JP2015154373A - 方向性結合器 - Google Patents

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Abstract

【課題】広帯域で使用可能な方向性結合器を実現する。
【解決手段】方向性結合器1は、入力ポート11と出力ポート12を接続する主線路10と、それぞれ主線路10に対して電磁界結合する線路からなる第1の副線路部20Aおよび第2の副線路部20Bと、第1の副線路部20Aと第2の副線路部20Bの間に設けられた整合回路30とを備えている。整合回路30は、第1の副線路部20Aと第2の副線路部20Bとを接続する第1の経路31と、第1の経路31とグランドとを接続する第2の経路32とを有している。第1の経路31は、第1のインダクタL1を含んでいる。第2の経路32は、直列に接続された第1のキャパシタC1と第2のインダクタL2とを含んでいる。
【選択図】図1

Description

本発明は、広帯域で使用可能な方向性結合器に関する。
方向性結合器は、例えば、携帯電話機、無線LAN通信機器等の無線通信機器の送受信回路において、送受信信号のレベルを検出するために用いられている。
従来の方向性結合器としては、以下のような構成のものが知られている。この方向性結合器は、入力ポートと、出力ポートと、結合ポートと、終端ポートと、主線路と、副線路を備えている。主線路の一端は入力ポートに接続され、主線路の他端は出力ポートに接続されている。副線路の一端は結合ポートに接続され、副線路の他端は終端ポートに接続されている。主線路と副線路は、電磁界結合する。終端ポートは、例えば50Ωの抵抗値を有する終端抵抗を介して接地されている。入力ポートには高周波信号が入力され、この高周波信号は出力ポートから出力される。結合ポートからは、入力ポートに入力された高周波信号の電力に応じた電力を有する結合信号が出力される。
方向性結合器の特性を表す主要なパラメータとしては、挿入損失、結合度、アイソレーション、方向性および結合ポートの反射損失がある。以下、これらの定義について説明する。まず、入力ポートに電力P1の高周波信号が入力された場合に、出力ポートから出力される信号の電力をP2、結合ポートから出力される信号の電力をP3、終端ポートから出力される信号の電力をP4とする。また、結合ポートに電力P5の高周波信号が入力された場合に、結合ポートで反射される信号の電力をP6とする。また、挿入損失、結合度、アイソレーション、方向性および結合ポートの反射損失を、それぞれ記号IL、C、I、D、RLで表す。これらは、以下の式で定義される。
IL=10log(P2/P1)
C=10log(P3/P1)
I=10log(P3/P2)
D=10log(P4/P3)
RL=10log(P6/P5)
従来の方向性結合器では、入力ポートに入力される高周波信号の周波数が高くなるほど結合度が大きくなるため、結合度の周波数特性が平坦ではないという問題があった。結合度が大きくなるというのは、結合度を−c(dB)と表したときに、cの値が小さくなることである。
特許文献1には、上記の問題を解決するための方向性結合器が記載されている。特許文献1に記載された方向性結合器では、副線路が第1の副線路と第2の副線路とに分けられている。第1の副線路の一端は、結合ポートに接続されている。第2の副線路の一端は、終端ポートに接続されている。第1の副線路の他端と第2の副線路の他端の間には、位相変換部が設けられている。位相変換部は、所定の周波数帯域において、周波数が高くなるに従って0度以上180度以下の範囲で単調増加する絶対値を有する位相のずれを通過信号に対して生じさせる。位相変換部は、具体的にはローパスフィルタである。
特開2013−5076号公報
近年、LTE(Long Term Evolution)規格の移動体通信システムが実用化され、LTE規格の発展規格であるLTE−Advanced規格の移動体通信システムの実用化が検討されている。LTE−Advanced規格における主要技術の一つに、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation、以下CAとも記す。)がある。CAは、コンポーネントキャリアと呼ばれる複数のキャリアを同時に用いて広帯域伝送を可能にする技術である。
CAに対応した移動体通信機器では、複数の周波数帯域が同時に使用される。そのため、CAに対応した移動体通信機器では、複数の周波数帯域の複数の信号について利用可能な方向性結合器、すなわち広帯域で使用可能な方向性結合器が求められている。
特許文献1に記載された方向性結合器では、ローパスフィルタの遮断周波数以上の周波数帯域において、アイソレーションが十分な大きさにならない。すなわち、アイソレーションを−i(dB)と表したとき、特許文献1に記載された方向性結合器では、ローパスフィルタの遮断周波数以上の周波数帯域において、iの値が十分な大きさにならない。そのため、特許文献1に記載された方向性結合器は、ローパスフィルタの遮断周波数以上の周波数帯域では機能しない。
また、無線通信機器では、2つの方向性結合器がタンデム接続されて使用される場合がある。この場合、2つの方向性結合器の結合ポート同士が接続される。そのため、方向性結合器には、結合ポートでの信号の反射を少なくすることが求められる。具体的には、結合ポートの反射損失を−r(dB)と表したときに、方向性結合器には、rの値が十分な大きさになることが求められる。
しかし、特許文献1に記載された方向性結合器では、ローパスフィルタの遮断周波数以上の周波数帯域において、上記のrの値が十分な大きさにならない。
ここで、特許文献1に記載された方向性結合器では、ローパスフィルタの遮断周波数以上の周波数帯域において、上記のi,rの値が十分な大きさにならない理由について説明する。この方向性結合器では、第1の副線路とローパスフィルタとの接続点とグランドとの間を第1のキャパシタのみを介して接続する経路と、第2の副線路とローパスフィルタとの接続点とグランドとの間を第2のキャパシタのみを介して接続する経路が形成される。そのため、ローパスフィルタの遮断周波数以上の周波数帯域においては、第1の副線路からローパスフィルタに向かう高周波信号の大部分は第1のキャパシタを経由してグランドに流れ、第2の副線路からローパスフィルタに向かう高周波信号の大部分は第2のキャパシタを経由してグランドに流れる。そのため、この方向性結合器では、ローパスフィルタの遮断周波数以上の周波数帯域において、高周波信号の大部分がローパスフィルタを通過しなくなる。
以上のことから、特許文献1に記載された方向性結合器では、使用可能な周波数帯域が、ローパスフィルタの遮断周波数よりも低い周波数帯域に制限される。そのため、特許文献1に記載された技術では、広帯域で使用可能な方向性結合器を実現することが困難である。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、広帯域で使用可能な方向性結合器を提供することにある。
本発明の方向性結合器は、入力ポートと、出力ポートと、結合ポートと、終端ポートと、入力ポートと出力ポートを接続する主線路と、それぞれ主線路に対して電磁界結合する線路からなる第1の副線路部および第2の副線路部と、第1の副線路部と第2の副線路部の間に設けられた整合回路とを備えている。
第1の副線路部と第2の副線路部は、それぞれ、互いに反対側に位置する第1の端部および第2の端部を有している。第1の副線路部の第1の端部は、結合ポートに接続されている。第2の副線路部の第1の端部は、終端ポートに接続されている。整合回路は、第1の副線路部の第2の端部と第2の副線路部の第2の端部とを接続する第1の経路と、第1の経路とグランドとを接続する第2の経路とを有している。第1の経路は、第1のインダクタを含んでいる。第2の経路は、直列に接続された第1のキャパシタと第2のインダクタとを含んでいる。
本発明の方向性結合器では、主線路と第1の副線路部の互いに結合する部分を合わせて第1の結合部とし、主線路と第2の副線路部の互いに結合する部分を合わせて第2の結合部とすると、入力ポートと結合ポートの間には、第1の結合部を経由する信号経路と、第2の結合部および整合回路を経由する信号経路とが形成される。入力ポートに高周波信号が入力されたとき、結合ポートからは、上記の2つの信号経路を通過した2つの信号が合成されて得られる結合信号が出力される。
本発明の方向性結合器において、第2のインダクタは、回路構成上、第1の経路に最も近い第1の端部と、回路構成上、グランドに最も近い第2の端部とを有し、第1のキャパシタは、第1のインダクタの一端と第2のインダクタの第1の端部との間に設けられていてもよい。この場合、第2の経路は、更に、第1のインダクタの他端と第2のインダクタの第1の端部との間に設けられた第2のキャパシタを有していてもよい。
また、本発明の方向性結合器において、第1の経路は、更に、第1のインダクタに対して直列に接続された第3のインダクタを有していてもよい。この場合、第2のインダクタは、回路構成上、第1の経路に最も近い第1の端部と、回路構成上、グランドに最も近い第2の端部とを有し、第1のキャパシタは、第1のインダクタと第3のインダクタとの接続点と第2のインダクタの第1の端部との間に設けられていてもよい。
また、本発明の方向性結合器において、第2のインダクタは、0.1nH以上のインダクタンスを有していてもよい。
本発明の方向性結合器では、前述のように、入力ポートに高周波信号が入力されたとき、結合ポートからは、第1の結合部を経由する信号経路を通過した信号と、第2の結合部および整合回路を経由する信号経路を通過した信号とが合成されて得られる結合信号が出力される。整合回路を通過する際の信号の位相の変化量は、信号の周波数によって変化する。そのため、上記の2つの信号経路を通過する2つの信号の位相差は、入力ポートに入力される高周波信号の周波数によって変化する。これにより、高周波信号の周波数の変化に伴う方向性結合器の結合度の変化を抑制することが可能になる。また、本発明における整合回路は、ローパスフィルタに比べて広い周波数帯域において、高周波信号を通過させることができる。これらのことから、本発明によれば、広帯域で使用可能な方向性結合器を実現することができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施の形態に係る方向性結合器の回路構成を示す回路図である。 本発明の第1の実施の形態に係る方向性結合器の斜視図である。 図2に示した方向性結合器の積層体の内部を示す斜視図である。 図2に示した方向性結合器の積層体の内部の一部を示す斜視図である。 図2に示した方向性結合器の積層体における1層目ないし4層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 図2に示した方向性結合器の積層体における5層目ないし8層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 図2に示した方向性結合器の積層体における9層目ないし12層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 図2に示した方向性結合器の積層体における13層目ないし16層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 図2に示した方向性結合器の積層体における17層目ないし19層目の誘電体層の上面を示す説明図である。 比較例の方向性結合器の回路構成を示す回路図である。 比較例の方向性結合器におけるローパスフィルタの特性を示す特性図である。 比較例の方向性結合器の特性を示す特性図である。 本発明の第1の実施の形態に係る方向性結合器における整合回路の特性の一例を示す特性図である。 本発明の第1の実施の形態に係る方向性結合器の特性の一例を示す特性図である。 本発明の第2の実施の形態に係る方向性結合器の回路構成を示す回路図である。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る方向性結合器の回路構成について説明する。図1に示したように、本実施の形態に係る方向性結合器1は、入力ポート11と、出力ポート12と、結合ポート13と、終端ポート14とを備えている。方向性結合器1は、更に、入力ポート11と出力ポート12を接続する主線路10と、それぞれ主線路10に対して電磁界結合する線路からなる第1の副線路部20Aおよび第2の副線路部20Bと、第1の副線路部20Aと第2の副線路部20Bの間に設けられた整合回路30とを備えている。終端ポート14は、例えば50Ωの抵抗値を有する終端抵抗15を介して接地されている。
第1の副線路部20Aは、互いに反対側に位置する第1の端部20A1および第2の端部20A2を有している。第2の副線路部20Bは、互いに反対側に位置する第1の端部20B1および第2の端部20B2を有している。第1の副線路部20Aの第1の端部20A1は、結合ポート13に接続されている。第2の副線路部20Bの第1の端部20B1は、終端ポート14に接続されている。
整合回路30は、第1の副線路部20Aの第2の端部20A2と第2の副線路部20Bの第2の端部20B2とを接続する第1の経路31と、第1の経路31とグランドとを接続する第2の経路32とを有している。第1の経路31は、第1のインダクタL1を含んでいる。
第2の経路32は、直列に接続された第1のキャパシタC1と第2のインダクタL2とを含んでいる。第2のインダクタL2は、回路構成上、第1の経路31に最も近い第1の端部L2aと、回路構成上、グランドに最も近い第2の端部L2bとを有している。第1のキャパシタC1は、第1のインダクタL1の一端と第2のインダクタL2の第1の端部L2aとの間に設けられている。本実施の形態では、第2の経路32は、更に、第1のインダクタL1の他端と第2のインダクタL2の第1の端部L2aとの間に設けられた第2のキャパシタC2を有している。第2のインダクタL2は、0.1nH以上のインダクタンスを有している。第2のインダクタL2のインダクタンスは、7nH以下であることが好ましい。
図1には、第1のキャパシタC1が、第1のインダクタL1の結合ポート13側の端部と第2のインダクタL2の第1の端部L2aとの間に設けられ、第2のキャパシタC2が、第1のインダクタL1の終端ポート14側の端部と第2のインダクタL2の第1の端部L2aとの間に設けられた例を示している。しかし、第1のキャパシタC1が、第1のインダクタL1の終端ポート14側の端部と第2のインダクタL2の第1の端部L2aとの間に設けられ、第2のキャパシタC2が、第1のインダクタL1の結合ポート13側の端部と第2のインダクタL2の第1の端部L2aとの間に設けられていてもよい。
主線路10は、第1の副線路部20Aと電磁界結合する第1の部分10Aと、第2の副線路部20Bと電磁界結合する第2の部分10Bとを有している。ここで、主線路10と第1の副線路部20Aの互いに結合する部分、すなわち第1の部分10Aと第1の副線路部20Aとを合わせて第1の結合部40Aと言う。また、主線路10と第2の副線路部20Bの互いに結合する部分、すなわち第2の部分10Bと第2の副線路部20Bとを合わせて第2の結合部40Bと言う。
整合回路30は、終端ポート14が、負荷である終端抵抗15を介して接地され、終端抵抗15の抵抗値(例えば50Ω)と等しい出力インピーダンスを有する信号源が結合ポート13に接続された場合を想定して、信号源と負荷との間のインピーダンス整合を行う回路である。整合回路30は、上記の場合を想定して、方向性結合器1の使用周波数帯域において、結合ポート13から終端ポート14側を見たときの反射係数の絶対値が0またはその近傍の値になるように設計される。
次に、本実施の形態に係る方向性結合器1の作用および効果について説明する。入力ポート11には高周波信号が入力され、この高周波信号は出力ポート12から出力される。結合ポート13からは、入力ポート11に入力された高周波信号の電力に応じた電力を有する結合信号が出力される。
入力ポート11と結合ポート13の間には、第1の結合部40Aを経由する第1の信号経路と、第2の結合部40Bおよび整合回路30を経由する第2の信号経路とが形成される。入力ポート11に高周波信号が入力されたとき、結合ポート13から出力される結合信号は、第1の信号経路を通過した信号と第2の信号経路を通過した信号が合成されて得られる信号である。第1の信号経路を通過した信号と第2の信号経路を通過した信号との間には位相差が生じる。方向性結合器1の結合度は、第1の結合部40Aと第2の結合部40Bのそれぞれ単独の結合度と、第1の信号経路を通過した信号と第2の信号経路を通過した信号の位相差とに依存する。
一方、出力ポート12と結合ポート13の間には、第1の結合部40Aを経由する第3の信号経路と、第2の結合部40Bおよび整合回路30を経由する第4の信号経路とが形成される。方向性結合器1のアイソレーションは、第1の結合部40Aと第2の結合部40Bのそれぞれ単独の結合度と、第3の信号経路を通過した信号と第4の信号経路を通過した信号の位相差とに依存する。
本実施の形態において、第1の結合部40A、第2の結合部40Bおよび整合回路30は、高周波信号の周波数の変化に伴う方向性結合器1の結合度の変化を抑制する機能を有する。以下、これについて詳しく説明する。
第1の結合部40Aと第2の結合部40Bのそれぞれ単独の結合度は、いずれも、高周波信号の周波数が高くなるほど大きくなる。この場合、第1の信号経路を通過した信号と第2の信号経路を通過した信号の位相差を一定として考えると、高周波信号の周波数が高くなるほど、結合信号の電力は増加する。
一方、第1の信号経路を通過した信号の電力と第2の信号経路を通過した信号の電力をそれぞれ一定値として考えると、第1の信号経路を通過した信号と第2の信号経路を通過した信号の位相差が0°から180°の範囲内で増加すると、結合信号の電力は減少する。
整合回路30を通過する際の信号の位相の変化量は、信号の周波数によって変化する。そのため、第1の信号経路を通過した信号と第2の信号経路を通過した信号の位相差は、入力ポート11に入力される高周波信号の周波数によって変化する。そこで、方向性結合器1の使用周波数帯域において、高周波信号の周波数の増加に伴って上記位相差が0°から180°の範囲内で増加するように、整合回路30を設計することにより、高周波信号の周波数の増加に伴う結合信号の電力の変化、すなわち方向性結合器1の結合度の変化を抑制することができる。
また、本実施の形態では、第1の副線路部20Aと第2の副線路部20Bの間に整合回路30が設けられていることにより、終端ポート14が終端抵抗15を介して接地され、終端抵抗15の抵抗値(例えば50Ω)と等しい出力インピーダンスを有する信号源が結合ポート13に接続された場合において、方向性結合器1の使用周波数帯域において、結合ポート13での信号の反射を少なくすることができる。これにより、例えば、2つの方向性結合器1をタンデム接続して使用する場合において、結合ポート13での信号の反射を少なくすることができる。この効果については、後で更に説明する。
次に、方向性結合器1の構造の一例について説明する。図2は、方向性結合器1の斜視図である。図2に示した方向性結合器1は、方向性結合器1の構成要素を一体化するための積層体50を備えている。後で詳しく説明するが、積層体50は、積層された複数の誘電体層と複数の導体層とを含んでいる。
積層体50は、外周部を有する直方体形状をなしている。積層体50の外周部は、上面50Aと、底面50Bと、4つの側面50C〜50Fとを含んでいる。上面50Aと底面50Bは互いに反対側を向き、側面50C,50Dも互いに反対側を向き、側面50E,50Fも互いに反対側を向いている。側面50C〜50Fは、上面50Aおよび底面50Bに対して垂直になっている。積層体50において、上面50Aおよび底面50Bに垂直な方向が、複数の誘電体層および複数の導体層の積層方向である。図2では、この積層方向を、記号Tを付した矢印で示している。
図2に示した方向性結合器1は、入力端子111と、出力端子112と、結合端子113と、終端端子114と、2つのグランド端子115,116を備えている。入力端子111、出力端子112、結合端子113、終端端子114は、それぞれ、図1に示した入力ポート11、出力ポート12、結合ポート13、終端ポート14に対応している。グランド端子115,116は、グランドに接続される。端子111〜116は、積層体50の外周部に配置されている。端子111,112,115は、上面50Aから側面50Cを経由して底面50Bにかけて配置されている。また、端子113,114,116は、上面50Aから側面50Dを経由して底面50Bにかけて配置されている。
次に、図3ないし図9を参照して、積層体50について詳しく説明する。積層体50は、積層された19層の誘電体層を有している。以下、この19層の誘電体層を、上から順に1層目ないし19層目の誘電体層と呼ぶ。図3は、積層体50の内部を示す斜視図である。図4は、積層体50の内部の一部を示す斜視図である。図5において(a)〜(d)は、それぞれ、1層目ないし4層目の誘電体層の上面を示している。図6において(a)〜(d)は、それぞれ、5層目ないし8層目の誘電体層の上面を示している。図7において(a)〜(d)は、それぞれ、9層目ないし12層目の誘電体層の上面を示している。図8において(a)〜(d)は、それぞれ、13層目ないし16層目の誘電体層の上面を示している。図9において(a)〜(c)は、それぞれ、17層目ないし19層目の誘電体層の上面を示している。
図5(a)に示したように、1層目の誘電体層51の上面には、マークとして用いられる導体層511が形成されている。図5(b)に示したように、2層目の誘電体層52の上面には、導体層は形成されていない。
図5(c)に示したように、3層目の誘電体層53の上面には、キャパシタC1,C2の一部を構成する導体層531が形成されている。また、誘電体層53には、導体層531に接続されたスルーホール53T1が形成されている。
図5(d)に示したように、4層目の誘電体層54の上面には、キャパシタC1の他の一部を構成する導体層541と、キャパシタC2の他の一部を構成する導体層542とが形成されている。また、誘電体層54には、図5(c)に示したスルーホール53T1に接続されたスルーホール54T1と、導体層541に接続されたスルーホール54T2と、導体層542に接続されたスルーホール54T3とが形成されている。
図6(a)に示したように、5層目の誘電体層55には、スルーホール55T1,55T2,55T3が形成されている。スルーホール55T1,55T2,55T3には、それぞれ図5(d)に示したスルーホール54T1,54T2,54T3が接続されている。
図6(b)に示したように、6層目の誘電体層56の上面には、インダクタL1を構成するために用いられる導体層561,562と、インダクタL2を構成するために用いられる導体層563とが形成されている。また、誘電体層56には、スルーホール56T1,56T2,56T3,56T4,56T5が形成されている。スルーホール56T1は、導体層561の一端の近傍部分に接続されている。スルーホール56T2は、導体層561の他端の近傍部分に接続されている。スルーホール56T3は、導体層562の一端の近傍部分に接続されている。スルーホール56T4は、導体層562の他端の近傍部分に接続されている。スルーホール56T5は、導体層563の一端の近傍部分に接続されている。図6(a)に示したスルーホール55T1は、導体層563の他端の近傍部分に接続されている。図6(a)に示したスルーホール55T2は、スルーホール56T1に接続されている。図6(a)に示したスルーホール55T3は、導体層562における一端と他端の間の部分に接続されている。
図6(c)に示したように、7層目の誘電体層57の上面には、インダクタL1を構成するために用いられる導体層571,572と、インダクタL2を構成するために用いられる導体層573とが形成されている。また、誘電体層57には、スルーホール57T1,57T2,57T3,57T4が形成されている。スルーホール57T1,57T3には、それぞれ図6(b)に示したスルーホール56T1,56T3が接続されている。スルーホール57T2は、導体層571の一端の近傍部分に接続されている。スルーホール57T4は、導体層572の一端の近傍部分に接続されている。図6(b)に示したスルーホール56T2は、導体層571の他端の近傍部分に接続されている。図6(b)に示したスルーホール56T4は、導体層572の他端の近傍部分に接続されている。図6(b)に示したスルーホール56T5は、導体層573の一端の近傍部分に接続されている。導体層573の他端は、図2に示したグランド端子115に接続されている。
図6(d)に示したように、8層目の誘電体層58の上面には、インダクタL1を構成するために用いられる導体層581,582が形成されている。また、誘電体層58には、スルーホール58T1,58T2,58T3,58T4が形成されている。スルーホール58T1,58T3には、それぞれ図6(c)に示したスルーホール57T1,57T3が接続されている。スルーホール58T2は、導体層581の一端の近傍部分に接続されている。スルーホール58T4は、導体層582の一端の近傍部分に接続されている。図6(c)に示したスルーホール57T2は、導体層581の他端の近傍部分に接続されている。図6(c)に示したスルーホール57T4は、導体層582の他端の近傍部分に接続されている。
図7(a)に示したように、9層目の誘電体層59の上面には、インダクタL1を構成するために用いられる導体層591が形成されている。また、誘電体層59には、スルーホール59T1,59T3が形成されている。スルーホール59T1,59T3には、それぞれ図6(d)に示したスルーホール58T1,58T3が接続されている。図6(d)に示したスルーホール58T2は、導体層591の一端の近傍部分に接続されている。図6(d)に示したスルーホール58T4は、導体層591の他端の近傍部分に接続されている。
図7(b)に示したように、10層目の誘電体層60には、スルーホール60T1,60T3が形成されている。スルーホール60T1,60T3には、それぞれ図7(a)に示したスルーホール59T1,59T3が接続されている。
図7(c)に示したように、11層目の誘電体層61の上面には、グランド用導体層611が形成されている。導体層611は、図2に示したグランド端子115,116に接続されている。また、誘電体層61には、スルーホール61T1,61T3が形成されている。スルーホール61T1,61T3には、それぞれ図7(b)に示したスルーホール60T1,60T3が接続されている。
図7(d)に示したように、12層目の誘電体層62には、スルーホール62T1,62T3が形成されている。スルーホール62T1,62T3には、それぞれ図7(c)に示したスルーホール61T1,61T3が接続されている。
図8(a)に示したように、13層目の誘電体層63の上面には、第1の副線路部20Aを構成するために用いられる導体層631と、第2の副線路部20Bを構成するために用いられる導体層632とが形成されている。また、誘電体層63には、導体層631の一端の近傍部分に接続されたスルーホール63T1と、導体層632の一端の近傍部分に接続されたスルーホール63T2とが形成されている。図7(d)に示したスルーホール62T1は、導体層631の他端の近傍部分に接続されている。図7(d)に示したスルーホール62T3は、導体層632の他端の近傍部分に接続されている。
図8(b)に示したように、14層目の誘電体層64の上面には、主線路10を構成するために用いられる導体層641と、導体層642とが形成されている。導体層641の一端は、図2に示した入力端子111に接続されている。導体層641の他端は、図2に示した出力端子112に接続されている。また、誘電体層64には、導体層642の一端の近傍部分に接続されたスルーホール64T1と、スルーホール64T2とが形成されている。図8(a)に示したスルーホール63T1は、導体層642の他端の近傍部分に接続されている。図8(a)に示したスルーホール63T2は、スルーホール64T2に接続されている。
図8(c)に示したように、15層目の誘電体層65の上面には、第2の副線路部20Bを構成するために用いられる導体層651が形成されている。導体層651の一端は、図2に示した終端端子114に接続されている。また、誘電体層65には、スルーホール65T1が形成されている。図8(b)に示したスルーホール64T1は、スルーホール65T1に接続されている。図8(b)に示したスルーホール64T2は、導体層651の他端の近傍部分に接続されている。
図8(d)に示したように、16層目の誘電体層66の上面には、第1の副線路部20Aを構成するために用いられる導体層661が形成されている。導体層661の一端は、図2に示した結合端子113に接続されている。図8(c)に示したスルーホール65T1は、導体層661の他端の近傍部分に接続されている。
図9(a)に示したように、17層目の誘電体層67の上面には、導体層は形成されていない。図9(b)に示したように、18層目の誘電体層68の上面には、グランド用導体層681が形成されている。導体層681は、図2に示したグランド端子115,116に接続されている。図9(c)に示したように、19層目の誘電体層69の上面には、導体層は形成されていない。
図2に示した積層体50は、1層目ないし19層目の誘電体層51〜69が積層されて構成される。そして、この積層体50の外周部に対して端子111〜116が形成されて、図2に示した方向性結合器1が完成する。なお、図2では、導体層511を省略している。
図3は、積層体50の内部を示している。図3では、導体層531を省略し、導体層541,542を点線で示している。図4は、積層体50の内部の一部を示している。図4では、導体層631,632よりも上方に位置する複数の導体層を省略している。
以下、図1に示した方向性結合器1の回路の構成要素と、図5ないし図9に示した積層体50の内部の構成要素との対応関係について説明する。主線路10は、図8(b)に示した導体層641によって構成されている。
第1の副線路部20Aは、以下のように構成されている。図8(a)に示した導体層631は、スルーホール63T1、導体層642およびスルーホール64T1,65T1を介して、図8(d)に示した導体層661に接続されている。導体層631の一部は、誘電体層63を介して、導体層641の一部の上面に対向している。導体層661の一部は、誘電体層64,65を介して、導体層641の上記一部の下面に対向している。第1の副線路部20Aは、上記の導体層631の一部と導体層661の一部とによって構成されている。また、導体層631の一部と導体層661の一部が対向する導体層641の一部は、主線路10の第1の部分10Aを構成する。
第2の副線路部20Bは、以下のように構成されている。図8(a)に示した導体層632は、スルーホール63T2,64T2を介して、図8(c)に示した導体層651に接続されている。導体層632の一部は、誘電体層63を介して、導体層641の他の一部の上面に対向している。導体層651の一部は、誘電体層64を介して、導体層641の上記他の一部の下面に対向している。第2の副線路部20Bは、上記の導体層632の一部と導体層651の一部とによって構成されている。また、導体層632の一部と導体層651の一部が対向する導体層641の上記他の一部は、主線路10の第2の部分10Bを構成する。
整合回路30のインダクタL1は、以下のように構成されている。図6(b)〜(d)に示した導体層561,571,581は、スルーホール56T2,57T2を介して直列に接続されている。図6(b)〜(d)に示した導体層562,572,582は、スルーホール56T4,57T4を介して直列に接続されている。図6(d)に示した導体層581,582は、スルーホール58T2,58T4と図7(a)に示した導体層591を介して接続されている。インダクタL1は、これらの導体層561,571,581,591,582,572,562と、これらを接続する複数のスルーホールとによって構成されている。導体層561は、スルーホール56T1,57T1,58T1,59T1,60T1,61T1,62T1を介して、第1の副線路部20Aを構成する導体層631に接続されている。導体層562は、スルーホール56T3,57T3,58T3,59T3,60T3,61T3,62T3を介して、第2の副線路部20Bを構成する導体層632に接続されている。
整合回路30のキャパシタC1は、図5(d)に示した導体層541と、図5(c)に示した導体層531と、それらの間の誘電体層53とによって構成されている。導体層541は、スルーホール54T2,55T2,56T1,57T1,58T1,59T1,60T1,61T1,62T1を介して、第1の副線路部20Aを構成する導体層631に接続されている。
整合回路30のキャパシタC2は、図5(d)に示した導体層542と、図5(c)に示した導体層531と、それらの間の誘電体層53とによって構成されている。導体層542は、スルーホール54T3,55T3、導体層562、スルーホール56T3,57T3,58T3,59T3,60T3,61T3,62T3を介して、第2の副線路部20Bを構成する導体層632に接続されている。
整合回路30のインダクタL2は、図6(b)に示した導体層563と、図6(c)に示した導体層573と、これらを接続するスルーホール56T5とによって構成されている。導体層563は、スルーホール53T1,54T1,55T1を介して、図5(c)に示した導体層531に接続されている。
積層体50において、整合回路30を構成する複数の導体層と、主線路10を構成する導体層641の間には、グランドに接続されたグランド用導体層611が介在している。そのため、整合回路30は、主線路10に対して電磁界結合しない。
以下、比較例の方向性結合器と比較しながら、本実施の形態に係る方向性結合器1の効果について更に説明する。始めに、図10を参照して、比較例の方向性結合器101の回路構成について説明する。比較例の方向性結合器101は、本実施の形態における整合回路30の代わりに、第1の副線路部20Aと第2の副線路部20Bの間に設けられたローパスフィルタ130を備えている。
ローパスフィルタ130は、2つのインダクタL11,L12と、3つのキャパシタC11,C12,C13とを有している。インダクタL11の一端は、第1の副線路部20Aの第2の端部20A2に接続されている。インダクタL12の一端は、第2の副線路部20Bの第2の端部20B2に接続されている。インダクタL11の他端とインダクタL12の他端は互いに接続されている。キャパシタC11の一端は、第1の副線路部20AとインダクタL11との接続点に接続されている。キャパシタC12の一端は、インダクタL11とインダクタL12との接続点に接続されている。キャパシタC13の一端は、第2の副線路部20BとインダクタL12との接続点に接続されている。キャパシタC11,C12,C13の各他端は接地されている。比較例の方向性結合器101のその他の構成は、本実施の形態に係る方向性結合器1と同じである。
図11は、比較例の方向性結合器101におけるローパスフィルタ130の特性を示す特性図である。図11において、横軸は周波数、縦軸は減衰量である。図11において、記号IL130を付した線は、第1の副線路部20Aとローパスフィルタ130との接続点から見たローパスフィルタ130の挿入損失を示し、記号RL130を付した線は、第1の副線路部20Aとローパスフィルタ130との接続点から見たローパスフィルタ130の反射損失を示している。このローパスフィルタ130の遮断周波数は、約3.4GHzである。ローパスフィルタ130の挿入損失、反射損失を、それぞれ−x(dB)、−y(dB)と表すと、ローパスフィルタ130では、約2.7GHz以上の周波数帯域において、周波数が高くなるほど、xの値が大きくなり、yの値が小さくなっている。
図12は、比較例の方向性結合器101の特性を示す特性図である。図12において、横軸は周波数、縦軸は減衰量である。図12において、記号IL101を付した線は、方向性結合器101の挿入損失を示している。記号C101を付した線は、方向性結合器101の結合度を示している。記号I101を付した線は、方向性結合器101のアイソレーションを示している。記号RL101を付した線は、方向性結合器101の結合ポート13の反射損失を示している。
方向性結合器101のアイソレーションと結合ポート13の反射損失を、それぞれ−i(dB)、−r(dB)と表すと、方向性結合器101では、約3.2GHz以上の周波数帯域において、iの値が25以下になり、且つ周波数が高くなるほどiの値が小さくなっている。また、方向性結合器101では、約2.7GHz以上の周波数帯域において、rの値が20以下になり、且つ周波数が高くなるほどrの値が小さくなっている。これらのことから、方向性結合器101では、約2.7GHz以上の周波数帯域においては方向性結合器としての十分な特性が得られず、ローパスフィルタ130の遮断周波数以上の周波数帯域においては機能しない。
ここで、方向性結合器101が、ローパスフィルタ130の遮断周波数以上の周波数帯域において機能しない理由について説明する。方向性結合器101では、第1の副線路部20Aとローパスフィルタ130との接続点とグランドとの間をキャパシタC11のみを介して接続する経路と、第2の副線路部20Bとローパスフィルタ130との接続点とグランドとの間をキャパシタC13のみを介して接続する経路が形成される。そのため、ローパスフィルタ130の遮断周波数以上の周波数帯域においては、第1の副線路部20Aからローパスフィルタ130に向かう高周波信号の大部分はキャパシタC11を経由してグランドに流れ、第2の副線路部20Bからローパスフィルタ130に向かう高周波信号の大部分はキャパシタC13を経由してグランドに流れる。すなわち、ローパスフィルタ130の遮断周波数以上の周波数帯域においては、高周波信号の大部分がローパスフィルタ130を通過しなくなる。その結果、ローパスフィルタ130の遮断周波数以上の周波数帯域においては、ローパスフィルタ130と第2の結合部40Bが機能しなくなる。この場合、入力ポート11から結合ポート13に至る信号と、出力ポート12から結合ポート13に至る信号は、いずれも、第1の結合部40Aと第2の結合部40Bのうちの第1の結合部40Aのみを経由する。その結果、ローパスフィルタ130の遮断周波数以上の周波数帯域においては、方向性結合器101の結合度とアイソレーションがほぼ等しくなり、方向性結合器101は機能しない。
次に、本実施の形態に係る方向性結合器1における整合回路30の特性の一例と、方向性結合器1の特性の一例について説明する。図13は、整合回路30の特性の一例を示す特性図である。図13において、横軸は周波数、縦軸は減衰量である。図13において、記号IL30を付した線は、第1の副線路部20Aと整合回路30との接続点から見た整合回路30の挿入損失を示し、記号RL30を付した線は、第1の副線路部20Aと整合回路30との接続点から見た整合回路30の反射損失を示している。整合回路30の挿入損失、反射損失を、それぞれ−x(dB)、−y(dB)と表すと、整合回路30では、0.5〜5.0GHzの周波数帯域において、xの値はほぼ0であり、yの値はほぼ30以上である。
図14は、方向性結合器1の特性の一例を示す特性図である。図14において、横軸は周波数、縦軸は減衰量である。図14において、記号ILを付した線は、方向性結合器1の挿入損失を示している。記号Cを付した線は、方向性結合器1の結合度を示している。記号Iを付した線は、方向性結合器1のアイソレーションを示している。記号RLを付した線は、方向性結合器1の結合ポート13の反射損失を示している。
方向性結合器1のアイソレーションと結合ポート13の反射損失を、それぞれ−i(dB)、−r(dB)と表すと、方向性結合器1では、0.5〜5.0GHzの周波数帯域において、iの値は約37以上であり、rの値は約28以上である。これらi,rの値は、いずれも十分な大きさである。
図13および図14に示した例では、整合回路30では、少なくとも0.5〜5.0GHzの周波数帯域において、高周波信号が通過する。そのため、少なくとも0.5〜5.0GHzの周波数帯域において、方向性結合器1は機能する。すなわち、方向性結合器1は、少なくとも0.5〜5.0GHzの周波数帯域において使用可能である。
整合回路30がローパスフィルタ130と大きく異なる点は、整合回路30では、第1の副線路部20Aと第2の副線路部20Bとの間の信号経路とグランドとの間をキャパシタのみを介して接続する経路が存在せず、第1の副線路部20Aと第2の副線路部20Bとの間の信号経路とグランドとの間に必ず第2のインダクタL2が介在する点である。これにより、整合回路30では、ローパスフィルタ130の遮断周波数以上の高い周波数帯域においても高周波信号を通過させることができる。
以上説明したように、本実施の形態に係る方向性結合器1では、前述のように、高周波信号の周波数の変化に伴う方向性結合器1の結合度の変化を抑制することができる。また、本実施の形態における整合回路30は、ローパスフィルタ130に比べて広い周波数帯域において高周波信号を通過させることができる。これらのことから、本実施の形態によれば、広帯域で使用可能な方向性結合器1を実現することができる。そのため、本実施の形態に係る方向性結合器1は、例えば、CAで用いられる複数の周波数帯域の複数の信号について利用することが可能である。
なお、整合回路30内の第2のインダクタL2は、前述のように、0.1nH以上のインダクタンスを有している。一般的に、積層された複数の誘電体層と複数の導体層とを含み、電子部品を構成するために用いられる積層体において、グランドに接続される導体層が有する浮遊のインダクタンスは、0.1nH未満である。従って、第2のインダクタL2が有する0.1nH以上のインダクタンスは、浮遊のインダクタンスとは明らかに区別される。
[第2の実施の形態]
次に、図15を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る方向性結合器1について説明する。図15は、本実施の形態に係る方向性結合器1の回路構成を示す回路図である。本実施の形態に係る方向性結合器1では、整合回路30の構成が第1の実施の形態と異なっている。
本実施の形態における整合回路30は、第1の実施の形態と同様に、第1の副線路部20Aの第2の端部20A2と第2の副線路部20Bの第2の端部20B2とを接続する第1の経路31と、第1の経路31とグランドとを接続する第2の経路32とを有している。第1の経路31は、第1のインダクタL21と、第1のインダクタL21に対して直列に接続された第3のインダクタL23とを有している。
図15には、第1のインダクタL21の一端が第1の副線路部20Aの第2の端部20A2に接続され、第3のインダクタL23の一端が第2の副線路部20Bの第2の端部20B2に接続され、第1のインダクタL21の他端と第3のインダクタL23の他端が互いに接続された例を示している。しかし、本実施の形態において、第1のインダクタL21と第3のインダクタL23の位置は、図15に示した例とは逆であってもよい。
第2の経路32は、直列に接続された第1のキャパシタC21と第2のインダクタL22とを含んでいる。第2のインダクタL22は、回路構成上、第1の経路31に最も近い第1の端部L22aと、回路構成上、グランドに最も近い第2の端部L22bとを有している。第1のキャパシタC21は、第1のインダクタL21と第3のインダクタL23との接続点と、第2のインダクタL22の第1の端部L22aとの間に設けられている。第2のインダクタL22は、0.1nH以上のインダクタンスを有している。第2のインダクタL22のインダクタンスは、7nH以下であることが好ましい。
本実施の形態における整合回路30は、第1の実施の形態における整合回路30と同様の機能を有する。本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明における整合回路の構成は、各実施の形態に示したものに限定されず、特許請求の範囲に記載された要件を満たすことを前提として、種々の変更が可能である。
1…方向性結合器、10…主線路、11…入力ポート、12…出力ポート、13…結合ポート、14…終端ポート、15…終端抵抗、20A…第1の副線路部、20B…第2の副線路部、30…整合回路、31…第1の経路、32…第2の経路、L1…第1のインダクタ、L2…第2のインダクタ、C1…第1のキャパシタ、C2…第2のキャパシタ。

Claims (4)

  1. 入力ポートと、
    出力ポートと、
    結合ポートと、
    終端ポートと、
    前記入力ポートと前記出力ポートを接続する主線路と、
    それぞれ前記主線路に対して電磁界結合する線路からなる第1の副線路部および第2の副線路部と、
    前記第1の副線路部と前記第2の副線路部の間に設けられた整合回路とを備えた方向性結合器であって、
    前記第1の副線路部と前記第2の副線路部は、それぞれ、互いに反対側に位置する第1の端部および第2の端部を有し、
    前記第1の副線路部の第1の端部は、前記結合ポートに接続され、
    前記第2の副線路部の第1の端部は、前記終端ポートに接続され、
    前記整合回路は、前記第1の副線路部の第2の端部と前記第2の副線路部の第2の端部とを接続する第1の経路と、前記第1の経路とグランドとを接続する第2の経路とを有し、
    前記第1の経路は、第1のインダクタを含み、
    前記第2の経路は、直列に接続された第1のキャパシタと第2のインダクタとを含むことを特徴とする方向性結合器。
  2. 前記第2のインダクタは、回路構成上、前記第1の経路に最も近い第1の端部と、回路構成上、グランドに最も近い第2の端部とを有し、
    前記第1のキャパシタは、前記第1のインダクタの一端と前記第2のインダクタの第1の端部との間に設けられ、
    前記第2の経路は、更に、前記第1のインダクタの他端と前記第2のインダクタの第1の端部との間に設けられた第2のキャパシタを有することを特徴とする請求項1記載の方向性結合器。
  3. 前記第1の経路は、更に、前記第1のインダクタに対して直列に接続された第3のインダクタを有し、
    前記第2のインダクタは、回路構成上、前記第1の経路に最も近い第1の端部と、回路構成上、グランドに最も近い第2の端部とを有し、
    前記第1のキャパシタは、前記第1のインダクタと前記第3のインダクタとの接続点と前記第2のインダクタの第1の端部との間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の方向性結合器。
  4. 前記第2のインダクタは、0.1nH以上のインダクタンスを有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方向性結合器。
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