JP2015159199A - 熱電変換材料の製造装置及び製造方法 - Google Patents
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原料粉末を上部パンチと下部パンチで挟み、両方から加圧機構により所定の圧力を加えると同時に上部パンチに接続された上部電極と下部パンチに接続された下部電極に焼結用DC電源からパルス電流を流して、原料粉末の粒子間にプラズマ放電を生起せしめ、粒子間で焼結を行う。これにより、導電性のセパレータを介して半導体層(素材薄板)が複数枚同時に製造されるようにしている。
また、熱電変換材料の原料粉末は、パルス電流の通電と熱と圧力が加えられることにより、自己発熱して熱膨張する。
しかし乍ら、従来の熱電変換材料の製造装置及び製造方法では、中心側の原料粉末に流れる電流値よりも外周側の焼結用治具に流れる電流値が大きくなるため、原料粉末において外周部位が中央部位よりも大きく熱膨張する。
それにより、原料粉末の焼結密度や電気抵抗にバラツキが生じて、品質が不均一になるとともに、生産性に劣るという問題があった。
さらに、焼結された半導体層(素材薄板)は冷えると、部分的に大きく熱膨張した外周部位が大きく収縮して、安定性に劣るというという問題もあった。
また本発明による熱電変換材料の製造方法は、筒状の焼結用治具に充填された熱電変換材料の原料粉末に対し、一対のパンチで所定の圧力を加えるとともに、一対の電極から前記パンチを介してパルス通電し、前記原料粉末の粒子間にプラズマ放電させて焼結する熱電変換材料の製造方法であって、前記パンチの間で且つ前記焼結用治具で囲まれる空間に、前記原料粉末の充填パックが複数それぞれ前記パンチによる前記原料粉末の加圧方向へ並べられ、前記充填パックにおいてその内部に収納される前記原料粉末及び前記焼結用治具の間に設けられる縦面部と、前記充填パック内の前記原料粉末及び前記パンチの先端部又は隣り合う前記充填パックとの間にそれぞれ設けられる横面部とで、前記原料粉末を包み込む配置工程と、この包み込み状態において、前記パンチで前記充填パック内の前記原料粉末に所定の圧力を加えるとともに、前記電極から前記パンチを介してパルス電流を流す加圧通電工程と、を含むことを特徴とする。
したがって、焼結密度や電気抵抗にバラツキが少ない熱電変換材料を量産することができる。
その結果、中心側の原料粉末に流れる電流値よりも外周側の焼結用治具に流れる電流値が大きくなることで原料粉末の外周部位が中央部位よりも大きく熱膨張する従来のものに比べ、各充填パック内において原料粉末が全体的に均一に熱膨張するため、冷えても収縮が少なく、それによりセルの製造効率がアップして、品質の均一化と生産性の向上が図れる。
さらに、従来のもののように、原料粉末の外周部位が中央部位よりも大きく熱膨張しないので、この熱膨張を抑制するために、その外壁となる筒状の焼結用治具を高剛性の材料で作成する必要がなく、その分だけ構造を簡素化できて、コストの低減化が図れる。
また、充填パック毎に原料粉末の組成やサイズなどが異なるものを同時に製造することもできる。焼結後の熱電変換材料は、充填パックと共に取り出せるため、筒状の焼結用治具から熱電変換材料を離型することが容易で作業性及び生産性に優れる。
本発明の実施形態に係る熱電変換材料の製造装置Aは、図1に示すように、放電プラズマ焼結法(Spark Plasma Sintering:以下SPS法という)を用いて、熱電変換材料の原料粉末Bに所定の圧力をZ方向へ加えるとともにパルス電流を流し、原料粉末Bの粒子間にプラズマ放電を生起させて粒子間で焼結を行うものである。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係る熱電変換材料の製造装置Aは、原料粉末Bの加圧方向(以下Z方向という)へ複数設けられてそれぞれがZ方向へ変形可能な原料粉末Bの充填パック1と、Z方向と交差する方向(以下XY方向という)へ充填パック1を囲むように設けられる筒状の焼結用治具2と、Z方向へ原料粉末Bを挟み込むように設けられる一対のパンチ3,4と、パンチ3,4の外側に設けられる一対の電極5,6と、を主要な構成要素として備えている。
さらに、充填パック1は、内側の原料粉末Bと外側の後述する焼結用治具2との間に形成される筒状の縦面部1aと、Z方向へ後述するパンチ3,4の先端部3a,4aか又は隣り合う充填パック1との間に形成される薄板状の横面部1bと、を有している。
充填パック1の縦面部1a及び横面部1bは、原料粉末Bよりも電気抵抗値が小さい導電材料で形成され、原料粉末BをZ方向及びXY方向へ包み込むように配置するように構成されている。
充填パック1の具体例としては、図示される例のように、各充填パック1の形状が円柱状に形成されている。複数の充填パック1の縦面部1aは、黒鉛などからなるシートで円筒状に形成され、黒鉛などからなるシートで円板状に形成された複数の横面部1bを、それぞれの外周縁が円筒状の縦面部1aの内面と摺接しながらZ方向へ移動する摺動自在に配置している。
また、その他の例として図示しないが、各充填パック1の形状を角柱状に変更したり、複数の充填パック1の縦面部1aを各充填パック1毎に分断し、これら縦面部1a同士がZ方向へ隙間なく相互に当接して複数並べられるように配置したり変更することも可能である。縦面部1a及び横面部1bとして、黒鉛シート以外の導電材料を用いることも可能である。
焼結用治具2の具体例として、図示される例の場合には、黒鉛などからなる筒体2aの外面を、黒鉛フェルトなどからなる被覆材2bで覆った円筒状に形成されている。
また、その他の例として図示しないが、焼結用治具2を黒鉛以外の材料で形成したり、焼結用治具2を角筒状に変更したりすることも可能である。
加圧機構7は、コントローラー(図示しない)と電気的に接続し、このコントローラーに予め設定されたプログラムに従って作動制御され、パンチ3,4の先端部3a,4aでZ方向の両側から複数の充填パック1に所定の圧力を加えるように構成されている。
パンチ3,4の具体例として、図示される例の場合には、それぞれの先端部3a,4aが、黒鉛などで充填パック1の横断面形状と同径の円柱状に形成されている。さらに、パンチ3,4の先端部3a,4aと後述する電極5,6との間には、黒鉛などの導電材料からなるスペーサ3b,4bが配設されて、加圧機構7による加圧量を調整可能にしている。
また、その他の例として図示しないが、パンチ3,4の先端部3a,4aを充填パック1の横断面形状と同じ角柱状に変更することも可能である。
焼結用電源8は、コントローラー(図示しない)と電気的に接続し、このコントローラーに予め設定されたプログラムに従って作動制御され、パンチ3,4を介して複数の充填パック1にパルス電流を流し、各充填パック1に収納される原料粉末Bの粒子間にプラズマ放電させ、粒子間で焼結を行うように構成されている。
本発明の実施形態に係る熱電変換材料の製造方法は、SPS法により、筒状の焼結用治具2に充填された熱電変換材料の原料粉末Bに対し、一対のパンチ3,4で所定の圧力をZ方向へ加えるとともに、一対の電極5,6からパンチ3,4を介してパルス電流を流し、原料粉末Bの粒子間にプラズマ放電を生起させて粒子間で焼結を行う方法である。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係る熱電変換材料の製造方法は、Z方向へ並べられた複数の充填パック1の縦面部1aと横面部1bとで原料粉末BをZ方向及びXY方向へ包み込む配置工程と、この包み込み状態においてパンチ3,4で充填パック1内の原料粉末Bに所定の圧力を加えるとともに、電極5,6からパンチ3,4を介してパルス電流を流す加圧通電工程と、を主要な工程として含んでいる。
配置工程では、パンチ3,4の間で且つ焼結用治具2で囲まれる空間に、原料粉末Bの充填パック1が複数それぞれZ方向へ並べられ、充填パック1においてその内部に収納される原料粉末B及び焼結用治具2の間に設けられる縦面部1aと、充填パック1内の原料粉末B及びパンチ3,4の先端部3a,4a又は隣り合う充填パック1との間にそれぞれ設けられる横面部1bとで、原料粉末BをZ方向及びXY方向へ包み込むように配置している。
加圧通電工程では、パンチ3,4の先端部3a,4aでZ方向の両側から複数の充填パック1に所定の圧力を加えると同時に、電極5,6からパンチ3,4を介して複数の充填パック1にパルス電流を流し、各充填パック1に収納される原料粉末Bの粒子間にプラズマ放電させ、粒子間で焼結を行っている。
この包み込み状態において、パンチ3,4で各充填パック1内の原料粉末Bに所定の圧力を加えるとともに、電極5,6からパンチ3,4を介してパルス電流を流すことにより、各充填パック1の縦面部1a及び横面部1bにパルス電流がそれぞれ集中的に流れて、原料粉末Bの粒子間にプラズマ放電が生起される。
このため、各充填パック1内において原料粉末Bの熱膨張が全体的に均一となり、焼結密度や電気抵抗にバラツキが少ない熱電変換材料となる。
したがって、焼結密度や電気抵抗にバラツキが少ない熱電変換材料を量産することができる。
その結果、各充填パック1内において原料粉末Bが全体的に均一に熱膨張するため、冷えても収縮が少なく、それによりセルの製造効率がアップして、品質の均一化と生産性の向上が図れる。
さらに、原料粉末Bの外周部位が中央部位よりも大きく熱膨張しないので、この熱膨張を抑制するために、その外壁となる筒状の焼結用治具2を高剛性の材料で作成する必要がなく、その分だけ構造を簡素化できて、コストの低減化が図れる。
また、充填パック1毎に原料粉末Bの組成やサイズなどが異なるものを同時に製造することもできる。焼結後の熱電変換材料は、充填パック1と共に取り出せるため、筒状の焼結用治具2から熱電変換材料を離型することが容易で作業性及び生産性に優れる。
したがって、縦面部1aと対向する原料粉末Bの側面に凹凸が発生することなく焼成することができる。
その結果、平滑な熱電変換材料を作製できて品質の向上が図れる。
この実施例は、図1に示すように、充填パック1の縦面部1aの内面に沿って、パンチ3,4の先端部3a,4aをそれぞれ嵌入させて配置するものである。
図示される例では、複数の充填パック1の縦面部1aが、複数の充填パック1におけるZ方向の全長よりも長く連続するように形成されている。最上位の充填パック1から上方へ突出する延長部位1a1に対し、上部のパンチ3の先端部3aを嵌入し、最下位の充填パック1から下方へ突出する延長部位1a2に対し、下部のパンチ4の先端部4aを嵌入している。すなわち、複数の充填パック1の縦面部1aは、パンチ3,4の先端部3a,4aがZ方向へ摺動可能に接触する焼結用治具2の筒体2aの内面に対し、縦面部1aの厚み分だけ食い込むように配置されている。
さらに、図示される例では、充填パック1の数よりも一枚多い横面部1bを所定間隔毎に配置して、最上位の充填パック1及び最下位の充填パック1を除いた中間位の充填パック1が、それぞれの天井面となる横面部1bと底面となる横面部1bを兼用している。つまり、焼結用治具2の内部空間に、複数枚の横面部1bと適宜量の原料粉末Bを交互に収納することで、焼結用治具2内に複数(6個)の充填パック1がセッティングされている。
また、その他の例として図示しないが、複数の充填パック1の縦面部1aを各充填パック1毎に分断し、これら縦面部1a同士がZ方向へ隙間なく相互に当接して複数並べられるように配置したり、充填パック1の数(6個)や横面部1bの数(7枚)を増減させたり変更することも可能である。
したがって、縦面部1aを伸縮変形不能な材料で形成してもそれに影響されることなく原料粉末Bを確実に加圧して焼成することができる。
その結果、簡単な構造で焼結密度や電気抵抗にバラツキが少ない熱電変換材料を確実に量産できて、更なる品質の均一化と生産性の向上が図れるという利点がある。
この燃焼実験の結果は、前記図示例により得られた熱電変換材料の焼結密度が、前記比較例により得られた熱電変換材料の焼結密度よりも約11%向上し、前記図示例により得られた熱電変換材料の電気伝導率が、前記比較例により得られた熱電変換材料の電気伝導率よりも約100倍向上することが判った。
したがって、焼結密度及び電気伝導率に優れた熱電変換材料を確実に量産できることが実証できた。
この場合には、焼結用治具2の内部空間とは別な場所で、原料粉末Bを収納した充填パック1が作製可能となるため、複数の充填パック1を焼結用治具2の内部空間に対し分離して個別に着脱することができて、各充填パック1のセッティング作業と、焼結後の熱電変換材料の取り出し作業を各充填パック1毎に行えて、更に作業性及び生産性に優れるという利点がある。
1a 縦面部 1b 横面部
2 焼結用治具 3,4 パンチ
3a,4a 先端部 5,6 電極
B 原料粉末
Claims (4)
- 熱電変換材料の原料粉末に所定の圧力を加えるとともにパルス通電し、前記原料粉末の粒子間にプラズマ放電させて焼結する熱電変換材料の製造装置であって、
前記原料粉末の加圧方向へ複数設けられてそれぞれが前記加圧方向へ変形可能な前記原料粉末の充填パックと、
前記加圧方向と交差する方向へ前記充填パックを囲むように設けられる筒状の焼結用治具と、
前記加圧方向へ前記原料粉末を挟み込むように設けられる一対のパンチと、
前記パンチの外側に設けられる一対の電極と、を備え、
前記充填パックは、前記原料粉末と前記焼結用治具の間に形成される縦面部と、前記加圧方向へ前記パンチの先端部又は隣り合う前記充填パックとの間に形成される横面部と、を有し、前記縦面部及び前記横面部が、前記原料粉末よりも電気抵抗値が小さい導電材料で形成され、前記原料粉末を包み込むように配置することを特徴とする熱電変換材料の製造装置。
複数の前記充填パックにおいて、前記縦面部を前記加圧方向へ連続する筒状に形成し、前記縦面部の内面に沿って複数の前記横面部をそれぞれ接触しつつ前記加圧方向へ移動自在に配置することを特徴とする請求項1記載の熱電変換材料の製造装置。 - 複数の前記充填パックにおいて、前記縦面部を前記加圧方向へ連続する筒状に形成し、前記縦面部の内面に沿って複数の前記横面部をそれぞれ接触しつつ前記加圧方向へ移動自在に配置することを特徴とする請求項1記載の熱電変換材料の製造装置。
- 前記充填パックの前記縦面部の内面に沿って、前記パンチの先端部をそれぞれ嵌入させて配置することを特徴とする請求項2記載の熱電変換材料の製造装置。
- 筒状の焼結用治具に充填された熱電変換材料の原料粉末に対し、一対のパンチで所定の圧力を加えるとともに、一対の電極から前記パンチを介してパルス通電し、前記原料粉末の粒子間にプラズマ放電させて焼結する熱電変換材料の製造方法であって、
前記パンチの間で且つ前記焼結用治具で囲まれる空間に、前記原料粉末の充填パックが複数それぞれ前記パンチによる前記原料粉末の加圧方向へ並べられ、前記充填パックにおいてその内部に収納される前記原料粉末及び前記焼結用治具の間に設けられる縦面部と、前記充填パック内の前記原料粉末及び前記パンチの先端部又は隣り合う前記充填パックとの間にそれぞれ設けられる横面部とで、前記原料粉末を包み込む配置工程と、
この包み込み状態において、前記パンチで前記充填パック内の前記原料粉末に所定の圧力を加えるとともに、前記電極から前記パンチを介してパルス電流を流す加圧通電工程と、を含むことを特徴とする熱電変換材料の製造方法。
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