JP2015165070A - 構造物の制振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コスト上昇を抑制しながら、構造物に対する制振効果を向上させることができる構造物の制振装置を提供する。
【解決手段】構造物2は、複数の質点4及びそれらをそれぞれ支持する支持バネ部である複数の主系支持バネ部5によって、主振動系Aを構成し、制振装置1は、メインダンパ8A、及びこれよりも基礎3側の位置に設けられたサブダンパ8B、並びにこれらをそれぞれ支持する支持バネ部である、フレーム7の対応する付加系支持バネ部9A、9Bによって、主振動系Aの振動を抑制するための付加振動系Bを構成する。この付加振動系Bは、メインダンパ8A及びサブダンパ8Bの数に対応する複数の固有振動数を有しており、複数の固有振動数が、主振動系Aの所定の固有モードの固有振動数に同調するように設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、建物や橋梁などの構造物に対し、その振動を抑制するための構造物の制振装置に関する。
従来、この種の構造物の制振装置として、例えば本出願人がすでに出願し、特許された特許文献1に開示したものが知られている。この制振装置は、ビルなどの建物の構造物を制振するためのものであり、構造物と同じ高さを有するとともに構造物と別個に設置されたフレームと、構造物とフレームの間に設けられたマスダンパとを備えている。フレームは、H鋼などから成り、鉛直に延びる一対の柱と、両柱間に水平に延びる複数の梁で構成されたラーメン構造を有している。一方、マスダンパは、回転慣性効果を得るための回転マス、及び減衰効果を得るための粘性要素を有しており、構造物及びフレームのそれぞれの最上部間を連結するように設置されている。
上記のマスダンパ及びフレームによる制振装置により、主振動系としての構造物に付加されかつその構造物の振動を抑制する付加振動系が構成されている。そして、この付加振動系の固有振動数、具体的には、マスダンパの回転マスの回転慣性質量及びフレームの剛性によって定まる固有振動数が、構造物の固有振動数に同調するように設定されている。これにより、構造物が地震などによって振動すると、マスダンパは、構造物とフレームの間の相対変位を回転マスの回転運動に変換しながら、構造物の振動に共振するように作動し、構造物の振動エネルギーを付加振動系で吸収することによって、構造物の振動を抑制する。
特許第5189213号公報
上記の制振装置では、構造物の高さが高いほど、その最上部に設置されるマスダンパにはダンパストロークの大きいものが必要になり、また、フレームには高さ寸法の大きいものが必要になる。このため、マスダンパやフレームが大型化し、それにより、制振装置のコストが上昇してしまう。また、構造物の高さが高い場合でも、マスダンパを上記の制振装置の場合に比べて低い位置に設置することにより、そのマスダンパのダンパストロークを小さくできるとともに、フレームの高さ寸法も小さくできるため、制振装置のコスト上昇を抑制することが可能である。しかし、この場合、前述した制振装置のマスダンパと同じ回転慣性質量を有する回転マスを備えたマスダンパを用いると、構造物に対するマスダンパの質量比が小さくなり、その結果、構造物に対する制振効果を十分に得ることができないことがある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、コスト上昇を抑制しながら、構造物に対する制振効果を向上させることができる構造物の制振装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、所定方向に延びるとともに、両端部の少なくとも一方が基礎に固定されるように設置され、複数の質点を有する振動モデルでモデル化可能な構造物に対し、その振動を抑制するための構造物の制振装置であって、構造物の長さ方向に沿って延び、構造物と別個に設置されたフレームと、慣性質量要素及び減衰要素を有し、構造物とフレームの間を連結するように設けられたメインダンパと、慣性質量要素及び減衰要素を有し、メインダンパの制振効果を向上させるために、構造物及びフレームの長さ方向において、メインダンパよりも基礎側の位置に、構造物とフレームの間を連結するように設けられたサブダンパと、を備え、構造物は、複数の質点及びそれらをそれぞれ支持する支持バネ部である複数の主系支持バネ部によって、主振動系を構成し、制振装置は、メインダンパ及びサブダンパ、並びにこれらをそれぞれ支持する支持バネ部である、フレームの対応する付加系支持バネ部によって、主振動系の振動を抑制するための付加振動系を構成しており、付加振動系は、メインダンパ及びサブダンパの数に対応する複数の固有振動数を有しており、複数の固有振動数が、主振動系の所定の固有モードの固有振動数に同調するように設定されることを特徴とする。
この構成によれば、所定方向に延びるとともに、両端部の少なくとも一方が基礎に固定されるように設置された構造物の振動が、上記フレーム、メインダンパ及びサブダンパを備えた制振装置によって抑制される。上記の構造物は、複数の質点を有する振動モデルでモデル化可能であり、複数の質点及びそれらをそれぞれ支持する支持バネ部である複数の主系支持バネ部によって、制振対象としての主振動系を構成する。また、構造物と別個に設置されたフレームは、構造物の長さ方向に沿って延びており、このフレームと構造物の間を連結するように、メインダンパが設けられるとともに、そのメインダンパよりも基礎側の位置にサブダンパが設けられ、これらのメインダンパ及びサブダンパ、並びにこれらをそれぞれ支持する支持バネ部である、フレームの対応する付加系支持バネ部によって、主振動系の振動を抑制するための付加振動系を構成する。この付加振動系は、各ダンパの慣性質量要素の慣性質量と、各ダンパを支持する付加系支持バネ部の剛性とによって定まる固有振動数を、メインダンパ及びサブダンパの数に対応する分、すなわち全ダンパの数分、有している。そして、この付加振動系の諸元を、定点理論に基づき、最適同調条件を満足するように設定する。すなわち、付加振動系の複数の固有振動数を、主振動系の所定の固有モードの固有振動数に同調させるように設定する。
例えば、n個の質点を有する振動モデルで表される構造物は、n個の固有振動数と固有モードを有しており、それにより、構造物が振動する際には、1〜n次モードの振動が発生する。付加振動系の複数の固有振動数を、主振動系の所定の固有モード、例えば主振動系の振動全体に占める割合が大きい低次モード(例えば1次モードや2次モード)の固有振動数に同調させるように設定することにより、それらの低次モードの振動を抑制し、主振動系における振動の大部分を、適切に抑制することができる。
また、付加振動系において、メインダンパに加えてサブダンパを設け多重同調させることにより、構造物及びフレームの最上部間にマスダンパが設けられる従来の制振装置に比べて、同じ質量比における主振動系の応答倍率曲線を最小化するのに必要な付加振動系全体の減衰係数が小さくてすむ。このため、付加振動系全体の減衰係数が小さいほど、振動する主振動系に対する共振時の付加振動系自体の運動が増大し、その結果、メインダンパによる制振効果を向上させることができる。したがって、構造物の長さ方向に対し、フレームの寸法を短くしても、両者の間に、上記のようにメインダンパ及びサブダンパを設置することにより、コスト上昇を抑制しながら、構造物に対する制振効果を向上させることができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構造物の制振装置において、所定の固有モードは、主振動系の1次モードであり、付加振動系の全ての固有振動数が、主振動系の1次モードの固有振動数に同調するように設定されることを特徴とする。
この構成によれば、付加振動系の全ての固有振動数が、主振動系の1次モードの固有振動数に同調するように設定される。前述したように、通常、低次モードほど、主振動系の振動全体に占める割合が大きいので、付加振動系の全ての固有振動数を、最も低い固有モードである1次モードの固有振動数に同調するように設定することにより、構造物の1次モードに対する制振効果を向上させることができる。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の構造物の制振装置において、所定の固有モードは、主振動系の1次モード及び2次モードであり、付加振動系は、2つの固有振動数を有しており、付加振動系の2つの固有振動数の一方が、主振動系の1次モード及び2次モードの一方の固有振動数に同調し、付加振動系の2つの固有振動数の他方が、主振動系の1次モード及び2次モードの他方の固有振動数に同調するように設定されることを特徴とする。
この構成によれば、2つの固有振動数を有する付加振動系の一方の固有振動数を、主振動系の1次モード及び2次モードの一方の固有振動数に同調させるように設定するとともに、付加振動系の他方の固有振動数を、主振動系の1次モード及び2次モードの他方の固有振動数に同調させるように設定する。これにより、構造物の1次モード及び2次モードに対する制振効果を向上させることができる。
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の構造物の制振装置において、メインダンパ及びサブダンパは、メインダンパ及びサブダンパを一組とする2つのダンパ群で構成されており、2つのダンパ群の一方による付加振動系の2つの固有振動数が、主振動系の1次モード及び2次モードの一方の固有振動数に同調し、2つのダンパ群の他方による付加振動系の2つの固有振動数が、主振動系の1次モード及び2次モードの他方の固有振動数に同調するように設定されることを特徴とする。
この構成によれば、メインダンパ及びサブダンパを一組とする2つのダンパ群において、一方のダンパ群による付加振動系の2つの固有振動数が、主振動系の1次モード及び2次モードの一方の固有振動数に同調するように設定され、他方のダンパ群による付加振動系の2つの固有振動数が、主振動系の1次モード及び2次モードの他方の固有振動数に同調するように設定される。これにより、構造物の1次モード及び2次モードに対する制振効果を、より一層向上させることができる。
請求項5に係る発明は、請求項1又は2に記載の構造物の制振装置において、サブダンパは、複数のサブダンパで構成されていることを特徴とする。
この構成によれば、複数のサブダンパにより、メインダンパによる制振効果をより一層向上させることができる。
(a)は、本発明の第1実施形態による制振装置を高層建物である構造物に適用した状態を模式的に示す図であり、(b)は、その構造物及び制振装置を振動モデルでモデル化して示す図である。 制振装置におけるマスダンパの縦断面図である。 8層構造物及び制振装置を振動モデルでモデル化して示す図である。 8層構造物の各偶数層において、地面からの相対変位応答倍率を示す図であり、(a)は構造物のみの場合、(b)は本発明の制振装置を適用した場合を示す。 8層構造物の各偶数層において、地面からの相対変位応答倍率を示す図であり、(a)は従来の制振装置を適用した場合、(b)は本発明の制振装置を適用した場合を示す。 本発明の第2実施形態の制振装置を説明するための図であり、(a)は、制振装置を高層建物である構造物の上半部に適用した状態を模式的に示す図であり、(b)は、その構造物及び制振装置を振動モデルでモデル化して示す図である。 本発明の第3実施形態の制振装置を説明するための図であり、(a)は、2つのダンパ群を有する制振装置を橋梁である構造物に適用した状態を模式的に示す図であり、(b)は、その構造物及び制振装置を振動モデルでモデル化して示す図である。 本発明の第4実施形態の制振装置を説明するための図であり、(a)は、単一のメインダンパ及び2つのサブダンパを有する制振装置を橋梁である構造物に適用した状態を模式的に示す図であり、(b)は、その構造物及び制振装置を振動モデルでモデル化して示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1(a)は、本発明の第1実施形態による制振装置1を高層建物である構造物2に適用した状態を模式的に示し、また同図(b)は、その構造物2及び制振装置1を振動モデルでモデル化して示している。同図(b)に示すように、この振動モデルでは、鉛直方向に延びる構造物2が制振対象としての主振動系Aを構成し、この主振動系Aの振動を抑制するための制振装置1が付加振動系Bを構成している。
構造物2は、例えば、鉄骨構造を有し、基礎3上に立設された25階建てビルなどから成る25層の構造物である。したがって、この構造物2をモデル化した主振動系Aは、層数と同じ数の25個(図1(b)では5個のみ図示)の質点4と、これらの質点4をそれぞれ支持する複数の支持バネ部(以下「主系支持バネ部」という)5で構成されている。なお、図1(b)に示す各主系支持バネ部5において、上側のばね様の記号5aは、主系支持バネ部5のせん断剛性を表し、下側の渦巻き様の記号5bは、主系支持バネ部5の曲げ剛性を表している。
制振装置1は、構造物2とは別個に基礎3上に立設され、上下方向に所定長さ(例えば構造物2のほぼ1/2の高さ)を有するフレーム7と、構造物2とフレーム7の間を連結し、互いに異なる高さ位置に設けられた2つのマスダンパ8、8とを備えている。
フレーム7は、例えば、H鋼などから成り、構造物2の外側に、その外壁に沿って上下方向に延びる複数の柱、水平に延びる複数の梁、及び斜めに延びるブレースなどで構成されたラーメン構造を有している。なお、フレーム7は、構造物2の複数の外壁(例えば四方の外壁)に沿って配置してもよく、また、構造物2の外側に限らず、その内側に設けることも可能である。
一方、マスダンパ8は、本発明者が提案し、特許された前記特許文献1に開示されたものと同じであるので、以下、図2を参照しながら簡単に説明する。同図に示すように、マスダンパ8は、内筒11、ボールねじ12及び回転マス13(慣性質量要素)を有している。内筒11は、鋼材などで構成され、一端部が開口した円筒状のものであり、他端部は、第1フランジ14に取り付けられている。
また、ボールねじ12は、ねじ軸12aと、ねじ軸12aに多数のボール12bを介して螺合するナット12cを有している。ねじ軸12aの一端部は、内筒11の開口に収容され、他端部は、第2フランジ15に取り付けられている。また、ナット12cは、軸受16を介して、内筒11に回転自在に支持されている。
回転マス13は、比重の大きな材料、例えば鉄で構成され、円筒状に形成されている。また、回転マス13は、内筒11及びボールねじ12の外側に、これらを覆うように設けられ、軸受17を介して、内筒11に回転自在に支持されている。回転マス13と内筒11の間の空間は、一対のリング状のシール材18、18で密閉されており、この空間には、シリコンオイルで構成された粘性体19(減衰要素)が充填されている。さらに、このマスダンパ8には、マスダンパ8自体からの過大な反力が構造物2やフレーム7に作用することによるそれらの損傷などを防止するために、マスダンパ8の軸線方向に作用する荷重を制限するための軸力制限機構10が設けられている。
以上のように構成されたマスダンパ8は、両端側の第1フランジ14及び第2フランジ15の一方が、構造物2の所定層(所定の質点4に対応する位置)に連結され、他方がフレーム7に連結されている。構造物2とフレーム7の間に相対変位が発生すると、その直線運動が、ボールねじ12で回転運動に変換された状態で、回転マス13に伝達されることによって、回転マス13が回転する。
また、2つのマスダンパ8のうち、上側のマスダンパ(以下「メインダンパ8A」という)は、フレーム7の上端部と、それに対応する構造物2の所定層との間に連結される一方、下側のマスダンパ(以下「サブダンパ8B」という)は、メインダンパ8Aが連結された構造物2の所定層よりも下位の層(図1では5層下位の層)と、それに対応するフレーム7の所定位置との間に連結されている。したがって、制振装置1をモデル化した付加振動系Bは、メインダンパ8A及びサブダンパ8Bと、これらをそれぞれ支持するフレーム7における支持バネ部(以下「付加系支持バネ部」という)9で構成されている。
なお、以下の説明では、メインダンパ8A及びサブダンパ8Bをそれぞれ支持する付加系支持バネ部9について、適宜、「9A」及び「9B」の符号を付すものとする。また、図1に示す各付加系支持バネ部9の2つの記号9a及び9bはそれぞれ、主系支持バネ部5の記号5a及び5bと同様、付加系支持バネ部9のせん断剛性及び曲げ剛性を表している。
上記の付加振動系Bは、回転マス13を有するメインダンパ8A及びこれを支持する付加系支持バネ部9A、並びに回転マス13を有するサブダンパ8B及びこれを支持する付加系支持バネ部9Bにより、両ダンパ8A及び8Bの数分、すなわち2つの固有振動数を有している。そして、この付加振動系Bの諸元が、定点理論に基づき、最適同調条件を満足するように設定される。
具体的には、メインダンパ8Aの回転マス13の回転慣性質量及び付加系支持バネ部9Aの剛性、並びにサブダンパ8Bの回転マス13の回転慣性質量及び付加系支持バネ部9Bの剛性を調整することにより、付加振動系Bの2つの固有振動数を、主振動系Aの複数の固有モードのうち、所定の低次モード(例えば、1次モード及び/又は2次モード)の固有振動数に同調させるように設定する。これにより、構造物2における応答倍率曲線の定点の高さを等しくすることができる。なお、付加系支持バネ部9A及び9Bの剛性は、ブレースの配置や梁、柱の断面寸法などを調整することによって行われる。
また、上記の固有振動数の設定とともに、メインダンパ8A及びサブダンパ8Bの粘性体19、19について、それらの減衰係数を最適に調整する。これにより、構造物2における応答倍率曲線の最大値を最小化することができる。
次に、本実施形態の具体的な適用例として、下記の8階建ての構造物22に制振装置21を適用する場合について、図3を参照しながら説明する。この構造物22の諸元は、下表1のとおりである。
Figure 2015165070
なお、表1のiは、構造物の1〜8階の各層を表し、hは各層の高さ、Hは基礎3からの高さを表している。また、miは各層の質量、kiは各層における主系支持バネ部5の剛性、Σmiは各層における総質量を表している。
また、制振装置21のメインダンパ8Aは、構造物22の5階に対応する層とフレーム7の上端部との間に連結され、一方、サブダンパ8Bは、構造物22の3階に対応する層とフレーム7との間に連結されている。そして、付加振動系Bにおける2つの固有振動数は、構造物22の1次モードの固有振動数に同調するように設定されている。また、メインダンパ8A及びサブダンパ8Bの粘性体19、19についても、それらの減衰係数が最適に調整されている。
図4は、構造物22における各層(1F〜8F)のうち、偶数の各層(2F、4F、6F及び8F)を代表し、これらの層において、地面からの相対変位応答倍率を示しており、(a)は構造物22のみの場合、(b)は制振装置21を適用した場合を示している。図4の(a)と(b)を対比して明らかなように、制振装置21を適用した場合、2次モード及び3次モードの相対変位応答倍率についてはほとんど相違がないものの、1次モードの相対変位応答倍率が大幅に低減できることがわかる。なお、構造物22自体の構造減衰は、1次モードに対し1%の剛性比例型減衰として解析している。
また、図5は、本実施形態の制振装置21と、前述した従来の制振装置、すなわち構造物22及びこれとほぼ同じ高さを有するフレームの最上部間にマスダンパ8が設けられた制振装置とを比較するための図4と同様の相対変位応答倍率を示しており、(a)は従来の制振装置を適用した場合、(b)は図4(b)と同じであり、本実施形態の制振装置21を適用した場合を示している。図5の(a)と(b)を対比して明らかなように、本実施形態の制振装置21を適用した場合、従来の制振装置を適用した場合に比べて、同じ質量比での1次モードの振動による相対変位応答倍率がより低減できることがわかる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、付加振動系Bの2つの固有振動数を、主振動系Aの振動全体に占める割合が大きい低次モード(1次モード及び/又は2次モード)の固有振動数に同調させるように設定することにより、それらの低次モードの振動を抑制し、主振動系Aにおける振動の大部分を、適切に抑制することができる。また、付加振動系Bにおいて、メインダンパ8Aに加えてサブダンパ8Bを設け多重同調させることにより、前述した従来の制振装置に比べて、同じ質量比での主振動系Aの応答倍率曲線を最小化するのに必要な付加振動系B全体の減衰係数が小さくてすむ。このため、付加振動系B全体の減衰係数が小さいほど、振動する主振動系Aに対する共振時の付加振動系B自体の運動が増大し、その結果、メインダンパ8Aによる制振効果を向上させることができる。したがって、構造物2の高さに対し、フレーム7の寸法を短くしても、両者の間に、メインダンパ8A及びサブダンパ8Bを設置することにより、コスト上昇を抑制しながら、構造物2に対する制振効果を向上させることができる。
図6は、本発明の第2実施形態を示しており、制振装置31を高層建物である構造物32の上半部に適用したものである。なお、以下の説明では、前述した第1実施形態と同一の構成部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略するものとする。
図6(a)に示すように、この構造物32は、基礎3上に立設され、32階建てビルなどから成る32層の構造物である。また、この構造物32は、ほぼ上半部(20層)の上層部34が、ほぼ下半部(12層)の下層部35に対して、セットバックされた状態に構成されている。一方、制振装置31は、構造物32における下層部35の天井部35a上に立設され、上層部34のほぼ1/2の高さを有するフレーム7と、上層部34のほぼ中央の層(11層)及びそれよりも下位の層(6層)とフレーム7との間をそれぞれ連結するように設けられたメインダンパ8A及びサブダンパ8Bとを備えている。
これらの構造物32及び制振装置31をモデル化した図6(b)に示すように、構造物32の上層部34は、前記第1実施形態と同様、主振動系Aを構成しており、上層部34の層数と同じ数の20個(図6(b)では4個のみ図示)の質点4と、各質点4をそれぞれ支持する主系支持バネ部5で構成されている。一方、制振装置31は、前記第1実施形態と同様、付加振動系Bを構成しており、メインダンパ8A及びサブダンパ8Bと、これらをそれぞれ支持するフレーム7における付加系支持バネ部9A及び9Bで構成されている。そして、本実施形態における付加振動系Bでは、その諸元について、前述した第1実施形態と同様にして設定される。
本実施形態によれば、構造物32における上層部34に対し、前述した第1実施形態と同様、メインダンパ8による制振効果を向上させることができ、特に、ホイッピング現象などを効果的に防止することができる。
図7は、本発明の第3実施形態を示しており、制振装置41を橋梁である構造物42に適用したものである。同図(a)に示すように、この構造物42は、互いに所定距離を隔てた両岸間においてほぼ水平に延び、両岸の基礎43、43を連結するように設けられた鉄骨構造の橋梁である。一方、制振装置41は、ほぼ水平に所定長さ延び、一端部が対応する基礎43、43にそれぞれ固定された2つのフレーム44、44と、構造物42と各フレーム44の間を連結するように設けられたメインダンパ8A及びサブダンパ8Bを一組とする2つのダンパ群40、40とを備えている。
これらの構造物42及び制振装置41をモデル化した図7(b)に示すように、構造物42は前記第1実施形態と同様、主振動系Aを構成しており、複数(本実施形態では7つであり、図7(b)では4つのみ図示)の質点4と、各質点4をそれぞれ支持する主系支持バネ部5で構成されている。一方、制振装置41は、前記第1実施形態と同様、付加振動系Bを構成しており、フレーム44及びダンパ群40を有する2つの付加振動系Bが、構造物41の両端部にそれぞれ設けられている。そして、2つの付加振動系Bの一方の2つの固有振動数が、主振動系Aの1次モード及び2次モードの一方の固有振動数に同調し、2つの付加振動系Bの他方の2つの固有振動数が、主振動系Aの1次モード及び2次モードの他方の固有振動数に同調するように設定される。
本実施形態によれば、構造物42の1次モード及び2次モードに対する制振効果を向上させることができ、構造物42の振動を適切に抑制することができる。また、本実施形態では、2つの付加振動系Bの一方の2つの固有振動数が、主振動系Aの1次モード及び2次モードの一方の固有振動数に同調し、2つの付加振動系Bの他方の2つの固有振動数が、主振動系Aの1次モード及び2次モードの他方の固有振動数に同調するように設定されているが、2つの付加振動系Bの全ての固有振動数を主振動系Aの1次モードのみに同調させても勿論良い。
図8は、本発明の第4実施形態を示しており、制振装置51を橋梁である構造物52に適用したものである。同図(a)に示すように、この構造物52は、前記第3実施形態の構造物42と同様に構成された橋梁であり、互いに所定距離を隔てた両岸間においてほぼ水平に延び、両岸の基礎53、53を連結するように設けられている。一方、制振装置51は、両岸間においてほぼ水平に延び、両端部が両岸の基礎53、53に固定されたフレーム54と、構造物52とフレーム54の間を連結するように設けられた単一のメインダンパ8A及び2つのサブダンパ8B、8Bとを備えている。
これらの構造物52及び制振装置51をモデル化した図8(b)に示すように、構造物52は、前記第3実施形態と同様、主振動系Aを構成しており、複数の質点4と、各質点4をそれぞれ支持する主系支持バネ部5で構成されている。一方、制振装置51は、前記第3実施形態と同様、付加振動系Bを構成しており、構造物52及びフレーム54の長さ方向の中央部間が、メインダンパ8Aによって連結されるとともに、そのメインダンパ8Aよりも両基礎53、53側の所定位置において、構造物52とフレーム54の間が、サブダンパ8B、8Bによって連結されている。そして、付加振動系Bの全ての固有振動数が、主振動系Aの1次モードの固有振動数に同調するように設定される。
本実施形態によれば、構造物52の1次モードに対する制振効果を向上させることができ、構造物52の振動を適切に抑制することができる。
また、本実施形態では、付加振動系Bの複数の固有振動数のうち、一部の固有振動数を主振動系Aの1次モードの固有振動数に同調させるとともに、他の固有振動数を主振動系Aの2次モードや3次モードの固有振動数に同調させるように設定することも可能である。
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、各実施形態の制振装置1、21、31、41及び51では、本発明のメインダンパ8A及びサブダンパ8Bの慣性質量要素及び減衰要素として、回転マス13及び粘性体19を備えたマスダンパ8を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、慣性効果及び減衰効果を得られるとともに、慣性質量及び減衰係数を調整可能なものであれば、種々のダンパを採用することが可能である。
また、パルス型の入力による応答性状の向上や、制振装置の設計諸元変動に伴うロバスト性に関する制振効果の向上のために、付加振動系Bの固有振動数を大きい方向、つまり、付加振動系Bの剛性を、質量比や剛性比に応じて、硬めに設定してもよい。
さらに、実施形態で示した制振装置1などの細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
1 制振装置
2 構造物
3 基礎
4 質点
5 主系支持バネ部
7 フレーム
8 マスダンパ
8A メインダンパ
8B サブダンパ
9 付加系支持バネ部
9A メインダンパを支持する付加系支持バネ部
9B サブダンパを支持する付加系支持バネ部
13 回転マス(慣性質量要素)
19 粘性体(減衰要素)
21 制振装置
22 構造物
31 第2実施形態の制振装置
32 第2実施形態の構造物
40 ダンパ群
41 第3実施形態の制振装置
42 第3実施形態の構造物
43 第3実施形態の両岸の基礎
44 第3実施形態のフレーム
51 第4実施形態の制振装置
52 第4実施形態の構造物
53 第4実施形態の両岸の基礎
54 第4実施形態のフレーム
A 主振動系
B 付加振動系

Claims (5)

  1. 所定方向に延びるとともに、両端部の少なくとも一方が基礎に固定されるように設置され、複数の質点を有する振動モデルでモデル化可能な構造物に対し、その振動を抑制するための構造物の制振装置であって、
    前記構造物の長さ方向に沿って延び、当該構造物と別個に設置されたフレームと、
    慣性質量要素及び減衰要素を有し、前記構造物と前記フレームの間を連結するように設けられたメインダンパと、
    慣性質量要素及び減衰要素を有し、前記メインダンパの制振効果を向上させるために、前記構造物及び前記フレームの長さ方向において、前記メインダンパよりも前記基礎側の位置に、当該構造物と当該フレームの間を連結するように設けられたサブダンパと、
    を備え、
    前記構造物は、前記複数の質点及びそれらをそれぞれ支持する支持バネ部である複数の主系支持バネ部によって、主振動系を構成し、
    前記制振装置は、前記メインダンパ及び前記サブダンパ、並びにこれらをそれぞれ支持する支持バネ部である、前記フレームの対応する付加系支持バネ部によって、前記主振動系の振動を抑制するための付加振動系を構成しており、
    前記付加振動系は、前記メインダンパ及び前記サブダンパの数に対応する複数の固有振動数を有しており、当該複数の固有振動数が、前記主振動系の所定の固有モードの固有振動数に同調するように設定されることを特徴とする構造物の制振装置。
  2. 前記所定の固有モードは、前記主振動系の1次モードであり、
    前記付加振動系の全ての固有振動数が、前記主振動系の前記1次モードの固有振動数に同調するように設定されることを特徴とする請求項1に記載の構造物の制振装置。
  3. 前記所定の固有モードは、前記主振動系の1次モード及び2次モードであり、
    前記付加振動系は、2つの固有振動数を有しており、
    前記付加振動系の2つの固有振動数の一方が、前記主振動系の1次モード及び2次モードの一方の固有振動数に同調し、前記付加振動系の2つの固有振動数の他方が、前記主振動系の1次モード及び2次モードの他方の固有振動数に同調するように設定されることを特徴とする請求項1に記載の構造物の制振装置。
  4. 前記メインダンパ及び前記サブダンパは、当該メインダンパ及び当該サブダンパを一組とする2つのダンパ群で構成されており、
    前記2つのダンパ群の一方による前記付加振動系の2つの固有振動数が、前記主振動系の1次モード及び2次モードの一方の固有振動数に同調し、前記2つのダンパ群の他方による前記付加振動系の2つの固有振動数が、前記主振動系の1次モード及び2次モードの他方の固有振動数に同調するように設定されることを特徴とする請求項1に記載の構造物の制振装置。
  5. 前記サブダンパは、複数のサブダンパで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物の制振装置。
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