以下に、本発明の実施の形態にかかる熱交換換気装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる熱交換換気装置の平面図である。図2は、図1に示す熱交換換気装置の底面図である。図3は、図1に示す熱交換換気装置の正面図である。図4は、図1に示す熱交換換気装置の背面図である。図5は、図1に示す熱交換換気装置の左側面図である。図6は、図1に示す熱交換換気装置の右側面図である。図7は、図1に示す熱交換換気装置の内部構成を概略的に示す平面図である。
図8は、図1に示す熱交換換気装置において、第1の室内側吸込口からの排気量を大きくした状態を示す正面断面図である。図9は、図1に示す熱交換換気装置において、第2の室内側吸込口からの排気量を大きくした状態を示す正面断面図である。図10は、図1に示す熱交換換気装置の風路構成を模式的に示す図である。
熱交換換気装置1は、ケーシング2、熱交換素子3、排気送風機4、給気送風機5、排気側フィルタユニット9、給気側フィルタユニット10を備える。熱交換換気装置1は、一般的に建物の天井内に設置されて、室内空気と室外空気の間で熱交換させながら換気を行う。
ケーシング2は、直方体形状を呈する。以下の説明において、熱交換換気装置1の設置姿勢に基づいて、上方側の面を天面(壁面)2aとし、下方側の面を底面(壁面)2bとし、それ以外の面を側面(壁面)2cとする。ケーシング2の側面2cには、第1の室内側吸込口21、室外側吹出口22、第2の室内側吸込口23、室外側吸込口24、室内側吹出口25が開口として形成され、ダクト(図示せず)が接続可能とされている。
図10で模式的に示した図のように、ケーシング2の内部には、第1の室内側吸込口21と室外側吹出口22とを結ぶ熱交換排気風路26が形成されている。また、ケーシング2の内部には、室外側吸込口24と室内側吹出口25とを結ぶ熱交換給気風路27が形成されている。
熱交換素子3は、熱交換排気風路26と熱交換給気風路27とが交差する交差部に配置される。熱交換素子3は、立方体形状を呈している。熱交換素子3には、立方体の一面を排気流入口3aとし、それと対向する面を排気流出口3bとして、熱交換排気風路26を流れる排気流を通過させる排気通路31と、排気流入口3aとなる一面と隣接する面を給気流入口3cとし、それと対向する面を給気流出口3dとして、熱交換給気風路27を流れる給気流を通過させる給気通路32とが形成される(図8,9も参照)。
熱交換素子3は、排気通路31を通過する排気流と、給気通路32を通過する給気流との間で熱交換させる。熱交換素子3は、排気流入口3a、排気流出口3b、給気流入口3cおよび給気流出口3dが形成される面を、天面2aや底面2bに対して平行とならないように、ケーシング2内に配置される。より具体的には、排気流入口3aと給気流出口3dとが斜め下方を向けてケーシング2内に配置される。
排気送風機4は、熱交換排気風路26における熱交換素子3の下流側に設けられる。排気送風機4は、室外側吹出口22から空気を吹き出させる。図8,9には、排気送風機44の詳細な断面構成が示されている。排気送風機4は、羽根車4aを回転させることで、ベルマウス4bから吸い込んだ空気を吐出口4cから吐出させる。
給気送風機5は、熱交換給気風路27における熱交換素子3の下流側に設けられる。給気送風機5は、室内側吹出口25から空気を吹き出させる。給気送風機5は、排気送風機4と同様の構成であり、詳細な構成の説明は省略する。
図10で模式的に示した図のように、ケーシング2の内部には、熱交換素子3と排気送風機4との間で、熱交換素子3を通過せずに熱交換排気風路26に合流する直接排気風路28が形成される。第2の室内側吸込口23は、ケーシング2の側面2cのうち、直接排気風路28を囲む部分に形成される。ケーシング2には、複数の第2の室内側吸込口23が形成されている。複数の第2の室内側吸込口23同士は、ケーシング2の異なる側面2cに形成されており、本実施の形態では、互いに対向する側面2c同士に形成されている。
熱交換排気風路26と直接排気風路28とは、排気送風機4のベルマウス4bへの吸込部分で合流される。熱交換排気風路26と直接排気風路28との合流部分、すなわち排気送風機4のベルマウス4bへの吸込部分には、熱交換排気風路26と直接排気風路28の開度を調節するダンパー8が設けられている。排気送風機4のベルマウス4bへの吸込部分にダンパー8を設けるスペースを確保するために、排気送風機4は、ケーシング2の天面2a側に寄せて配置されている。なお、図10では、図面の便宜上、排気送風機4の手前にダンパー8が示されているが、図8,9に示すように、ベルマウス4bへの吸込部分にダンパー8が設けられる。
図8,9に示すように、ダンパー8は、軸8aを中心に回転可能となっている。図8では、ダンパー8は、熱交換排気風路26の開度を大きくし、直接排気風路28の開度を小さくしている(X>Y)。図9では、ダンパー8は、熱交換排気風路26の開度を小さくし、直接排気風路28の開度を大きくしている(X<Y)。ダンパー8は、図示しないモータにより回転駆動されて開度を調整する。
図8,9に示すように、側面視において、熱交換素子3を挟んだ一方側に第1の室内側吸込口21および室内側吹出口25が形成され、他方側に室外側吹出口22、室外側吸込口24および第2の室内側吸込口23が形成される。以下の説明において、ケーシング2内において、熱交換素子3を挟んだ一方側となる領域を室内側領域ともいい、他方側となる領域を室外側領域ともいう。
次に、ケーシング2内に形成された各風路の詳細な経路等について説明する。上述したように、側面視において、熱交換素子3を挟んだ一方側に第1の室内側吸込口21および室内側吹出口25が形成されている。すなわち、ケーシング2内の室内側領域には、熱交換排気風路26と熱交換給気風路27が形成される。そして、室内側領域では、熱交換排気風路26が底面2b側に形成され、熱交換給気風路27が天面2a側に形成される。
また、側面視において、熱交換素子3を挟んだ他方側に室外側吹出口22、室外側吸込口24および第2の室内側吸込口23が形成される。すなわち、ケーシング2内の室外側領域には、熱交換排気風路26と熱交換給気風路27と直接排気風路28とが形成される。ケーシング2の室外側領域では、熱交換排気風路26は、熱交換素子3からの流出部分で天面2a側に形成され、その下流で排気送風機4のベルマウス4b部分に向けて形成される。ケーシング2の室外側領域では、熱交換給気風路26は、熱交換素子3への流入部分で底面2b側に形成され、その上流では平面的に排気送風機4を避けた位置に形成される。
図11は、図1に示す熱交換換気装置1を底面2b側から見た斜視図であって、フィルタを取り外した状態を示す図である。熱交換換気装置1のケーシング2には、排気側フィルタユニット9と給気側フィルタユニット10が挿入される開口2d,2eが形成される。排気側フィルタユニット9には、排気フィルタ11が保持される。給気側フィルタユニット10には、給気フィルタ12が保持される。
開口2dに排気側フィルタユニット9を挿入することで、熱交換排気風路26における熱交換素子3よりも上流側に排気フィルタ11が取り付けられる。これにより、排気流に含まれる埃が熱交換素子3に流入する前に、排気フィルタ11で捕獲することが可能となる。排気フィルタ11は、平面視において熱交換素子3と重ならない位置、すなわち熱交換素子3の下側となる領域を避けた位置に設置される。
開口2eに給気側フィルタユニット10を挿入することで、熱交換給気風路27における熱交換素子3よりも上流側に給気フィルタ12が取り付けられる。これにより、給気流に含まれる埃が熱交換素子3に流入する前に、給気フィルタ12で捕獲することが可能となる。開口2eは、ケーシング2の底面2bのうち熱交換給気風路27の壁面であって、熱交換素子3の下方に形成されている。
次に、給気側フィルタユニット10のより詳細な構成について説明する。図12は、給気側フィルタユニット10を底面2b側から見た斜視図である。図13は、給気側フィルタユニット10を天面2a側から見た分解斜視図である。図14は、給気側フィルタユニット10を給気流の上流側から見た断面図である。図15は、図14に示すA部分を拡大した部分拡大断面図である。図16は、図15のB−B線に沿って見た矢視断面図である。
給気側フィルタユニット10は、閉塞板13、ハンドル(把持部)14、蓋部18、フィルタ支持枠15、フィルタ保持枠16、第1給気フィルタ(第1のフィルタ)12a、第2給気フィルタ(第2のフィルタ)12bを備える。
閉塞板13は、給気側フィルタユニット10が開口2eに挿入されることで、開口2eを閉塞する樹脂製の板部材である。閉塞板13は、開口2eを閉塞することで、熱交換給気風路27の壁面の一部を構成する。閉塞板13は、フィルタからの落下物(塵埃や虫や霧の水滴など)を受ける。閉塞板13には、2つの挿入口13aが形成されている。挿入口13aには、後に詳説するハンドル14の端部が挿入される。閉塞板13の熱交換給気風路27側となる面には、挿入口13aを囲む筒状の堰17が立設される。堰17には、対向する内側面同士を結ぶ梁17aが形成されている。また、堰17の内側面には、梁17aが形成された高さと同じ高さとなる位置であって、堰17の内側面の全周に渡って突出する受け部17bが形成されている。
ハンドル14は、帯状に成形されて可撓性を有する樹脂製の部品である。ハンドル14の両端は、閉塞板13に形成された挿入口13aに挿入される。ハンドル14の端部は、図15に示すように、挿入口13aからの抜け落ちを防ぐために返し部14aが形成されており、T字状の断面形状を呈している。返し部14aが挿入口13aに引っ掛かることで、ハンドル14の抜け落ちが防がれる。挿入口13aから挿入されたハンドル14の端部は、閉塞板13と梁17aとの間に収容される。ハンドル14の両端が挿入口13aに挿入されることで、ハンドル14が給気側フィルタユニット10に固定され、閉塞板13とハンドル14との間に隙間が形成される。
蓋部18は、梁17aおよび受け部17b上に設けられて、堰17の内側を塞ぐ。蓋部18は、断熱性の材料で形成された断熱部材である。蓋部18は、梁17aおよび受け部17bに貼付されていてもよい。蓋部18は、例えばポリエチレン系のフォーム剤が用いられる。蓋部18の厚さは、例えば10mmである。発泡形態は独立発泡となっており、フォーム内の気泡が独立構造となっている。
図17は、フィルタ保持枠に第2給気フィルタを装着した状態の分解斜視図である。図18は、フィルタ保持枠を給気流の流出面側から見た分解斜視図である。図19は、フィルタ保持枠を給気流の流入面側から見た分解斜視図である。図20は、図17に示すC部分を拡大した部分拡大図である。図21は、フィルタ保持枠を装着する前の給気側フィルタユニットの部分分解斜視図で、引っ掛け爪部で断面を切った断面図である。図22は、フィルタ保持枠を装着した後の給気側フィルタユニットの部分分解斜視図で、引っ掛け爪部で断面を切った断面図である。フィルタ支持枠15は、閉塞板13と一体に形成されている。フィルタ支持枠15には、フィルタ保持枠16が取り付けられる。
給気側フィルタユニット10をケーシング2から引き出す際には、閉塞板13に付いている4箇所の止め具13bを90度回転させることで止め具13bが外れ、給気側フィルタユニット10が引き出せる状態になる。その後、給気側フィルタユニット10のハンドル14に手を掛けて下に引き出すことで、ケーシング2から給気側フィルタユニット10を引き出すことができる。
図18,19に示すように、フィルタ保持枠16は、樹脂製の成形品で、収納側枠(第1枠部材)16aとふた側枠(第2枠部材)16bとがヒンジ構造で連結されている。収納側枠16aとふた側枠16bは、給気流を通過させる給気流通過口(気流通過口)110が形成された枠型形状の部材である。収納側枠16aには、第1給気フィルタ12aが収められる。収納側枠16aに第1給気フィルタ12aを収めた状態で、フィルタ保持枠16をヒンジ構造部分で折り曲げることで、ふた側枠16bが収納側枠16aと重なって、第1給気フィルタ12aがフィルタ保持枠16に保持される。すなわち、収納側枠16aとふた側枠16bとの間に第1給気フィルタ12aが収容される。ふた側枠16bの給気流通過口110には、ネットフィルタ16cが一体となるようにインサート成形されている。
収納側枠16aの気流通過口110部分には、第1給気フィルタ12aが外へはみ出さないように複数の外れ防止リブ106が形成されている。これは、給気流通過口110が複数の開口で形成されているとも換言できる。外れ防止リブ106を形成することで、フィルタ保持枠16に第2給気フィルタ12bを取り付けた際に、第1給気フィルタ12aと第2給気フィルタ12bとが干渉しないようにする効果がある。また、外れ防止リブ106を設けたことにより、フィルタ保持枠16の変形を抑える補強効果がある。また、樹脂成形で製作する際に樹脂が金型に流れやすくなる効果もある。また、ふた側枠16bの給気流通過口110部分にも外れ防止リブ106が形成されている。ふた側枠16bに形成される外れ防止リブ106には、ネットフィルタ16cのたわみを抑える補強効果もある。
収納側枠16aとふた側枠16bを閉じる構造は、図20で示される。図20(a)では、収納側枠16aについている止め部16dとふた側枠16bについている止め部用突起16eとが当接し、ふた側枠16bについている止め部16fが収納側枠16aについている止め部用突起16gと当接するまで、ヒンジ構造部分が折り曲げられている。そこからさらに、図20(b)で示すように、止め部16dに止め部用突起16eを乗り越えさせ、止め部16fに止め部用突起16gを乗り越えさせることで、止め部16dが止め部用突起16eに引っ掛かり、止め部16fが止め部用突起16gに引っ掛かって、収納側枠16aとふた側枠16bとが閉じられる。
第2給気フィルタ12bは、フィルタ保持枠16の収納側枠16aの外側に設けられた「くの字」形状のガイドリブ101aとガイドリブ101bの間にスライド収納される。第2給気フィルタ12bの挿入方向(ガイドリブ101a,101bの長手方向)におけるガイドリブ101a,101bの一端側には、ストッパリブ102a,102bが形成される。ガイドリブ101a,101bに挿入された第2給気フィルタ12bは、ストッパリブ102a,102bに当接することで、それ以上のスライドが規制されて、フィルタ保持枠16に対する位置決めがなされる。
ここで、フィルタ保持枠16の外側に、第2給気フィルタ12bを保持するためのガイドリブ101a,101bのような「くの字」形状のリブを設けようとする場合、成形金型をスライド金型にしなければ成形することが困難であった。そのため、第2給気フィルタ12bを保持するための枠部材を、フィルタ保持枠16とは別部品で構成することが一般的であった。
一方、本実施の形態では、フィルタ保持枠16の収納側枠16aのうち、給気流を通過させる開口の縁に沿ってガイドリブ101a,101bが立設されている。そのため、開口を通して金型を取り外すことができるので、スライド金型のような特別な金型を使用せずに、ガイドリブ101a,101bを収納側枠16a(フィルタ保持枠16)に形成することができる。これにより、1つの枠部材(フィルタ保持枠16)に、第1給気フィルタ12aと第2給気フィルタ12bの2つのフィルタを保持させることができる。したがって、給気側フィルタユニット10からの第1給気フィルタ12aと第2給気フィルタ12bの取り外し作業を一度の動作で行うことができ、フィルタの取り外し作業の容易化を図ることができる。
なお、フィルタ保持枠16の内側に第2給気フィルタ12bを収納する構造とせず、外側に第2給気フィルタ12bを収納する構造としている理由は、第2給気フィルタ12bがオプションフィルタとして用いられることを想定しているからである。具体的には、ふた側枠16bに設けられたネットフィルタ16cで埃などの粒子径の大きな粗塵を捕集し、次にフィルタ保持枠16の内側に収められた第1給気フィルタ12aによってより細かい粒子を捕集する。そして、第1給気フィルタ12aよりも下流に設けられる第2給気フィルタ12bは、オプションフィルタとして、さらに細かな窒素酸化物(NOx)などを吸収する。このようなオプションフィルタは、使用者の要望に応じて取付ける場合と取付けない場合とがあるため、フィルタ保持枠16の外側に保持させている。
第2給気フィルタ12bをフィルタ保持枠16の内側に収納する構造にしてしまうと、第2給気フィルタ12bを取付けなかった場合に、第1給気フィルタ12aのみがフィルタ保持枠16の内側に収納されることになる。この場合、フィルタ保持枠16の内側に空間ができてしまい、第1給気フィルタ12aがフィルタ保持枠16内で不安定になってしまう。そこで、本実施の形態では、必須となる第1給気フィルタ12aのみをフィルタ保持枠16の内側に収納し、オプションフィルタである第2給気フィルタ12bを外側に任意に取り付け可能としている。
また、第1給気フィルタ12aと第2給気フィルタ12bの清掃頻度が異なる場合、例えば第1給気フィルタ12aより第2給気フィルタ12bの方の清掃頻度が多い場合には、第2給気フィルタ12bのみをフィルタ保持枠16から取り外すことができる。
また、本実施の形態では、第2給気フィルタ12bを上から挿入する例を示しているが、ガイドリブ101a,101bを長辺方向に沿って形成し、ストッパリブ102a,102bを短辺方向に形成すれば、横方向から挿入する構成とすることもできる。
第1給気フィルタ12aの横幅の長さは、ガイドリブ101aとガイドリブ101bの間にできる挿入口の横幅の長さより長くなっている。そのため、第1給気フィルタ12aを、収納側枠16aの外側にあるガイドリブ101aとガイドリブ101bの間に挿入することができない。したがって、第1給気フィルタ12aを誤った位置に取付けてしまうことを防止することができる。一方、第2給気フィルタ12bは、収納側枠16aの内側に収納可能であるが、残っている第1給気フィルタ12aの取付けができないことによって、第2給気フィルタ12bの取り付け位置が誤っていたことに気付くことができる。
また、第1給気フィルタ12aは、第2給気フィルタ12bよりも上流側にあり、第2給気フィルタ12bよりも粗い粒子を捕集することから、目詰まりによる圧力損失の上昇が起こりやすいが、第1給気フィルタ12aの幅を大きくすることで表面積が大きくなり、圧力損失上昇を抑える効果がある。
収納側枠16aの内側の外周部には、係合凸部107が形成されている。また、ふた側枠16bの内側の外周部には、係合凹部108が形成されている。係合凸部107が係合凹部108に嵌め込まれることにより、収納側枠16aとふた側枠16bとの嵌合が確実となり風漏れを抑制できる。また、収納側枠16aの成形品の反りなどによる変形を抑制することができる。
なお、フィルタ保持枠16内に収まる第1給気フィルタ12aを1つのフィルタとした例を挙げて説明しているが、第1給気フィルタ12aとして複数のフィルタをフィルタ保持枠16内に収めてもよい。
次に、フィルタ保持枠16をフィルタ支持枠15に取り付ける方法を説明する。まず、フィルタ保持枠16に形成されている引掛けリブ103a,103bを、それぞれフィルタ支持枠15に形成されている引掛けリブ受け501a,501bに引っ掛ける。その後、フィルタ保持枠16に形成された引掛け爪受け104a,104bを、それぞれフィルタ支持枠15に形成されている引掛け爪502a,502bに引っ掛けることで、フィルタ保持枠16がフィルタ支持枠15に装着される。なお、フィルタ保持枠16における引掛けリブ103a,103bと引掛け爪受け104a,104bとの上下位置、およびフィルタ支持枠15における引掛けリブ受け501a,501bと引掛け爪502a,502bとの上下位置が逆になっていてもよい。
図21,22において斜線で示されるパッキン16hは、フィルタ保持枠16とフィルタ支持枠15を組み合わせた後に、フィルタ保持枠16とフィルタ支持枠15との間の隙間から塵埃が漏れて通過しないように、フィルタ保持枠16のふた側枠16bの外側に取り付けられたパッキンである。フィルタ支持枠15の当たり面503にフィルタ保持枠16につけられたパッキン16hが当たることで、フィルタ保持枠16とフィルタ支持枠15との間にできる隙間が塞がれる。
なお、複数のフィルタを保持する保持枠(フィルタ保持枠16)を、熱交換給気風路27に設ける例を挙げて説明しているが、同様の構造を持つ保持枠を熱交換排気風路26に設けてもよい。
また、ガイドリブ101a,101bおよびストッパリブ102a,102bは、オプションフィルタである第2給気フィルタ12bを保持するリブである。オプションフィルタは、メインフィルタである第1給気フィルタ12aよりも下流側に設けられるのが一般的である。そのため、本実施の形態で説明した例とは逆に、ふた側枠16bが下流側に配置される場合には、ふた側枠16bに各リブを形成すればよい。また、収納枠側16aとふた側枠16bの両方にガイドリブ101a,101bおよびストッパリブ102a,102bを設けておいてもよい。
閉塞板13の外側は、断熱材19で覆われている。断熱材19は、例えば発砲スチロール製の板部材である。断熱材19には、閉塞板13の挿入口13aと重なる位置に開口19aが形成されており、ハンドル14の端部を貫通させることが可能となっている。閉塞板13の外側が断熱材19で覆われることで結露が抑制される。
このような給気側フィルタユニット10によれば、閉塞板13の挿入口13aが堰17によって囲まれているので、熱交換給気風路27や熱交換素子3で発生した結露水が閉塞板13上に溜まっても、堰17に遮られることで、挿入口13aを通してケーシング2外に漏れにくくなる。また、閉塞板13上に溜まった結露水は、熱交換給気風路27を通過する給気流によって蒸発しやすいため、堰17を越えるほど溜まる前に蒸発することがほとんどである。
また、堰17の内側が断熱性の蓋部18によって塞がれているので、挿入口13aを通して給気流がケーシング2の外部に漏れるのを抑えることができる。また、ハンドル14に給気流が触れにくくなるため、ハンドル14の表面での結露の発生を抑えることができる。また、蓋部18に用いられるフォーム内の気泡が独立構造となっているため、水の侵入や空気による伝熱を抑えることができる。これにより、気泡を通して給気流がケーシング2の外部に漏れることをより確実に抑えることができる。また、蓋部18上に水滴が付着した場合にも、気泡を通して水滴がケーシング2の外部に漏れることを抑えることができる。
また、蓋部18は、堰17の内側に設けられた梁17aと受け部17b上に載置または貼付されるので、蓋部18が外れにくくなる。また、ハンドル14の端部が、閉塞板13と梁17aの間に収容されるので、ハンドル14の端部の姿勢が変化しても、梁17aに遮られて蓋部18に接触しにくくなる。したがって、蓋部18が外れることをより確実に防ぐことができる。
また、閉塞板13および断熱材19とハンドル14との間に隙間が形成されるので、その隙間に手指を差し込んでハンドル14を掴むことができるので、給気側フィルタユニット10を安定して把持することができる。また、ハンドル14の端部に形成された返し部14aによってハンドル14が挿入口13aから抜け落ちるのが防がれるので、より安定した給気側フィルタユニット10の把持が可能となる。
なお、ハンドルによる安定した把持の実現や、結露水の漏れの防止を図る構成は、排気側フィルタユニット9に適用してももちろん構わない。
次に、本実施の形態にかかる熱交換換気装置1を一般的な住居の換気装置として適用した場合の適用例について説明する。一般的な住居では、排気を行う部屋として、トイレと浴室が上げられる。そのうち、第1の室内側吸込口21をトイレの換気口につながるダクトと接続する。また、第2の室内側吸込口23を浴室の換気口につながるダクトと接続する。また、室外側吹出口22は、屋外につながるダクトと接続する。また、室外側吸込口24は、屋外につながるダクトと接続し、室内側吹出口25は、居室等の給気口とつながるダクトと接続する。
このように、住居内の部屋および屋外と熱交換換気装置1とを接続することで、トイレから排気する室内空気を熱交換排気風路26に通し、屋外から取り込む室外空気を熱交換給気風路27に通すことができる。したがって、室内空気と室外空気とを熱交換素子3に通過させて、熱交換を行わせながら換気を行うことができる。
浴室の使用後に浴室内を乾燥させたい場合以外では、浴室から排出すべき空気の量は、トイレ等から排出すべき空気の量よりも少ないのが一般的である。そこで、例えば24時間換気における通常時は、図8に示すように、熱交換排気風路26の開度を大きくして、トイレ等からの空気の排気量を大きくする。
浴室の使用後に浴室内を乾燥させる場合には、図9に示すように、直接排気風路28の開度を大きくして、浴室からの排気量を大きくし、浴室内の乾燥の迅速化が図られる。直接排気風路28の開度が大きくされている間は、排気送風機4の出力を大きくして、浴室内の乾燥の一層の迅速化を図る制御を行ってもよい。
以上説明した適用例によれば、浴室から排気される湿度の高い空気を、熱交換素子3を通過させずに屋外に直接排気させることができる。浴室からの湿度の高い空気が熱交換素子3を通過しないので、熱交換素子3で結露が発生しにくくなる。
ここで、熱交換素子3には、排気通路31と給気通路32とを仕切る仕切部材が紙製のものがある。仕切部材が紙製の熱交換素子は、結露によって発生した水分によって劣化しやすく、熱交換効率が低下しやすい。しかしながら、直接排気風路28を通して浴室からの排気を行うことで、熱交換素子3に結露が発生しにくいので、仕切部材が紙製の熱交換素子を用いることができる。
水分によって熱交換効率が低下しにくい熱交換素子としては、仕切部材が樹脂製のものがある。一般的に、樹脂製の熱交換素子よりも紙製の熱交換素子のほうが、熱交換効率が高くなる。したがって、紙製の熱交換素子を用いることで、熱交換換気装置1の熱交換効率の向上を図ることができる。
また、浴室から排気される空気には、石鹸や洗髪剤の臭い、浴室内で衣類を乾燥させる際の洗剤の臭いなどが含まれやすい。熱交換素子では、排気流の一部が給気流に混入してしまう場合がある。浴室から排気される空気を熱交換素子に通した場合、排気流が給気流に混入することで、石鹸等の臭いが給気流とともに居室に漏れてしまい、居室内にいる人に不快感を与えてしまう場合がある。本実施の形態では、浴室からの排気を直接排気風路28から行うことができるので、臭いを含んだ浴室からの排気を、熱交換素子3を通さずに排出することができる。したがって、浴室からの臭いが居室に漏れることを抑制することができる。
なお、一般的に、室内から排気されるすべての空気を熱交換素子3に通過させたほうが、熱交換効率は高くなる。本実施の形態では、直接排気風路28に接続された浴室から排気される空気は熱交換素子3を通過しないため、熱交換効率が低下してしまうとも考えられる。ここで、本実施の形態では、直接排気風路28がケーシング2内の室外側領域のみに形成されている。これは、直接排気風路28を、室内側領域から室外側領域に跨らせて形成する必要がない、と換言することができる。従来の熱交換換気装置では、熱交換素子を迂回する風路として、室内側領域から室外側領域に跨るバイパス風路が形成されていた。このような熱交換換気装置では、バイパス風路を跨らせるために、熱交換素子の設置スペースが制限されてしまい、その分だけ熱交換素子を小さくする必要があった。
一方、本実施の形態では、熱交換素子3を通さずに排気させる直接排気風路28が、室外側領域のみに形成されているため、熱交換素子3を迂回するための風路を形成する必要がない。したがって、本実施の形態にかかる熱交換換気装置1では、バイパス風路が形成された熱交換換気装置よりも、大きな熱交換素子3を用いることができる。例えば、図8,9に示すように、ケーシング2の天面2aや底面2bと熱交換素子3との間隔を小さくし、図7に示すように、ケーシング2の側面2cと熱交換素子3との間隔を小さくして、より大きな熱交換素子3を用いることができる。より大きな熱交換素子3を用いることで、熱交換効率の向上を図ることができる。また、上述したように、仕切部材が紙製の熱交換素子3を用いることで、より一層の熱交換効率の向上を図ることができる。
すなわち、本実施の形態では、室内から排気される空気の一部を直接排気風路28から排出することで低下してしまう熱交換効率を、熱交換素子3のサイズや材質によって補うことができる。これにより、室内から排気される空気のすべてを熱交換素子に通過させる場合と同等またはそれ以上の熱交換効率を得ることが可能となる。
また、熱交換排気風路26と直接排気風路28との合流部分、すなわち排気送風機4のベルマウス4bへの吸込部分にダンパー8を設けているので、合流部分よりも上流側、例えば第1の室内側吸込口21や第2の室内側吸込口23にダンパーを設ける場合よりも、ダンパーの数を減らすことができる。
また、第2の室内側吸込口23がケーシング2の複数の面に形成されているので、熱交換換気装置1が設置される場所の状況に応じて、ダクトの接続位置を選択することが可能となり、施工性の向上を図ることができる。
また、熱交換素子3は、排気流入口3aと給気流出口3dとが斜め下方を向けてケーシング2内に配置されている。そのため、ケーシング2の室内側領域では、熱交換排気風路26を底面2b側に形成することができる。これにより、排気側フィルタユニット9をケーシング2の底面2bから挿入することで、熱交換排気風路26において熱交換素子3よりも上流側に排気フィルタ11を取り付けることが可能となる。
また、ケーシング2の室外側領域では、熱交換給気風路27を、熱交換素子3への流入部分で底面2b側に形成することができる。これにより、給気側フィルタユニット10をケーシング2の底面2bから挿入することで、熱交換給気風路27において熱交換素子3よりも上流側に給気フィルタ12を取り付けることが可能となる。
このように、ケーシング2の底面2bからの各フィルタユニット9,10の挿抜によって、各フィルタ11,12の着脱を行うことができるので、例えば天井面に形成された点検口から容易にフィルタ11,12の着脱を行うことが可能となる。一方、本実施の形態とは逆に、排気流入口3aと給気流出口3dとが斜め上方を向くように熱交換素子3が配置された場合には、各フィルタ11,12を天面2a側に取り付ける必要が生じる。そのため、底面2b側からの挿抜だけでフィルタ11,12を着脱させることは困難となる。
なお、本実施の形態では、図8と図9に示すように、ダンパー8によって熱交換排気風路26と直接排気風路28との開度の大小を切り替えているが、いずれか一方の風路を完全に閉塞するように構成しても構わない。