JP6917207B2 - ガスセンサ - Google Patents
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Description
このセンサ素子は、固体電解質体を挟んだ外側電極及び内側電極の間に検知セルが構成され、固体電解質体を活性化温度以上にすることで、酸素濃度を検出している。
ところで、金具本体と、金具本体に近いリード部との間の電気抵抗が低下すると、これらの間で電流が流れて外側電極の出力にノイズが生じることがある。そこで、電極部の表面から鍔部を跨いでリード部の後端側までの領域を、スピネルを主成分とする耐熱性材料からなる多孔質保護層で覆っている。
又、上記した多孔質保護層は電極部の被毒を防止する効果も有する。
一方、上記した多孔質保護層は多孔であるため、高温の排気ガスがセンサ素子側からリード部側まで上昇してリード部が高温となった場合に、リード部に含まれるPt等の貴金属成分が昇華し、リード部、ひいては外側電極の耐久性が低下するという問題がある。
従って、本発明は、外側電極の出力を安定化し、外側電極の耐久性の低下と、低温でのガスセンサの作動性の低下を共に抑制したガスセンサの提供を目的とする。
又、保護層が電極部を覆い、さらに保護層よりも気孔率が小さい絶縁層が保護層の後端側と接しつつ鍔部までを覆っている。つまり、リード部の先端から少なくとも鍔部までが保護層又は絶縁層で覆われている。このため、センサ素子の先端側から高温の被測定ガス(排気ガス等)が鍔部まで上昇してリード部が高温となっても、保護層よりも緻密な絶縁層によって覆われたリード部中のPt等の貴金属が昇華することが抑制され、外側電極の耐久性の低下を抑制できる。
さらに、熱伝導率が素子本体と同じかそれよりも低い保護層が電極部を(完全に)覆うことで、電極部の熱が素子本体の後端側に逃げる割合が少なくなるので電極部を昇温し易くなり、低温でのガスセンサの作動性の低下を抑制できる。
さらに、距離Lが7.7mm以上になると、電極部の周囲がより熱伝導率の低い保護層で多く覆われることになり、電極部の熱が素子本体の後端側に逃げる割合がさらに少なくなる。
このセンサ素子によれば、絶縁層による、鍔部と金具本体との間の絶縁がより確実になる。
図1は、本発明の実施形態に係るガスセンサ100を軸線O方向(先端から後端に向かう方向)に沿う面で切断した断面構造を示す。この実施形態において、ガスセンサ100は自動車の排気管内に挿入されて先端が排気ガス中に曝され、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサになっている。ガスセンサ100に組み付けられたセンサ素子3は、酸素イオン伝導性の固体電解質体からなる素子本体3sに一対の電極を積層した酸素濃淡電池を構成し、酸素量に応じた検出値を出力する公知の酸素センサ素子である。
なお、図1の下側をガスセンサ100の先端側とし、図1の上側をガスセンサ100の後端側とする。
金具本体20の後端部には、センサ素子3の後端側に設けられたリード線41や端子74、94(後述)を保持し、センサ素子3の後端部を覆う筒状の外筒40が接合されている。さらに、センサ素子3の後端側の外筒40内側には、絶縁性で円柱状のセパレータ121が加締め固定されている。一方、センサ素子3先端の検出部はプロテクタ7で覆われている。そして、このようにして製造されたガスセンサ100の金具本体20の雄ねじ部20dを排気管等のネジ孔に取付けることで、センサ素子3先端の検出部を排気管内に露出させて被検出ガス(排気ガス)を検知している。なお、金具本体20の中央付近には、六角レンチ等を係合するための多角形の鍔部20cが設けられ、鍔部20cと雄ねじ部20dとの間の段部には、排気管に取付けた際のガス抜けを防止するガスケット14が嵌挿されている。
さらに、鍔部3aの後端側におけるセンサ素子3と金具本体20との径方向の隙間に、筒状の滑石粉末6、及び筒状のセラミックスリーブ10が配置されている。そして、セラミックスリーブ10の後端側に金属リング30を配し、金具本体20後端部を内側に屈曲して加締め部20aを形成することにより、セラミックスリーブ10が先端側に押し付けられる。これにより滑石粉末6を押し潰し、セラミックスリーブ10及び滑石粉末6が加締め固定されるとともに、センサ素子3と金具本体20の隙間がシールされている。
セパレータ121の後端側の外筒40内側には、セパレータ121と離間して筒状のグロメット131が加締め固定され、グロメット131の4個の挿通孔からそれぞれ2個のリード線41、及び2個のヒータリード線が外部に引き出されている。
又、多孔質の保護層81は電極部51及びリード部53の先端側を覆っている。さらに、絶縁層82は、保護層81の後端側と軸線O方向に接すると共に、軸線O方向に鍔部3aまでの領域を絶縁可能に覆っている。
保護層81としては、素子本体3sと同様、イットリアを安定化剤として固溶させた部分安定化ジルコニア(YSZ)を用いることができる。そして、YSZを含むペースト中に焼失性の有機粒子等を加えた保護層81ペーストを、素子本体3sに塗布した後、全体を焼成することで保護層81を多孔質層とすることができる。なお、保護層81及び素子本体3sを同一成分で形成しても、保護層81を多孔質とすることで、保護層81の熱伝導率が素子本体3sの熱伝導率よりも低くなる。
絶縁層82としては、アルミナ、スピネル等のセラミックスを用いることができ、絶縁性を確保するため、これらを保護層81よりも気孔率が小さい緻密な層とすればよい。
又、外側電極50は、Pt等の貴金属を無電解メッキ等したり、貴金属を含むペーストを塗布後に焼成して形成することができる。
これは、センサ素子3の点Cから部位Rまでは、ワッシャ12もしくは金具本体20と接する可能性があるため、その部分の絶縁性を確保する必要があるからである。
又、保護層81が電極部51を覆い、さらに絶縁層82が保護層81の後端側と接しつつ鍔部3aまでを覆っている。つまり、リード部53の先端から少なくとも鍔部3aの部位Rまでが保護層81又は絶縁層82で覆われている。このため、センサ素子3の先端側から高温の被測定ガス(排気ガス等)が部位Rまで上昇してリード部53が高温となっても、絶縁層82で覆われたリード部53中のPt等の貴金属が昇華することが抑制され、外側電極50の耐久性の低下を抑制できる。
さらに、熱伝導率が素子本体3sと同じかそれよりも低い保護層81が電極部51を(完全に)覆うことで、電極部51の熱が保護層81から素子本体3sの後端側に逃げる割合が少なくなり、電極部51を昇温し易くなり、低温でのガスセンサの作動性の低下を抑制できる。
これにより、絶縁層82による、鍔部3aと金具本体20との間の絶縁がより確実になる。
距離Lが7.7mm以上になると、電極部51の周囲がより熱伝導率の低い保護層81で多く覆われることになり、電極部51の熱が素子本体3sの後端側に逃げる割合がさらに少なくなる。
なお、気孔率の測定は、素子断面のSEM(Scanning Electron Microscope)観察にて、3000倍のSEM画像を取得したのち、得られた画像を画像解析ソフトにて2値化し、気孔部とそれ以外の部分の専有面積から、気孔率を算出することで行った。
例えば、保護層81及び絶縁層82の材質は上記に限定されない。
上記の各スラリーが塗布された成形体を1300℃〜1500℃で焼成することで、センサ素子3を製造した。そして、図1に示すようにして、このセンサ素子3を組み付け、ガスセンサ100を得た。
得られたガスセンサ100を公知のバーナー測定装置に取り付けて、バーナー測定法により外側電極50と内側電極の間の内部抵抗測定を行った。詳細には、ガス温度300℃で空燃比λ=0.9(リッチ)におけるセンサ出力を、2種類の入力インピーダンス(1MΩ、100kΩ)で検出し、その出力差に基づいて内部抵抗を算出した。
図3に示すように、距離Lが7.7mm以上になると、外側電極50と内側電極の間の内部抵抗が減少することがわかる。この内部抵抗が低いほど、電極部51の熱が保護層81から素子本体3sの後端側に逃げる割合が少ないことを示し、低温でのガスセンサの作動性が良好となる。
3a 鍔部
3s 素子本体
20 金具本体
50 外側電極
51 電極部
53 リード部
81 保護層
82 絶縁層
100 ガスセンサ
O 軸線
Claims (2)
- 軸線方向に貫通孔を有する筒状の金具本体と、
前記軸線方向に延び、先端が閉じた中空軸状に形成されて径方向外側に突出する鍔部を有する素子本体と、前記素子本体の外周面に形成された外側電極と、を有するセンサ素子と、
を備えたガスセンサであって、
前記金具本体の内側に前記鍔部が係合しつつ前記センサ素子が挿通され、
前記外側電極は、電極機能を有して前記鍔部よりも先端側に配置される電極部と、該電極部に電気的に接続されて該電極部よりも後端側に延びると共に前記鍔部を跨ぎ、前記電極部よりも幅狭なリード部と、を有し、
さらに、前記電極部を覆う多孔質の保護層と、前記保護層と異なる材料から構成されて前記鍔部を絶縁可能に覆う絶縁層と、を備え、
前記絶縁層は前記保護層よりも気孔率が小さく、
前記保護層と前記絶縁層とは前記軸線方向に接し、前記保護層と前記絶縁層の少なくとも一方が、前記鍔部より先端側の前記リード部を覆い、
前記保護層の熱伝導率が前記素子本体の熱伝導率と同じかそれよりも低く、
前記電極部の後端から前記絶縁層の先端までの前記軸線方向の距離Lが7.7mm以上であるガスセンサ。 - 前記絶縁層を構成する材料の電気抵抗が前記保護層を構成する材料の電気抵抗よりも高くなっている請求項1に記載のガスセンサ。
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