本発明のある態様にかかる実施形態の作用効果を説明する。なお、本実施形態の作用効果を具体的に説明するに際しては、具体的な例を示して説明することになる。しかし、それらの例示される態様はあくまでも本発明に含まれる態様のうちの一部に過ぎず、その態様には数多くのバリエーションが存在する。したがって、本発明は例示される態様に限定されるものではない。
本実施形態の合焦方法は、無色透明で、表面の形状が滑らかになっている標本への焦点合わせに適している。本実施形態の合焦方法は、特に、表面の形状がレンズ面のように滑らかで、全体の形状がレンズのような標本への焦点合わせに適している。以下、本実施形態の合焦方法の適用に好ましい標本を、単に「位相標本」という。
なお、表面の形状が滑らかになっている場合、表面は凹凸が少ない形状になっている。このような形状は、非回折光の明るさに比べて回折光の明るさが暗い形状である。非回折光は、例えば0次回折光、回折光は、例えば1次回折光である。また、表面の形状は、球面になっていることが好ましい。あるいは、全体の形状がレンズと同じ形状であることが好ましい。好ましい形状のレンズとしては、平凸レンズ、平凹レンズ、シリンドリカルレンズ及び半球レンズなどがある。
図1に、位相標本の例を示す。図1は位相差観察法による位相標本の電子画像であって(a)は生細胞の電子画像、(b)はコロニーの電子画像である。また、図2は位相標本の断面の様子を示す図であって、(a)は生細胞の断面図、b)はコロニーの断面図である。
図1(a)に示す電子画像は、生細胞の電子画像である。この電子画像では、隣り合う生細胞の境界が明確になっているので、個々の生細胞の様子を認識することができる。一方、図1(b)に示す電子画像は、コロニーの電子画像である。この電子画像では、複数の生細胞が集合して1つの塊、すなわちコロニーを形成している。よって、この電子画像では、個々の生細胞の様子を認識することはできない。
図2(a)は、図1(a)におけるA1−A1の断面図である。図2(a)に示すように、生細胞1は保持容器2によって保持されている。保持容器2は、例えばシャーレである。図2では、シャーレの底面の一部が図示されている。生細胞1では、中央で厚みが最も厚く、周辺に向かって徐々に厚みが減少している。また、生細胞1では、表面の形状が滑らかになっている。
図2(b)は、図1(b)におけるA2−A2の断面図である。図2(b)に示すように、コロニー3は保持容器2によって保持されている。コロニー3では、厚みが場所によって異なっている。よって、コロニー3の全体としては、表面に凹凸が存在している。しかしながら、例えばコロニー3の一部の領域、例えば凸部4では、中央の厚みが最も厚く、周辺に向かって徐々に厚みが減少している。また、凸部4では、表面の形状が滑らかになっている。なお、図2(a)に示すような形状を持つコロニーもある。
位相標本を生きている状態で観察する場合、観察は水や培養液などの液中で行われる。図3は液中で位相標本を観察する様子を示す図であって、(a)は生細胞を示す図、(b)はレンズを示す図である。
図3(a)に示すように、生細胞1は保持容器2で保持されている。そして、保持容器2の内側は培養液5で満たされている。また、生細胞1の上方には、対物レンズ6が位置している。また、対物レンズ6と生細胞1との間は培養液5で満たされている。
ここで、生細胞1の上方にカバーガラスを載置すると、カバーガラスの重みで生細胞1の表面は平坦な形状になる。しかしながら、液中での観察では、生細胞1と対物レンズ6との間にカバーガラスは配置されない。そのため、生細胞1の表面の形状は変形していない。そして、この状態で、生細胞1と対物レンズ6とが対向している。
図3(a)に示すように、生細胞1では、中央で厚みが最も厚く、周辺に向かって徐々に厚みが減少している。また、生細胞1では、表面が滑らかになっている。このように、生細胞1では、表面の形状がレンズ面のように滑らかで、全体の形状が平凸レンズのようになっている。
このようなことから、位相標本はレンズと実質的に同等と見なすことができる。そこで、図3(a)において生細胞1を平凸レンズに置き換える。図3(b)は、置き換え後の図である。図3(b)に示すように、培養液5の液中に平凸レンズ7が配置されている。このように、図3(a)に示す状態は、図3(b)に示す状態と実質的に同じである。
なお、位相標本を平凹レンズと見なせる場合もある。この場合、培養液5の液中に平凹レンズが配置されていることになるが、実際の例としては、以下のような(例1)〜(例3)がある。(例1)生細胞の断面形状が、中央で厚みが最も薄く、周辺に向かって徐々に厚みが増加している状態。(例2)図3(a)において、生細胞1の屈折率が培養液5の屈折率よりも小さい状態。(例3)コロニーにおいて、凹部の表面の形状が滑らかになっている状態。
次に、顕微鏡の光学系について説明する。図4は顕微鏡の光学系を示す図であって、(a)は光学系全体の図、(b)は光学系の瞳の結像の様子を示す図である。
図4(a)に示すように、顕微鏡の光学系100は、照明光学系20と観察光学系21とを有する。照明光学系20は、光源22とコンデンサレンズ23とを有する。なお、光源22とコンデンサレンズ23との間にレンズを配置しても良い。図4(a)では、光源22とコンデンサレンズ23との間に、レンズ24とレンズ25とが配置されている。観察光学系21は、対物レンズ26と結像レンズ27とを有する。
光源22から出射した照明光はレンズ24に入射し、レンズ25で集光される。集光位置はコンデンサレンズ23の瞳位置Pcon(以下、単に「瞳位置Pcon」という)であるので、瞳位置Pconに光源22の像が形成される。
瞳位置Pconに集光した照明光は、コンデンサレンズ23に入射する。ここで、瞳位置Pconはコンデンサレンズ23の焦点位置と一致している。よって、照明光は平行光となって、コンデンサレンズ23から出射する。この平行光によって標本が照明される。なお、図4(a)では、標本は図示されていないが、照明光学系20と観察光学系21との間、具体的には、コンデンサレンズ23と対物レンズ26との間に標本が配置されている。
標本の結像について説明する。標本からの光(以下、適宜、「物体光」という)は、対物レンズ26の焦点位置28から出射する。物体光は対物レンズ26に入射する。物体光は対物レンズ26で平行光になり、結像レンズ27に入射する。続いて、物体光は結像レンズ27で集光され、集光位置に標本の像29が形成される。
次に、瞳の結像について説明する。瞳位置Pconから出射した光は、図4(b)の破線で示すように、コンデンサレンズ23によって平行光になる。この平行光は、対物レンズ26の焦点位置28を通過して、対物レンズ26に入射する。対物レンズ26に入射した平行光は、対物レンズ26で集光される。この集光位置は、対物レンズ26の瞳位置Pob(以下、単に「瞳位置Pob」という)である。よって、瞳位置Pconと瞳位置Pobとは共役になる。瞳位置Pconにはコンデンサレンズの瞳30があるので、瞳位置Pobにコンデンサレンズの瞳の像31が形成される。
瞳の結像について、更に説明する。以下の説明では、レンズを薄肉レンズとみなしている。照明光学系20と観察光学系21との間に何も存在していない場合、コンデンサレンズ23と対物レンズ26とで構成される光学系の倍率、すなわち、瞳投影倍率βpは以下の式(A)で表される。
βp=fob/fc (A)
ここで、
fobは対物レンズの焦点距離、
fcはコンデンサレンズの焦点距離、
である。
次に、照明光学系20と観察光学系21との間に平凸レンズが存在する場合について説明する。この場合、対物レンズ26と平凸レンズとの合成焦点距離flen-obは、以下の式(B)で表される。
flen-ob=(flen×fob)/(flen+fob-d) (B)
ここで、
flenは平凸レンズの焦点距離、
fobは対物レンズの焦点距離、
dは対物レンズと平凸レンズとの間隔、
である。
また、このときの瞳投影倍率βp’は以下の式(C)で表される。
βp’=flen-ob/fc
={(flen×fob)/(flen+fob-d)}/fc
=(flen×fob)/{fc×(flen+fob-d)}
=(βp×flen)/(flen+fob-d) (C)
上述のように、対物レンズや平凸レンズを薄肉レンズとみなしているので、レンズの厚みは無いものとなる。そうすると、間隔dは、対物レンズの主点と平凸レンズの主点との間隔になる。
ここで、対物レンズの位置を基準にすると、間隔dは、対物レンズの主点位置に対する平凸レンズの主点位置を示していることになる。一方、平凸レンズの位置を基準にすると、間隔dは、平凸レンズの主点位置に対する対物レンズの主点位置を示していることになる。以下の説明では、対物レンズの位置を基準にしている。
式(C)は、対物レンズの主点位置に対して平凸レンズの主点位置が変化すると、瞳投影倍率βp’が変化することを示している。そして、瞳投影倍率βp’が変化するということは、コンデンサレンズの瞳の像31の大きさが変化するということである。
図5は、対物レンズの主点位置に対する平凸レンズの主点位置と瞳の像の大きさとの関係を示す図であって、(a)は第1の状態を示す図、(b)は第2の状態を示す図、(c)は第3の状態を示す図である。なお、図5では、コンデンサレンズ、対物レンズ及び平凸レンズはいずれも薄肉レンズであるが、平凸レンズのみを矢印で示している。また、矢印の位置が平凸レンズの主点位置になる。また、以下の説明では、対物レンズの焦点位置を、単に「焦点位置」という。
第1の状態、第2の状態及び第3の状態のいずれにおいても、コンデンサレンズ23と対物レンズ26との間に、平凸レンズ7が存在する。よって、コンデンサレンズの瞳30は、コンデンサレンズ23、平凸レンズ7及び対物レンズ26によって観察光学系側に投影される。その結果、観察光学系の光路中、例えば瞳位置Pobに、コンデンサレンズの瞳の像31が形成される。
図5(a)は第1の状態を示している。第1の状態では、平凸レンズ7の主点と焦点位置28とは一致していない。平凸レンズ7の主点は、焦点位置28よりもコンデンサレンズ23側に位置している。第1の状態での瞳投影倍率βp’1は以下の式(C1)で表される。
βp’1=(βp×flen)/(flen+fob-d1) (C1)
図5(b)は第2の状態を示している。第2の状態では、平凸レンズ7の主点と焦点位置28とが一致している。第2の状態での瞳投影倍率βp’2は以下の式(C2)で表される。
βp’2=(βp×flen)/(flen+fob-d2) (C2)
図5(c)は第3の状態を示している。第3の状態では、平凸レンズ7の主点と焦点位置28とは一致していない。平凸レンズ7の主点は、焦点位置28よりも対物レンズ26側に位置している。第3の状態での瞳投影倍率βp’3は、以下の式(C3)で表される。
βp’3=(βp×flen)/(flen+fob-d3) (C3)
ここで、 d1>d2>d3なので、式(C1)〜(C3)の分母の大小関係は、以下のようになる。
(flen+fob-d1)<(flen+fob-d2)<(flen+fob-d3)
その結果、瞳投影倍率βp’の大小関係はβp’1>βp’2>βp’3になる。このように、対物レンズ26の主点位置に対して平凸レンズ7の主点位置が変化すると、瞳投影倍率が変化する。
また、βp’1>βp’2>βp’3なので、第1の状態での像高IH1、第2の状態での像高IH2及び第3の状態での像高IH3の大小関係は、IH1>IH2>IH3になる。ここで、各状態における像高は、コンデンサレンズの瞳の像31の像高である。このように、対物レンズ26の主点位置に対して平凸レンズ7の主点位置が変化すると、コンデンサレンズの瞳の像31の大きさが変化する。
なお、焦点位置28は、対物レンズ26の主点位置を基準にして決まる。よって、平凸レンズ7の主点位置の変化は、焦点位置28を基準にして表すことができる。そうすると、焦点位置28に対して平凸レンズ7の主点位置が変化すると、瞳投影倍率βp’やコンデンサレンズの瞳の像31の大きさが変化することになる。
また、d2=fobなので、(flen+fob-d2)=flenとなる。その結果、βp’2は以下のようになる。
βp’2=(βp×flen)/(flen+fob-d2)=(βp×flen)/flen=βp
以下、平凸レンズの主点を、単に「主点」といい、平凸レンズの主点位置を、単に「主点位置」という。また、主点と焦点位置とが一致している状態を、単に「一致状態」といい、照明光学系と観察光学系との間に何も存在していない状態を、単に「未配置状態」という。未配置状態では、標本は照明光学系と観察光学系との間に配置されていない。また、一致状態と未配置状態のいずれにおいても、照明光の一部の領域は遮光または減光されている。
βp’2=βpは、一致状態と未配置状態とが、実質的に同じ状態であることを示している。よって、コンデンサレンズの瞳の像31の大きさは、一致状態と未配置状態とで同じになる。
図6は、焦点位置に対する主点位置のずれ量と瞳投影倍率との関係を示す図である。図6において、縦軸は瞳投影倍率を示し、縦軸は焦点位置に対する主点位置のずれ量を示している。また、実線は、fc=80mm、fob=18mm、flen=0.2mmで計算した結果を示し、破線は、fc=80mm、fob=18mm、flen=0.5mmで計算した結果を示している。
図6に示すように、焦点位置に対して主点位置が変化すると、瞳投影倍率が変化する。図6は、主点が焦点位置よりもコンデンサレンズ側に位置するほど瞳投影倍率は大きくなり、主点が焦点位置よりも対物レンズ側に位置するほど瞳投影倍率は小さくなることを示している。
また、上述のように、実線ではflen=0.2mm、破線ではflen=0.5mmで計算している。よって、平凸レンズの厚みは、実線における平凸レンズの方が、破線における平凸レンズよりも厚い。図6のグラフは、平凸レンズの厚みが厚いほど、ずれ量に対する瞳投影倍率の変化が大きくなることを示している。また、平凸レンズを位相標本に置き換えると、図6のグラフは、位相標本の厚みが厚いほど、ずれ量に対する瞳投影倍率の変化が大きくなることを示している。
上述のように、焦点位置に対して主点位置が変化すると、瞳投影倍率やコンデンサレンズの瞳の像の大きさが変化する。そこで、瞳位置Pconで照明光の一部の領域を遮光する。この場合、焦点位置に対して主点位置が変化すると、遮光された照明光の一部の領域の像の大きさが変化する。なお、照明光の一部の領域は遮光された領域なので、以下の説明では、照明光の一部の領域を、適宜「遮光領域」という。
図7は、照明光の一部の領域が遮光された状態を説明するための図であって、(a)はアキシコンプリズムの図、(b)はアキシコンプリズムの配置例を示す図、(c)は照明光の集光状態を示す図、(d)は開口部材の配置例を示す図である。
アキシコンプリズム32は、図7(a)に示すように、二つの光学面を有する。一方の光学面は円錐面32aで、他方の光学面は平面32bである。平面32bは、円錐面32aに対向している。また、平面32bは、その光学面が円錐の中心軸に対して垂直になるように設けられている。
図7(b)に示すように、アキシコンプリズム32は、照明光学系20’の光路中に配置されている。具体的には、アキシコンプリズム32は、レンズ24とレンズ25との間に配置されている。光源33から出射した照明光は、レンズ24で平行光に変換され、アキシコンプリズム32に入射する。平面32bに対して垂直に入射した平行光は、円錐面32aで光軸方向に屈折される。
円錐面32aから出射した照明光は、アキシコンプリズム32からある程度離れた位置で光軸と交差する。光軸と交差した後は、照明光は光軸から離れるように進む。その結果、レンズ25には、略円環状又は円環状(以下、単に「円環状」という)の照明光が入射する。円環状の照明光はレンズ25によって、例えば瞳位置Pconに集光される。
図7(b)に示すように、瞳位置Pconでは、円環状の照明光は光軸から離れた位置に集光するが、光軸の近傍には集光しない。この場合、図7(c)に示すように、観察光学系の光軸と直交する面内では、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも内側に、領域34aが形成されている。領域34aでは照明光は集光していない。よって、領域34aは遮光領域になる。このように、アキシコンプリズム32を用いることで、照明光の一部の領域が遮光される。一方、円環状の照明光は、コンデンサレンズの瞳の外縁35の内側と外側に集光する。領域34bは、照明光を透過する領域(以下、単に「透過領域」という)である。
なお、アキシコンプリズム32を用いた場合、光源から出射した光は全て屈折されるので、照明光は物理的に遮光されていない。しかしながら、コンデンサレンズの瞳全体を照明光が透過している状態を基準にすると、図7(c)に示すように、コンデンサレンズの瞳の中心部に照明光が存在しない領域34aが形成される。よって、アキシコンプリズム32を用いた場合においても、照明光の一部の領域が遮光されている、と言うことができる。
また、アキシコンプリズム32を使用せずに、照明光の一部の領域を遮光することができる。例えば、領域34aの位置に、不透明な部材を配置する。図7(c)は照明光の集光状態を示す図であるが、領域34aを不透明な部材と見なすと、図7(c)は不透明な部材を示す図になる。以下、開口部材を用いた例として図7(c)の説明を行う。開口部材は遮光部を有し、この遮光部に不透明な部材が用いられている。
開口部材34は、図7(c)に示すように、遮光部34aと透過部34bとを有する。遮光部34aと透過部34bは透明な部材、例えば、ガラス板や樹脂板で構成されている。遮光部34aは、例えば、遮光塗料をガラス板上に塗布することで形成されている。一方、透過部34bには何も塗布されていない。よって、透過部34bはガラス板そのものである。なお、遮光塗料に代えて、減光膜をガラス板上に形成しても良い。このようにすることで、遮光部34aは減光部に置き換わる。
また、開口部材34では、遮光部34aは透過部34bの内側に設けられている。ここで、透過部34bは、コンデンサレンズの瞳の外縁35を含むように設けられている。よって、遮光部34aは、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも内側に位置する。また、遮光部34aの大きさは、コンデンサレンズ23の瞳の大きさよりも小さい。
図7(d)に示すように、開口部材34は照明光学系20”の光路中、例えば、瞳位置Pconに配置されている。光源22の周辺部から出射した照明光はレンズ24に入射し、レンズ25によって瞳位置Pconに集光される。ここで、集光位置には透過部34bが位置している。よって、照明光は透過部34bを通過して、コンデンサレンズ23に入射する。
一方、光源22の中心から出射した照明光も、レンズ25によって瞳位置Pconに集光される。ただし、集光位置には遮光部34aが位置している。照明光は遮光部34aで遮光されるので、コンデンサレンズ23に入射しない。このように、開口部材34を用いることで、照明光の一部の領域を遮光することができる。
図8は、開口部材を配置した顕微鏡の光学系を示す図であって、(a)は光学系全体の図、(b)は開口部材の像の図である。図4(a)と同じ構成部材については同じ番号を付し、説明は省略する。また、平凸レンズのみを矢印で示している。矢印の位置が平凸レンズの主点位置になる。
顕微鏡の光学系100’では、照明光学系20と観察光学系21との間に、平凸レンズ7が配置されている。また、顕微鏡の光学系100’では、照明光学系20の光路中に開口部材34が配置されている。開口部材34には、図7(c)に示すように、遮光部34aが設けられている。この遮光部34aによって、照明光の一部の領域が遮光されている。
開口部材34は瞳位置Pconに配置されている。開口部材34の像は、コンデンサレンズ23、平凸レンズ7及び対物レンズ26によって、観察光学系21側に投影される。そして、例えば瞳位置Pobに、開口部材の像36が形成される。
図8(b)に示すように、開口部材の像36は、遮光部の像36aと透過部の像36bとに分けられる。透過部の像36bは、対物レンズの瞳の外縁37を含むように形成されている。透過部の像36bは、外側像36b1と内側像36b2とに分けられる。外側像36b1は、対物レンズの瞳の外縁37の外側に位置している。内側像36b2は、対物レンズの瞳の外縁37の内側に位置している。
一方、遮光部の像36aは透過部の像36bの内側に形成されている。よって、遮光部の像36aは、対物レンズの瞳の外縁37よりも内側に位置している。また、遮光部の像36aの大きさは、対物レンズの瞳の大きさよりも小さい。なお、遮光部は遮光領域に相当するので、遮光部の像36aは遮光領域の像を示している。また、透過部は透過領域に相当するので、透過部の像36bは遮光領域の像を示している。
上述のように、焦点位置に対して主点位置が変化すると、瞳投影倍率が変化する。また、瞳投影倍率が変化するため、コンデンサレンズの瞳の像の大きさも変化する。顕微鏡の光学系100’では、瞳位置Pconに開口部材34が配置されている。よって、焦点位置28に対して主点位置が変化すると、開口部材の像36の大きさが変化する。また、開口部材の像36の大きさが変化するので、遮光部の像36aの大きさや内側像36b2の大きさが変化する。
内側像36b2の大きさは、観察光学系21から出射する光の光量を表している。そして、この光量は、像の明るさを表している。よって、焦点位置28に対して主点位置が変化すると、平凸レンズ7の像の明るさが変化することになる。なお、内側像36b2は、対物レンズの瞳から遮光部の像36aを除いた部分なので、遮光部の像36aの大きさも、間接的に観察光学系21から出射する光の光量を表していることになる。
なお、未配置状態では、照明光学系と観察光学系との間には何も存在していない。この場合、像は形成されないので、像の明るさを求めることはできない。しかしながら、未配置状態であっても観察光学系から光が出射するので、この出射した光に基づく明るさを、便宜上、「未配置状態での像の明るさ」とする。また、像の各点での明るさは略同じであるものとする。
上述のように、一致状態は未配置状態と実質的に同じ状態である。そして、一致状態では、平凸レンズ7の主点と共役な像の明るさは、未配置状態での像の各点での明るさと略同じになる。よって、未配置状態での像の明るさに基づいて、一致状態を検出することができる。これは、未配置状態での像の明るさに基づいて、平凸レンズの主点位置を検出できるということである。
以上、平凸レンズを薄肉レンズと見なして説明した。しかしながら、実際の平凸レンズは厚みを持っている。そこで、厚みを持つレンズの主点について説明する。主点は、光学系やレンズにおいて横倍率が1倍になる光軸上の共役点である。主点は二つ存在し、物体空間における主点が物体主点、像空間における主点が像主点である。
図9はレンズの主点の位置を示す図であって、(a)、(b)は平凸レンズにおける主点位置を示す図、(c)、(d)は平凹レンズにおける主点位置を示す図である。図9において、紙面の左方向が物体空間、右方向が像空間である。また、Hは物体主点を示し、H’は像主点を示している。
図9(a)では、レンズは、像空間側に凸面を向けた平凸レンズL1である。平凸レンズL1では、物体主点Hはレンズ内に位置し、像主点H’は凸面の面頂と一致している。図9(b)では、レンズは、物体空間側に凸面を向けた平凸レンズL2である。平凸レンズL2では、物体主点Hは凸面の面頂と一致し、像主点H’はレンズ内に位置している。
図9(c)では、レンズは、物体空間側に凹面を向けた平凹レンズL3である。平凹レンズL3では、物体主点Hは凹面の面頂と一致し、像主点H’はレンズ内に位置している。図9(d)では、レンズは、像空間側に凹面を向けた平凹レンズL4である。平凹レンズL4では、物体主点Hはレンズ内に位置し、像主点H’は凹面の面頂と一致している。
図9(a)〜(d)に示すように、平凸レンズL1、L2や平凹レンズL3、L4では、二つの主点のうちの一つの主点がレンズ面の面頂と一致している。上述のように、未配置状態での像の明るさに基づいて、平凸レンズの主点位置を検出することができる。よって、未配置状態での像の明るさに基づいて、平凸レンズの面頂位置も検出することができる。
上述のように、位相標本はレンズと実質的に同等と見なすことができる。そこで、レンズを位相標本に置き換えて説明する。ここでは、位相標本として、生細胞を例にして説明する。図10は、焦点位置に対する生細胞の面頂位置と開口部材の像の大きさとの関係を示す図であって、(a)は第1の状態を示す図、(b)は第2の状態を示す図、(c)は第3の状態を示す図、(d)は第1の状態での開口部材の像の図、(e)は第2の状態での開口部材の像の図、(f)は第3の状態での開口部材の像の図である。
上述のように、第1の状態〜第3の状態は、平凸レンズの主点と焦点位置との関係を示している。ここで、生細胞と平凸レンズとは実質的に同じなので、平凸レンズ7の主点は生細胞1の面頂に該当する。よって、面頂と焦点位置との関係についても、第1〜第3の状態を使って説明する。
また、上述のように、「一致状態」とは、主点と焦点位置とが一致している状態であるが、面頂と焦点位置とが一致している状態も、「一致状態」に含まれるものとする。
図10(a)は第1の状態を示している。第1の状態では、生細胞1の面頂と焦点位置28とは一致していない。生細胞1の面頂は、焦点位置28よりもコンデンサレンズ側に位置している。図10(b)は第2の状態を示している。第2の状態では、生細胞1の面頂と焦点位置28とは一致している。図10(c)は第3の状態を示している。第3の状態では、生細胞1の面頂と焦点位置28とは一致していない。生細胞1の面頂は、焦点位置28よりも対物レンズ26側に位置している。
第1の状態、第2の状態及び第3の状態のいずれにおいても、瞳位置Pobには、開口部材の像36が形成される。そして、図10(d)、(e)及び(f)に示すように、開口部材の像36は、遮光部の像36aと透過部の像36bとに分けられる。
また、何れの状態においても、透過部の像36bは、対物レンズの瞳の外縁37を含むように形成されている。一方、遮光部の像36aは、透過部の像36bの内側に形成されている。よって、遮光部の像36aは、対物レンズの瞳の外縁37よりも内側に位置している。また、遮光部の像36aの大きさは、対物レンズの瞳の大きさよりも小さい。
上述のように、瞳投影倍率の大小関係はβp’1>βp’2>βp’3になり、像高の大小関係はIH1>IH2>IH3になる。ここで、図10(a)の第1の状態は、図5(a)の第1の状態と等しい。図10(b)の第2の状態は、図5(b)の第2の状態と等しい。図10(c)の第3の状態は、図5(c)の第3の状態と等しい。よって、瞳投影倍率の大小関係や像高の大小関係は、図10においても成立する。
遮光部の像36aの面積については、第1の状態での面積S11、第2の状態での面積S12及び第3の状態S13の大小関係は、S11>S12>S13になる。一方、透過部の像36bは、外側像36b1と内側像36b2とに分かれる。このうち、内側像36b2の面積については、第1の状態での面積S21、は第2の状態での面積S22及び第3の状態での面積S23の大小関係は、S21<S22<S23になる。
内側像36b2の面積S21、S22及びS23は、観察光学系から出射する光の光量を表している。ここで、生細胞1の各点からの光は、いずれも内側像36b2を通過して、観察光学系から出射する。よって、内側像36b2の面積の変化は、生細胞1の像の各点において、明るさが変化することを意味している。また、内側像36b2の面積は遮光部の像36aの面積よって変化している。よって、遮光部の像36aの面積の変化も、生細胞1の像の各点において、明るさが変化することを意味している。
このように、照明光の一部の領域を遮光した状態で、焦点位置28に対して生細胞1の面頂位置がずれると、生細胞1の像の各点において明るさが変化する。特に、一致状態では、生細胞1の面頂と共役な像の明るさは、未配置状態での像の各点での明るさと略同じになる。よって、未配置状態での像の明るさに基づいて、一致状態を検出することができる。これは、未配置状態での像の明るさに基づいて、生細胞1の面頂位置を検出できるということである。
また、一致状態では、生細胞1の面頂と焦点位置28とが一致しているので、生細胞1の面頂に焦点が合っている。よって、未配置状態での像の明るさに基づいて、生細胞1の表面に焦点を合わせることができる。
位相標本の像の明るさが変化する様子について説明する。以下に例示する平凸レンズやビーズを位相標本と見なしている。以下の説明では、位相標本の面頂を、単に「面頂」といい、面頂に対応する部分の像を、単に「面頂像」という。また、位相標本の球心を、単に「球心」といい、球心に対応する部分の像を、単に「球心像」という。
図11は、平凸レンズにおける面頂像の明るさの変化を説明する図であって、(a)は、焦点位置に対する面頂位置のずれ量と面頂像の明るさとの関係を示すグラフ、(b)はグラフ上の位置P1における位置関係を示す図、(c)はグラフ上の位置P2における位置関係を示す図、(d)はグラフ上の位置P3における位置関係を示す図である。
図11(a)において、縦軸は面頂像の明るさを示し、縦軸は焦点位置に対する面頂位置のずれ量を示す。グラフにおける3本の線の各々は、面頂像の明るさの変化を示している。また、図11(b)、(c)、(d)に示すように、焦点位置28に対して、面頂位置P1、P2及びP3は各図で異なる。
また、3本の線は、いずれもfc=80mm、fob=18mm、flen=0.2mmで計算した結果を示している。ここで、実線は遮蔽率が97%の場合を示し、破線は遮蔽率が95%の場合を示し、一点鎖線は遮蔽率が80%の場合を示している。遮蔽率は、図8(b)における遮光部36aと対物レンズの瞳の外縁37を用いて、以下のように表される。
遮蔽率=遮光部36aの面積/対物レンズの瞳の面積
図11(a)のP1における面頂像の明るさは、第1の状態での面頂像の明るさである。第1の状態では、面頂と焦点位置28とは一致していない。面頂は、焦点位置28よりもコンデンサレンズ側に位置している。第1の状態では、面頂位置は、図11(b)におけるP1の位置である。
図11(a)のP2における面頂像の明るさは、第2の状態での面頂像の明るさである。第2の状態では、面頂と焦点位置28とが一致している。第2の状態では、面頂位置は、図11(c)におけるP2の位置である。
図11(a)のP3における面頂像の明るさは、第3の状態での面頂像の明るさである。第3の状態では、面頂と焦点位置28とは一致していない。面頂は、焦点位置28よりも対物レンズ26側に位置している。第3の状態では、面頂位置は、図11(d)におけるP3の位置である。
位相標本38が存在する場合、図11(a)に示すように、焦点位置28に対して面頂位置P1、P2及びP3が変化すると、面頂像の明るさが変化する。また、面頂像の明るさは単調に変化する。
図12は位相標本の電子画像であって、(a)は第1の状態での電子画像、(b)は第2の状態での電子画像、(c)は第3の状態での電子画像である。位相標本はコロニーであって、全体の形状は平凸レンズのようになっている。各電子画像の中央の円形の部分がコロニーで、円の中心がコロニーの面頂である。また、遮蔽率は95%である。
円の中心に着目すると、第1の状態では円の中心は黒色で、第2の状態では円の中心は灰色で、第3の状態では円の中心は白色になっている。ここで、第1の状態、第2の状態及び第3の状態は、各々、図11(a)におけるP1の位置、P2の位置及びP3の位置に対応する。このように、面頂像の明るさの変化は、実際の標本の像を用いた測定結果とシミュレーションとで一致している。
ここで、第2の状態は、面頂と焦点位置とが一致している。よって、図12(c)に示す電子画像は、位相標本の表面に焦点が合ったときの画像になる。図12(c)に示す電子画像の明るさ(円の中心の明るさ)は、未配置状態で予め求めておくことができる。よって、未配置状態での像の明るさに基づいて、位相標本の表面に焦点を合わせることができる。
このように、焦点位置に対して面頂位置が変化すると、面頂像の明るさが変化する。よって、未配置状態での像の明るさに基づいて、位相標本の表面に焦点を合わせることができる。
なお、図11(a)のグラフにおける3本の線は、いずれも面頂像の明るさの変化を示している。面頂は、位相標本全体のうちの一部の領域である。よって、位相標本に対して合焦を行う場合は、位相標本の一部の領域からの光に基づく光量を用いることになる。
図13は、球レンズにおける球心像の明るさの変化を説明する図であって、(a)は焦点位置に対する球心位置のずれ量と球心像の明るさとの関係を示すグラフ、(b)はグラフ上の位置P1’における位置関係を示す図、(c)はグラフ上の位置P2’における位置関係を示す図、(d)はグラフ上の位置P3’における位置関係を示す図である。
図13(a)において、縦軸は球心像の明るさを示し、縦軸は焦点位置に対する球心位置のずれ量を示す。グラフにおける3本の線の各々は、球心像の明るさの変化を示している。また、図13(b)、(c)、(d)に示すように、焦点位置28に対して、球心位置P1’、P2’及びP3’は各図で異なる。
また、3本の線は、いずれもfc=80mm、fob=18mm、flen=0.1mmで計算した結果を示している。ここで、実線は遮蔽率が97%の場合を示し、破線は遮蔽率が95%の場合を示し、一点鎖線は遮蔽率が80%の場合を示している。遮蔽率は、既に説明したとおりである。
図13(a)のP1’における球心像の明るさは、第1の状態での球心像の明るさである。第1の状態では、球心と焦点位置28とは一致していない。球心は、焦点位置28よりもコンデンサレンズ側に位置している。第1の状態では、球心位置は、図13(b)におけるP1’の位置である。
図13(a)のP2’における球心像の明るさは、第2の状態での球心像の明るさである。第2の状態では、球心と焦点位置28とが一致している。第2の状態では、球心位置は、図13(c)におけるP2’の位置である。
図13(a)のP3’における球心像の明るさは、第3の状態での球心像の明るさである。第3の状態では、球心と焦点位置28とは一致していない。球心は、焦点位置28よりも対物レンズ26側に位置している。第3の状態では、球心位置は、図13(d)におけるP3’の位置である。
位相標本39が存在する場合、図13(a)に示すように、焦点位置28に対して球心位置P1’、P2’及びP3’が変化すると、球心像の明るさが変化する。また、球心像明るさは単調に変化する。
図14は位相標本の電子画像であって、(a)は第1の状態での電子画像、(b)は第2の状態での電子画像、(c)は第3の状態での電子画像である。位相標本はビーズであって、全体の形状は球レンズのようになっている。各電子画像の中央の円形の部分がビーズで、円の中心がビーズの球心である。また、遮蔽率は95%である。
円の中心に着目すると、第1の状態では円の中心は黒色で、第2の状態では円の中心は灰色で、第3の状態では円の中心は白色になっている。ここで、第1の状態、第2の状態及び第3の状態は、各々、図13(a)におけるP1’の位置、P2’の位置及びP3’の位置に対応する。このように、球心像の明るさの変化は、実際の標本の像を用いた測定結果とシミュレーションとで一致している。
このように、焦点位置に対して球心位置が変化すると、球心像の明るさが変化する。よって、未配置状態での像の明るさに基づいて、位相標本の球心に焦点を合わせることができる。
以上説明したように、照明光の一部の領域を遮光した状態で、主点位置や、球心位置や面頂位置が焦点位置に対して変化すると、位相標本の像の明るさが変化する。そして、面頂位置と焦点位置とが一致した状態では、位相標本の面頂像の明るさは、照明光学系と観察光学系との間に何も存在していない状態での像の各点での明るさと略同じになる。そこで、照明光学系と観察光学系との間に何も存在していない状態での像の明るさに基づいて、主点位置や、球心位置や面頂位置を検出することができる。また、検出主点位置や、球心位置や面頂位置に基づいて、位相標本に焦点を合わせることができる。
本実施形態の合焦方法、計測方法、主点検出方法、合焦装置、計測装置及び主点検出装置について説明する。これらの方法や装置では、遮光された領域の像の大きさが、焦点位置に対する主点位置等のずれ量に応じて変化することを利用している。まず、本実施形態の合焦方法について説明する。
本実施形態の合焦方法は、照明光学系と観察光学系を有する顕微鏡を準備するステップと、表面形状が曲面である標本を顕微鏡に装着するステップと、所定の処理ステップと、を有し、所定の処理ステップは、観察光学系から出射した光を受光するステップと、受光した光のうち、所定の領域からの光に基づく光量を求めるステップと、所定の領域における光量と基準の光量との差又は比を算出するステップと、算出結果と閾値とを比較するステップと、標本と観察光学系との間隔を変化させるステップと、を有し、準備するステップでは、照明光の一部の領域が遮光又は減光されており、装着するステップでは、標本の表面形状が変形しない状態で、標本と観察光学系とが対向しており、所定の領域は、標本の一部の領域であり、算出結果が閾値以下となったときに、所定の処理ステップを終了することを特徴とする。
上述のように、「面頂」とは位相標本の面頂であるが、以下の説明では、標本の面頂も「面頂」に含まれるものとする。また、標本像の明るさを、単に「像の明るさ」という。
本実施形態の合焦方法を、図15を用いて説明する。図15は第1実施形態の合焦方法のフローチャートを示す図である。本実施形態の合焦方法は、ステップS10と、ステップS20と、ステップ30と、を有する。
最初に、ステップS10が実行される。ステップS10は、顕微鏡を準備するステップである。ステップS10では、顕微鏡を使用可能な状態にする作業が行われる。顕微鏡は、照明光学系と観察光学系を有する。ステップS10では、照明光学系の準備や観察光学系の準備が行われる。
照明光学系の準備では、照明光の波長の選択や、照明光の光量の調節や、コンデンサレンズの倍率の選択が行われる。また、照明光学系の準備では、照明光の一部の領域の遮光又は減光が行われる。遮光を行うには、図7(a)示すアキシコンプリズム32や図7(c)に示す開口部材34を、照明光学系の光路中に配置すれば良い。また、減光を行うには、遮光部を減光部に置き換えた開口部材を用いれば良い。この開口部材を照明光学系の光路中に配置することで、照明光の一部の領域を減光できる。
観察光学系の準備では、対物レンズの倍率の選択や、観察方法の選択が行われる。なお、本実施形態の合焦方法では、明視野観察用の対物レンズを用いることが好ましい。
ステップS10では、標本は保持部材、例えばステージ上に載置されていない。よって、ステップS10が終了した時点では、照明光学系と観察光学系と間に標本は存在していない。
ステップS10が終了すると、ステップS20が実行される。ステップS20は、標本を顕微鏡に装着するステップである。ステップ20では、標本の観察が可能な状態にする作業が行われる。この状態にするために、標本のステージへの載置が行われる。なお、上述のように、標本は、無色透明で、表面の形状が滑らかになっている標本、特に、レンズのように中央部が周辺部に対して盛り上がっている標本である。よって、標本の表面の形状は曲面になっている。
また、標本の観察は液体を介して行われる。この場合、標本と対物レンズとの間には液体しか存在しない。よって、標本と観察光学系は、標本の表面形状が変形しない状態で対向している。
標本は位相標本であって、例えば生細胞である。生細胞は、培養液で満たされたシャーレに保持されている。このシャーレをステージ上に載置する。そして、対物レンズを培養液に浸す。このように、ステップS20が終了すると、照明光学系と観察光学系と間に標本が存在することになる。このとき、図3(a)に示すように、生細胞1と対物レンズ6は、生細胞1の表面形状が変形しない状態で対向している。
ステップS10が終了すると、ステップS30が実行される。ステップS30は所定の処理を行うステップである。ステップS30は、ステップS31と、ステップS32と、ステップS33と、ステップS34と、ステップS35と、を有する。
ステップS30では、最初に、ステップS31が実行される。ステップS31は、観察光学系から出射した光を受光するステップである。ステップS31では、受光素子を用いて、観察光学系から出射した光の受光が行われる。受光素子は、観察光学系の像位置に配置されている。
なお、観察光学系の光路中には、図8(b)に示すように、遮光部の像36aと透過部の像36bが形成されている。透過部の像36bは、外側像36b1と内側像36b2とに分かれている。このうち、内側像36b2の領域を通過した光だけが、受光されることになる。遮光部の像36aは遮光領域の像である。
ステップS31が終了すると、ステップS32が実行される。ステップS32は、所定の領域における光量QAを求めるステップである。所定の領域における光量QAは、ステップS31で受光した光のうち、所定の領域からの光に基づく光量である。
観察光学系の像位置には、実視野の像が形成される。ステップS31では実視野内の全ての領域からの光を受光するが、受光した光全てを焦点合わせために用いるわけではない。実視野内の標本に対して焦点合わせを行うために、標本の一部の領域からの光を少なくとも用いる。
上述のように、照明光の一部の領域を遮光した状態で、焦点位置に対して標本位置を変化させると、像の明るさが変化する。ここで、像の明るさは、受光素子で受光した光の光量と等価である。そこで、ステップS32を実行することで、所定の領域における光量QA、すなわち、受光した光のうち、所定の領域からの光に基づく光量が求まる。
ステップS32が終了すると、ステップS33が実行される。ステップS33は、光量QAと基準の光量との差を算出するステップである。光量QAは、所定の領域における光量である。
上述のように、未配置状態での像の明るさに基づいて、一致状態を検出することができる。特に、一致状態では、面頂像の明るさは、未配置状態での像の各点での明るさと略同じになる。そこで、未配置状態のときの光量を、基準の光量にしておく。光量QAは焦点位置に対する面頂位置のずれ量に応じて変化する。よって、光量QAと基準の光量との差は、焦点位置に対する面頂位置のずれ量を示していることになる。
なお、焦点位置に対する面頂位置のずれ量は、光量QAと基準の光量との比からも求めることができる。よって、ステップS33では、光量QAと基準の光量との比を算出しても良い。
ステップS33が終了すると、ステップS34が実行される。ステップS34は、算出結果と閾値とを比較するステップである。一致状態でない場合は、所定の領域における光量QAと基準の光量とは一致しない。この場合、ステップS33で算出した結果は0にならない。逆に、算出結果が0になれば、面頂と焦点位置とが一致したと判断できる。すなわち、標本の表面に焦点が合ったことになる。
また、ステップS33で比を算出した場合、一致状態でない場合は、算出結果は1にならない。逆に、算出結果が1になれば、面頂と焦点位置とが一致したと判断できる。すなわち、標本の表面に焦点が合ったことになる。
ただし、電気的なノイズや光学的なノイズの影響のため、一致状態であっても、差の算出結果は0と一致しないことがある。そこで、一致状態と見なせる範囲、すなわち閾値を設定し、算出結果と閾値とを比較する。なお、比を用いる場合も、閾値を設定すればよい。
算出結果が閾値より大きい場合、一致状態ではないので、ステップS35が実行される。
ステップS35は、間隔dを変化させるステップである。間隔dは、標本と観察光学系との間隔である。例えば、図11(a)や(c)に示すように、生細胞1の面頂は焦点位置28と一致していない。そこで、図11(a)の場合であれば、生細胞1と対物レンズ26との間隔を狭くする。一方、図11(c)の場合であれば、生細胞1と対物レンズ26との間隔を広くする。ステップS35が終わるとステップS31に戻る。
一方、算出結果が閾値以下の場合、一致状態になっているので処理を終了する。この場合、面頂と焦点位置とが一致しているので、標本の表面に焦点が合っている。
本実施形態の合焦方法では、照明光の一部の領域が遮光されている。よって、焦点位置に対して面頂位置が変化すると、像の明るさが変化する。そして、面頂位置と焦点位置とが一致した状態では、面頂像の明るさは、照明光学系と観察光学系との間に何も存在していない状態での像の各点での明るさと略同じになる。そこで、照明光学系と観察光学系との間に何も存在していない状態での像の明るさに基づいて、面頂と焦点位置とが一致した状態を検出することができる。このように、本実施形態の合焦方法によれば、無色透明で、位相が滑らかに変化している標本であっても、標本に焦点を合わせることができる。
また、本実施形態の合焦方法は、装着するステップよりも前に、基準の光量を設定するステップを有することが好ましい。
本実施形態の合焦方法によれば、標本を顕微鏡に装着しなくても基準の光量を設定できるので、基準の光量の設定が簡単に行える。
また、本実施形態の合焦方法では、設定するステップは、照明光学系から出射した光を観察光学系に入射させて光量を測定するステップを有し、測定した光量に基づいて基準の光量を設定することが好ましい。
本実施形態の合焦方法を、図16を用いて説明する。図16は第2実施形態の合焦方法のフローチャートを示す図である。第1実施形態と同じステップについては同じ番号を付し、説明は省略する。本実施形態の合焦方法はステップS40を有する。ステップS40は、ステップS41を有し、ステップS41で測定した光量に基づいて基準の光量を設定する。
ステップS41は、光量QBを測定するステップである。ステップS41では、受光素子を用いて光量QBの測定が行われる。光量QBの測定は、照明光学系から出射した光を観察光学系に入射させて行う。ここで、ステップS20では標本を顕微鏡に装着するが、ステップS41はステップS20よりも前に実行される。よって、光量QBの測定は、照明光学系と観察光学系との間に何も存在していない状態、すなわち未配置状態で行われる。
上述のように、一致状態と未配置状態とは、実質的に同じ状態である。よって、一致状態での光量を基準の光量にすると、未配置状態で測定した光量QBに基づいて基準の光量を設定することができる。ここで、未配置状態での光量の測定では、標本が顕微鏡に装着されていない。この場合、光量QBの測定は、実視野内のどの領域で行っても良い。よって、光量QBの測定が容易に行える。
なお、光量QBを測定する場合、測定する領域の数は、一つでも良く、複数でも良い。複数の領域で光量を測定した場合は、平均の光量を光量QBに設定すれば良い。また、複数の領域で光量を測定する場合、各領域の面積は同じであっても、異なっていても良い。なお、実視野の中心と周辺で光量に差が生じる場合は、実視野の中心に測定領域を設定することが好ましい。
また、光量QBを測定する場合、測定する領域の面積は、所定の領域の面積と同じであっても、異なっていても良い。光量QBを測定する領域の面積と所定の領域の面積とが同じ場合は、光量QBを基準の光量にすれば良い。一方、光量QBを測定する領域の面積と所定の領域の面積とが異なる場合、両者の面積比と光量QBとから基準の光量を求めれば良い。
また、設定した基準の光量を記憶しておいても良い。
本実施形態の合焦方法によれば、標本を顕微鏡に装着しなくても基準の光量を設定できるので、基準の光量の設定が簡単に行える。
また、本実施形態の合焦方法は、装着するステップよりも後に、基準の光量を設定するステップを有することが好ましい。
本実施形態の合焦方法によれば、標本の観察と同じ条件で基準の光量の設定ができるので、基準の光量の精度を高めることができる。
また、本実施形態の合焦方法では、設定するステップは、照明光学系から出射した光を観察光学系に入射させ、実視野内の標本が存在しない領域における光量を測定するステップを有し、測定した光量に基づいて基準の光量を設定することが好ましい。
本実施形態の合焦方法を、図17を用いて説明する。図17は第3実施形態の合焦方法のフローチャートを示す図である。第1実施形態と同じステップについては同じ番号を付し、説明は省略する。本実施形態の合焦方法はステップS50を有する。ステップS50は、ステップS51を有し、ステップS51で測定した光量に基づいて基準の光量を設定する。
ステップS51は、光量QCを測定するステップである。ステップS51では、受光素子を用いて光量QCの測定が行われる。光量QCの測定は、照明光学系から出射した光を観察光学系に入射させて行う。ここで、ステップS51はステップS20の後に実行される。ステップS20では標本を顕微鏡に装着するので、光量QCの測定は、照明光学系と観察光学系との間に標本が存在する状態で行われる。また、ステップS51では、実視野内の標本が存在しない領域における光量を測定する。
例えば図3(a)に示すように、生細胞1の周囲には培養液5のみが存在している。この場合、実視野内には、生細胞1が存在する領域と、生細胞1が存在しない領域とが存在する。生細胞1が存在しない領域は、培養液5のみが存在する領域である。以下、培養液のみが存在する領域を、単に「液体領域」という。
液体領域では、照明光学系と観察光学系との間に培養液5のみが存在している。ここで、培養液5と空気は屈折率が異なるだけなので、照明光学系と観察光学系との間に培養液5のみが存在している状態は、実質的に、照明光学系と観察光学系との間に何も存在していない状態、すなわち未配置状態と同じである。
そのため、液体領域における光量QCは、未配置状態で測定した光量QBと実質的に同じになる。よって、液体領域における光量QCに基づいて基準の光量を設定することができる。なお、光量QCを測定する領域は、液体領域に限られない。標本が存在せず、未配置状態と実質的に同じ状態の領域であれば、この領域で光量QCを測定することができる。
なお、光量QCを測定する場合、測定する領域の数や面積は、光量QBの測定と同じようすることができる。
本実施形態の合焦方法によれば、標本の観察と同じ条件で基準の光量の設定ができるので、基準の光量の精度を高めることができる。
また、本実施形態の合焦方法は、処理ステップよりも前に、所定の領域を指定するステップを有することが好ましい。
本実施形態の合焦方法を、図18を用いて説明する。図18は第4実施形態の合焦方法のフローチャートである。第1実施形態と同じステップについては同じ番号を付し、説明は省略する。本実施形態の合焦方法は、ステップS30よりも前に、ステップS60を有する。ステップS60は、所定の領域を指定するステップである。
本実施形態の合焦方法によれば、例えば、容易に、面頂を所定の領域に指定することができる。
また、本実施形態の合焦方法は、指定するステップでは、所定の領域を使用者が指定することが好ましい。
本実施形態の合焦方法によれば、所定の領域の設定を自由にすることができる。
また、本実施形態の合焦方法では、指定するステップは、検知するステップを有し、検知するステップは、標本と観察光学系との間隔を変化させながら、実視野内の複数の領域からの光を受光し、間隔と該間隔における光量とを、複数の領域の各々について記録し、光量が単調に変化する範囲を、複数の領域の各々について求め、複数の領域のうち、範囲が最も長い領域を検知することが好ましい。
本実施形態の合焦方法を、図19を用いて説明する。図19は第4実施形態におけるステップS60のフローチャートを示す図である。ステップS60はステップS64を有する。なお、ステップS64の前には、ステップS61、ステップS62及びステップS63がある。
ステップS64の実行に先立って、ステップS61が実行される。ステップS61は、複数の領域を設定するステップである。ステップS61では、実視野内において複数の領域が設定されるが、実際には電子画像に対して領域の設定が行われる。
実視野の像は、観察光学系の像位置に形成される。この観察光学系の像位置には、受光素子が配置されている。よって、実視野の像は、受光素子によって電子画像に変換される。ここで、実視野の像の各点と電子画像の各画素とは、一対一で対応する。また、実視野の像は、実視野と共役である。よって、実視野の像の各点と実視野の各点も、一対一で対応する。その結果、電子画像の各画素と実視野の各点とが、一対一で対応する。
このように、電子画像の各画素と実視野の各点とが一対一で対応するので、電子画像に対して領域を設定することで、実視野において領域を設定することができる。
図20は、電子画像に対して複数の領域を設定した様子を示す図である。図20では、標本の電子画像に対して5つの領域、すなわち、領域X1、X2、X3、X4及びX5が設定されている。
ステップS61は、ステップS20の終了後に実行される。ここで、ステップS20が終了した時点では、標本位置は焦点位置から大きくずれている。この場合、標本の像にはコントラストがほとんど生じていないので、電子画像のコントラストもほとんど無い。図20では、領域と標本との位置関係を把握し易くするために、標本の様子がある程度把握できるような電子画像を用いている。
ステップS61が終了すると、ステップS62が実行される。ステップS62は、記録回数nを設定するステップである。
記録回数nは、後述のステップS66を実行する回数である。標本と対物レンズとの間隔、対物レンズの作動距離、測定時間等を考慮して設定すれば良い。
ステップS62が終了すると、ステップS63が実行される。ステップS63は、現在の記録回数Nを初期化するステップである。ステップS63では、初期値として1が設定される。
ステップS63が終了すると、ステップS64が実行される。ステップS64は、ステップS65と、ステップS66と、ステップS67と、ステップS68と、ステップS69と、ステップS70と、ステップS71と、を有する。
ステップS64では、最初にステップS65が実施される。ステップS65は、複数の領域からの光を受光するステップである。ステップS31で説明したように、複数の領域は、実視野内における複数の領域である。また、受光は、受光素子を用いて行われる。
受光素子としては、例えば、CCDやCMOSがある。CCDやCMOSの受光面では、微小な受光部が2次元に配列されている。ここで、電子画像は、受光素子によって取得されたものである。よって、電子画像における各画素と受光面における各受光部とは、一対一で対応する。
そのため、例えば、電子画像に対して領域XEIを設定すると、領域XEIに対応する受光領域XPDが一義的に決まる。また、電子画像に対して領域XEIを設定すると、実視野における領域XFVが一義的に決まる。よって、受光領域XPDは、実視野における領域XFVからの光を受光することになる。
実視野において領域が複数設定されると、各々の領域に対して受光領域が一義的に決まる。よって、実視野内の複数の領域からの光を、個別に受光することができる。
ステップS65が終了すると、ステップS66が実行される。ステップS66は、間隔dと光量QDとを記録するステップである。間隔dは、標本と観察光学系との間隔である。光量QDは、間隔dにおける光量である。また、記録は、複数の領域の各々について行われる。
ステップS65では、複数の領域からの光を、各領域に対応した受光領域で受光している。よって、ステップS66で記録する光量QDの数は、設定された領域の数と同じになる。図20では、5つの領域が設定されている。この場合、ステップS66では、5つの光量が個別に記録される。すなわち、領域X1からの光に基づく光量QDX1、領域X2からの光に基づく光量QDX2、領域X3からの光に基づく光量QDX3、領域X4からの光に基づく光量QDX4及び領域X5からの光に基づく光量QDX5が、個別に記録される。
ステップS66が終了すると、ステップS67が実行される。ステップS67は、ステップS66の実施回数が予め設定した回数になったかを判断するステップである。この判断は、現在の記録回数Nが記録回数nと一致しているか否かで行う。
現在の記録回数Nと記録回数nとが一致しない場合、ステップS68が実行される。ステップS68は、間隔dを変化させるステップである。間隔dは、標本と観察光学系との間隔である。間隔dを変化させるために、あらかじめ設定された移動量で、標本と観察光学系とを相対的に移動させる。
ステップS68が終了すると、ステップS69が実行される。ステップS69は、現在の記録回数を更新するステップである。
このように、ステップS65〜S69を実行することで、標本と観察光学系との間隔を変化させながら、実視野内の複数の領域からの光を受光し、間隔と該間隔における光量とを、複数の領域の各々について記録することができる。
現在の記録回数Nと記録回数nとが一致する場合、ステップS70が実行される。ステップS70は、光量QDが単調に変化する範囲RMを求めるステップである。範囲RMは、複数の領域の各々について求める。
図21は、標本上の異なる2点での像の明るさの変化の違いを説明するための図であって、(a)は、焦点位置に対する標本位置のずれ量と像の明るさとの関係を示すグラフ、(b)は異なる2点を示す図である。
図21(a)において、実線は、図20(b)に示す位置X1での像の明るさの変化を示している。位置X1は、標本の面頂である。一方、破線は、図20(b)に示す位置X3での像の明るさの変化を示している。位置X3は、標本の面頂以外の部分である。
2本の線を比較すると、像の明るさが単調に変化する範囲は、実線の方が破線よりも長い。このように、面頂と面頂以外の部分とでは、像の明るさが単調に変化する範囲に違いが生じる。そこで、複数の測定領域の各々について、像の明るさが単調に変化する範囲を求める。
なお、標本に焦点を合わせるためには、所定の領域が標本の面頂を含んでいることが好ましい。しかしながら、ステップS20が終了した時点では、標本位置は焦点位置からずれていることが多い。そのため、ステップS20が終了した時点で、標本の面頂を所定の領域に設定することは難しい。
ただし、実視野内に標本は存在しているので、標本の面頂に対応する部分の光量を得ることはできる。上述のように、受光領域XPDは、実視野における領域XFVからの光を受光している。ここで、受光素子としてCCDやCMOSを用いた場合、受光領域XPDの最小は一つの受光部になる。そうすると、実視野内に標本が存在していれば、1つの受光部は標本の面頂からの光を受光することになる。
そこで、全ての受光部について、間隔dと光量QDとを記録し、各受光部について、明るさが単調に変化する範囲を求めれば良い。
ステップS70が終了すると、ステップS71が実行される。ステップS71は、範囲RMが最も長い領域XLを検知するステップである。領域XLは、複数の領域の中から検知される。
ステップS70では、光量QDが単調に変化する範囲RMが、複数の領域の各々について求まる。そこで、各領域における範囲RMを比較し、範囲RMが最も長い領域を領域XLにすれば良い。
なお、図20では、領域の数は5であるがこれに限られない。また、領域の面積は各領域で同じでなくても良い。
また、標本の種類が予め分かっている場合、標本の大きさや観察光学系の結像倍率から、標本の像の大きさを大雑把に把握することができる。そうすると、ステップS31における所定の領域の面積や、ステップS61における複数の領域の面積を適切に設定することができる。
ここで、これらの領域の面積は、標本の面積の30%以下であることが好ましい。また、これらの領域の面積は、標本の面積の20%以下、更には、10%以下であることが好ましい。
また、以上の説明では、受光領域XPDを一つの受光部にしたが、これに限られない。受光領域XPDを複数の受光部で構成すると、測定対象となる領域の数を減らすことができるので、処理時間の短縮ができる。また、測定対象となる領域における光量を増やすことができるのでS/Nが向上する。
本実施形態の合焦方法によれば、複数の領域のうち、範囲が最も長い領域を、容易に検知することができる。
また、本実施形態の合焦方法では、光量の変化が最も単調な領域を所定の領域に指定することが好ましい。
ステップS71が終了すると領域XLが検知される。ここで、領域XLは光量の変化が最も単調な領域である。そこで、領域XLを所定の領域に指定すれば良い。
所定の領域が指定されるとステップS60が終了し、ステップS30が実行される。ステップS60では、領域XLが所定の領域に指定されている。ここで、領域XLは、光量の変化が最も単調な領域である。そのため、領域XL、すなわち所定の領域は、実視野内における標本の面頂の位置を示していることになる。
そこで、ステップS60で指定した所定の領域に基づいて、ステップS30が実行されることで、面頂と焦点位置とを一致させることができる。その結果、標本の表面に焦点を合わせることができる。
なお、ステップS30では、ステップS35で間隔dを変化させながら、ステップS32で所定の領域における光量QAを求めている。一方、ステップS64でも、ステップS68で間隔dを変化させながら、ステップS66で複数の領域について光量QDを記録している。
上述のように、複数の領域のうちの一つの領域が、所定の領域に指定される。よって、所定の領域に指定された領域XLの光量QDは、光量QAと見なすこともできる。ここで、領域XLの光量データは、間隔dを変化させながら記録した光量である。よって、この光量データには、基準の光量と一致する値、或いは基準の光量に近い値(以下、単に「基準値」という)が含まれている。そこで、光量データから基準値を抽出し、この基準値に対応する間隔dを求める。そして、その間隔dとなるように、標本と観察光学系との間隔を調整すれば良い。このようにすることで、標本の表面に焦点を合わせることができる。この場合、ステップS30の実行を省略することができる。
本実施形態の合焦方法によれば、所定の領域を容易に、効率良く、指定することができる。また、所定の領域は、標本の面頂を含んでいるので、より確実に、標本の表面に焦点を合わせることができる。
また、本実施形態の合焦方法では、照明光の一部の領域は、観察光学系の瞳位置に投影されていることが好ましい。
図8(a)に示すように、瞳位置Pconの位置で照明光の一部の領域が遮光される。瞳位置Pconと瞳位置Pobは共役なので、遮光領域は瞳位置Pobに投影され、瞳位置Pobに遮光領域の像が形成される。瞳位置Pobでは、軸上光束と軸外光束とがほぼ重なっている。よって、全ての光束に対して、遮光率を略同じにすることができる。その結果、実視野の像の明るさを、中心と周辺で略同じにすることができる。
また、面頂位置が実視野の中心から外れていても、面頂像の明るさの変化は、面頂が実視野の中心に位置しているときと略同じになる。よって、面頂が実視野内のどこに位置していても、標本の表面に焦点を合わせることができる。
また、本実施形態の合焦方法では、投影像は、観察光学系の瞳位置における照明光の一部の領域の像であって、投影像の大きさは、観察光学系の瞳の大きさよりも小さいことが好ましい。
上述のように、遮光領域の像は、遮光領域が投影されたときの像である。この投影像の大きさは、遮光領域の大きさと瞳投影倍率とで決まる。そこで、遮光領域の大きさや瞳投影倍率を適切に選択することで、投影像の大きさを、観察光学系の瞳の大きさよりも小さくする。
このようにすると、投影像の大きさが変化しても、投影像が観察光学系の瞳の外縁を越えてしまわないようにすることができる。よって、焦点位置に対する標本位置の変化に応じて、像の明るさが変化する。
また、本実施形態の合焦方法では、投影像は、観察光学系の瞳位置における照明光の一部の領域の像であって、投影像の面積は、観察光学系の瞳の面積の50%以上であることことが好ましい。
上述のように、焦点位置に対して標本位置が変化すると、像の明るさが変化する。投影像の面積が観察光学系の瞳の面積の50%以上だと、像の明るさの変化を大きくすることができる。特に、面頂像の明るさの変化を大きくすることができる。
投影像の面積が観察光学系の瞳の面積の50%未満だと、投影像が小さくなりすぎる。そのため、焦点位置に対して標本位置を変化させても、像の明るさの変化が小さくなる。また、像の明るさの変化が小さくなるので、一致状態の検出精度が悪くなってしまう。その結果、標本の表面に高い精度で焦点を合わせることが困難になる。
なお、投影像は遮光領域の像なので、投影像が小さいと、透過領域が大きくなりすぎる。この場合も、焦点位置に対して標本位置を変化させても、像の明るさの変化が小さくなる。
なお、投影像の面積は、観察光学系の瞳の面積の70%以上であることが好ましい。あるいは、投影像の面積は、観察光学系の瞳の面積の85%以上であることが好ましい。
また、本実施形態の合焦方法では、照明光の一部の領域は、照明光学系の光軸を含むように形成されていることが好ましい。
図22は、照明光の様子を示す図であって、(a)は第1の実施例を示す図、(b)は第2の実施例を示す図、(c)は第3の実施例を示す図、(d)は第4の実施例を示す図、(e)は第5の実施例を示す図、(f)は第6の実施例を示す図である。なお、以下では、遮光について説明するが、減光については「遮光領域」を「減光領域」と読み替えれば良い。
第1の実施例では、図22(a)に示すように、照明光40は、遮光領域40aと透過領域40bとに分けられる。遮光領域40aの形状は円である。遮光領域40aの中心40cは、照明光学系の光軸と一致している。また、第2の実施例では、図22(b)に示すように、照明光41は、遮光領域41aと透過領域41bとに分けられる。遮光領域41aの形状は円である。遮光領域41aの中心41cは、照明光学系の光軸と一致していない。
第3の実施例では、図22(c)に示すように、照明光42は、遮光領域42aと透過領域42bとに分けられる。遮光領域42aの形状は楕円である。遮光領域42aの中心42cは、照明光学系の光軸と一致している。また、第4の実施例では、図22(d)に示すように、照明光43は、遮光領域43aと透過領域43bとに分けられる。遮光領域43aの形状は楕円である。遮光領域43aの中心43cは、照明光学系の光軸と一致していない。
各実施例では、遮光領域が照明光学系の光軸を含むように形成されている。このようにすると、遮光領域は照明光束の中心部に位置する。観察光学系の瞳面では、投影像が観察光学系の瞳の中心部に位置する。この場合、投影像の大きさは、観察光学系の光軸を中心にして変化する。よって、変化量はどの方向にも略均等になる。
そうすると、投影像の一部が観察光学系の瞳の外縁を越えることを少なくすることができる。よって、焦点位置に対して標本位置が変化したときに、明確に像の明るさが変化する。また、全ての光束に対して、遮光率の変化の割合を略同じにすることができる。その結果、実視野の像の明るさを、中心と周辺とで略同じにすることができる。
なお、遮光領域の中心は、照明光学系の光軸と一致していることが好ましい。このようにすると、像の明るさの変化がより明確になると共に、実視野の像の明るさを中心と周辺とで更に同じにすることができる。
なお、本実施形態の合焦方法では、照明光の一部の領域は、照明光学系の光軸を含まないように形成されていても良い。
第5の実施例では、図22(e)に示すように、照明光44は、遮光領域44aと透過領域44bとに分けられる。遮光領域44aの形状は円である。遮光領域44aは、照明光学系の光軸を含んでいない。照明光学系の光軸は、遮光領域44aの外側に位置している。
また、第6の実施例では、図22(f)に示すように、照明光45は、遮光領域45aと透過領域45bとに分けられる。遮光領域45aの形状は半円である。遮光領域45aは、照明光学系の光軸を含んでいない。
また、本実施形態の合焦方法では、照明光の一部の領域の形状は、点対称な形状であることが好ましい。
図22(a)、(b)及び(e)に示すように、遮光領域40a、遮光領域41a及び遮光領域44aの形状は、何れも円であるので、点対称な形状になっている。
このようにすることで、遮光領域を容易に形成できる。また、遮光領域が照明光学系の光軸を含むように形成されている場合、遮光領域の像は観察光学系の瞳を中心にして変化するので、変化量はどの方向にも略均等になる。よって、全ての光束に対して、遮光率の変化の割合を略同じにすることができる。その結果、実視野の像の明るさを、中心と周辺で略同じにすることができる。
また、本実施形態の合焦方法では、照明光学系はコンデンサレンズを有し、観察光学系は対物レンズを有し、以下の条件式(1A)を満足することが好ましい。
0.6≦(R0×β)/Rob<0.995 (1A)
ここで、
R0は、照明光学系の光軸から照明光の一部の領域の外縁までの長さ、
Robは、対物レンズの瞳の半径、
βは、対物レンズの焦点距離をコンデンサレンズの焦点距離で割った値、
である。
図23は、照明光の像と対物レンズの瞳との関係を示す図である。照明光は、コンデンサレンズと対物レンズとによって、観察光学系側に投影される。そして、例えば瞳位置Pobに、照明光の像36が形成される。照明光の像36は、遮光領域の像36aと透過領域の像36bとに分けられる。図23に示すように、対物レンズの瞳の外縁37の内側に、遮光領域の像36aは形成されている。よって、R0×β<Robになる。
条件式(1A)を満足することで、焦点位置に対する標本位置の変化を、面頂像の明るさの変化として検出できる。その結果、無色透明で、位相が滑らかに変化している標本であっても、標本に焦点を合わせることができる。
条件式(1A)の下限値を下回ると、遮光領域の像36aの面積が小さくなりすぎる。そのため、焦点位置に対して標本位置を変化させても、像の明るさの変化が小さくなる。また、像の明るさの変化が小さくなるので、一致状態の検出精度が悪くなってしまう。その結果、標本の表面に高い精度で焦点を合わせることが困難になる。
条件式(1A)の上限値を上回ると、遮光領域の像36aの面積が大きくなりすぎる。そのため、遮光領域の像36aの大きさが変化したときに、遮光領域の像36aが観察光学系の瞳の外縁を越えやすくなる。
なお、条件式(1A)に代えて、以下の条件式(1A’)を満足すると良い。
0.75≦(R0×β)/Rob<0.99 (1A’)
さらに、条件式(1A)に代えて、以下の条件式(1A”)を満足するとなお良い。
0.8≦(R0×β)/Rob<0.98 (1A”)
また、本実施形態の合焦方法では、第1の領域は、照明光の一部の領域であって、第1の領域よりも外側に、照明光を透過する領域を挟んで、照明光の一部を遮光又は減光する第2の領域が形成され、観察光学系の瞳の外縁よりも内側に、第1の領域の外縁の像が形成され、観察光学系の瞳の外縁よりも外側に、第2の領域の内縁の像が形成されることが好ましい。
図24は、照明光の様子とその像を示す図であって、(a)は第7の実施例を示す図、(b)は第8の実施例を示す図、(c)は照明光の像を示す図である。
第7実施例では、図24(a)に示すように、照明光50は、第1の領域50a1と、透過領域50bと、第2の領域50a2と、に分けられる。第1の領域50a1は遮光領域であって、形状は円である。第2の領域50a2は第1の領域50a1とは別の遮光領域であって、形状は円環状である。
第2の領域50a2は、透過領域50bを挟んで、第1の領域50a1よりも外側に形成されている。また、第1の領域50a1は、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも内側に形成されている。透過領域50bは、コンデンサレンズの瞳の外縁35を含むように形成されている。第2の領域50a2は、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも外側に形成されている。
第8実施例では、図24(b)に示すように、照明光51は、第1の領域51a1と、透過領域51bと、第2の領域51a2と、接続領域51a3と、に分けられる。第1の領域51a1は遮光領域であって、形状は円である。第2の領域51a2は第1の領域51a1とは別の遮光領域であって、形状は円環状である。第1の領域51a1は、透過領域51bを挟んで、第1の領域51a1よりも外側に形成されている。また、第1の領域51a1と第2の領域51a2との間には、接続領域51a3が形成されている。
第2の領域51a2は、透過領域51bを挟んで、第1の領域51a1よりも外側に形成されている。また、第1の領域51a1は、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも内側に形成されている。透過領域51bは、コンデンサレンズの瞳の外縁35を含むように形成されている。第2の領域51a2は、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも外側に形成されている。
照明光の像について説明する。照明光50は、コンデンサレンズと対物レンズによって観察光学系側に投影される。そして、図24(c)に示すように、例えば瞳位置Pobに、照明光の像60が形成される。
観察光学系の瞳の外縁37よりも内側に、第1の領域の像60a1が形成される。よって、第1の領域50a1の外縁の像は、観察光学系の瞳の外縁37の内側に形成される。また、観察光学系の瞳の外縁37よりも外側に、第2の領域の像60a2が形成される。よって、第2の領域50a2の内縁の像は、観察光学系の瞳の外縁37の外側に形成される。観察光学系の瞳は、例えば、対物レンズの瞳である。
また、透過領域の像60bは、第1の領域の像60a1と第2の領域の像60a2との間に形成される。透過領域の像60bは、観察光学系の瞳の外縁37を含んでいる。
また、本実施形態の合焦方法では、照明光学系はコンデンサレンズを有し、観察光学系は対物レンズを有し、以下の条件式(2A)を満足することが好ましい。
1.01<(R1×β)/Rob≦2 (2A)
ここで、
R1は、照明光学系の光軸から第2の領域の内縁までの長さ、
Robは、対物レンズの瞳の半径、
βは、対物レンズの焦点距離をコンデンサレンズの焦点距離で割った値、
である。
上述のように、第2の領域の像60a2は、対物レンズの瞳の外縁37の外側に形成されている。よって、R1×β>Robになる。条件式(2A)を満足することで、焦点位置に対する標本位置の変化を、面頂像の明るさの変化として検出できる。その結果、無色透明で、位相が滑らかに変化している標本であっても、標本に焦点を合わせることができる。
条件式(2A)の下限値を下回ると、第2の領域の像60a2が、対物レンズの瞳の外縁37よりも内側に位置する。そのため、焦点位置に対して標本位置を変化させても、像の明るさの変化が小さくなる。また、像の明るさの変化が小さくなるので、一致状態の検出精度が悪くなってしまう。その結果、標本の表面に高い精度で焦点を合わせることが困難になる。
条件式(2A)の上限値を上回ると、透過領域の像60bが大きくなるので、対物レンズの瞳を通過する光量のロスが多くなる。
なお、条件式(2A)に代えて、以下の条件式(2A’)を満足すると良い。
1.02<(R1×β)/Rob≦1.5 (2A’)
さらに、条件式(2A)に代えて、以下の条件式(2A”)を満足するとなお良い。
1.03<(R1×β)/Rob≦1.3 (2A”)
また、本実施形態の合焦方法では、照明光は、単波長の光又は狭帯域の光であることが好ましい。
このようにすると、照明光の波長域を狭くできるので、瞳の色収差の発生を抑制できる。そのため、標本像のコントラストを良くすることができる。
また、本実施形態の合焦方法では、観察光学系の瞳を通過する光束の面積を変化させることが好ましい。
このようにすることで、遮光領域の像に対して、対物レンズの瞳の大きさを変化させることができる。
また、本実施形態の合焦方法では、照明光の一部の領域の大きさを変化させることが好ましい。
このようにすることで、遮光領域の像の大きさや位置を変化させることができる。
また、本実施形態の計測方法は、底面にマーカーが設けられた保持容器で標本を保持し、上述の合焦方法を用いて、標本の表面に対して合焦を行うと共に、合焦したときの第1の合焦情報を取得し、コントラストの変化に基づいて合焦を行う合焦方法を用いて、マーカーに対して合焦を行うと共に、合焦したときの第2の合焦情報を取得し、第1の合焦情報と第2の合焦情報の差を取得することを特徴とする。
このようにすることで、保持容器の底面を基準にして標本の高さを定量的に把握することができる。
また、本実施形態の別の計測方法は、上述の合焦方法を用いて、標本の表面上の第1の位置に対して合焦を行うと共に、合焦したときの第1の合焦情報を取得し、上述の合焦方法を用いて、標本の表面上の第2の位置に対して合焦を行うと共に、合焦したときの第2の合焦情報を取得し、第1の合焦情報と第2の合焦情報の差を取得することを特徴とする。
このようにすると、実視野内に複数の標本が存在する場合、2つの標本の高さの差を定量的に把握することができる。
また、本実施形態の計測方法では、第1の合焦情報と第2の合焦情報は、標本位置、観察光学系の位置及び標本と観察光学系との間隔のいずれか一つであることことが好ましい。
また、本実施形態の計測方法では、観察光学系の光軸と直交する面内における距離を測定することが好ましい。
このようにすることで、標本に関する3次元の情報が得られる。そこで、例えば、標本の高さと、面内での標本の大きさとの比を評価値とすると、評価値の大きさから標本の膨らみ具合が分かる。この膨らみ具合は、標本の活性を表しているので、標本の評価方法に応用できる。
また、本実施形態の主点検出方法は、表面形状が曲面である標本の主点を、上述の合焦方法を用いて検出することを特徴とする。なお、表面形状は曲面であるほうがより好ましい。
本実施形態の合焦装置は、照明光学系と、観察光学系と、保持部材と、駆動装置と、受光素子と、処理装置と、を備え、照明光学系は、光源と、コンデンサレンズと、開口部材と、を有し、観察光学系は、対物レンズと、結像レンズと、を有し、保持部材は標本を保持すると共に、照明光学系と観察光学系との間に配置され、駆動装置は、保持部材と観察光学系との間隔を変化させ、受光素子は、観察光学系から出射した光を受光する位置に配置され、処理装置は、受光した光のうち、所定の領域からの光について光量を求める手段と、所定の領域における光量と基準の光量との差又は比を算出する手段と、算出結果と閾値とを比較する手段と、間隔の変化を制御する手段と、を有し、開口部材は、遮光部又は減光部と、透過部と、を有し、透過部の少なくとも一部は、遮光部又は減光部よりも外側に位置し、所定の領域は、標本の一部の領域であり、算出結果が閾値以下となったときに、処理装置における処理を終了することを特徴とする。
本実施形態の合焦装置について、図26を用いて説明する。図26は第1実施形態の合焦装置の構成を示す図である。以下、遮光部を用いて説明するが、減光部についても技術的意義は同様である。
合焦装置200は、例えば、正立型顕微鏡であって、照明光学系と観察光学系とを備える。照明光学系は、光源201と、コンデンサレンズ204と、開口部材205とを有する。なお、必要に応じて、照明光学系は、レンズ202やレンズ203を有する。一方、観察光学系は、対物レンズ208と結像レンズ210とを有する。
光源201から出射した光は、レンズ202とレンズ203を通過して、コンデンサレンズ204に到達する。コンデンサレンズ204には、開口部材205が設けられている。ここでは、コンデンサレンズ204と開口部材205とが、一体で構成されている。しかしながら、開口部材205とコンデンサレンズ204とを、それぞれ別体で構成しても良い。
開口部材205は、例えば、図7(c)に示すように、遮光部34aと透過部34bとを有する。開口部材205では、遮光部34aが照明光学系の光軸を含むように配置されている。また、遮光部34aの外縁は、照明光学系の光軸から所定の距離だけ離れた位置にある。よって、開口部材205に入射した照明光は、光束の中心が遮光部34aによって遮光される。これにより、照明光の一部の領域が遮光される。また、透過部34bは、遮光部34aよりも外側に位置している。開口部材205では、透過部34bの形状は円環状になっている。なお、開口部材205として、例えば、図24(a)に示す開口部材50を用いても良い。
以上のように、開口部材205は、遮光部34aと透過部34bとを備えている。よって、開口部材205からは、照明光の一部の領域が遮光された照明光が出射する。より具体的には、円環状の照明光が、開口部材205から出射する。
開口部材205と光源201とは共役な関係になっている。よって、光源201から出射した照明光は、開口部材205の位置で集光する。すなわち、開口部材205の位置に光源201の像が形成される。
開口部材205から出射した照明光は、コンデンサレンズ204に入射する。ここで、開口部材205の位置は、コンデンサレンズ204の焦点位置(あるいは、コンデンサレンズ204の瞳位置)と一致している。そのため、コンデンサレンズ204から出射する照明光は、平行光になる。また、透過部の形状が円環状になっているので、照明光の形状も円環状になる。そのため、コンデンサレンズ204から出射する照明光は、観察光学系の光軸(照明光学系の光軸)と交差するように出射する。
コンデンサレンズ204から出射した照明光は、標本207に到達する。標本207は保持部材206上に載置されている。標本207は、例えば生細胞であって、無色透明で、表面の形状が滑らかになっている。
標本207を透過した光、すなわち、物体光は顕微鏡対物レンズ208(以下、適宜、「対物レンズ」という)に入射する。この対物レンズ208は、例えば、明視野観察用の顕微鏡対物レンズである。よって、対物レンズ208の光路中にはレンズが存在するだけで、位相板や変調板のように光の強度や位相を変化させる光学部材は存在していない。
対物レンズ208から出射した物体光は、結像レンズ210に入射する。そして、結像レンズ210を出射した物体光によって、像位置211に標本207の像が形成される。像位置211には、受光素子213が配置されている。受光素子213は、例えば、CCDやCMOSである。
受光素子213の出力信号は画像処理装置214に入力される。また、画像処理装置214には、駆動装置212が接続されている。駆動装置212は、例えばモータである。図28では、駆動装置212は、保持部材206や対物レンズ208と分離しているが、実際には、駆動装置212は、保持部材206や対物レンズ208と機械的に接続している。なお、駆動装置212は、保持部材206と対物レンズ208のどちらか一方と機械的に接続していても良い。
駆動装置212は、画像処理装置214からの信号によって、保持部材206と対物レンズ208の少なくとも一方を、光軸に沿って移動させる。このようにすることで、保持部材206と観察光学系との間隔を変化させることができる。
図26に示すように、標本207を透過した平行光は、対物レンズの瞳209に集光する。このように、対物レンズの瞳209と開口部材205とは共役な関係になっている。よって、対物レンズの瞳209の位置に開口部材205の像が形成される。
図27は、画像処理装置214の構成を示す図であって、(a)は基本的な構成を示す図、(b)は好ましい構成を示す図である。
図27(a)に示すように、画像処理装置214は、光量を求める手段220と、差又は比を算出する手段221と、算出結果と閾値とを比較する手段222と、間隔を変化させる手段223と、を備える。
光量を求める手段220では、受光素子213で受光した光のうち、所定の領域からの光について光量を求める。差又は比を算出する手段221では、所定の領域における光量と基準の光量との差又は比を算出する。算出結果と閾値とを比較する手段222では、手段221で算出した差又は比と閾値とを比較する。間隔を変化させる手段223では、間隔の変化を制御する。具体的には、手段223では、標本と観察光学系との間隔を変化させるための指令を、駆動装置212に向けて出力する。
このように、画像処理装置214は手段220〜手段223を備えているので、図15〜図19に示すフローチャートに従って、処理を実行することができる。
本実施形態の合焦装置では、照明光の一部の領域が遮光されている。よって、焦点位置に対して面頂位置が変化すると像の明るさが変化する。そして、面頂位置と焦点位置とが一致した状態では、面頂像の明るさは、照明光学系と観察光学系との間に何も存在していない状態での像の各点での明るさと略同じになる。そこで、照明光学系と観察光学系との間に何も存在していない状態での像の明るさに基づいて、面頂と焦点位置とが一致した状態を検出することができる。このように、本実施形態の合焦装置によれば、標本が無色透明で位相が滑らかに変化している場合であっても、標本に焦点を合わせることができる。
また、本実施形態の合焦装置は、基準の光量を記憶する手段を有し、保持部材に標本を載置しない状態で、照明光学系から出射した光を観察光学系に入射させた光に基づいて、基準の光量を求めることが好ましい。
図27(b)に示すように、画像処理装置214は、基準の光量を記憶する手段224を備える。ステップS40において基準の光量が設定されるので、設定された基準の光量を手段224に記憶させておけば良い。手段224に記憶された基準の光量は、ステップS33で用いられる。このように、画像処理装置214は手段224を備えているので、図16に示すフローチャートに従って、処理を実行することができる。
また、本実施形態の合焦装置は、基準の光量を記憶する手段を有し、保持部材に標本を載置した状態で、照明光学系から出射した光を観察光学系に入射させ、実視野内の標本が存在しない領域からの光に基づいて、基準の光量を求めることが好ましい。
図27(b)に示すように、画像処理装置214は、基準の光量を記憶する手段224を備える。ステップS50において基準の光量が設定されるので、設定された基準の光量を手段224に記憶させておけば良い。手段224に記憶された基準の光量は、ステップS33で用いられる。このように、画像処理装置214は手段224を備えているので、図17に示すフローチャートに従って、処理を実行することができる。
また、本実施形態の合焦装置は、所定の領域を記憶する手段を有し、所定の領域は、使用者が指定することが好ましい。
図27(b)に示すように、画像処理装置214は、所定の領域を記憶する手段225を備える。使用者によって所定の領域が指定された場合、指定された所定の領域を、手段225に記憶させておけば良い。手段225に記憶された所定の領域は、ステップS32で用いられる。このように、画像処理装置214は手段224を備えているので、図18に示すフローチャートに従って、処理を実行することができる。
また、本実施形態の合焦装置は、所定の領域を検知する手段と、所定の領域を記憶する手段と、を有し、検知する手段は、間隔と該間隔における光量とを、複数の領域の各々について記録する手段と、光量が単調に変化する範囲を、複数の領域の各々について求める手段と、複数の領域のうち、範囲が最も長い領域を特定する手段と、を有することが好ましい。
図27(b)に示すように、画像処理装置214は、所定の領域を検知する手段227と、所定の領域を記憶する手段225を備える。また、所定の領域を検知する手段227は、間隔dと光量QDとを記録する手段228と、光量QDが単調に変化する範囲RMを求める手段229と、範囲RMが最も長い領域XLを検知する手段230と、を有する。
手段228における間隔dは、標本と観察光学系との間隔である。また、光量QDは、間隔dにおける光量である。また、記録は、複数の領域の各々について行う。手段229における範囲RMは、複数の領域の各々について求める。手段230における領域XLは、複数の領域の中から検知される。また、複数の領域の各々について記録を行うために、複数の領域を記憶する手段226を備えることが好ましい。
このように、画像処理装置214は、手段227〜手段230を備えているので、図19におけるステップS64を実行することができる。
また、本実施形態の合焦装置では、光量の変化が最も単調な領域が、所定の領域であることが好ましい。
手段230で領域XLが検知される。ここで、領域XLは光量の変化が最も単調な領域である。そこで、領域XLを所定の領域に指定すれば良い。
また、本実施形態の合焦装置では、開口部材は、対物レンズの瞳位置に投影されていることが好ましい。
図8(a)に示すように、瞳位置Pconの位置に開口部材34を配置する。瞳位置Pconと瞳位置Pobは共役なので、開口部材34は瞳位置Pobに投影され、瞳位置Pobに開口部材の像36が形成される。瞳位置Pobでは、軸上光束と軸外光束とが略一致する。よって、全ての光束に対して、遮光率を略同じにすることができる。その結果、実視野の像の明るさを、中心と周辺で略同じにすることができる。
また、面頂位置が実視野の中心から外れていても、面頂像の明るさの変化は、面頂が実視野の中心に位置しているときと略同じになる。よって、面頂が実視野内のどこに位置していても、標本の表面に焦点を合わせることができる。
また、本実施形態の合焦装置では、遮光部又は減光部の像の大きさは、対物レンズの瞳の大きさよりも小さいことが好ましい。
上述のように、遮光部の像は、遮光部が投影されたときの像である。この投影像の大きさは、遮光部の大きさと瞳投影倍率とで決まる。そこで、遮光部の大きさや瞳投影倍率を適切に選択することで、投影像の大きさを、観察光学系の瞳の大きさよりも小さくする。
このようにすると、投影像の大きさが変化しても、投影像が観察光学系の瞳の外縁を越えてしまわないようにすることができる。よって、焦点位置に対する標本位置の変化に応じて、像の明るさが変化する。
また、本実施形態の合焦装置では、遮光部又は減光部の像の面積は、対物レンズの瞳の面積の50%以上であることが好ましい。
上述のように、焦点位置に対して標本位置が変化すると、像の明るさが変化する。遮光部の面積が観察光学系の瞳の面積の50%以上だと、像の明るさの変化を大きくすることができる。特に、面頂像の明るさの変化を大きくすることができる。
遮光部の面積が観察光学系の瞳の面積の50%未満だと、遮光部の像が小さくなりすぎる。また、遮光部の像が小さいと、透過部の像が大きくなりすぎる。そのため、焦点位置に対して標本位置を変化させても、像の明るさの変化が小さくなる。また、像の明るさの変化が小さくなるので、一致状態の検出精度が悪くなってしまう。その結果、標本の表面に高い精度で焦点を合わせることが困難になる。
なお、遮光部の像の面積は、観察光学系の瞳の面積の70%以上であることが好ましい。あるいは、遮光部の像の面積は、観察光学系の瞳の面積の85%以上であることが好ましい。
また、本実施形態の合焦装置では、開口部材は、光部又は減光部が、照明光学系の光軸を含むように配置されていることが好ましい。
上述のように、図22(a)〜(d)は照明光の様子を示す図である。ここで、遮光領域を不透明な部材と見なすと、図22(a)〜(d)は不透明な部材の配置を示す図になる。なお、以下の説明では、「照明光」、「遮光領域」及び「透過領域」を、各々「開口部材」、「遮光部」及び「透過部」に置き換えている。
以下、開口部材を用いた例として図22(a)〜(d)の説明を行う。開口部材は遮光部を有し、この遮光部に不透明な部材が用いられている。また、以下では、遮光部について説明するが、減光部については「遮光部」を「減光部」に読み替えれば良い。
第1の実施例では、図22(a)に示すように、開口部材40は、遮光部40aと透過部40bとを有する。遮光部40aは透過部40bの内側に設けられている。ここで、透過部40bは、コンデンサレンズの瞳の外縁35を含むように設けられている。よって、遮光部40aは、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも内側に位置する。
遮光部40aの形状は円形で、透過部40bの形状は円環状である。遮光部40aは、照明光学系の光軸を含むように位置している。また、遮光部40aの中心40cは、照明光学系の光軸と一致している。
第2の実施例では、図22(b)に示すように、開口部材41は、遮光部41aと透過部41bとを有する。遮光部41aは透過部41bの内側に設けられている。ここで、透過部41bは、コンデンサレンズの瞳の外縁35を含むように設けられている。よって、遮光部41aは、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも内側に位置する。
遮光部41aの形状は円形で、透過部41bの形状は円環状である。遮光部41aは、照明光学系の光軸を含むように位置している。また、遮光部41aの中心41cは、照明光学系の光軸と一致していない。
第3の実施例では、図22(c)に示すように、開口部材42は、遮光部42aと透過部42bとを有する。遮光部42aは透過部42bの内側に設けられている。ここで、透過部42bは、コンデンサレンズの瞳の外縁35を含むように設けられている。よって、遮光部42aは、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも内側に位置する。
遮光部42aの形状は楕円形で、透過部42bの形状は環状である。遮光部42aは、照明光学系の光軸を含むように位置している。また、遮光部42aの中心42cは、照明光学系の光軸と一致している。
第4の実施例では、図22(d)に示すように、開口部材43は、遮光部43aと透過部43bとを有する。遮光部43aは透過部43bの内側に設けられている。ここで、透過部43bは、コンデンサレンズの瞳の外縁35を含むように設けられている。よって、遮光部43aは、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも内側に位置する。
遮光部43aの形状は楕円形で、透過部43bの形状は環状である。遮光部43aは、照明光学系の光軸を含むように位置している。また、遮光部43aの中心43cは、照明光学系の光軸と一致していない。
各実施例の開口部材では、遮光部が照明光学系の光軸を含むように配置されている。このようにすると、遮光部は照明光束の中心部に位置する。観察光学系の瞳面では、遮光部の像が観察光学系の瞳の中心部に位置する。この場合、遮光部の像の大きさは、観察光学系の光軸を中心にして変化する。よって、変化量はどの方向にも略均等になる。
この場合、遮光部の像の一部が観察光学系の瞳の外縁を越えることを少なくすることができる。よって、焦点位置に対して標本位置が変化したときに、明確に像の明るさが変化する。また、全ての光束に対して、遮光率の変化の割合を略同じにすることができる。その結果、像の明るさを、中心と周辺とで略同じにすることができる。
なお、遮光部の中心は、照明光学系の光軸と一致していることが好ましい。このようにすると、像の明るさの変化がより明確になると共に、像の明るさを中心と周辺とで更に同じにすることができる。
なお、本実施形態の合焦装置では、遮光部又は減光部は、照明光学系の光軸を含まないように配置されていても良い。
図22(e)、(f)は照明光の集光状態を示す図であるが、遮光された領域を不透明な部材と見なすと、図22(e)、(f)は不透明な部材を示す図になる。以下、開口部材を用いた例として図22(e)、(f)の説明を行う。開口部材は遮光部を有し、この遮光部に不透明な部材が用いられている。また、以下では、遮光部について説明するが、減光部についても同様である。
第5の実施例では、図22(e)に示すように、開口部材44は、遮光部44aと透過部44bとを有する。遮光部44aは透過部44bの内側に設けられている。ここで、透過部44bは、コンデンサレンズの瞳の外縁35を含むように設けられている。よって、遮光部44aは、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも内側に位置する。
遮光部44aの形状は円形で、透過部44bの形状は環状である。遮光部44aは、照明光学系の光軸を含まないように位置している。照明光学系の光軸は、遮光部44aの外側に位置している。
第6の実施例では、図22(f)に示すように、開口部材45は、遮光部45aと透過部45bとを有する。遮光部45aは透過部45bの内側に設けられている。ここで、透過部45bは、コンデンサレンズの瞳の外縁35を含むように設けられている。よって、遮光部45aは、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも内側に位置する。
遮光部45aの形状は半円形で、透過部45bの形状は環状である。遮光部45aは、照明光学系の光軸を含まないように位置している。
また、本実施形態の合焦装置では、遮光部又は減光部の形状は、点対称な形状であることが好ましい。
図22(a)、(b)及び(e)に示すように、遮光部40a、遮光部41a及び遮光部44aの形状は、何れも円形であるので、点対称な形状になっている。
このようにすることで、遮光部を容易に形成できる。また、遮光部が照明光学系の光軸を含むように配置されている場合、遮光部の像は観察光学系の瞳を中心にして変化するので、変化量はどの方向にも略均等になる。よって、全ての光束に対して、遮光率の変化の割合を略同じにすることができる。その結果、実視野の像の明るさを、中心と周辺で略同じにすることができる。
また、本実施形態の合焦装置は、以下の条件式(1B)を満足することが好ましい。
0.6≦(R0’×β)/Rob<0.995 (1B)
ここで、
R0’は、照明光学系の光軸から遮光部又は減光部の外縁までの長さ、
Robは、対物レンズの瞳の半径、
βは、対物レンズの焦点距離をコンデンサレンズの焦点距離で割った値、
である。
上述のように、図23は、照明光の像と対物レンズの瞳との関係を示す図である。ここで、遮光領域を不透明な部材と見なすと、図23は不透明な部材の像と対物レンズの瞳との関係を示す図になる。なお、以下の説明では、「照明光」、「遮光領域」及び「透過領域」を、各々「開口部材」、「遮光部」及び「透過部」に置き換えている。
以下、開口部材を用いた例として図23の説明を行う。開口部材は遮光部を有し、この遮光部に不透明な部材が用いられている。
開口部材は、コンデンサレンズと対物レンズとによって、観察光学系側に投影される。そして、例えば瞳位置Pob、開口部材の像36が形成される。開口部材の像36は、遮光部の像36aと透過部の像36bとに分かれる。図23に示すように、対物レンズの瞳の外縁37の内側に、遮光部の像36aは形成されている。よって、R0’×β<Robになる。
条件式(1B)の技術的意義は、条件式(1A)の技術的意義と同じである。条件式(1A)の説明における「遮光領域」を「遮光部」に読み替えて、技術的意義の解釈を行えば良い。
なお、条件式(1B)に代えて、以下の条件式(1B’)を満足すると良い。
0.75≦(R0’×β)/Rob<0.99 (1B’)
さらに、条件式(1B)に代えて、以下の条件式(1B”)を満足するとなお良い。
0.8≦(R0’×β)/Rob<0.98 (1B”)
また、本実施形態の合焦装置では、透過部よりも外側に、別の遮光部又は減光部を更に有し、対物レンズの瞳の外縁よりも内側に、遮光部又は減光部の外縁の像が形成され、対物レンズの瞳の外縁よりも外側に、別の遮光部又は減光部の内縁の像が形成されることが好ましい。
上述のように、図24は、照明光の様子とその像を示す図である。ここで、遮光領域を不透明な部材と見なすと、図24は不透明な部材の配置とその像を示す図になる。なお、以下の説明では、「照明光」、「第1の領域」、「第2の領域」及び「透過領域」を、各々「開口部材」、「遮光部」及び「透過部」に置き換えている。
以下、開口部材を用いた例として図24の説明を行う。開口部材は遮光部を有し、この遮光部に不透明な部材が用いられている。
第7実施例では、図24(a)に示すように、開口部材50は、遮光部50a1と透過部50bとを有する。更に、開口部材50は遮光部50a2を有する。遮光部50a2は、遮光部50a1とは別の遮光部である。
遮光部50a1、遮光部50a2及び透過部50bは透明な部材、例えば、ガラス板や樹脂板で構成されている。遮光部50a1と遮光部50a2は、例えば、遮光塗料をガラス板上に塗布することで形成されている。一方、透過部50bには何も塗布されていない。よって、透過部50bはガラス板そのものである。
開口部材50では、遮光部50a1の形状は円で、遮光部50a2の形状は円環状である。また、透過部50bの形状は円環状になっている。これは、遮光部50a2を保持する必要が無いからである。そのため、開口部材50では、遮光部50a1と遮光部50a2との間に接続部は形成されていない。
遮光部50a2は、透過部50bを挟んで、遮光部50a1よりも外側に位置している。また、遮光部50a1は、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも内側に位置している。透過部50bは、コンデンサレンズの瞳の外縁35を含むように位置している。遮光部50a2は、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも外側に位置している。
照明光は、遮光部50a1と遮光部50a2とによって遮光される。遮光部50a1によって遮光された照明光の一部の領域が第1の領域である。また、遮光部50a2よって遮光された照明光の一部の領域が第2の領域である。
第8実施例では、図24(b)に示すように、開口部材51は、遮光部51a1と透過部51bとを有する。更に、開口部材51は遮光部51a2を有する。遮光部51a2は、透過部51bを挟んで、遮光部51a1よりも外側に位置している。
遮光部51a1と51a2は不透明な部材、例えば、金属板で構成されている。透過部51bは金属板に形成された空隙(孔)である。
開口部材51では、遮光部51a1を保持するために、遮光部51a1と遮光部51a2との間に接続部51a3が3つ形成されている。そのため、透過部51bは3つに分かれている。透過部51bの各々形状は略扇状(離散的な輪帯形状)になっている。なお、接続部51a3の数は3つに限定されない。
遮光部51a2は、透過部51bを挟んで、遮光部51a1よりも外側に位置している。また、遮光部51a1は、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも内側に位置している。透過部51bは、コンデンサレンズの瞳の外縁35を含むように位置している。遮光部51a2は、コンデンサレンズの瞳の外縁35よりも外側に位置している。
照明光は、遮光部51a1と遮光部51a2とによって遮光される。遮光部51a1によって遮光された照明光の一部の領域が第1の領域である。また、遮光部51a2よって遮光された照明光の一部の領域が第2の領域である。
開口部材の像について説明する。開口部材50は、コンデンサレンズと対物レンズによって観察光学系側に投影される。そして、図24(c)に示すように、例えば瞳位置Pobに、開口部材の像60が形成される。以下の説明では、遮光部50a1の像は第1の遮光部の像60a1で、遮光部50a2の像は第2の遮光部の像60a2である。
観察光学系の瞳の外縁37よりも内側に、第1の遮光部の像60a1が形成される。よって、遮光部50a1の外縁の像は、観察光学系の瞳の外縁37の内側に形成される。また、観察光学系の瞳の外縁37よりも外側に、第2の遮光部の像60a2が形成される。よって、遮光部50a2の内縁の像は、観察光学系の瞳の外縁37の外側に形成される。観察光学系の瞳は、例えば、対物レンズの瞳である。
また、透過部の像60bは、第1の遮光部の像60a1と第2の遮光部の像60a2との間に形成される。透過領部の像60bは、観察光学系の瞳の外縁37を含んでいる。
また、本実施形態の合焦装置では、以下の条件式(2B)を満足することが好ましい。
1.01<(R1’×β)/Rob≦2 (2B)
ここで、
R1’は、照明光学系の光軸から別の遮光部又は減光部の内縁までの長さ、
Robは、対物レンズの瞳の半径、
βは、対物レンズの焦点距離をコンデンサレンズの焦点距離で割った値、
である。
上述のように、第2の遮光部の像60a2は、対物レンズの瞳の外縁37の外側に形成されている。第2の遮光部の像60a2は、別の遮光部の像である。よって、R1’×β>Robになる。
条件式(2B)の技術的意義は、条件式(2A)の技術的意義と同じである。条件式(2A)の説明における「第2の領域」と「透過領域」を、各々「別の遮光部」と「透過部」に読み替えて、技術的意義の解釈を行えば良い。
なお、条件式(2B)に代えて、以下の条件式(2B’)を満足すると良い。
1.02<(R1×β)/Rob≦1.5 (2B’)
さらに、条件式(2B)に代えて、以下の条件式(2B”)を満足するとなお良い。
1.03<(R1×β)/Rob≦1.3 (2B”)
図25は、焦点位置に対する生細胞の面頂位置と開口部材の像の大きさとの関係を示す図であって、(a)は第1の状態を示す図、(b)は第2の状態を示す図、(c)は第3の状態を示す図である。ここでは、図24(c)に示す開口部材の像60の様子が示されている。
図25では、瞳位置Pobの位置に、開口部材の像60が形成されている。開口部材の像60以外は、図10と同じなので、詳細な説明は省略する。
第1の状態、第2の状態及び第3の状態のいずれにおいても、瞳位置Pobには、開口部材の像60が形成される。図25(d)、(e)及び(f)に示すように、開口部材の像60は、第1の遮光部の像60a1、第2の遮光部の像60a2及び透過部の像60bに分かれる。
また、何れの状態においても、透過部の像60bは、対物レンズの瞳の外縁37を含むように形成されている。一方、第1の遮光部の像60a1は、透過部の像60bの内側に形成されている。よって、第1の遮光部の像60a1は、対物レンズの瞳の外縁37よりも内側に位置している。また、第1の遮光部の像60a1の大きさは、対物レンズの瞳の大きさよりも小さい。
一方、第2の遮光部の像60a2は、いずれの状態においても、対物レンズの瞳の外縁37よりも外側に位置している。図25(c)に示すように、第3の状態では、開口部材の像60の大きさは、他の状態に比べて小さくなる。
第1の遮光部の像60a1が小さくなると、対物レンズの瞳内における透過部の像60の領域が大きくなる。しかしならが、第2の遮光部の像60a2が対物レンズの瞳の外縁37よりも内側に位置すると、透過部の像60bの領域を減少させてしまう。この場合、焦点位置に対して標本位置を変化させても、像の明るさの変化が小さくなる。よって、第2の遮光部の像60a2は、常に、対物レンズの瞳の外縁37よりも外側に位置するようにするのが好ましい。
図25(c)では、第1の遮光部の像60a1の大きさを変化させて、対物レンズの瞳内における透過部の像60bの領域の大きさを変化させている。しかしながら、第2の遮光部の像60a2の大きさを変化させて、対物レンズの瞳内における透過部の像60bの領域の大きさを変化させても良い。この場合、対物レンズの瞳内に第1の遮光部の像60a1が形成されないようにする。
また、本実施形態の合焦装置では、遮光部又は減光部とコンデンサレンズの瞳位置とのずれの許容範囲は、コンデンサレンズの焦点距離の20%以内であることが好ましい。
顕微鏡対物レンズはテレセントリック光学系である。そのため、コンデンサレンズもテレセントリック光学系になっている。従って、コンデンサレンズの瞳位置は、コンデンサレンズの前側焦点位置になる。ここで、上述のように、本実施形態の合焦装置では、コンデンサレンズの焦点位置(前側焦点位置)に開口部材を配置している。これにより、コンデンサレンズの瞳位置において、照明光の中心部を遮光している。しかしながら、照明光の中心部を遮光する位置は、厳密にコンデンサレンズの瞳位置である必要は無く、コンデンサレンズの瞳位置近傍であれば良い。
ここで、開口部材とコンデンサレンズの瞳位置とのずれ(光軸方向のずれ)が大きくなると、透過部の像も対物レンズの瞳からずれていく。例えば、開口部材がコンデンサレンズの瞳位置と一致している場合、遮光部の最も外側を通過する光線(以下、単に「光線Lin」という)は、対物レンズの瞳の内側に到達する。ところが、開口部材がコンデンサレンズの瞳位置からずれていくと、光線Linは、対物レンズの瞳の内側から外側に向かうようになる。すなわち、遮光部の像が対物レンズの瞳からずれていく。
また、対物レンズを変えると、観察範囲が変化する。観察範囲が変化すると、光線Linの光軸に対する角度も変化する。この角度が変化すると、対物レンズの瞳に到達する光線Linの位置が変化する。すなわち、遮光部の像が対物レンズの瞳からずれていく。
この場合、焦点位置に対して標本位置が変化に伴って像の明るさが変化するが、像の明るさの変化の程度は、実視野の中心に比べて周辺の方が小さくなる。そのため、実視野の周辺では、標本の表面に高い精度で焦点を合わせることが困難になる。
そこで、開口部材とコンデンサレンズの瞳位置とのずれの許容範囲は、観察範囲の変化を考慮して設定することになる。本実施形態の合焦装置では、瞳位置近傍の範囲(許容範囲)は、コンデンサレンズの焦点距離の20%以内であることが望ましい。この範囲であれば、標本の中心と周辺とで、陰影の発生方向や発生量の違いを小さくできる。なお、瞳位置近傍の範囲は、コンデンサレンズの焦点距離の10%以内であればなお良い。
また、本実施形態の合焦装置では、開口部材とは別の開口部材を有し、開口部材と別の開口部材とを移動させる移動機構を有することが好ましい。
図28は、第2実施形態の合焦装置の構成を示す図である。なお、図26と同じ構成については同じ番号を付し、説明は省略する。
合焦装置300は、開口部材205と開口部材304とを備えている。開口部材205と開口部材304は、移動機構305に保持されている。移動機構305としては、例えば、スライダーやターレットがある。移動機構305がスライダーの場合、開口部材205と開口部材304は、観察光学系の光軸と直交する方向に移動する。移動機構305がターレットの場合、開口部材205と開口部材304は、観察光学系の光軸と平行な軸を中心に回転する。
このようにすることで、遮光部の像の大きさや位置を変化させることができる。すなわち、開口部材を異なる開口部材に変更することで、R0、R0’、R1及びR1’を、自由に変化させることができる。そのため、標本に応じて、像の明るさの変化が最大となるようにすることができる。
さらに、位相差用対物レンズを使用する場合は以下の効果がある。照明開口に位相差観察用のリングスリットを用いれば位相差観察ができ、図7(c)に示す開口部材を用いることで、本実施形態の合焦装置による合焦ができる。つまり、対物レンズを交換することなく、本実施形態の合焦装置による合焦と位相差観察とができる。なお、微分干渉観察やホフマンモジュレーションコントラスト観察などの方法でも、同様に対物レンズを交換することなく、本実施形態の合焦装置による合焦とこれらの観察ができる。
また、本実施形態の合焦装置では、観察光学系は開口部材を有し、開口部材は対物レンズの瞳位置、あるいは対物レンズの瞳位置と共役な位置に配置されていることが好ましい。
合焦装置300では、対物レンズの瞳209の位置に、開口部材303が設けられている。なお、図28では、見易さのために、対物レンズの瞳209の位置と開口部材303の位置を離して描いている。
このようにすることで、透過部の像に対して、対物レンズの瞳の大きさを変化させることができる。これにより、観察光学系の瞳を通過する光束の面積を変化させることができる。
また、ビネッティング(口径食)が生じると、標本の中心から出射して標本像の中心に到達する光束(以下、適宜、「軸上光束」という)と、標本の周辺から出射して標本像の周辺に到達する光束(以下、適宜、「軸外光束」という)とで、光束の大きさに違いが生じる。通常、ビネッティングが生じると、軸上光束の形状が円であるのに対して、軸外光束の形状は略楕円になる。
そのため、軸外光束において、対物レンズの瞳の外縁よりも内側に透過部の像が形成される、という状態が生じる。そうすると、焦点位置に対する面頂位置のずれ量と面頂像の明るさの関係は、実視野の中心と周辺とで異なる。
そこで、観察光学系に開口部材を配置することで、ビネッティングを小さくすることができる。このようにすると、軸外光束の形状を円にすることができる。そのため、軸外光束においても、開口部材よりも内側に遮光部の像が形成される。その結果、焦点位置に対する面頂位置のずれ量と面頂像の明るさの関係は、実視野の周辺においても中心と同じ関係になる。よって、実視野の中心から周辺にわたって明るさのむらがない標本像が得られる。
また、面頂位置が実視野の中心から外れていても、面頂像の明るさの変化は、面頂が実視野の中心に位置しているときと略同じになる。よって、面頂が実視野内のどこに位置していても、標本の表面に焦点を合わせることができる。
なお、ビネッティングの小さい対物レンズを用いても同様の効果が得られる。ビネッティングの小さい対物レンズでは、ビネッティングの大きい対物レンズに比べて、レンズの外径が大きいレンズが用いられる。この場合、軸外光束の径と軸上光束の径との差が、少なくなる。その結果、中心から周辺にわたって明るさのむらがない標本像が得られる。このようなことから、ビネッティングの小さい対物レンズを用いることが好ましい。
また、本実施形態の合焦装置では、光源は単色光源であるか、又は照明光学系は波長選択手段を有することが好ましい。
また、標本観察装置300では、照明光学系の光路、例えば、光源201とレンズ202との間に波長選択素子302が挿脱可能になっていても良い。光源201が白色光の場合、波長範囲の広い光が光源201から出射する。そこで、波長選択素子302を光路中に挿入することで、白色光よりも波長範囲の狭い光を照明光として取り出すことができる。なお、光源201を単色光源301にしても良い。
このようにすると、照明光の波長域を狭くできるので、瞳の色収差の発生を抑制できる。そのため、標本像のコントラストを良くすることができる。
また、使用目的に応じて照明光の波長の切り替えが可能になる。例えば、照明光の波長を短波長にすると、標本面(レンズ面)の屈折力が大きくなる。この場合、焦点位置に対して標本位置が変化したときに、像の明るさが変化するが、その変化量が大きくなる。その結果、標本の表面に高い精度で焦点を合わせることが困難になる。
一方、照明光の波長を長波長にすると、例えば細胞内部での光の散乱を抑制できる。所定の領域における光量をより正確に求めることができる。その結果、標本の表面に高い精度で焦点を合わせることが困難になる。
図29は、第3実施形態の合焦装置の構成を示す図である。合焦装置400は、本体部410と、照明光学系420と、観察光学系430と、撮像装置440と、画像処理装置450と、を備える。
本体部410は、光源411と、ステージ412と、レボルバ413と、を備える。照明光学系420は、各種の光学フィルタ421と、視野絞り422と、ミラー423と、レンズ424と、開口部材425と、コンデンサレンズ426と、を備える。観察光学系430は、対物レンズ431と、結像レンズ433と、接眼レンズ434と、を備える。また、対物レンズ431の近傍には、対物レンズの瞳432が位置している。
本体部410には、光源411が接続されている。光源411を出射した照明光は、照明光学系420に入射してコンデンサレンズ426に到達する。ここで、開口部材425は、コンデンサレンズ426の瞳位置に配置されている。また、開口部材425には、例えば、図7(c)に示した開口部材34が用いられている。これにより、照明光の一部の領域が遮光される。
コンデンサレンズ426の上方には、ステージ412が配置されている。また、ステージ412上に標本460が載置されている。更に、ステージ412の上方にはレボルバ413が位置し、レボルバ413に対物レンズ431が保持されている。
コンデンサレンズ426から出射した照明光は、標本460に照射される。標本460からの光は、対物レンズ431に入射する。ここで、対物レンズの瞳432と開口部材425は共役な関係になっている。よって、対物レンズの瞳432の位置に、開口部材425の像が形成される。
対物レンズ431を出射した結像光は、結像レンズ433によって集光され、集光位置に標本460の像が形成される。合焦装置400では、結像レンズ433に続いてプリズムが配置されている。このプリズムによって、結像光の一部は接眼レンズ434側に反射される。その結果、接眼レンズ434の近傍に、標本の光学像435が形成される。なお、接眼レンズ434による観察を行わない場合は、プリズムを光路外に移動させても良い。
一方、プリズムを通過した結像光は、撮像装置440に入射する。撮像装置440は撮像素子441を備えている。結像レンズ433によって、撮像素子441上に標本460の光学像が形成され、これにより標本460の光学像の撮像が行われる。なお、結像レンズ433と撮像素子441との間に、光学系を配置しても良い。この場合、結像レンズ433とこの光学系によって、撮像素子441上に標本460の光学像が形成される。
また、撮像装置440には、カメラコントローラ442と、ビデオボード443と、が接続されている。また、カメラコントローラ442とビデオボード443は、共に画像処理装置450に接続されている。
撮像の制御は、カメラコントローラ442によって行われる。また、カメラコントローラ442の制御は、画像処理装置450によって行われる。なお、カメラコントローラ442の制御を、他の機器、例えばコンピュータによって行っても良い。また、撮像装置440から出力された画像信号は、ビデオボード443を介して画像処理装置450に入力される。画像処理装置450では、様々な電気的な処理が行われる。処理結果は、表示装置451に表示される。
ステージ412は、移動機構に接続されている。移動機構によって、ステージ412は光軸方向に沿って移動する。駆動装置470は、移動機構を介してステージ412と機械的に接続されている。駆動装置470は、例えばモータである。駆動装置470によって移動機構を作動させることで、ステージ412を光軸方向に沿って移動させることができる。このようにすることで、ステージ412と対物レンズ431との間隔を変化させることができる。
なお、駆動装置470は画像処理装置450と接続されている。画像処理装置450には、間隔を変化させる手段223を有する。よって、手段223によって、駆動装置470を制御することができる。
画像処理装置450は手段220〜手段223を備えているので、図15〜図19に示すフローチャートに従って、処理を実行することができる。
本実施形態の合焦装置では、照明光の一部の領域が遮光されている。よって、焦点位置に対して面頂位置が変化すると像の明るさが変化する。そして、面頂位置と焦点位置とが一致した状態では、面頂像の明るさは、照明光学系と観察光学系との間に何も存在していない状態での像の各点での明るさと略同じになる。そこで、照明光学系と観察光学系との間に何も存在していない状態での像の明るさに基づいて、面頂と焦点位置とが一致した状態を検出することができる。このように、本実施形態の合焦装置によれば、標本が無色透明で位相が滑らかに変化している場合であっても、標本に焦点を合わせることができる。
また、本実施形態の計測装置は、底面にマーカーが設けられた保持容器で標本を保持し、上述の合焦装置を用いて、標本の表面に対して合焦を行うと共に、合焦したときの第1の合焦情報を取得する手段と、コントラストの変化に基づいて合焦を行う合焦装置を用いて、マーカーに対して合焦を行うと共に、合焦したときの第2の合焦情報を取得する手段と、を有し、第1の合焦情報と第2の合焦情報の差を取得することを特徴とする。
保持容器の底面の位置と標本の面頂とを検出できるので、保持容器の底面を基準にして標本の高さを定量的に把握することができる。
なお、平凸レンズでは、一方の主点は凸面の面頂と一致し、他方の主点は平面と一致している。よって、標本の形状が平凸レンズ状の場合、一方の主点は標本の表面(面頂)と一致し、他方の主点は標本の底面と一致している。
上述のように、本実施形態の合焦装置では、主点位置を検出することができる。そこで、標本と観察光学系との間隔を十分に広げた状態から、間隔を狭めていくと、最初に標本の底面の主点位置と焦点位置とが一致する。そして、続いて、標本の表面の主点位置と焦点位置とが一致する。このように、主点位置と焦点置が一致するときの間隔が、2つ得られる。よって、2つの間隔の差から、標本の高さを定量的に把握することができる。また、保持容器の底面にマーカーを設けなくても良い。
また、本実施形態の別の計測装置は、上述の合焦装置を用いて、標本の表面に対して合焦を行うと共に、合焦したときの第1の合焦情報を取得する手段と、上述の合焦装置を用いて、標本の表面上の第2の位置に対して合焦を行うと共に、合焦したときの第2の合焦情報を取得し、第1の合焦情報と第2の合焦情報の差を取得することを特徴とする。
受光素子として、例えばCCDやCMOSを用いると、ひとつ一つの受光部が所定の領域になる。よって、実視野内に複数の標本が存在する場合、各標本における面頂位置を検出することができる。よって、2つの標本の高さの差を定量的に把握することができる。
また、本実施形態の計測装置では、第1の合焦情報と第2の合焦情報は、標本位置、観察光学系の位置及び標本と観察光学系との間隔のいずれか一つであることが好ましい。
また、本実施形態の計測装置は、観察光学系の光軸と直交する面内における距離を測定する手段を有することが好ましい。
このようにすることで、標本に関する3次元の情報が得られる。そこで、例えば、標本の高さと、面内での標本大きさとの比を評価値とすると、評価値の大きさから標本の膨らみ具合が分かる。この膨らみ具合は、標本の活性を表しているので、標本の評価方法に応用できる。
また、本実施形態の主点検出装置は、表面形状が曲面である標本の主点を、上述の合焦装置を用いて検出することを特徴とする。なお、表面形状は曲面であるほうがより好ましい。
なお、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変形例をとることができる。例えば、図26、図28及び図29では、正立型顕微鏡を用いて本発明の合焦装置を説明した。しかしながら、本発明の合焦装置は倒立型顕微鏡であっても良い。すなわち、本発明は倒立型顕微鏡にも適用できる。