JP2015214463A - 黒鉛化炉 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱の際の通電制御を容易にし、これによって得られる製品(黒鉛)に品質のばらつきが生じるのを防止した、黒鉛化炉を提供する。
【解決手段】第1電極と、第1電極に対向して配置された第2電極とを備え、第1電極と第2電極との間に通電することでこれら第1電極と第2電極との間に配置した被処理物を加熱し、黒鉛化する黒鉛化炉である。第1電極および第2電極の互いに対向する面に、それぞれ通電加熱発熱体を設けた。第1電極側の通電加熱発熱体と第2電極側の通電加熱発熱体との間に、成形された導電性の被処理物に通電加熱処理して黒鉛化するための通電加熱処理部を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、黒鉛化炉に関する。
黒鉛(グラファイト)は、潤滑性、導電性、耐熱性、耐薬品性等、工業的に優れた性質を有し、半導体分野、原子力分野、航空・機械分野等、幅広い分野で用いられている。黒鉛は、例えばカーボン粉末を黒鉛化炉で高温(例えば2000〜3000℃)に加熱して製造される。
このような黒鉛化炉として、坩堝にカーボン粉末を収容し、該カーボン粉末中に分割電極の下端部を挿入してこの分割電極に通電加熱し、坩堝に収容したカーボン粉末を黒鉛化する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、近年では黒鉛化処理の原料として、種々の性状のカーボン粉末が用いられるようになってきている。したがって、そのかさ比重(充填密度)についても、従来の0.6〜0.7程度のものに比べて格段に低いものも用いられるようになってきている。
特開2012−246200号公報
ところで、前記特許文献1の黒鉛化炉では、坩堝内のカーボン粉末中に分割電極の下端部を挿入することにより、該分割電極に押圧されたカーボン粉末のかさ比重(充填密度)が他の箇所のカーボン粉末のかさ比重より高くなり、坩堝内においてカーボン粉末のかさ比重にばらつきが生じる。特にかさ比重が低い原料を処理する場合、分割電極に押圧されるカーボン粉末のかさ比重が元のかさ比重に比べて非常に高くなるため、かさ比重のばらつきがより大きくなる。
しかしながら、このように坩堝に収容されるカーボン粉末のかさ比重に大きなばらつきが生じると、かさ比重(充填密度)の高い部位に電流が偏って流れ易くなる。すると、電流が多く流れる部位が偏って加熱されるため、坩堝内のカーボン粉末を均一に黒鉛化するのが難しくなり、得られる製品(黒鉛)の品質にばらつきが生じ易くなる。したがって、従来では製品(黒鉛)の品質にばらつきが生じないように通電加熱を制御する必要があるが、このような制御は非常に難しいのが現状である。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、加熱の際の通電制御を容易にし、これによって得られる製品(黒鉛)に品質のばらつきが生じるのを防止した、黒鉛化炉を提供することにある。
本発明の黒鉛化炉は、第1電極と、前記第1電極に対向して配置された第2電極とを備え、前記第1電極と前記第2電極との間に通電することでこれら第1電極と第2電極との間に配置した被処理物を加熱し、黒鉛化する黒鉛化炉であって、前記第1電極および前記第2電極の互いに対向する面に、それぞれ通電加熱発熱体を設け、前記第1電極側の通電加熱発熱体と前記第2電極側の通電加熱発熱体との間に、成形された導電性の被処理物に通電加熱処理して黒鉛化するための通電加熱処理部を設けたことを特徴とする。
また、前記黒鉛化炉において、前記第1電極側の通電加熱発熱体および前記第2電極側の通電加熱発熱体の比抵抗は、いずれも、前記成形された導電性の被処理物の比抵抗より大きいことを特徴とする。
また、前記黒鉛化炉において、前記第1電極側の通電加熱発熱体および前記第2電極側の通電加熱発熱体は、前記成形された導電性の被処理物に当接する面が、いずれも、該通電加熱発熱体に当接する前記成形された導電性の被処理物の端面と同じかこれより大きいことを特徴とする。
本発明の黒鉛化炉によれば、第1電極および第2電極の互いに対向する面に、それぞれ通電加熱発熱体を設けたので、これら通電加熱発熱体間に通電することでこれらの間に設けた通電加熱処理部を均一に加熱することができる。また、これら通電加熱発熱体間の通電加熱処理部に、成形され、したがってかさ比重のばらつきが無い被処理物を配してこれに通電し加熱するようにしたので、被処理物を均一に通電加熱することができる。したがって、加熱の際の通電制御を容易にすることができ、これによって得られる製品(黒鉛)の品質にばらつきが生じるのを防止して品質を安定化することができる。また、従来のような粉末の取り扱いに伴う粉塵作業が無くなるため、作業性が良くなる。
本発明の黒鉛化炉の一実施形態を示す側断面図である。
以下、図面を参照して本発明の黒鉛化炉を詳しく説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本発明の黒鉛化炉の一実施形態を示す側断面図であり、図1中符号1は黒鉛化炉である。
この黒鉛化炉1は、バッチ処理式のもので、断熱材によって形成された筒状の側壁部2と、同じく断熱材によって形成された環状の底部3、中間部4、上部5とを有している。底部3は、側壁部2の下側開口を覆うようにして配設されたものであり、上部5は、側壁部2の上側開口を覆うようにして配設されたものである。また、中間部4は、側壁部2の高さ方向の中間部における内部開口を覆うようにして配設されたもので、後述する通電加熱処理部6の上部側を囲む隔壁として機能するものである。
側壁部2には、その内部に設けられた通電加熱処理部6に通じて被処理物Wを出し入れするための出し入れ口(図示せず)が形成されており、該出し入れ口には、これを開閉可能に覆う断熱材からなる扉(図示せず)が設けられている。これら側壁部2、底部3、中間部4、上部5および扉を形成する断熱材としては、通電加熱処理部6が2000℃〜3000℃程度にまで昇温されるため、このような高温に耐えられる耐熱性および断熱性を有するものが用いられている。
また、これら側壁部2、底部3、中間部4、上部5の周囲には、これらを囲ってチャンバー7が設けられている。このチャンバー7は、水冷式の冷却部(図示せず)を全体に有したもので、側壁部2等を介して輻射等により外部に放熱されるのを抑制している。
また、黒鉛化炉1は、上電極8(第1電極)と下電極9(第2電極)とを備えている。上電極8は、チャンバー7の上方から吊り下げられた円柱状のもので、該チャンバー7の天井部に形成された貫通孔(図示せず)を通って前記上部5の貫通孔5aに挿通され、さらにその先端部(下端部)が前記中間部4の貫通孔4aを通って該中間部4の下側に位置させられている。この上電極8は、被処理物Wの黒鉛化温度(例えば2000℃〜3000℃、好ましくは2800℃〜3000℃)に耐える耐熱性と、導電性とを有するもので、例えばグラファイトによって形成されている。
下電極9は、前記チャンバー7の底部に設けられた昇降装置10上に昇降可能に立設された円柱状のもので、前記底部3の貫通孔3aに挿通されてその先端部(上端部)が底部3の上側に位置させられている。この下電極9も、前記上電極8と同様に、被処理物Wの前記黒鉛化温度に耐える耐熱性と、導電性とを有するもので、例えばグラファイトによって形成されている。
これら上電極8と下電極9とは、ほぼ同じ直径に形成され、かつ、鉛直方向に同軸に配置されている。したがって、これら上電極8と下電極9とは、それぞれの端面(上電極8の下端面と下電極9の上端面)が互いに対向して配置されている。
昇降装置10は、油圧シリンダー等からなる公知のもので、下電極9を数十mm程度昇降させ、これによって下電極9と上電極8との間隔を予め設定された間隔より拡げ、また、拡げた状態から元の間隔に戻すように構成されている。
上電極8の下端面には、円盤状の上側通電加熱発熱体11が設けられており、下電極9の上端面には、円盤状の下側通電加熱発熱体12が設けられている。上側通電加熱発熱体11は、上電極8の下端面と同じ直径に形成され、かつ、上電極8と同軸に配置されたもので、厚さが数十mm程度に形成された導電性のものである。この上側通電加熱発熱体11は、後述する被処理物Wに比べて比抵抗が大きい材料によって形成されている。下側通電加熱発熱体12も、下電極9の上端面と同じ直径に形成され、かつ、下電極9と同軸に配置されたもので、厚さが数十mm程度に形成された導電性のものである。この下側通電加熱発熱体12も、後述する被処理物Wに比べて比抵抗が大きい材料によって形成されている。
これら上側通電加熱発熱体11、下側通電加熱発熱体12の形成材料としては、例えばグラファイトが用いられる。グラファイトは、その製造法等によって比抵抗等の特性が制御可能である。
これら上側通電加熱発熱体11と下側通電加熱発熱体12とは、適宜な間隔を介して互いに対向して配置されている。すなわち、互いの鉛直方向に沿う中心軸が同軸に配置されている。そして、これら上側通電加熱発熱体11と下側通電加熱発熱体12との間に、被処理物Wを通電加熱処理するための通電加熱処理部6が設けられている。
この通電加熱処理部6に配される被処理物Wは、予め成形された導電性のもの、具体的にはカーボン粉末が円柱状等に成形されたものである。ただし、本発明では、導電性で成形可能なものであれば、カーボン粉末以外にも例えばグラファイトやカーボン繊維など、通電により内部抵抗で発熱する種々の導電性発熱体材料を、被処理物Wの材料として用いることができる。
このような導電性発熱体材料の成形法としては、例えば結着剤を添加して混合(混練)し、次いで押し出し成形などによって所望形状に成形し、その後、適宜温度、例えば数百℃以上で予焼成する、といった手法が採られる。すなわち、例えば炭素化することで電気伝導性を有する物質にできれば、予焼成温度については特に限定されない。形成する成形体の形状としては、円柱状とするのが、その円形の端面に対して面方向で均一に電流を流し易いため、好ましい。また、上側通電加熱発熱体11や下側通電加熱発熱体12の直径と同じかこれより小さいことが好ましい。
このように混合、成形、予焼成の各処理を行うことにより、得られる予焼成後の成形体、すなわち被処理物W中の導電性発熱体材料のかさ比重(充填密度)のばらつきを無くすことができる。また、このように押し出し成形後に予焼成を行うことにより、得られる成形体(被処理物W)の強度を高めて扱い易くすることができる。さらに、予焼成を行うことにより、被処理物Wから添加した結着剤を気化させて除去することができ、したがって結着剤による黒鉛化炉1内部の汚染を防止することができる。
前記上電極8の、上部5より上側に位置する部位には円環状の上側通電部13が形成されている。一方、前記下電極9の、底部3より下側に位置する部位には円環状の下側通電部14が形成されている。これら上側通電部13、下側通電部14には、これらの間に通電して通電加熱を行わせるための直流の電源15が接続されている。電源15には制御部(図示せず)が設けられており、この制御部を制御することによって上側通電部13、下側通電部14間に所望の大きさの電流を流すことができる。すなわち、上電極8の上側通電加熱発熱体11と下電極9の下側通電加熱発熱体12との間に設けられた通電加熱処理部6に所望の電流を流し、被処理物Wを通電加熱できるようになっている。
このような構成からなる黒鉛化炉1によって被処理物Wを黒鉛化するには、まず、予め成形した被処理物Wを前記通電加熱処理部6に配置する。その際、下電極9は昇降装置10によって下降させておく。このように下電極9を下降させた状態では、通電加熱処理部6の高さ、すなわち上側通電加熱発熱体11と下側通電加熱発熱体12との間隔は、被処理物Wの高さより広くなるように形成されている。換言すれば、被処理物Wを成形する際には、その高さを、通電加熱処理部6の高さに合わせて成形しておく。
次に、昇降装置10を作動させることによって下電極9を上昇させ、上側通電加熱発熱体11と下側通電加熱発熱体12との間に被処理物Wを挟持させる。その際、これら上側通電加熱発熱体11、下側通電加熱発熱体12によって被処理物Wを大きく加圧することなく、上側通電加熱発熱体11、下側通電加熱発熱体12が共に被処理物Wの端面に均一に当接する強さで、被処理物Wを挟持させる。また、被処理物Wの端面が、共に上側通電加熱発熱体11あるいは下側通電加熱発熱体12からはみ出ることなく、その全面がこれら上側通電加熱発熱体11、下側通電加熱発熱体12に当接するように配置する。
次いで、電源15の制御部を制御し、上側通電部13、下側通電部14間に所望の大きさの電流を流す。これにより、上電極8の上側通電加熱発熱体11と下電極9の下側通電加熱発熱体12との間の被処理物Wに電流が流れ、被処理物Wが通電加熱される。被処理物Wに流す電流値と通電加熱されることによる被処理物Wの加熱温度との相関を予め求めておくことにより、被処理物Wの通電加熱温度を電源15の制御部によって適宜に制御することができる。
このようにして予め設定した通電加熱温度で被処理物Wを所定時間加熱することにより、被処理物Wを黒鉛化する。
その後、通電加熱処理部6から黒鉛化した被処理物Wを取り出し、例えば粉砕処理するなどにより、最終製品としての形態に加工する。
本実施形態の黒鉛化炉1にあっては、上電極8および下電極9の互いに対向する面に、それぞれ上側通電加熱発熱体11、下側通電加熱発熱体12を設けたので、これら上側通電加熱発熱体11、下側通電加熱発熱体12間に通電することでこれらの間に設けた通電加熱処理部6の被処理物Wを均一に加熱することができる。また、通電加熱処理部6に、成形され、したがってかさ比重(充填密度)のばらつきが無い被処理物Wを配してこれに通電し加熱するようにしたので、被処理物Wを均一に通電加熱することができる。したがって、加熱の際の通電制御を容易にすることができ、これによって得られる製品(黒鉛)の品質にばらつきが生じるのを防止して品質を安定化することができる。また、従来のような粉末の取り扱いに伴う粉塵作業が無くなるため、作業性が良くなる。
また、上側通電加熱発熱体11および下側通電加熱発熱体12の比抵抗を、いずれも、被処理物Wの比抵抗より大きくしたので、これら上側通電加熱発熱体11、下側通電加熱発熱体12間の被処理物Wに相対的に電気が流れ易くなり、したがって被処理物Wの軸方向により均一に電流を流して被処理物Wを均一加熱することができる。また、被処理物Wの発熱効率を高めることもできる。
また、上側通電加熱発熱体11および下側通電加熱発熱体12の被処理物Wに当接する面を、いずれも、被処理物Wの端面と同じかこれより大きくしたので、被処理物Wの端面全体に電流を均一に流すことができる。したがって、被処理物Wをその端面の面方向においても均一に加熱することができる。
また、被処理物Wとして予焼成したものを用いるので、被処理物Wの強度を高めてその取り扱いを容易にすることができる。さらに、成形時に結着剤を用いた場合にも、予焼成によって添加した結着剤を気化させて被処理物Wから除去することができ、したがって結着剤による黒鉛化炉1内部の汚染を防止することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、上側通電加熱発熱体11、下側通電加熱発熱体12を上電極8、下電極9と同じ直径に形成したが、上側通電加熱発熱体11、下側通電加熱発熱体12を上電極8、下電極9より大きい直径に形成してもよい。その場合、被処理物Wについても、その端面を上側通電加熱発熱体11、下側通電加熱発熱体12の各面と同じかこれより小さく形成すれば、上電極8、下電極9より大きい直径に形成することができる。したがって、一回の黒鉛化の処理量を多くすることができ、製造効率を高めることができる。
また、前記実施形態では本発明の黒鉛化炉をバッチ処理式のものに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、連続処理式の黒鉛化炉に適用することもできる。例えば、図1に示した黒鉛化炉1の前後に搬送路を形成し、搬送路によって被処理物Wを黒鉛化炉1の通電加熱処理部6に供給する。そして、黒鉛化炉1にて前記実施形態と同様に通電加熱処理し、被処理物Wを黒鉛化した後、搬送路によって処理後の被処理物Wを取り出すとともに、新たな被処理物を通電加熱処理部6に供給する。以下、このような処理を繰り返すことにより、被処理物Wの黒鉛化処理を連続して行うことができる。
1…黒鉛化炉、6…通電加熱処理部、8…上電極(第1電極)、9…下電極(第2電極)、11…上側通電加熱発熱体、12…下側通電加熱発熱体、W…被処理物

Claims (3)

  1. 第1電極と、前記第1電極に対向して配置された第2電極とを備え、前記第1電極と前記第2電極との間に通電することでこれら第1電極と第2電極との間に配置した被処理物を加熱し、黒鉛化する黒鉛化炉であって、
    前記第1電極および前記第2電極の互いに対向する面に、それぞれ通電加熱発熱体を設け、
    前記第1電極側の通電加熱発熱体と前記第2電極側の通電加熱発熱体との間に、成形された導電性の被処理物に通電加熱処理して黒鉛化するための通電加熱処理部を設けたことを特徴とする黒鉛化炉。
  2. 前記第1電極側の通電加熱発熱体および前記第2電極側の通電加熱発熱体の比抵抗は、いずれも、前記成形された導電性の被処理物の比抵抗より大きいことを特徴とする請求項1記載の黒鉛化炉。
  3. 前記第1電極側の通電加熱発熱体および前記第2電極側の通電加熱発熱体は、前記成形された導電性の被処理物に当接する面が、いずれも、該通電加熱発熱体に当接する前記成形された導電性の被処理物の端面と同じかこれより大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の黒鉛化炉。
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