JP2015155650A - 排気バルブ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、以下では、説明の便宜上、バルブが開く方向をプラス方向、バルブが閉じる方向をマイナス方向と称して説明する。
エンジンの排気ガスが通過する通過孔の開閉を行うバルブ(ウエストゲートバルブ等)を電動アクチュエータにより駆動する場合、排気ガスの熱影響(高温)が電動アクチュエータに及ぶのを回避する目的で、電動アクチュエータをバルブから離れた位置(温度の低い場所)に配置することが要求される。
このため、電動アクチュエータの回転出力は、ロッドを用いたリンク機構(所謂、4節リンク機構)を介して離れた位置のバルブに伝達される。
排気バルブ装置は、上述したように、電動アクチュエータとバルブとを離して配置し、その間にリンク機構を介在させる構成を採用するため、組付誤差(例えば、「アクチュエータの出力軸」と「バルブと一体に回動する負荷軸」の軸間ピッチの組付誤差)や部品公差等によって締切トルクにバラツキが生じ易い。
しかし、従来技術のリンク機構にはトルクの伝達特性を調整する方法がなかったため、締切トルクのバラツキを小さくすることができなかった。
その結果、電動アクチュエータからバルブにトルクを伝達する各パーツ(出力軸、アクチュエータレバー、ロッド、負荷レバー、負荷軸等)の強度を高める必要がある。すると、各パーツが大きくなり、大型化や高コスト化する不具合があった。
また、電動アクチュエータは、バラツキによる最大締付トルクに対応して高出力化が求められるため、電動アクチュエータの大型化と高コスト化を招く不具合があった。
これにより、電動アクチュエータからバルブにトルクを伝達する各パーツを過度な強度に高める必要がなくなり、小型化や低コスト化を実現できる。同様に、電動アクチュエータも過度な高出力化が不要になり、電動アクチュエータの小型化と低コスト化が可能になる。
図1〜図4を参照して実施例1を説明する。
ターボチャージャは、車両走行用のエンジン(燃料の燃焼により回転動力を発生する内燃機関:ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等を問わない、レシプロエンジン、ロータリーエンジン等を問わない)に搭載される。
・エンジンから排出された排気ガスによって回転駆動されるタービン羽根車と、
・このタービン羽根車を収容する渦巻形状のタービンハウジング1と、
・タービン羽根車の回転力により駆動されて吸気を加圧するコンプレッサ羽根車と、
・このコンプレッサ羽根車を収容する渦巻形状のコンプレッサハウジング2と、
・タービン羽根車の回転をコンプレッサ羽根車に伝達するシャフトと、
・このシャフトを高速回転自在に支持するセンターハウジング3と、
を備える。
具体的に、タービンハウジング1には、タービン羽根車の排気上流側の排気ガスを、タービン羽根車を迂回させてタービン下流域へ導くバイパス孔5(通過孔の一例)が設けられている。そして、このバイパス孔5が、タービンハウジング1に対して回動自在に組み付けられたウエストゲートバルブ4によって開閉操作される。
これにより、タービン羽根車に供給される排気ガス圧が過剰に昇圧するのを防いで、タービン効率を向上させることが可能になる。
ウエストゲートバルブ4を回動操作するための電動アクチュエータ6は、排気ガスの熱影響(高温)を回避する目的で、タービンハウジング1から離れたコンプレッサハウジング2に搭載される。
このように、電動アクチュエータ6がウエストゲートバルブ4から離れた位置に搭載されるため、ターボチャージャには、電動アクチュエータ6の回転出力をウエストゲートバルブ4に伝達するためのリンク機構7が設けられる。
・コンプレッサハウジング2に固定されるアクチュエータハウジング(ハウジングカバーを含む)8と、
・アクチュエータハウジング8の内部に固定配置され、通電により回転動力を発生する電動モータ(例えば、通電量に応じた回転トルクを発生する周知の直流モータ)と、
・この電動モータの回転トルクを増幅する減速装置(例えば、複数の歯車を組み合わせた歯車式減速機)と、
・アクチュエータハウジング8に対して回動自在に支持される出力軸9と、
・この出力軸9の回転角度(出力軸角度θ)を回転角センサ(例えば、出力軸9の角度を非接触で検出する磁気回転角センサ)と、
を備える。
具体的に、ECUは、マイクロコンピュータを搭載した周知の電子制御装置であり、回転角センサの出力に基づいて算出するウエストゲートバルブ4の開度が、車両走行状態に応じて算出された目標開度となるように、電動モータを通電制御するように設けられている。
一方、負荷レバー13は、タービンハウジング1の外部に露出する部分の負荷軸12に固定されるものであり、負荷軸12の回動中心から径方向外側へ延びるアーム部品である。
ウエストゲートバルブ4を成す弁体は、閉弁時にバイパス孔5の周囲の弁座(タービンハウジング1に形成される平面)に着座してバイパス孔5を塞ぐ。
これにより、バルブ4がバイパス孔5を閉塞する際、電動アクチュエータ6の出力トルクがリンク機構7を介してウエストゲートバルブ3に伝達されてウエストゲートバルブ4に締切トルクが付与され、ウエストゲートバルブ4の全閉時の弁洩れが防がれる。
そこで、ターボチャージャの製造工程では、リンク機構7の組付時に、ロッド14の長さを変更することで締付トルクを規定範囲内に調整する調整工程を用いている。
ステップS1:先ず、標準長のロッド14を組付ける。
ステップS2:次に、電動アクチュエータ6を閉め側に作動させ、負荷軸12を全閉角ψ1にセットする。
ステップS3:続いて、ロッド14から出力軸9の軸芯までの第1垂線の長さ寸法anと、ロッド14から負荷軸12の軸芯までの第2垂線の長さ寸法cnとを測定する。
T1÷an=T2÷cn
である。
このため、リンク機構7によるトルク伝達比は、
T2/T1=cn/an
となる。
そこで、所定の負荷軸トルクT2を得るには、「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比を設計範囲にすることで達成できる。
ステップS5:上記ステップS3の測定結果において、「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が設計範囲とは異なる場合は、「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が設計範囲(T2/T1=cn/an=cn’/an’)となる長さのロッド14を選択して組付ける。
以上、ステップS1〜S5の調整工程により、締付トルクを規定範囲内に調整することができる。
この実施例1は、上述したように、調整工程において「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が設計範囲となる長さのロッド14を選択してターボチャージャに組付けることで、締付トルクを規定範囲内に調整する。
これにより、調整点(負荷軸12の作動角が全閉角ψ1)における締切トルクのバラツキを抑えることができる。
しかるに、この実施例1では、締付トルクを調整したことで、出力軸9の全閉停止角θ1に対する負荷軸12の全閉角ψ1のバラツキが抑えられ、結果的に図2(c)の実線βに示すように、出力軸角度θに対して負荷軸角度ψのバラツキを抑えることができる。
即ち、電動アクチュエータ6の出力軸9の角度変化に対して、負荷軸12の角度変化を設計値に近づけることができるため、ウエストゲートバルブ4のコントロール性能を高めることができる。
この実施例1は、上述したように、調整工程において「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が設計範囲となる長さのロッド14を選択してターボチャージャに組付けることで、締付トルクを規定範囲内に調整する。
これにより、調整点(負荷軸12が全閉角ψ1)における締切トルクのバラツキを抑えることができる。
これにより、ターボチャージャの小型化と低コスト化が可能になる。
この実施例1は、図2に示すように、電動アクチュエータ6が締切停止角θ0の時に、アクチュエータレバー11とロッド14の成す角度Xが鋭角に設けられるとともに、負荷レバー13とロッド14の成す角度Yが、アクチュエータレバー11とロッド14の成す角度Xより大きく設けられる。具体的な一例として、図1に示すように、締切停止角θ0の時に、負荷レバー13とロッド14の成す角度Yが略直角に設けられる。
このため、電動アクチュエータ6の出力トルクを小さくしても、ウエストゲートバルブ4を所定の駆動トルクで駆動することが可能になり、電動アクチュエータ6の小型化が可能になる。
図3を参照して「出力軸9と負荷軸12の軸間ピッチ」が「設計ピッチ」より長い場合における締切トルクの調整例を説明する。
そこで、この実施例1では、調整工程において「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が設計範囲(T2/T1=cn/an=cn’/an’)となる長さのロッド14を選択してターボチャージャに組付けることで、図3(b)に示すように、負荷軸角度ψに対する負荷軸トルクT2のトルク特性Cを設計特性Bに略一致させることができる。
そこで、この実施例1では、調整工程において「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が設計範囲(T2/T1=cn/an=cn’/an’)となる長さのロッド14を選択してターボチャージャに組付けることで、図3(c)に示すように、出力軸角度θに対する負荷軸角度ψの変化特性C’を設計特性B’に略一致させることができる。
図5を参照して実施例2を説明する。なお、以下の各実施例において、上記実施例1と同一符合は同一機能物を示すものである。
この実施例2は、上記実施例1と同様、調整工程においてロッド14が長さ違いで複数用意されるものであり、上記実施例1と異なる点を説明すると、この実施例2のロッド14は、第1ロッド14aと第2ロッド14bに分割して設けられるとともに、第1ロッド14aに設けられる雄ネジ16aと、第2ロッド14bの雌ネジ16b(図中、第2ロッド14bの端に設けたナット)との螺合量によってロッド14の長さを調整する長さ調整手段16が設けられている。
即ち、この実施例2は、長さ調整手段16による螺合量の違いによって、長さの異なるロッド14を複数用意したものであり、調整工程において規定範囲内の締切トルクが得られる長さのロッド14を選択して組み付ける。
このように設けることで、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
図6を参照して実施例3を説明する。
この実施例3のロッド14は、溶接によって長さ調整されるものである。具体的に、この実施例3のロッド14は、第1ロッド14aと第2ロッド14bに分割して設けられている。そして、調整工程では、先ず、規定範囲内の締切トルクが得られるロッド14の長さを求める。具体的には、「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が設計範囲となるロッド14の長さを求める。次に、求めた長さとなるように第1ロッド14aと第2ロッド14bを溶接する。即ち、この実施例3は、第1ロッド14aと第2ロッド14bの軸方向のオーバーラップ量の違いにより、ロッド14の長さ調整を実施するものである。なお、溶接は、第1ロッド14aと第2ロッド14bをターボチャージャに組付けた状態で実施しても良いし、別の場所で溶接した後にターボチャージャに組み付けても良い。
溶接時の位置(オーバーラップ量)を変更することでロッド14の全長を連続的に調整することが可能になり、締切トルクの調整精度を高めることができる。
また、リンク機構7に第1ロッド14aと第2ロッド14bを組付けた状態でロッド14の長さ調整を実施することが可能になる。
図7を参照して実施例4を説明する。
この実施例4は、上記実施例3と同様、溶接によってロッド14の長さ調整を行うものであり、上記実施例3と異なる点を説明すると、この実施例4は、第1ロッド14aと第2ロッド14bの重なり具合が異なるものである。
この実施例3では、第1ロッド14aと第2ロッド14bの直線性を高める目的で、第1ロッド14aと第2ロッド14bの重なり箇所に、軸方向のスライド手段17が設けられており、このスライド手段17において溶接が実施される。
このように設けることで、上記実施例3の効果に加え、ロッド14の直線精度を高めることができ、品質の向上を図ることができる。
図8を参照して実施例5を説明する。
この実施例5は、上記実施例4と同様、ロッド14にスライド手段17を設けてロッド14の直線精度を高めたものであり、以下では上記実施例4と異なる点を説明する。
第1ロッド14aには、先端から内部に伸びる直線状で丸穴形状を呈するメス穴18aが設けられており、第2ロッド14bにはメス穴18aに微少隙間を隔てて挿入可能な直線状の丸棒部18bが設けられている。そして、メス穴18aの内部に丸棒部18bを挿し入れ、メス穴18aと丸棒部18bの軸方向のオーバーラップ量を調整し、メス穴18aの開口箇所において第1ロッド14aと第2ロッド14bを溶接することでロッド14の長さ調整を実施するものである。
このように設けることで、上記実施例4の効果に加え、さらにロッド14の直線精度を高めることができ、品質の向上を図ることができる。
また、第1ロッド14aと第2ロッド14bの表面の一部には、節部19の平面に対して平行な基準平面20が設けられる。この基準平面20は、溶接時に治具が当てられて、アクチュエータレバー11と負荷レバー13のピンに対して、第1ロッド14aと第2ロッド14bの丸穴が傾く不具合(傾きによりコジリが発生する不具合)を回避するためのものである。
図9、図10を参照して実施例6を説明する。
上記の実施例1〜5は、ロッド14の長さを変更することで締切トルクの調整を実施する例を示した。
これに対し、この実施例6は、負荷軸12に対する負荷レバー13の結合角度(回転方向の固定角度)の変更により締切トルクを規定範囲内に調整するものである。
負荷軸12は、タービンハウジング1の外部に露出する部分、即ち負荷レバー13を組付ける部分が丸棒形状に設けられている。一方、負荷レバー13には、負荷軸12に嵌まり合う嵌合穴が形成されている。そして、図9に示すように、調整工程において、負荷軸12に対する負荷レバー13の結合角度の変更により締切トルクを規定範囲内に調整する。
図9を参照して「出力軸9と負荷軸12の軸間ピッチ」が「設計ピッチ」より長い場合における締切トルクの調整例を説明する。
そこで、この実施例6では、調整工程において「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が設計範囲(T2/T1=cn/an=cn’/an’)となる角度で負荷レバー13を負荷軸12に溶接する。これにより、図9(b)に示すように、負荷軸角度ψに対する負荷軸トルクT2のトルク特性Cを設計特性Bに略一致させることができる。
そこで、この実施例6では、調整工程において「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が設計範囲(T2/T1=cn/an=cn’/an’)となる角度で負荷レバー13を負荷軸12に溶接する。これにより、図9(c)に示すように、出力軸角度θに対する負荷軸角度ψの変化特性C’を、設計特性B’に略一致させることができる。
図11を参照して実施例7を説明する。
この実施例7は、上記実施例1〜6とは異なり、アクチュエータレバー11の長さの変更により締切トルクを規定範囲内に調整するものである。
具体的に、この実施例7の調整工程は、図11(a)に示すように、長さ違いのアクチュエータレバー11(具体的には、出力軸9に嵌まり合う嵌合穴と、ロッド14の丸穴に嵌まり合うピンとのピッチ間距離の異なるアクチュエータレバー11)を複数用意しておき、規定範囲内の締切トルクが得られる長さのアクチュエータレバー11を選択して組み付ける。
図11(b)、(c)を参照して締切トルクの調整例を説明する。
締切トルクが規定範囲からズレている場合、図11(b)に示すように、無調整であれば、負荷軸角度ψに対する負荷軸トルクT2のトルク特性Aは、設計特性Bに比較してスレてしまう。
そこで、この実施例7では、調整工程において「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が設計範囲(T2/T1=cn/an=cn’/an’)となる長さのアクチュエータレバー11を選択してターボチャージャに組付ける。これにより、図11(b)に示すように、負荷軸角度ψに対する負荷軸トルクT2のトルク特性Cを設計特性Bに略一致させることができる。
そこで、この実施例7では、調整工程において「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が設計範囲(T2/T1=cn/an=cn’/an’)となる長さのアクチュエータレバー11を選択してターボチャージャに組付ける。これにより、図11(c)に示すように、出力軸角度θに対する負荷軸角度ψの変化特性C’を、設計特性B’に略一致させることができる。
図12を参照して実施例8を説明する。
この実施例8は、上記実施例1〜7とは異なり、負荷レバー13の長さの変更により締切トルクを規定範囲内に調整するものである。
具体的に、この実施例8の調整工程は、図12(a)に示すように、長さ違いの負荷レバー13(具体的には、負荷軸12に嵌まり合う嵌合穴と、ロッド14の丸穴に嵌まり合うピンとのピッチ間距離の異なる負荷レバー13)を複数用意しておき、規定範囲内の締切トルクが得られる長さの負荷レバー13を選択して組み付ける。
図12(b)、(c)を参照して締切トルクの調整例を説明する。
締切トルクが規定範囲からズレている場合、図12(b)に示すように、無調整であれば、負荷軸角度ψに対する負荷軸トルクT2のトルク特性Aは、設計特性Bに比較してスレてしまう。
そこで、この実施例8では、調整工程において「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が設計範囲(T2/T1=cn/an=cn’/an’)となる長さの負荷レバー13を選択してターボチャージャに組付ける。これにより、図12(b)に示すように、負荷軸角度ψに対する負荷軸トルクT2のトルク特性Cを設計特性Bに略一致させることができる。
そこで、この実施例8では、調整工程において「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が設計範囲(T2/T1=cn/an=cn’/an’)となる長さの負荷レバー13を選択してターボチャージャに組付ける。これにより、図12(c)に示すように、出力軸角度θに対する負荷軸角度ψの変化特性C’を、設計特性B’に略一致させることができる。
図13を参照して実施例9を説明する。
電動アクチュエータ6は、実施例1で説明したように、出力軸角度θを検出する回転角センサを備える。
この実施例9では、締切トルクを規定範囲内に調整する調整工程の後に、回転角センサの出力調整を行うものである。
これにより、回転角センサによって検出する「出力軸9の全閉停止角θ1」と「負荷軸12における実際の全閉角ψ1」を一致させることができ、回転角センサを用いて、ウエストゲートバルブ4の開度制御の精度を高めることができる。
回転角センサの出力調整を実施しない場合は、負荷軸角度ψに対する回転角センサの特性値D’が規定特性値Dに対してズレる可能性がある。
そこで、締切トルクの調整を行って「出力軸角度θに対する負荷軸角度ψのズレを抑えた状態」で、出力軸角度θに対する回転角センサの検出値の調整を実施することで、負荷軸角度ψに対する回転角センサの特性値を規定特性値Dに略一致させることができる。
図14を参照して実施例10を説明する。
実施例10のリンク機構7は、図14(a)に示すように、負荷レバー13がアクチュエータレバー11より長く設けられる。
これにより、出力軸9の出力トルクをリンク機構7でトルク増幅して負荷軸12に伝えることができる。その結果、ウエストゲートバルブ4の駆動トルクを高めることができる。このため、電動アクチュエータ6の出力トルクを小さくしても、ウエストゲートバルブ4を所定の駆動トルクで駆動することが可能になり、電動アクチュエータ6の小型化が可能になる。
図14(a)に示すように、駆動側のアクチュエータレバー11が短く、従動側の負荷レバー13が長いと、その長さ比に基づき伝達トルクが増幅される。即ち、図14(c)の実線E1に示すように、アクチュエータレバー11が短く、負荷レバー13が長いと、出力軸角度θに対して負荷軸角度ψの回動比が抑えられて、伝達トルクが増幅される。なお、アクチュエータレバー11が短く、負荷レバー13が長い場合における負荷軸角度ψに対する負荷軸トルクT2の関係を、図14(d)の実線E2に示す。
なお、図14(b)に示すように、駆動側のアクチュエータレバー11が長く、従動側の負荷レバー13が短い場合であっても、「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が「an<cn」の関係では、トルク増幅比が1より大きくなり、伝達トルクが増幅される。
具体的には、アクチュエータレバー11が長く、負荷レバー13が短い場合は、図14(d)の実線F2に示すように、
・「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が「an<cn」の関係では伝達トルクが増幅され、
・「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比が「an>cn」の関係では伝達トルクが減衰する。
図15を参照して実施例11を説明する。
上記の各実施例では、出力軸9の回転方向と、負荷軸12の回転方向とが同一方向に設けられる例を示した。
これに対し、この実施例11は、リンク機構7における角度構成を変更して、出力軸9の回転方向と、負荷軸12の回転方向とを逆方向に設けている。
なお、図15(a)に示すリンク機構7で出力軸9が開弁のために右方向へ回動した場合、出力軸角度θに対する負荷軸角度ψの関係を、図15(b)の実線G1に示す。また、図15(a)に示すリンク機構7で出力軸9が開弁のために右方向へ回動した場合、負荷軸角度ψに対する負荷軸トルクT2の関係を、図15(c)の実線G2に示す。
リンク機構7を構成するアクチュエータレバー11と負荷レバー13の配置を変更することで、出力軸9と負荷軸12を同一方向に回動させたり、逆方向き回動させることができる。これにより、1種類の電動アクチュエータ6により、負荷軸12の回動方向を任意に選択することができ、搭載性の自由度が高まる。このため、電動アクチュエータ6のバリエーションを抑えることができ、電動アクチュエータ6のコストを抑えることができる。
他の具体例を説明すると、「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」を測定せず、ロッド14の丸穴とレバー側のピンの組付けピッチ(締付トルクを発生させる距離)を所定範囲に収める簡易計測の調整手段を採用しても良い。
しかし、出力軸9の角度θが「設計値の全閉停止角θ1」とは異なる場合、「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」の長さ比は設計とは異なる。
そこで、「第1垂線の長さ寸法an」と「第2垂線の長さ寸法cn」を測定せず、出力軸9の角度θを「設計値の全閉停止角θ1」に収める簡易計測の調整手段を採用しても良い。
5 バイパス孔(通過孔の一例)
6 電動アクチュエータ
7 リンク機構
9 出力軸
11 アクチュエータレバー
12 負荷軸
13 負荷レバー
14 ロッド
Claims (13)
- 回転出力を発生する電動アクチュエータ(6)、排気ガスの通過孔(5)を開閉するバルブ(4)、前記電動アクチュエータ(6)の回転出力を前記バルブ(4)に伝達するリンク機構(7)を備え、
前記バルブ(4)が開く方向をプラス方向、前記バルブ(4)が閉じる方向をマイナス方向とした場合、前記バルブ(4)によって前記通過孔(5)を閉塞する際、前記電動アクチュエータ(6)の出力軸(9)を前記バルブ(4)の全閉停止角(θ1)よりマイナス方向に回動し、前記リンク機構(7)に加圧負荷を加えて前記バルブ(4)に締切トルクを付与する排気バルブ装置において、
前記リンク機構(7)は、前記出力軸(9)に結合されるアクチュエータレバー(11)、前記バルブ(4)と一体に回動する負荷軸(12)に結合される負荷レバー(13)、前記アクチュエータレバー(11)の回動力を前記負荷レバー(13)に伝えるロッド(14)を備え、
前記締切トルクは、前記ロッド(14)の長さの変更により調整されることを特徴とする排気バルブ装置。 - 請求項1に記載の排気バルブ装置において、
前記ロッド(14)は、長さ違いで複数用意され、規定範囲内の前記締切トルクが得られる長さの前記ロッド(14)が選択されて組み付けられることを特徴とする排気バルブ装置。 - 請求項2に記載の排気バルブ装置において、
前記ロッド(14)は、雄ネジ(16a)と雌ネジ(16b)の螺合量の違いによる長さ調整手段(16)を備えることを特徴とする排気バルブ装置。 - 請求項1に記載の排気バルブ装置において、
前記ロッド(14)は、第1ロッド(14a)と第2ロッド(14b)に分割して設けられ、
前記第1ロッド(14a)と前記第2ロッド(14b)は、規定範囲内の前記締切トルクが得られる長さで溶接されることを特徴とする排気バルブ装置。 - 回転出力を発生する電動アクチュエータ(6)、排気ガスの通過孔(5)を開閉するバルブ(4)、前記電動アクチュエータ(6)の回転出力を前記バルブ(4)に伝達するリンク機構(7)を備え、
前記バルブ(4)が開く方向をプラス方向、前記バルブ(4)が閉じる方向をマイナス方向とした場合、前記バルブ(4)によって前記通過孔(5)を閉塞する際、前記電動アクチュエータ(6)の出力軸(9)を前記バルブ(4)の全閉停止角(θ1)よりマイナス方向に回動し、前記リンク機構(7)に加圧負荷を加えて前記バルブ(4)に締切トルクを付与する排気バルブ装置において、
前記リンク機構(7)は、前記電動アクチュエータ(6)の出力軸(9)に結合されるアクチュエータレバー(11)、前記バルブ(4)と一体に回動する負荷軸(12)に結合される負荷レバー(13)、前記アクチュエータレバー(11)の回動力を前記負荷レバー(13)に伝えるロッド(14)を備え、
前記締切トルクは、前記負荷軸(12)に対する前記負荷レバー(13)の結合角度の変更により調整されることを特徴とする排気バルブ装置。 - 回転出力を発生する電動アクチュエータ(6)、排気ガスの通過孔(5)を開閉するバルブ(4)、前記電動アクチュエータ(6)の回転出力を前記バルブ(4)に伝達するリンク機構(7)を備え、
前記バルブ(4)が開く方向をプラス方向、前記バルブ(4)が閉じる方向をマイナス方向とした場合、前記バルブ(4)によって前記通過孔(5)を閉塞する際、前記電動アクチュエータ(6)の出力軸(9)を前記バルブ(4)の全閉停止角(θ1)よりマイナス方向に回動し、前記リンク機構(7)に加圧負荷を加えて前記バルブ(4)に締切トルクを付与する排気バルブ装置において、
前記リンク機構(7)は、前記電動アクチュエータ(6)の出力軸(9)に結合されるアクチュエータレバー(11)、前記バルブ(4)と一体に回動する負荷軸(12)に結合される負荷レバー(13)、前記アクチュエータレバー(11)の回動力を前記負荷レバー(13)に伝えるロッド(14)を備え、
前記締切トルクは、前記アクチュエータレバー(11)の長さの変更により調整されることを特徴とする排気バルブ装置。 - 回転出力を発生する電動アクチュエータ(6)、排気ガスの通過孔(5)を開閉するバルブ(4)、前記電動アクチュエータ(6)の回転出力を前記バルブ(4)に伝達するリンク機構(7)を備え、
前記バルブ(4)が開く方向をプラス方向、前記バルブ(4)が閉じる方向をマイナス方向とした場合、前記バルブ(4)によって前記通過孔(5)を閉塞する際、前記電動アクチュエータ(6)の出力軸(9)を前記バルブ(4)の全閉停止角(θ1)よりマイナス方向に回動し、前記リンク機構(7)に加圧負荷を加えて前記バルブ(4)に締切トルクを付与する排気バルブ装置において、
前記リンク機構(7)は、前記電動アクチュエータ(6)の出力軸(9)に結合されるアクチュエータレバー(11)、前記バルブ(4)と一体に回動する負荷軸(12)に結合される負荷レバー(13)、前記アクチュエータレバー(11)の回動力を前記負荷レバー(13)に伝えるロッド(14)を備え、
前記締切トルクは、前記負荷レバー(13)の長さの変更により調整されることを特徴とする排気バルブ装置。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の排気バルブ装置において、
前記電動アクチュエータ(6)は、前記出力軸(9)の回転角度(θ)を検出する回転角センサを備え、
前記締切トルクを調整する調整工程の後に、前記回転角センサの出力調整を行うことを特徴とする排気バルブ装置。 - 請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の排気バルブ装置において、
前記負荷レバー(13)は、前記アクチュエータレバー(11)より長く設けられることを特徴とする排気バルブ装置。 - 請求項1〜請求項9のいずれか1つに記載の排気バルブ装置において、
前記電動アクチュエータ(6)が締切停止角(θ0)の時に、
前記アクチュエータレバー(11)と前記ロッド(14)の成す角度(X)が鋭角に設けられるとともに、
前記負荷レバー(13)と前記ロッド(14)の成す角度(Y)が、前記アクチュエータレバー(11)と前記ロッド(14)の成す角度(X)より大きく設けられることを特徴とする排気バルブ装置。 - 請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載の排気バルブ装置において、
前記出力軸(9)の回転方向と、前記負荷軸(12)の回転方向とが同一方向に設けられることを特徴とする排気バルブ装置。 - 請求項1〜請求項10のいずれか1つに記載の排気バルブ装置において、
前記出力軸(9)の回転方向と、前記負荷軸(12)の回転方向とが逆方向に設けられることを特徴とする排気バルブ装置。 - 請求項1〜請求項12のいずれか1つに記載の排気バルブ装置において、
前記バルブ(4)は、ターボチャージャのタービンハウジング(1)内で回動可能に支持され、
前記電動アクチュエータ(6)は、前記ターボチャージャのコンプレッサハウジング(2)に搭載され、
前記リンク機構(7)は、前記コンプレッサハウジング(2)に搭載された前記電動アクチュエータ(6)の回転出力を、前記タービンハウジング(1)に設けられる前記バルブ(4)に伝達することを特徴とする排気バルブ装置。
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