JP5565390B2 - ガスセンサ素子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被測定ガス中の特定ガス成分を検出するガスセンサ素子の製造方法に関する。
従来、内燃機関の燃焼排気を被測定ガスとし、被測定ガス中に含まれる酸素、NOx、水素、アンモニア等の特定ガス成分の濃度をガスセンサによって検出し、内燃機関に供給する燃料の空燃比制御、排気浄化装置の駆動制御、排気浄化装置の異常検出等に利用されている。
このようなガスセンサは、酸素や水素等の特定イオンに対して伝導性を有するイットリア安定化ジルコニア、等の固体電解質材料からなる固体電解質基体に少なくとも測定電極と基準電極とを形成したガスセンサ素子が用いられ、ガスセンサ素子の被測定ガスに晒される部分には、被測定ガス中に含まれるP、S等の被毒成分による測定電極の劣化や、被測定ガス中に含まれる水分の付着による固体電解質基体の被水割れ等を防止すると共に、測定電極に到達する被測定ガスの拡散速度や拡散量を 抑制し、検出出力を安定化すると共に検出出力の応答を抑制 するために、検出部の表面にアルミナ、チタニア、スピネル等の耐熱性粒子からなる多孔質保護層が形成されている。
また、このような多孔質保護層の形成方法として、プラズマ溶射ガンを用いて、水冷されたノズル状の陽極(例えばCu等)と一定の間隙を隔てて対向する陰極(例えば、W等)との間に高電圧を印加し、高圧の不活性ガス(例えばAr等)の存在下でアーク放電を行って、極めて高温(約5000〜100000℃)で、極めて高速(例えば、1200m/秒)のプラズマ炎PLSを発生させ、陽極ノズルの先端に供給した耐熱性粒子からなる被溶射粉末を瞬間的に加熱溶融し、加速させて 融状態でガスセンサ素子の表面に衝突させ成膜し、急速固化させることによって、多孔質保護層を形成する、いわゆるプラズマ溶射法による多孔質保護層の製造方法が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
アルミナ等の耐熱性粒子を無機バインダーと共に水に分散させたスラリーにセンサ素子を浸漬し、加熱乾燥して、多孔質保護層を形成する、いわゆるディッピング法によって形成した多孔質保護層に比べ、プラズマ溶射法によって形成した多孔質保護層は、膜厚分布及び気孔分布が均一な上に耐久性に優れていることが知られている。
従来のプラズマ溶射法では、プラズマ溶射ガン(PSG)から噴射する極めて高温のプラズマ炎PLSに被溶射物であるガスセンサ素子10が直接晒され、熱負荷によるガスセンサ素子10の破損を避けるため、図10(a−1)に示すように一定の溶射距離Dだけ離す必要がある。これは、プラズマの噴出口と素子の溶射距離を近くして溶射フレームが広がる前に素子に照射することでガスセンサ素子に当たる溶射フレームの面積割合を向上させて生産性を向上する方法が考えられるが、この場合には、極めて高温のプラズマ炎から受ける熱負荷が大きく、ガスセンサ素子(固体電解質)や保護層にクラックが生じてしまいセンサとして成立しないためである。
一方、一般的にガスセンサ素子10は、自動車エンジン等の排気管に載置されて使用される関係から、長手方向の長さとしてせいぜい30mm程度の大きさであり、図10(a―2)に示すように、プラズマ溶射ガンPSGから噴射された溶射フレームFLMの広がり径に対して遙かに小さい。
また、プラズマ炎PLSの流れは噴射方向と径方向に向かって温度が拡散し、速度が減衰するので、溶射フレームFLMは、中心から外形方法に向かって、溶射粉末の濃度が低くなっている。 このため、従来のプラズマ溶射法では、図10(b−1)、(b−2)に示すように、略有底筒状のガスセンサ素子10の長手軸を中心軸として周方向に回転させながら、プラズマ溶射ガンPSGをガスセンサ素子10の長手方向に沿って往復運動させ(図中1←→2で示す。)、必要に応じてプラズマ溶射ガンPSGをガスセンサ素子10の底面や段部表面に対向する方向に回転させるなどして、溶射フレームFLMの中心の高濃度領域のみを1つのガスセンサ素子10に対して相対移動させて、多孔質保護層形成領域RCOATの範囲に溶射膜を形成している。
ところが、このような方法では、ガスセンサ素子10の表面に形成された多孔質保護層として有効利用される範囲は、図10 (c)に示すように、プラズマ溶射ガンが往復運動する間に溶射された溶射フレームFLMの高濃度範囲の中心に位置する極めて限られた範囲に過ぎず、生産効率が極めて低い状態であった。
また、一旦プラズマ溶射された耐熱粒子粉末は捕集したとしても、一度溶融した耐熱粒子粉末は粒度分布が変化してしまうことに加え、捕集過程で不純物が混入する問題等もあって再利用することが極めて困難である。
一方、ガスセンサ素子には、白金電極の劣化によるλ特性の耐久変動率の低減、センサの応答性向上、耐被水性強化などを実現するために複数の要求特性がガスセンサの仕様毎に設計されており、多孔質保護層の膜厚や気孔率の分布が大きいと、その要求特性のすべてを満足することが困難となる。
具体的には、例えば、局所的に膜厚が厚い場合には、その部位の耐被水性は向上し、λ特性の耐久変動率も低減できるが、センサの応答性は遅くなり、また、膜厚が薄い部位の応答出力からずれた出力信号を生じるためガスセンサとして出力特性を設計することが困難になる。
逆に、局所的に膜厚が薄い場合にもセンサ特性の観点からは同様のことが言える。
また、気孔率気孔率が小さい場合は膜厚が薄い場合と同様であり、気孔率が大きい場合には膜厚が厚い場合と同様である。
以上のことから、ガスセンサ素子内の保護層の膜厚比(最大膜厚/最小膜厚)<1.9である必要があり、更には膜厚比<1.5であることが望ましいことが判明した。
さらに、特許文献1にあるように、ガスセンサ素子の長手方向にプラズマ溶射ガンを往復移動させて多孔質保護層を形成しようとすると、熱負荷が大きくなり、ガスセンサ素子や多孔質保護層に亀裂を生じセンサとして成立しなくなる虞があった。
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、ガスセンサ素子の表面にプラズマ溶射法によって多孔質保護層を形成するに際して、溶射フレームの有効利用範囲を拡大し、効率的で生産性の高いガスセンサ素子の製造方法を提供することを目的としてなされてものである。
請求項1の発明では、少なくとも特定のイオンに対してイオン伝導性を有する固体電解質材料からなる固体電解質体と、該固体電解質体の一方の表面に設けられ基準ガスとして導入した大気に対向する基準電極と、上記固体電解質体の他方の表面に設けられ被測定ガスに対向する測定電極とを有し、被測定ガス中の特定ガス成分の濃度を検出するガスセンサ素子の被測定ガスに晒される部分に、プラズマ溶射ガンを用いて、高電圧の印加により不活性ガスの存在下で発生させたアーク放電により高温のプラズマ炎を発生させ、耐熱性粒子を瞬間的に加熱溶融し、噴射して、上記ガスセンサ素子の表面に衝突させ成膜し、急速固化させることによって、多孔質保護層を形成するプラズマ溶射法を用いて多孔質保護層を設けるガスセンサ素子の製造方法であって、
上記プラズマ溶射ガンをガスセンサ素子に対して往復させることなく、該プラズマ溶射ガンから噴射され、中心から外側に向かって溶射材粉末の濃度が漸減する濃度分布を持った溶射フレーム内を、上記ガスセンサ素子の長手軸を中心軸として、周方向に回転させながら、複数のガスセンサ素子を一定の配置間隔を設けて並べ、それぞれのガスセンサ素子が同じ履歴を経て連続して上記溶射フレーム内を通過させる。
請求項2の発明では、上記プラズマ溶射ガンの噴射方向に直交する平面に対して、上記ガスセンサ素子の長手方向の中心軸とのなす仰角をθとしたときθが、10°<θ<45°となるように上記ガスセンサ素子の先端部を上記プラズマ溶射ガンの噴射方向に対向するように傾けて配設する。
請求項3の発明では、上記ガスセンサ素子の最大直径をDMAXとし、上記ガスセンサ素子の上記多孔質保護層を形成する部位の最小直径をDMINとし、上記複数のガスセンサ素子の配置間隔をdとしたとき、DMAX<d≦4.5DMINの関係を満たすように配置する。
請求項4の発明では、上記複数のガスセンサ素子を上記プラズマ溶射ガンの噴射方向に直交し、上記プラズマ溶射ガンの先端から所定の溶射距離を隔てた平面上の直線軌道を一方向に移動させて必要範囲に(最大膜厚)/(最小膜厚)で定義した膜厚比が1.9より小さい保護層を形成する。
請求項5の発明では、上記複数のガスセンサ素子を上記プラズマ溶射ガンの噴射方向に直交し、上記プラズマ溶射ガンの先端から所定の溶射距離を隔てた平面上の円弧軌道を一方向に向かって回転移動させて必要範囲に(最大膜厚)/(最小膜厚)で定義した膜厚比が1.9より小さい保護層を形成する。
請求項6の発明では、上記複数のガスセンサ素子を所定の素子間隔で公転円周上に並べて、一方向に向かって公転移動させて必要範囲に(最大膜厚)/(最小膜厚)で定義した膜厚比が1.9より小さい保護層を形成する。
請求項7の発明では、上記複数のガスセンサ素子をその先端部が交互に対向するように配設して必要範囲に(最大膜厚)/(最小膜厚)で定義した膜厚比が1.9より小さい保護層を形成する。
本発明者らの鋭意試験により請求項1の発明によれば、従来と同等のセンサ特性を維持しつつ、生産性を倍増することができることが判明した。
さらに、本発明の製造方法においては、上記ガスセンサ素子が、溶射フレーム内を一方向にのみ移動するので、ガスセンサ素子は低い温度から徐々に高い温度に晒され徐々に低い温度に晒されることになる。このため、従来のガスセンサ素子の軸方向に沿ってプラズマ溶射ガンを往復移動させたときのように、加熱と冷却とが短時間の間に繰り返されることがないので、熱ストレスによりガスセンサ素子の破損を招く虞がない。
より具体的には、請求項2、請求項3の条件を満たすように、上記溶射ガンとの関係において、上記ガスセンサ素子を配置することにより、従来に比べてより均一な多孔質保護層を有するガスセンサ素子を、従来に比べ効率よく生産することができる。
一方、請求項2、請求項3の範囲はずれる条件では、従来よりもセンサ特性の低下を招く虞がある。
本発明者らの鋭意試験により、請求項4の発明によれば、従来と同等のセンサ特性を有するガスセンサ素子をより効率的に製造できることが確認された。
請求項5の発明、又は、請求項6の発明によれば、他の発明と同様、従来と同等のセンサ特性を有するガスセンサ素子を高い生産性で生産可能となるのに加え、上記円弧軌道の回転半径を増減することによって、上記測定電極の近傍における気孔率の高い多孔質保護層の多孔質保護層全体に対する膜厚比率を増減することができる。
請求項7の発明によれば、生産性を略倍増させることができる。
本発明に係るガスセンサ素子を含むガスセンサの全体概要を示す縦断面図。 本発明に係るガスセンサ素子の被測定ガスに晒される先端部の詳細を示す断面図。 本発明に係るガスセンサ素子の外観並びに多孔質保護層の形成する領域を示す側面図。 本発明の第1の実施形態におけるプラズマ溶射法を用いた多孔質保護層の製造方法の概要を示し、(a)は、本実施形態におけるプラズマ溶射ノズルに対するガスセンサ素子の配置方法を示す側面図、(b−1)は、その移動方法の概要を示す平面図、(b−2)は、本実施形態におけるガスセンサ素子の配置間隔を示す平面図。 本発明の第2の実施形態におけるプラズマ溶射法を用いた多孔質保護層の製造方法の概要を示し、(a)は、本実施形態におけるプラズマ溶射ノズルに対するガスセンサ素子の配置方法を示す側面図、(b−1)は、その移動方法の概要を示す平面図、(b−2)は、本実施形態におけるガスセンサ素子の配置間隔を示す平面図。 本発明の第3の実施形態におけるプラズマ溶射法を用いた多孔質保護層の製造方法の概要を示し、(a)は、斜視図、(b)は、平面図。 本発明の第3の実施形態におけるプラズマ溶射法をの変形例を示し、(a)は、側面図、(b)は、本図(a)中A方向から見た側面図。 本発明の第4の実施形態におけるプラズマ溶射法を用いた多孔質保護層の製造方法の概要を示し、(a)は、プラズマ溶射ノズルに対するガスセンサ素子の移動方法を示す平面図、(b)は、本実施形態の変形例を示す平面図。 本発明の第4の実施形態におけるプラズマ溶射法を用いた多孔質保護層の製造方法の概要を示し、(a)は、プラズマ溶射ノズルに対するガスセンサ素子の移動方法を示す平面図。 比較例とし示す従来のプラズマ溶射法を用いた多孔質保護層の製造方法の概要を示し、(a−1)は、プラズマ溶射ノズルに対するガスセンサ素子の配置方法を示す側面図、(a−2)は、その平面図、(b−1)は、本実施形態におけるプラズマ溶射ガンの移動方法の概要を示す側面図、(b−2)は、プラズマ溶射ガンの移動範囲を示す平面図、(c)は、比較例における溶射フレームの有効利用範囲を示す平面図。
本発明の実施形態におけるガスセンサ素子10及びこれを用いたガスセンサ1の概要について、図1、図2、図3を参照して説明する。
本発明は、少なくとも特定のイオンに対してイオン伝導性を有する固体電解質材料(例えば、イットリア安定化ジルコニア等)からなる固体電解質体100と、固体電解質体100の一方の表面に設けられ基準ガスとして導入した大気に対向する基準電極110と、固体電解質体100の他方の表面に設けられ被測定ガスに対向する測定電極120とを有し、被測定ガス600中の特定ガス成分の濃度を検出するガスセンサ素子10の被測定ガス600に晒される部分(RCOAT)に、プラズマ溶射ガンPSGを用いて、高電圧の印加により不活性ガスの存在下で発生させたアーク放電により高温(例えば、約6000℃)のプラズマ炎(PLS)を発生させ、耐熱性粒子(例えば、スピネル等)を瞬間的に加熱溶融し、高圧の不活性ガスの作用により噴射して、ガスセンサ素子10の表面に衝突させ成膜し、急速固化させることによって、多孔質保護層130を形成するプラズマ溶射法を用いて多孔質保護層130を設けるガスセンサ素子10の製造方法に関するものである。
本発明のガスセンサ素子10の製造方法は、図10に示した従来のプラズマ溶射方のように、プラズマ溶射ガンPSGをガスセンサ素子に対して往復させるのではなく、プラズマ溶射ガンPSGから噴射され、中心から外側に向かって溶射材粉末の濃度が漸減する濃度分布を持った溶射フレームFLM内を、ガスセンサ素子10の長手軸を中心軸として、周方向に回転させながら、それぞれのガスセンサ素子10が同じ履歴を経て連続して溶射フレームFLMを通過するように複数のガスセンサ素子10を一定の配置間隔dを設けて配設した複数のガスセンサ素子10を、一方向にのみ相対移動させ、それぞれのガスセンサ素子10に対して溶射を行うことを特徴としている。
図1、図2、図3は、それぞれ、本発明に係るガスセンサ素子10を含むガスセンサ1の全体を示す縦断面図、本発明に係るガスセンサ素子10の先端部の詳細を示す断面図、本発明に係るガスセンサ素子10の外観並びに多孔質保護層130を形成する必要範囲を示す側面図である。
一般に、内燃機関の燃焼排気等を被測定ガスとし、被測定ガス中の酸素濃度、NOガス濃度、空燃比A/F等の特定ガスの濃度を検出には、図1に示すような、ガスセンサ1が広く用いられている。
ガスセンサ1には、被測定ガス600中に晒され、被測定ガス600中の特定成分に対して電気的特性を示すガスセンサ素子10が内蔵されている。
ガスセンサ1は、ガスセンサ素子10と、これを加熱するヒータ2と、ガスセンサ素子10の先端を被測定ガス流路60に載置固定するためのハウジング3、ガスセンサ素子10の被測定ガス流路60内に突出した部位を保護するカバー体4と、ガスセンサ素子10の基準電極110と測定電極120とのそれぞれに接続され、出力を外部に伝達するための金属端子111、121を介して、一対の信号線1112、122と、ヒータ2に通電するための一対の通電線210、211を絶縁保持収容する略筒状のケーシング6等によって構成されている。
また、カバー体4は、内筒40と外筒41とからなる二重筒構造で、内筒40と外筒41とには、それぞれ、被測定ガス600をカバー体40、41の内外に導入・導出するためのする開孔部401、402、411、412が設けられている。
ガスセンサ素子10は、イットリア安定化ジルコニア等の酸素イオンに対して伝導性を有するものや、アルカリ土類金属酸化物等を添加したセリア等のプロトンに対して伝導性を有するものなど、特定のイオンに対して伝導性を有する固体電解質材料からなり、図2に示すように、略筒状に形成した固体電解質体100の内側に区画した基準ガス室150内に基準ガスとして大気を導入すると共にその内側表面に基準ガスに対向し、白金等からなる基準電極110と、固体電解質体100の外側表面の被測定ガス600に晒される部分には、被測定ガス600に対向し白金等からなる測定電極120が形成され、さらに、測定電極120の表面には、後述するプラズマ溶射法によって形成したアルミナ、スピネル、チタニア等の耐熱性セラミック材料からなる多孔質保護層130が形成されている。
さらに、多孔質保護層130の表面には、被水保護や、P、S等の被毒成分の捕捉のためのトラップ層140が形成されている。
トラップ層140は、γアルミナ、θアルミナなどの他、ジルコニアやチタニアなどを主成分とする金属酸化物を有機又は無機のバインダーと共に分散させたスラリーに多孔質保護層130が形成されたガスセンサ素子10を浸漬して形成しても良いし、多孔質保護層130と同様、プラズマ溶射法によって形成しても良い。一般的に、基準ガス室150内には、固体電解質体100を加熱し、早期に活性化するため、通電により発熱するヒータ2が収容されている。
例えば、このようなガスセンサ素子10を用いたガスセンサ1として、自動車用の酸素センサでは、基準ガス室150内に導入された大気中の酸素濃度と被測定ガス600中の酸素濃度との差によって固体電解質体100に生じる起電力を出力とし被測定ガス600中の酸素濃度を検出し、エンジンでの燃料と空気の混合比や燃焼の制御等に利用している。
このようなガスセンサ1は、図1に示すように排気管60に取り付けて使用され、被測定ガス600と基準ガスとを固体電解質体100で空間的に仕切る必要があり略筒状に形成されたガスセンサ素子10は中空有底で表面は曲面になっている。
また、排気管と大気との気密性を確保するためにセンサ素子10の胴部を構成する固体電解質体100には、外径方向に径大となるフランジ部101が形成され、略筒状に形成された金属製のハウジング3の内周壁との間に、タルク等の絶縁封止部材31を介して気密に保持されている。
さらに、排気管60の空間制約からガスセンサ1の大きさが制約され、排気管60内に先端が突出すセンサ素子10には一般に30mm程度のものが用いられている。
一方、使用時にガスセンサ1は、高温の被測定ガス600に晒され高温となる上に、早期にセンサを作動させるために、ヒータ2によって活性温度に昇温されるガスセンサ素子10の先端部103にも白金電極120が設けられており、保護膜130もガスセンサ素子10の先端部103に設ける必要がある。
また、ガスセンサの使用時には、固体電解質体100を活性化するため900℃以上に加熱されるので、多孔質保護層130は耐熱性に優れ、かつ固体電解質体100の線熱膨張係数と測定電極120を構成する白金の線膨張係数とに近い物性が求められる。
さらに、センサ特性に関する多孔質保護層130の必要機能は主に3つある。
1つ目には、固体電解質体100の被測定ガス600側に設けられた測定電極120が直接被測定ガス600に晒されることによって劣化し、センサ出力が変動するなどの耐久劣化を防ぐ電極保護の機能であり、2つ目には、測定電極120に到達する被測定ガス600量を制限し、被測定ガス600の酸素濃度変化に応答する酸素センサ特性を制御する機能があり、3つ目には、仕様環境下で排気中の水分が高温のガスセンサ素子に付着した際のヒートショックを緩和する耐被水の機能である。
これら全ての機能を満足するためには、保護層130の気孔率と膜厚の均一性が所定の設計許容範囲である必要がある。
以上により、ガスセンサ素子10に形成される多孔質保護層130には、ガスセンサ素子10の先端部103の湾曲面と、ガスセンサ素子10の側面100の湾曲面とに必要であって、気密構造によっては異形状のフランジ部101にも必要であって、かつ、多孔質保護層130の形成は測定電極120の耐熱温度以下で行う必要がある。
さらに、多孔質保護層130は、耐熱性に優れ、かつ固体電解質体100を構成するジルコニアや測定電極120を構成する白金と線膨張係数が近い物性を有することが必要とされている。
本発明は、かかる観点から、ガスセンサ素子10の表面に多孔質保護層130を形成する上で、ガスセンサ素子10の保護、耐久性向上と、ガスセンサとしての応答性向上との両立を可能とする多孔質保護層130プラズマ溶射法によって形成することを可能としたものである。
なお、本発明は、ガスセンサ素子10の被測定ガス600に晒される部分に形成される多孔質保護層130を、生産性の向上を図るガスセンサ素子の製造方法を提供しようとするものであり、固体電解質体100、基準電極110、測定電極120、ヒータ2の構成、形態、製法等については、公知のものを適宜利用可能であり、ガスセンサ1を構成する、ハウジング3、カバー体4、ケーシング5等については、図1に示した構成に限定するものではなく、本発明の要部である多孔質保護層130を後述するプラズマ溶射法によって形成する限りにおいて適宜変更可能なものである。
本発明では、プラズマ溶射装置(F4MB:スルザーメテコ社製)を用いて、印加電力26KWで、1次作動ガス(Ar)を流量16SLM、2次作動ガス(N)を流量12SLMで、電流425±50A、電圧60Vを印加して発生させたプラズマジェットに平均粒径が20.6μmのスピネル(MgO・AlO)を主成分とする耐熱性材料から成る溶射粉末を20g/minで供給して溶融させて、プラズマ溶射ガンPSGから噴射させた溶射フレームFLM内を複数のガスセンサ素子10を500rpmで周方向に回転させながら、プラズマ溶射ガンPSGのノズルの先端から一定の溶射距離Dだけ離れた位置において、溶射フレームFLMの外周側の溶射材の濃度の低い位置から中心部分の溶射材濃度の高い位置を通過させ再び溶射フレームの外周側の溶射材濃度の低い位置から溶射フレームFLMの外へ移動させることにより、複数のガスセンサ素子10に対して連続的に多孔質保護層130を形成することを特徴としている。
図4〜図9に本発明の実施形態におけるプラズマ溶射方式A〜Dを示し、以下に図を参照しながら各方式について説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態におけるプラズマ溶射法(以下溶射方式Aと称す。)を示すものである。
本図(a)に示すように、本実施形態においては、上方に配設したプラズマ溶射ガンPSGから溶射材を下方に向かって噴射させ、プラズマPLSの噴射方向に直交する平面Lと、ガスセンサ素子10の長手軸方向の中心線Lとのなす仰角θを設けてガスセンサ素子10の先端部103をプラズマ溶射ガンPSGの方向に向かうよう傾けて配設し、素子移動装置TRNを用いて、ガスセンサ素子10を周方向に回転させつつ、平面Lと平行な平面上の直線軌道を移動させて、本図(b)に示すように、溶射フレームFLMの外に位置する溶射材濃度が低い位置から、溶射フレームFLMの溶射材濃度の濃い位置を、複数のガスセンサ素子10が同じ経路を経て連続的に通過することになる。
本実施形態においては、ガスセンサ素子10の先端部103が、プラズマ溶射ガンPSGに向かって所定の仰角θをもって対向しているので、プラズマ溶射ガンPSGを移動させずとも、ガスセンサ素子10の底部にも均一に多孔質保護層を形成することができる。
さらに、溶射フレームFLM内を複数のガスセンサ素子10が所定の間隔で連続的に移動することにより生産効率の向上を図ることができる。
また、ガスセンサ素子10が、溶射フレーム内を一方向にのみ移動するので、ガスセンサ素子10は低い温度から徐々に高い温度に晒され徐々に低い温度に晒されることになる。このため、従来のガスセンサ素子10の軸方向に沿ってプラズマ溶射ガンPSGを往復移動させたときのように、加熱と冷却とが繰り返されることがないので、熱ストレスによりガスセンサ素子の破損を招く虞がない。
なお、本実施形態においてはガスセンサ素子10の移動方向とそれぞれのガスセンサ素子10の回転方向とが同じ方向となるように回転する例を示したが、本発明において移動装置TRNの構造を特に限定するものではなく、ガスセンサ素子10の移動方向と回転方向とが逆向きとなるような構成であっても構わない。
図5を参照して、本発明の第2の実施形態におけるプラズマ溶射法(以下、方式Bと称す。)について説明する。
上記実施形態においては、複数のガスセンサ素子10の先端部103の方向を揃えた一列に並べて、溶射フレームFLM内を移動させた例を示したが、本実施形態においては、本図(a)、(b)に示すように、ガスセンサ素子10の先端部103が交互に対向するように揃えて二列に並べた点が相違し、溶射フレームFLM内をそれぞれのガスセンサ素子10が周方向に回転しながら、溶射フレームFLMの外側から中心を通って外側へ移動させる点は一致する。
本実施形態によれば、さらに生産性の向上を図ることができる。
また、プラズマ溶射ガンPSGに対してガスセンサ素子10が左右対称のとなるように配列されているので、ガスセンサ素子10の方向の違いにより、形成される多孔質保護層に膜厚や気孔率に大きな違いを生じることがない。
図6を参照して本発明の第4の実施形態におけるプラズマ溶射法(以下、方式Cと称す。)について説明する。
上記実施形態においては、上方から下方に向かって噴射される溶射フレームFLM内を噴射方向Lに直交する平面Lに対してガスセンサ素子10を平行移動させた例を示したが、本実施形態においては、複数のガスセンサ素子10をその長手方向の中心軸L2を回転軸として周方向に自転(ω)させつつ、それらのガスセンサ素子10を所定素子間隔dで公転円周上に並べて、公転移動(ω)させると共に、プラズマ溶射ガンPSGの噴射方向Lを、公転円周の中心軸Lに対して直交するように配設し、側面方向から溶射フレームを噴射させている点が相違する。
本実施形態によれば、公転円周の直径を無限大とすれば、公転円周は直線に近づくので、上述の第1の実施形態と同じ構造となる。
また、プラズマ溶射ガンPSGとガスセンサ素子10とは、所定の溶射距離Dだけ離隔している点、及び、溶射方向に直交する平面に対して所定の仰角θを設けて、ガスセンサ素子10の先端部103をプラズマ溶射ガンPSG側に傾けている点は上記実施形態と同様である。
図7を参照して、本発明の第4の実施形態におけるプラズマ溶射法の変形例(以下、方式C−2と称す。)について説明する、
本実施形態においては、複数のガスセンサ素子10を公転円周上に複数配設し、公転移動させると共に、プラズマ溶射ガンPSGの噴射方向Lを、公転円周の中心軸Lに対して直交するように配設している点は、方式Cと共通する。
また、方式Cでは、複数のガスセンサ素子10を公転円周上に先端部103を上向きにして等間隔で並べ、プラズマ溶射ガンPSGを水平に配設して側面方向から溶射フレームFLMを噴射させた例を示したが、本実施形態においては、ガスセンサ素子10の先端部103が交互に対向するように2列に並べ、プラズマ溶射ガンPSGを上述の方式Bと同様、上方に配設して上から下に向かって溶射フレームFLMを噴射させている点が相違する。
このような構成とすることにより、方式Cと同様の効果に加え、生産性を倍増させることができる。
但し、方式Cにおいては、ガスセンサ素子10の先端部103を上方に向けて開口部を移動装置に差し込むようにして保持しているので、素子の着脱が簡単で、溶射中に移動装置から脱落する虞がないが、本実施形態においては、本図(a)に示すように、ガスセンサ素子10が公転移動する際に、ガスセンサ素子10の先端部103が下向きとなる場合があり、移動装置に差し込むだけでは移動装置から脱落する虞があるので、ガスセンサ素子10が移動装置から脱落しないようチャックなどにより固定することが必要となる。
図8、図9を参照して、本発明の第5の実施形態におけるプラズマ溶射法(以下、方式Dと称す。)及びその変形例(それぞれ、方式D−2、方式D−3と称す。)について説明する。
上記第1、第2の実施形態においては、ガスセンサ素子10が溶射フレームFLM内を直線的に通過するようにした構成を示したが、本実施形態においては、 図8(a)に示すように、ガスセンサ素子10が円弧軌道を描くように回転移動しながら溶射フレームFLM内を通過するように構成した点が相違する。
本実施形態においても上記実施形態と同様、溶射方向L3に直交する平面L1との仰角θをもってガスセンサ素子10の先端部103が、プラズマ溶射ガンPSGに対向している。
本実施形態によれば、図8(b)に示す方式D−2のように、ガスセンサ素子10の先端部103を交互に対向させるように、ガスセンサ素子10を配列させることもできる。
さらに、図9に示す方式D−3のように、ガスセンサ素子10を回転移動させることにより、溶射フレームFLM内を複数回に渡って移動させるようにしても良い。
このような構成とすることにより、ガスセンサ素子が1回転する間に溶射フレームFLMの内側を通過するのは四分の1回転程度で、その他は、溶射フレームの外側を移動することになり、溶射フレームFLM内を移動する間は、直線的に一方向にのみ移動させるのと同様、プラズマ溶射ガンPSGをガスセンサ素子10の長手軸方向に往復移動させた場合のような熱ストレスによって素子割れ等を引き起こす虞がない。
以下に、上述の各方式において、本発明の効果を確認するために本発明者等が行った試験結果について説明する。
多孔質保護層の形成条件として、多孔質保護層の平均気孔率の目標を5%、膜厚の目標を300±30μmとして、上述の溶射方式A、B、C、Dに対して印加電流を調整し、30本のガスセンサ素子10に多孔質保護層130を形成し、従来方式を用いた場合との比較によって、各方式を評価し、それらの結果を表1、表2、表3、表4に示す。
以下に、各評価項目と判定基準について説明する。
センサ特性に特に影響の大きい、素子先端から5mmの位置における多孔質保護層130の膜厚について、レーザ変位計(キーエンス社製)で測定した。
一つの素子内の最大膜厚と最小膜厚の比について、膜厚比を(最大膜厚)/(最小膜厚)で定義し、ガスセンサの設計許容範囲である膜厚比<1.9を従来相当と判定し、○印を付し、膜厚比<1.5を従来に比べてより均一な保護層を形成できていると判定し、◎印を付し、それ以外をセンサ設計不可として×印を付した。
また、多孔質保護層130の平均気孔率について、水銀厚入法(島津製作所製:オートポア)を用いて、計測し、目標気孔率に対して、平均値が±10%以内であれば、バラツキ良好と判定した。
センサ特性は、リッチ雰囲気、リーン雰囲気の実車模擬ガスをそれぞれ交互に供給して、センサ出力を調べたときの周期の応答時間として測定し、応答時間が1.7秒以下となる場合を応答性良好と判定して○印を付した。
さらに生産性の評価として、素子先端5mm位置における多孔質保護層の膜厚を所望の厚さまで形成するのに要する加工時間と、設備が素子を搬送する搬送時間を合わせたサイクルタイムによって評価し、従来方式におけるサイクルタイムを100とし、180%以上の向上となった場合を効果ありとして○印を付し、220%以上の向上となった場合を優れた効果ありとして◎印を付した。
表1を参照して、方式Aの効果について説明する。溶射方式として、プラズマ溶射ガンを素子の長手方向に往復移動させて多孔質保護層を形成する従来の方式を比較例として、本発明の方式Aについて、全長が44mmで、多孔質保護層形成領域RCOATの長さLが26mmの素子1と、全長が38mmで、Lが21mmの素子2を用いて、それぞれ30個の試料を作製し、その評価結果を表1に示す。
いずれのプラズマ溶射方式においても応答性は1.7秒以下となり、従来と同等のセンサ特性を維持できることが判明した。
方式Aを用いた場合、Lが26mmの場合も、Lが21mmの場合も、従来に比べて生産性が2倍近くに向上することが判明したが、Lが26mmの素子1の場合、素子内の最大膜厚と最小膜厚の膜厚比が3.14と従来よりもバラツキが大きく、多孔質保護層形成領域RCOATの範囲が一定の範囲を超えたとき(例えば、比較例3のように、25mmより大きい場合)には、本発明の効果を奏しないことが判明した。
これは、多孔質保護層形成領域が広いとフレーム内の溶射材濃度が高い領域から、はみ出る部分を生じ、本発明のように1パスで多孔質保護層を形成した場合には、局所的に膜厚が不十分となるためと考えられる。
しかし、多孔質保護層形成領域RCOATの範囲Lが25mm以下の場合には、本発明の効果が顕著で、従来と同様のセンサ特性を維持しつつ、遙かに高い生産性を発揮できることが確認された。
Figure 0005565390
表2を参照して、方式Aにおける複数のセンサ素子10の配置間隔dの最適化を評価した結果について説明する。
表2に示すように、配置間隔dとセンサ素子10の最小直径DMINとの比が4.5倍以下となるように配設することにより、従来と同様のセンサ特性を維持したまま、生産性を2倍近くに向上させることができ、より好ましくは、配置間隔dをセンサ素子10の最小直径DMINの3.0倍以下とすることにより、生産性を2.4倍に向上させることができることが判明した。
また、当然のことながら配置間隔dは、ガスセンサ素子10の最大直径DMAX以上でなければならない。
即ち、複数のガスセンサ素子10の配置間隔をdとしたとき、DMAX<d≦4.5DMINの関係を満たすように、より望ましくは、DMAX<d≦3.0DMINの関係を満たすよう配置するのが望ましいとの知見を得た。
Figure 0005565390
表3を参照して、他の方式による効果について説明する。
多孔質保護層形成領域が21mmである素子2を用い、従来方式、方式A、方式B、方式C、方式Dについて評価した結果を表3に示す。
表3に示すように、本発明の方式A〜Dのいずれの方式においても、従来方式と同等のセンサ特性を維持しつつ、遙かに高い生産性を発揮できることが確認された。また、方式A〜Dのいずれの場合においても、一素子内の膜厚比は、従来と比較してより小さくなっており、多孔質保護層の膜厚がより均一化されているので、長期に渡って使用した場合の耐久性が従来方式より向上するものと期待できる。
Figure 0005565390
表4を参照して、方式Aにおいてプラズマ溶射ガンPSGの噴射方向Lに直交する平面Lとガスセンサ素子10の長手軸方向の中心軸Lとのなす仰角θを変化させたときの効果について説明する。
表4に示すように、比較例5、6として示す、仰角θを10°より小さくした場合、及び、比較例7として示す、仰角θを45°より大きくした場合、いずれも、比較例1として示す従来方式に比べれば、生産性の向上を図ることはできるが、ガスセンサ素子10の先端部103やフランジ部101の底面等、多孔質保護層130が十分に形成されない部分が発生し、素子内膜厚比が1.9を超え、センサとしての特性は低下するため、効果無しと判断し、総合判定に×印を付した。
一方、仰角θを10°以上、45°以下に設定した場合には、素子内膜厚比が、1.9より小さくなる上に、生産性も向上させることができるため、効果良好と判断し、○印又は◎印を付した。
本試験結果により、プラズマ溶射ガンPSGの噴射方向L3に直交する平面Lに対して、ガスセンサ素子10の長手方向の中心軸Lとのなす仰角をθとしたときθが、10°<θ<45°となるように、より望ましくは10°<θ≦30°となるように、ガスセンサ素子10の先端部103をプラズマ溶射ガンPSGの噴射方向L3に対向するように傾けて配設するとするのが望ましいとの知見が得られた。
Figure 0005565390
表5を参照して、素子内の膜厚比とガスセンサの特性について説明する。
多孔質保護層形成領域が26mmであるガスセンサ素子10を用い、部分的に平板を用いて遮蔽しながら、従来方式により、多孔質保護層を分割して形成することで素子内の膜厚比を変えてガスセンサの特性を評価した。
膜厚の測定位置はガスセンサ素子の特性に影響の大きい先端と先端から5mm部とし、先端5mm部の膜厚に対する比で評価した。
表5に示すように、ガスセンサ素子の先端が厚い場合でも薄い場合でも膜厚比が1.9以上の場合には応答性とλ特性変化率と耐被水性の全てを満足することが出来ない。
Figure 0005565390
1 ガスセンサ
10 ガスセンサ素子
100 固体電解質体
101 固体電解質体拡径部
102 固体電解質体脚部
103 固体電解質体先端側底部
110 基準電極
120 測定電極
130 多孔質保護層
2 発熱体
Rcoat 多孔質保護層形成領域
PSG プラズマ溶射ガン
PLS プラズマ火炎
FLM 溶射フレーム
特開2010−151575号公報

Claims (7)

  1. 少なくとも特定のイオンに対してイオン伝導性を有する固体電解質材料からなる固体電解質体と、該固体電解質体の一方の表面に設けられ基準ガスとして導入した大気に対向する基準電極と、上記固体電解質体の他方の表面に設けられ被測定ガスに対向する測定電極とを有し、被測定ガス中の特定ガス成分の濃度を検出するガスセンサ素子の被測定ガスに晒される部分に、プラズマ溶射ガンを用いて、高電圧の印加により不活性ガスの存在下で発生させたアーク放電により高温のプラズマ炎を発生させ、耐熱性粒子を瞬間的に加熱溶融し、噴射して、上記ガスセンサ素子の表面に衝突させ成膜し、急速固化させることによって、多孔質保護層を形成するプラズマ溶射法を用いて多孔質保護層を設けるガスセンサ素子の製造方法であって、
    上記プラズマ溶射ガンをガスセンサ素子に対して往復させることなく、該プラズマ溶射ガンから噴射され、中心から外側に向かって溶射材粉末の濃度が漸減する濃度分布を持った溶射フレーム内を、上記ガスセンサ素子の長手軸を中心軸として、周方向に回転させながら、複数のガスセンサ素子を一定の配置間隔を設けて並べ、それぞれのガスセンサ素子が同じ履歴を経て連続して上記溶射フレーム内を通過させることを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
  2. 上記プラズマ溶射ガンの噴射方向に直交する平面に対して、上記ガスセンサ素子の長手方向の中心軸とのなす仰角をθとしたときθが、10°<θ<45°となるように上記ガスセンサ素子の先端部を上記プラズマ溶射ガンの噴射方向に対向するように傾けて配設する請求項1に記載のガスセンサ素子の製造方法。
  3. 上記ガスセンサ素子の最大直径をDMAXとし、上記ガスセンサ素子の上記多孔質保護層を形成する部位の最小直径をDMINとし、上記複数のガスセンサ素子の配置間隔をdとしたとき、DMAX<d≦4.5DMINの関係を満たすように配置する請求項1又は2に記載のガスセンサ素子の製造方法。
  4. 上記複数のガスセンサ素子を上記プラズマ溶射ガンの噴射方向に直交し、上記プラズマ溶射ガンの先端から所定の溶射距離を隔てた平面上の直線軌道を一方向に移動させて必要範囲に(最大膜厚)/(最小膜厚)で定義した膜厚比が1.9より小さい保護層を形成する請求項1ないし3のいずれかに記載のガスセンサ素子の製造方法。
  5. 上記複数のガスセンサ素子を上記プラズマ溶射ガンの噴射方向に直交し、上記プラズマ溶射ガンの先端から所定の溶射距離を隔てた平面上の円弧軌道を一方向に向かって回転移動させて必要範囲に(最大膜厚)/(最小膜厚)で定義した膜厚比が1.9より小さい保護層を形成する請求項1ないし3のいずれかに記載のガスセンサ素子の製造方法。
  6. 上記複数のガスセンサ素子を所定の素子間隔で公転円周上に並べて、一方向に向かって公転移動させて必要範囲に(最大膜厚)/(最小膜厚)で定義した膜厚比が1.9より小さい保護層を形成する請求項1ないし3のいずれに記載のガスセンサ素子の製造方法。
  7. 上記複数のガスセンサ素子をその先端部が交互に対向するように配設して必要範囲に(最大膜厚)/(最小膜厚)で定義した膜厚比が1.9より小さい保護層を形成する請求項1ないし6のいずれかに記載のガスセンサ素子の製造方法。
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