JP2020013717A - 面状発熱体 - Google Patents

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俊朗 山口
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Masato Mukai
将人 向井
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Erio Iida
江理夫 飯田
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Koichi Nakahashi
耕一 中橋
隆一 吉岡
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隆一 吉岡
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Abstract

【課題】電極へ通電する端子を発熱部と一体化し、給電接続の煩雑さを解消することができる面状発熱体を提供する。【解決手段】面状発熱体100は、導電素子11を備える発熱部10と、1または複数の第1電極12および第1電極へ給電する第1端子13と、1または複数の第2電極14および第2電極へ給電する第2端子15とを少なくとも備え、導電素子は第1電極および第2電極の間で通電して発熱する面状発熱体であって、発熱部内において、第1電極と第1端子とが交差する通電性交差部18c、第2電極と第2端子とが交差する通電性交差部19c、第1電極と第2端子とが交差する絶縁性交差部18i、および第2電極と第1端子とが交差する絶縁性交差部19iを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、電極へ通電する端子を発熱部と一体化し、給電接続の煩雑さを解消することができる面状発熱体に関する。
面状発熱体は、シート状の発熱面から全体的に熱を放射することができるため、凍結防止用途、除霜用途、融雪用途、防湿用途、保温用途、加温用途などの各種用途において利用されている。
このような面状発熱体として、例えば特許文献1(特開2014−96240号公報)には、導電性織編物で形成された発熱部と、この発熱部と一体化した導電性織編物で形成され、かつ前記発熱部の両側部に形成された一対の長尺状電極部とを有する面状発熱体用布帛であって、前記電極部が、導電性棒状体と接触して挿通可能な長尺状挿通部を有している面状発熱体用布帛が開示されている。
この文献では、導電性を有する織編物で形成された面状発熱体の両側部に位置する一対の長尺状電極部を、導電性棒状体が接触して挿通可能な形態とすることにより、広い面積や長尺であっても、均一かつ高効率で発熱できることが記載されている。
特開2014−96240号公報
ところで、面状発熱体においては、電極間距離を狭めることにより、発熱量を増大させられることが知られている。しかし、面状発熱体を広い面積で敷き詰める用途、例えば、道路、駐車場、競技場、屋根などの融雪用発熱体等に用いる場合、発熱部の面積が大きくなるため、電極間距離を狭めて発熱量を増大させるためには、電極数を増やさざるを得ない。しかし、この場合、例えば図11に示すとおり、各電極に対し外部から電気を供給するための接続本数が増えるため、その始末が煩雑となるという課題があった。
したがって、本発明の目的は、電極数を増加させ、発熱量を向上することができる面状発熱体を提供することである。
本発明の別の目的は、電極数を増加させて電極間距離を低減して発熱量を増大した場合であっても、各電極に対して給電する端子接続の煩雑さを解消できる面状発熱体を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、発熱部において、電極と、電極へ給電するための端子を交差して配設するとともに、異なる極の電極と端子とが交差する交差部では絶縁体を配設して短絡を防ぐことにより、電極数を増加させ、発熱量を効率よく高めることができる面状発熱体を得ることが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の態様を含んでいてもよい。
〔態様1〕
導電素子を備える発熱部と、1または複数の第1電極および第1電極へ給電する第1端子と、1または複数の第2電極および第2電極へ給電する第2端子とを少なくとも備え、前記導電素子は、第1電極および第2電極の間で通電して発熱する面状発熱体であって、
発熱部内において、前記第1電極と前記第1端子とが交差する通電性交差部、前記第2電極と前記第2端子とが交差する通電性交差部、前記第1電極と前記第2端子とが交差する絶縁性交差部、および前記第2電極と前記第1端子とが交差する絶縁性交差部を備える、面状発熱体。
〔態様2〕
態様1の面状発熱体において、第1電極および第2電極がそれぞれ複数存在する櫛形電極である、面状発熱体。
〔態様3〕
態様1または2の面状発熱体において、発熱部が布帛である、面状発熱体。
〔態様4〕
態様3の面状発熱体において、発熱部が、導電性繊維を導電素子として備える織編物である、面状発熱体。
〔態様5〕
態様1〜4のいずれか一態様に記載の面状発熱体において、前記電極は金属繊維で構成される、面状発熱体。
〔態様6〕
態様1〜5のいずれか一態様に記載の面状発熱体において、前記端子の少なくとも一部は金属繊維で構成される、面状発熱体。
〔態様7〕
態様4〜6のいずれか一態様に記載の面状発熱体において、前記端子の少なくとも一部は金属繊維で構成され、該金属繊維を含む端子構成部が、重ね織組織または重ね編組織により形成される、面状発熱体。
〔態様8〕
態様7の面状発熱体において、前記端子構成部が二重織組織で構成される、面状発熱体。
〔態様9〕
態様8の面状発熱体において、前記端子構成部が袋織構造で構成される、面状発熱体。
〔態様10〕
態様9の面状発熱体において、前記袋織構造は挿通孔を形成し、該挿通孔に長尺状の絶縁部材が挿入される、面状発熱体。
〔態様11〕
態様10に記載の面状発熱体において、前記挿通孔に、さらに前記絶縁部材より短い幅の金属部材が挿入される、面状発熱体。
〔態様12〕
態様11に記載の面状発熱体において、前記金属部材の長さが、前記挿通孔の長さよりも長い、面状発熱体。
〔態様13〕
態様7〜12のいずれか一態様に記載の面状発熱体において、前記端子を構成する金属繊維は、端子構成部の中央部に配設され、前記端子を構成する金属繊維の両側に絶縁糸が配設されている、面状発熱体。。
〔態様14〕
態様1〜13のいずれか一態様に記載の面状発熱体を複数備え、これらの面状発熱体を面状に配置した面状発熱体アレイ。
本発明の面状発熱体では、電極数を増加させ、発熱量を向上することができる。さらに、端子の配置に関する自由度を高めることができる。さらにまた、電極数を増加させて電極間距離を低減して発熱量を増大した場合であっても、各電極に対して給電する端子接続の煩雑さを解消できる。
この発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施例の説明から、より明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、この発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。この発明の範囲は添付の請求の範囲によって定まる。
本発明の一実施形態に係る面状発熱体を説明するための概念図である。 本発明の別の実施形態に係る面状発熱体を説明するための概念図である。 本発明の別の実施形態に係る面状発熱体の一部を説明するための概念図である。 図3の一実施形態におけるX−X’線およびY−Y’線の要部概略断面図である。 図3の別の実施形態におけるX−X’線およびY−Y’線の要部概略断面図である。 図5の変形例として、長尺状の金属部材を挿通孔に配設した面状発熱体を説明するための要部概略断面図である。 図4の変形例として、長尺状の絶縁部材を挿通孔に配設した面状発熱体を説明するための要部概略断面図である。 図4の変形例として、長尺状の金属部材および絶縁部材を挿通孔に配設した面状発熱体を説明するための要部概略断面図である。 実施例において作製された面状発熱体の構成を説明するための模式図である。 実施例の面状発熱体の端子構成部における経緯二重織組織を示す組織図である。 従来技術である面状発熱体の一例を示す写真である。
本発明の面状発熱体は、発熱部と、この発熱部に通電するための1または複数の電極と、各電極に外部から電気を供給するための1または複数の端子と、を少なくとも備えている。以下、各構成材料について説明する。
(発熱部)
発熱部は、通電により発熱可能な導電素子を備える。発熱部は、面状で発熱することができる限りその形態は特に限定されず、例えば、樹脂フィルムまたはシート、布帛であってもよい。例えば、発熱部が樹脂フィルムまたはシートで構成される場合、樹脂フィルムまたはシートの上に、導電素子が所定の形状に塗布されてもよい。
または、発熱部が布帛で構成される場合、布帛に対して導電素子が含浸または塗布されてもよいし、布帛を構成する繊維として導電性繊維を用いてもよい。布帛を構成する繊維として導電性繊維を用いる場合、発熱部は織編物であってもよい。
線状の導電素子(例えば、導電性繊維)が面状に配設される場合、線面ヒータと称してもよい。
(導電素子)
導電素子としては、導電性を有し、通電により発熱可能である限り特に限定されず、例えば、各種導電剤、導電性繊維などを利用することができる。
(導電剤)
導電剤としては特に限定されず、有機系導電剤(例えば、ポリチオフェン系、ポリアセチレン系、ポリアニリン系、ポリピロール系など)であってもよいが、高い導電性を付与する観点から無機系導電剤が好ましい。導電剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
無機系導電剤としては、例えば、炭素類(例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、人造黒鉛、膨張黒鉛、天然黒鉛、カーボンナノチューブ、フラーレンなど)、金属単体又は合金(例えば、銅、銀、金、クロム、ニッケル、鉄、マグネシウム、アルミニウム、白金、亜鉛、マンガン、タングステン、ステンレス、またはこれらの2種以上の合金など)、金属化合物又はセラミックス類(例えば、硫化銅、フェライト、トルマリン、珪藻土など)などが挙げられる。
これらの無機系導電剤のうち、導電性に優れるため、銀、金、銅、アルミニウムなどの金属を含む金属系導電剤、カーボンブラックやカーボンナノチューブなどの炭素系導電剤が汎用され、導電性に優れるとともに耐久性や耐腐食性に優れるため、カーボンナノチューブが特に好ましい。
カーボンナノチューブは、特徴的な構造として、炭素の六員環配列構造を有する1枚のシート状グラファイト(グラフェンシート)が円筒状に巻かれた直径数nm程度のチューブ状構造を有する。カーボンナノチューブとしては、1枚のシート状グラファイトで構成された単層カーボンナノチューブの他、前記筒状のシートが軸直角方向に複数積層した多層カーボンナノチューブ(カーボンナノチューブの内部にさらに径の小さいカーボンナノチューブを1個以上内包する多層カーボンナノチューブ)、単層カーボンナノチューブの端部が円錐状で閉じた形状のカーボンナノコーン、内部にフラーレンを内包するカーボンナノチューブなどが知られている。これらのカーボンナノチューブは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのカーボンナノチューブのうち、カーボンナノチューブ自体の強度の向上の点から、多層カーボンナノチューブが好ましい。さらに、グラフェンシートの配列構造はアームチェア型構造、ジグザグ型構造、カイラル(らせん)型構造などであってもよいが、放射線吸収性の点から、グラフェンシートの配列構造は、アームチェア型構造が好ましい。
導電剤の形状は、例えば、粒子状(粉末状)、板状(又は鱗片状)、繊維状、不定形状などであってもよい。これらの形状のうち、略球状や多角体状などの粒子状、繊維状などが汎用され、発熱部を構成する繊維構造体の繊維間空隙に入り込み、導電性繊維と電極との接触不良を抑制できる点から、粒子状が好ましい。
導電剤が粒子状である場合、導電剤の平均粒径(カーボンナノチューブなどの異方形状の場合、長径と短径との平均径)は、10nm〜100μm程度の範囲から適宜選択でき、電極の機械的特性や導電性などの点から、例えば、0.3〜80μm、好ましくは0.5〜50μm、さらに好ましくは1〜40μm(特に3〜50μm)程度であってもよく、炭素系導電剤(炭素質粒子)の場合、例えば、10〜500nm、好ましくは20〜300nm、さらに好ましくは30〜100nm(特に40〜80nm)程度であってもよい。
導電剤は、分散媒および/またはバインダー、必要に応じて用いられる各種添加剤などと組み合わせて用いてもよい。
(導電性繊維)
導電性繊維は、発熱性に優れる限り特に限定されないが、例えば、導電性繊維の20℃における線電気抵抗値は、導電発熱性の点から、例えば、1×10〜1×10Ω/cm、好ましくは1×10〜5×10Ω/cm、さらに好ましくは1×10〜1×10Ω/cm(特に1×10〜5×10Ω/cm)程度であってもよい。
例えば、導電性繊維としては、上記導電剤で例示した材料の繊維状物であってもよいが、有機繊維に対して導電剤を担持させた導電性繊維が、柔軟性の観点から好ましい。
例えば、有機繊維としては、天然繊維(綿、麻、ウール、絹など)であってもよく、導電剤を混和可能な繊維形成性材料から得られる繊維、再生繊維(レーヨン、キュプラなど)、半合成繊維(アセテート繊維など)、合成繊維(ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維、ポリウレタン系繊維など)であってもよい。導電剤との密着性などの点から、少なくとも合成繊維を含むのが好ましい。カーボンナノチューブとの親和性が高い観点からは、ポリエステル系繊維が特に好ましい。
導電性繊維の繊度(総繊度)は、例えば、10〜1000dtexの範囲から選択でき、例えば、30〜600dtex、好ましくは50〜500dtex、さらに好ましくは100〜400dtex程度であってもよい。
例えば、炭素系導電剤を含有または担持する有機繊維としては、導電剤としてカーボンナノチューブを用いる「CNTEC」((株)クラレ製)、導電剤としてカーボンブラックを用いる「クラカーボ」(クラレトレーディング(株)製)、「Shakespeare」(BASF社製)などが上市されている。
発熱部が織編物である場合、導電性繊維は発熱糸として含まれる。発熱部を構成する織編物には、織物、編物の他、レース地、網なども含まれる。これらの織編物のうち、全面に亘って発熱でき、発熱効率に優れる点から、織物及び編物が好ましい。
織物としては、慣用の織物(織物生地又は織布)、例えば、タフタ織などの平織、綾織又は斜紋織(ツイル織)、朱子織、パイル織、一方向性織物(UD)などが挙げられる。編物としても、慣用の編物(編物生地又は編布)、例えば、平編(天竺編)、経編、丸編、横編、両面編、ゴム編、パイル編などが挙げられる。これらのうち、導電性繊維(発熱糸)を電極間に配列させやすいとともに、均一な発熱を行いやすいため、織物、特に平織物が好ましく用いられる。
織編物は、織編物を形成する糸のうち、少なくとも一部に導電性繊維(発熱糸)が含まれていればよく、その割合は、織編物全体に対して、例えば、1質量%以上(例えば、1〜100質量%)、好ましくは10〜100質量%(例えば、20〜90質量%)、さらに好ましくは30〜100質量%(例えば、40〜80質量%)程度であってもよい。
導電性繊維と非導電性繊維とを組み合わせて織編物を形成する場合、非導電性繊維としては、導電性繊維を構成する有機繊維が利用でき、なかでも、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維が好ましく、ポリエステル系繊維が汎用される。非導電性繊維の断面形状、繊維形態などは、導電性繊維の項において記載された有機繊維の断面形状、繊維形態などであってもよく、非導電性繊維の繊度(総繊度)は、例えば、10〜1000dtexの範囲から選択でき、例えば、30〜600dtex、好ましくは50〜500dtex、さらに好ましくは100〜400dtex程度であってもよい。
織物の場合、経糸及び緯糸のいずれかを導電性繊維で構成することにより、打ち込み本数の調整により発熱効率を容易に制御できるとともに、簡便な方法で導電性繊維の接触を軽減でき、ヒートスポットを抑制できる点で好ましい。
さらに、発熱効率を向上させるため、糸密度(打ち込み本数)を調整してもよい。例えば、経糸に50〜500dtex(特に150〜200dtex)、緯糸に50〜500dtex(特に150〜250dtex)を用いた場合、経密度は、例えば、30〜300インチ、好ましくは50〜200本/インチ、さらに好ましくは90〜170本/インチ程度としてもよい。一方、緯密度は、例えば、30〜200本/インチ、好ましくは50〜140本/インチ、さらに好ましくは60〜100本/インチ程度としてもよい。このような糸密度で織物を構成し、かつ緯糸又は経糸として、導電性繊維を使用すると、有効に発熱効率を向上できる。
発熱部の単位面積当たりの重さ(目付量)としては、発熱効率の点から、例えば、50〜300g/m、好ましくは80〜250g/m、さらに好ましくは100〜200g/m程度であってもよい。目付量をこの範囲にすることにより、軽量で薄くてしなやかであり、かつ高い発電効率を有する発電部を形成できる。
発熱部の厚みは、例えば、0.1〜1mm、好ましくは0.15〜0.8mm、さらに好ましくは0.2〜0.6mm程度であってもよい。
(電極)
電極は、第1電極および第2電極に分かれ、第1電極および第2電極間で導電素子が通電して導電素子が発熱する。そのため、電極は発熱部内に少なくとも配設される。第1電極および第2電極間で導電素子が通電する限り、電極の配置は特に限定されない。
第1電極および第2電極(以下、電極と総称する場合がある)は、導電素子を通電できる限り特に限定されないが、低抵抗である金属で形成されるのが好ましい。金属としては、銅、銀、金、クロム、ニッケル、鉄、マグネシウム、アルミニウム、白金、亜鉛、マンガン、タングステン、ステンレス、またはこれらの2種以上の合金などが挙げられる。また、合金として用いられる場合、例示した金属に加え、これらの金属以外の元素(例えばケイ素)を含んでいてもよい。
第1電極および第2電極はそれぞれ1つずつであってもよいが、電極間距離を低減して発熱量を増大させる観点から、第1電極および第2電極がそれぞれ複数存在する櫛型電極であることが好ましい。また、前記電極は、金属繊維や金属部材などの各種形状で用いられることが好ましい。
金属部材としては、金属からなる平板状や棒状の部材であってもよいし、金属帯状物や金属テープであってもよい。金属帯状物としては、例えば平編銅線[例えば、平編銅素線、平編金属めっき銅線(例えば平編スズめっき銅線、平編銀めっき銅線、平編ニッケルめっき銅線など)など]が挙げられる。
上記金属部材の幅は、例えば、1〜15mm、好ましくは2〜10mm、さらに好ましくは3〜5mm程度であってもよい。また、上記金属部材の厚みは、0.01〜2mm、好ましくは0.02〜1.5mm、さらに好ましくは0.03〜1mm程度であってもよい。
金属繊維は、金属性モノフィラメント糸(金属単体からなるモノフィラメント糸、金属メッキまたは金属蒸着されたモノフィラメント糸など)として用いられてもよく、金属性フィラメント(金属単体フィラメント、金属メッキフィラメント、または金属蒸着フィラメントなど)を複数有するマルチフィラメント糸として用いられてもよい。また金属性フィラメントを含む混繊糸や複合糸(カバーヤーン、コアヤーン、ダブルへリックス糸)として用いられてもよい。混繊糸や複合糸は、金属性フィラメントと、有機繊維(フィラメントまたはステープル)とを組み合わせてもよい。金属の種類、および有機繊維の種類は、発熱部において記載されたものが挙げられる。好ましくは絶縁性の芯糸に金属細線を巻き付けた巻付糸、特に好ましくは、屈曲性の高さから、有機繊維の芯糸に金属細線(例えば銅細線)をダブルヘリカル状に巻き付けたダブリヘリカルヤーンなどが挙げられる。
金属繊維(有機繊維との複合糸を含む)の平均繊維径としては、織編物の状態、混繊の有無などに応じて適宜設定することが可能であるが、例えば、平均繊維径として0.01〜5mm程度であってもよく、好ましくは0.05〜3mm程度、より好ましくは0.1〜2mm程度であってもよい。
金属繊維の電気抵抗値としては、例えば、1×10−5〜5×10−1Ω/cm、好ましくは1×10−4〜1×10−1Ω/cm、さらに好ましくは1×10−3〜1×10−2Ω/cm程度であってもよい。
金属繊維は、発熱部に対して、所望の場所に取り付けることが可能である。取り付け方としては、織編組織の一部として織り込みまたは編み込んでもよい。
金属繊維で形成される電極部は、金属繊維一本で構成されてもよいし、複数本の金属繊維を互いに略並行に配列し、所望の幅を有する帯状の電極として構成されてもよい。電極の幅としては、発熱体のサイズに応じて選択でき、例えば、1〜20mm、好ましくは2.0〜10mm、さらに好ましくは3〜8mm程度であってもよい。
また、電極が櫛形電極の場合、各電極の互いの離間距離は、例えば、5〜500mm程度、好ましくは10〜400mm程度、より好ましくは10〜300mm程度であってもよい。
(端子)
端子は、第1端子および第2端子(以下、端子と総称する場合がある)に分かれる。端子は、前記各電極と接触して、各電極に対して給電する。本発明においては、第1端子は第1電極に対して給電する役割を担うものであり、第2端子は第2電極に対して給電する役割を担うものである。例えば、第1電極と第1端子が正極、第2端子と第2電極が負極であってもよく、その逆であってもよい。端子としては、電極で例示した金属繊維や金属部材などを用いることができる。これらの材料は単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。
また、金属繊維を端子の少なくとも一部として用いる場合、端子を構成する金属繊維は、電極を構成する金属繊維と同種類であってもよい。
端子が金属繊維で形成される場合、金属繊維一本で構成されてもよいし、複数本の金属繊維を互いに略並行に配列し、所望の幅を有する帯状の端子として構成されてもよい。
端子の幅としては、発熱体のサイズに応じて選択できるが、例えば、1〜15mm、好ましくは2〜10mm、さらに好ましくは3〜5mm程度であってもよい。
端子は、電極と交差し、後述する通電性交差部および絶縁性交差部を有するように配置される限り、発熱部内の所望の位置に取り付けることが可能である。端子は、端子構成部の一部として配設されてもよい。端子構成部は、織編組織の一部として織り込みまたは編み込んでもよい。また、端子は第1端子および第2端子がそれぞれ少なくとも1つずつあればよい。
なお、端子の少なくとも一部が発熱部内に存在していればよく、端子の一部が発熱部外に存在しても構わない。例えば、後述する金属部材を端子として用いる場合、その一部が発熱部外に延長されていてもよい。
端子を発熱部の織編組織の一部として織り込みまたは編み込んで形成する場合、端子構成部は、重ね織組織(例えば二重織組織や三重織組織などの多重織組織)または重ね編組織(例えば、リップル編み、ブリスター編、ラッセル編みなど)により形成してもよい。中でも、端子構成部は二重織組織で構成されることが、後述する通電性交差部および絶縁性交差部を形成しやすい観点から好ましい。
例えば、織物である発熱部において、経方向に電極を形成し、緯方向に二重織組織である端子構成部を形成することが、好ましい態様の一つである。この場合において、端子構成部の二重織組織は、表裏が分離しないようにところどころ経糸または緯糸を裏組織に組み入れた構造であってもよいし、耳の部分以外は表裏を密着させず筒状に織られた袋織構造であってもよい。例えば、このような袋織構造は、特許文献1に記載された袋構造を参酌して形成してもよい。
端子構成部を袋織構造で形成する場合、本明細書において、この部分を「挿通孔」と称する場合がある。「挿通孔」には、後述する絶縁体を挿入することが可能である。また、絶縁体と供に、端子として金属部材を挿入することも可能である。この場合には、金属部材の大きさを適宜設定できるため、供給する電流量を増大させることができ、端子を長尺化した場合や電極数を増やした場合においても、電圧降下を防ぐことができ、発熱量を確保することが可能となる。
端子として挿入される金属部材の幅としては、挿通孔の大きさに応じて適宜設定できるが、例えば、1〜15mm、好ましくは2〜10mm、さらに好ましくは3〜5mm程度であってもよい。
端子として金属部材を挿入する場合、その長さは挿通孔と同程度であってもよく、挿通孔の長さよりも長くてもよい。端子である金属部材の長さを挿通孔よりも長くした場合、発熱部外に端子の一部が延長されているため、外部電源との接続がしやすくなる利点がある。このような場合、例えば発熱部外に出ている端子の一部に対して、半田付けにより外部電源からのリード線を接続することも可能である。
端子構成部は、端子である金属繊維以外に、絶縁糸を含んでいてもよい。絶縁糸を含むことにより、織編組織の構造を維持しながら、端子と電極との接触を効果的に防ぐことができ、後述する絶縁性交差部を形成することができる。絶縁糸は、端子構成部において、経糸および緯糸として組み込まれることが好ましい。
端子構成部の幅は、例えば、1〜20mm、好ましくは2〜15mm、さらに好ましくは3〜10mmであってもよい。
また、端子構成部における端子(金属繊維)の幅は、例えば、1〜15mm、好ましくは2〜10mm、さらに好ましくは3〜5mm程度であってもよい。
(交差部)
本発明の面状発熱体は、前記第1電極と前記第1端子とが発熱部内において交差して通電する通電性交差部と、前記第2電極と前記第2端子とが発熱部内において交差して通電する通電性交差部とを有する。また、前記第1電極と前記第2端子、および前記第2電極と前記第1端子は、発熱部内においてそれぞれ交差するが、通電しない絶縁性交差部を有する。
なお、電極と端子とが発熱部内において交差する場合、交差部分は発熱部内(すなわち、発熱部の領域内)に存在していればよく、例えば、電極および端子は発熱部表面において交差してもよいし、発熱部内部で交差してもよい。
(通電性交差部)
通電性交差部とは、同じ極性(正極同士または負極同士)の電極と端子が交差接触することにより通電する箇所を意味する。通電性交差部は発熱部内に存在すればよく、1または複数あってもよい。
(絶縁性交差部)
絶縁性交差部とは、異なる極性(正極と負極)の電極と端子が交差しているが、絶縁されている箇所を意味する。絶縁には、後述する絶縁体を使用することができる。本発明においては、絶縁性交差部において、異なる極性の電極と端子が絶縁されているため、短絡を防ぐことができ、発熱の低下を防ぐことができる。また、絶縁性交差部を有することにより、電極に通電するための端子を発熱部内に設けることができ、端子が発熱部の外部に配設されて端子の断線や端子間での絡まりが発生するのを防止できる。
絶縁性交差部は発熱部内に存在すればよく、1または複数あってもよい。
(絶縁体)
絶縁体は、絶縁テープ、絶縁リボン、絶縁片、絶縁帯状物、絶縁糸などの各種絶縁材料を用いることができる。これらの材料は単独でまたは二種以上組み合わせて使用してもよい。また、その大きさは、面状発熱体の各部材との関係に応じて、適宜設定することができる。
好ましい絶縁材料としては、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル樹脂など)、ハロゲン含有樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなど)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂などを用いることができる。絶縁糸としては、これらの絶縁材料から構成される糸を用いることができる。
絶縁性を良好にする観点から、絶縁体の厚みは、例えば、0.1〜2mm、好ましくは0.3〜1.0mm、さらに好ましくは0.5〜0.8mm程度であってもよい。
絶縁糸により金属繊維が接触するのを防ぐ場合、絶縁糸の繊度は、例えば、80〜500dtex、好ましくは100〜300dtex、さらに好ましくは165〜250dtexであってもよい。
また、絶縁糸を用いる場合、絶縁性を良好にする観点から、複数本の絶縁糸を互いに略並行に配列し、所望の幅を有する帯状の絶縁糸として用いてもよい。帯状の絶縁糸の幅としては、端子または電極のサイズに応じて選択できる。
長尺状の金属部材と絶縁部材とを組み合させる場合、絶縁部材として絶縁リボンや絶縁テープなどを用いて一体化するのが好ましい。例えば、長尺状の金属部材と絶縁部材とは、接着剤により一体化して用いてもよい。
また、絶縁部材として絶縁テープを用いる場合、金属部材の一方の面から絶縁テープを張り付けることにより一体化してもよい。さらに、絶縁テープを貼り付けた金属部材の反対面の両側にまたがって絶縁テープを張り付け、金属部材の導電面に絶縁テープによる絶縁部を設けると、金属部材の大きさを、絶縁部材より小さくすることができ好ましい。
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。ただし、本発明は、図示の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る面状発熱体を説明するための概念図である。図1に示すように、例えば、面状発熱体100は、通電により発熱可能である導電素子11(図示せず)を備える発熱部10と、導電素子11を通電するための2つの第1電極12,12および2つの第1電極の間に配設された第2電極14とを備えている。
導電素子11は隣り合う第1電極12および第2電極14間で通電して発熱する。図1では、第2電極14の両側に、第1電極12が配設され、第2電極14と、両側の各第1電極12との間で導電素子11が通電する。図1では、第1電極および第2電極は互いに略平行に配設されているが、その配置は適宜変更することができる。
導電素子11は、発熱部10に均一に付着した導電層であってもよい。例えば、このような発熱部は面ヒータとして知られている。または、導電素子11が線状の導電素子(例えば、導電性繊維)であり、発熱部10に線状の導電素子が面状に配設されていてもよい。例えばこのような発熱部は線面ヒータとして知られている。導電素子が線状の場合、導電素子11の配置は、第1電極12および第2電極14に対して交差していればよく、例えば、第1電極12および第2電極14に対して、導電素子11は略直交で配設されてもよいし、斜め方向に配設されてもよい。
第1電極12と第1端子13は、通電性交差部18cで交差する。通電性交差部18cでは、第1電極12に対して第1端子13が接して給電する。第2電極14と第2端子15との通電性交差部19cでは、第2電極14に対して第2端子15が接して給電する。一方、第1電極12と第2端子15は、絶縁性交差部18iで交差する。絶縁性交差部18iでは、第1電極12と第2端子15との間に絶縁体17が配設され、通電が妨げられる。また、第2電極14と第1端子13との絶縁性交差部19iでは、第2電極14と第1端子13との間に絶縁体17が配設され、通電が妨げられる。
通電性交差部18c、19cで電極へ端子から給電し、絶縁性交差部18i、19iで電極と端子との通電を妨げる限り、絶縁体の配置は、適宜調節することができる。例えば、絶縁体は、絶縁性交差部だけでなく、端子を略全体で被覆してもよい。ただし、通電性交差部では、電極へ端子から給電できるよう、絶縁体に露出部が形成される。
また、図1では、第1端子および第2端子を発熱部の中央部に設けているが、第1端子および第2端子の配置は発熱部内であれば特に制限されず、適宜用途に応じて設定することができる。
電極の数や配置は、目的とする発熱特性に応じて、適宜設定することが可能である。さらに、それぞれの電極に通電するための端子についても同様に、発熱部において所望の箇所に配設することができる。
なお、図1では、第1電極および第1端子、ならびに第2電極および第2端子が発熱部10に対して同じ側に配設されているが、これらの位置は適宜変更可能である。
例えば、第1電極を発熱部の一方の面に、第2電極を発熱部の他方の面に配設してもよい。
図2は、本発明の別の実施形態に係る面状発熱体を説明するための概念図である。図2では、図1と比べて電極の数が多く(例えば4本以上)、いわゆる櫛形電極として配設されている。面状発熱体200は、通電により発熱可能である導電素子21を備える発熱部20と、導電素子21を通電するための複数の第1電極22および複数の第2電極24とを備えている。複数の第1電極22および第2電極24は、それぞれ交互に配設されている。
図2に示す発熱部は線面ヒータであり、導電素子21は導電性繊維で構成され、発熱部20の一端から他端へ、互いに平行に複数配設されている。これらの導電素子21は隣り合う第1電極22および第2電極24の間で通電して発熱する。なお、導電性繊維は、電極と直交する方向に、複数本が略並列に密に配置されているが、便宜上、疎に図示している。なお、図2に示す線面ヒータに代えて、図1で説明した面ヒータが用いられてもよい。
複数の第1電極22に対して第1端子23が接して、これらの通電性交差部28cで通電し、複数の第2電極24に対して第2端子25が接して、これらの通電性交差部29cで通電する。一方で、これらの第1電極22と第2端子25との絶縁性交差部28iには絶縁体27が配設されて通電が妨げられ、同様に第2電極24と第1端子23との絶縁性交差部29iには絶縁体27が配設されて通電が妨げられている。
電極の数や配置は、目的とする発熱特性に応じて、適宜設定することが可能である。さらに、図2でも、第1端子23および第2端子25を発熱部の中央部に設けているが、第1端子および第2端子の配置は少なくとも発熱部内であれば特に制限されず、適宜用途に応じて設定することができる。また、第1端子23および第2端子25は、発熱部の一端部から他端部にわたって形成されていてもよいし、図2に示すように、一方の端部が発熱部外(面状発熱体外)に延長されていてもよいし、または、双方の端部が発熱部外(面状発熱体外)に延長されていてもよい。その他の構成は、図1での説明を参酌して適宜設定することができる。
図3は、本発明の別の実施形態に係る面状発熱体の一部を説明するための概念図であり、図4は、図3の一実施形態におけるX−X’線およびY−Y’線の要部概略断面図であり、図5は、図3の別の実施形態におけるX−X’線およびY−Y’線の要部概略断面図である。
図3では、面状発熱体300は、通電により発熱可能である導電素子31を備える発熱部30と、導電素子31を通電するための第1電極32および第2電極34とを備えている。複数の第1電極32および第2電極34は、それぞれ交互に配設されている。図3の発熱部は織物であり、導電素子31は、緯方向に線面状に配設された導電性繊維で構成され、発熱部30の一端から他端へ、互いに平行に複数配設されている。第1電極32および第2電極34では、それぞれ、経方向に複数の金属繊維が線状に織りこまれている。
第1端子33および第2端子35は、第1電極32および第2電極34との交差方向(緯方向)において、それぞれ発熱部30に配設されている。第1端子33及び第2端子35の端子構成部は、袋織構造である二重織組織となっており、複数の金属繊維が緯糸として配設されている。
通電性交差部38cでは、第1電極32に対して第1端子33が接して給電する。また、通電性交差部39cでは、第2電極34に対して第2端子35が接して給電する。一方、絶縁性交差部38iでは、第1電極32が第2端子35と交差するが、絶縁体37(図示せず)により通電するのを阻止されている。同様に、絶縁性交差部39iでは、第2電極34が第1端子33と交差するが、絶縁体37(図示せず)により通電するのを阻止されている。通電性交差部38c,39cおよび絶縁性交差部38i,39iでは、いずれも、二重織構造であり、それぞれ上層および下層の二層に分かれて配設されている。
図4には、図3の一実施形態における面状発熱体300におけるX−X’線およびY−Y’線の要部概略断面図が示されている。X−X’線は、第1電極32に沿った線であり、Y−Y’線は第2電極34に沿った線であり、いずれも織物の経方向と平行である。
X−X’線およびY−Y’線のいずれにおいても、複数の導電性繊維31が所定の間隔で緯方向に配設されている。X−X’線ではX’側に通電性交差部38c、X側に絶縁性交差部38iが配設されている。Y−Y’線では、Y’側に絶縁性交差部39i、Y側に通電性交差部39cが配設されている。通電性交差部38cおよび絶縁性交差部39iは、同じ端子構成部により貫通され、絶縁性交差部38iおよび通電性交差部39cは、同じ端子構成部により貫通される。そのため、端子構成部には、通電性交差部と絶縁性交差部とが交互に配設されることになる。
第1に、X−X’方向のX’側である通電性交差部38cを説明する。X−X’線では第1電極32を構成する金属繊維32cが経方向に配設され、X’側に通電性交差部38c、X側に絶縁性交差部38iが配設されている。第1電極32を構成する金属繊維32cは、経糸としてX−X’方向にわたって配設され、第1端子を構成する金属繊維33cは、緯糸として配設されている。
端子構成部が袋織構造であるため、通電性交差部38cは、上層38caと下層38cbに分かれる。
図4に示すように、第1電極32を構成する金属繊維32cは、上層38caの経糸として配設され、第1端子33を構成する金属繊維33cも、上層38caの緯糸として配設されている。ここで、上層38caにおいては、緯糸である金属繊維33cが引き揃えられた外側を経糸である金属繊維32cが被覆する織組織となっている。そのため、金属繊維32cと33cは互いに接触して通電可能である。なお、図示していないが、経糸として絶縁糸が金属繊維32cと略平行に配設されており、これらの絶縁糸によって、緯糸である金属繊維33cおよび後述する絶縁糸33i、33iが上層38caに固定されている。このような構造は、下層38cbにおいても同様である。
上層38caでは、第1端子33を構成する金属繊維33cは、上層38caの中央部に帯状に配設され、金属繊維33cの両側には、所定の幅を有する帯状に絶縁糸33i、33iが配設される。
なお、通電性交差部38cの下層38cbでは、緯糸は絶縁糸37iが帯状に引き揃えられて配設されている。また、経糸は絶縁糸32iが配設されている。
第2に、Y−Y’方向のY’側である絶縁性交差部39iを説明する。絶縁性交差部39iは、上層39iaと下層39ibに分かれる。面状発熱体300において緯糸は連続して配設されるため、通電性交差部38cにおける緯糸の配置は、絶縁性交差部39iにおいても同様である。すなわち、第1端子33を構成する金属繊維33cは、緯糸として上層39iaの中央部に帯状に配設され、金属繊維33cの両側には所定の幅を有する帯状に絶縁糸33i,33iが配設される。また、下層39ibの緯糸は絶縁糸37iで構成される。
一方、絶縁性交差部39iでは、第2電極34を構成する金属繊維34cが経糸として配設されるが、金属繊維34cは、絶縁性交差部39iの下層39ibの経糸として、絶縁糸37iである緯糸の外側に配設される。
絶縁性交差部39iでは、第1端子33を構成する金属繊維33cは、金属繊維33cの両側の絶縁糸33i,33i、下層39ibの絶縁糸37i、および上層39iaの絶縁糸34iが絶縁体37として働き、金属繊維33cの周囲を囲むため、第2電極34を構成する下層39ibの経糸である金属繊維34cとの通電が妨げられる。これにより、絶縁性交差部39iでは、第2電極34と第1端子33との通電が絶縁体により妨げられることとなる。
第3に、Y−Y’方向のY側である通電性交差部39cを説明する。Y側では第2電極34を構成する金属繊維34cは、経糸としてY−Y’方向にわたって配設され、第2端子35を構成する金属繊維35cは、緯糸として配設されている。
端子構成部が袋織構造であるため、通電性交差部39cは、上層39caと下層39cbに分かれる。
図4に示すように、第2電極34を構成する金属繊維34cは、下層39cbの経糸として配設され、第2端子35を構成する金属繊維35cも、下層39cbの緯糸として配設されている。ここで、下層39cbにおいては、緯糸である金属繊維35cが引き揃えられた外側を経糸である金属繊維34cが被覆する織組織となっている。そのため、金属繊維34cと35cは互いに接触して通電可能である。なお、図示していないが、経糸として絶縁糸が金属繊維34cと略平行に配設されており、これらの絶縁糸によって、緯糸である金属繊維35cおよび後述する絶縁糸35i、35iが下層39cbに固定されている。このような構造は、上層39caにおいても同様である。
下層39cbでは、第2端子35を構成する金属繊維35cは、下層39cbの中央部に帯状に配設され、金属繊維35cの両側には、所定の幅を有する帯状に絶縁糸35i、35iが配設される。
なお、通電性交差部39cの上層39caでは、緯糸は絶縁糸37iが帯状に引き揃えられて配設されている。また、経糸は絶縁糸34iが配設されている。
第4に、X−X’方向のX側である絶縁性交差部38iを説明する。絶縁性交差部38iは、上層38iaと下層38ibに分かれる。面状発熱体300において緯糸は連続して配設されるため、絶縁性交差部38iにおける緯糸の配置は、通電性交差部39cにおいても同様である。すなわち、第2端子35を構成する金属繊維35cは、緯糸として下層38ibの中央部に帯状に配設され、金属繊維35cの両側には所定の幅を有する帯状に絶縁糸35i,35iが配設される。また、上層38iaの緯糸は絶縁糸37iで構成される。
一方、絶縁性交差部38iでは、第1電極32を構成する金属繊維32cが上層38iaの経糸として絶縁糸37iである緯糸の外側に配設される。また、下層38ibの経糸としては、絶縁糸32iが、緯糸である金属繊維35cの外側に配設される。
したがって、絶縁性交差部38iでは、第2端子35を構成する金属繊維35cは、金属繊維35cの両側の絶縁糸35i,35i、上層38iaの絶縁糸37i、および下層38ibの絶縁糸32iが絶縁体37として働き、金属繊維35cの周囲を囲むため、第1電極32を構成する金属繊維32cとは絶縁される。これにより、絶縁性交差部38iでは、第1電極32と第2端子35との通電が絶縁体により妨げられることとなる。
なお、図4においては、端子構成部が袋織構造となっているが、袋織構造ではない二重織組織とすることも可能である。例えば、図4において、上層および下層が分離しないように、通電には関係のない絶縁糸を経糸に用い、上層および下層の両方に組み入れた構造としてもよい。この場合においても、通電性交差部においては、端子を構成する金属繊維と電極を構成する金属繊維とが接触可能な構造は維持されるため、通電可能である。また、絶縁性交差部においては、端子を構成する金属繊維が絶縁糸によって周囲を囲まれた構造は維持されるため、端子と電極との通電は妨げられる。
図5には、図3の別の実施形態における面状発熱体400におけるX−X’線およびY−Y’線の要部概略断面図が示されている。図5では、第1端子43および第2端子45は、第1電極42および第2電極44との交差方向(緯方向)において、それぞれ発熱部40に配設されている。第1端子43及び第2端子45の端子構成部は、袋織構造である二重織組織となっており、複数の金属繊維が緯糸として配設されている。上記袋織構造は挿通孔を形成しており、該挿通孔には、各端子の帯幅よりも広い幅を有する長尺状の絶縁部材47iが挿通されている。図3では、面状発熱体400に関する符号は括弧書きにより示されている。
X−X’線は、第1電極42に沿った線であり、Y−Y’線は第2電極44に沿った線である。X−X’線およびY−Y’線のいずれにおいても、複数の導電性繊維41が所定の間隔で緯方向に配設されている。X−X’線ではX’側に通電性交差部48c、X側に絶縁性交差部48iが配設されている。Y−Y’線では、Y’側に絶縁性交差部49i、Y側に通電性交差部49cが配設されている。通電性交差部48cおよび絶縁性交差部49iは、同じ端子構成部により貫通され、絶縁性交差部48iおよび通電性交差部49cは、同じ端子構成部により貫通される。そのため、端子構成部には、通電性交差部と絶縁性交差部とが交互に配設されることになる。
第1に、X−X’方向のX’側である通電性交差部48cを説明する。X−X’線では第1電極42を構成する金属繊維42cが経方向に配設されている。第1電極42を構成する金属繊維42cは、経糸としてX−X’方向にわたって配設され、第1端子を構成する金属繊維43cは、緯糸として配設されている。
端子構成部が袋織構造であるため、通電性交差部48cは、上層48caと下層48cbに分かれる。図5に示すように、上層48caと下層48cbは、それぞれが織組織として構成されている。第1電極42を構成する金属繊維42cは、上層48caの経糸として配設され、第1端子43を構成する金属繊維43cは、上層48caの緯糸として配設されている。そのため、金属繊維42cと43cは互いに接触して通電可能である。なお、図示していないが、経糸として絶縁糸が金属繊維42cと略平行に配設されており、金属繊維42cと供に織組織を構成している。このような構造は、下層48cbにおいても同様である。
上層48caの緯糸では、第1端子43を構成する金属繊維43cは、上層48caの中央部に帯状に配設され、金属繊維43cの両側には所定の幅を有する帯状に絶縁糸43i,43iが配設される。
また、通電性交差部48cの下層48cbでは、経糸として絶縁糸42iが配設され、緯糸として絶縁糸43iが配設されている。さらに、上層48caおよび下層48cbの間の挿通孔には、第1端子43の帯幅よりも広い幅を有する長尺状の絶縁部材47iが挿通されている。
第2に、Y−Y’方向のY’側である絶縁性交差部49iを説明する。絶縁性交差部49iは、上層49iaと下層49ibに分かれる。面状発熱体400において緯糸は連続して配設されるため、通電性交差部48cにおける緯糸の配置は、絶縁性交差部49iにおいても同様である。また、上層49iaおよび下層49ibの間の挿通孔には、第1端子43の帯幅よりも広い幅を有する絶縁部材47iが挿通されている。すなわち、第1端子43を構成する金属繊維43cは、緯糸として上層49iaの中央部に帯状に配設され、金属繊維43cの両側の緯糸として絶縁糸43i,43iが所定の幅を有する帯状に配設される。また、上層49iaの経糸としては、絶縁糸44iが配設される。
一方、絶縁性交差部49iでは、第2電極44を構成する金属繊維44cが経糸として配設されるが、金属繊維44cは、絶縁性交差部49iの下層49ibの経糸として配設される。
このような構成により、絶縁性交差部49iでは、第1端子43を構成する金属繊維43cは、その両側の絶縁糸43i,43i、上層49iaの経糸としての絶縁糸44i、および下側に配設された絶縁部材47iにより、その周囲を囲まれる。これらの絶縁糸43i,43i、44i、および絶縁部材47iが絶縁体47として働くため、第2電極44を構成する金属繊維44cと、第1端子43を構成する金属繊維43cとの通電が妨げられる。これにより、絶縁性交差部49iでは、第2電極44と第1端子43との通電が絶縁体により妨げられることとなる。
Y−Y’方向のY側である通電性交差部49cについては、通電性交差部48cと同様の機構により、下層49cbにおいて第2電極44を構成する金属繊維44c(経糸)と、第2端子を構成する金属繊維45c(緯糸)とが接触することにより、通電可能である。
X−X’方向のX側である絶縁性交差部48iについては、絶縁性交差部49iと同様の機構により、第1電極42を構成する金属繊維42c(経糸)と、第2端子を構成する金属繊維45c(緯糸)との接触が、絶縁糸45i,45i、絶縁糸42i、および絶縁部材47iが絶縁体47として働くことにより妨げられるため、絶縁される。
このように、挿通孔に各端子の帯幅よりも広い幅を有する長尺状の絶縁部材を挿通することにより、交差部の上層および下層のいずれか又は両方を織組織として構成した場合においても、通電性交差部および絶縁性交差部を形成することが可能となり、本発明の面状発熱体を形成できる。
なお、図5において、第1電極42を構成する金属繊維42cは、通電性交差部48cおよび絶縁性交差部48iの両方において、経糸として上層に配設され、「電極同側型構造」を形成しているが、第1電極42を構成する金属繊維42cを、通電性交差部48cおよび絶縁性交差部48iのどちらか一方において上層に配設し、他方において下層に配設した、「電極交差型構造」を形成することも可能である。具体的には、例えば通電性交差部48cにおいては、上層48caの経糸として金属繊維42cを配設し、絶縁性交差部48iにおいては、下層48ibの経糸として金属繊維42cを配設する。この場合は、絶縁性交差部48iの下層に配設された金属繊維42cと接触するのを防ぐため、第2端子45を構成する金属繊維45c(緯糸)を、図5とは逆に、上層48iaに配設すればよい。
また、この場合において、面状発熱体400では緯糸は連続して配設されるため、絶縁性交差部48iにおける緯糸の配置は、通電性交差部49cにおいても同様である。よって、通電性交差部49cにおいても、第2端子45を構成する金属繊維45cは上層49caに配設されることになる。従って、第2電極44を構成する金属繊維44cは、通電性交差部49cにおいて、上層49caに配設された金属繊維45cと接触させるために、上層49caの経糸として配設すればよい。また、通電性交差部48cにおける緯糸の配置は、絶縁性交差部49iにおいても同様であるため、絶縁性交差部49iでは、第1端子43を構成する金属繊維43c(緯糸)が上層49iaに配設されている。よって、第2電極44を構成する金属繊維44cは、絶縁性交差部49iにおいて、下層49ibの経糸として配設すればよい。このように、Y−Y’方向においても、「電極交差型構造」が形成される。
図6は、図5の変形例として、電極と端子間での通電性を向上させるために、長尺状の金属部材を挿通孔に挿通した面状発熱体を説明するための要部概略断面図を示す。図5および図6において共通する符号は、記載を省略する場合がある。
図6に示すように、通電性交差部48cでは、絶縁部材47iよりも狭い帯幅を有する金属部材46が、第1端子43を構成する金属繊維43cに接して、絶縁部材47iと第1端子43との間に配設される。言い換えると、通電性交差部48cにおいて、絶縁部材47iよりも狭い帯幅を有する金属部材46が、第1端子43を構成する金属繊維43cと接した状態で、第1端子43と絶縁部材47iとの間に配設される。そのため、金属部材46は金属繊維43cと供に第1端子43となることができ、これにより、より大きな電流を第1電極42に供給することができ、発熱量を増大させることが可能となる。
次に、絶縁性交差部49iを説明する。通電性交差部48cおよび絶縁性交差部49iは、同じ挿通孔により貫通されるため、金属部材46が、絶縁部材47iの上側すなわち金属繊維43c側に配設される。しかし、金属部材46の帯幅は、絶縁部材47iの帯幅より狭いため、下層49ibにおける経糸である金属繊維44cとは接触しない。このため、絶縁性交差部49iにおいて、第2電極44と第1端子43との通電が妨げられる構成は維持される。
通電性交差部49cおよび絶縁性交差部48iについても、通電性交差部48cおよび絶縁性交差部49iの記載を参酌できるため、説明は省略する。
挿通孔に挿入される金属部材46の長さは、挿通孔の長さより長くてもよい。金属部材46が挿通孔よりも長い場合、金属部材46の一部が発熱部外に延長されるため、外部電源との接続がしやすくなる。
なお、図6においても、図5と同様に「電極交差型構造」を形成することが可能である。この場合、挿通孔に挿通する金属部材46を、端子を構成する金属繊維と接するような位置になるように配設すればよい。
図7は、図4の変形例として、長尺状の絶縁部材37iを挿通孔に挿通した面状発熱体を説明するための要部概略断面図を示す。図7では、図4の構成に加えて、長尺状の絶縁部材37iが図5の構成を参酌して挿通孔に挿通されている。図4および図7において共通する符号は、記載を省略する場合がある。この場合も、通電性交差部38cでは、第1電極を構成する金属繊維32cと第1端子を構成する金属繊維33cとの通電性は確保される。
その一方で、絶縁性交差部39iでは、第1端子を構成する金属繊維33cが、その両隣の絶縁糸33i、33i、絶縁糸32iおよび絶縁部材37iにより隔離されるため、第2電極を構成する金属繊維34cと第1端子を構成する金属繊維33cとは絶縁される。
通電性交差部39cおよび絶縁性交差部38iについても、通電性交差部38cおよび絶縁性交差部39iの記載を参酌できるため、説明は省略する。
図8は、図4の変形例として、長尺状の絶縁部材37iおよび金属部材36を挿通孔に挿通した面状発熱体を説明するための要部概略断面図を示す。図8では、図4のさらなる変形例として、図4の構成に加えて、絶縁部材37iおよび金属部材36が、図6の構成を参酌して挿通孔に挿通されている。この場合、金属部材は通電性交差部において端子として電極と接触可能であり、絶縁性交差部においては絶縁部材により妨げられて電極とは接触しない。
例えば、通電性交差部38cでは、絶縁部材37iよりも狭い帯幅を有する金属部材36が、第1端子33を構成する金属繊維33cに接して、絶縁部材37iと第1端子33との間に配設される。図8では、金属部材36は、絶縁部材37iの上側に配設されている。そのため、金属部材36は金属繊維33cと供に第1端子33となることができ、これにより、より大きな電流を第1電極32に供給することができ、発熱量を増大させることが可能となる。
次に、絶縁性交差部39iを説明する。通電性交差部38cおよび絶縁性交差部39iは、同じ挿通孔により貫通されるため、金属部材36が、絶縁部材37iの上側すなわち金属繊維33c側に配設される。しかし、金属部材36の帯幅は、絶縁部材37iの帯幅より狭いため、下層39ibにおける経糸である金属繊維34cとは接触しない。このため、絶縁性交差部39iにおいて、第2電極34と第1端子33との間で通電が妨げられる構成は維持される。
通電性交差部39cおよび絶縁性交差部38iについても、通電性交差部38cおよび絶縁性交差部39iの記載を参酌できるため、説明を省略する。
なお、図2〜8において、経糸および緯糸の配置は、互いに入れ替えて面状発熱体を形成してもよい。
また、本発明で説明された面状発熱体は、複数組み合わせて面状発熱体アレイとして用いることができる。例えば、面状発熱体アレイとしては、前記面状発熱体を複数(例えば、10個以上)備え、これらの面状発熱体を面状に配置した面状発熱体アレイを挙げることができる。
本発明の面状発熱体は、端子の位置を隣接する面状発熱体の間で端子方向において略同一にすることにより、端子間の接続の煩わしさを解消して、端子方向に面状発熱体を配置して、面状発熱体アレイを得ることができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例により何ら限定されるものではない。
市販のポリエステル加工糸(クラレトレーディング(株)製「FD167T−48」)にカーボンナノチューブ水分散液((株)パーカーコーポレーション製「PDW2402」)をローラータッチ方式により付着させて150℃で1分の熱処理を施して巻き取った。得られた導電性繊維の電気抵抗値は2.4×10Ω/cmであった。これを発熱糸として用いた。
次に、電極及び端子に用いる金属繊維を準備する。ポリエステル加工糸(FD167T−48)を芯糸として、直径60μmの錫メッキ銅細線2本を1m当り4000回のS−Z方向にダブルカバリングした撚り糸を得た。抵抗値は1m当り2Ωであった。
上記導電性繊維、金属繊維及び絶縁糸(市販のポリエステル加工糸(クラレトレーディング(株)製「FD167T−48」))を用いて、織物を作成し、面状発熱体を形成した。織物規格は経糸密度を1インチ当たり97本、緯糸密度は1インチ当たり60本とした。尚、上記で得た導電性繊維は緯糸に用い、緯糸における導電性繊維の使用比率を50%(1インチ当たり30本)とした。図9で示すように、第1電極52、52は面状発熱体の両端に、第2電極54は、面状発熱体の中央付近に配置した。電極は上記金属繊維を用い、第1電極52と第2電極54間の距離が40cmとなるように経糸として配置した。電極を構成する金属繊維の本数は、第1電極52を12本ずつとし、第2電極54を24本とした。また、第1電極52、52は、第1端子53と交わり給電され、第2電極54は、第2端子55と交わり給電される。なお各端子は、後述する経緯二重織組織の端子構成部において途切れることなく配設されているが、便宜上、図9では、端子を記載していない箇所により絶縁交差部を示している。
端子構成部は図10に示す経緯二重織組織を用い、織物に平行な袋織構造の挿通孔を緯方向に2本形成した。この二重織組織では、上層および下層はいずれも平織の外観を有している。図10では、上層の経糸種が1(奇数)、緯糸種が11(奇数)で表され、下層の経糸種が2(偶数)、緯糸種が22(偶数)で表される。端子を構成する金属繊維は8本用い、上記袋織構造において、緯糸として、端子構成部の中央に帯状に配設した。また、端子を構成する金属繊維の両側に絶縁糸を配設した。端子構成部(挿通孔)の幅は7mmであった。得られた織物は、X−X’方向およびY−Y’方向において、図6に示す断面構造を形成した。得られた面状発熱体の大きさ(電極部を除く)は、生地幅(緯方向)80cm、生地長(経方向)100cmであり、発熱部内に、電極と端子との交差部(通電性交差部および絶縁性交差部)を有していた。
次に、幅が2mmである扁平な金属部材(端子)を2本用意し、それぞれの片面に絶縁性を有する塩化ビニルテープを貼りつけ一体化した。これを形成された2本の挿通孔にそれぞれ生地幅よりも4cm長くして挿入し、図6に示す構造を形成した。
得られた面状発熱体の端子に100V通電したところ、消費電力密度が290W/mであり、端子から電極への給電が良好であり、全体を高い発熱量で発熱することができた。
本発明の面状発熱体は、各種の分野、例えば、道路などの屋外設備のための用途(例えば、ロードヒーティング、融雪装置、凍結防止装置など)、農業用途(例えば、園芸用マットなど)、建造物の構成要素としての用途(例えば、結露防止や防曇装置、床暖房、壁暖房など)、ベヒクルの内部構成要素としての用途(例えば、電車、自動車などの車輌、航空機などの座席シートなど)、防寒のための身飾品のための用途(例えば、ジャケット、ベスト、ひざ掛けなどの衣料、寝具、靴、カイロ、ホットカーペットなど)、家具や日用品としての用途(例えば、いす、足温器など)などに利用可能である。また、本発明の面状発熱体を複数組み合わせて面状発熱体アレイを形成することも可能である。
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
100,200,300,400 面状発熱体
11,21,31 導電素子
10,20,30 発熱部
12,22,32,42,52 第1電極
14,24,34,44,54 第2電極
13,23,33,43,53 第1端子
15,25,35,45,55 第2端子
18c,19c,28c,29c,38c,39c,48c,49c 通電性交差部
18i,19i,28i,29i,38i,39i,48i,49i 絶縁性交差部
17,27,37,47 絶縁体

Claims (14)

  1. 導電素子を備える発熱部と、1または複数の第1電極および第1電極へ給電する第1端子と、1または複数の第2電極および第2電極へ給電する第2端子とを少なくとも備え、前記導電素子は第1電極および第2電極の間で通電して発熱する面状発熱体であって、
    発熱部内において、前記第1電極と前記第1端子とが交差する通電性交差部、前記第2電極と前記第2端子とが交差する通電性交差部、前記第1電極と前記第2端子とが交差する絶縁性交差部、および前記第2電極と前記第1端子とが交差する絶縁性交差部を備える、面状発熱体。
  2. 請求項1の面状発熱体において、第1電極および第2電極がそれぞれ複数存在する櫛形電極である、面状発熱体。
  3. 請求項1または2の面状発熱体において、発熱部が布帛である、面状発熱体。
  4. 請求項3の面状発熱体において、発熱部が、導電性繊維を導電素子として備える織編物である、面状発熱体。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の面状発熱体において、前記電極は金属繊維で構成される、面状発熱体。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の面状発熱体において、前記端子の少なくとも一部は金属繊維で構成される、面状発熱体。
  7. 請求項4〜6のいずれか一項に記載の面状発熱体において、前記端子の少なくとも一部は金属繊維で構成され、該金属繊維を含む端子構成部が、重ね織組織または重ね編組織により形成される、面状発熱体。
  8. 請求項7の面状発熱体において、前記端子構成部が二重織組織で構成される、面状発熱体。
  9. 請求項8の面状発熱体において、前記端子構成部が袋織構造で構成される、面状発熱体。
  10. 請求項9の面状発熱体において、前記袋織構造は挿通孔を形成し、該挿通孔に長尺状の絶縁部材が挿入される、面状発熱体。
  11. 請求項10に記載の面状発熱体において、前記挿通孔に、さらに前記絶縁部材より短い幅の金属部材が挿入される、面状発熱体。
  12. 請求項11に記載の面状発熱体において、前記金属部材の長さが、前記挿通孔の長さよりも長い、面状発熱体。
  13. 請求項7〜12のいずれか一項に記載の面状発熱体において、前記端子を構成する金属繊維は、端子構成部の中央部に配設され、前記端子を構成する金属繊維の両側に絶縁糸が配設されている、面状発熱体。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の面状発熱体を複数備え、これらの面状発熱体を面状に配置した面状発熱体アレイ。
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