JP2015155599A - 積層フィルムを用いた遮熱カーテン - Google Patents

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Takayuki Uto
孝行 宇都
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Abstract

【課題】 高い透明性を備えつつ外部からの熱線の流入を抑制でき、かつ日中と朝・夕での遮熱性能をコントロールできる遮熱カーテンを提供する。【解決手段】 遮熱基材を含む遮熱カーテンであって、垂直入射光に対してほぼ無彩色であり、かつ急角度から入射された光に対する日射透過率に対して垂直入射した光に対する日射透過率が低いことを特徴とする遮熱カーテン。【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルムを用いた遮熱カーテンに関する。より詳しくは、必要に応じて容易に取り付け、取り外しが可能であり、かつ時間・季節によって遮熱性能を調整可能な遮熱カーテンに関する。
近年、環境保護による二酸化炭素排出規制を受けて、建築物において夏場の外部、特に太陽光による熱の流入の抑制する技術が注目されている。たとえば、熱線吸収ガラス、金属をスパッタした熱線反射ガラスなどガラスそのものに熱線カット性能を付与する方法(遮熱ガラス)や、熱線吸収フィルム、熱線反射フィルムなどをガラスに貼りつける方法(遮熱フィルム)などが実用的に用いられている。
しかし、これらの方法においては、室内で冷房が必要なほどの高温となる夏場や日中においてその熱線カット性能が有効に確認できるのに対して、冬場や朝方、夕方など室内の温度が低い条件では、外部からの熱の流入が低下することで、むしろ暖房コストが増大するという課題もある(課題1)。一方、容易に取り外しができる代表的な遮熱方法は、カーテンやブラインドである。しかし、通常のカーテンは透明性の点で課題があり、特に遮熱性能の高いカーテンでは外光をほとんど通さないために室内が暗くなり、照明のために電気の消費が増えるという問題もある(課題2)。
これらの課題を解決する方法の一つとして、透明性の高い熱線吸収フィルムや熱線反射フィルムをカーテンに用いることが提唱されている(たとえば、特許文献1に金属反射層を設けた熱線反射フィルムを、特許文献2に熱線吸収剤を含有させた熱線吸収フィルムをカーテン・ブラインドに用いた例が開示されている)。これら遮熱カーテンでは、前述の課題1と課題2を克服することが可能となっている。
特開平5−272279号公報 特開2001−32648号公報
上述の熱線反射フィルムや熱線吸収フィルムを用いたカーテンにおいては、確かに必要に応じて容易に取り外しが可能であるため、たとえば夏季に取り付けて冬場に取り外すという使い分けができる。しかし、たとえば、同じ夏季であっても、高い遮熱性能が求められる日中と遮熱性能があまり必要とされない朝方・夕方とで取り付け・取り外しが必要となる場合があり、より効率的に環境負荷を抑制するためには作業の手間がかかるという課題がある。また、金属反射層を設けた熱線反射フィルムや熱線吸収材を含有した熱線吸収フィルムの場合、一般的なカーテンよりも透明性は高いものの、やはり設置しない場合と比較すると透明性が若干低下したり色づきが発生したりするといった課題も残されている。
そこで本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、高い透明性を備えつつ外部からの熱線の流入を抑制でき、かつ日中と朝・夕での遮熱性能をコントロールできる遮熱カーテンを提供することを課題とする。
係る課題を解決するため、本発明は、遮熱基材を含む遮熱カーテンであって、前記遮熱基材が下記(1)、(2)を満足することを特徴とする遮熱カーテンであることを本旨とする。
(1)垂直入射したC光の透過光の彩度 10以下
(2)入射角度60°の日射透過率Td(60)と入射角度0°の日射透過率Td(0)の差が5%以上。
本発明によって、無色透明でありながら日中に高い遮熱性能が得られるとともに朝・夕は遮熱性能を日中よりも抑えることができ、効果的に環境負荷を抑制することができる。
以下に本発明の実施の形態について述べるが、本発明は以下の実施例を含む実施の形態に限定して解釈されるものではなく、発明の目的を達成できて、かつ、発明の要旨を逸脱しない範囲内においての種々の変更は当然あり得る。
本発明は遮熱カーテンに関する発明であるが、ここでいうカーテンはレール上のものから一枚葉で吊るされた一般にいうカーテン以外にも、ロール状に巻き取り可能なロールカーテン、小さな板状のものを複数枚紐でつなぎ合わせたブラインドなど窓に貼りつけることなく設置される部材一般をさすものとする。
本発明の遮熱カーテンは、遮熱部材を含むものとする。ここでいう遮熱部材とは、入射角度0°で入射した光について、日射透過率が80%以下であるものをさす。このような遮熱部材をカーテンに用いることで、カーテン設置時に太陽光によってもたらされる熱をカットすることができ、冷房に使用する電力を抑制できるため環境負荷低減させることができる。また、カーテンの形態をとることから冬場は取り外すことができ、遮熱ガラス・遮熱フィルムのように冬場の暖房負荷を増大させることもない点でも環境負荷低減のために有効である。より好ましくは、日射透過率が70%以下であり、さらに好ましくは60%以下である。日射透過率が低くなればなるほど、冷房負荷の低減効果が大きくなる。
本発明の遮熱カーテンに用いる遮熱基材においては、入射角度12°で入射された光について、日射反射率が20%以上であることも好ましい。日射透過率が低いことは重要であるものの、日射反射率が低い部材では、カットされた太陽光は遮熱基材に吸収されて熱に変換されるため、その吸収された光の多くは熱として室内へ流入してしまう。一方、日射反射率が20%以上であれば、遮熱基材に入射した光が基材中に吸収されることなく外部へ反射されるため、室内への熱の流入を抑制することが可能となる。より好ましくは、日射反射率が30%以上であり、日射反射率が大きいほど室内への熱の流入を抑制しつつ太陽光による熱の流入を抑制できるようになる。また、日射透過率と日射反射率の和が90%以上であることも好ましい。この場合も、遮熱基材に入射した光は基材にほとんど吸収されないため、効果的に熱の流入を抑制でき、冷房負荷低減のために有効なものとなる。
本発明の遮熱カーテンに用いる遮熱基材においては、入射角度60°の日射透過率Td(60)と入射角度0°の日射透過率Td(0)の差が5%以上であることが必要である。夏場の太陽は、太陽光の強度が大きく遮熱が求められる日中の時間帯は太陽高度が60°を超え窓の設置面に対して急角度で入射されるのに対して、朝方の8時ごろまでや夕刻の16時以降のように太陽光の強度が弱くなる時間帯においては窓の設置面に対してほぼ垂直(入射角度0°)で入射するようになる。入射角度60°の日射透過率Td(60)と入射角度0°の日射透過率Td(0)の差が5%以上の場合には、日中は高い遮熱性能を示すものの、朝方もしくは夕方には適当な遮熱性能に抑えることが可能となる。より好ましくは、入射角度60°の日射透過率Td(60)と入射角度0°の日射透過率Td(0)の差が10%以上であり、差が大きくなるに従い遮熱性能の調整効果が大きくなる。
本発明の遮熱カーテンに用いる遮熱基材においては、入射角度0°における可視光線透過率が80%以上であることが好ましい。一般的なカーテンやブラインドでは外部の視認性が低下するのに対して、可視光線透過率が80%以上であれば遮熱カーテンを設置しない場合と同様に光を取り入れることができるため、照明による消費電力の増加を抑制することができ、環境負荷を抑制することが可能である。より好ましくは可視光線透過率が85%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。可視光線透過率が高いほど、外光を取り入れやすくなり、照明による消費電力抑制効果が顕著となる。
本発明の遮熱カーテンに用いる基材フィルムは、垂直入射したC光の透過光の彩度が10以下であることが好ましい。この結果、色づきの少ないものとなり外部の視認性に優れたものとなる。より好ましくは、垂直入射したC光の透過光の彩度が5以下であり、彩度が小さくなるに従い、より視認性に優れたものとなり設置場所を選ばなくなる。
本発明の遮熱カーテンに用いる基材フィルムは、熱可塑性樹脂からなることが好ましい。熱可塑性樹脂は一般的に熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂と比べて安価であり、かつ公知の溶融押出により簡便かつ連続的にシート化することができることから、低コストで基材フィルムを得ることが可能となる。
上述の通り、本発明の遮熱カーテンに用いる基材フィルムには、高遮熱性能、低彩度、高可視光線透過率に加えて、入射角度の変化による遮熱性能の変化が求められる。以上の要求を満足すべく、異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層された積層フィルムからなることが好ましい。ここでいう異なる光学的性質とは、面内で任意に選択される直交する2方向および該面に垂直な方向から選ばれる方向のいずれかにおいて、屈折率が0.01以上異なることをいう。また、ここでいう交互に積層されてなるとは、異なる樹脂からなる層が厚み方向に規則的な配列で積層されていることをいい、たとえば異なる光学的性質を有する2つの熱可塑性樹脂A、Bからなる場合、各々の層をA層,B層と表現すれば、A(BA)n(nは自然数)といったように規則的な配列で積層されたものである。熱線吸収材や金属反射層は、吸収・反射帯域はブロードに変化するため、赤外線領域の光の吸収・反射性能を高めようとする場合、その吸収・反射帯域の端部が可視光領域にまでかかってしまい、彩度の増加や可視光線透過率の低下の原因となる。一方、可視光領域の透明性を重視すると、赤外線領域の吸収帯域も高波長側にあるものを選択する必要があるが、太陽光の強度は主に波長1400nm程度までであることから十分な遮熱効果を得ることができない。また、熱線吸収材や金属反射層による吸収・反射帯域は光の入射角度に対する依存性を示さないため、入射角度の変化による遮熱性能の変化も付与されない。一方、光学的性質の異なる樹脂が交互に積層されることにより、各層の屈折率の差と層厚みとの関係よって特定される特定の波長の光を反射させることが可能となり、可視光線を透過しつつ赤外線のみを反射できるようにすることで、高い遮熱性能を示しつつ、低彩度、高可視光線透過率を達成できるようになる。さらには、この手法での赤外線反射性能は入射角度によって反射帯域がシフトし、垂直に入射された光の反射帯域と比較して、入射角度60°以上の急角度から入射された光の反射帯域は低波長側にシフトしかつ反射率も高くなるためより高い遮熱性能が得られるようになり、入射角度の変化による遮熱性能の変化も付与することが可能となる。ここで、積層する層数が50層未満の場合には、赤外領域において十分な帯域に渡り高い反射率を得られず充分な熱線カット性能を得ることができない。好ましくは、それぞれ400層以上であり、より好ましくは、それぞれ800層以上である。前述の干渉反射は、層数が増えるほどより広い波長帯域の光に対して高い反射率を達成できるようになり、高い熱線カット性能を備えた積層フィルムが得られるようになる。また、層数に上限はないものの、層数が増えるに従い製造装置の大型化に伴う製造コストの増加や、フィルム厚みが厚くなることでのハンドリング性の悪化が生じ、特にフィルム厚みが厚くなることで合わせガラス化の工程での工程不良の原因ともなりうるために、現実的にはそれぞれ1000層程度が実用範囲となる。
また、赤外線の反射率は、異なる光学的性質の3つの熱可塑性樹脂A、Bからなる隣接する層の屈折率差が大きくなるほど大きくなる。このため、より遮熱性能の高い遮熱カーテンを得るためには、光学特性の異なる2種以上の樹脂の面内屈折率の差を大きくすることにより実現でき、二軸延伸フィルムとする場合は結晶性である熱可塑性樹脂からなる樹脂からなる層と、延伸時に非晶性を保持もしくは熱処理工程で融解される熱可塑性樹脂からなる層が交互に積層された積層フィルムとすればよい。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリアセタールなどの鎖状ポリオレフィン、ノルボルネン類の開環メタセシス重合,付加重合,他のオレフィン類との付加共重合体である脂環族ポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネートなどの生分解性ポリマー、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、アラミド、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール、ポリグルコール酸、ポリスチレン、スチレン共重合ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボーネート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデンなどを用いることができる。この中で、強度・耐熱性・透明性および汎用性の観点から、特にポリエステルを用いることがより好ましい。これらは、共重合体であっても、混合物であってもよい。
このポリエステルとしては、芳香族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸とジオールあるいはそれらのエステル形成性誘導体を主たる構成成分とする単量体からの重合により得られるポリエステルが好ましい。ここで、芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4′-ジフェニルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4′-ジフェニルスルホンジカルボン酸などを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル誘導体などが挙げられる。中でも高い屈折率を発現するテレフタル酸と2,6ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸などを一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコールなどを挙げることができる。中でもエチレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂が、例えば、上記ポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートおよびその重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体などを用いることが好ましい。
本発明の遮熱カーテンに用いる積層フィルムにおいては、隣接する異なる光学的性質を有する熱可塑性樹脂によって構成される層の面内平均屈折率の差が0.03以上であることが好ましい。より好ましくは0.05以上であり、さらに好ましくは0.1以上0.15以下である。面内平均屈折率の差が0.03より小さい場合には、十分な反射率が得られないために遮熱性能が不足する場合がある。この達成方法としては、少なくとも一つの熱可塑性樹脂が結晶性であり、かつ少なくとも一つの熱可塑性樹脂が非晶性もしくは非晶性熱可塑性樹脂と結晶性熱可塑性樹脂の混合物であることである。この場合、フィルムの製造における延伸、熱処理工程において容易に屈折率差を設けることが可能となる。
本発明の遮熱カーテンに用いる積層フィルムに用いる異なる光学的性質を有する各熱可塑性樹脂の好ましい組み合わせとしては、各熱可塑性樹脂のSP値(溶解性パラメータともいう)の差の絶対値が、1.0以下であることが第一に好ましい。SP値の差の絶対値が1.0以下であると層間剥離が生じにくくなり、また積層精度を高める上で有利である。より好ましくは、異なる光学的性質を有するポリマーは同一の繰り返し単位を含むことが好ましい。たとえば、一方の熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用いる場合は、高精度な積層構造が実現しやすい観点から、エチレンテレフタレート単位を含むことが好ましい。
また、本発明の遮熱カーテンを構成する積層フィルムに用いる異なる光学的性質を有する各熱可塑性樹脂の好ましい組み合わせとしては、各熱可塑性樹脂のガラス転移温度差が20℃以下であることが好ましい。ガラス転移温度の差が20℃より大きい場合には積層フィルムを製膜する際の厚み均一性が不良となり、熱線カット性能にばらつきが生じる原因となる。また、積層フィルムを成形する際にも、過延伸が発生するなどの問題が生じやすいためである。
上記の条件を満たすための樹脂の組合せの一例として、本発明の遮熱カーテンに用いる積層フィルムでは、少なくとも一つの熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、少なくとも一つの熱可塑性樹脂がスピログリコールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルであることが好ましい。スピログリコールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルとは、スピログリコールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。スピログリコールカルボキシレート単位含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、少なくともひとつの熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり、少なくともひとつの熱可塑性樹脂がスピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を用いて得られるポリエステルであることが好ましい。スピログリコールおよびシクロヘキサンジカルボン酸を用いて得られるポリエステルであると、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとの面内屈折率差が大きくなるため、高い遮熱性能が得られやすくなる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さく、接着性にも優れるため、成形時に過延伸になりにくく、かつ層間剥離もしにくい。
また、本発明の遮熱カーテンに用いる積層フィルムにおいては、少なくとも一つの熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでなり単一の組成であっても少量の他の繰り返し単位が共重合され、あるいは、少量の他のポリエステル樹脂がブレンドされたものであって良く、少なくとも一つの熱可塑性樹脂がシクロヘキサンジメタノールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルであることが好ましい。シクロヘキサンジメタノールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルとは、シクロヘキサンジメタノールを共重合したコポリエステル、またはホモポリエステル、またはそれらをブレンドしたポリエステルのことを言う。シクロヘキサンジメタノールカルボキシレート単位を含んでなるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になることがなりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。より好ましくは、少なくともひとつの熱可塑性樹脂がシクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体である。このようにすることにより、高い反射性能を有しながら、特に加熱や経時による光学的特性の変化が小さく、層間での剥離も生じにくくなる。シクロヘキサンジメタノールの共重合量が15mol%以上60mol%以下であるエチレンテレフタレート重縮合体は、ポリエチレンテレフタレートと非常に強く接着する。また、そのシクロヘキサンジメタノール基は幾何異性体としてシス体あるいはトランス体があり、また配座異性体としてイス型あるいはボート型もあるので、ポリエチレンテレフタレートと共延伸しても配向結晶化しにくく、高反射率で、熱履歴による光学特性の変化もさらに少なく、製膜時のやぶれも生じにくいものである。
本発明の遮熱カーテンに用いる積層フィルムにおいては、示差走査熱量測定において融点が一つのみ観測されることが好ましい。これは、一方の熱可塑性樹脂が結晶性であり、かつ他方の熱可塑性樹脂が非晶状態にあることを示す。このように他方の熱可塑性樹脂が非晶状態であれば、非晶状態にある熱可塑性樹脂からなる層の屈折率を低減することが可能となり、遮熱性能を高めることが容易となる。
また、本発明の遮熱カーテンに用いる積層フィルムにおいては、積層フィルムを構成する熱可塑性樹脂のうち、少なくとも1種の樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であり、かつ残る熱可塑性樹脂の少なくとも1種が非晶性ポリエステル樹脂であることが好ましい。ここでいう結晶性とは、示差走査熱量測定(DSC)において、融解熱量が5J/g以上であることをいう。一方、非晶性とは、同様に融解熱量が5J/g未満であることをいう。結晶性ポリエステル樹脂は、延伸・熱処理工程において配向結晶化させることにより、延伸前の非晶状態のときよりも高い面内屈折率とすることができる。一方、非晶性ポリエステル樹脂の場合においては、熱処理工程においてガラス転移点温度をはるかに超える温度で熱処理を行うことにより、延伸工程で生じる若干の配向も完全に緩和でき、非晶状態の低い屈折率を維持できるものである。このように、フィルムの製造における延伸、熱処理工程において結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂との間に容易に屈折率差を設けることができるため、遮熱性能を高めることが容易となる。また、より好ましくは、結晶性ポリエステルの示差走査熱量測定(DSC)における融解熱量が20J/g以上であることが好ましい。この場合、延伸・熱処理工程においてより強く配向結晶化させることができるため、容易に非晶性樹脂ポリエステル樹脂との屈折率差を設けることができるものである。
また、本発明の遮熱カーテンに用いる積層フィルムにおいては、積層フィルムを構成する熱可塑性樹脂のうち、少なくとも1種の樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であり、かつ残る熱可塑性樹脂の少なくとも1種が前記結晶性のポリエステル樹脂の融点より30℃以上低い融点を備えたポリエステル樹脂であることもまた好ましい。2種類の結晶性ポリエステル樹脂の融点の差が30℃以上ある場合、2種の結晶性ポリエステル樹脂の融点の間の温度にて熱処理を行うことにより、低融点のポリエステル樹脂を融解・非晶化させる配向を緩和することでき、結果として2種のポリエステル樹脂間の屈折率差を設けることが可能となる。
本発明の遮熱カーテンに用いる遮熱基材は、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。遮熱カーテンは、太陽光に含まれる紫外線にさらされるが、たとえば熱可塑性樹脂では一般的に紫外線により樹脂が劣化し、機械物性が低下することが知られている。そこで、遮熱基材が紫外線吸収剤を含むことにより、樹脂の劣化を抑制し、長期的に使用可能な遮熱カーテンとすることができる。好ましくは、遮熱基材の少なくともいずれかの表面にさらに紫外線吸収剤を含む樹脂層が設けられてなることである。遮熱基材を構成する樹脂中に紫外線吸収剤を含む場合、少なからず基材のある程度の深さまで紫外線が侵入するため、紫外線吸収剤の添加量次第では徐々にではあるが樹脂の劣化が進む場合もあるが、少なくともいずれかの表面に紫外線吸収剤を含む樹脂層を設けることにより、遮熱基材の大部分をなす樹脂が劣化することを抑制でき、長期的に使用するのに適したものとなる。さらに好ましくは、遮熱基材の両表面に紫外線吸収剤を含む樹脂層を設けることである。また、遮熱基材として上述の積層フィルムを用いる場合には、紫外線吸収材を含む樹脂層を設ける代わりに積層フィルムのいずれかの表層に紫外線吸収剤を添加することも同様の効果が得られる。より好ましくは、積層フィルムの両表層にのみ紫外線吸収剤を添加することである。熱可塑性樹脂中に紫外線吸収剤を添加することは、太陽光に含まれる紫外線による樹脂の劣化を抑制する効果があるものの、紫外線吸収剤の影響により機械強度が低下しハンドリングが悪化する場合もある。ここで、積層フィルムの両表層にのみ紫外線吸収剤を含む構成とすることで、紫外線吸収剤を含まない熱可塑性樹脂によって機械物性は維持されつつも両表層の紫外線吸収剤の効果で太陽光中の紫外線による樹脂の劣化を抑制でき、より長期的に使用するのに適したものとなるものである。
紫外線吸収剤としては、特に限定されるものではなく、たとえば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。
本発明の遮熱カーテンに用いる遮熱基材の両表層がリン系化合物を含有してなることが好ましい。一般的に、カーテンには難燃性が求められることも多いが、本発明の遮熱基材に好ましく用いられる熱可塑性樹脂、特にポリエステル樹脂においては、高温化で樹脂が炎を出して溶融するためカーテンで求められる難燃性を保持しない場合もある。一方、リン原子は、高温下でも樹脂中から脱落して燃焼・溶融の伝播を防ぐはたらきがあるものとして知られており、遮熱基材の両表層にリン系化合物を含有してなることにより、カーテンとして用いるのに十分な難燃性を付与することが可能となる。また、遮熱基材として上述の積層フィルムを用いる場合には、積層フィルムの両表層にのみリン系化合物を含有させることである。熱可塑性樹脂中にリン系化合物を含有させた場合、難燃性の付与という観点では大きな効果がみられる反面、リン系化合物の影響により機械強度が低下しハンドリングが悪化する場合もある。ここで、積層フィルムの両表層にのみリン系化合物を含む構成とすることで、リン系化合物を含まない熱可塑性樹脂によって機械物性は維持されつつも両表層のリン系化合物の効果で難燃性を付与できるものである。リン化合物は特に限定されるものではないが、より優れた難燃性能を得るためには2官能性リン化合物が好適に用いられる。また、該化合物はポリエステル中に共重合された状態であることが、難燃性能の点で好ましく、また遮熱基材の機械強度の低下を抑制するという点でも適当である。ポリエステルに共重合する2官能性リン化合物は特に限定されるものではないが、ホスホネート、ホスフィネート、ホスフィンオキシドが好適である。ホスホネート類としてはフェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジフェニル等が挙げられ、ホスフィネート類としては、(2−カルボキシルエチル)メチルホスフィン酸、(2−メトキシカルボニルエチル)メチルホスフィン酸メチル、(2−カルボキシルエチル)フェニルホスフィン酸、(2−メトキシカルボニルエチル)フェニルホスフィン酸メチル、(4−メトキシカルボニルフェニル)フェニルホスフィン酸メチル、[2−(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチル]メチルホスフィン酸のエチレングリコールエステル等が挙げられる。さらにホスフィンオキシド類としては、(1,2−ジカルボキシエチル)ジメチルホスフィンオキシド、(2,3−ジカルボキシプロピル)ジメチルホスフィンオキシド、(1,2−ジメトキシカルボニルエチル)ジメチルホスフィンオキシド、(2,3−ジメトキシカルボニルエチル)ジメチルホスフィンオキシド、[1,2ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチル]ジメチルホスフィンオキシド、[2,3ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチル]ジメチルホスフィンオキシド等が代表的である。
本発明の遮熱カーテンに用いる遮熱基材中に含まれるリン化合物の量は0.3〜1.2%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8%である。ポリエステル中に該範囲のリン化合物を含有することで、遮熱基材の機械強度を大幅に低下させることなく、優れた難燃性を有する遮熱カーテンとすることができる。
本発明の遮熱カーテンにおいては、遮熱基材と布帛とが貼りあわされてなることも好ましい。上述の通り、遮熱カーテンに用いる遮熱基材を熱可塑性樹脂からなるフィルムからのみでなる構成とした場合と比較して、布帛と貼りあわされてなるほうがハンドリング性や機械強度、風合いなどの点で特にインテリアとして好ましく使用できる場合がある。ここでいう布帛とは、特に限定されるものではないが、例えばナイロン6、ナイロン66等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル繊維を好ましく使用することができ、また、かかる繊維に、さらに天然繊維、半合成繊維などを単独あるいは2種以上混合して使用してもよい。
本発明の遮熱カーテンに用いる遮熱基材の少なくとも一方の表面にポリウレタン系接着層が形成されてなることが好ましい。この場合、遮熱基材と布帛とが良好な密着性を示すため、遮熱カーテンとして用いるのに好ましいものとなる。ポリウレタン系接着層として用いる接着剤としては、2液硬化型、1液湿気硬化型等のポリウレタン樹脂が使用されるが、中でも、2液硬化型ポリウレタン樹脂が、透視性、速乾性、さらには接着特性の上から、好ましく使用される。かかる2液硬化型ポリウレタン樹脂は、ポリオールを主剤とし、それにイソシアネートを架橋剤(硬化剤)として反応させて得られるものである。かかるポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が使用される。また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられ、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環族)イソシアネートなどを使用することができる。かかるポリウレタン樹脂としては、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂などが好ましく使用されるが、中でもポリエステル系ポリウレタン樹脂が接着性の上から、特に好ましく使用される。これらのポリウレタン系の接着剤は、溶剤系または水系のいずれの系でも好ましく使用される。
次に、本発明の遮熱カーテンに用いる遮熱基材の一例として上記した好ましい製造方法を熱可塑性樹脂A,熱可塑性樹脂Bの二種の熱可塑性樹脂を用いた積層フィルムを例にとって以下に説明する。もちろん本発明は係る例に限定して解釈されるわけではない。また、積層フィルムの積層構造の形成自体は、特開2007−307893号公報の〔0053〕〜〔0063〕段の記載を参考とすれば実現できるものである。
熱可塑性樹脂をペレットなどの形態で用意する。ペレットは、必要に応じて、熱風中あるいは真空下で乾燥された後、別々の押出機に供給される。押出機内において、融点以上に加熱溶融された樹脂は、ギヤポンプ等で樹脂の押出量を均一化され、フィルター等を介して異物や変性した樹脂などを取り除かれる。これらの樹脂はダイにて目的の形状に成形された後、吐出される。そして、ダイから吐出された多層に積層されたシートは、キャスティングドラム等の冷却体上に押し出され、冷却固化され、キャスティングフィルムが得られる。この際、ワイヤー状、テープ状、針状あるいはナイフ状等の電極を用いて、静電気力によりキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させることが好ましい。また、スリット状、スポット状、面状の装置からエアーを吹き出してキャスティングドラム等の冷却体に密着させ急冷固化させたり、ニップロールにて冷却体に密着させ急冷固化させる方法も好ましい。
また、複数の熱可塑性樹脂からなる積層フィルムを作製する場合には、複数の樹脂を2台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出し、多層積層装置に送り込まれる。多層積層装置としては、マルチマニホールドダイやフィードブロックやスタティックミキサー等を用いることができるが、特に、本発明の構成を効率よく得るためには、多数の微細スリットを有する部材を少なくとも別個に2個以上含むフィードブロックを用いることが好ましい。このようなフィードブロックを用いると、装置が極端に大型化することがないため、熱劣化による異物が少なく、積層数が極端に多い場合でも、高精度な積層が可能となる。また、幅方向の積層精度も従来技術に比較して格段に向上する。また、任意の層厚み構成を形成することも可能となる。この装置では、各層の厚みをスリットの形状(長さ、幅)で調整できるため、任意の層厚みを達成することが可能となったものである。
また、本発明においては、交互に積層される熱可塑性樹脂A、Bを供給する押出機以外に、熱可塑性樹脂を供給する3台目の押出機を用いて両表層を形成させることも好ましい。また、この3台目の押出機にて供給された熱可塑性樹脂中に紫外線吸収剤やリン系化合物などを含有させることにより、本願の遮熱カーテンで求められる太陽光中の紫外線による樹脂の劣化の抑制や難燃性の付与を効果的に実施することが可能となる。この3台目の押出機より供給された樹脂は、前述のフィードブロック中やマルチマニホールドダイの中で両表層を形成されるように分配・積層される。
このようにして所望の層構成に形成した溶融多層積層体をダイへと導き、上述と同様にキャスティングフィルムが得られる。
このようにして得られたキャスティングフィルムは、二軸延伸することが好ましい。ここで、二軸延伸とは、長手方向および幅方向に延伸することをいう。延伸は、逐次に二方向に延伸しても良いし、同時に二方向に延伸してもよい。また、さらに長手方向および/または幅方向に再延伸を行ってもよい。
逐次二軸延伸の場合についてまず説明する。ここで、長手方向への延伸とは、フィルムに長手方向の分子配向を与えるための延伸を言い、通常は、ロールの周速差により施され、この延伸は1段階で行ってもよく、また、複数本のロール対を使用して多段階に行っても良い。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、多層積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+100℃が好ましい。
このようにして得られた一軸延伸されたフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
また、幅方向の延伸とは、フィルムに幅方向の配向を与えるための延伸をいい、通常は、テンターを用いて、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、幅方向に延伸する。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、2〜15倍が好ましく、多層積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、2〜7倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。熱処理を行うことにより、成形用フィルムの寸法安定性が向上する。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に弛緩処理などを併用してもよい。
また、本発明の積層フィルムにおいては、延伸後の熱処理温度を少なくとも一つの熱可塑性樹脂の融点以下であり、かつ残る熱可塑性樹脂の少なくとも一つの融点以上とすることが好ましい。この場合、一方の熱可塑性樹脂は高い配向状態を保持する一方、他方の熱可塑性樹脂の配向は緩和されるために、容易にこれらの樹脂の屈折率差を設けることができる。
同時二軸延伸の場合について次に説明する。同時二軸延伸の場合には、得られたキャストフィルムに、必要に応じてコロナ処理やフレーム処理、プラズマ処理などの表面処理を施した後、易滑性、易接着性、帯電防止性などの機能をインラインコーティングにより付与してもよい。
次に、キャストフィルムを、同時二軸テンターへ導き、フィルムの両端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向と幅方向に同時および/または段階的に延伸する。同時二軸延伸機としては、パンタグラフ方式、スクリュー方式、駆動モーター方式、リニアモーター方式があるが、任意に延伸倍率を変更可能であり、任意の場所で弛緩処理を行うことができる駆動モーター方式もしくはリニアモーター方式が好ましい。延伸の倍率としては樹脂の種類により異なるが、通常、面積倍率として6〜50倍が好ましく、多層積層フィルムを構成する樹脂のいずれかにポリエチレンテレフタレートを用いた場合には、面積倍率として8〜30倍が特に好ましく用いられる。また、延伸温度としては多層積層フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+120℃が好ましい。
こうして二軸延伸されたフィルムは、平面性、寸法安定性を付与するために、引き続きテンター内で延伸温度以上融点以下の熱処理を行うのが好ましい。この熱処理の際に、幅方向での主配向軸の分布を抑制するため、熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理することが好ましい。このようにして熱処理された後、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取られる。また、必要に応じて、熱処理から徐冷の際に長手方向および/あるいは幅方向に弛緩処理を行っても良い。熱処理ゾーンに入る直前および/あるいは直後に瞬時に長手方向に弛緩処理する。
次に、ポリウレタン系接着層の形成方法を次に示す。
まず、イソシアネート基含有化合物、ポリオールやその他のポリエステル、添加剤などを準備し、溶媒にて溶解させて塗布液とする。なお、イソシアネート化合物やポリオール、ポリエステルなどはあらかじめ溶液として準備されているものを用いてもよい。また、ここで用いる溶媒種は特に限定されず、溶媒の例を挙げれば、炭化水素系溶剤としては、トルエン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ノルマルヘプタン等を挙げることができ、ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等を挙げることができ、エステル系溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル等を挙げることができ、エーテル系溶剤としては、1,4−ジオキサン等を挙げることができる。より好ましくは、溶媒の沸点が120℃以下である。高沸点溶媒を用いた場合には、高温で乾燥させる必要が生じるが、乾燥工程において、遮熱基材の光学・機械物性が変化する場合がある。ここで、溶媒の沸点が120℃以下であれば、乾燥工程においても遮熱基材の光学・機械物性の変化を抑制できるようになる。
続いて、遮熱基材となる積層フィルム上に上記で調整した塗布液をコーティングする。ここでは、コーティングの方法は特に限定されるものではないが、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法等の種々の方法によって行うことができる。また、インクジェット装置を用いて、調整した塗布液をノズルから吐出して、塗膜を形成することもできる。
このようにして塗布液がコーティングされた遮熱基材を、オーブンなどを用いて乾燥する。ここでの乾燥温度は、150℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。上述のとおり、乾燥温度が高くなるに従い、遮熱基材の光学・機械物性が変化し、遮熱部材に用いる際に不具合が生じる可能性があるが、乾燥温度を低温化することで、遮熱基材の光学・機械特性の変化を抑制することが容易となる。また、乾燥時に少なくとも一方向に張力がかかった状態で乾燥することが好ましい。このように遮熱基材に張力のかかった状態で乾燥することにより、乾燥時の遮熱基材の光学・機械特性の変化の抑制が容易になる。
また、場合によっては、乾燥後に光硬化・電子硬化させることも可能である。光硬化性または電子硬化性樹脂を併用することで、より短時間で接着層を作成することが可能となるため、生産性向上や密着性などの性能が安定化する。
このようにして得られたポリウレタン系接着層を含む遮熱基材は、布帛と貼りあわされることにより遮熱カーテンの生地とでき、カーテン状に用いてもよいし、ブラインド形状へ加工後に使用することも可能である。
また、得られた遮熱カーテンは、一般的なカーテンやロールカーテン、ブラインドと同様に屋内に設置してもよいが、屋外に設置されることがさらに好ましい。屋内に設置した場合、ガラスやカーテンでわずかに吸収された太陽光が熱へと変換されて室内に流入するのに対して、屋外に設置した場合にはガラスでのわずかな吸収さえも抑制できるため、室内への熱の流入を完全に抑制することが可能となる。
以下、本発明の遮熱カーテンの実施例を用いて説明する。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
特性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)層厚み、積層数、積層構造
フィルムの層構成は、ミクロトームを用いて断面を切り出したサンプルについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡H−7100FA型((株)日立製作所製)を用い、加速電圧75kVの条件でフィルムの断面を10000〜40000倍に拡大観察し、断面写真を撮影、層構成および各層厚みを測定した。尚、場合によっては、コントラストを高く得るために、公知のRuOやOsOなどを使用した染色技術を用いた。
(2)日射透過率、日射反射率、彩度
日立製作所製 分光光度計(U−4100 Spectrophotomater)に付属の角度可変透過付属装置を取り付け、入射角度φ=0°、60°における波長250〜2600nmの透過率ならび入射角度φ=12°における波長250〜2600nmの絶対反射率を測定した。測定条件:スリットは2nm(可視)/自動制御(赤外)とし、ゲインは2と設定し、走査速度を600nm/分とした。サンプルは5cm×10cmで切り出し測定した。得られた反射率、透過率の値を用い、JIS A 5759 6.3.3、6.3.5に記載の方法にて、日射反射率、可視光線透過率を算出した。また、得られた角度0°での透過率とC光源の分光分布とXYZ系の等色関数を用いてC光源下での彩度(C 値)を算出した。
(3)難燃性
UL94(AUGUST 19、1992)のVTM−0測定の規格(評価n数、判定
基準含む)に従い、難燃性フィルムを切り出し、測定を行った。上記規格内であるサンプ
ルを○、規格外であるサンプルを×とし、○を良好とした。
(4)熱可塑性樹脂A,Bの屈折率
JIS K7142(1996)A法に従って測定した。
(5)熱可塑性樹脂A,Bの融解熱量、融点
熱可塑性樹脂A、Bからサンプル質量5gを採取し、示差走査熱量分析計(DSC) セイコー電子工業(株)製ロボットDSC−RDC220を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定、算出した。測定は25℃から290℃まで5℃/分で昇温しこのときの融点±20℃の範囲におけるベースラインからの積分値を融解熱量とした。また、ここでの融点とは、DSCのベースラインからの差異が最大となる点とした。ここで、融解熱量が20J/g以上の樹脂を結晶性樹脂、5J/g以下である樹脂を非晶性樹脂とした。
(実施例1)
まず、以下のとおり遮熱基材となる積層フィルムを得た。
光学特性の異なる2種類の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂Aは固有粘度0.65、融点255℃のポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも表す、なお、延伸・熱処理後のフィルムでの面内屈折率は約1.66であった)[東レ製F20S]を用い、非晶性の熱可塑性樹脂Bとして固有粘度0.72で非晶性であるポリエチレンテレフタレートの共重合体(スピログリコール成分20mol%共重合したPETであり、以下SPG共重合PETとも表す。延伸・熱処理後のフィルムでの面内屈折率は1.550であった)を用いた。
このようにして準備した熱可塑性樹脂Aおよび熱可塑性樹脂Bは、それぞれ、ベント付き二軸押出機にて280℃の溶融状態とした後、ギヤポンプおよびフィルターを介して、401層のフィードブロックにて合流させた。なお、両表層部分は熱可塑性樹脂Aとなるようにし、かつ隣接する熱可塑性樹脂Aからなる層Aと熱可塑性樹脂Bからなる層Bの層厚みは、ほぼ同じになるようにした。つづいて401層フィードブロックにて合流させ、T−ダイに導いてシート状に成形した後、静電印加にて表面温度25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化し、キャストフィルムを得た。なお、熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの重量比が約1:1になるように吐出量を調整し、隣接する層の厚み比が約1となるにようにした。
得られたキャストフィルムを、75℃に設定したロール群で加熱した後、延伸区間長100mmの間で、フィルム両面からラジエーションヒーターにより急速加熱しながら、縦方向に3.8倍延伸し、その後一旦冷却した。延伸時のフィルム温度は85℃であった。つづいて、この一軸延伸フィルムの両面に空気中でコロナ放電処理を施し、基材フィルムの濡れ張力を55mN/mとし、その処理面に(ガラス転移温度が18℃のポリエステル樹脂)/(ガラス転移温度が82℃のポリエステル樹脂)/平均粒径100nmのシリカ粒子からなる積層形成膜塗液を塗布し、透明・易滑・易接着層を形成した。
この一軸延伸フィルムをテンターに導き、90℃の熱風で予熱後、100℃の温度で横方向に均一な延伸速度で3.8倍延伸した。延伸したフィルムは、そのまま、テンター内で240℃の熱風にて熱処理を行い、続いて同温度にて幅方向に1%の弛緩処理を施し、その後、室温まで徐冷後、巻き取った。 得られた積層フィルムは、波長850〜1200nmの赤外線を反射しつつも波長400〜700nmの可視光線領域では積層構造に由来する反射の見られない透明性の高い遮熱基材に適したものであった。また積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、積層フィルムの特性は表1のとおりである。
続いて、得られた遮熱基材(積層フィルム)上にポリウレタン樹脂(大日本インキ工業(株)製“タイフォース”865HV)100重量%、3官能イソシアネート(大日本インキ工業(株)製“バーノック”DN950)20重量%、触媒(大日本インキ工業(株)製“クリスボン”アクセルT)6重量%の組成の接着剤を、グラビアコーターで、乾燥時10g/m2になるように塗付し、該接着剤が粘着性を帯びるまで、乾燥した後、ポリエステル糸からなるレース地をはり合わせ、80℃のホットロールで2kg/cm2の圧力で抑えて得られた接合体を巻き取り、50℃の雰囲気で48時間エージングして、遮熱カーテンとした。
得られた遮熱カーテンは、高い透明性を保持しつつも遮熱性を示し、かつ入射角度によって日射透過率が異なるという特徴を備えたものであった。ただし、紫外線によって一般のPETフィルム同様に劣化傾向がみられ、特に屋外への設置には不適なものであった。さらに難燃性は示さなかったため、用いることができる場所は限られるものであった。
(実施例2)
積層フィルムを、上述の401層に加えて、隣接する熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの層厚みの比率が1:7:1:1:7:1になるように設計された600層を含む、合計1001層の積層フィルムとした以外は、実施例1と同様にして遮熱カーテンを得た。上記の積層フィルムは、波長850〜1400nmの赤外線を反射しつつも波長400〜700nmの可視光線領域では積層構造に由来する反射の見られない透明性の高い遮熱基材に適したものであった。また積層フィルムの厚みは、130μmであった。また、積層フィルムの特性は表1のとおりである。
また、得られた遮熱カーテンは、高い透明性を保持しつつも遮熱性を示し、かつ実施例1と比較して入射角度によって日射透過率が異なるという特徴が優れたものであった。ただし、紫外線によって一般のPETフィルム同様に劣化傾向がみられ、特に屋外への設置には不適なものであった。さらに難燃性は示さなかったため、用いることができる場所は限られるものであった。
(実施例3)
積層フィルムを、融点268℃のポリエチレンナフタレート(PEN、延伸・熱処理後のフィルムの面内屈折率は1.770であった)を、熱可塑性樹脂Bとしてシクロヘキサンジメタノール共重合PET(以下、CHDM共重合PETともあらわす、延伸・熱処理後のフィルムの面内屈折率は1.575であった)を用い、に加えて、隣接する熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの層厚みの比率が1:1となるように設計された201層と隣接する熱可塑性樹脂Aと熱可塑性樹脂Bの層厚みの比率が1:7:1:1:7:1になるように設計された800層を含む、合計1001層の積層フィルムとした以外は、実施例1と同様にして遮熱カーテンを得た。上記の積層フィルムは、波長850〜1800nmの赤外線を反射しつつも波長400〜700nmの可視光線領域では積層構造に由来する反射の見られない透明性の高い遮熱基材に適したものであった。また積層フィルムの厚みは、130μmであった。また、積層フィルムの特性は表1のとおりである。
また、得られた遮熱カーテンは、高い透明性を保持しつつも遮熱性を示し、かつ実施例1と比較して入射角度によって日射透過率が異なるという特徴が優れたものであった。また、PEN樹脂の耐紫外線特性、難燃性は改善されているものの、屋外への設置には依然として十分とはいえず、かつ難燃性も十分ではなかった。
(実施例4)
熱可塑性樹脂A中に、紫外線吸収剤として2,2−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン](CYTEC社製CYASORB UV−3638)を2重量%となるように添加したPET樹脂を用いた以外は、実施例1と同様に遮熱カーテンを得た。 上記の積層フィルムは、波長850〜1200nmの赤外線を反射しつつも波長400〜700nmの可視光線領域では積層構造に由来する反射の見られない透明性の高い遮熱基材に適したものであった。また積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、積層フィルムの特性は表1のとおりである。
また、得られた遮熱カーテンは、高い透明性を保持しつつも遮熱性を示し、かつ入射角度によって日射透過率が異なるという特徴を備えていることに加えて、太陽光の紫外線に伴う樹脂の劣化もほとんど見られないものであり、屋外へ設置しても問題なく使用可能なものとなった。一方、難燃性はPETフィルム同等であり、用いることができる場所は限られるものであった。
(実施例5)
積層フィルムの上に、以下の方法で作成した紫外線吸収剤を含む樹脂層を形成し、その一方の表面に接着層を設けた以外は、実施例1と同様に遮熱カーテンを得た。
ポリエステル化合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなるイソシアネート化合物を60重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し、その塗材にさらにUV−3638を10重量%となるように添加した塗材を準備した。これらの塗材をワイヤーバーコーターにて片面にコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ、さらに他方の面にも同様にコーティング・乾燥を実施した。紫外線吸収剤を含む樹脂層の厚みはそれぞれ5.0μmであった。
上記の積層フィルムは、波長850〜1200nmの赤外線を反射しつつも波長400〜700nmの可視光線領域では積層構造に由来する反射の見られない透明性の高い遮熱基材に適したものであった。また積層フィルムの厚みは、78μmであった。また、積層フィルムの特性は表1のとおりである。
また、得られた遮熱カーテンは、高い透明性を保持しつつも遮熱性を示し、かつ入射角度によって日射透過率が異なるという特徴を備えていることに加えて、太陽光の紫外線に伴う樹脂の劣化もほとんど見られないものであり、屋外へ設置しても問題なく使用可能なものとなった。一方、難燃性はPETフィルム同等であり、用いることができる場所は限られるものであった。
(実施例6)
熱可塑性樹脂A中に、二官能性リン化合物である2−メチル−2,5−ジオキソ−1,2−オキサホスホランがリン元素量換算して0.5重量%含有するとなるように添加したPET樹脂を用いた以外は、実施例5と同様に遮熱カーテンを得た。上記の積層フィルムは、波長850〜1200nmの赤外線を反射しつつも波長400〜700nmの可視光線領域では積層構造に由来する反射の見られない透明性の高い遮熱基材に適したものであった。また、積層フィルムの厚みは、78μmであり、その特性は表1のとおりである。
得られた遮熱カーテンは、高い透明性を保持しつつも遮熱性を示し、かつ入射角度によって日射透過率が異なるという特徴を備えていることに加えて、太陽光の紫外線に伴う樹脂の劣化もほとんど見られないものであり、屋外へ設置しても問題なく使用可能なものとなった。一方、難燃性についても優れた性能を示し、難燃性が求められる場所においても問題なく使用可能なカーテンであった。
(実施例7)
熱可塑性樹脂A中に、さらに二官能性リン化合物である2−メチル−2,5−ジオキソ−1,2−オキサホスホランがリン元素量換算して0.5重量%含有するとなるように添加したPET樹脂を用いた以外は、実施例4と同様に遮熱カーテンを得た。上記の積層フィルムは、波長850〜1200nmの赤外線を反射しつつも波長400〜700nmの可視光線領域では積層構造に由来する反射の見られない透明性の高い遮熱基材に適したものであった。また、積層フィルムの厚みは、78μmであり、その特性は表1のとおりである。
得られた遮熱カーテンは、高い透明性を保持しつつも遮熱性を示し、かつ入射角度によって日射透過率が異なるという特徴を備えていることに加えて、太陽光の紫外線に伴う樹脂の劣化もほとんど見られないものであり、屋外へ設置しても問題なく使用可能なものとなった。一方、難燃性についても優れた性能を示し、難燃性が求められる場所においても問題なく使用可能なカーテンであった。
(実施例8)
実施例1の方法で得られた積層フィルムを、ポリエステル糸からなるレース地からなるレース地と貼りあわせることなく遮熱カーテンとして用いた。
得られた遮熱カーテンは、高い透明性を保持しつつも遮熱性を示し、かつ入射角度によって日射透過率が異なるという特徴を備えたものであった。一方、レース地と貼りあわせた実施例と比較すると、インテリア部材としては装飾性という観点やハンドリング性には劣るものであった。
(比較例1)
積層フィルムの代わりに、PET樹脂からなる厚み78μmの遮熱基材を用いた以外は、請求項1と同様にしてカーテン部材を得た。その特性は表1のとおりであるが、遮熱性は示さないため、遮熱カーテンとして不適なものであった。
(比較例2)
比較例1で得られた遮熱基材の一方の面上に、以下の方法で作成した熱線吸収材を含む熱線吸収層を形成し、その一方の表面に接着層を設けた以外は、比較例1と同様に遮熱カーテンを得た。
ポリエステル化合物100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体からなるイソシアネート化合物を60重量部含んでおり、かつ固形部濃度を40%と調整した塗材を調整し、その塗材にさらにセシウム酸化タングステン粒子Cs0.33WO3の固形部濃度18.5%のスラリーを重量比3:5の割合で添加して熱線吸収層形成用の塗材とした。これらの塗材をワイヤーバーコーターにてコーティングしたのち、120℃2分間乾燥させ熱線吸収層とした。得られた熱線吸収層の厚みは2.3μmであった。
得られた遮熱カーテンは、波長700nm以上の赤外線を吸収するため遮熱性能を示すものの、波長400〜700nmの可視光線領域でも吸収がみられるため、色づきがみられかつ可視光線透過率も低いものであった。また、入射角度によっても吸収する波長帯域に変化がないことから、日射透過率も大きな変化は見られないものであった。
(比較例3)
遮熱基材として、銀―金合金からなる金属反射層が設けられた熱線反射フィルムを用いた以外は比較例1と同様に遮熱カーテンを得た。
得られた遮熱カーテンは、波長700nm以上の赤外線を反射するため遮熱性能を示すものの、波長400〜700nmの可視光線領域でも反射がみられるため、色づきがみられかつ可視光線透過率も低いものであった。また、入射角度によっても反射する波長帯域に変化がないことから、日射透過率も大きな変化は見られないものであった。
Figure 2015155599
本発明の遮熱カーテンは、建物などの窓ガラスの室内もしくは室外側にカーテン、ロールカーテン、ブラインドとして用いられるものである。

Claims (8)

  1. 遮熱基材を含む遮熱カーテンであって、前記遮熱基材が下記(1)、(2)を満足することを特徴とする遮熱カーテン。
    (1)垂直入射したC光の透過光の彩度 10以下
    (2)入射角度60°の日射透過率Td(60)と垂直入射の日射透過率Td(0)の差が5%以上。
  2. 前記遮熱基材が、異なる光学的性質を有する2種以上の熱可塑性樹脂が交互にそれぞれ50層以上積層された積層フィルムからなることを特徴とする請求項1に記載の遮熱カーテン。
  3. 前記遮熱基材の少なくともいずれかの表面にさらに紫外線吸収剤を含む樹脂層が設けられてなることを特徴とする請求項1または2に記載の遮熱カーテン。
  4. 前記遮熱基材と布帛とが貼りあわされてなる請求項1〜3のいずれかに記載の遮熱カーテン。
  5. 前記遮熱基材の少なくとも一方の表面にポリウレタン系接着層が形成されてなることを特徴とする請求項4に記載の遮熱カーテン。
  6. 前記遮熱基材の入射角度0°における可視光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の遮熱カーテン。
  7. 前記遮熱基材の両表層がリン系化合物を含有してなる請求項1〜4のいずれかに記載の遮熱カーテン。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の遮熱カーテンを窓の屋外側に設置する遮熱方法。
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