジ材、フェルト材、ファイバー状のセラミック成形体のいずれかからなる多孔質担体に前記活性下地剤を含浸して、前記固体電解質体の内周面に塗布する請求項11又は12に記載のガスセンサ素子の製造方法
- 沸点が108℃以下の揮発性溶剤を用いる請求項11ないし13のいずれか記載のガスセンサ素子の製造方法
- 請求項1ないし10のいずれか記載のガスセンサ素子(1)と、該ガスセンサ素子の内側に設けられ通電により発熱するヒータ(5)と、前記基準電極端子部と外部に接続する基準信号線(34)との導通を図りつつ、前記ヒータを保持する基準電極端子金具(33)と、前記測定電極端子部と外部に接続する測定信号線(44)との導通を図る測定電極端子金具(32)と、前記ヒータへの通電を図る一対の通電線(55)と、該通電線と前記ヒータとを接続する一対の通電端子金具(54)と、前記固体電解質体を収容保持する筒状のハウジング(70)と、前記基準電極端子金具、前記測定電極端子金具、前記導通端子金具を絶縁保持するインシュレータ(6)と、前記固体電解質体の基端側を覆いつつ、前記基準信号線、前記測定信号線、前記導通線を束ねて、気密に封止する筒状のケーシング(71)と、前記ハウジングの先端側から露出するガスセンサ素子の検出部を保護するカバー体(72)とを具備し、被測定ガス中の特定成分を検出するガスセンサ(8)
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