本実施形態における水晶デバイスは、図1及び図2に示されているように、基板110と、基板110の上面に接合された水晶素子120と、水晶素子120を気密封止するための封止蓋体130と、を含んでいる。このような水晶デバイスは、電子機器等で使用する基準信号を出力するのに用いられる。
基板110は、矩形状であり、上面で実装された水晶素子120を実装するための実装部材として機能するものである。基板110の一辺に沿って、水晶素子120を接合するための第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bが設けられている。基板110の一辺と対向する一辺に沿って電極パターン116が設けられている。基板110の下面の四隅には、外部端子112が設けられている。また、四つの外部端子112の内の二つが、水晶素子120と電気的に接続されて、水晶素子120の入出力端子として用いられ、他の一つが、外部の実装基板上の基準電位であるグランド電位と接続されている実装パッドと接続されている。
基板110は、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料である絶縁層からなる。基板110は、絶縁層を一層用いたものであっても、絶縁層を複数層積層したものであってもよい。基板110の上面には、電極パッド111と電気的に接続されている配線パターン113が設けられており、基板110の下面には、外部端子112と電気的に接続されている接続パターン115が設けられている。また、基板110には、図4に示すように、配線パターン113と接続パターン115とを電気的に接続するための導体ビア114が設けられている。
基板110の第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bは、図1及び図2に示すように、水晶素子120を実装するために用いられている。第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bは、図4に示すように、基板110の一辺に沿って設けられている。また、電極パッド111は、基板110の上面に設けられた配線パターン113、基板110に設けられたビア導体114及び基板110の下面に設けられた接続パターン115を介して外部端子112と電気的に接続されている。外部端子112は、基板110の下面の四隅に、基板110の外周縁に沿って設けられている。
電極パッド111は、図4(a)に示すように、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bによって構成されている。また、外部端子112は、図4(b)に示すように第一外部端子112a、第二外部端子112b、第三外部端子112c及び第四外部端子112dによって構成されている。配線パターン113は、図4(a)に示すように、第一配線パターン113a及び第二配線パターン113bによって構成され、接続パターン115は、第一接続パターン115a及び第二接続パターン115bによって構成されている。また、ビア導体114は、第一ビア導体114a及び第二ビア導体114bによって構成されている。第一電極パッド111aは、基板110の上面に設けられた第一配線パターン113aの一端と電気的に接続されている。第一配線パターン113aの他端は、第一ビア導体114aを介して、第一接続パターン115aの一端と電気的に接続されている。第14一接続パターン115aの他端は、第四外部端子112dと電気的に接続されている。よって、第一電極パッド111aは、第四外部端子112dと電気的に接続されている。
第二電極パッド111bは、基板110の上面に設けられた第二配線パターン113bの一端と電気的に接続されている。第二配線パターン113bの他端は、第二ビア導体114bを介して、第二接続パターン115bの一端と電気的に接続されている。第二接続パターン115bの他端は、第二外部端子112bと電気的に接続されている。よって、第二電極パッド111bは、第二外部端子112bと電気的に接続されている。また、第一外部端子112a及び第三外部端子112cは、どこにも接続されておらず、実装基板に実装するための実装用端子として用いられている。
外部端子112は、外部の電子機器等を構成する実装基板上に実装するために用いられている。外部端子112は、基板110の下面の四隅に設けられている。外部端子112の内の二つの端子は、基板110の上面に設けられた一対の電極パッド111とそれぞれ電気的に接続されている。また、電極パッド111と電気的に接続されている外部端子112は、基板110の下面の対角に位置するように設けられている。
また、電極パッド111及び外部端子112は、基板110に沿って設けられた形状となっている。ここで基板110を平面視したときの長辺の寸法が、1.2〜2.5mmであり、短辺の寸法が、1.0〜2.0mmである場合を例にして、電極パッド111及び外部端子112の大きさを説明する。第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bの長辺の長さは、0.20〜0.60mmであり、短辺の長さは、0.10〜0.50mmとなっている。外部端子112の長辺の長さは、0.30〜0.90mmであり、短辺の長さは、0.20〜0.60mmとなっている。
配線パターン113は、基板110の上面に設けられ、電極パッド111から近傍の基板110の角部に向けて引き出されている。また、接続パターン115は、基板110の下面に設けられ、外部端子112から近傍の基板110の角部に向けて引き出されている。第一接続パターン115aの長さと第二接続パターン115bの長さは、略等しい長さとなる。ここで、略等しい長さとは、第一接続パターン115aの長さと第二接続パターン115bの長さとの差が0〜200μm異なるものを含むものとする。接続パターン115の長さは、各接続パターン115の中心を通る直線の長さを測定したものとする。
ビア導体114は、基板110の内部に設けられ、その両端は、配線パターン113及び接続パターン115と電気的に接続されている。ビア導体114は、基板110に設けられた貫通孔の内部に導体を充填することで設けられている。ビア導体114の上面には、保護部材160が設けられており、保護部材160にてビア導体114の上面の外周縁を基板110と固定することになり、基板110の反りによるビア導体114周辺の変形を抑えることでビア導体114の外周縁と基板110との界面からビア導体114が剥がれてしまうことを低減することができる。よって、このような水晶デバイスは、ビア導体114の外周縁と基板110との界面に隙間が生じることを抑えつつ、基板110の気密性を向上させることができる。また、基板110の反りにより、ビア導体114の外周縁と基板110の貫通孔との界面からビア導体114の剥がれが生じたとしても、保護部材160によりビア導体114の上面がふさがれているため、基板110の気密性を維持させることができる。
電極パターン116は、水晶素子120が第一電極パッド111a及び第二電極パッド111b上に実装されている場合には、水晶素子120の外周縁が基板110と接触することを抑制するために用いられている。電極パターン116は、矩形状であり、電極パッドが設けられている一辺と対向する一辺に沿って設けられている。ここで基板110を平面視したときの長辺の寸法が、1.2〜2.5mmであり、短辺の寸法が、1.0〜2.0mmである場合を例にして、電極パターン116の大きさを説明する。電極パターン116の長辺の長さは、0.20〜0.60mmであり、短辺の長さは、0.10〜0.50mmとなっている。電極パターン116の上下方向の厚みは、0.01〜0.05mmとなっている。
保護部材160は、基板110の反り等でビア導体114の外周縁と基板110との界面からビア導体114が剥がれてしまうことでビア導体114と基板110との界面に隙間が生じることを抑え、ビア導体114を保護するためのものである。また、保護部材150は、図1及び図3に示すように、基板110に設けられたビア導体114の上面を被覆するようにして設けられている。保護部材160は、接合部材150よりも融点が高い500〜800℃のものを用いている。これにより、接合部材150で接合する際には、保護部材160は溶融せずに、形成時の形状を保つことができる。よって、金属製の封止蓋体130又は基板110に圧力がかかり押し付けられても、金属製の封止蓋体130と基板110のビア導体114とが接触することによる短絡を低減することができる。また、保護部材160は、例えば、ガラスフリットペーストをスクリーン印刷法で基板110に設けられたビア導体114の上面に塗布され乾燥することで設けられる。また、保護部材160の上下方向の厚みは、0.01〜0.03mmとなっている。
また、保護部材160は、基板110の角部に位置するビア導体114上に設けられている。このようにすることによって、金属製の封止蓋体130がビア導体114に接触することを抑えることが可能となる。また、保護部材160は、基板110の角に、平面視して円弧状になるように設けられている。
ここで、基板110の作製方法について説明する。基板110がアルミナセラミックスから成る場合、まず所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得た複数のセラミックグリーンシートを準備する。また、セラミックグリーンシートの表面或いはセラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内に、従来周知のスクリーン印刷等によって所定の導体ペーストを塗布する。さらに、これらのグリーンシートを積層してプレス成形したものを、高温で焼成する。最後に、導体パターンの所定部位、具体的には、電極パッド111、外部端子112、配線パターン113、ビア導体114、接続パターン115及び電極パターン116となる部位にニッケルメッキ又、金メッキ、銀パラジウム等を施すことにより作製される。また、導体ペーストは、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等から構成されている。
水晶素子120は、図1〜図3に示されているように、導電性接着剤140を介して電極パッド111上に接合されている。水晶素子120は、安定した機械振動と圧電効果により、電子装置等の基準信号を発振する役割を果たしている。
また、水晶素子120は、図1〜図3に示されているように、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに励振用電極122及び引き出し電極123を被着させた構造を有している。励振用電極122は、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに金属を所定のパターンで被着・形成したものである。励振用電極122は、上面に第一励振用電極122aと、下面に第二励振用電極122bを備えている。引き出し電極123は、励振用電極122から水晶素板121の一辺に向かってそれぞれ延出されている。引き出し電極123は、上面に第一引き出し電極123aと、下面に第二引き出し電極123bとを備えている。第一引き出し電極123aは、第一励振用電極122aから引き出されており、水晶素板121の一辺に向かって延出するように設けられている。第二引き出し電極123bは、第二励振用電極122bから引き出されており、水晶素板121の一辺に向かって延出するように設けられている。つまり、引き出し電極123は、水晶素板121の長辺又は短辺に沿った形状で設けられている。また、本実施形態においては、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bと接続されている水晶素子120の一端を基板110の上面と接続した固定端とし、他端を基板110の上面と間を空けた自由端とした片持ち支持構造にて水晶素子120が基板110上に固定されている。
ここで、水晶素子120の動作について説明する。水晶素子120は、外部からの交番電圧が引き出し電極123から励振用電極122を介して水晶素板121に印加されると、水晶素板121が所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
ここで、水晶素子120の作製方法について説明する。まず、水晶素子120は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し、水晶素板121の外周の厚みを薄くし、水晶素板121の外周部と比べて水晶素板121の中央部が厚くなるように設けるベベル加工を行う。そして、水晶素子120は、水晶素板121の両主面にフォトリソグラフィー技術、蒸着技術又はスパッタリング技術によって、金属膜を被着させることにより、励振用電極122、引き出し電極123を形成することにより作製される。
水晶素子120の基板110への接合方法について説明する。まず、導電性接着剤140は、例えばディスペンサによって第一電極パッド111a及び第二電極パッド111b上に塗布される。水晶素子120は、導電性接着剤140上に搬送され、導電性接着剤140上に載置される。そして導電性接着剤140は、加熱硬化させることによって、硬化収縮される。水晶素子120は、電極パッド111に接合される。つまり、水晶素子120の第一引き出し電極123aは、第二電極パッド111bと接合され、第二引き出し電極123bは、第一電極パッド111aと接合される。これによって、第二外部端子112bと第四外部端子112dが水晶素子120と電気的に接続されることになる。
また、水晶素子120は、水晶素子120の自由端と対向する位置に電極パターン116が配置されているように実装されている。このようにすることによって、水晶素子120の引き出し電極123と、電極パッド111とが接合している箇所を軸として傾いても、水晶素子120の自由端が電極パターン116に接触するので、基板110の上面に水晶素子120の自由端が接触することを抑制することできる。仮に、水晶素子120の自由端が基板110に接触した状態で、落下試験を行うと、水晶素子120の自由端が欠けてしまう虞がある。このようにすることで、水晶素子120の自由端側が欠けてしまうことを抑えつつ、水晶素子120の発振周波数が変動することを低減することができる。
導電性接着剤140は、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケル又はニッケル鉄のうちのいずれか、或いはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。また、バインダーとしては、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はビスマレイミド樹脂が用いられる。
封止蓋体130は、矩形状の封止基部130aと、封止基部130aの下面の外周縁に沿って設けられている封止枠部130bとで構成されており、封止基部130aの下面と封止枠部130bの内側側面とで収容空間Kが形成されている。封止枠部130bは、封止基部130aの下面に収容空間Kを形成するためのものである。封止枠部130bは、封止基部130aの下面の外縁に沿って設けられている。
封止基部130a及び封止枠部130bは、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくともいずれかを含む合金からなり、一体的に形成されている。このような封止蓋体130は、真空状態にある収容空間K又は窒素ガスなどが充填された収容空間Kを気密的に封止するためのものである。具体的には、封止蓋体130は、所定雰囲気で、基板110の上面に載置され、基板110の上面と封止枠部130bの下面との間に設けられた接合部材150とが熱が印加されることで、溶融接合される。
接合部材150は、封止蓋体130の下面と基板110の上面の外周縁とを接合するために用いられている。接合部材150は、図2に示すように、封止枠部130bの下面から基板110上の外周縁上にかけて設けられている。また、接合部材150は、平面視して、保護部材160と重なる位置に設けられている。このようにすることにより、ビア導体114及び保護部材160の上面に接合部材150が設けられていることになるので、接合部材150が、保護部材160及び基板110の両方共に固定することになり、基板110の反り等でビア導体114の外周縁と基板110との界面からビア導体114が剥がれることでビア導体114の外周縁と基板110との界面に隙間が生じることをさらに抑えつつ、基板110の気密性をさらに向上させることができる。
接合部材150は、300℃〜400℃で溶融するガラスである例えばバナジウムを含有した低融点ガラス又は酸化鉛系ガラスから構成されている。ガラスは、バインダーと溶剤とが加えられペースト状であり、溶融された後固化されることで他の部材と接着する。ガラス接合部材150は、例えば、ガラスフリットペーストをスクリーン印刷法で封止枠部130bの下面に沿って環状に塗布され乾燥することで設けられる。また、この酸化鉛系ガラスの組成は、酸化鉛、フッ化鉛、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化亜鉛、酸化第二鉄、酸化銅及び酸化カルシウムとから構成されている。
本実施形態における水晶デバイスは、接合部材150が平面視して、ビア導体114と重なる位置に設けられている。このようにすることにより、ビア導体114の上面に接合部材150が設けられていることになるので、接合部材150にてビア導体114が基板110に固定されることになり、基板110の反りによるビア導体114の周辺の変形を抑えることでビア導体114の外周縁と基板110との界面からビア導体114が剥がれてしまうことを低減することができる。よって、このような水晶デバイスは、ビア導体114の外周縁と基板110との界面に隙間が生じることを抑えつつ、基板110の気密性を向上させることができる。また、仮にビア導体114の外周縁と基板110の貫通孔との界面からビア導体114の剥がれが生じたとしても、保護部材160及び接合部材150によりビア導体114の上面が塞がれているため、保護部材160及び接合部材150によってビア導体113が保護されているので、水晶デバイスは、基板110の気密性を向上させることができる。
(第一変形例)
以下、本実施形態の第一変形例における水晶デバイスについて説明する。なお、本実施形態の第一変形例における水晶デバイスのうち、上述した水晶デバイスと同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第一変形例における水晶デバイスは、図5に示されているように、電極パッド211が第一電極パッド211a、第二電極パッド211b及び第三電極パッド211cから構成されており、第一電極パッド211aが、第三電極パッド211cと電気的に接続されている点において本実施形態と異なる。
基板210は、矩形状であり、上面で実装された水晶素子120を実装するための実装部材として機能するものである。基板210の一辺に沿って、水晶素子120を接合するための第一電極パッド211a及び第二電極パッド211bが設けられている。基板210の一辺と対向する一辺に沿って第三電極パッド211cが設けられている。基板210の下面の四隅には、外部端子212が設けられている。また、四つの外部端子212の内の二つが、水晶素子120と電気的に接続されて、水晶素子120の入出力端子として用いられている。
基板210の上面には、電極パッド211と電気的に接続されている配線パターン213が設けられており、基板210の下面には、外部端子212と電気的に接続されている接続パターン215が設けられている。また、基板210には、配線パターン213と接続パターン215とを電気的に接続するためのビア導体214が設けられている。
電極パッド211は、図5(a)に示すように、第一電極パッド211a、第二電極パッド211b及び第三電極パッド211cによって構成されている。また、外部端子212は、図5(b)に示すように第一外部端子212a、第二外部端子212b、第三外部端子212c及び第四外部端子212dによって構成されている。配線パターン213は、図5(a)に示すように、第一配線パターン213a、第二配線パターン213b及び第三配線パターン213cによって構成され、接続パターン215は、第一接続パターン215a及び第二接続パターン215bによって構成されている。また、ビア導体214は、第一ビア導体214a及び第二ビア導体214bによって構成されている。第一電極パッド211aは、基板210の上面に設けられた第一配線パターン213aの一端と電気的に接続されている。第一配線パターン213aの他端は、第三電極パッド211cと電気的に接続されている。第三電極パッド211cは、基板210の上面に設けられた第三配線パターン213cの一端と電気的に接続されている。第三配線パターン213cの他端は、第一ビア導体214aを介して、第一接続パターン215aの一端と電気的に接続されている。第一接続パターン215aの他端は、第四外部端子212dと電気的に接続されている。よって、第一電極パッド211a及び第三電極パッド211cは、第四外部端子212dと電気的に接続されている。
第二電極パッド211bは、基板210の上面に設けられた第二配線パターン213bの一端と電気的に接続されている。第二配線パターン213bの他端は、第二ビア導体214bを介して、第二接続パターン215bの一端と電気的に接続されている。第二接続パターン215bの他端は、第二外部端子212bと電気的に接続されている。よって、第二電極パッド211bは、第二外部端子212bと電気的に接続されている。また、第一外部端子212a及び第三外部端子212cは、どこにも接続されておらず、実装基板に実装するための実装用端子として用いられる。
本実施形態の第一変形例における水晶デバイスは、電極パッド211が第一電極パッド211a、第二電極パッド211b及び第三電極パッド211cから構成されており、第一電極パッド211aが、第三電極パッド211cと電気的に接続されている。このようにすることによって、第一電極パッド211a、第二電極パッド211b及び第三電極パッド211cに水晶素子120を実装することができるので、実装位置が異なる水晶素子を使用しても、その実装に合わせた電極パッド211を形成した基板210の設計をやり直す必要がない。よって、水晶デバイスの生産性を向上させることができる。
また、本実施形態の第一変形例における水晶デバイスは、水晶素子120の自由端と対向する位置に第三電極パッド211cが配置されているように実装されることになる。よって、水晶素子120の引き出し電極123と、電極パッド211とが接合している箇所を軸として傾いても、水晶素子120の自由端が第三電極パッド211cに接触するので、基板210の上面に水晶素子120の自由端が接触することを抑制することできる。仮に、水晶素子120の自由端が基板210に接触した状態で、落下試験等を行うと、水晶素子120の自由端が欠けてしまう虞がある。このようにすることでも、水晶素子120の自由端側が欠けてしまうことを抑え、水晶素子120の発振周波数が変動することを低減することができる。
(第二変形例)
以下、本実施形態の第二変形例における水晶デバイスについて説明する。なお、本実施形態の第二変形例における水晶デバイスのうち、上述した水晶デバイスと同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第二変形例における水晶デバイスは、図6に示されているように、水晶素子220が両持ち支持構造である点において本実施形態の第一変形例と異なる。
水晶素子220は、図6に示されているように、水晶素板221の上面及び下面のそれぞれに励振用電極222及び引き出し電極223を被着させた構造を有している。励振用電極222は、水晶素板221の上下面のそれぞれに金属を所定のパターンで被着・形成したものである。励振用電極222は、上面に第一励振用電極222aと、下面に第二励振用電極(図示せず)を備えている。引き出し電極223は、励振用電極222から水晶素板221の向かい合う辺に向かってそれぞれ延出されている。引き出し電極223は、上面に第一引き出し電極223aと、下面に第二引き出し電極223bとを備えている。第一引き出し電極223aは、第一励振用電極222aから引き出されており、水晶素板221の一方の辺に向かって延出するように設けられている。第二引き出し電極223bは、第二励振用電極(図示せず)から引き出されており、水晶素板221の他方の辺に向かって延出するように設けられている。また、このような水晶素子220は、水晶素板221の対角に位置する箇所で支持する両持ち支持構造にて基板210上に固定されている。この際には、第一電極パッド211aは、水晶素子220の外周縁が基板210との接触を低減するために用いられることになる。
水晶素子220の基板210への接合方法について説明する。まず、導電性接着剤140は、例えばディスペンサによって第二電極パッド211b及び第三電極パッド211c上に塗布される。水晶素子220は、導電性接着剤140上に搬送され、導電性接着剤140上に載置される。そして導電性接着剤140は、加熱硬化させることによって、硬化収縮される。水晶素子220は、電極パッド211に接合される。つまり、水晶素子220の第一引き出し電極223aは、第二電極パッド211bと接合され、第二引き出し電極223bは、第三電極パッド211cと接合される。これによって、第二外部端子212bと第四外部端子212dが水晶素子220と電気的に接続されることになる。
本実施形態の第二変形例における水晶デバイスは、水晶素子220が、矩形状の水晶素板221と、水晶素板221の上下面に設けられた励振用電極222と、励振用電極222とから水晶素板221の向かい合う両辺に向かってそれぞれ延出するようにして設けられている一対の引き出し電極223と、を備え、一対の引き出し電極223の一方と、第一電極パッド211aとが電気的に接続されており、一対の引き出し電極223の他方と、第三電極パッド211cとが電気的に接続されている。このようにすることによって、水晶素子220の第一引き出し電極223a及び第二引き出し電極223bと、第二電極パッド211b及び第三電極パッド211cとが接合している箇所を軸として傾いても、水晶素子220の接合していない一方の角が第一電極パッド211aに接触し、他方の角が基板210から離間した状態になるので、基板210の上面に水晶素子220の接合していない角が接触することを抑制することできる。仮に、水晶素子220の接合していない角が基板210に接触した状態で、落下試験等を行うと、水晶素子220の接合していない角が欠けてしまう虞がある。このようにすることで、水晶素子220の角が欠けてしまうことを抑えつつ、水晶素子220の発振周波数が変動することを低減することができる。
(第三変形例)
以下、本実施形態の第三変形例における水晶デバイスについて説明する。なお、本実施形態の第三変形例における水晶デバイスのうち、上述した水晶デバイスと同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第三変形例における水晶デバイスは、図7に示されているように、電極パッド311は矩形状であり、平面視して、電極パッド311に面取り部317が設けられている点において本実施形態と異なる。
面取り部317は、励振用電極122側を向いている角に、電極パッド311の一辺から一辺と隣接する一辺にかけて横断するようにして直線状に設けられている。このようにすることによって、電極パッド311を大きくしても、励振用電極122と電極パッド311との間で十分な距離が確保できているため、励振用電極122と電極パッド311との接触を低減することができる。
また、電極パッド311は、基板310に沿って設けられた形状となっている。ここで基板310を平面視したときの長辺の寸法が、1.2〜2.5mmであり、短辺の寸法が、1.0〜2.0mmである場合を例にして、電極パッド311の大きさを説明する。電極パッド311の長辺の長さは、0.40〜0.90mmであり、短辺の長さは、0.30〜0.60mmとなっている。また、面取り部317は、矩形状の電極パッド311の角を三角形状に除去したものであり、電極パッド311を平面視したときの縦寸法と平行となる寸法が0.05〜0.15mmであり、平面視したときの横寸法が0.05〜0.15mmである。また、面取り部317が設けられた電極パッド311は、矩形状の電極パッド311に比べて、その面積が97〜99%となるように形成されている。
本実施形態の第三変形例における水晶デバイスは、第一電極パッド311a及び第二電極パッド311bは、矩形状であり、平面視して、第一電極パッド311a及び第二電極パッド311b及び第三電極パッド311cの角に面取り部317が設けられている。このようにすることにより、励振用電極122と、第一電極パッド311a及び第二電極パッド311bとの間で十分な距離が確保できているため、励振用電極122と、第一電極パッド311a及び第二電極パッド311bとの接触を低減することができる。
(第四変形例)
以下、本実施形態の第四変形例における水晶デバイスについて説明する。なお、本実施形態の第四変形例における水晶デバイスのうち、上述した水晶デバイスと同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第四変形例における水晶デバイスは、図8に示されているように、また、保護部材260が、ビア導体114の上面及び下面に設けられている点において本実施形態と異なる。
保護部材260は、基板110の反り等でビア導体114の外周縁と基板110との界面からビア導体114が剥がれてしまうことでビア導体114と基板110との界面に隙間が生じることを抑え、ビア導体114を保護するためのものである。また、保護部材260は、図8に示すように、基板110に設けられたビア導体114の上面及び下面を被覆するようにして設けられている。このようにすることにより、保護部材260がビア導体114の上面及び下面に設けられていることになるので、保護部材260が、ビア導体114の両端を確実に固定することになり、基板110の反りによるビア導体114の周辺の変形をさらに抑えることでビア導体114の外周縁と基板110との界面からビア導体114が剥がれてしまうことをさらに低減することができる。よって、このような水晶デバイスは、ビア導体114の外周縁と基板110との界面に隙間が生じることをさらに抑えつつ、基板110の気密性をさらに向上させることができる。また、保護部材260は、例えば、ガラスフリットペーストをスクリーン印刷法で基板110に設けられたビア導体114の上面に塗布され乾燥することで設けられる。また、保護部材260の上下方向の厚みは、0.01〜0.03mmとなっている。
尚、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。上記の実施形態では、水晶素子は、AT用水晶素子を用いた場合を説明したが、基部と、基部の側面より同一の方向に延びる二本の平板形状の振動腕部とを有する音叉型屈曲水晶素子を用いても構わない。
また、水晶素子120は、水晶素板121の外周の厚みを薄くし、水晶素板121の外周部と比べて水晶素板121の中央部が厚くなるように設けるベベル加工を用いても構わない。また、水晶素子120のベベル加工方法について説明する。所定の粒度のメディアと砥粒とを備えた研磨材と、所定の大きさに形成された水晶素板121とを用意する。円筒体に用意した研磨材と水晶素板121とを入れ、円筒体の開口した端部をカバーで塞ぐ。研磨材と水晶素板121とを入れた円筒体を、円筒体の中心軸線を回転軸として回転させる水晶素板121が研磨材で研磨されてベベル加工が行われる。
上記の実施形態では、ガラス接合部材150が封止蓋体130の封止枠部130bの下面に設けられた場合を説明したが、ガラス接合部材150が基板110上面の外周縁に環状に設けられるようにしても構わない。このようなガラス接合部材150は、例えば、ガラスフリットペーストがスクリーン印刷法で基板110の外周縁に沿って塗布され乾燥することで設けられる。