本実施形態における圧電振動子は、図1〜図4に示されているように、基板110と、基板110の上面に実装された圧電素子120及び感温素子160と、圧電素子120を気密封止するための封止蓋体130と、を含んでいる。このような圧電振動子は、電子機器等で使用する基準信号を出力するのに用いられる。
基板110は、矩形状であり、上面で実装された圧電素子120及び感温素子160を実装するための実装部材として機能するものである。基板110には、図3及び図4に示されているように、圧電素子120を実装するための圧電素子実装領域Xと、感温素子160を実装するための感温素子実装領域Yが設けられている。圧電素子実装領域X及び感温素子実装領域Yは、矩形状であり、隣接するようにして形成されている。圧電素子実装領域X内には、基板110の一辺に沿って、圧電素子120を接合するための一対の電極パッド111が隣接するようにして設けられている。一対の電極パッド111は、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bとで構成されている。基板110の下面の四隅には、外部端子112が設けられている。また、四つの外部端子112の内の二つである第二外部端子112b及び第四外部端子112dは、圧電素子120と電気的に接続されて、圧電素子120の入出力端子として用いられる。
圧電素子実装領域Xは、図3及び図4に示されているように、基板110の短辺と、基板の長辺110及び架空線Lによって、囲まれている領域である。また、感温素子実装領域Yは、基板110の短辺と向かい合う位置にある短辺と、基板の長辺110及び架空線Lによって、囲まれている領域である。感温素子実装領域Y内の中央付近には、感温素子160を接合するための一対の接続パッド115が設けられている。接続パッド115は、第一接続パッド115aと第二接続パッド115bによって構成されている。また、四つの外部端子112の内の残りの二つである第一外部端子112a及び第三外部端子112cは、感温素子160と電気的に接続されている。
基板110は、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料である絶縁層からなる。基板110は、絶縁層を一層用いたものであっても、絶縁層を複数層積層したものであってもよい。基板110の内層及び下面には、上面に設けられた一対の電極パッド111a、111bと下面の第二外部端子112b、第四外部端子112dとを電気的に接続するための配線パターン113がそれぞれ設けられている。
基板110の第一電極パッド111a、第二電極パッド111bは、図1〜図4に示すように、圧電素子120を実装するために用いられている。第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bは、図3に示すように、圧電素子実装領域X内で、基板110の一辺に沿って設けられている。また、電極パッド111は、基板110の内層及び下面に設けられた配線パターン113及び導体部117と、基板110の角部に設けられた導体部114を介して、外部端子112と電気的に接続されている。外部端子112は、基板110の下面の四隅に、基板110の外周縁に沿って設けられている。
電極パッド111は、図3(a)及び図3(b)に示されているように、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bによって構成されている。また、外部端子112は、図3に示されているように第一外部端子112a、第二外部端子112b、第三外部端子112c及び第四外部端子112dによって構成されている。配線パターン113は、図3(a)及び図3(b)に示されているように、第一配線パターン113a、第二配線パターン113b、第三配線パターン113c及び第四配線パターン113dによって構成されている。また、接続パターン116は、図3(a)及び図3(b)に示されているように、第一接続パターン116a、第二接続パターン116b及び第三接続パターン116cによって構成されている。導体部114は、図3に示されているように、第一導体部114a、第二導体部114b、第三導体部114c及び第四導体部114dによって構成されている。接続パッド115は、図3(a)に示されているように、第一接続パッド115aと第二接続パッド115bによって構成されている。
第一電極パッド111aは、図3に示されているように、基板110の上面に設けられている第一配線パターン113aの一端と接続されている。基板110の上面に設けられた第一配線パターン113aの他端は、第一導体部114aを介して、基板110の下面に設けられた第三配線パターン113cの一端と接続されている。基板110の下面に設けられた第三配線パターン113cの他端は、図4に示されているように、第二外部端子112bと電気的に接続されている。よって、第一電極パッド111aは、第二外部端子112bと電気的に接続されている。また、第二電極パッド111bは、基板110の上面に設けられている第二配線パターン113bの一端と接続されている。基板110の上面に設けられた第二配線パターン113bの他端は、第二導体部114bを介して、基板110の下面に設けられた第四配線パターン113dの一端と接続されている。基板110の下面に設けられた第四配線パターン113dの他端は、図3に示されているように、第四外部端子112dと電気的に接続されている。よって、第二電極パッド111bは、第四外部端子112dと電気的に接続されている。
外部端子112は、外部の電子機器等を構成する実装基板上に実装するために用いられている。外部端子112は、基板110の下面の四隅に設けられている。外部端子112の内の二つの端子は、基板110の上面に設けられた一対の電極パッド111とそれぞれ電気的に接続されている。また、電極パッド111と電気的に接続されている外部端子112は、基板110の下面の対角に位置するように設けられている。
配線パターン113は、基板110の上面又は下面に設けられ、電極パッド111及び外部端子112から近傍の導体部114に向けて引き出されている。また、配線パターン113は、図3に示すように、第一配線パターン113a、第二配線パターン113b、第三配線パターン113c及び第四配線パターン113dによって構成されている。
導体部114は、基板110の内部に設けられ、その両端は、配線パターン113又は接続パターン115と電気的に接続されている。導体部114は、基板110に設けられた貫通孔の内部に導体を充填することで設けられている。また、導体部114は、図3に示すように、第一導体部114a、第二導体部114b、第三導体部114c及び第四導体部114dによって構成されている。
接続パッド115は、感温素子160を実装するためのものである。また、接続パッド115は、図3に示すように、第一接続パッド115a及び第二接続パッド115bによって構成されている。また、接続パッド115は、基板110の上面及び下面に設けられた接続パターン116と、基板110に設けられた導体部114を介して、外部端子112と電気的に接続されている。
第一接続パッド115aは、図3に示されているように、基板110の上面に設けられている第一接続パターン116aの一方と接続されている。基板110の上面に設けられた第一接続パターン116aの他端は、第三導体部114cを介して、基板110の下面に設けられた第三接続パターン116cの一端と接続されている。基板110の下面に設けられた第三接続パターン116cの他端は、図3に示されているように、第一外部端子112aと電気的に接続されている。よって、第一接続パッド115aは、第一外部端子112aと電気的に接続されている。また、第二接続パッド115bは、図3に示されているように、基板110の上面に設けられている第二接続パターン116bの一端と接続されている。基板110の上面に設けられた第二接続パターン116bの他端は、第四導体部114dを介して、基板110の下面に設けられた第三外部端子112cと電気的に接続されている。よって、第二接続パッド115bは、第三外部端子112cと電気的に接続されている。
接続パターン116は、基板110の上面及び下面に設けられ、接続パッド115又は外部端子112から基板110の導体部114に向けて引き出されている。また、第一接続パターン116aは、感温素子実装領域Y内で、第二配線パターン113bと近接するようにして設けられている。このようにすることによって、圧電素子120が実装されている収容空間K内の熱が、第二配線パターン113bから基板110を介して第一接続パターン116aに伝わることになる。よって、圧電振動子は、熱伝導経路を短くすることができるので、圧電素子120の温度と感温素子160の温度とがさらに近似することになり、感温素子160から出力された電圧を換算することで得られた温度と、実際の圧電素子120の周囲の温度との差異をさらに低減することが可能となる。
ここで、基板110の作製方法について説明する。基板110がアルミナセラミックスから成る場合、まず所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得た複数のセラミックグリーンシートを準備する。また、セラミックグリーンシートの表面或いはセラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内に、従来周知のスクリーン印刷等によって所定の導体ペーストを塗布する。さらに、これらのグリーンシートを積層してプレス成形したものを、高温で焼成する。最後に、導体パターンの所定部位、具体的には、電極パッド111、外部端子112、配線パターン113、導体部114、接続パッド115及び接続パターン116となる部位にニッケルメッキ又、金メッキ、銀パラジウム等を施すことにより作製される。また、導体ペーストは、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等から構成されている。
圧電素子120は、図1及び図2に示されているように、導電性接着剤140を介して電極パッド111上に接合されている。圧電素子120は、安定した機械振動と圧電効果により、電子装置等の基準信号を発振する役割を果たしている。
また、圧電素子120は、図1及び図2に示されているように、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに励振用電極122及び引き出し電極123を被着させた構造を有している。励振用電極122は、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに金属を所定のパターンで被着・形成したものである。励振用電極122は、上面に第一励振用電極122aと、下面に第二励振用電極122bを備えている。引き出し電極123は、励振用電極122から水晶素板121の一辺に向かってそれぞれ延出されている。引き出し電極123は、上面に第一引き出し電極123aと、下面に第二引き出し電極123bとを備えている。第一引き出し電極123aは、第一励振用電極122aから引き出されており、水晶素板121の一辺に向かって延出するように設けられている。第二引き出し電極123bは、第二励振用電極122bから引き出されており、水晶素板121の一辺に向かって延出するように設けられている。つまり、引き出し電極123は、水晶素板121の長辺又は短辺に沿った形状で設けられている。また、本実施形態においては、第一電極パッド111a及び第二電極パッド111bと接続されている圧電素子120の一端を基板110の上面と接続した固定端とし、他端を基板110の上面と間を空けた自由端とした片持ち支持構造にて圧電素子120が基板110上に固定されている。
ここで、圧電素子120の動作について説明する。圧電素子120は、外部からの交番電圧が引き出し電極123から励振用電極122を介して水晶素板121に印加されると、水晶素板121が所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
ここで、圧電素子120の作製方法について説明する。まず、圧電素子120は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し、水晶素板121の外周の厚みを薄くし、水晶素板121の外周部と比べて水晶素板121の中央部が厚くなるように設けるベベル加工を行う。そして、圧電素子120は、水晶素板121の両主面にフォトリソグラフィー技術、蒸着技術又はスパッタリング技術によって、金属膜を被着させることにより、励振用電極122、引き出し電極123を形成することにより作製される。
圧電素子120の基板110への接合方法について説明する。まず、導電性接着剤140は、例えばディスペンサによって第一電極パッド111a及び第二電極パッド111b上に塗布される。圧電素子120は、導電性接着剤140上に搬送され、導電性接着剤140上に載置される。そして導電性接着剤140は、加熱硬化させることによって、硬化収縮される。圧電素子120は、電極パッド111に接合される。つまり、圧電素子120の第一引き出し電極123aは、第二電極パッド111bと接合され、第二引き出し電極123bは、第一電極パッド111aと接合される。これによって、第二外部端子112bと第四外部端子112dが圧電素子120と電気的に接続されることになる。
導電性接着剤140は、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケル又はニッケル鉄のうちのいずれか、或いはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。また、バインダーとしては、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はビスマレイミド樹脂が用いられる。
感温素子160は、サーミスタ素子、白金測温抵抗体又はダイオード等が用いられている。サーミスタ素子の場合、感温素子160には、直方体形状であり、両端に接続端子161が設けられている。感温素子160は、温度変化によって電気抵抗が顕著な変化を示すものであり、この抵抗値の変化から電圧が変化するため、抵抗値と電圧との関係及び電圧と温度との関係により、出力された電圧から温度情報を得ることができる。感温素子160は、第一外部端子112a及び第三外部端子112c間の電圧が、第一外部端子112a及び第三外部端子112cを介して圧電振動子の外へ出力されることにより、例えば、電子機器等のメインIC(図示せず)で出力された電圧を温度に換算することで温度情報を得ることができる。このような感温素子160を圧電振動子の近くに配置して、これによって得られた圧電振動子の温度情報に応じて、メインICにより圧電振動子を駆動する電圧を制御し、いわゆる温度補償をすることができる。
また、白金測温抵抗体が用いられている場合、感温素子160は、直方体形状のセラミック板上の中央に白金を蒸着し、白金電極が設けられている。また、セラミック板の両端には接続端子161が設けられている。白金電極と接続端子とは、セラミック板上面に設けられた引き出し電極により接続されている。白金電極の上面を被覆するようにして
絶縁性樹脂が設けられている。
また、ダイオードが用いられている場合、感温素子160は、半導体素子を半導体素子用基板の上面に実装し、その半導体素子及び半導体素子用基板の上面を絶縁性樹脂で被覆された構造である。半導体素子用基板の下面から側面には、アノード端子及びカソード端子となる接続端子161が設けられている。感温素子160は、アノード端子からカソード端子へは電流を流すが、カソード端子からアノード端子へはほとんど電流を流さない順方向特性を有している。感温素子の順方向特性は、温度によって大きく変化する。感温素子に一定電流を流しておいて順方向電圧を測定することによって、電圧情報を得ることができる。その電圧情報から換算することで圧電素子120の温度情報を得ることができる。ダイオードは、電圧と温度との関係が直線を示している。第一外部端子112a及び第三外部端子112c間の電圧が、第一外部端子112a及び第三外部端子112cを介して圧電振動子の外へ出力される。また、ダイオードのカソード端子は、基準電位であるグランドとなる第三外部端子112cに接続されることになる。
感温素子160は、図4に示すように、基板110の上面に設けられた接続パッド115に半田等の導電性接合材170を介して実装されている。また、感温素子160の第一接続端子161aは、第一接続パッド115aに接続され、第二接続端子161bは、第二接続パッド115bに接続されている。第二接続パッド115bは、基板110の上面及び下面に設けられた第二接続パターン116bを介して第三外部端子112cと電気的に接続されている。
感温素子160の基板110への接合方法について説明する。まず、導電性接合材170は、例えばディスペンサによって接続パッド115に塗布される。感温素子160は、導電性接合材170上に載置される。そして導電性接合材170は、加熱させることによって溶融接合される。よって、感温素子160は、一対の接続パッド115に接合される。
また、感温素子160がサーミスタ素子の場合には、図1及び図2(b)に示すように、直方体形状の両端にそれぞれ一つずつ接続端子161が設けられている。第一接続端子161aは、感温素子150の一端面とその一端面を囲むように左右側面及び上下面に設けられている。第二接続端子161bは、感温素子160の他端面とその他端面を囲むように左右側面及び上下面に設けられている。感温素子160の長辺の長さは、0.4〜0.6mmであり、短辺の長さは、0.2〜0.3mmとなっている。感温素子160の厚み方向の長さは、0.1〜0.3mmとなっている。
導電性接合材170は、例えば、銀ペースト又は鉛フリー半田により構成されている。また、導電性接合材170には、塗布し易い粘度に調整するための添加した溶剤が含有されている。鉛フリー半田の成分比率は、錫が95〜98%、銀が2〜4%、銅が0〜1.0%のものが使用されている。
封止蓋体130は、矩形状の封止基部130aと、封止基部130aの下面の外周縁に沿って設けられている封止枠部130bとで構成されており、封止基部130aの下面と封止枠部130bの内側側面とで収容空間Kが形成されている。封止枠部130bは、封止基部130aの下面に収容空間Kを形成するためのものである。封止枠部130bは、封止基部130aの下面の外縁に沿って設けられている。
封止基部130a及び封止枠部130bは、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくともいずれかを含む合金からなり、一体的に形成されている。このような封止蓋体130は、真空状態にある収容空間K又は窒素ガスなどが充填された収容空間Kを気密的に封止するためのものである。具体的には、封止蓋体130は、所定雰囲気で、基板110の上面に載置され、基板110の上面と封止枠部130bの下面との間に設けられた接合部材150とが熱が印加されることで、溶融接合される。
接合部材150は、封止蓋体130の下面と基板110の上面の外周縁とを接合するために用いられている。接合部材150は、図2に示すように、封止枠部130bの下面から基板110上の外周縁上にかけて設けられている。また、接合部材150は、平面視して、基板110の圧電素子実装領域X上に設けられた第一配線パターン113aの外周縁に沿って設けられている。このようにすることによって、接合部材150が、第一配線パターン113aの段差により基板110の外周縁に留められるため、圧電素子120の固定端側から圧電素子実装領域Xの中心方向に向かって入り込むことを低減することができる。このように、圧電素子実装領域Xに向かって入り込むことを低減することで、圧電素子120に接合部材150が付着することを少しでも抑えることが可能となる
接合部材150は、300℃〜400℃で溶融するガラスである例えばバナジウムを含有した低融点ガラス又は酸化鉛系ガラスから構成されている。ガラスは、バインダーと溶剤とが加えられペースト状であり、溶融された後固化されることで他の部材と接着する。接合部材150は、例えば、ガラスフリットペーストをスクリーン印刷法で封止枠部130bの下面に沿って環状に塗布され乾燥することで設けられる。また、この酸化鉛系ガラスの組成は、酸化鉛、フッ化鉛、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化亜鉛、酸化第二鉄、酸化銅及び酸化カルシウムとから構成されている。
本実施形態における圧電振動子は、圧電素子実装領域X及び感温素子実装領域Yを上面に有した矩形状の基板110と、圧電素子実装領域Xに設けられた電極パッド111と、感温素子実装領域Yに設けられた接続パッド115と、基板110の下面に設けられた外部端子112と、電極パッド111及び外部端子112と電気的に接続され、基板110の上面及び下面に設けられた配線パターン113と、配線パターン113又は外部端子112と電気的に接続され、基板110に設けられた導体部114と、電極パッド111に実装された圧電素子120と、接続パッド115に実装された感温素子160と、圧電素子実装領域Xの外周縁に沿って設けられた接合部材150と、接合部材150を介して基板110の上面に接合された封止蓋体130と、を備え、導体部114が、感温素子実装領域Yのみに設けられている。このような圧電振動子を電子機器等の実装基板上に実装した際に、基板110に応力がかかり、導体部114に亀裂が生じたとしても、圧電素子実装領域X内に導体部114が設けられていないため、収容空間K内の気密性を維持することができる。よって、圧電素子120の発振周波数を安定して出力することができる。
(第一変形例)
以下、本実施形態の第一変形例における圧電振動子について説明する。なお、本実施形態の第一変形例における圧電振動子のうち、上述した圧電振動子と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第一変形例における圧電振動子は、図5に示されているように、導体部114の上面及び下面に設けられた保護部材180と、を備えている点において、本実施形態と異なる。
保護部材180は、基板110の反り等で導体部114の外周縁と基板110との界面から導体が剥がれてしまうことで導体部114と基板110との界面に隙間が生じることを抑え、導体部114を保護するためのものである。また、保護部材180は、図5に示すように、基板110に設けられた導体部114の上面を被覆するようにして設けられている。また、保護部材180は、例えば、ガラスフリットペーストをスクリーン印刷法で基板110に設けられた導体部114の上面に塗布され乾燥することで設けられる。また、保護部材180の上下方向の厚みは、0.01〜0.03mmとなっている。
本実施形態の第一変形例における圧電振動子は、導体部114の上面及び下面に設けられた保護部材180と、を備えている。このようにすることにより、基板110の反りによる導体部114の周辺の変形を抑えることで導体部114の外周縁と基板110との界面から導体が剥がれてしまうことを低減することができる。よって、このような圧電振動子は、導体部114の外周縁と基板110との界面に隙間が生じることを抑えつつ、導体部114の導通性を向上させることができる。
(第二変形例)
以下、本実施形態の第二変形例における圧電振動子について説明する。なお、本実施形態の第二変形例における圧電振動子のうち、上述した圧電振動子と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第二変形例における圧電振動子は、図6及び図7に示されているように、感温素子160を被覆するように感温素子実装領域Yに設けられた絶縁性樹脂190と、備えている点において、本実施形態と異なる。
絶縁性樹脂190は、感温素子160に、異物が付着することを抑えるためのものである。絶縁性樹脂190は、感温素子実装領域の上面を覆うと共に、感温素子160を被覆するようにして設けられている。絶縁性樹脂190は、例えばエポキシ樹脂又はやポリイミド樹脂等により構成され、絶縁性樹脂190の厚みは、例えば、100μm〜200μmとなっている。また、絶縁性樹脂190は、基板110の反り等で導体部114の外周縁と基板110との界面から導体が剥がれてしまうことで導体部114と基板110との界面に隙間が生じることを抑え、導体部114を保護する役割も果たす。絶縁性樹脂190は、例えば、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等により構成されている絶縁性樹脂ペーストを感温素子実装領域Yの上面にマスク印刷または塗布することで形成される。
本実施形態の第二変形例における圧電振動子は、感温素子160を被覆するように感温素子実装領域Yに設けられた絶縁性樹脂190と、備えている。このようにすることにより、感温素子160に、異物が付着することを抑えることができる。よって、異物により、感温素子160の抵抗値等が変動することがなく、実際の水晶素子120の温度情報が出力されるため、水晶素子120に実際の温度での温度補正がされることになり、安定して発振周波数を出力することができる。
また、このようにすることにより、基板110の反りによる導体部114の周辺の変形を抑えることで導体部114の外周縁と基板110との界面から導体が剥がれてしまうことを低減することができる。よって、このような圧電振動子は、導体部114の外周縁と基板110との界面に隙間が生じることを抑えることができるので、導体部114の導通性を向上させることができる。
(第三変形例)
以下、本実施形態の第三変形例における圧電振動子について説明する。なお、本実施形態の第三変形例における圧電振動子のうち、上述した圧電振動子と同様な部分については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。本実施形態の第三変形例における圧電振動子は、図8に示されているように、導体部214が貫通孔の内壁面に導体膜が形成されている点において本実施形態と異なる。
導体部214は、図8に示されているように、貫通孔の内壁面に導体膜が形成されていることで設けられている。導体部214の両端は、配線パターン213又は接続パターン215と電気的に接続されている。また、導体部214は、図8に示すように、第一導体部214a、第二導体部214b、第三導体部214c及び第四導体部214dによって構成されている。
本実施形態の第三変形例における圧電振動子は、本実施形態と同様の効果に加えて、貫通孔の内壁面にのみ形成された導体膜は、本実施形態と比較し、基板210の反りによる導体部214の周辺の変形に、より柔軟に変形することができるため、導体部214の導通性を向上させることができる。また、第三変形例における圧電振動子を構成する基板210は、本実施形態における圧電振動子を構成する基板110よりも、安価にすることでき、生産性を向上させることができる。
尚、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。上記の実施形態では、圧電素子は、AT用圧電素子を用いた場合を説明したが、基部と、基部の側面より同一の方向に延びる二本の平板形状の振動腕部とを有する音叉型屈曲圧電素子を用いても構わない。
また、圧電素子120のベベル加工方法について説明する。所定の粒度のメディアと砥粒とを備えた研磨材と、所定の大きさに形成された水晶素板121とを用意する。円筒体に用意した研磨材と水晶素板121とを入れ、円筒体の開口した端部をカバーで塞ぐ。研磨材と水晶素板121とを入れた円筒体を、円筒体の中心軸線を回転軸として回転させる水晶素板121が研磨材で研磨されてベベル加工が行われる。
上記の実施形態では、接合部材150が封止蓋体130の封止枠部130bの下面に設けられた場合を説明したが、接合部材150が基板110上面の外周縁に環状に設けられるようにしても構わない。このような接合部材150は、例えば、ガラスフリットペーストがスクリーン印刷法で基板110の圧電素子実装領域Xの外周縁に沿って塗布され乾燥することで設けられる。