JP4482923B2 - 連続式通電加熱焼成炉 - Google Patents

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Description

本発明は、グラファイト等の導電性材料を不活性雰囲気中で連続的に高温焼成する連続式通電加熱焼成炉に関する。
連続的ではなくバッチ式に被処理品を通電加熱する装置として、非特許文献1と特許文献1が知られている。また、比較的小型の被処理品を連続的に加熱する連続式加熱炉として、特許文献2、3、4が知られている。
非特許文献1に記載の「黒鉛化炉」は、アチソン式抵抗加熱炉として知られており、図4に示すように、被処理品(被黒鉛化品)をコークス粒をパッキン材として炉詰し、これに炉長方向に直接通電し抵抗加熱するものである。
特許文献1の「焼結装置」は、セラミックスと導電性物質の両方の焼結と大型化を目的とし、図5に示すように、焼結型51の焼結空間52に充填された粉末原料53を一対のパンチよりなる電極55で加圧し通電して焼結する焼結装置である。電極55と粉末原料53の間には通電により発熱する発熱体54が設けられており、焼結型51は通電により発熱する導電体で構成されている。
特許文献2の「連続式熱処理炉」は、サイクルタイムの短縮を目的とし、図6(A)(B)に示すように、処理室60、前室61、後室62と、前室から処理室に被処理物を移送する第1の移送装置63と、処理室から後室に被処理物を移送する第2の移送装置65とを備える。処理室60は加熱ゾーンと冷却ゾーンとに区画され、加熱ゾーンから冷却ゾーンにわたって列をなした状態で被処理物を連続的に搬送する搬送装置64が設けられる。
特許文献3の「連続式ホットプレス用トレイおよびスキッドレール式連続ホットプレス」は、プレス荷重がトレイ70に作用してトレイを変形することを防ぐことを目的とし、図7に示すように、少なくとも1つの受圧ラム進退用貫通口72を有する。また、この貫通口の径より内径が大なる被処理材収容治具75を、貫通口72の周囲に保持する保持部71を備える。なお、この図でWは被処理材、73は上部加圧ラム、74は受圧ラム、77は下パンチ、78は上パンチ、76はダイスである。
特許文献4の「連続焼成炉及びその使用方法」は、冷却室が短くかつトレーを確実に搬送できることを目的とし、図8に示すように、入側脱気室81、予熱室82、加熱室83、冷却室84、出側脱気室85と、入側脱気室から予熱室へトレーを押し込むプッシャ86と、冷却室から出側脱気室へトレーを引き出すプラー87と、加熱室と冷却室との間に設けた中間扉88と、加熱室から冷却室へトレーを引き出す中間プラー89とを備える。中間扉88を閉止状態に設定して、冷却室84に対する入熱を抑制し、また冷却室84におけるトレー80の移動を中間プラー89で行い、プッシャ86が押圧すべきトレー80の数を少なくする。
石川敏功、長沖通著、「新炭素工業」、近代編集社発行、P.36-39 特開平10−330804号公報 実開平7−26694号公報 特公平7−47763号公報 特開2002−130956号公報
グラファイト等の導電性材料を、不活性雰囲気中で高温(2000℃以上,好ましくは約3000℃前後)で焼成することにより、大部分の不純物を高温で揮発させて純度を高め、かつ電気比抵抗を低減し、強度を高めることができることが知られている。
しかし、上述した非特許文献1の「アチソン式抵抗加熱炉」は、大量の被処理物をコークス粉中に埋め、直接通電加熱を行うバッチ処理装置であるため、通電加熱は2〜4日程度であっても、冷却に1〜2週間程度かかり、生産性が低い問題点があった。また、通電加熱中の雰囲気を自由に制御することが不可能であるため、少量、多品種(処理条件の違うもの)を短時間に処理できず、多様な需要に応じられない問題点があった。
一方、上述した特許文献1の「焼結装置」は、セラミックスと導電性物質の両方の焼結に適用できるが、連続操業できないバッチ処理装置であるため、生産性が低い問題点があった。また、この装置の処理温度は約2000℃未満であるため、グラファイト等の導電性材料を2000℃以上,好ましくは約3000℃前後で高温焼成する場合、焼結空間に位置する焼結型、電極、発熱体の耐熱性が不十分であり、かつ放熱量が過大となる問題点があった。
更に、上述した特許文献2〜4の連続式加熱炉の場合、通電加熱ができないため処理温度が低く、また仮に通電加熱装置と組み合わせ、2000℃以上,好ましくは約3000℃前後で高温焼成する場合でも、高温加熱空間に位置する治具等の耐熱性が不十分であり、放熱量が過大となる問題点があった。更に、高温加熱空間に被処理材を連続的に供給し搬出することが困難である問題点があった。
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、(1)グラファイト等の導電性材料を、不活性雰囲気中で連続的に高温焼成することができ、これにより少量処理、短時間処理と量産化を両立させることができ、(2)被処理材を2000℃以上,好ましくは約3000℃前後の高温で焼成することができ、(3)高温加熱空間からの放熱量を低減して省エネルギー化が可能であり、かつ高温加熱空間における温度分布を均一化でき、(4)被処理材を高温加熱空間へ安定して搬入・搬出することができ、かつ高温に曝される部材が少なく、装置の長寿命化と安定操業が可能である連続式通電加熱焼成炉を提供することにある。
本発明によれば、内部を密閉可能な処理室と、該処理室内に設けられ開閉可能な高温加熱室と、前記処理室の入口に連続して設けられその内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能な装入脱気室と、前記処理室の出口に連続して設けられその内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能な抽出脱気室とを備え、更に前記高温加熱室内で被処理品を通電加熱する通電加熱装置と、装入脱気室、高温加熱室、処理室、および抽出脱気室の間で被処理品を搬送する水平搬送装置とを備え、
前記高温加熱室は、搬送時に、上下方向及び搬送方向に垂直な方向に分割して開閉可能に構成された処理物通過用扉を有する、ことを特徴とする連続式通電加熱焼成炉が提供される。
本発明のこの構成により、水平搬送装置で、外部から装入脱気室、処理室内の高温加熱室、高温加熱室下流の処理室、装入脱気室、および外部の順で被処理品を順次間欠的に水平搬送し、高温加熱室内で通電加熱装置で被処理品を通電加熱してグラファイト等の導電性材料を、不活性雰囲気中で連続的に高温焼成することができる。
また、高温加熱室を、搬送時に処理物通過用扉を左右に分割して開閉し被処理品を順次間欠的に高温加熱室内に挿入し、通電加熱して不活性雰囲気中で連続的に高温焼成することができる。
前記通電加熱装置は、被処理品を上下から挟持する導電性発熱体からなる上部及び下部のアタッチメントと、該アタッチメントの上下に連結された上部及び下部の黒鉛電極本体と、該黒鉛電極本体の上下に連結された上部及び下部の銅電極と、該銅電極間に大電流を通電する通電電源とを有し、上部及び下部のアタッチメントと被処理品を通電電流により高温加熱する。
この構成により、通電電源で上部及び下部の銅電極間に大電流を通電し、上部及び下部のアタッチメントで挟持された被処理品を通電電流により高温加熱することができる。
前記下部アタッチメント、下部黒鉛電極本体、及び下部銅電極を一体的に昇降させる電極昇降装置を備え、被処理品を載せた下部アタッチメントを上昇させて上部アタッチメントとの間に被処理品を挟持し、同時に被処理品を搬送装置から電気的に断絶させる。
この構成により、電極昇降装置で被処理品を載せた下部アタッチメントを上昇させて上部アタッチメントとの間に被処理品を挟持することで上部及び下部のアタッチメントで挟持された被処理品を通電電流により高温加熱することができ、同時に被処理品を搬送装置から電気的に断絶させ通電電流の損失を防止できる。
前記高温加熱室は、上部及び下部のアタッチメントが通過可能な上下の貫通孔を有し、更に上部及び下部のアタッチメントと黒鉛電極本体からの放熱を防止する上部及び下部の保熱室を備える。
この構成により、上部及び下部の保熱室から処理室内および外部への放熱を低減することができる。
前記上部及び下部のアタッチメントは、上部及び下部の黒鉛電極本体より細く構成され、これにより各アタッチメントの発熱を増やして、高温加熱室上下端の温度降下を低減し、かつ黒鉛電極本体の発熱量をアタッチメントの発熱量より小さくする。
この構成により、アタッチメントに比べて黒鉛電極本体の電気抵抗を小さくでき、各アタッチメントの発熱を増やして被処理品を効果的に加熱できるとともに、高温加熱室上下端の温度降下を低減でき、かつ黒鉛電極本体の発熱量をアタッチメントの発熱量より小さくして上部及び下部の保熱室からの放熱を低減することができる。
また、本発明によれば、内部を密閉可能な処理室と、該処理室内に設けられ開閉可能な高温加熱室と、前記処理室の入口に連続して設けられその内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能な装入脱気室と、前記処理室の出口に連続して設けられその内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能な抽出脱気室とを備え、
更に前記高温加熱室内で被処理品を通電加熱する通電加熱装置と、装入脱気室、高温加熱室、処理室、および抽出脱気室の間で被処理品を搬送する水平搬送装置とを備え、
前記水平搬送装置は、被処理品を載せたトレイを、装入脱気室から抽出脱気室まで水平に滑動可能なフリーローラ装置と、該フリーローラ装置上の前記トレイを間欠的に搬送する複数のプラー装置又はプッシャー装置とからなる、ことを特徴とする連続式通電加熱焼成炉が提供される。
この構成により、プッシャー装置により、トレイを上流側から押して複数のトレイを間欠的に搬送することができ、またプラー装置により単一のトレイを下流側から引いて所定のストロークを間欠的に搬送することができる。
前記水平搬送装置は、前記処理室内の高温加熱室より下方の、高温加熱室の温度より低温部分に配置され、
前記トレイは、フリーローラ装置上を滑動し下部アタッチメントの通過可能な貫通孔を有するトレイ本体と、該貫通孔に嵌合してその上に支持され被処理品を載せる耐熱皿とからなり、
前記高温加熱室内は、2000℃以上の高温まで昇温され、該高温加熱室内には被処理品、これを載せる耐熱皿、およびこれらを上下から挟持する上部及び下部のアタッチメントの一部のみが挿入される。
この構成により、水平搬送装置が処理室内の高温加熱室より下方の低温部分に配置されるので装置の長寿命化と安定操業が可能となる。
また、前記高温加熱室内は、2000℃以上,好ましくは約3000℃前後の高温まで昇温され、該高温加熱室内には被処理品、これを載せる耐熱皿、およびこれらを上下から挟持する上部及び下部のアタッチメントの一部のみが挿入されるので、被処理材を高温加熱空間へ安定して搬入・搬出することができ、かつ高温に曝される部材を少なくできる。
さらに、本発明によれば、内部を密閉可能な処理室と、該処理室内に設けられ開閉可能な高温加熱室と、前記処理室の入口に連続して設けられその内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能な装入脱気室と、前記処理室の出口に連続して設けられその内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能な抽出脱気室とを備え、
更に前記高温加熱室内で被処理品を通電加熱する通電加熱装置と、装入脱気室、高温加熱室、処理室、および抽出脱気室の間で被処理品を搬送する水平搬送装置とを備え、
前記処理室内をN 2 ガス、Arガス、ハロゲンガス、又は真空に選択的に保持し、かつ前記装入脱気室及び抽出脱気室内を処理室と同じ雰囲気に随時置換する雰囲気保持置換装置を備える、ことを特徴とする連続式通電加熱焼成炉が提供される。
この構成により、処理室内をN2ガス、Arガス、ハロゲンガス、又は真空に選択的に保持したままで、装入脱気室及び抽出脱気室内を処理室と同じ雰囲気に随時置換して、水平搬送装置で、外部から装入脱気室、処理室内の高温加熱室、高温加熱室下流の処理室、装入脱気室、および外部の順で被処理品を順次間欠的に水平搬送することができる。
上述したように、本発明の連続式通電加熱焼成炉は、以下の効果を有する。
(1)連続式であるため、少量、短時間処理と量産化を両立させることができる。
(2)高温加熱室の上下に保熱室を設けることにより、高温加熱室まわりの断熱と省エネルギーが図れる。
(3)被処理品を挟持するアタッチメントをこれに通電する黒鉛電極本体より細くして(面積20%以下)発熱を増やすことにより、加熱室上下端の温度降下を防ぎ、炉内の温度分布を良くできる。
(4)3000℃に曝される高温加熱室内には被処理品、耐熱皿、およびアタッチメントの一部のみが挿入されるので、トレー本体及び水平搬送装置全体は相対的に低温の処理室内に格納でき、装置の長寿命化と安定操業が図れる。
(5)トレーをトレー本体と耐熱皿で構成するトレー構造により、トレー本体および水平搬送装置全体を相対的に低温の処理室内に格納できる。
(6)炉内雰囲気を自由に選択できるので、要求品質の多様化に対応できる。
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明の連続式通電加熱焼成炉の全体構成図である。この図に示すように、本発明の連続式通電加熱焼成炉10は、上流側(図で左側)から下流側(右側)に向かって、順に連結された装入脱気室12、処理室14、及び抽出脱気室16を備える。
装入脱気室12は、処理室14の入口(図で左側)に連続して設けられ、その上流側と下流側に気密に開閉可能な開閉扉13a,13bを備え、その内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能に構成されている。
また、抽出脱気室16は、処理室14の出口(図で右側)に連続して設けられ、その上流側と下流側に気密に開閉可能な開閉扉17a,17bを備え、その内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能に構成されている。開閉扉13a,13bおよび開閉扉17a,17bは、この例では、扉とこれを昇降させる直動シリンダおよびロック機構(図示せず)からなるが、本発明はこの構成に限定されず、その他の周知の構造であってもよい。
処理室14は、装入脱気室12と抽出脱気室16の間に位置し、それぞれに連通し、かつ開閉扉13a,13bおよび開閉扉17a,17b以外には、外部と連通する開口部がなく、内部を密閉可能に構成されている。
図1において、本発明の連続式通電加熱焼成炉10は、更に、処理室14内をN2ガス、Arガス、ハロゲンガス、又は真空に選択的に保持し、かつ装入脱気室12及び抽出脱気室16内を処理室14と同じ雰囲気に随時置換する雰囲気保持置換装置(図示せず)を備えている。
この構成により、処理室14内をN2ガス、Arガス、ハロゲンガス、又は真空に選択的に保持したままで、装入脱気室12及び抽出脱気室16内を処理室14と同じ雰囲気に随時置換して、水平搬送装置30(後述する)で、外部から装入脱気室12、処理室14、装入脱気室16および外部の順で被処理品1を順次間欠的に水平搬送することができる。
本発明の連続式通電加熱焼成炉10は、更に処理室12内に設けられ開閉可能な高温加熱室18と、高温加熱室内で被処理品1を通電加熱する通電加熱装置20と、装入脱気室12、高温加熱室18、処理室14、装入脱気室16の間で被処理品1を順次間欠的に水平搬送する水平搬送装置30とを備える。
被処理品1は、グラファイト等の導電性材料であり、通電により内部抵抗で発熱する材料からなる。
通電加熱装置20は、それぞれ上部及び下部のアタッチメント22a,22b、黒鉛電極本体24a,24b、及び銅電極26a,26bと、銅電極26a,26bの間に端子27a,27bを介して大電流を通電する通電電源28とからなる。なお、29a,29bは絶縁部材である。
上部及び下部のアタッチメント22a,22bは、導電性発熱体、好ましくは黒鉛からなり、被処理品1を上下から挟持し、被処理品1に通電して被処理品1と共に発熱し、被処理品1を高温加熱するようになっている。
上部及び下部の黒鉛電極本体24a,24bは、アタッチメント22a,22bの上下に連結され、銅電極26a,26bからアタッチメント22a,22bに電流を流す役割を有している。
また、上部及び下部の銅電極26a,26bは、黒鉛電極本体24a,24bの上下に連結され、通電電源28からの大電流を受電する役割を有している。従って、通電電源28から銅電極26a,26bの間に大電流を通電することにより、上部及び下部のアタッチメント22a,22bを介して被処理品1に通電し、この電流により被処理品1を高温加熱することができる。
またこの例において、上部及び下部のアタッチメント22a,22bは、上部及び下部の黒鉛電極本体24a,24bより細く(好ましくは断面積が20%以下)構成され、これにより各アタッチメント22a,22bの発熱を増やして、高温加熱室18の上下端の温度降下を低減し、かつ黒鉛電極本体24a,24bの発熱量をアタッチメント22a,22bの発熱量より小さくしてその放熱を低減するようになっている。
この構成により、アタッチメント22a,22bに比べて黒鉛電極本体24a,24bの電気抵抗を小さくでき、各アタッチメント22a,22bの発熱を増やして被処理品1を効果的に加熱できる。
また、図に示すように高温加熱室18は、耐熱性が高く熱伝導率の低い断熱壁18aからなり、かつ上部及び下部のアタッチメント22a,22bが通過可能な上下の貫通孔を有する。
更に、高温加熱室18の上下には、上部及び下部のアタッチメント22a,22bと黒鉛電極本体24a,24bからの放熱を防止する上部及び下部の保熱室19a,19bを備える。
この構成により、高温加熱室18の上下端の温度降下を低減でき、かつ黒鉛電極本体24a,24bの発熱を相対的に小さくして上部及び下部の保熱室19a,19bからの放熱を低減することができる。
なお、上述した例において、通電によりアタッチメント22a,22bと被処理品1が発熱する高温加熱室18の内部は、2000℃以上,好ましくは約3000℃前後の高温まで昇温され、その上下に位置する保熱室19a,19bの内部は、高温加熱室より低い1000〜2000℃に保持され、保温されていない銅電極26a,26bは、常温〜200℃以下に保持されるのが好ましい。また、この場合、高温加熱室18及び保熱室19a,19bの外側に位置する処理室14の内部も、常温〜200℃以下になるのが好ましい。
図1において、水平搬送装置30は、フリーローラ装置32と複数のプラー装置34又はプッシャー装置35とからなる。
フリーローラ装置32は、複数の自由回転可能なフリーローラ32aを間隔を開けて水平に並べたものであり、被処理品1を載せたトレイ2を、装入脱気室12から抽出脱気室16まで水平に滑動させることができる。
プラー装置34及びプッシャー装置35は、水平移動する部材の一部に下流に向かうときのみ係合する係合部材を有するものであり、トレイ2を上流側から押して複数のトレイ2を並んだ状態で間欠的に搬送することができ、或いは単一のトレイ2を下流側から引いて所定のストロークを間欠的に搬送することができる。なお、かかるプラー装置34又はプッシャー装置35は、特許文献4に開示されたプラー又はプッシャと同一の構成でもよく、その他の周知の一方向間欠搬送機構であってもよい。
図2は、図1のA-A線における断面図であり、(A)は高温加熱室の閉鎖位置、(B)はその開放位置を示している。
この例において、水平搬送装置30は、処理室14内の高温加熱室18より下方であって、高温加熱室18と下部保熱室19bの間を通過するように構成されている。
また、高温加熱室18を構成する断熱壁18aは、搬送時に左右に分割して開閉可能に構成された処理物通過用扉であり、被処理品1の軸線を通りその移動方向に延びる鉛直な平面において、左右に2分割されており、かつ図1の水平ガイド37により水平搬送装置30及びこれにより搬送されるトレイ2と干渉せずに、閉鎖位置(A)と開放位置(B)の間を直動シリンダ38により水平移動できるようになっている。
この構成により、図2(B)に示すように、被処理品1を載せたトレイ2を高温加熱室18の外側から内側に水平移動させる搬送時に、断熱壁18aを左右に分割して開閉することにより、被処理品1と断熱壁18aの干渉を回避することができる。また、内側に水平移動させた後に、図2(A)に示すように、断熱壁18aを内方に閉じることにより、上下の開口以外の高温加熱室18の開口をなくし、通電加熱による昇温を可能にできる。
なお、本発明はこの構成に限定されず、例えば開閉可能な処理物通過用扉(図示せず)を設け、この扉のみを開閉してもよい。
この構成により、高温加熱室18の処理物通過用扉18aを、搬送時に左右に分割して開閉し被処理品を順次間欠的に高温加熱室内に挿入し、通電加熱して不活性雰囲気中で連続的に高温焼成することができる。
図3(A)(B)は、図1の部分拡大図である。この図において、(A)は通電加熱時、(B)はトレイの搬送時を示している。
図3(A)(B)に示すように、トレイ2は、トレイ本体2aと耐熱皿2bとからなる。トレイ本体2aは、下部アタッチメント22bの通過可能な貫通孔3aを有し、かつフリーローラ装置32の上を滑動できるように水平な下面を有する平板状に形成されている。また、耐熱皿2bは、トレイ本体2aの貫通孔3aに嵌合してその上に支持され、その上に被処理品1を載せるようになっている。
図3(A)(B)の例において、トレイ本体2aの貫通孔3aと耐熱皿2bの外周部は、下方が小径のテーパ面に形成されている。なお、嵌合部の形状はこれに限定されず、図3(C)(D)の例のように、耐熱皿2bの上部に鍔を設けた形状であってもよい。
なお、耐熱皿2bは、2000℃以上,好ましくは約3000℃前後の高温に耐える耐熱金属材料からなるのがよい。
図1及び図2において、本発明の連続式通電加熱焼成炉10は、更に、下部アタッチメント22b、下部黒鉛電極本体24b、及び下部銅電極26bを一体的に昇降させる電極昇降装置39を備える。この電極昇降装置39は、例えば直動シリンダであり、被処理品1と耐熱皿2bを載せた下部アタッチメント22bを上昇させて上部アタッチメント22aとの間に被処理品1と耐熱皿2bを挟持し、同時に被処理品1を搬送装置30から電気的に断絶させるようになっている。
この構成により、電極昇降装置39で被処理品1と耐熱皿2bを載せた下部アタッチメント22bを上昇させることで、上部及び下部のアタッチメントで挟持された被処理品1を通電電流により高温加熱することができ、同時に被処理品1を搬送装置から電気的に断絶させ通電電流の損失を防止できる。
なお、高温加熱室18内は、2000℃以上,好ましくは約3000℃前後の高温まで昇温され、この高温加熱室18内には、図1及び図2(A)の通電状態において、被処理品1、これを載せる耐熱皿2b、およびこれらを上下から挟持する上部及び下部のアタッチメント22a,22bの一部のみが挿入されるように構成されている。
この構成により、水平搬送装置30が処理室14内の高温加熱室より下方の、高温加熱室の温度より低温部分に配置されるので装置の長寿命化と安定操業が可能となり、かつ高温加熱室18内には被処理品1、これを載せる耐熱皿2b、およびこれらを上下から挟持する上部及び下部のアタッチメント22a,22bの一部のみが挿入されるので、高温に曝される部材を少なくできる。
上述した本発明の構成により、水平搬送装置30で、外部から装入脱気室12、処理室内の高温加熱室18、高温加熱室下流の処理室14、装入脱気室16、および外部の順で被処理品1を順次間欠的に水平搬送し、高温加熱室18内で通電加熱装置で被処理品1を通電加熱してグラファイト等の導電性材料を、不活性雰囲気中で連続的に2000℃以上,好ましくは約3000℃前後の高温で高温焼成することができる。
また、電極昇降装置39で被処理品1を載せた下部アタッチメント22bを上昇させて上部アタッチメント22aとの間に被処理品1を挟持することで上部及び下部のアタッチメントで挟持された被処理品1を通電電流により高温加熱することができ、同時に被処理品1を搬送装置から電気的に断絶させ通電電流の損失を防止できる。
また、高温加熱室18内には被処理品1、これを載せる耐熱皿2b、およびこれらを上下から挟持する上部及び下部のアタッチメント22a,22bの一部のみが挿入されるので、被処理材1を高温加熱空間へ安定して搬入・搬出することができ、かつ高温に曝される部材を少なくできる。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
本発明の連続式通電加熱焼成炉の全体構成図である。 図1のA-A線における断面図である。 図1の部分拡大図である。 非特許文献1の「黒鉛化炉」の模式図である。 特許文献1の「焼結装置」の模式図である。 特許文献2の「連続式熱処理炉」の模式図である。 特許文献3の「連続式ホットプレス用トレイおよびスキッドレール式連続ホットプレス」の模式図である。 特許文献4の「連続焼成炉及びその使用方法」の模式図である。
符号の説明
1 被処理品、2 トレイ、2a トレイ本体、2b 耐熱皿、
10 連続式通電加熱焼成炉、12 装入脱気室、13a,13b 開閉扉、
14 処理室、16 抽出脱気室、17a,17b 開閉扉、
18 高温加熱室、18a 断熱壁(処理物通過用扉)、19a,19b 保熱室、
20 通電加熱装置、22a,22b アタッチメント、
24a,24b 黒鉛電極本体、26a,26b 銅電極、
27a,27b 端子、28 通電電源、29a,29b 絶縁部材、
30 水平搬送装置、32 フリーローラ装置、32a フリーローラ、
34 プラー装置、35 プッシャー装置、
37 水平ガイド、38 直動シリンダ、39 電極昇降装置

Claims (8)

  1. 内部を密閉可能な処理室と、該処理室内に設けられ開閉可能な高温加熱室と、前記処理室の入口に連続して設けられその内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能な装入脱気室と、前記処理室の出口に連続して設けられその内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能な抽出脱気室とを備え、
    更に前記高温加熱室内で被処理品を通電加熱する通電加熱装置と、装入脱気室、高温加熱室、処理室、および抽出脱気室の間で被処理品を搬送する水平搬送装置とを備え、
    前記高温加熱室は、搬送時に、上下方向及び搬送方向に垂直な方向に分割して開閉可能に構成された処理物通過用扉を有する、ことを特徴とする連続式通電加熱焼成炉。
  2. 内部を密閉可能な処理室と、該処理室内に設けられ開閉可能な高温加熱室と、前記処理室の入口に連続して設けられその内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能な装入脱気室と、前記処理室の出口に連続して設けられその内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能な抽出脱気室とを備え、
    更に前記高温加熱室内で被処理品を通電加熱する通電加熱装置と、装入脱気室、高温加熱室、処理室、および抽出脱気室の間で被処理品を搬送する水平搬送装置とを備え、
    前記通電加熱装置は、被処理品を上下から挟持する導電性発熱体からなる上部及び下部のアタッチメントと、該アタッチメントの上下に連結された上部及び下部の黒鉛電極本体と、該黒鉛電極本体の上下に連結された上部及び下部の銅電極と、該銅電極間に大電流を通電する通電電源とを有し、
    上部及び下部のアタッチメントと被処理品を通電電流により高温加熱する、ことを特徴とする連続式通電加熱焼成炉。
  3. 前記下部アタッチメント、下部黒鉛電極本体、及び下部銅電極を一体的に昇降させる電極昇降装置を備え、被処理品を載せた下部アタッチメントを上昇させて上部アタッチメントとの間に被処理品を挟持し、同時に被処理品を搬送装置から電気的に断絶させる、ことを特徴とする請求項に記載の連続式通電加熱焼成炉。
  4. 前記高温加熱室は、上部及び下部のアタッチメントが通過可能な上下の貫通孔を有し、
    更に上部及び下部のアタッチメントと黒鉛電極本体からの放熱を防止する上部及び下部の保熱室を備える、ことを特徴とする請求項に記載の連続式通電加熱焼成炉。
  5. 前記上部及び下部のアタッチメントは、上部及び下部の黒鉛電極本体より細く構成され、これにより各アタッチメントの発熱を増やして、高温加熱室上下端の温度降下を低減し、かつ黒鉛電極本体の発熱量をアタッチメントの発熱量より小さくする、ことを特徴とする請求項に記載の連続式通電加熱焼成炉。
  6. 内部を密閉可能な処理室と、該処理室内に設けられ開閉可能な高温加熱室と、前記処理室の入口に連続して設けられその内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能な装入脱気室と、前記処理室の出口に連続して設けられその内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能な抽出脱気室とを備え、
    更に前記高温加熱室内で被処理品を通電加熱する通電加熱装置と、装入脱気室、高温加熱室、処理室、および抽出脱気室の間で被処理品を搬送する水平搬送装置とを備え、
    前記水平搬送装置は、被処理品を載せたトレイを、装入脱気室から抽出脱気室まで水平に滑動可能なフリーローラ装置と、該フリーローラ装置上の前記トレイを間欠的に搬送する複数のプラー装置又はプッシャー装置とからなる、ことを特徴とする連続式通電加熱焼成炉。
  7. 前記水平搬送装置は、前記処理室内の高温加熱室より下方の、高温加熱室の温度より低温部分に配置され、
    前記トレイは、フリーローラ装置上を滑動し下部アタッチメントの通過可能な貫通孔を有するトレイ本体と、該貫通孔に嵌合してその上に支持され被処理品を載せる耐熱皿とからなり、
    前記高温加熱室内は、2000℃以上の高温まで昇温され、該高温加熱室内には被処理品、これを載せる耐熱皿、およびこれらを上下から挟持する上部及び下部のアタッチメントの一部のみが挿入される、ことを特徴とする請求項に記載の連続式通電加熱焼成炉。
  8. 内部を密閉可能な処理室と、該処理室内に設けられ開閉可能な高温加熱室と、前記処理室の入口に連続して設けられその内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能な装入脱気室と、前記処理室の出口に連続して設けられその内部を処理室と同じ雰囲気に置換可能な抽出脱気室とを備え、
    更に前記高温加熱室内で被処理品を通電加熱する通電加熱装置と、装入脱気室、高温加熱室、処理室、および抽出脱気室の間で被処理品を搬送する水平搬送装置とを備え、
    前記処理室内をN 2 ガス、Arガス、ハロゲンガス、又は真空に選択的に保持し、かつ前記装入脱気室及び抽出脱気室内を処理室と同じ雰囲気に随時置換する雰囲気保持置換装置を備える、ことを特徴とする連続式通電加熱焼成炉。
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