JP2015160938A - 高強度かつ高サイクル成形性を有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
高強度かつ高サイクル成形性を有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015160938A JP2015160938A JP2014038535A JP2014038535A JP2015160938A JP 2015160938 A JP2015160938 A JP 2015160938A JP 2014038535 A JP2014038535 A JP 2014038535A JP 2014038535 A JP2014038535 A JP 2014038535A JP 2015160938 A JP2015160938 A JP 2015160938A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- epoxy resin
- fiber
- resin composition
- group
- thermosetting epoxy
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 0 NC(C=C1)=C*(*2)C2=C1NC(C=C1)=C*(*2)C2=C1N Chemical compound NC(C=C1)=C*(*2)C2=C1NC(C=C1)=C*(*2)C2=C1N 0.000 description 4
Images
Landscapes
- Reinforced Plastic Materials (AREA)
- Epoxy Resins (AREA)
Abstract
【課題】成形速度の向上と強度の向上を両立できる熱硬化性エポキシ樹脂組成物、および、該熱硬化性エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂とする繊維強化プラスチックを提供すること。【解決手段】ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、およびノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一つ以上を含むエポキシ樹脂(A)と、所定の芳香族ポリアミン化合物(B)とを含んでなる熱硬化性エポキシ樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物、および、該熱硬化性エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂とする繊維強化プラスチックに関する。
熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、これをマトリックス樹脂に用いた繊維強化プラスチック等に幅広く利用される。また、該繊維強化プラスチックは、ラケットフレーム、ゴルフクラブシャフト、釣竿等のスポーツ用品やロボットアーム等の産業用品等に使用されている(特許文献1)。
熱硬化性エポキシ樹脂組成物には、成形速度の向上(高サイクル成形性)と強度の向上の両立が求められる。しかし、硬化剤として、高強度を実現できる芳香族ポリアミンを用いる場合、その硬化時間は比較的長時間を要し、高サイクル成形性に欠けるという問題、すなわち、成形に時間がかかるため非効率であるという問題があった。
本発明は、成形速度の向上と強度の向上を両立できる熱硬化性エポキシ樹脂組成物、および、該熱硬化性エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂とする繊維強化プラスチックを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、所定のエポキシ樹脂に、硬化剤として、所定の芳香族ポリアミン化合物を用いれば、上記課題を解決し得ることを見出し、さらに検討を重ねて、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、およびノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一つ以上を含むエポキシ樹脂(A)と、芳香族ポリアミン化合物(B)とを含んでなる熱硬化性エポキシ樹脂組成物であって、
芳香族ポリアミン化合物(B)が、下記式(1)〜(5)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つ以上である、
熱硬化性エポキシ樹脂組成物、
(上記式(1)〜(5)のR1〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、チオール基、またはアミノ基を表す。)
[2]130℃、次いで180℃の二段階の温度条件下硬化を行う場合の全硬化時間が、180分以下、好ましくは150分以下、より好ましくは130分以下である、あるいは、より詳しくは、130℃での硬化時間が70分以下かつ180℃での硬化時間が110分以下、好ましくは130℃での硬化時間が60分以下かつ180℃での硬化時間が90分以下、より好ましくは130℃での硬化時間が50分以下かつ180℃での硬化時間が80分以下である、上記[1]記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物、
[3]芳香族ポリアミン化合物(B)が、下記式(6)〜(10)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つ以上、好ましくは下記式(6)で示される化合物である、上記[1]または[2]記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物、
[4]芳香族ポリアミン化合物(B)が有する活性水素の当量数が、エポキシ樹脂(A)が有するエポキシ基に対して、0.5〜2.5当量、好ましくは0.7〜2.0当量である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物、
[5]ポリビニルアセタール樹脂、好ましくはポリビニルホルマール樹脂を、エポキシ樹脂(A)に対して2〜12質量%、好ましくは3〜10質量%、より好ましくは4〜8質量%さらに含んでなる、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物をマトリクス樹脂とする繊維強化プラスチック、
[7]繊維が炭素繊維である上記[6]記載の繊維強化プラスチック、
[8]繊維の含量が65〜85質量%、好ましくは65〜83質量%、より好ましくは70〜80質量%である上記[7]記載の繊維強化プラスチック。
[9]繊維の弾性率が10tf/m2〜70tf/m2、好ましくは10tf/m2〜60tf/m2である上記[8]記載の繊維強化プラスチックに関する。
[1]ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、およびノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一つ以上を含むエポキシ樹脂(A)と、芳香族ポリアミン化合物(B)とを含んでなる熱硬化性エポキシ樹脂組成物であって、
芳香族ポリアミン化合物(B)が、下記式(1)〜(5)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つ以上である、
熱硬化性エポキシ樹脂組成物、
[2]130℃、次いで180℃の二段階の温度条件下硬化を行う場合の全硬化時間が、180分以下、好ましくは150分以下、より好ましくは130分以下である、あるいは、より詳しくは、130℃での硬化時間が70分以下かつ180℃での硬化時間が110分以下、好ましくは130℃での硬化時間が60分以下かつ180℃での硬化時間が90分以下、より好ましくは130℃での硬化時間が50分以下かつ180℃での硬化時間が80分以下である、上記[1]記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物、
[3]芳香族ポリアミン化合物(B)が、下記式(6)〜(10)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも一つ以上、好ましくは下記式(6)で示される化合物である、上記[1]または[2]記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物、
[5]ポリビニルアセタール樹脂、好ましくはポリビニルホルマール樹脂を、エポキシ樹脂(A)に対して2〜12質量%、好ましくは3〜10質量%、より好ましくは4〜8質量%さらに含んでなる、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物をマトリクス樹脂とする繊維強化プラスチック、
[7]繊維が炭素繊維である上記[6]記載の繊維強化プラスチック、
[8]繊維の含量が65〜85質量%、好ましくは65〜83質量%、より好ましくは70〜80質量%である上記[7]記載の繊維強化プラスチック。
[9]繊維の弾性率が10tf/m2〜70tf/m2、好ましくは10tf/m2〜60tf/m2である上記[8]記載の繊維強化プラスチックに関する。
本発明によれば、成形速度の向上と強度の向上を両立できる熱硬化性エポキシ樹脂組成物、および、該熱硬化性エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂とする繊維強化プラスチックを提供することができる。すなわち、本発明によれば、高強度が得られる芳香族ポリアミン系の硬化剤を用いつつも、硬化助剤等によることなく、成形速度(硬化時間)をも向上できる(高サイクル成形性を実現できる)という利点が得られる。
<エポキシ樹脂(A)>
本発明に係るエポキシ樹脂(A)は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、およびノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一つ以上を含むエポキシ樹脂である。ここで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とは、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンやグリシジルエーテル等のエポキシ基含有化合物とを反応させてなるものをいい、ビスフェノールF型エポキシ樹脂とは、ビスフェノールFとエポキシ基含有化合物とを反応させてなるものをいい、フェノールノボラック型エポキシ樹脂とは、フェノールとホルムアルデヒドの反応生成物であるフェノールノボラックとエポキシ基含有化合物とを反応させてなるものをいう。
本発明に係るエポキシ樹脂(A)は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、およびノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一つ以上を含むエポキシ樹脂である。ここで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とは、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンやグリシジルエーテル等のエポキシ基含有化合物とを反応させてなるものをいい、ビスフェノールF型エポキシ樹脂とは、ビスフェノールFとエポキシ基含有化合物とを反応させてなるものをいい、フェノールノボラック型エポキシ樹脂とは、フェノールとホルムアルデヒドの反応生成物であるフェノールノボラックとエポキシ基含有化合物とを反応させてなるものをいう。
本発明に係るエポキシ樹脂(A)は、30℃における粘度が50000Pa・s以下であることが好ましく、35000Pa・s以下であることがより好ましく、20000Pa・s以下であることがさらに好ましい。粘度が50000Pa・s超の場合には樹脂混合物の粘度が高いために、作業性が悪くなる傾向がある。一方、該粘度の下限値については、特に制限はなく、通常この分野で用いられる範囲であれば、特に支障はない。
エポキシ樹脂(A)を構成するビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびノボラック型エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、エポキシ樹脂(A)の粘度が上記範囲にある限り特に限定されるものではないが、それぞれの樹脂について、好ましいMwの範囲は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のMwは、340〜50000の範囲であり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のMwは312〜50000の範囲であり、ノボラック型エポキシ樹脂のMwは500〜20000の範囲である。
本発明に係るビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、および、ノボラック型エポキシ樹脂としては、具体的には、例えば、下記式(11)〜(13)に示すものが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂(A)に含まれる、上記以外のエポキシ樹脂としては、エポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されないが、例えば、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。これらエポキシ樹脂は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に係るエポキシ樹脂(A)において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびノボラック型エポキシ樹脂が占める割合は、通常、エポキシ樹脂(A)全量に対し、80質量%以上、好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
<芳香族ポリアミン化合物(B)>
式(1)〜式(5)中のR1〜R5について、脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜3のものが挙げられ、好ましくは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等である。芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜18のものが挙げられ、好ましくは炭素数6〜12のものである。より好ましくは、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラシル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、このうち、塩素原子が好ましい。
式(1)〜式(5)中のR1〜R5について、脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜3のものが挙げられ、好ましくは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等である。芳香族炭化水素基としては、例えば、炭素数6〜18のものが挙げられ、好ましくは炭素数6〜12のものである。より好ましくは、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラシル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、このうち、塩素原子が好ましい。
R1〜R5としては、水素原子、メチル基が好ましい。
芳香族ポリアミン化合物(B)の具体例としては、式(6)〜式(10)で表される化合物が好ましく、中でも、式(6)で表される化合物が好ましい。
<熱硬化性エポキシ樹脂組成物>
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂(A)および芳香族ポリアミン化合物(B)の他、必要に応じて、ポリビニルアセタール樹脂、添加剤を含有するものである。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂(A)および芳香族ポリアミン化合物(B)の他、必要に応じて、ポリビニルアセタール樹脂、添加剤を含有するものである。
(配合比)
本発明において、エポキシ樹脂(A)と芳香族ポリアミン化合物(B)は、所定の配合比で配合されることが好ましい。そのような配合比としては、芳香族ポリアミン化合物(B)が有する活性水素の当量数が、エポキシ樹脂(A)が有するエポキシ基に対して、0.5〜2.5当量の範囲、好ましくは0.7〜2.0当量の範囲にあることが挙げられる。該配合比が0.5当量未満では反応速度が不十分でサイクル性が悪くなる傾向があり、2.5当量超では架橋が不十分で強度が低くなる傾向がある。なお、芳香族ポリアミン化合物(B)において、活性水素を有する基としては、アミノ基が挙げられる。この場合、例えば、アミノ基は、一つの窒素原子あたり、2個の活性水素を有する。
本発明において、エポキシ樹脂(A)と芳香族ポリアミン化合物(B)は、所定の配合比で配合されることが好ましい。そのような配合比としては、芳香族ポリアミン化合物(B)が有する活性水素の当量数が、エポキシ樹脂(A)が有するエポキシ基に対して、0.5〜2.5当量の範囲、好ましくは0.7〜2.0当量の範囲にあることが挙げられる。該配合比が0.5当量未満では反応速度が不十分でサイクル性が悪くなる傾向があり、2.5当量超では架橋が不十分で強度が低くなる傾向がある。なお、芳香族ポリアミン化合物(B)において、活性水素を有する基としては、アミノ基が挙げられる。この場合、例えば、アミノ基は、一つの窒素原子あたり、2個の活性水素を有する。
(ポリビニルアセタール樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールとアルデヒドとのアセタール化反応によって合成されるものであり、具体的には、水、アルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの溶媒中で、塩酸などの酸触媒の存在下、ポリビニルアルコールとアルデヒドとを反応させることにより合成される。なお、ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルをアルカリや酸で鹸化して得られたものであり、ポリ酢酸ビニルの鹸化とアセタール化を同時に行ない、ポリ酢酸ビニルから一挙にポリビニルアセタール樹脂を得ても、あるいはポリ酢酸ビニルを鹸化して得られたポリビニルアルコールを単離した後、このポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させてもよい。
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールとアルデヒドとのアセタール化反応によって合成されるものであり、具体的には、水、アルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの溶媒中で、塩酸などの酸触媒の存在下、ポリビニルアルコールとアルデヒドとを反応させることにより合成される。なお、ポリビニルアルコールは、通常、ポリ酢酸ビニルをアルカリや酸で鹸化して得られたものであり、ポリ酢酸ビニルの鹸化とアセタール化を同時に行ない、ポリ酢酸ビニルから一挙にポリビニルアセタール樹脂を得ても、あるいはポリ酢酸ビニルを鹸化して得られたポリビニルアルコールを単離した後、このポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させてもよい。
上記アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、t−ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラールなどの脂環族アルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ハロゲン置換ベンズアルデヒド、フェニル置換アルキルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド、グルタルアルデヒドなどのジアルデヒドなど、アセタール化できるアルデヒドであればどのようなアルデヒドを用いてもよいが、ホルムアルデヒドが好ましい。なお、アルデヒドは、単独で用いてもまたは二種以上を併用して用いてもよい。
本発明において、ポリビニルアセタール樹脂は、重量平均分子量が10000〜150000であるものが好ましく、より好ましくは20000〜140000のものである。また、本発明のポリビニルアセタール樹脂は、とりわけ、ポリビニルホルマール樹脂であることが好ましい。
ポリビニルホルマール樹脂としては、具体的には、例えば、下記式に示すものが挙げられる。なお、下記式中には明示されていないが、ポリビニルホルマール樹脂中には、未変性の水酸基も存在し得る。
ポリビニルアセタール樹脂の配合量は、エポキシ樹脂(A)に対して、2〜12質量%であることが好ましい。2質量%未満では強靭性が不十分になる傾向があり、12質量%超では未硬化状態で硬くなり過ぎるため、成形性が悪い傾向がある。該配合量は、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上である。また、該配合量は、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。
ポリビニルアセタール樹脂としては、いずれか1種を使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(添加剤)
添加剤としては、例えば、充填剤(フィラー)、反応性希釈剤、可塑剤、チクソトロピー性付与剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、分散剤、溶剤など、この分野で通常使用されるものを挙げることができる。また、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、上記芳香族ポリアミン化合物(B)以外の硬化剤や硬化助剤を用いることもできる。
添加剤としては、例えば、充填剤(フィラー)、反応性希釈剤、可塑剤、チクソトロピー性付与剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、分散剤、溶剤など、この分野で通常使用されるものを挙げることができる。また、本発明の効果に影響を与えない範囲であれば、上記芳香族ポリアミン化合物(B)以外の硬化剤や硬化助剤を用いることもできる。
(1剤型/2剤型)
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の形態としては、例えば、1剤型のものや、2剤型のものが挙げられる。本発明においては、「1剤型熱硬化性エポキシ樹脂組成物」を単に「1剤型」と記載し、「2剤型熱硬化性エポキシ樹脂組成物」を単に「2剤型」と記載することがある。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物の形態としては、例えば、1剤型のものや、2剤型のものが挙げられる。本発明においては、「1剤型熱硬化性エポキシ樹脂組成物」を単に「1剤型」と記載し、「2剤型熱硬化性エポキシ樹脂組成物」を単に「2剤型」と記載することがある。
(製造)
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、常法により、製造することができる。すなわち、1剤型は、例えば、エポキシ樹脂(A)、芳香族ポリアミン化合物(B)、および、必要に応じ加えるポリビニルアセタール樹脂や添加剤を、減圧下または窒素雰囲気下において、混合ミキサー等の撹拌装置を用いて充分混練し、均一に分散させることによって、製造することができる。本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物が1剤型である場合、作業性に優れるという特徴を備える。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、常法により、製造することができる。すなわち、1剤型は、例えば、エポキシ樹脂(A)、芳香族ポリアミン化合物(B)、および、必要に応じ加えるポリビニルアセタール樹脂や添加剤を、減圧下または窒素雰囲気下において、混合ミキサー等の撹拌装置を用いて充分混練し、均一に分散させることによって、製造することができる。本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物が1剤型である場合、作業性に優れるという特徴を備える。
一方、2剤型は、例えば、エポキシ樹脂(A)を含む第1剤(主剤)と、芳香族ポリアミン化合物(B)(硬化剤)を含む第2剤とからなる2剤型の組成物として製造される。ポリビニルアセタール樹脂を添加する場合には、第1剤に添加することができる。一方、添加剤は、第1剤および/または第2剤のいずれにも加えることができる。第1剤および第2剤は、それぞれ減圧下または窒素雰囲気下において、混合ミキサー等の撹拌装置を用いて充分混練し、構成成分を均一に分散させることによって製造することができる。本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物が2剤型である場合、貯蔵安定性に優れるという特徴を備える。
(硬化)
本発明において、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化は、常法に従い実施することができ、例えば、1剤型の場合にはそのまま、2剤型の場合には第1剤と第2剤を均一に分散させたのち、例えば、60〜200℃に維持して、熱硬化することにより、実施できる。硬化温度が60℃未満の場合には、硬化時間が長くなることにより高サイクル成形性を達成できない傾向がある。一方、硬化温度が200℃超の場合には、架橋が粗くなり、強度が低下する傾向にある。ここで、「硬化」とは、硬化反応に付した熱硬化性エポキシ樹脂組成物をIR測定することにより得られる「エポキシ基のピーク(910cm-1)/フェニル基のピーク(1500cm-1)」の比を指標に、反応初期の該比の値を100%としたときに、それが10%以下になる状態をいう。
本発明において、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化は、常法に従い実施することができ、例えば、1剤型の場合にはそのまま、2剤型の場合には第1剤と第2剤を均一に分散させたのち、例えば、60〜200℃に維持して、熱硬化することにより、実施できる。硬化温度が60℃未満の場合には、硬化時間が長くなることにより高サイクル成形性を達成できない傾向がある。一方、硬化温度が200℃超の場合には、架橋が粗くなり、強度が低下する傾向にある。ここで、「硬化」とは、硬化反応に付した熱硬化性エポキシ樹脂組成物をIR測定することにより得られる「エポキシ基のピーク(910cm-1)/フェニル基のピーク(1500cm-1)」の比を指標に、反応初期の該比の値を100%としたときに、それが10%以下になる状態をいう。
本発明において、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化は、二段階で行うこと、すなわち、より低温下での硬化の後により高温下での硬化を行うことが好ましい。そうすることで、硬化時間の短縮と硬化物の強度向上という本発明の効果を、より達成することができる。該二段階の硬化において、低温とは60〜150℃の温度をいい、好ましくは約130℃である。一方、高温とは160〜200℃の温度をいい、好ましくは約180℃である。
本発明における熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化を、130℃と180℃の二段階の温度条件下に行う場合、全硬化時間は、通常180分以下、好ましくは150分以下、より好ましくは130分以下である。また、130℃での硬化時間は、通常70分以下、好ましくは60分以下、より好ましくは50分以下であり、180℃での硬化時間は、通常110分以下、好ましくは90分以下、より好ましくは80分以下である。さらに、130℃での硬化時間は、通常10分以上であり、180℃での硬化時間は、通常15分以上である。
<繊維強化プラスチック>
本発明に係る繊維強化プラスチックは、上記熱硬化性エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂とするものである。その製造方法は特に限定されず、この分野で通常使用される方法をいずれも好適に用いることができる。そのような製造方法としては、例えば、熱硬化性エポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸させたプリプレグを調製し、該プリプレグを所望の枚数積層し、該積層体に圧力をかけながら熱硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることが挙げられる。この場合において、積層方法としては、繊維方向を一方向に揃える、あるいは、繊維方向を積層する毎に直交させるなど種々の方法が適用できる。積層体にかける圧力は、十分な強度の繊維強化プラスチックを得るとの観点から、例えば、0.01〜20MPaの範囲であることが好ましく、0.05〜15MPaの範囲であることがより好ましい。また、硬化の温度および時間は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化における温度および時間と同じである。
本発明に係る繊維強化プラスチックは、上記熱硬化性エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂とするものである。その製造方法は特に限定されず、この分野で通常使用される方法をいずれも好適に用いることができる。そのような製造方法としては、例えば、熱硬化性エポキシ樹脂組成物を強化繊維に含浸させたプリプレグを調製し、該プリプレグを所望の枚数積層し、該積層体に圧力をかけながら熱硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させることが挙げられる。この場合において、積層方法としては、繊維方向を一方向に揃える、あるいは、繊維方向を積層する毎に直交させるなど種々の方法が適用できる。積層体にかける圧力は、十分な強度の繊維強化プラスチックを得るとの観点から、例えば、0.01〜20MPaの範囲であることが好ましく、0.05〜15MPaの範囲であることがより好ましい。また、硬化の温度および時間は、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化における温度および時間と同じである。
(プリプレグ)
本発明において、プリプレグとは、強化繊維に熱硬化性エポキシ樹脂組成物を均等に含浸させ、加熱または乾燥により半硬化状態にした、繊維強化プラスチックの成形材料である。該プリプレグは、常法により製造することができ、そのような製造方法としては、例えば、熱硬化性エポキシ樹脂組成物を有機溶媒に溶解したものを、該樹脂組成物との剥離性が良い離型紙に一旦塗布・乾燥して樹脂組成物のシートを作製し、該シートを強化繊維にラミネートしたものを、ホットメルトする方法が挙げられる。
本発明において、プリプレグとは、強化繊維に熱硬化性エポキシ樹脂組成物を均等に含浸させ、加熱または乾燥により半硬化状態にした、繊維強化プラスチックの成形材料である。該プリプレグは、常法により製造することができ、そのような製造方法としては、例えば、熱硬化性エポキシ樹脂組成物を有機溶媒に溶解したものを、該樹脂組成物との剥離性が良い離型紙に一旦塗布・乾燥して樹脂組成物のシートを作製し、該シートを強化繊維にラミネートしたものを、ホットメルトする方法が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物を溶解するための有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶媒は1種または2種以上を組みわせて用いてもよい。
プリプレグにおいて、繊維目付量は、通常、5〜500g/m2の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜200g/m2の範囲である。繊維目付量が5g/m2未満では繊維間隔が広くなり強度にばらつきが出やすくなる傾向があり、500g/m2超では樹脂含浸時に空気を含みやすくなり、強度にばらつきが出やすくなる傾向がある。
(強化繊維)
本発明に係る繊維強化プラスチックに用いることができる強化繊維としては、この分野で通常使用されているものをいずれも好適に使用することができ、そのような強化繊維としては、例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、スチール繊維、アモルファス金属繊維、有機繊維等を挙げることができる。これら繊維は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、炭素繊維が好ましい。
本発明に係る繊維強化プラスチックに用いることができる強化繊維としては、この分野で通常使用されているものをいずれも好適に使用することができ、そのような強化繊維としては、例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、スチール繊維、アモルファス金属繊維、有機繊維等を挙げることができる。これら繊維は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このうち、炭素繊維が好ましい。
また、繊維の形状は、連続繊維、長繊維、短繊維、またはこれらが複合した形態のいずれであってもよい。また、強化繊維の配置形態や繊維方向は特に限定されず、例えば、単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、織物(クロス)状、組紐状などのいずれであってもよい。
(繊維の含量)
本発明に係る繊維強化プラスチックにおける繊維の含量は、その用途に応じて変化させることができ、特に限定されないが、通常、例えば、65〜85質量%であることが好ましい。85質量%超では繊維間に樹脂を十分に含浸することができず強度にばらつきが出やすい傾向があり、65質量%未満では、強度が不足する傾向にある。繊維の含量は、より好ましくは70質量%以上である。一方、繊維の含量は、より好ましくは83質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
本発明に係る繊維強化プラスチックにおける繊維の含量は、その用途に応じて変化させることができ、特に限定されないが、通常、例えば、65〜85質量%であることが好ましい。85質量%超では繊維間に樹脂を十分に含浸することができず強度にばらつきが出やすい傾向があり、65質量%未満では、強度が不足する傾向にある。繊維の含量は、より好ましくは70質量%以上である。一方、繊維の含量は、より好ましくは83質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
(繊維の弾性率)
本発明に係る繊維強化プラスチックに使用する繊維の弾性率は、その用途に応じて変化させることができ、特に限定されないが、通常、例えば、10tf/m2〜70tf/m2であることが好ましい。10tf/m2未満では剛性が低いために変形しやすい傾向があり、70tf/m2超では強度が不足する傾向がある。弾性率は、より好ましくは60tf/m2以下である。
本発明に係る繊維強化プラスチックに使用する繊維の弾性率は、その用途に応じて変化させることができ、特に限定されないが、通常、例えば、10tf/m2〜70tf/m2であることが好ましい。10tf/m2未満では剛性が低いために変形しやすい傾向があり、70tf/m2超では強度が不足する傾向がある。弾性率は、より好ましくは60tf/m2以下である。
<用途>
熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、これをマトリックス樹脂に用いた繊維強化プラスチック等に幅広く利用することができ、該繊維強化プラスチックは、ラケットフレーム、ゴルフクラブシャフト、釣竿等のスポーツ用品、ロボットアーム、プロペラ、歯車、地中管等の産業用品、自動車のボディ、ドライブシャフト等の車両関連品の他、机、いす、ドア、パソコン等に使用する部品など、種々の物品に使用することができる。
熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、これをマトリックス樹脂に用いた繊維強化プラスチック等に幅広く利用することができ、該繊維強化プラスチックは、ラケットフレーム、ゴルフクラブシャフト、釣竿等のスポーツ用品、ロボットアーム、プロペラ、歯車、地中管等の産業用品、自動車のボディ、ドライブシャフト等の車両関連品の他、机、いす、ドア、パソコン等に使用する部品など、種々の物品に使用することができる。
本明細書において、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定され、標準ポリスチレンより換算される。
単に、例えば、「1〜99質量%」というときは、特に矛盾が生じない限り、両端の値を含むものである。
単に、例えば、「1〜99質量%」というときは、特に矛盾が生じない限り、両端の値を含むものである。
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明が実施例のみに限定されるものでないことは言うまでもない。
以下に、実施例および比較例の共重合体の合成、並びに、ゴム組成物の製造に用いた各種薬品をまとめて示す。各種薬品は、必要に応じて、常法に従い精製した。
<共重合体の合成に用いた各種薬品>
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:三菱化学(株)製のjER828EL(エポキシ当量184〜194、Mw368〜388)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:三菱化学(株)製のjER4005P(エポキシ当量1070、Mw1900〜2400)
フェノールノボラック型エポキシ樹脂:三菱化学(株)製のjER154(エポキシ当量176〜180、Mw528〜540)
ポリビニルアセタール樹脂:JNC(株)製ビニレックE(ポリビニルホルマール樹脂、Mw126000)
芳香族ポリアミン型硬化剤1:式(6)の化合物
芳香族ポリアミン型硬化剤2:式(7)の化合物(和光純薬工業(株)製の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)
芳香族ポリアミン型硬化剤3:式(8)の化合物(東京化成工業(株)製のトリス(4−アミノフェニルアミン)
芳香族ポリアミン型硬化剤4:式(9)の化合物
芳香族ポリアミン型硬化剤5:式(10)の化合物(和光純薬工業(株)製の4,4’−ジアミノジフェニルジスルフィド)
芳香族ポリアミン型硬化剤6:東京化成工業(株)製の4,4’−ジアミノジフェニルスルホン
その他硬化剤1:三菱化学(株)製のDICY7(ジシアンジアミド)
その他硬化剤2:保土谷化学工業(株)製のDCMU−99(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素)
有機溶媒:米山薬品工業(株)製のメチルエチルケトン(MEK)
炭素繊維:東レ(株)製のトレカT800SC(繊維弾性率:30t/mm2)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂:三菱化学(株)製のjER828EL(エポキシ当量184〜194、Mw368〜388)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂:三菱化学(株)製のjER4005P(エポキシ当量1070、Mw1900〜2400)
フェノールノボラック型エポキシ樹脂:三菱化学(株)製のjER154(エポキシ当量176〜180、Mw528〜540)
ポリビニルアセタール樹脂:JNC(株)製ビニレックE(ポリビニルホルマール樹脂、Mw126000)
芳香族ポリアミン型硬化剤1:式(6)の化合物
芳香族ポリアミン型硬化剤2:式(7)の化合物(和光純薬工業(株)製の4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)
芳香族ポリアミン型硬化剤3:式(8)の化合物(東京化成工業(株)製のトリス(4−アミノフェニルアミン)
芳香族ポリアミン型硬化剤4:式(9)の化合物
芳香族ポリアミン型硬化剤5:式(10)の化合物(和光純薬工業(株)製の4,4’−ジアミノジフェニルジスルフィド)
芳香族ポリアミン型硬化剤6:東京化成工業(株)製の4,4’−ジアミノジフェニルスルホン
その他硬化剤1:三菱化学(株)製のDICY7(ジシアンジアミド)
その他硬化剤2:保土谷化学工業(株)製のDCMU−99(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素)
有機溶媒:米山薬品工業(株)製のメチルエチルケトン(MEK)
炭素繊維:東レ(株)製のトレカT800SC(繊維弾性率:30t/mm2)
<サンプルの調製>
(エポキシ樹脂)
表1の配合に従い、まず樹脂成分をMEKに溶解し、一旦乾燥させた。その後、該乾燥物を、加熱・溶融してから、硬化剤を加えて攪拌し、硬化剤を分散させ、熱硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。こうして得た熱硬化性エポキシ樹脂組成物を、注型金型(厚み:2mm)に注ぎ、表1に記載の硬化温度・硬化時間により二段階の硬化反応(すなわち、130℃の温度条件下硬化時間1(分)の間の硬化反応、さらに、180℃の温度条件下硬化時間2(分)の間硬化反応)に付して硬化させ、硬化物を得た。なお、いずれの実施例および比較例においても、硬化終了時の「エポキシ基のピーク(910cm-1)/フェニル基のピーク(1500cm-1)」の比は、反応初期の該比の値を100%としたときに、10%以下であった。
(エポキシ樹脂)
表1の配合に従い、まず樹脂成分をMEKに溶解し、一旦乾燥させた。その後、該乾燥物を、加熱・溶融してから、硬化剤を加えて攪拌し、硬化剤を分散させ、熱硬化性エポキシ樹脂組成物を得た。こうして得た熱硬化性エポキシ樹脂組成物を、注型金型(厚み:2mm)に注ぎ、表1に記載の硬化温度・硬化時間により二段階の硬化反応(すなわち、130℃の温度条件下硬化時間1(分)の間の硬化反応、さらに、180℃の温度条件下硬化時間2(分)の間硬化反応)に付して硬化させ、硬化物を得た。なお、いずれの実施例および比較例においても、硬化終了時の「エポキシ基のピーク(910cm-1)/フェニル基のピーク(1500cm-1)」の比は、反応初期の該比の値を100%としたときに、10%以下であった。
(引張り試験用試験片)
得られた硬化物を、JIS K 7162の1BA形に成型して、引張り試験用の試験片とした。
得られた硬化物を、JIS K 7162の1BA形に成型して、引張り試験用の試験片とした。
(プリプレグの作製)
表1の配合に従い、まず樹脂成分をMEKに溶解した後、硬化剤を加えて攪拌し、硬化剤を分散させた。このとき、MEK量が全体の30重量%となるように調整した。該混合物を、離型紙に塗布して乾燥させ、樹脂シートを作製した。こうして得た樹脂シートを、ホットメルトにて、炭素繊維に含浸させて、プリプレグを得た(繊維目付け:100g/m2、樹脂含量:30質量%)。
表1の配合に従い、まず樹脂成分をMEKに溶解した後、硬化剤を加えて攪拌し、硬化剤を分散させた。このとき、MEK量が全体の30重量%となるように調整した。該混合物を、離型紙に塗布して乾燥させ、樹脂シートを作製した。こうして得た樹脂シートを、ホットメルトにて、炭素繊維に含浸させて、プリプレグを得た(繊維目付け:100g/m2、樹脂含量:30質量%)。
(FRP90度曲げ試験用試験片)
上記で得たプリプレグを裁断し、繊維方向が一方向に並ぶように22枚積層した。該積層物を厚さ0.1mmの離型シートで挟み、さらに厚さ2mmのスペーサーを用いてプレスし、上述と同様、表1に記載の硬化温度・硬化時間により二段階の硬化反応に付して硬化させることにより、硬化物を得た。なお、いずれの実施例および比較例においても、硬化終了時の「エポキシ基のピーク(910cm-1)/フェニル基のピーク(1500cm-1)」の比は、反応初期の該比の値を100%としたときに、10%以下であった。該硬化物を、繊維垂直方向に100mm長さ×繊維方向に15mm幅となるように裁断し、FRP90度曲げ試験用試験片とした。なお、硬化物の厚さは、サンプル作成2日後に測定したところ、1.7〜1.8mmであった。
上記で得たプリプレグを裁断し、繊維方向が一方向に並ぶように22枚積層した。該積層物を厚さ0.1mmの離型シートで挟み、さらに厚さ2mmのスペーサーを用いてプレスし、上述と同様、表1に記載の硬化温度・硬化時間により二段階の硬化反応に付して硬化させることにより、硬化物を得た。なお、いずれの実施例および比較例においても、硬化終了時の「エポキシ基のピーク(910cm-1)/フェニル基のピーク(1500cm-1)」の比は、反応初期の該比の値を100%としたときに、10%以下であった。該硬化物を、繊維垂直方向に100mm長さ×繊維方向に15mm幅となるように裁断し、FRP90度曲げ試験用試験片とした。なお、硬化物の厚さは、サンプル作成2日後に測定したところ、1.7〜1.8mmであった。
(パイプ3点曲げ試験用試験片)
直径13.2mmのSUS製の心棒に、図1に示すようにプリプレグA〜Hを順番に巻回した。すなわち、プリプレグAが、最内層を構成し、プリプレグHが最外層を構成する。ここで、「1ply」とは1周巻くこと、「3ply」とは3周巻くことを意味する。また、図1中、寸法は、mm単位で表示されている。プリプレグA、D、E、G、Hは、強化繊維の配列方向が、管状体の軸線に対して平行に配されるストレートプリプレグである。プリプレグB、Cは、強化繊維の配列方向が、管状体の軸線に対して傾斜して配されるバイアスプリプレグである。プリプレグFは、強化繊維の配列方向が、管状体の軸線に対して直角に配されるフーププリプレグである。プリプレグBの外側にプリプレグCを巻き付ける際には、巻き付け開始位置を0.5ply分だけずらして、巻き付けた。
直径13.2mmのSUS製の心棒に、図1に示すようにプリプレグA〜Hを順番に巻回した。すなわち、プリプレグAが、最内層を構成し、プリプレグHが最外層を構成する。ここで、「1ply」とは1周巻くこと、「3ply」とは3周巻くことを意味する。また、図1中、寸法は、mm単位で表示されている。プリプレグA、D、E、G、Hは、強化繊維の配列方向が、管状体の軸線に対して平行に配されるストレートプリプレグである。プリプレグB、Cは、強化繊維の配列方向が、管状体の軸線に対して傾斜して配されるバイアスプリプレグである。プリプレグFは、強化繊維の配列方向が、管状体の軸線に対して直角に配されるフーププリプレグである。プリプレグBの外側にプリプレグCを巻き付ける際には、巻き付け開始位置を0.5ply分だけずらして、巻き付けた。
得られた巻回体の上から、ポリプロピレン製のラッピングテープを巻きつけて、心棒にプリプレグをしっかりと固定した。これを、オーブンにて、上述と同様、表1に記載の硬化温度・硬化時間により二段階の硬化反応に付して硬化させた後、心棒を取り除いて、パイプ3点曲げ試験用試験片とした。
<評価>
(樹脂引張り試験)
JIS K 7161に従い、引張り試験用試験片を、主従軸に沿って一定速度で引張り、最大応力(MPa)と破断時伸度(mm)を測定した。なお、試験装置は、(株)島津製作所製のオートグラフAGS−5KNG(ロードセル:SBL−5KN)を使用し、引張速度は1mm/分とした。
(樹脂引張り試験)
JIS K 7161に従い、引張り試験用試験片を、主従軸に沿って一定速度で引張り、最大応力(MPa)と破断時伸度(mm)を測定した。なお、試験装置は、(株)島津製作所製のオートグラフAGS−5KNG(ロードセル:SBL−5KN)を使用し、引張速度は1mm/分とした。
(FRP90度曲げ試験)
JIS K 7074に従い、FRP90度曲げ試験用試験片を用いて、図2に示す如くにして、該試験片にかかる最大荷重を測定し、その圧力(MPa)を算出して曲げ強度とした。図2は、試験片1を所定の距離を隔てて設置した二つの支点2(半径2mm)上に置き、圧子3(半径5mm)を用いて、上から荷重4をかける様子を示している。5は繊維の方向を示している。本試験において、試験装置は、(株)島津製作所製のオートグラフAGS−5KNG(ロードセル:SBL−5KN)を使用し、圧子の押し込み速度を5mm/分、支点間距離を72mmとした。
JIS K 7074に従い、FRP90度曲げ試験用試験片を用いて、図2に示す如くにして、該試験片にかかる最大荷重を測定し、その圧力(MPa)を算出して曲げ強度とした。図2は、試験片1を所定の距離を隔てて設置した二つの支点2(半径2mm)上に置き、圧子3(半径5mm)を用いて、上から荷重4をかける様子を示している。5は繊維の方向を示している。本試験において、試験装置は、(株)島津製作所製のオートグラフAGS−5KNG(ロードセル:SBL−5KN)を使用し、圧子の押し込み速度を5mm/分、支点間距離を72mmとした。
(パイプ3点曲げ試験)
パイプ3点曲げ試験用試験片を、図3に示す如くにして、該試験片にかかる最大荷重(N)を測定し、曲げ強度とした。図3は、試験片1を所定の距離を隔てて設置した二つの支点2(半径12.5mm)上に置き、圧子3(半径75mm)を用いて、上から荷重4をかける様子を示している。本試験において、試験装置は、(株)島津製作所製のオートグラフAGS−5KNG(ロードセル:SBL−5KN)を使用し、圧子の押し込み速度(荷重速度)を20mm/分、支点間距離を300mmとした。
パイプ3点曲げ試験用試験片を、図3に示す如くにして、該試験片にかかる最大荷重(N)を測定し、曲げ強度とした。図3は、試験片1を所定の距離を隔てて設置した二つの支点2(半径12.5mm)上に置き、圧子3(半径75mm)を用いて、上から荷重4をかける様子を示している。本試験において、試験装置は、(株)島津製作所製のオートグラフAGS−5KNG(ロードセル:SBL−5KN)を使用し、圧子の押し込み速度(荷重速度)を20mm/分、支点間距離を300mmとした。
本発明によれば、成形速度の向上と強度の向上を両立できる熱硬化性エポキシ樹脂組成物、および、該熱硬化性エポキシ樹脂組成物をマトリックス樹脂とする繊維強化プラスチックを提供することができる。
1 試験片
2 支点
3 圧子
4 荷重
5 繊維方向
2 支点
3 圧子
4 荷重
5 繊維方向
Claims (9)
- 130℃、次いで180℃の二段階の温度条件下硬化を行う場合の全硬化時間が、180分以下である、請求項1記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 芳香族ポリアミン化合物(B)が有する活性水素の当量数が、エポキシ樹脂(A)が有するエポキシ基に対して、0.5〜2.5当量である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- ポリビニルアセタール樹脂を、エポキシ樹脂(A)に対して2〜12質量%、さらに含んでなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物をマトリクス樹脂とする繊維強化プラスチック。
- 繊維が炭素繊維である請求項6記載の繊維強化プラスチック。
- 繊維の含量が65〜85質量%である請求項7記載の繊維強化プラスチック。
- 繊維の弾性率が10tf/m2〜70tf/m2である請求項8記載の繊維強化プラスチック。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014038535A JP2015160938A (ja) | 2014-02-28 | 2014-02-28 | 高強度かつ高サイクル成形性を有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014038535A JP2015160938A (ja) | 2014-02-28 | 2014-02-28 | 高強度かつ高サイクル成形性を有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015160938A true JP2015160938A (ja) | 2015-09-07 |
Family
ID=54184267
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014038535A Pending JP2015160938A (ja) | 2014-02-28 | 2014-02-28 | 高強度かつ高サイクル成形性を有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015160938A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7128375B1 (ja) | 2021-09-24 | 2022-08-30 | 積水化学工業株式会社 | 炭素繊維強化複合材料及び炭素繊維強化複合材料の製造方法 |
WO2023048258A1 (ja) * | 2021-09-24 | 2023-03-30 | 積水化学工業株式会社 | 炭素繊維強化複合材料及び炭素繊維強化複合材料の製造方法 |
WO2023048260A1 (ja) * | 2021-09-24 | 2023-03-30 | 積水化学工業株式会社 | 炭素繊維強化複合材料及び炭素繊維強化複合材料の製造方法 |
-
2014
- 2014-02-28 JP JP2014038535A patent/JP2015160938A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7128375B1 (ja) | 2021-09-24 | 2022-08-30 | 積水化学工業株式会社 | 炭素繊維強化複合材料及び炭素繊維強化複合材料の製造方法 |
WO2023048259A1 (ja) * | 2021-09-24 | 2023-03-30 | 積水化学工業株式会社 | 炭素繊維強化複合材料及び炭素繊維強化複合材料の製造方法 |
WO2023048258A1 (ja) * | 2021-09-24 | 2023-03-30 | 積水化学工業株式会社 | 炭素繊維強化複合材料及び炭素繊維強化複合材料の製造方法 |
WO2023048260A1 (ja) * | 2021-09-24 | 2023-03-30 | 積水化学工業株式会社 | 炭素繊維強化複合材料及び炭素繊維強化複合材料の製造方法 |
JP2023047268A (ja) * | 2021-09-24 | 2023-04-05 | 積水化学工業株式会社 | 炭素繊維強化複合材料及び炭素繊維強化複合材料の製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5403184B1 (ja) | 繊維強化複合材料 | |
JP5003827B2 (ja) | 炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料 | |
CN107949594B (zh) | 环氧树脂组合物及由其制造的纤维增强复合材料 | |
JP6459475B2 (ja) | プリプレグ、及び成形品の製造方法 | |
JP2017008316A (ja) | エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料、成形品および圧力容器 | |
JP2016084451A (ja) | エポキシ樹脂組成物、樹脂硬化物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 | |
JP6710972B2 (ja) | エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂硬化物および繊維強化複合材料 | |
JP2015160938A (ja) | 高強度かつ高サイクル成形性を有する熱硬化性エポキシ樹脂組成物 | |
JP2003026768A (ja) | エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 | |
JP2019048954A (ja) | エポキシ樹脂組成物および繊維強化複合材料 | |
JP6278950B2 (ja) | 繊維強化複合材料の製造方法 | |
JP2016504476A (ja) | エポキシ樹脂用硬化剤としての2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン) | |
JP6573029B2 (ja) | 繊維強化複合材料の製造方法 | |
JP2018012797A (ja) | エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂硬化物および繊維強化複合材料 | |
JP2020138989A (ja) | 熱硬化性樹脂用硬化剤組成物、並びにこれを用いた熱硬化性樹脂組成物、無機強化複合樹脂組成物および成形品 | |
US20210230385A1 (en) | Prepreg, Fiber-Reinforced Composite Resin Molded Article, Method for Producing Tubular Molded Article, Epoxy Resin Composition, and Tubular Molded Article | |
JP2011057851A (ja) | エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 | |
JP7059000B2 (ja) | エポキシ樹脂組成物の硬化方法 | |
JP2017008317A (ja) | エポキシ樹脂組成物、繊維強化複合材料、成形品および圧力容器 | |
JP2011074353A (ja) | 炭素繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料 | |
WO2018159574A1 (ja) | エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび繊維強化複合材料 | |
JP2014214169A (ja) | 繊維強化複合材料用2液型エポキシ樹脂組成物および繊維強化複合材料 | |
JP2019189750A (ja) | エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物を含むプリプレグおよびその硬化物 | |
JP6421897B1 (ja) | エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料およびその製造方法 | |
JP2018012798A (ja) | エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、樹脂硬化物および繊維強化複合材料 |