JP4620647B2 - ガスセンサ素子およびガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、有底筒状の固体電解質体の外側表面に検知電極となる外側電極が形成され、内側表面に基準電極となる内側電極が形成されたガスセンサ素子およびそれを用いてなるガスセンサに関する。
従来より、自動車等の内燃機関から排出される排気ガス中の酸素濃度を検出し、内燃機関に供給する混合気の空燃比を制御するものとして、酸素センサ素子を内蔵する酸素センサが用いられている。このうち、酸素センサ素子は、例えば一端が閉塞され他端が開放された筒状の固体電解質体を主体とし、その外側表面に検知電極となる外側電極が形成され、内側表面に基準電極となる内側電極が形成されている。
このような酸素センサ素子では、外側表面に検出対象である検出ガスを接触させ、内側表面に基準となる基準ガスを接触させ、これら検出ガスと基準ガスとの間の酸素分圧の差により両電極間に発生した起電力を検出することにより、検出ガス中の酸素ガス濃度を測定している。このような酸素センサ素子における外側電極および内側電極は、酸素分子の透過性を向上させ、低温での作動性やガス応答性を向上させるため、一般に多孔質状に形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2000−174434号公報(例えば、特許請求の範囲参照)
ところで、自動車等の内燃機関に用いられる酸素センサ素子については早期活性化が求められている。そして、このような酸素センサ素子のセンサ出力は通常はプラス(0mV以上)の値となるが、酸素センサ素子が活性化した直後のわずかな時間については、センサ出力がマイナスの値となり、正確に酸素濃度を検出することができないことがある。
すなわち、酸素センサ素子の外側電極および内側電極は多孔質状とされているが、このような多孔質状の外側電極および内側電極の内部や固体電解質体との界面近傍には未使用時に水分が付着しやすい。そして、酸素濃度を検出する際には、固体電解質体を活性化するためにヒータによる加熱が行われる。その際に、外側電極および内側電極の内部や固体電解質体との界面近傍に付着している水分が加熱により蒸発するが、その蒸発した水分が、酸素センサ素子が活性化した後でも、該電極の内部や固体電解質体との界面近傍に留まっている場合があり、その場合にはセンサ出力に悪影響を与える虞がある。特に、酸素濃度を検出するための基準電極となる内側電極の場合に顕著に現れる。すなわち、内側電極の内部や固体電解質体との界面近傍に付着していた水分が加熱により蒸発し、酸素センサ素子が活性した後でも、その蒸発した水分が内側電極の内部や固体電解質体との界面近傍に留まっていると、基準となる酸素分圧が低下するためにセンサ出力は低下してマイナスの値となり、酸素濃度を正確に測定することが困難となることがある。
本発明は上記したような課題を解決するためになされたものであって、ガスセンサ素子が活性化した直後にセンサ出力がマイナスの値となることが抑制され、これにより活性化した直後から正確な測定が可能であり、信頼性に優れたガスセンサ素子を提供することを目的としている。また、本発明はこのようなガスセンサ素子を用いてなる信頼性に優れたガスセンサを提供することを目的としている。
本発明のガスセンサ素子は、酸素イオン伝導性を有する有底筒状の固体電解質体と、前記固体電解質体の外側表面に形成され被検知ガスと接触する外側電極と、前記固体電解質体の内側表面に形成され基準ガスと接触する内側電極とを備えるガスセンサ素子であって、前記内側電極には、厚さ方向に沿って見たときに、孔径が0.4μm以上であると共に、該厚さ方向に貫通する貫通孔が、3000μmあたり2個以上形成されていることを特徴としている。
また、本発明のガスセンサは、ガスセンサ素子と該ガスセンサ素子を取り囲む主体金具とを備えるガスセンサであって、前記ガスセンサ素子として酸素イオン伝導性を有する有底筒状の固体電解質体と、前記固体電解質体の外側表面に形成され被検知ガスと接触する外側電極と、前記固体電解質体の内側表面に形成され基準ガスと接触する内側電極とを備え、前記内側電極には、厚さ方向に沿って見たときに、孔径が0.4μm以上であると共に、該厚さ方向に貫通する貫通孔が、3000μmあたり2個以上形成されているものを用いてなることを特徴としている。
本発明によれば、酸素イオン伝導性を有する有底筒状の固体電解質体の外側表面に外側電極が形成され、内側表面に内側電極が形成されたガスセンサ素子において、前記内側電極に、厚さ方向に沿って見たときに、孔径が0.4μm以上であると共に、該厚さ方向に貫通する貫通孔を、3000μmあたり2個以上形成することで、ガスセンサ素子の未使用時に内側電極の内部や固体電解質体との界面近傍に水分が付着し、この水分がヒータによる加熱により蒸発しても、この蒸発した水分を上記貫通孔から効率的に外部へと排出させることができるため、ガスセンサ素子が活性化した直後から正確な測定が可能であり、信頼性に優れたガスセンサ素子とすることができる。
また、本発明によれば、ガスセンサ素子を取り囲むようにして主体金具が設けられたガスセンサにおいて、前記ガスセンサ素子として酸素イオン伝導性を有する有底筒状の固体電解質体と、前記固体電解質体の外側表面に形成され被検知ガスと接触する外側電極と、前記固体電解質体の内側表面に形成され基準ガスと接触する内側電極とを備え、前記内側電極には、厚さ方向に沿って見たときに、孔径が0.4μm以上であると共に、該厚さ方向に貫通する貫通孔が、3000μmあたり2個以上形成されているものを用いることによって、ガスセンサ素子が活性化した直後から正確な測定が可能であり、信頼性に優れたガスセンサとすることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明のガスセンサ素子1の一例を示した外観図である。また、図2は、図1に示すガスセンサ素子1の先端側の一部を拡大して示した断面図である。なお、本明細書では、ガスセンサ素子1の軸方向における閉じた側を先端側とし、反対側である開いた側を後端側としている。
本発明のガスセンサ素子1は、酸素イオン伝導性を有する有底筒状の固体電解質体(以下、基体と呼ぶ。)2から主としてなるものである。基体2は、その軸方向の略中央部に径方向外側に向かって突出する鍔部2gを有している。基体2の外側表面には、鍔部2gから一定の間隔を開けて先端側の略全面に検知電極となる外側電極3が形成されており、さらにその表面上には電極保護層4が形成されている。なお、外側電極3は、図1に示す電極保護層4の下部全体に形成されている。
外側電極3の後端部にはリード部5が電気的に接続されており、このリード部5は後端側に向かって細線状に形成されている。さらに、リード部5の後端部には端子接続部6が電気的に接続され、この端子接続部6は基体2を周方向に一周するように形成されている。一方、基体2の内側表面の全体には、基準電極となる内側電極7が形成されている。
図3は、ガスセンサ素子1の内側部分を模式的に示した断面図である。上記したように、基体2の内側表面の全体には多孔質状の内側電極7が形成されている。本発明のガスセンサ素子1は、このような多孔質状の内側電極7に、該内側電極7を厚さ(t)方向に沿って見たときに、孔径(d)が0.4μm以上であって、該厚さ(t)方向に貫通する貫通孔10が形成されていることを特徴としている。さらに、本発明のガスセンサ素子1では、このような貫通孔10が、表面7s側から厚さ(t)方向に沿って見たときに、3000μmあたり2個以上形成されていることを特徴としている。
本発明ではガスセンサ素子1の基準電極となる多孔質状の内側電極7をこのような貫通孔10を有するものとすることで、未使用時に多孔質状の内側電極7の内部や基体(固体電解質体)2との界面近傍に水分が付着し、ガスセンサ素子1を活性化させるためのヒータ加熱によりこの水分が蒸発しても、この蒸発した水分を上記貫通孔10を通して効率的に外部(表面7s側)へと排出し、内部に残留しないようにすることができる。このため、ガスセンサ素子1が活性化した直後にガスセンサ素子1のセンサ出力が低下しマイナス(0mV未満)の値となることを抑制することができ、これによりガスセンサ素子1が活性化した直後から正確な測定が可能であり、信頼性に優れたガスセンサ素子1とすることができる。
ここで、貫通孔10の孔径(d)が0.4μm未満の場合、孔径(d)が小さすぎるため、内側電極7の内部や基体2との界面近傍に溜まった水蒸気を効率的に外部へと排出することが困難となる。また、貫通孔10の孔径(d)が0.4μm以上であっても、その個数が3000μmあたり1個以下であると、貫通孔10の個数が少なすぎるため、内側電極7の内部や基体2との界面近傍に溜まった水蒸気が十分に排出されないおそれがある。本発明のガスセンサ素子1では、貫通孔10の孔径(d)が1.0μm以上であればより好ましく、その3000μmあたりの個数が5個以上であればさらに好ましい。
なお、本発明における貫通孔10とは、内側電極7を厚さ(t)方向に沿って見たときに、自身の底面が基体2となっているものを指す。また、本発明における貫通孔10の孔径(d)とは、厚さ(t)方向に沿って見たときに、貫通孔10のうち内側電極7の表面7sに開口している開口部11における最大径のことを意味している。そして、内側電極7の3000μmあたりに孔径(d)が0.4μm以上の貫通孔10が2個以上形成されているか否かについては、例えば内側電極7の表面7sのうち任意の3000μmの領域について走査電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率2000倍程度で観察し、厚さ(t)方向に貫通し、かつ、孔径(d)が0.4μm以上である貫通孔10の個数を計測することにより調べることができる。なお、貫通しているか否かについても、上記の方法で判別することができる。
内側電極7に形成される貫通孔10の孔径(d)の上限については必ずしも制限されるものではないが、貫通孔10の孔径(d)が過度に大きくなると内側電極7の導通を確保することが困難となるおそれがあるため、貫通孔10の孔径(d)は10μm以下とすることが好ましい。なお、3000μmあたりに形成される孔径(d)が0.4μm以上の貫通孔10の個数の上限についても必ずしも制限されるものではないが、内側電極7の導通を確保できるように、制限されていることが好ましい。
本発明における内側電極7については、上記したように孔径(d)が0.4μm以上の貫通孔10が3000μmあたり2個以上形成されていれば特に限定されるものではないが、内側電極7は耐熱性を有する金属からなることが好ましく、例えば白金(Pt)やその合金等の貴金属からなるものが好ましく、その厚さ(t)は一般に0.5μm以上2.5μm以下であることが好ましい。
次に、本発明のガスセンサ素子1の製造方法について説明する。本発明のガスセンサ素子1は、内側電極7の形成を除き、公知のガスセンサ素子の製造方法を適用することができる。以下、本発明のガスセンサ素子1の製造方法について一例を示す。
まず、ジルコニアを主成分とする固体電解質を一端が閉塞された円筒形状にプレス成形した後、1500℃の雰囲気に2時間曝して焼成し、図1に示すような形状の基体2を得る。なお、基体2の表面には、外側電極3やその上に形成される電極保護層4の固着力を高める目的で凹凸を形成しておくことが好ましい。
この基体2の外側表面には、外側電極3、リード部5および端子接続部6を形成する。これら外側電極3、リード部5および端子接続部6の形成は、例えば核付け工程、メッキ工程およびエージング処理を経て行うことができる。
核付け工程では、図1に示すような基体2の外側表面のうち、外側電極3、リード部5および端子接続部6となる部分に貴金属の核を付着させる。貴金属の核の付着は、例えば基体2の外側表面のうち、外側電極3、リード部5および端子接続部6となる部分に貴金属を含む溶液を接触させ、さらにこの貴金属を含む溶液に還元剤を添加することにより行うことができる。
核付け工程で用いられる貴金属を含む溶液としては、後工程であるメッキ工程におけるメッキ液に対して触媒として作用する貴金属を含む溶液であればよく、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属を含む溶液が挙げられ、通常は塩化白金酸水溶液等が用いられる。また、還元剤としては、このような貴金属を含む溶液や基体2と不必要な反応を起こさないものであればよく、例えばヒドラジン(N)等の種々の公知の還元剤を用いることができる。
メッキ工程では、例えば基体2の外側表面のうち、少なくとも貴金属の核を付着させた部分にメッキ液を接触させ、このメッキ液に貴金属の核を付着させた部分以外に貴金属が析出しない程度の還元力を有する還元剤を添加し、付着させた貴金属の核を基点としてメッキ液中の貴金属を析出させる。
メッキ液としては、一般にガスセンサ素子の電極となる貴金属の錯塩を含むもの、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の錯塩を含む水溶液が用いられ、通常は白金錯塩水溶液等が好適に用いられる。なお、錯塩を形成する貴金属は、核付け工程で付着させた核を形成する貴金属と同一種類ものであってもよいし、異なる種類のものであってもよい。また、還元剤としては、貴金属の核を付着させた部分以外に貴金属が析出しない程度の還元力を有するものであればよく、例えばヒドラジン(N)等の種々の公知の還元剤を用いることができる。
そして、核付け工程およびメッキ工程が行われた基体2には、外側電極3を活性化するために、1200℃、1時間程度の熱処理(エージング処理)を行う。さらに、外側電極3の表面を保護するため、プラズマ溶射法によってスピネル粉末を溶射し、電極保護層4を形成する。
次に、基体2の内側表面の全体に内側電極7を形成する。内側電極7の形成は、基本的には上記したような外側電極3等の形成と同様に行うことができ、核付け工程、無電解メッキ法を利用したメッキ工程およびエージング処理を経て行うことができるが、外側電極3等の形成のときのように核付け工程で貴金属の核を密に付着させる代わりに、内側表面の全体に極めて大きな貴金属の核を粗く分布するように付着させる点で異なる。なお、貴金属の核が粗く分布するとは、複数の貴金属の核が内側表面の全体に間隔をあけて点在している状態をいう。
核付け工程で極めて大きな貴金属の核を粗く分布するように付着させるには、例えば貴金属を含む溶液に酸を含有させた酸含有貴金属溶液を基体2の内側表面の全体に接触させ、この酸含有貴金属溶液に還元剤を添加することにより行うことができる。貴金属を含む溶液に酸を含有させることによって極めて大きな貴金属の核を粗く分布するように付着させることができる理由については必ずしも定かではないものの、酸の影響により貴金属の核が付着する速度が遅くなるためと考えられる。
核付け工程で用いられる貴金属を含む溶液としては、後工程であるメッキ工程におけるメッキ液に対して触媒として作用する貴金属を含む溶液であればよく、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属を含む溶液が挙げられ、通常は塩化白金酸水溶液等が用いられる。また、還元剤としては、このような貴金属を含む溶液や基体2と不必要な反応をおこさないものであればよく、例えばヒドラジン(N)等、種々の公知の還元剤を用いることができる。
酸含有貴金属溶液における酸の含有量は必ずしも限定されるものではないが、酸が0.03規定度以上含有されていることが好ましく、さらに好ましくは0.06規定度以上含有されており、最も好ましくは0.1規定度以上含有されているものである。また、酸含有貴金属溶液に含有される酸としては、塩酸が好ましいものとして挙げられる。
酸として塩酸を用いる場合、この酸を含有させるための貴金属を含む溶液としては塩素を含有する貴金属化合物の溶液が好ましく、例えば塩化白金酸水溶液が好ましいものとして挙げられる。言い換えれば、貴金属を含む溶液として塩化白金酸水溶液等の塩素を含有する貴金属化合物の溶液を用いる場合には、含有させる酸を塩酸とすることが好ましい。
例えば、塩素を含有する白金化合物の溶液に塩酸を含有させた場合、次式の平衡が右に傾くために白金化合物の分離が抑制されて安定化し、白金の析出速度が遅くなるため、上記したように極めて大きな白金の核を粗く分布するように付着させることができると考えられる。
メッキ工程では、極めて大きな貴金属の核を粗く分布するように付着させた内側表面の全体に、この貴金属の核が触媒として作用するメッキ液を接触させ、さらにこのメッキ液に貴金属の核を付着させた部分以外に貴金属が析出しない程度の還元力を有する還元剤を添加して、付着させた貴金属の核を基点としてメッキ液中の貴金属を析出させる。
メッキ液としては、一般にガスセンサ素子の電極となる貴金属の錯塩を含むもの、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の錯塩を含む水溶液が用いられ、通常は白金錯塩水溶液等が好適に用いられる。なお、錯塩を形成する貴金属は、核付け工程で付着させた核を形成する貴金属と同一種類ものであってもよいし、異なる種類のものであってもよい。また、還元剤としては、貴金属の核を付着させた部分以外に貴金属が析出しない程度の還元力を有するものであればよく、例えばヒドラジン(N)等の種々の公知の還元剤を用いることができる。
このように基体2の内側表面に核付け工程で極めて大きな貴金属の核を粗く分布するように付着させておき、その後にメッキ工程でこの極めて大きく、粗く分布した貴金属の核を基点として貴金属を析出させることで、内側電極7の全体を多孔質状にすることができると共に、図3に示すように、厚さ(t)方向に沿って見たときに、該厚さ(t)方向に貫通し、孔径(d)が0.4μm以上の貫通孔10を3000μmあたり2個以上形成することができるようになる。
そして、核付け工程およびメッキ工程が行われた基体2には、内側電極7を活性化するため、1200℃、1時間程度の熱処理(エージング処理)を行う。このようにすることで、基体2の外側表面に外側電極3、リード部5および端子接続部6が形成され、内側表面に3000μmあたり孔径(d)が0.4μm以上の貫通孔10が2個以上設けられた内側電極7が形成されたガスセンサ素子1を製造することができる。
以上、本発明のガスセンサ素子1の製造方法について一例を挙げて説明したが、本発明のガスセンサ素子1を製造するにあたっては、必要に応じて、かつ、本発明の趣旨に反しない限度において、公知のガスセンサ素子の製造方法を適用することができる。例えば、基体2の外側表面に形成されるリード部5および端子接続部6は、金属ペーストの塗布、焼成により形成してもよい。また、外側電極3は、核付け工程を物理蒸着法(PVD)により行い、その後に上記したような無電解メッキ法を利用したメッキ工程を行うことにより形成してもよい。
次に、本発明のガスセンサについて説明する。本発明のガスセンサは、ガスセンサ素子として上記したような本発明のガスセンサ素子1を用いたことを特徴とするものである。以下、本発明のガスセンサについて具体的に説明する。
図4は、本発明のガスセンサ30の一例を示した断面図である。ガスセンサ30では、ガスセンサ素子1が筒状の主体金具31によって環状に包囲されている。ガスセンサ素子1の内部には、その一部が挿入保持された内側端子部材32と、ガスセンサ素子1の内部に配置されると共に、内側端子部材32によって姿勢が保持されたヒータ33とが設けられている。
主体金具31は、その中空筒内部に金属製パッキン34、35、36、インシュレータ37、38およびセラミック粉末39を介在して、ガスセンサ素子1(基体1)の鍔部2を係合保持している。これにより、ガスセンサ素子1は主体金具31内に気密に保持されている。
さらに、主体金具31には、その先端側開口部から突出するガスセンサ素子1の先端を覆うように、プロテクタ40が取り付けられている。このプロテクタ40は、外側プロテクタ40a、内側プロテクタ40bの二重構造をなしており、これら外側プロテクタ40a、内側プロテクタ40bには、排気ガスを透過させる複数のガス透過口が形成されている。このため、ガスセンサ素子1の外側表面に形成されている外側電極3は、プロテクタ40のガス透過口を通して、排気ガスと接触することができる。
一方、主体金具31において、六角部31hの後端側の接続部31cには、筒状の金属外筒41の先端部が外側から全周レーザ溶接により固着されている。また、この金属外筒41の後端側開口部は、フッ素ゴムで構成されたグロメット42を嵌入させて加締封止されている。このグロメット42の先端側には、絶縁性のアルミナセラミックからなるセパレータ43が設けられている。そして、グロメット42およびセパレータ43を貫通してセンサ出力リード線44、45およびヒータリード線46、47が配置されている。
なお、グロメット42の中央には、軸線AXに沿う貫通孔が形成されており、この貫通孔に撥水性および通気性を兼ね備えるシート状のフィルタ48を被せた状態の金属パイプ49が嵌め込まれている。これにより、ガスセンサ30の外部の大気はフィルタ48を介して金属外筒41内に導入され、ひいてはガスセンサ素子1の内部に導入されることになる。
また、ステンレス鋼板からなる外側端子部材50は、軸線AXの直交方向断面が略C字状の外嵌部50pと、この外嵌部50pの後端側中央付近から後端側に延びるセパレータ挿入部50sと、さらにこの後端側に位置するコネクタ部50cとを含む。このうちコネクタ部50cは、センサ出力リード線45の芯線を加締めにより把持して、外側端子部材50とセンサ出力リード線45とを電気的に接続する。
また、セパレータ挿入部50sは、セパレータ43内に挿入されると共に、このセパレータ挿入部50sから分岐して突出するセパレータ当接部50dが、保持孔43dに弾性的に当接することにより、外側端子部材50自身をセパレータ43内に保持している。
また、ステンレス銅板からなる内側端子部材32は、軸線AXの直交方向断面が略馬蹄形状の基体挿入部32kと、基体挿入部32kの後端側中央付近から後端側に延びるセパレータ挿入部32sと、さらにこの後端側に位置するコネクタ部32cとを有する。このうち、コネクタ部32cは、センサ出力リード線44の芯線を加締めにより把持して、内側端子部材32とセンサ出力リード線44とを電気的に接続する。また、セパレータ挿入部32sは、セパレータ43内に挿入されると共に、このセパレータ挿入部32sから分岐して突出するセパレータ当接部32dが、保持孔43dに弾性的に当接して、内側端子部材32自身をセパレータ43内に保持している。
以下、本発明を実施例を参照してさらに詳細に説明する。
(実施例1〜4、比較例1、2)
基体として、一端が閉じられた筒状のジルコニア固体電解質体(Yで安定化したZrO98%以上)を用意した。そして、この基体の外側表面のうち外側電極、リード部および端子接続部となる部分を除いてマスクを装着し、このマスクを装着した基体の外側表面を白金濃度0.05[g/l]の白金錯塩水溶液(酸を含まず)に浸漬し、さらに水素化ホウ素ナトリウム水溶液を添加し、外側表面のうちマスクが装着されていない部分、すなわち外側電極、リード部および端子接続部となる部分に白金の核を付着させた。
この白金の核を付着させた基体からマスクを取り外した後、この基体の外側表面をメッキ液としての白金錯塩水溶液に浸漬し、ヒドラジンの水溶液を添加し、付着させた白金の核を基点として白金を析出させた。その後、1200℃、1時間のエージング処理を行った後、外側電極の表面上にプラズマ溶射法によってスピネル粉末を溶射し、電極保護層を形成した。
次に、塩酸の含有量[mol/l]が表1に示すように調整された白金濃度0.5[g/l]の塩化白金酸水溶液を基体の内部に注入した後、これにヒドラジンを添加して0.5時間加熱し、基体の内側表面の全体に白金の核を付着させた。そして、基体の内部から塩化白金酸水溶液を排出した後、この基体の内部にメッキ液としての白金濃度15[g/l]の白金錯塩水溶液を注入し、これにヒドラジンの水溶液を添加し、付着させた白金の核を基点として白金を析出させた。その後、750℃のエージング処理を行い、ガスセンサ素子とした。
このようにして製造した実施例1〜4および比較例1、2のガスセンサ素子について、内側電極の任意の表面を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率2000倍で観察した。その結果、厚さ方向に沿って表面側から内部電極を見たときに孔径(d)が0.4μm以上の貫通孔の個数は表1に示す通りであった。ここで、3000μmあたり孔径(d)が0.4μm以上の貫通孔が2個以上形成されているものが実施例1〜4であり、全く形成されていないか、1個形成されているものが比較例1、2である。
また、図5、6には、具体例としてそれぞれ実施例3および比較例1のガスセンサ素子の内部電極の表面の走査電子顕微鏡写真を示す。図5中、矢印で示した部分が孔径(d)が0.4μm以上の貫通孔が形成されている箇所である。図6については、孔径(d)が0.4μm以上の貫通孔が形成されていないため矢印は付していない。
なお、内側電極に形成される孔径(d)が0.4μm以上の貫通孔の個数は、上記したように、基体の内側表面に白金の核を付着させる際に用いる塩化白金酸水溶液中の塩酸含有量を変化させることにより調整したものである。すなわち、実施例1〜4では、基体の内側表面に比較的塩酸含有量の多い塩化白金酸水溶液を接触させることにより、比較的大きな白金の核を粗く分布するように付着させ、比較例1、2では塩酸を含まないか、塩酸含有量が比較的少ない塩化白金酸水溶液を接触させることにより、白金の核を比較的密になるように付着させ、その後にそれらの白金の核を基点として白金を析出させることにより孔径(d)が0.4μm以上の貫通孔の個数を調整した。なお、貫通孔であるか否かは、走査電子顕微鏡により、孔の底面にジルコニア固体電解質体が見えるか否かによって判断した。
次に、図7に示すように、密閉容器70中に実施例1〜4および比較例1、2のガスセンサ素子1を先端側を下向きにして配置すると共に、純水71を入れた容器72を配置した。この密閉容器70を恒温槽に入れ、60℃で2時間保持し、さらに5℃で2時間保持する操作を1サイクルとし、このサイクルを20サイクル繰り返して行い、ガスセンサ素子1に加湿処理を行った。その後、密閉容器70からガスセンサ素子1を取り出して図8に示す装置に固定し、プロパンガスと大気とを燃焼させて得られるガス温度650℃、空気過剰率(λ)1.1の燃焼ガス雰囲気中にガスセンサ素子1の先端側を曝すと共に、このガスセンサ素子1の外側電極および内側電極に電気的に接続された記録装置によってセンサ出力を記録し、センサ出力がマイナス(0mV未満)となるか否かを評価した。結果を表1に示すと共に、実際の出力波形図の例として実施例3および比較例1のガスセンサ素子の出力波形図をそれぞれ図9、10に示す。
表1から明らかなように、内側電極の3000μmあたり孔径(d)が0.4μm以上の貫通孔が2個以上形成されている実施例1〜4のガスセンサ素子については、内部電極の内部や固体電解質体との界面近傍に付着していた水分が蒸発しても、この蒸発した水分は貫通孔から効率的に外部へと排出され、例えば図9の出力波形図に示されるように、センサ出力の値がマイナス(0mV未満)となることはないことが認められた。
これに対して、内側電極の3000μmあたり孔径(d)が0.4μm以上の貫通孔が全く形成されていないか、1個のみ形成されている比較例1、2のガスセンサ素子については、内部電極の内部や固体電解質体との界面近傍に付着していた水分が蒸発した場合、この蒸発した水分が内部電極から外部へと十分に排出されないため、例えば図10の出力波形図において矢印で示すように、センサ出力が大きくマイナスとなることが認められた。
本発明のガスセンサ素子の一例を示す外観図。 図1に示すガスセンサ素子の先端側断面を示した断面図。 本発明のガスセンサ素子の内側部分を模式的に示した断面図。 本発明のガスセンサの一例を示す断面図。 実施例3のガスセンサ素子における内部電極の表面の走査電子顕微鏡写真。 比較例1のガスセンサ素子における内部電極の表面の走査電子顕微鏡写真。 ガスセンサ素子への加湿処理の方法を模式的に示した外観図。 ガスセンサ素子のセンサ出力の測定方法を模式的に示した図。 実施例3のガスセンサ素子のセンサ出力の測定結果を示した出力波形図。 比較例1のガスセンサ素子のセンサ出力の測定結果を示した出力波形図。
符号の説明
1…ガスセンサ素子、2…基体、3…外側電極、4…電極保護層、5…リード部、6…端子接続部、7…内側電極、7s…内側電極の表面、10…貫通孔、11…開口部、30…ガスセンサ、31…主体金具、d…貫通孔の孔径、t…内側電極の厚さ

Claims (2)

  1. 酸素イオン伝導性を有する有底筒状の固体電解質体と、前記固体電解質体の外側表面に形成され被検知ガスと接触する外側電極と、前記固体電解質体の内側表面に形成され基準ガスと接触する内側電極とを備えるガスセンサ素子であって、
    前記内側電極には、厚さ方向に沿って見たときに、孔径が0.4μm以上であると共に、該厚さ方向に貫通する貫通孔が、3000μmあたり2個以上形成されていることを特徴とするガスセンサ素子。
  2. ガスセンサ素子と該ガスセンサ素子を取り囲む主体金具とを備えるガスセンサであって、
    前記ガスセンサ素子として請求項1記載のガスセンサ素子を用いてなることを特徴とするガスセンサ。
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