JP7417020B2 - ヒーター用丸編地 - Google Patents

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Description

特許法第30条第2項適用 展示会名:第12回国際カーエレクトロニクス技術展、開催日:令和2年1月15日(水)、16日(木)、17日(金) 刊行物名:化学工業日報、発行日:令和2年2月28日(金)
本発明は、通電により発熱する導電性繊維を含んで編成されたヒーター用丸編地に関する。
通電により発熱する面状の発熱体は、様々な技術分野で研究開発が行われている。面状発熱体の応用例としては、床暖房、融雪装置、凍結防止装置、結露防止装置、ホットカーペット、車輌シート、園芸用マット、防寒ジャケット等がある。これらの中でも、伸縮性と軽量性が必要な用途には、織物(布帛)、編物、不織布等の生地に、導電性を付与した面状発熱体が適している。伸縮性が必要な用途としては、例えば、冬季に乗用車等の座席シートの着座面を加熱暖房するシートヒーターがある。このようなシートヒーター用の面状発熱体には、着座面の変形に追従できる伸縮性が要求される。
生地を用いた発熱体の具体例として、通電により発熱するニクロム線や炭素繊維等の導電線をフェルト生地に縫い付けた布帛発熱体が知られている。しかし、この布帛発熱体においてはニクロム線や炭素繊維等の導電線を支えるために厚い生地が用いられることから、厚さも重量も大きくなる。また、ニクロム線等の導電線は、屈曲が繰り返されると断線する恐れがあるため、シートの表層から一定距離遠ざける必要があり、熱効率が悪いものであった。
これに対して、合成繊維の表面を銀等の金属で被覆した金属被覆糸を含む編織物からなる布帛発熱体が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。しかし、特許文献1に記載された布帛発熱体は衣料用を想定したもので、シートヒーター用として想定されていないため、導電性繊維の電気抵抗値が適切な値に設定されていないことから、適した発熱温度を得ることができない。また、屈曲の繰り返しによる破断等に対する耐久性が不十分で、導電不良が発生し易いものであった。
そこで、断線による導電不良が発生し難い布帛発熱体として、合成繊維の表面をカーボンナノチューブで被覆した導電性繊維を含む織編物からなる面状発熱体が開発されている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2007-220616号公報 特開2010-192218号公報
しかしながら、特許文献2に記載された面状発熱体も、導電性繊維の電気抵抗値が適切な値に設定されていないことから、通電による発熱が不十分である。さらに、この面状発熱体は織物であるため伸縮性が不足しており、座席シートの着座面等の変形に追従することができない。このように、特許文献2の面状発熱体は、シートヒーター等の用途には適さないものであった。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、通電により十分な発熱が得られるとともに、加熱面の変形に追従して変形することで、シートの表層により近いところに使用することができ、効率的に対象を加熱することができるヒーター用丸編地を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のヒーター用丸編地は、
20℃における電気抵抗値が10Ω/m~10Ω/mの範囲内である導電性繊維が少なくとも一部に含まれた丸編地であることを特徴とする。
前記導電性繊維の1コース当たりの本数が0.05本/c以上であることが好ましい。
前記丸編地のウエル(w)とコース(c)の値が23~40w/インチ、28~100c/インチの範囲内であることが好ましい。
前記丸編地に含まれる非導電性繊維の少なくとも一部が合成繊維の仮撚り加工糸からなることが好ましい。
前記導電性繊維がカーボン材料を含む繊維であることが好ましい。
前記導電性繊維がウエルト部を有するように編成され、該ウエルト部が1w~7wの範囲内で連続していることが好ましい。
前記導電性繊維がニット編目に用いられていないことが好ましい。
前記丸編地がダンボール丸編地であって、表裏を接結する部分に前記導電性繊維が使用されていることが好ましい。
前記丸編地が乗物用座席シートに使用されることが好ましい。
本発明に係るヒーター用丸編地は、通電した際に効率よく発熱する電気抵抗率を備えた導電性繊維を含み、丸編地に特有の優れた伸縮性を有する。これによって、通電による発熱量が大きくなり、かつ、加熱面の変形に追従できることで、シートの表層により近いところに使用することができるため、効率的に対象を加熱できるヒーター用丸編地となる。
シングル丸編地として編成されたヒーター用丸編地の編目構造を示す模式図である。 本発明のヒーター用丸編地の実施例8で使用したダブル丸編地の組織図である。 本発明のヒーター用丸編地の実施例1及び4で使用したシングル丸編地の組織図である。 本発明のヒーター用丸編地の実施例2で使用したシングル丸編地の組織図である。 本発明のヒーター用丸編地の実施例3で使用したシングル丸編地の組織図である。 本発明のヒーター用丸編地の実施例5で使用したシングル丸編地の組織図である。 本発明のヒーター用丸編地の実施例6で使用したシングル丸編地の組織図である。 本発明のヒーター用丸編地の実施例7で使用したシングル丸編地の組織図である。 本発明のヒーター用丸編地の実施例9で使用したシングル丸編地の組織図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係るヒーター用丸編地は、20℃における電気抵抗値が10Ω/m~10Ω/mである導電性繊維が少なくとも一部に含まれた丸編地である。導電性繊維の電気抵抗値が大き過ぎると、通電時の電流値が小さくなって十分な発熱量が得られない。また、電気抵抗値が小さ過ぎると導電性繊維における電流値が大きくなり、高温になり過ぎてしまう。導電性繊維の電気抵抗値を10Ω/m~10Ω/mの範囲内にすれば、通電時の発熱量が、ヒーター用として適した加熱特性を有するヒーター用丸編地となる。
電気抵抗値の範囲は、導電性繊維の20℃における電気抵抗値が10Ω/m~10Ω/mの範囲内であることがより好ましく、10Ω/m~10Ω/mの範囲内であることが、さらに好ましい。また、ヒーター用丸編地には、導電性繊維が少なくとも一部に含まれていればよいが、導電性繊維のみで編成されていてもよい。
前記導電性繊維の1コース当たりの本数が0.05本/c以上であることが好ましい。1コース当たりの本数が0.05本を下回ると導電性繊維同士の間隔が広くなり過ぎるため、発熱ムラが大きくなってしまう。また、丸編地における導電性繊維の密度も低いため、丸編地全体として大きい発熱量が得られなくなってしまう。1コース当たりの本数は0.1本/c以上であることがより好ましく、0.2本/c以上であることがさらに好ましい。
本実施の形態に係るヒーター用丸編地のウエル(w)とコース(c)の値は、23~40w/インチ、28~100c/インチの範囲内であることが好ましい。丸編地は全ての糸が生地の巾方向に連続した編地である。そのためウエル数が小さくなれば一間隔当たりの導電性繊維の長さが短くなり抵抗値を下げることができるが巾方向に伸びにくくなる。ウエル数が大きくなると巾方向に伸びやすくなるが一間隔当たりの導電性繊維の長さが長くなり抵抗値が高くなってしまう。一方コース数は、大きい方が導電性繊維の本数を増やすことができ密度を高められるため発熱量を大きくすることができる。しかし、大きすぎると生地が重く高価なものになってしまう。上記範囲にすることでヒーター用丸編地の導電性を損なうことなく、伸縮性を大きくすることができる。丸編地のウエルとコースの値は、26~36w/インチ、40~90c/インチの範囲内であることが、より好ましい。
ヒーター用丸編地が導電性繊維と非導電性繊維とからなる場合、非導電性繊維の少なくとも一部が合成繊維の仮撚り加工糸からなることが好ましい。非導電性繊維として仮撚り加工糸を用いることによって、ヒーター用丸編地の伸縮性がより大きくなる。合成繊維の種類としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維が好ましく、特にポリエステル系繊維が好ましい。仮撚り加工糸がヒーター用丸編地のニット編目に用いられていれば、さらに伸縮性が大きくなることから、より好ましい。
本実施の形態に係る導電性繊維は、カーボン材料を含む繊維であることが好ましい。カーボン材料を含む繊維で導電性繊維を構成することによって、断線や剥離による導電性の劣化が防止される。カーボン材料としては、カーボンナノチューブ、カーボンブラック等を用いることができるが、導電性及び強度が優れているカーボンナノチューブを用いることが、より好ましい。また、カーボン材を含む導電性繊維を製造する方法としては、合成繊維等の繊維の表面をカーボン材料で被覆する方法や、合成繊維の原料にカーボン材料を混合してから紡糸する方法等がある。
本実施の形態に係る導電性繊維を繊維の表面にカーボン材料で被覆する場合、導電性を付与する繊維としては、天然繊維、人工繊維のいずれも用いることができる。天然繊維には、木綿、麻、羊毛、絹等がある。また人工繊維には、合成繊維、再生繊維(レーヨン、キュプラ等)、半合成繊維(アセテート、プロミックス等)、無機繊維(フッ素繊維、ガラス繊維、ステンレス繊維等)がある。本実施の形態に係る導電性繊維を形成する繊維としては、合成繊維が好ましい。
用いられる合成繊維は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタラート等の芳香族ポリエステル樹脂やポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル系樹脂からなるポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維等が挙げられる。これらの合成繊維のうち、汎用性及び熱的特性の点からポリエチレンテレフタラート等のポリエステル系繊維、ポリアミド6等のポリアミド系繊維、及びポリプロピレン系繊維が好ましい。特に、熱安定性及び寸法安定性に優れることから、ポリエステル系繊維が好ましい。
合成繊維は、長繊維(フィラメント)であってもよく、短繊維(ステープル)であってもよい。合成繊維の横断面形状は特に限定されず、丸形断面を有する通常の合成繊維であってもよく、丸形断面以外の異形断面を有する合成繊維であってもよい。異形断面繊維の横断面形状としては、方形、多角形、三角形、中空形、偏平形、多葉形、ドッグボーン型、T字形、V字形等がある。本実施の形態においては、これらの形状のうち、下記のカーボン材料からなる被覆層等を均一に形成し易い点から、丸型断面形状の合成繊維が用いられる。
本実施の形態に係る導電性繊維においては、導電発熱性の点から、合成繊維の全表面の50%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは全表面を覆う100%の被覆率で、カーボンナノチューブからなる導電層を繊維表面に付着させる。また、導電性繊維がマルチフィラメント糸や紡績糸等の複合糸として含まれる場合は、糸の表面に位置する繊維の全表面の60%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは全表面を覆う100%の被覆率でカーボンナノチューブを付着させる。
導電性繊維を構成する合成繊維が、モノフィラメント糸ではなく、マルチフィラメント糸や紡績糸である場合は、糸の内側に位置する繊維表面(糸表面に露出していない繊維表面)には、導電層を構成するカーボンナノチューブは付着していなくてもよいが、糸の表面に位置する繊維の表面だけでなく、糸の内部に位置する繊維の表面にもカーボンナノチューブが付着していると、導電発熱性が一層良好になる。
紡績糸やマルチフィラメント糸等の内部にカーボンナノチューブを強固に付着させるためには、微振動を利用したカーボンナノチューブの付着処理を行うのが好ましい。合成繊維の形態としては、付着処理における効果が顕著に表れる点から、特に双糸、マルチフィラメント糸、紡績糸が好ましく、本実施の形態においては、マルチフィラメント糸が用いられる。
本実施の形態に係る導電性繊維を繊維の原料にカーボン材料を混合して紡糸する場合、原料は合成繊維であることが好ましく、熱安定性及び寸法安定性に優れることから、ポリエステル系繊維であることがより好ましい。
また、本実施の形態で用いられる導電性繊維の繊度は50~400dtexの範囲内であることが好ましい。導電性繊維の繊度が50~400dtexの範囲内であることによって、導電性繊維の電気抵抗率と強度のバランスが保たれる。導電性繊維の繊度は、70~300dtexの範囲内であることが、より好ましい。
本実施の形態のヒーター用丸編地は、通常の丸編機で編成される。ヒーター用丸編地は、シングル丸編地であってもダブル丸編地であってもよい。編機のゲージは18~36ゲージの範囲であることが好ましい。
導電性繊維の編成方法としては、ウエルト部を有するように編成されることが好ましい。図1は、シングル丸編地として編成されたヒーター用丸編地の編目構造を示す模式図である。図1に示されるように、シングル丸編地からなるヒーター用丸編地10は、導電性繊維11と非導電性繊維12がインレイ編みで編成されてなる1×3のインレイ編地である。導電性繊維11はタック編目部13の間に3wの平坦なウエルト部14を有するように編成されている。ウエルト部14を形成することによって、導電性繊維11の屈曲部分が減少して全長が短くなるため、ヒーター用丸編地10の電気抵抗値を小さくすることができる。ウエルト部14は1w~7wの範囲内で連続していることが好ましい。さらに導電性と編立性を向上させるため、ウエルト部が2w~5wの範囲内で連続していることが、より好ましい。
本実施の形態のヒーター用丸編地においては、導電性繊維がニット編目に用いられていないことが好ましい。導電性繊維をニット編目に用いないでタック編目にすることで屈曲部分が小さくなるため、電気抵抗値が低くなり編立性も向上する。さらに、屈曲が小さいことによって生地が繰り返し伸縮したときの導電性繊維の屈曲疲労を抑えることができる。
本実施の形態のヒーター用丸編地は、ダンボール丸編地であって表裏を接結する部分に導電性繊維が使用されていることが好ましい。図2は、本発明のヒーター用丸編地におけるダンボール丸編地の一例を示した組織図である。図2に示される丸編地の組織F1~F6のうち、シリンダーとダイアルが共にタックである組織F1、F4に導電性繊維を使用し、シリンダーが全針ニット編目の組織F2、F5と、ダイアルが全針ニット編目の組織F3、F6に非導電性繊維を使用してダンボール丸編地を編成する。
このようなダンボール丸編地にすることによって厚みを出すことができるため、クッション性が向上する。また、表裏に導電性繊維が出にくくなることによって導電性繊維の耐久性も上がり、シート用ヒーター丸編地により適した生地にすることができる。さらに、表裏を連結するリブ糸のタック編目の間隔を1w~7wの範囲にすることで導電性を損なうことなく伸縮性を大きくすることができる。図2に示されるダンボール丸編地の表裏を接結するリブ糸のタック編目の間隔は3wである。
ヒーター用丸編地の単位面積当たりの重さ(目付量)は、発熱効率の点から、50~400g/mの範囲内とすることが好ましい。目付量をこの範囲内とすることにより、軽量で薄くてしなやかで、かつ高い発電効率を有するヒーター用丸編地となる。目付量は70~350g/mの範囲内がより好ましく、100~300g/mの範囲内であることがさらに好ましい。また、ヒーター用丸編地の厚みは、0.2~2mmの範囲内とすることが好ましい。厚みは0.25~1.8mmの範囲内であることがより好ましく、0.3~1.6mmの範囲内がさらに好ましい。
ヒーター用丸編地の伸び率は、丸編地のタテ方向が40%以上、丸編地のヨコ方向が25%以上であることが好ましい。伸び率がこの範囲であることで、より座席シートの着座面の変形に追従できるようになる。伸び率はタテ方向が50%以上、ヨコ方向が30%以上であることがより好ましく、タテ方向が60%以上、ヨコ方向が40%以上であることがさらに好ましい。伸び率の上限は、タテ方向とヨコ方向共に300%程度である。
このような特性を有するヒーター用丸編地が乗物用座席シートに使用されることが好ましい。乗物でヒーターを使用する場合、電源はその乗物に搭載されるバッテリー等になり、電圧を自由に選ぶことができないが、本発明のヒーター用丸編地はその電圧に対応した設計にすることができるため、好ましく使用できる。また、優れた伸縮性を備えているため、自動車座席シートヒーター等の座席シートの表層に近い場所に配置することができ、その特性が十分に発揮される。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1から9までに係るヒーター用丸編地を編成し、その加熱特性及び伸縮性を以下のようにして測定し評価した。なお、実施例との比較のために作製した比較例のヒーター用丸編地についても、同様にして測定した。
≪上昇温度(Δt)、加熱均一性≫
3mmの錫メッキ編組銅線(タイプ:TBC0.75sq)を、ヒーター用丸編地10の経方向と導電性テープの長さ方向を平行にして、ヒーター用丸編地10の緯方向の両端部にカーボンナノチューブを含んだバインダーで接着して電極とし、面状ヒーターを作成した。そして、目的の値に設定した交流電圧を印加し、ヒーター用丸編地10の表面温度及び均一性を、サーモグラフィで測定した。
≪伸び率≫
JIS L 1096 8.12.1 A法(ストリップ法)に基づいて、ヒーター用丸編地10の試験片の伸び率(%)を測定した。
[実施例1]
実施例1に係るヒーター用丸編地においては、ポリエステル繊維にカーボンナノチューブを付着させた繊度が220デシテックス、直径が220μm程度で電気抵抗値(20℃における値。以下同じ)が1.0×10Ω/mの導電性繊維を用いた。図3に示される組織F1、F3に上記導電性繊維を、組織F2、F4に84デシテックス36フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を用い、28ゲージのシングル丸編機で編成した。編成した丸編地は精練加工、ヒートセット加工をして、28w/36cのヒーター用丸編地を作製した。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例2に係るヒーター用丸編地においては、ポリエステル繊維にカーボンナノチューブを付着させた繊度が200デシテックス、直径が200μm程度で電気抵抗値が3.0×10Ω/mの導電性繊維を用いた。図4に示される組織F1、F2、F4、F5に上記導電性繊維を、組織F3、F6に84デシテックス36フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を用い、28ゲージのシングル丸編機で編成した。編成した丸編地は精練加工、ヒートセット加工をして、23w/46cのヒーター用丸編地を作製した。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例3に係るヒーター用丸編地においては、ポリエステル繊維にカーボンナノチューブを付着させた繊度が260デシテックス、直径が260μm程度で電気抵抗値が3.5×10Ω/mの導電性繊維を用いた。図5に示される組織F1に上記導電性繊維を、組織F2~F11に84デシテックス36フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を用い、28ゲージのシングル丸編機で編成した。編成した丸編地は精練加工、ヒートセット加工をして、23w/55cのヒーター用丸編地を作製した。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例4に係るヒーター用丸編地においては、ポリエステル繊維にカーボンナノチューブを付着させた繊度が260デシテックス、直径が260μm程度で電気抵抗値が3.5×10Ω/mの導電性繊維を用いた。図3に示される組織F1、F3に上記導電性繊維を、組織F2、F4に84デシテックス36フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を用い、28ゲージのシングル丸編機で編成した。編成した丸編地は精練加工、ヒートセット加工をして、32w/31cのヒーター用丸編地を作製した。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例5に係るヒーター用丸編地においては、ポリエステル繊維にカーボンナノチューブを付着させた繊度が260デシテックス、直径が260μm程度で電気抵抗値が3.5×10Ω/mの導電性繊維を用いた。図6に示される組織F1、F3に上記導電性繊維を、組織F2、F4に84デシテックス36フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を用い、28ゲージのシングル丸編機で編成した。編成した丸編地は精練加工、ヒートセット加工をして、28w/36cのヒーター用丸編地を作製した。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例6に係るヒーター用丸編地においては、ポリエステル繊維にカーボンナノチューブを付着させた繊度が260デシテックス、直径が260μm程度で電気抵抗値が3.5×10Ω/mの導電性繊維を用いた。図7に示される組織F1、F3に上記導電性繊維を、組織F2、F4に84デシテックス36フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を用い、28ゲージのシングル丸編機で編成した。編成した丸編地は精練加工、ヒートセット加工をして、28w/36cのヒーター用丸編地を作製した。評価結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例7に係るヒーター用丸編地においては、ポリエステル繊維にカーボンナノチューブ、銀、アルミを付着させた繊度が1200デシテックス、直径が260μm程度で電気抵抗値が1.5×10Ω/mの導電性繊維を用いた。図8に示される組織F1に上記導電性繊維を、組織F2~F11に84デシテックス36フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を用い、28ゲージのシングル丸編機で編成した。編成した丸編地は精練加工、ヒートセット加工をして、32w/28cのヒーター用丸編地を作製した。評価結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例8に係るヒーター用丸編地においては、ポリエステル繊維にカーボンナノチューブを付着させた繊度が260デシテックス、直径が260μm程度で電気抵抗値が3.5×10Ω/mの導電性繊維を用いた。図2に示される組織のF1、F4に上記導電性繊維を、組織F2、F3、F5、F6に84デシテックス36フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を用い、22ゲージのダブル丸編機で編成した。編成した丸編地は精練加工、ヒートセット加工をして、32w/72cのヒーター用丸編地を作製した。評価結果を表1に示す。
[実施例9]
実施例9に係るヒーター用丸編地においては、ポリエステル繊維にカーボンナノチューブを付着させた繊度が220デシテックス、直径が220μm程度で電気抵抗値が1.0×10Ω/mの導電性繊維を用いた。図9に示される組織F1、F7に上記導電性繊維を、組織F2~F6、F8~F12に84デシテックス36フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を用い、28ゲージのシングル丸編機で編成した。編成した丸編地は精練加工、ヒートセット加工をして、23w/55cのヒーター用丸編地を作製した。評価結果を表1に示す。
これらの実施例に係るヒーター用丸編地と比較するために、比較例1及び2のヒーター用丸編地を作製した。
(比較例1)
比較例1の丸編地は、実施例2をベースとして、電気抵抗値の値が大きい導電性繊維に変更したものである。導電性繊維としては、ポリエステル繊維にカーボンを練り込んだ、繊度が44デシテックス、電気抵抗値が1.0×10Ω/mの導電性繊維を用いた。48Vの電圧をかけたが、ほとんど電流が流れず温度が上昇しなかった。
(比較例2)
比較例2の丸編地は、実施例7をベースとして、電気抵抗値の値が小さい導電性繊維に変更したものである。導電性繊維としては、ポリエステル繊維にカーボンナノチューブ、銀、銅を付着させた繊度が850デシテックス、直径が90μm程度で電気抵抗値が3.0×10Ω/mの導電性繊維を用いた。12Vの電圧をかけたところ温度上昇が早く、すぐに高温になったため、途中で測定を中止した。
Figure 0007417020000001
表1に示されるように、ヒーターとして適した発熱を得るためには電気抵抗値を10Ω/m~10Ω/mの範囲にすることが重要であることが明らかとなった。
それに加えて実施例1~9に示されるように導電性繊維の1コース当たりの本数が0.05本/c以上である場合に、ヒーターに適した発熱特性が得られることが確認できた。特に、実施例1、2、4~6、8、9に示されるように、導電性繊維の1コース当たりの本数を0.2本/c以上とすることによって、より加熱均一性に優れた丸編地となることが分かった。
また、丸編地のウエル(w)の値が23~40w/インチで、コース(c)の値が28~100c/インチである場合に、ヒーターに適した発熱特性と伸縮性が得られることが確認できた。特に、実施例1~9に示されるように、ウエルを23~32w/インチ、コースを28~72c/インチの範囲内とすることによって、より優れた発熱特性と伸縮性とが得られることが分かった。
また、実施例1~9に示されるように、導電性繊維がウエルト部を有するように編成され、該ウエルト部が1w~7wの範囲内で連続している場合に、ヒーターに適した発熱特性と伸縮性が得られることが確認できた。
本発明に係るヒーター用丸編地は、ヒーターを用いる各種の分野、特に、移動装置の内部構成要素としての用途、例えば、電車、自動車等の車輌や航空機等の乗物用座席シート等に好適に利用できる。
10 ヒーター用丸編地
11 導電性繊維
12 非導電性繊維
13 タック編目部
14 ウエルト部
F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8、F9、F10、F11、F12 丸編地の組織

Claims (9)

  1. 20℃における電気抵抗値が10Ω/m~10Ω/mである導電性繊維が少なくとも一部に含まれた丸編地であって、前記丸編地におけるコース(c)の値が28~100c/インチの範囲内で、前記導電性繊維の1コース当たりの本数が0.1本/c以上であり、前記導電性繊維がニット編目に用いられていないことを特徴とするヒーター用丸編地。
  2. 前記導電性繊維の20℃における電気抵抗値が3.5×10 Ω/m以上であることを特徴とする請求項1に記載されたヒーター用丸編地。
  3. 前記丸編地のウエル(w)の値が23~40w/インチの範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載されたヒーター用丸編地。
  4. 前記丸編地に含まれる非導電性繊維の少なくとも一部が合成繊維の仮撚り加工糸からなることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載されたヒーター用丸編地。
  5. 前記導電性繊維がカーボン材料を含む繊維であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載されたヒーター用丸編地。
  6. 前記導電性繊維がウエルト部を有するように編成され、該ウエルト部が1w~7wの範囲内で連続していることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載されたヒーター用丸編地。
  7. 前記ウエルト部が2w~7wの範囲内で連続していることを特徴とする請求項6に記載されたヒーター用丸編地。
  8. 前記丸編地がダンボール丸編地であって、表裏を接結する部分に前記導電性繊維が使用されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載されたヒーター用丸編地。
  9. 前記丸編地が乗物用座席シートに使用されることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項に記載されたヒーター用丸編地。
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