JP2015156343A - 面状発熱体 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性繊維で構成された織編物を発熱部として備え、この発熱部の所望の場所に電極部が形成されている面状発熱体を提供する。
【解決手段】前記面状発熱体は、導電性繊維11を発熱糸として含む織編物で構成された発熱部12と、この発熱部12を通電するための少なくとも一対の電極部13とで構成されている。導電性繊維11は、導電剤を含有および/または担持している有機繊維であり、電極部13は、前記織編物の所望の位置に縫い込まれた第1の金属繊維で構成された第1の電極部14と、この第1の金属繊維を覆っている第2の金属繊維で構成された第2の電極部16とで構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、導電性繊維で構成された織編物を発熱部として備え、この発熱部の所望の場所に電極部を形成することができる面状発熱体に関する。
面状発熱体は、シート状の発熱面から全体的に熱を放射することができるため、凍結防止用途、除霜用途、防湿用途、保温用途、加温用途などの各種用途において利用されている。その中でも、繊維構造体を発熱部として有する面状発熱体は、柔軟性や耐屈曲性に優れるだけでなく、軽量で、厚さを薄くすることが可能であるため、ファブリックヒーターとして利用することが可能である。
このような面状発熱体として、例えば特許文献1(特開2010−192218号公報)には、導電性繊維を含む織編物で形成された発熱部と、この発熱部を通電するための電極部とで構成された面状発熱体であって、前記導電性繊維が、有機繊維と、この有機繊維の表面を被覆するカーボンナノチューブとを含む面状発熱体が開示されている。
また、特許文献2(特開2013−191551号公報)には、導電性繊維を含む繊維構造体で形成された発熱部と、この発熱部に通電するための電極部とで形成された面状発熱体であって、前記電極部が導電剤及びバインダー成分を含む面状発熱体が開示されている。
これらの文献では、柔軟性を有する導電性繊維で発熱部を形成することにより、柔軟性や耐屈曲性に優れるだけでなく、軽量で、厚さの薄い面状発熱体を得ることが可能である。
特開2010−192218号公報 特開2013−191551号公報
特許文献1および2では、高い発熱性を有する面状発熱体を得ることが可能であるが、電極方向が長い場合の電圧降下を抑制することについては何ら記載されていない。また、特許文献2では、導電剤およびバインダーを用いて電極部を発熱部に固着しているため、一旦固着された電極部について、発熱部を破壊せずに位置変更することは困難である。
したがって、本発明の目的は、電極方向が長い場合の電圧降下を抑制することが可能な面状発熱体を提供することである。
本発明の別の目的は、上述の目的に加え、電極部の位置変更を可能にするとともに、取り付けた後は、発熱部に対して電極部を強固に固定することが可能な面状発熱体を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、導電性繊維を発熱糸として含む織編物に対し、第1の金属繊維を縫製により縫い込むとともに、さらにこの第1の金属繊維を、別の第2の金属繊維によって覆い、第1の金属繊維と第2の金属繊維とを通電可能な状態にすると、(i)第1の金属繊維が縫目を形成する際に、織編物表面だけでなく、織編物内部においても導電性繊維と接触することが可能であること、(ii)第1の金属繊維を覆う第2の金属繊維により電極部全体の通電性を向上できること、それにより、(iii)電極部が局部的に発熱するのを抑制できるとともに、(iv)電極方向が長い面状発熱体であっても、電極方向に生じる電圧降下現象を抑制することが可能であること、さらに(v)電極部として、第1の金属繊維および第2の金属繊維を縫製により取り付けている場合、一旦金属繊維を織編物に対して取り付けた場合であっても、織編物に対して実質的にダメージを与えることなく電極部を除去することが可能であるだけでなく、電極部を別の場所へ再度強固に取り付けることが可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、導電性繊維を発熱糸として含む織編物で構成された発熱部と、この発熱部を通電するための少なくとも一対の電極部とで構成された面状発熱体であって、
前記導電性繊維が、導電剤を含有および/または担持している有機繊維であり、
前記電極部が、前記織編物の所望の位置に縫い込まれた第1の金属繊維で構成された第1の電極部と、第1の金属繊維を覆い、第1の金属繊維と通電可能な第2の金属繊維で構成された第2の電極部とで構成されている面状発熱体である。
前記面状発熱体において、第1の金属繊維は、本縫い、千鳥縫い、単環縫い、二重環縫い、縁かがり縫い、および偏平縫いからなる群から選択される少なくとも1種の縫目により第1の電極部を形成していてもよい。
また、第1の電極部は、第2の金属繊維の帯状物により覆われていてもよい。また、第2の金属繊維は、糸で発熱部に抑え止めされていてもよい。
好ましい導電性繊維は、カーボンナノチューブを担持している有機繊維である。また、第1の金属繊維がステンレス糸であり、第2の金属繊維が平編銅線であってもよい。
前記第2の電極部に対して、接続端子がはんだ付けされていてもよい。また、電極部として、陽極と陰極が少なくとも一対配設され、互いが略平行に配置されているのが好ましい。
本発明において、「第1の金属繊維を覆い、第1の金属繊維と通電可能な第2の金属繊維」とは、第2の金属繊維が第1の金属繊維の発熱部表面における露出部分の少なくとも一部(好ましくは全体)を覆うことにより、第2の金属繊維が第1の金属繊維に対して通電可能な状態であることを意味している。
本発明の面状発熱体では、織編物で形成された発熱部に対して、第1の金属繊維を縫い込むだけでなく、その第1の金属繊維を第2の金属繊維により覆い、第1の金属繊維と第2の金属繊維とを通電可能とすることにより、電極部における局部的な発熱を抑制できるとともに、電極方向が長い場合の電圧降下を抑制することが可能である。さらに、電極部として、第1の金属繊維および第2の金属繊維を縫製により発熱部に対して取り付けている場合、発熱部を破壊することなく電極部の位置変更が可能であるとともに、取り付けた後は、発熱部に対して電極部を再度強固に固定することができる。
この発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明から、より明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、この発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。この発明の範囲は添付の請求の範囲によって定まる。
本発明の一実施形態に係る面状発熱体を説明するための概略概念図である。 (a)は、図1の面状発熱体において、一対の電極部に対して、給電手段および電源が接続された状態を示すための概略平面図であり、(b)は、(a)におけるI−I線に沿う概略断面図である。 図3は、図1の面状発熱体において、第1の金属繊維および導電性繊維の状態を説明するための要部概略断面図である。 本発明の別の実施形態に係る面状発熱体において、第1の金属繊維、第2の金属繊維、および発熱部の状態を説明するための要部概略断面図である。(a)は発熱部の一方の面において、第2の金属繊維が第1の金属繊維を覆う実施形態を説明するための概略断面図であり、(b)は、発熱部の双方の面において、それぞれ、第2の金属繊維が第1の金属繊維を覆う実施形態を説明するための概略断面図である。 本発明の別の実施形態に係る面状発熱体において、第1の金属繊維、第2の金属繊維、および発熱部の状態を説明するための要部概略断面図である。(a)は発熱部の一方の面において、第2の金属繊維が第1の金属繊維を覆う実施形態を説明するための概略断面図であり、(b)は、発熱部の双方の面において、それぞれ、第2の金属繊維が第1の金属繊維を覆う実施形態を説明するための概略断面図である。 本発明の別の実施形態に係る面状発熱体を説明するための概略断面図である。 本発明のさらに別の実施形態に係る面状発熱体を説明するための概略平面図である。
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。ただし、本発明は、図示の形態に限定されるものではない。
まず、図1〜3を利用して、本発明の原理を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る面状発熱体を説明するための概念図である。図2(a)は、図1の面状発熱体において、一対の電極部に対して、給電手段および電源が接続された状態を示すための概略平面図であり、図2(b)は、図2(a)におけるI−I線に沿う概略断面図である。図3は、第1の金属繊維が導電性繊維を縫目により挟み込む様子を説明するための要部概略断面図である。
図1に示すように、面状発熱体10は、導電性繊維11を発熱糸として備える発熱部12と、この発熱部12に縫い込まれている第1の金属繊維で形成された第1の電極部14と、この第1の金属繊維と通電可能な状態で、第1の金属繊維を覆っている第2の金属繊維で形成された第2の電極部16とを備えている。面状発熱体10において、電極部13は、第1の電極部14および第2の電極部16で構成されており、電極部13は、面状発熱体10の長手方向Lに延びている。また、この実施形態において、発熱部12は織物で形成されており、織物には、幅方向Wに導電性繊維11が織物の構成繊維の一部として配設され、電極部13,13と交わっている。なお、導電性繊維は、電極と直交する方向(幅方向W)に、複数本が等間隔で略並列に配置されているが、便宜上、一本だけを図示している。
図1において、第1の電極部14は、複数本の第1の金属繊維が長手方向において互いに略並列に配置されている。また、第2の電極部16として、第2の金属繊維の帯状物が、長手方向において第1の電極部14全体を覆うように配設されている。この帯状物は有機繊維糸により、発熱部に対して抑え止めされている。
また、図2(a)に示すように、面状発熱体10において、第1の電極部14および第2の電極部16で構成された電極部13は、一対の電極部13,13として、リード線などの給電手段17,17にそれぞれ接続されている。そして、給電手段17,17は電源18に接続されることにより、通電し、面状発熱体へ電気を供給する。
また、図2(b)に示すように、第1の金属繊維は、発熱部12に対して縫い込まれているため、発熱部12の内部にも存在している。そして、第2の金属繊維は、第1の金属繊維を覆うため、発熱部12表面において、第1の金属繊維の延出方向に沿って配設されている。
また、図3に示すように、第1の電極部14を形成する第1の金属繊維は、上糸14aおよび下糸14bとしてミシンの本縫いにより取り付けられているため、織編物の中の導電性繊維11を上糸14aと下糸14bによって挟み込み、金属繊維の導電性繊維への接触性を向上させている。
電源から給電手段へ電気が供給されると、一対の電極部13,13は、第1の電極部14および第2の電極部16の双方によって導電性繊維へ通電することが可能であり、このような通電によって、面状発熱体10は、電極方向に長い場合であっても、給電手段からの電圧降下を抑制しつつ、発熱することが可能である。
(発熱部)
発熱部は、導電性繊維を発熱糸として含む織編物で構成されている。導電性繊維は、織編物を構成するための少なくとも一本の織編糸として用いられている。
(導電性繊維)
導電性繊維としては、導電剤をその内部に含有および/またはその外部に担持している有機繊維が用いられる。
有機繊維は、たとえば、天然繊維(綿、麻、ウール、絹など)であってもよく、導電剤を混和可能な繊維形成性材料から得られる繊維、再生繊維(レーヨン、キュプラなど)、半合成繊維(アセテート繊維など)、合成繊維であってもよい。導電剤との密着性などの点から、少なくとも合成繊維を含むのが好ましい。
合成繊維は、繊維形成性の合成樹脂又は合成高分子材料(合成有機重合体)を用いて形成した繊維であり、一種の合成有機重合体(以下単に「重合体」ということがある)から形成されている単独紡糸繊維であってもよいし、二種以上の重合体から形成されている混合紡糸繊維(ブレンドファイバー)、二種以上の重合体が相分離構造を有している複合紡糸繊維(例えば、貼合せ構造、海島構造、芯鞘構造、サイドバイサイド型、放射型、またはこれらの組み合わせからなる複合紡糸繊維)などであってもよい。
例えば、各種重合体から形成される繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、アクリル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、高強力・高弾性繊維(例えば、液晶ポリエステル系繊維、液晶ポリエステルアミド系繊維、アラミド繊維、高強力ポリエチレン繊維、PBO繊維など)などが挙げられる。これらの合成繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの合成繊維のうち、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系重合体、高強力・高弾性繊維などで構成された繊維が、導電剤の付着性が良好であり、しかも耐屈曲疲労性に優れる点から好ましい。なかでも、汎用性を有する点から、ポリエステル系樹脂(特に、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリC2-4アルキレンテレフタレート系樹脂)、ポリアミド系樹脂(特に、ポリアミド6、ポリアミド66などの脂肪族ポリアミド系樹脂)、ポリオレフィン系樹脂(特に、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂)で構成された繊維が多用され、特にポリエステル系繊維が熱安定性および寸法安定性が良好である点からより好ましい。
繊維の横断面形状は特に制限されず、丸形断面(まゆ形も含む)を有する通常の繊維であってもよく、丸形断面以外の異形断面を有する繊維であってもよい。異形断面繊維である場合は、その横断面形状は、例えば、方形、多角形、三角形、中空形、偏平形、多葉形、ドッグボーン型、T字形、V字形などのいずれであってもよい。
繊維形態としては、紡績糸、フィラメント糸(モノフィラメント糸、双糸、マルチフィラメント糸)、複合糸(カバーヤーン、コアヤーン)、テープヤーン、及びそれらを組み合わせた合糸などのいずれであってもよい。また、繊維は、無撚糸であってもよく、撚糸(例えば、片撚り糸、諸撚り糸、交撚糸など)であってもよい。
このような有機繊維に対し、導電剤を内部に含有させ、または外部に担持させることにより、有機繊維に対して導電性を付与することができる。
導電剤を内部に含有させる場合、有機繊維を形成するための繊維形成材料に対し、紡糸工程において導電剤を混和することにより、有機繊維に対して導電性を与えることが可能である。導電性を有する限り、有機繊維中の導電剤の存在箇所は特に限定されないが、導電性を高くする観点から、繊維表面に少なくとも導電剤の一部が露出しているのが好ましい。
導電剤を繊維外部に担持させる場合、導電剤は、コーティングなどにより有機繊維に対して付着させることが可能である。
(導電剤)
有機繊維に対して導電性を付与するための導電剤としては、面状発熱体として発熱可能な導電性を付与できる限り特に限定されず、有機系導電剤(例えば、ポリチオフェン系、ポリアセチレン系、ポリアニリン系、ポリピロール系など)であってもよいが、高い導電性を付与する観点から無機系導電剤が好ましい。導電剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
無機系導電剤としては、例えば、炭素類(例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、人造黒鉛、膨張黒鉛、天然黒鉛、カーボンナノチューブ、フラーレンなど)、金属単体又は合金(例えば、銀、金、銅、クロム、ニッケル、鉄、マグネシウム、アルミニウム、白金、亜鉛、マンガン、タングステン、ステンレスなど)、金属化合物又はセラミックス類(例えば、硫化銅、フェライト、トルマリン、珪藻土など)などが挙げられる。
これらの無機系導電剤のうち、導電性に優れるため、銀、金、銅、アルミニウムなどの金属を含む金属系導電剤、カーボンブラックやカーボンナノチューブなどの炭素系導電剤が汎用され、導電性に優れるとともに耐久性や耐腐食性に優れるため、カーボンナノチューブが特に好ましい。
カーボンナノチューブは、特徴的な構造として、炭素の六員環配列構造を有する1枚のシート状グラファイト(グラフェンシート)が円筒状に巻かれた直径数nm程度のチューブ状構造を有する。このグラフェンシートにおける炭素の六員環配列構造には、アームチェア型構造、ジグザグ型構造、カイラル(らせん)型構造などが含まれる。前記グラフェンシートは、炭素の六員環に五員環または七員環が組み合わさった構造を有する1枚のシート状グラファイトであってもよい。カーボンナノチューブとしては、1枚のシート状グラファイトで構成された単層カーボンナノチューブの他、前記筒状のシートが軸直角方向に複数積層した多層カーボンナノチューブ(カーボンナノチューブの内部にさらに径の小さいカーボンナノチューブを1個以上内包する多層カーボンナノチューブ)、単層カーボンナノチューブの端部が円錐状で閉じた形状のカーボンナノコーン、内部にフラーレンを内包するカーボンナノチューブなどが知られている。これらのカーボンナノチューブは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのカーボンナノチューブのうち、カーボンナノチューブ自体の強度の向上の点から、多層カーボンナノチューブが好ましい。さらに、放射線吸収性の点から、グラフェンシートの配列構造は、アームチェア型構造が好ましい。
導電剤の形状は、例えば、粒子状(粉末状)、板状(又は鱗片状)、繊維状、不定形状などであってもよい。これらの形状のうち、略球状や多角体状などの粒子状、繊維状などが汎用され、発熱部を構成する繊維構造体の繊維間空隙に入り込み、導電性繊維と電極との接触不良を抑制できる点から、粒子状が好ましい。
導電剤が粒子状である場合、導電剤の平均粒径(カーボンナノチューブなどの異方形状の場合、長径と短径との平均径)は、10nm〜100μm程度の範囲から適宜選択でき、電極の機械的特性や導電性などの点から、例えば、0.3〜80μm、好ましくは0.5〜50μm、さらに好ましくは1〜40μm(特に3〜50μm)程度であってもよく、炭素系導電剤(炭素質粒子)の場合、例えば、10〜500nm、好ましくは20〜300nm、さらに好ましくは30〜100nm(特に40〜80nm)程度であってもよい。
導電剤は、分散媒および/またはバインダーなどと組み合わせて、有機繊維の表面にコーティング層を形成してもよい。なお、紡績糸やマルチフィラメント糸などの内部に導電剤を付着させる観点から、コーティングによる付着処理の際に、微振動を利用して付着させるのが好ましい。
バインダーとしては、慣用の接着性樹脂、例えば、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが例示できる。これらの接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
バインダーの割合は、導電剤を繊維表面に円滑に付着させる点から、導電剤100質量部に対して、例えば、50〜400質量部、好ましくは60〜350質量部、さらに好ましくは100〜300質量部 (特に100〜200質量部)程度であってもよい。
なお、導電剤としてカーボンナノチューブを用いる場合、有機繊維の表面とカーボンナノチューブとは、互いの親和性により付着可能であるため、バインダーを用いることなくカーボンナノチューブによるコーティング層を形成してもよい。そのような場合、カーボンナノチューブは、分散液中に分散させた状態で繊維に適用することが可能である。カーボンナノチューブを繊維に対して適用する方法については、例えば、特開2010−192218号公報に記載されている。
特に、繊維がポリエステル系繊維である場合、ポリエステル系繊維とカーボンナノチューブとの親和性が高いため、バインダーを用いなくてもカーボンナノチューブをポリエステル繊維の繊維表面に強固に付着することが可能であり、また、少量のバインダーを用いることでカーボンナノチューブの繊維表面への付着強度を一層高くすることもできる。
コーティング層は、必要に応じて、慣用の添加剤、例えば、表面処理剤(例えば、シランカップリング剤などのカップリング剤など)、着色剤(染顔料など)、色相改良剤、染料定着剤、光沢付与剤、金属腐食防止剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、分散安定化剤、増粘剤又は粘度調整剤、チクソトロピー性賦与剤、レベリング剤、消泡剤、殺菌剤、充填剤などを含んでいてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
導電性繊維の20℃における線電気抵抗値は、導電発熱性の点から、例えば、1×10-2〜1×105Ω/cm、好ましくは1×10-1〜5×104Ω/cm、さらに好ましくは10〜1×104Ω/cm(特に1×102〜5×103Ω/cm)程度であってもよい。前記線抵抗値が大きすぎると、通電量が低く良好な発熱量が得られない反面、小さすぎても、通電性が良好なため、やはり良好な発熱量が得られない。
導電性繊維の繊度(総繊度)は、例えば、10〜1000dtexの範囲から選択でき、例えば、30〜500dtex、好ましくは50〜400dtex、さらに好ましくは100〜300dtex程度であってもよい。
例えば、炭素系導電剤を含有または担持する有機繊維としては、導電剤としてカーボンナノチューブを用いる「CNTEC」(クラレリビング(株)製)、導電剤としてカーボンブラックを用いる「クラカーボ」(クラレトレーディング(株)製)、「Shakespeare」(BASF社製)などが上市されている。
発熱部では、上述した導電性繊維を発熱糸として含む織編物で構成される。発熱部を構成する織編物には、織物、編物の他、レース地、網なども含まれる。これらの織編物のうち、全面に亘って発熱でき、発熱効率に優れる点から、織物及び編物が好ましい。
織物としては、慣用の織物(織物生地又は織布)、例えば、タフタ織などの平織、綾織又は斜紋織(ツイル織)、朱子織、パイル織、一方向性織物(UD)などが挙げられる。編物としても、慣用の編物(編物生地又は編布)、例えば、平編(天竺編)、経編、丸編、横編、両面編、ゴム編、パイル編などが挙げられる。これらのうち、発熱糸を電極間に配列させやすいとともに、均一な発熱を行いやすいため、織物、特に平織物が好ましく用いられる。
織編物は、織編物を形成する糸のうち、少なくとも一部を、導電性繊維で構成された発熱糸として含んでいればよく、その割合は、織編物の種類に応じて、例えば、織編物全体に対して、例えば、1質量%以上(例えば、1〜100質量%)、好ましくは10〜100質量%(例えば、20〜90質量%)、さらに好ましくは30〜100質量%(例えば、40〜80質量%)程度であってもよい。
導電性繊維と非導電性繊維とを組み合わせて織編物を形成する場合、非導電性繊維としては、導電性繊維を構成する有機繊維が利用でき、なかでも、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維が好ましく、ポリエステル系繊維が汎用される。非導電性繊維の断面形状、繊維形態などは、導電性繊維の項において記載された有機繊維の断面形状、繊維形態などであってもよく、被導電性繊維の繊度(総繊度)は、例えば、10〜1000dtexの範囲から選択でき、例えば、30〜500dtex、好ましくは50〜400dtex、さらに好ましくは100〜300dtex程度であってもよい。
織物の場合、経糸及び緯糸のいずれかを導電性繊維で構成することにより、打ち込み本数の調整により発熱効率を容易に制御できるとともに、簡便な方法で導電性繊維の接触を軽減でき、ヒートスポットを抑制できる点で好ましい。
さらに、発熱効率を向上させるため、糸密度(打ち込み本数)を調整してもよい。例えば、経糸に40〜70dtex(特に50〜60dtex)、緯糸に75〜150dtex(特に80〜100dtex)を用いた場合、経密度は、例えば、110〜210本/インチ、好ましくは115〜200本/インチ、さらに好ましくは120〜190本/インチ程度としてもよい。一方、緯密度は、例えば、70〜130本/インチ、好ましくは75〜125本/インチ、さらに好ましくは80〜120本/インチ程度としてもよい。このような糸密度で織物を構成し、かつ緯糸又は経糸として、導電性繊維を使用すると、有効に発熱効率を向上できる。
織編物の単位面積当たりの重さ(目付量)としては、発熱効率の点から、例えば、10〜300g/m2、好ましくは30〜250g/m2、さらに好ましくは50〜200g/m2程度であってもよい。目付量をこの範囲にすることにより、軽量で薄くてしなやかであり、かつ高い発電効率を有する発電部を形成できる。
織編物の厚みは、例えば、0.1〜1mm、好ましくは0.15〜0.8mm、さらに好ましくは0.2〜0.6mm程度であってもよい。
(電極部)
電極部は、織編物の所望の位置に縫い付けられた第1の金属繊維と、この第1の金属繊維を覆っている第2の金属繊維とで構成されている。
(第1の金属繊維)
第1の金属繊維は、発熱部を形成する織編物に対して、縫い込むことができる限り特に制限されず、各種金属繊維であってもよい。例えば、金属繊維を構成する金属としては、銅、銀、金、クロム、ニッケル、コバルト、鉄、マグネシウム、アルミニウム、白金、スズ、亜鉛、マンガン、タングステン、ステンレスなどが挙げられる。これらの金属は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。また、合金として用いられる場合、例示した金属に加え、これらの金属以外の元素(例えばケイ素)を含んでいてもよい。
また、金属繊維は、金属性モノフィラメント糸(金属単体からなるモノフィラメント糸、金属メッキまたは金属蒸着されたモノフィラメント糸など)として用いられてもよく、金属性フィラメント(金属単体フィラメント、金属メッキフィラメント、または金属蒸着フィラメントなど)を複数有するマルチフィラメント糸として用いられてもよい。また金属性フィラメントを含む混繊糸や複合糸(カバーヤーン、コアヤーン)として用いられてもよい。混繊糸や複合糸は、金属性フィラメントと、有機繊維(フィラメントまたはステープル)とを組み合わせてもよい。有機繊維としては、発熱部において記載された有機繊維が挙げられる。
例えば、好ましい金属繊維(または金属糸)としては、ステンレス糸、金糸、銀糸、銅糸、スズめっき銅糸、銀めっき銅糸、ニッケルめっき銅糸、アモルファス金属糸(例えば、Fe-Si-B系、Co-Fe-Si-B系)などが挙げられ、耐酸化性能に優れるとともに、発熱部への縫い込みが容易であるため、ステンレス糸が汎用される。
金属繊維(モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、混繊糸、複合糸)の平均繊維径としては、縫い込まれる織編物の状態、混繊の有無などに応じて適宜設定することが可能であるが、例えば、平均繊維径として0.01〜5mm程度であってもよく、好ましくは0.05〜3mm程度、より好ましくは0.1〜2mm程度であってもよい。
金属繊維の電気抵抗値としては、例えば、1×10-4〜10Ω/cm、好ましくは1×10-3〜5Ω/cm、さらに好ましくは1×10-2〜1Ω/cm程度であってもよい
このような第1の金属繊維は、織編物である発熱部に対して、所望の場所に取り付けることが可能である。取り付け方としては、手縫い、ミシン縫いなどで金属繊維を糸として縫いつけることが出来ればよく、手縫いとしては、並縫い、半返し縫い、本返し縫いなどが例示でき、ミシン縫いとしては、本縫い、千鳥縫い、単環縫い、二重環縫い、縁かがり縫い、および偏平縫いなどが例示できる。これらの縫い方は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。これらのうち、導電性繊維への接触性を高める観点からミシン縫いの縫目が好ましく、生産性の観点から特に本縫いが好ましい。
本縫いの場合、縫目長(縫目の幅)は、例えば、1〜6mm程度であってもよく、好ましくは2〜5mm程度であってもよい。第2の金属繊維と組み合わせて用いることにより、比較的本縫いの縫目長が広幅である場合であっても、金属繊維と発熱部との間で接触不良が発生するのを抑制することが可能である。
第1の金属繊維で形成される電極部は、金属繊維の一本で構成された第1の電極部であってもよいし、複数本の金属繊維を互いに略並行に配列し、所望の幅を有する第1の電極部として構成されてもよい。第1の電極部の幅としては、発熱体のサイズに応じて選択でき、0.1〜100mm、好ましくは0.2〜50mm、さらに好ましくは0.3〜30mm程度であってもよい。また、帯状に形成された第1の電極部を構成する複数の金属繊維間の互いの離間距離は、例えば、1〜10mm程度、好ましくは2〜8mm程度、より好ましくは3〜7mm程度であってもよい。
(第2の金属繊維)
第2の金属繊維は、第1の金属繊維を覆い、第1の金属繊維に対する通電可能な状態で、発熱部上に形成されている。第2の金属繊維により第1の金属繊維を覆うことにより、第2の金属繊維は、第2の電極部として作用することが可能である。これにより、本発明の面状発熱体では、第1の電極部において、第1の金属繊維が発熱部内部の導電性繊維に接触して通電できるだけでなく、第2の電極部において、第2の金属繊維が発熱部表面において第1の金属繊維とともに通電することが可能となり、電極部の導電特性を向上させることができる。
さらに、第2の金属繊維が第1の金属繊維を覆って、通電可能であるため、第1の金属繊維が断線した場合であっても、第2の金属繊維側により通電を確保することができ、電極部の耐久性を向上させることができる。
第2の金属繊維を構成する金属としては、第1の金属繊維を構成する金属と同様、銅、銀、金、クロム、ニッケル、コバルト、鉄、マグネシウム、アルミニウム、白金、スズ、亜鉛、マンガン、タングステン、ステンレスなどが挙げられる。これらの金属は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。また、合金として用いられる場合、例示した金属に加え、これらの金属以外の元素(例えば、ケイ素)を含んでいてもよい。また、第2の金属繊維は、第1の金属繊維より低い電気抵抗値を有するのが好ましい。
第2の金属繊維は、第1の金属繊維を覆うことが出来る限り特にその形状は限定されないが、第1の金属繊維に対する接触性を良好にする観点から、第2の金属繊維の幅は、第1の金属繊維の幅よりも大きいのが好ましく、特に第2の金属繊維として金属繊維の帯状物を用いることが好ましい。このような金属繊維帯状物としては、第1の金属繊維で例示した各種金属糸を用い、導電性繊維で例示した各種織編物の構造を有する帯状物が挙げられる。
例えば、好ましい金属帯状物としては、平織金属線、平編金属線であってもよく、流通性の観点から、平編金属線が好ましい。また、金属線は、素線であってもよいが、耐腐食性、はんだ性を良好にする観点から金属めっき(例えば、スズめっき、銀めっき、ニッケルめっきなど)された金属線であるのが好ましい。
具体的には、このような金属帯状物としては、平編銅線[例えば、平編銅素線、平編金属めっき銅線(例えば平編スズめっき銅線、平編銀めっき銅線、平編ニッケルめっき銅線など)など]が挙げられる。
第2の金属繊維が金属帯状物である場合、帯状物の幅は、例えば、1〜100mm、好ましくは1.5〜50mm、さらに好ましくは2〜30mm程度であってもよい。また、帯状物の厚みは、0.01〜2mm、好ましくは0.02〜1.5mm、さらに好ましくは0.03〜1mm程度であってもよい。
第2の金属繊維は、第1の金属繊維を個別に覆っていればよいが、第1の金属繊維が複数集まって第1の電極部を形成している場合、一本の第2の金属繊維により、第1の電極部全体を覆っているのが好ましい。
第2の金属繊維は、第1の金属繊維を発熱部上で覆うとともに、第1の金属繊維と通電することが可能である限り、公知または慣用の接着剤などを介して取り付けてもよいが、発熱部を破壊せずに第1の金属繊維に対する接触性を向上できるともに、発熱部への固定を強固にできるため、糸(例えば、金属繊維糸および/または有機繊維糸)で抑え止めされるのが好ましい。第1および第2の金属繊維が縫製手段により取り付けられる場合、発熱部の布織物を実質的に破損することなく金属繊維の取り付け場所の変更が可能であるとともに、一旦取り付けた後は、強固に固定することが可能である。
また、第1の金属繊維が織編物に縫い込まれているため、第1の金属繊維は、縫目として発熱部の両面において第2の金属繊維に対する接触部を有していてもよい。そのため、第2の金属繊維は、発熱部の少なくとも一方の面に配設されていればよく、第1の金属繊維の延出方向に沿って、発熱部の両面に第2の金属繊維を配設してもよい。
例えば、図4(a)に示すように、発熱部の一方の面において、第1の金属繊維14に接触して、第2の金属繊維16が通電可能に配設されていてもよいし、図4(b)に示すように、発熱部の両面において、それぞれの第1の金属繊維14a,14bにそれぞれ接触して、第2の金属繊維16a,16bが通電可能に配設されていてもよい。
なお、例えば図4(a)に示すように、第1の金属繊維と通電することができる限り、第2の金属繊維16は、第1の金属繊維14の発熱部表面に露出する部分の少なくとも一部に接触して覆うような形態であってもよい。すなわち、この場合、第2の金属繊維16は、第1の金属繊維14の発熱部表面に露出する部分を全体的に囲んでいるわけではない。
好ましい実施態様としては、第2の金属繊維16が、発熱部の一方の表面において、第1の金属繊維14の発熱部表面に露出する部分を内包するように完全に覆うような形態が挙げられる。このような形態により、第2の金属繊維は、第1の金属繊維との接触性を向上させて、金属繊維による導電性能が上昇する結果、発熱体全体の発熱効率を向上させることができ、さらに、面状発熱体における発熱を、より均一にすることが可能となる。
例えば、図5(a)に示すように、第2の金属繊維16は、発熱部の一方の表面において、第1の金属繊維14の発熱部表面に露出する部分を内包するように配設されている。また、図5(b)では、発熱部の一方の表面において、第2の金属繊維16aが、第1の金属繊維14aの発熱部表面に露出する部分を内包するように配設されるとともに、発熱部の他方の表面において、第2の金属繊維16bが、第1の金属繊維14bの発熱部表面に露出する部分を内包するように配設される。
第2の金属繊維が、第1の金属繊維の発熱部表面に露出する部分を内包するように完全に覆う場合、第2の金属繊維は、第1の金属繊維の露出部を内包しつつ、糸、接着剤などの固定手段により発熱部に対して固定されてもよい。
また、第2の金属繊維をさらに強固に固定する必要のある場合は、例えば図6に示すように、第2の電極部16をテープ19などでさらに固定してもよい。テープとしては、導電性テープ、絶縁性テープのいずれを利用してもよいが、通電性の観点から、導電性テープを用いるのが好ましい。
また、第2の金属繊維表面の金属が露出している箇所では、さらに給電手段との接続端子などをはんだ付けすることも可能である。
電極部は、導電性繊維を通電させるため、陽極と陰極が少なくとも一対配設されていればよい。例えば、電極部は、両端に一対の電極部が互いに略平行に配置されていてもよく、複数対の電極部が互いに略平行に配置されていてもよい。複数対の電極部を用いる場合、陽極および陰極は、それぞれ一方の端部が第1の金属繊維および/または第2の金属繊維により接続されていてもよい。この場合、陽極および陰極のそれぞれにおいて、複数対の電極部が第1の金属繊維により接続され、この第1の金属繊維がさらに給電手段と接続される。
例えば、図7では、第1の金属繊維24および第1の金属繊維24を覆う第2の金属繊維26で一つの電極部23を形成しており、例えば、陽極側の3本の電極部23,23,23の根元部は、第1の金属繊維24で接続されており、この第1の金属繊維24がさらに給電手段27と接続されている。
図7では、第1の金属繊維により電極部23,23,23を接続しているが、給電が可能である限り、第1の金属繊維に代えて、第2の金属繊維によって電極部23,23,23を接続してもよく、第1の金属繊維および第2の金属繊維の双方を用いて電極部23,23,23を接続してもよい。
このようにして得られる面状発熱体は、電極線の長手方向に沿って生じる電圧降下を抑制することが可能であり、それによって、面内での発熱を均一にすることが可能である。
このような面状発熱体は、その長さが長い場合であっても面内での発熱性を均一に保持することが可能であり、図1に示す長手方向Lにおいて、面状発熱体の長さは、例えば、1m以上(例えば1m〜30m程度)であってもよく、2m以上であってもよく、または2.5m以上であってもよい。面状発熱体の長さは、用途や電極部の構成などに応じて適宜設定することが可能である。
なお、必要に応じて、電極部、発熱部、または面状発熱体全体の表面を、電気絶縁層などでカバーしていてもよい。電気絶縁層は、軟質な耐熱性樹脂、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンなどのフィルムで形成されていてもよい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例により何ら限定されるものではない。
[発熱状態および発熱分布の評価]
得られた発熱体の電極部について、サーモグラフィ(フリアーシステムズ社製「FLIR i5」)を用いて、発熱状態および発熱分布を目視により確認した。
(実施例1)
クラレリビング社製「CNTEC」240T48(240dtex, 950Ω/cm)を緯糸に配置し、ポリエステル加工糸(クラレトレーディング(株)製、167dtex/48フィラメント)を経糸に配置して、平織組織で緯糸密度60本/インチの織物を得た。
第1の金属繊維として、ステンレス金属糸(日本精線(株)製、「ナスロン」品番12-100/3、平均繊維径0.35φmm)を用意し、得られた織物に対し、経糸方向つまり、緯糸に直交する方向に、ミシンにより縫目長さを4mmとして本縫いにより縫い込んで、織物の両端に、2本の第1の電極部(第1の金属繊維間の幅700mm、各第1の金属繊維の長さ3000mm)を形成した。
第2の金属繊維として、平編スズめっき銅線(田中電線(株)製、「平編スズメッキ銅線」、幅2.7mm、厚み0.7mm)を用意し、前記第1の電極部を形成している各第1の金属繊維を覆うよう、発熱体の一方の面に配置し、この平編スズめっき銅線を通常の縫糸により縫い付けて、織物に固定し、面状発熱体を製造した。
得られた発熱体に対して、2本の電極部に100Vの交流電圧をかけたところ、電極部分の異常発熱は観察されず、面状発熱体において均一な発熱を確認した。
(比較例1)
第2の金属線を設けないこと以外は、実施例1と同様にして面状発熱体を作製した。
得られた面状発熱体では、給電手段との接続部から離れるにしたがって、発熱性が低減し、面内で均一な発熱挙動を示すことができなかった。また、電極部分に局部的な発熱が観察された。
本発明の面状発熱体は、各種の分野、例えば、道路などの屋外設備のための用途(例えば、ロードヒーティング、融雪装置、凍結防止装置など)、農業用途(例えば、園芸用マットなど)、建造物の構成要素としての用途(例えば、結露防止や防曇装置、床暖房、壁暖房など)、ベヒクルの内部構成要素としての用途(例えば、電車、自動車などの車輌、航空機などの座席シートなど)、防寒のための身飾品のための用途(例えば、ジャケット、ベスト、ひざ掛けなどの衣料、寝具、靴、カイロ、ホットカーペットなど)、家具や日用品としての用途(例えば、いす、足温器など)などに利用可能である。
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
10,20・・・面状発熱体
11・・・導電性繊維
12,22・・・発熱部
13,23・・・電極部
14,24・・・第1の金属繊維で形成された第1の電極部
16,26・・・第2の金属繊維で形成された第2の電極部
17,27・・・給電手段
18,28・・・電極
19・・・テープ

Claims (8)

  1. 導電性繊維を発熱糸として含む織編物で構成された発熱部と、この発熱部を通電するための少なくとも一対の電極部とで構成された面状発熱体であって、
    前記導電性繊維が、導電剤を含有および/または担持している有機繊維であり、
    前記電極部が、前記織編物の所望の位置に縫い込まれた第1の金属繊維で構成された第1の電極部と、第1の金属繊維を覆い、第1の金属繊維と通電可能な第2の金属繊維で構成された第2の電極部とで構成されている面状発熱体。
  2. 請求項1の面状発熱体において、第1の金属繊維が、本縫い、千鳥縫い、単環縫い、二重環縫い、縁かがり縫い、および偏平縫いからなる群から選択される少なくとも1種の縫目により第1の電極部を形成している面状発熱体。
  3. 請求項1または2の面状発熱体において、第1の電極部が、第2の金属繊維の帯状物により覆われている面状発熱体。
  4. 請求項2の面状発熱体において、第2の金属繊維が、糸で発熱部に抑え止めされている面状発熱体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項の面状発熱体において、導電性繊維が、カーボンナノチューブを担持している有機繊維である面状発熱体。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項の面状発熱体において、第1の金属繊維がステンレス糸であり、第2の金属繊維が平編銅線である面状発熱体。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項の面状発熱体において、第2の電極部に対して、接続端子がはんだ付けされている面状発熱体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項の面状発熱体において、陽極と陰極が少なくとも一対配設され、互いが略平行に配置されている面状発熱体。
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