JP2018003103A - 遮熱コーティング法及び遮熱コーティング膜並びにタービン部材 - Google Patents

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雅彦 妻鹿
秀次 谷川
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Abstract

【課題】遮熱コーティング法及び遮熱コーティング膜並びにタービン部材において、遮熱性と熱サイクル耐久性と耐エロージョン性の向上を図る。【解決手段】母材22上に金属結合層としてのアンダーコート層23を形成するステップと、アンダーコート層23上にセラミックを含む緻密縦割れコート層24を形成するステップとを有し、溶射粉末の粒度のメジアン径をD50=1.0μm〜1.5μmに設定し、溶射粉末に溶媒を混合した懸濁液を用いてサスペンションプラズマ溶射して緻密縦割れコート層24を形成する。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、ガスタービンの動翼、静翼、燃焼器などの表面に遮熱コーティング膜を形成する遮熱コーティング法、遮熱コーティング膜、遮熱コーティング法により遮熱コーティング膜が設けられたタービン部材に関するものである。
ガスタービンは、圧縮機と燃焼器とタービンにより構成されている。そして、空気取入口から取り込まれた空気が圧縮機によって圧縮されることで高温・高圧の圧縮空気となり、燃焼器にて、この圧縮空気に対して燃料を供給して燃焼させることで高温・高圧の燃焼ガス(作動流体)を得て、この燃焼ガスによりタービンを駆動し、このタービンに連結された発電機を駆動する。このガスタービンでは、その効率を向上させるために燃焼器での燃焼温度を高く設定しており、高温の燃焼ガス(排気ガス)に晒されるタービンの動翼や静翼は、その表面に遮熱コーティング膜(Thermal Barrier Coating:TBC)が設けられている。遮熱コーティング膜とは、タービン動翼などの表面に、溶射により熱伝導率の小さい溶射材(例えば、熱伝導率の小さいセラミック系材料)を形成したものである。
このタービン動翼などの表面に形成される遮熱コーティング膜は、遮熱性、熱サイクル耐久性、耐エロージョン性が求められる。従来の遮熱コーティング膜は、一般に、多孔性のポーラス膜であり、このポーラス膜は、多孔性であるため、遮熱性は十分であるものの、熱サイクル耐久性や耐エロージョン性が十分であると言えなかった。そこで、タービン動翼などの表面に緻密縦割れ(Dense Vertical Crack:DVC)遮熱コーティング膜を形成することが提案されている。しかし、緻密縦割れ遮熱コーティング膜は、構造的な応力(歪)の追随性により、熱サイクル耐久性に優れ、また、緻密な構造のため、耐エロージョン性も、ポーラス膜より高いものの、遮熱コーティング膜に必須の遮熱性が十分でない。そのため、緻密縦割れ遮熱コーティング膜の厚さを厚くすることが考えられるが、厚膜化は、熱サイクル耐久性に影響を与えたり、成膜コストを高くするだけでなく、場合によっては、タービン翼自体の空力特性にも影響を与えたりする場合があり、その場合、性能低下につながるおそれがある。よって、膜性能が確保できるならば、膜は薄い方が有利である。
このような問題を解決するものとして、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された遮熱コーティングの製造方法は、微細な結晶粒径を有する遮熱コーティングを微細粉体の逆共沈により生成し、粉体により稠密縦割れを有する微細な結晶粒径を生成すると同時に微細粉体を部分的に溶融させる溶液プラズマ溶射によって溶射するものである。
特開2014−205913号公報
上述した従来の遮熱コーティングの製造方法は、一般的な緻密縦割れ遮熱コーティング膜よりも、遮熱性、熱サイクル耐久性、耐エロージョン性が優れているものの、更なる性能の向上が求められている。即ち、上述した従来のポーラスな遮熱コーティングの製造方法は、一般的な緻密縦割れ遮熱コーティング膜よりも、遮熱性には優れているものの、耐エロージョン性が劣っており、遮熱コーティングに必要な3要素である、遮熱性、耐熱サイクル性、耐エロージョン性をすべて良好に満たす膜は、簡単には得られない。これは、一般的に、耐エロージョン性を向上させるには、膜の緻密化が必要であるのに対し、緻密な膜は、熱を通しやすく、遮熱性が劣るからである。
本発明は上述した課題を解決するものであり、遮熱性と熱サイクル耐久性と耐エロージョン性の向上を図る遮熱コーティング法及び遮熱コーティング膜並びにタービン部材を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明の遮熱コーティング法は、母材上に金属結合層としてのアンダーコート層を形成するステップと、前記アンダーコート層上にセラミックを含む緻密縦割れコート層を形成するステップと、を有し、溶射粉末の粒度のメジアン径をD50=1.0μm〜1.5μmに設定し、前記溶射粉末に溶媒を混合した懸濁液を用いてサスペンションプラズマ溶射することで、前記緻密縦割れコート層を形成する、ことを特徴とするものである。
従って、溶射粉末の粒度を適正値に設定し、溶射粉末と溶媒を混合した懸濁液を用いてサスペンションプラズマ溶射して緻密縦割れコート層を形成することで、所望の厚さで剥離や層状欠陥のない適正な遮熱コーティング膜を形成することができ、その結果、遮熱性と熱サイクル耐久性と耐エロージョン性の向上を図ることができる。
本発明の遮熱コーティング法では、前記サスペンションプラズマ溶射時の溶射距離を65mm〜75mmに設定することを特徴としている。
従って、適正な厚さの緻密縦割れコート層を形成することができる。
本発明の遮熱コーティング法では、前記溶媒を水に設定することを特徴としている。
従って、適正な厚さの緻密縦割れコート層を形成することができる。
本発明の遮熱コーティング法では、前記アンダーコート層と前記緻密縦割れコート層との間に、前記溶射粉末を用いてプラズマ溶射することでポーラス形状のトップコート層を形成することを特徴としている。
従って、アンダーコート層と緻密縦割れコート層との間にポーラス形状のトップコート層を設けることで、トップコート層により遮熱性を向上することができ、緻密縦割れコート層の厚さを薄くすることができる。
また、本発明の遮熱コーティング膜は、粒度のメジアン径がD50=1.0μm〜1.5μmに設定された溶射粉末と、溶媒としての水を混合した懸濁液を用いて形成されることを特徴とするものである。
従って、遮熱性と熱サイクル耐久性と耐エロージョン性の向上を図ることができる。
また、本発明のタービン部材は、表面に前記遮熱コーティング膜が設けられることを特徴とするものである。
従って、遮熱コーティング膜における遮熱性と熱サイクル耐久性と耐エロージョン性の向上を図ることができ、タービン部材の耐久性を向上することができる。
本発明の遮熱コーティング法及び遮熱コーティング膜並びにタービン部材によれば、溶射粉末の粒度のメジアン径をD50=1.0μm〜1.5μmに設定し、溶射粉末に溶媒を混合した懸濁液を用いてサスペンションプラズマ溶射して緻密縦割れコート層を形成するので、遮熱性と熱サイクル耐久性と耐エロージョン性の向上を図ることができる。
図1は、第1実施形態の遮熱コーティング法を実施するためのプラズマ溶射装置を表す概略図である。 図2は、遮熱コーティング膜を表す断面図である。 図3は、遮熱コーティング膜の製造条件を表す表である。 図4は、遮熱コーティング膜の熱サイクル耐久性を表すグラフである。 図5は、遮熱コーティング膜の耐エロージョン性を表すグラフである。 図6は、遮熱コーティング膜の単位膜厚当りの遮熱性の比率を表すグラフである。 図7は、第2実施形態の遮熱コーティング膜を表す断面図である。 図8は、第2実施形態の遮熱コーティング膜の変形例を表す断面図である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る遮熱コーティング法及び遮熱コーティング膜並びにタービン部材の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の遮熱コーティング法を実施するためのプラズマ溶射装置を表す概略図である。
第1実施形態において、図1に示すように、第1実施形態のプラズマ溶射装置10は、サスペンションプラズマ溶射(Suspension Plasma Spray :SPS)装置である。プラズマ溶射装置10は、プラズマ溶射ガン11と、懸濁液貯留タンク12と、懸濁液供給装置13とを備えている。プラズマ溶射ガン11は、懸濁液供給配管14を介して懸濁液が貯留される懸濁液貯留タンク13及び懸濁液供給装置13が連結されている。
そのため、懸濁液供給装置13が作動すると、懸濁液貯留タンク12の懸濁液が懸濁液供給配管14を通してプラズマ溶射ガン11に供給され、プラズマ溶射ガン11は、供給された懸濁液(サスペンション)をプラズマジェットを用いて加熱・加速し、溶融またはそれに近い状態にしてタービン動翼(タービン部材)Bの表面に吹き付けることで、遮熱コーティング膜を形成する。
第1実施形態のプラズマ溶射装置10を用いた遮熱コーティング法によりタービン動翼Bに形成する遮熱コーティング膜は、高い遮熱性、熱サイクル耐久性、耐エロージョン性が求められる。遮熱性とは、外部からの熱のタービン動翼Bへの伝わり難さであり、熱伝導率で表すことができ、熱伝導率が小さいほど、遮熱性が良い。熱サイクル耐久性とは、外部から繰り返し作用する熱による剥離しにくさであり、ここでの耐エロージョン性とは、微細物の衝突による、膜の摩耗のし難さを示している。
そのため、本実施形態では、溶射粉末として、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)を適用した。但し、その他に、酸化イッテルビウム(Yb2O3)で部分安定化させたジルコニア(ZrO2)であるイッテルビア安定化ジルコニア(YbSZ)などを用いてもよい。また、溶射粉末は、粒度のメジアン径D50が1.0μm〜1.5μmの範囲にあるものとした。また、溶媒としては、水を適用した。
図2は、遮熱コーティング膜を表す断面図である。
図2に示すように、第1実施形態の遮熱コーティング膜21は、母材22の表面に金属結合層としてのアンダーコート層23が形成され、アンダーコート層23の表面にセラミックを含む緻密縦割れコート層24が形成されて構成されている。ここで、緻密縦割れコート層24は、施工条件にもよるが、縦割れ密度は、従来のDVCで約2本〜3本/mm程度であるが、本実施形態のSPSでは5本/mm以上設けることができた。これは、緻密縦割れコート層24における個々の扁平後の粒子が小さくて薄いことから、縦割れしやすく間隔が小さくなると考えられる。アンダーコート層23は、酸素と燃料を使用した高速度ジェットフレーム溶射(High Velocity Oxygen Fuel*HVOF)や低圧プラズマ溶射(Low Pressure Plasma Spraying:LPPS)などにより形成する。緻密縦割れコート層24は、上述したプラズマ溶射装置10により所定の溶射粉末と溶媒を用いて、サスペンションプラズマ溶射により形成する。
図3は、遮熱コーティング膜の製造条件を表す表である。
図3に示すように、サスペンションプラズマ溶射の試験条件として、溶射粉末をYSZとし、溶媒を水とアルコールとした。また、溶射粉末は、粒度のメジアン径D50を0.5μm〜2.0μmの範囲で変化させると共に、溶射距離を70mm〜100mmに変化させた。溶射距離を変化させることで、溶射材の到達位置での溶射粒子温度が変化する。
溶媒として水を適用したものにおいて、溶射粉末の粒度のメジアン径D50が0.5μmのとき、いずれの溶射距離であっても、成膜(緻密縦割れコート層)が不可となった。溶射粉末の粒度のメジアン径D50が1.0μmのとき、溶射距離が50mmでは評価していないが、溶射距離が50mm〜100mmの範囲で、良好な成膜(緻密縦割れコート層)が形成された。溶射粉末の粒度のメジアン径D50が1.5μmのとき、溶射距離が50mmでは評価していないが、溶射距離が70mmで、良好な成膜(緻密縦割れコート層)が形成され、溶射距離が80mm〜100mmの範囲で、成膜(緻密縦割れコート層)が形成されものの、剥離や層状欠陥が発生した。溶射粉末の粒度のメジアン径D50が2.0μmのとき、溶射距離が50mmでは評価していないが、溶射距離が70mm〜90mmの範囲で、成膜(緻密縦割れコート層)が形成されたものの、膜厚が5μm以下となり、溶射距離が100mmで、成膜(緻密縦割れコート層)が不可となった。
また、溶媒としてアルコールを適用したものにおいて、溶射粉末の粒度のメジアン径D50が0.6μmのとき、溶射距離が50mmで、成膜(緻密縦割れコート層)が不可となり、溶射距離が70mm〜80mmの範囲で、成膜(緻密縦割れコート層)が形成されたものの、表面剥離が発生し、溶射距離が90mm〜100mmの範囲で、成膜(緻密縦割れコート層)が形成されたものの、表面に凹凸が発生した。溶射粉末の粒度のメジアン径D50が0.7μmのときも同様である。
その結果、溶媒として水を適用した場合、粒度のメジアン径D50が1.0μm〜1.5μmの範囲にあるとき、良好な成膜(緻密縦割れコート層)を形成することができ、特に、溶射距離が70mmであるとき、良好な成膜を形成することができた。
図4は、遮熱コーティング膜の熱サイクル耐久性を表すグラフ、図5は、遮熱コーティング膜の耐エロージョン性を表すグラフ、図6は、遮熱コーティング膜の単位膜厚当りの遮熱性の比率を表すグラフである。図4、図5、図6にて、Aは、従来のポーラス状の遮熱コーティング膜であり、Bは、従来の緻密縦割れ遮熱コーティング膜(DVC膜)であり、Cは、第1実施形態のSPSによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜(緻密縦割れコート層24)である。なお、従来のポーラス状の遮熱コーティング膜Aと従来の緻密縦割れ遮熱コーティング膜(DVC膜)Bと第1実施形態のSPSによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜Cは、同じ膜厚のもので比較している。また、図5は、縦軸がエロージョン減量であり、低値ほど耐エロージョン性が良好である。図6は、縦軸が単位膜厚当りの遮熱性、即ち、熱伝導率の逆数の比率を示しているので、大きい方が、遮熱効果が高いことを示している。
また、試験条件として、熱サイクル耐久性は、界面温度900℃、遮熱コーティング膜内温度勾配ΔT600℃(表面1500℃)での試験結果である。熱サイクル試験時の加熱時間約3分、冷却時間約3分の熱サイクルを1回とし、全て寿命1000回以上(剥離なし)となっており、全て100%としている。また、耐エロージョン性は、衝突物質としてのアルミナ粒子を用いたブラストエロージョン試験によって評価した。ここでは、アルミナ粒子の噴射角度30度、噴射距離100mm、噴射圧力5kg/cm、噴射量70g/回の条件のブラスト処理を2回実施した前後の重量減量で比較した結果である。遮熱性は、熱サイクル試験時の温度計測から評価した遮熱効果の大きさを相対的に表したものである。
まず、図4に示すように、熱サイクル耐久性については、従来のポーラス形状の遮熱コーティング膜A、従来のDVCによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜B、第1実施形態のSPSによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜C共に高い熱サイクル耐久性が確保された。次に、図5に示すように、耐エロージョン性については、従来のDVCによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜Bが最も良好であり、続いて、第1実施形態のSPSによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜C、従来のポーラス形状の遮熱コーティング膜Aが最も低いものとなった(なお、縦軸はエロージョン減量のため小さい方が耐エロージョン性は良好となる)。最後に、図6に示すように、遮熱性については、従来のポーラス形状の遮熱コーティング膜Aが最も良好であり、続いて、第1実施形態のSPSによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜C、従来のDVCによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜Bの順となった。
上述した熱サイクル耐久性、耐エロージョン性、遮熱性をそれぞれ比較した試験結果から、従来のポーラス形状の遮熱コーティング膜Aは、耐エロージョン性が最も低く、従来のDVCによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜Bが最も高いことがわかった、また、遮熱性では、従来のDVCによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜Bより第1実施形態のSPSによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜Cが高いことがわかった。
ここで、従来のDVCによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜Bと第1実施形態のSPSによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜Cを比較した場合、耐エロージョン性では、従来のDVCによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜Bが高く、遮熱性では、第1実施形態のSPSによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜Cが高い。この場合、従来のDVCによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜Bと第1実施形態のSPSによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜Cが従来のポーラス形状の遮熱コーティング膜Aと同じ遮熱性を確保しようした場合、両者の膜厚を厚くすることとなる。ポーラス形状の遮熱コーティング膜Aに対して、SPSによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜Cの遮熱性は約70%なので、1/0.7=約1.4倍の膜厚が必要となる。一方、ポーラス形状の遮熱コーティング膜Aに対して、DVCによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜Bの遮熱性は50%なので、1/0.5=約2倍の膜厚が必要となる。即ち、緻密縦割れ遮熱コーティング膜(DVC膜)Bの方が、SPSによる緻密縦割れ遮熱コーティング膜Cよりも耐エロージョン性には優れるものの、両者とも、ポーラス状の遮熱コーティング膜Aと同じ遮熱性を確保すると、膜B(従来DVC)は、膜C(SPSDVC)に比べて約1.43倍も厚くなってしまう。遮熱コーティング膜の厚さが厚くなると、その分、施工時間が長くなり、施工ばらつきを考えると、1.43倍以上の施工コスト、時間が必要となる。更に、状況によっては、極端な厚膜は、タービン動翼の空力特性そのものに影響を与えてしまう可能性もある。よって、必要な耐エロージョン性の改善程度によっては、厚膜化が抑制できる、膜C(SPSDVC)の方が有利である。
このように第1実施形態の遮熱コーティング法にあっては、母材22上に金属結合層としてのアンダーコート層23を形成するステップと、アンダーコート層23上にセラミックを含む緻密縦割れコート層24を形成するステップとを有し、溶射粉末の粒度のメジアン径をD50=1.0μm〜1.5μmに設定し、溶射粉末に溶媒を混合した懸濁液を用いてサスペンションプラズマ溶射して緻密縦割れコート層24を形成する。
従って、溶射粉末の粒度を適正値に設定し、溶射粉末と溶媒を混合した懸濁液を用いてサスペンションプラズマ溶射して緻密縦割れコート層24を形成することで、所望の厚さで剥離や層状欠陥のない適正な遮熱コーティング膜21を形成することができ、その結果、遮熱性と熱サイクル耐久性と耐エロージョン性の向上を図ることができる。
第1実施形態の遮熱コーティング法では、サスペンションプラズマ溶射時の溶射距離を65mm〜75mmに設定する。従って、適正な厚さの緻密縦割れコート層を形成することができる。
第1実施形態の遮熱コーティング法では、溶媒を水に設定する。従って、適正な厚さの緻密縦割れコート層を形成することができる。
また、第1実施形態の遮熱コーティング膜にあっては、粒度のメジアン径がD50=1.0μm〜1.5μmに設定された溶射粉末と、溶媒としての水を混合した懸濁液を用いてサスペンションプラズマ溶射して形成する。従って、遮熱性と熱サイクル耐久性と耐エロージョン性の向上を図ることができる。
第1実施形態のタービン部材にあっては、表面に遮熱コーティング膜21を設ける。従って、遮熱コーティング膜21における遮熱性と熱サイクル耐久性と耐エロージョン性の向上を図ることができ、タービン動翼Bなどのタービン部材の耐久性を向上することができる。
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の遮熱コーティング膜を表す断面図、図8は、第2実施形態の遮熱コーティング膜の変形例を表す断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2実施形態において、図7に示すように、遮熱コーティング膜31は、母材22の表面にアンダーコート層23が形成され、アンダーコート層23の表面にポーラス形状のトップコート層32が形成され、トップコート層32の表面に緻密縦割れコート層24が形成されて構成されている。ポーラス形状のトップコート層32は、従来のプラズマ溶射により形成するポーラス膜である。緻密縦割れコート層24は、第1実施形態と同様に、プラズマ溶射装置10により所定の溶射粉末と溶媒を用いて、サスペンションプラズマ溶射により形成する。
また、第2実施形態の変形例において、図8に示すように、遮熱コーティング膜41は、母材22の表面にアンダーコート層23が形成され、アンダーコート層23の表面にポーラス形状のトップコート層42が形成され、トップコート層42の表面に緻密縦割れコート層24が形成されて構成されている。ポーラス形状のトップコート層42は、気孔率の異なる3層のトップコート層43,44,45より形成され、外側ほどに気孔率が小さくなる傾斜組織となっている。ここで、ポーラス形状のトップコート層42は、プラズマ溶射による溶射距離や電流値を変化することで、各トップコート層43,44,45の気孔率を制御する。
なお、トップコート層32,42を形成するためのプラズマ溶射の施工条件は、溶射電圧約60V、溶射電流が約600A、粉末供給量が60g/min、溶射距離が150mmであるが、適宜変更してもよい。
第2実施形態の遮熱コーティング法にあっては、アンダーコート層23と緻密縦割れコート層24との間に、溶射粉末を用いてプラズマ溶射することでポーラス形状のトップコート層32,42を形成する。
従って、図7、図8の膜構造においては、表層部に緻密縦割れコート層24(SPSDVC膜)を配することで、表層部が支配的な、耐エロージョン性を改善できると共に、腐食性物質の膜への浸透を防ぎたい場合にも、有効な手段となる。更に、アンダーコート層23と緻密縦割れコート層24との間にポーラス形状のトップコート層32,42を設けることで、トップコート層32,42により遮熱性を向上することができ、緻密縦割れコート層24の厚さを薄くすることができる。即ち、下層に、遮熱性の良い、従来ポーラス膜を配することで、全厚をSPSDVC膜とするよりも、全厚としては、薄い膜とできる利点がある。
なお、上述した実施形態では、タービン部材としてタービン動翼Bを適用したが、タービン静翼、燃焼器の構成部材を適用してもよい。
10 プラズマ溶射装置
11 プラズマ溶射ガン
12 溶射粉末貯留タンク
13 溶媒貯留タンク
14 溶媒供給装置
15 溶射粉末供給配管
16 溶媒供給配管
21,31,41 遮熱コーティング膜
22 母材
23 アンダーコート層(金属結合層)
24 緻密縦割れコート層
32,42,43,44,45 トップコート層
B タービン動翼(タービン部材)

Claims (6)

  1. 母材上に金属結合層としてのアンダーコート層を形成するステップと、
    前記アンダーコート層上にセラミックを含む緻密縦割れコート層を形成するステップと、
    を有し、
    溶射粉末の粒度のメジアン径をD50=1.0μm〜1.5μmに設定し、前記溶射粉末に溶媒を混合した懸濁液を用いてサスペンションプラズマ溶射することで、前記緻密縦割れコート層を形成する、
    ことを特徴とする遮熱コーティング法。
  2. 前記サスペンションプラズマ溶射時の溶射距離を65mm〜75mmに設定することを特徴とする請求項1に記載の遮熱コーティング法。
  3. 前記溶媒を水に設定することを特徴とする請求項2に記載の遮熱コーティング法。
  4. 前記アンダーコート層と前記緻密縦割れコート層との間に、前記溶射粉末を用いてプラズマ溶射することでポーラス形状のトップコート層を形成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遮熱コーティング法。
  5. 粒度のメジアン径がD50=1.0μm〜1.5μmに設定された溶射粉末と、溶媒としての水を混合した懸濁液を用いて形成されることを特徴とする遮熱コーティング膜。
  6. 表面に請求項5に記載の遮熱コーティング膜が設けられることを特徴とするタービン部材。
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