JP2015148784A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐刷性に優れると共に、ドット再現性が良好で、高解像度及び高画質が実現可能である画像形成装置を提供する。【解決手段】導電性基体及び該導電性基体上に形成された感光層を備える電子写真感光体1と、該電子写真感光体1を露光して静電潜像を形成する露光手段49とを備える画像形成装置30であって、前記露光手段49には発振波長360〜510nmの青色系レーザー31を用いており、前記電子写真感光体1の表面層は、フッ素系微粒子を含有し、蛍光X線分析法により測定した該フッ素系微粒子中の酸素濃度が0.9質量%以上3.0質量%以下であることを特徴とする画像形成装置30である。【選択図】図3

Description

本発明は、画像形成装置に関し、特には、耐刷性に優れると共に、ドット再現性が良好で、高解像度及び高画質が実現可能である画像形成装置に関するものである。
複写機、プリンタ又はファクシミリ装置等として用いられる電子写真方式の画像形成装置(以下、電子写真装置とも称する)では、以下のような電子写真プロセスを経て画像を形成する。
先ず、電子写真装置に備わる電子写真感光体(以下、単に感光体とも称する)の感光層を、帯電器によって所定の電位に一様に帯電させる。次いで、露光手段から画像情報に応じて照射されるレーザー光等の光によって露光し、静電潜像を形成する。形成された静電潜像に対して現像手段から現像剤を供給し、感光体の表面に現像剤の成分であるトナーと呼ばれる着色された微粒子を付着させることによって静電潜像を現像し、トナー画像として顕像化する。形成されたトナー画像を、転写手段によって感光体の表面から記録紙などの転写材上に転写し、定着手段によって定着させる。
しかしながら、転写手段による転写動作の際に感光体表面のトナーがすべて記録紙に転写して移行されるのではなく、一部が感光体表面に残留する。また、転写時に感光体と接触する記録紙の紙粉が感光体表面に付着したまま残留することもある。このような感光体表面の残留トナー及び付着紙粉等の異物は、形成される画像の品質に悪影響を及ぼすので、クリーニング装置によって除去される。
このような電子写真プロセスに用いられる電子写真感光体は、導電性材料から成る導電性基体上に、光導電性材料を含有する感光層が積層されて構成される。
電子写真感光体としては、無機系の光導電性材料や有機系の光導電性材料(以下、有機光導電体という。Organic Photoconductor;略称:OPC)が挙げられるが、近年の研究開発により、有機系感光体の感度及び耐久性が向上したため、現在では有機系感光体がよく用いられている。
この電子写真感光体の構成は、近年になって、感光層が電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層とに機能分離した積層型感光体が主流となってきている。また、その多くは、電荷発生材料を蒸着あるいはバインダー樹脂中に分散した電荷発生層の上に、電荷輸送能を有する電荷輸送材料をバインダー樹脂中に分子状に分散させた電荷輸送層を積層した負帯電型の感光体である。その他に、電荷発生材料と電荷輸送材料を同一バインダー樹脂中に均一分散又は溶解させた単層型感光体も提案されている。更に印画画像品質の向上のために、導電性基体と感光層の間に下引き層を設けることも行われている。
有機系感光体の欠点として、有機系材料の性質上、感光体周りのクリーナー等の摺刷にともなう表面の摩耗が挙げられる。この欠点を克服する手段として、感光体表面の材料の機械的特性を向上させることが、現在までなされている。
取り組みとして、感光体の最表面層に保護層を設ける(例えば、特開昭57−30846号公報:特許文献1)、保護層に潤滑性を付与する(例えば、特開平1−23259号公報:特許文献2)、保護層を硬化させる(例えば、特開昭61−72256号公報:特許文献3)、保護層にフィラー粒子を含有させる(例えば、特開平1−172970号公報:特許文献4)等の方法が知られている。その中で、フィラーとして表面にフッ素系粒子を加える検討もなされてきている(例えば、特許第3416310号明細書:特許文献5及び特許第3186010号明細書:特許文献6)。フッ素系粒子の特徴として、材料由来の高い潤滑機能から、フィラーとして、感光体の機械的特性を向上させるだけでなく、潤滑性を付与することによって、感光体プロセス中に接触する部材との摩擦力を低減させることも、感光体表面の耐刷性向上に寄与している。
ところで、プリンタ及び複写機に対しては、近年、カラー化を含めた高画質化への期待が膨らんでいる。そして、それを実現させるための方向性としては、「光源(露光ビーム)の小径化及びそれによってもたらされる潜像/現像の高精細化」及び「高精細化された潜像/現像を安定してもたらすことができる感光体の安定化」が挙げられる。
前者の必要条件である露光ビームの小径化には、光源の短波長化が有効である。例えば、書き込み光源として、発振波長が従来の近赤外域レーザー(LD)に比べて約半分近くの短波長レーザー(LD)を用いた場合には、次式(A)で示されるように、感光体上におけるレーザービームのスポット径を理論上かなり小さくすることができる。
d∝(π/4)(λf/D) (A)
(式中、dは感光体上のスポット径、λはレーザー光の波長、fはfθレンズの焦点距離、Dはレンズ径を意味する。)
従って、これらは、潜像の書き込み密度、すなわち解像度の向上に非常に有利に働く。
過去、短波長レーザーによる高解像度化に対する取り組みは、特開平9−240051号公報(特許文献7)に始まり、様々な電荷発生材料との組み合わせ、例えば、特開2000−47408号公報(特許文献8)及び特開2000−105479号公報(特許文献9)等が挙げられているが、「高解像度化の実現」と「感光体としての安定性の確保」の両者を実現するには至っていない。
近年、感光体に使用される材料群としては、性能/コストの両面からその市場のほとんどを有機系材料が占有している。但し、特定の市場に導入される感光体としては、耐久性/安定性等に特徴のある無機系化合物も使用されている。従って、両者の特長を引き出すことのできるハイブリッド化が切望されるところでもある。すでに実用化されているところとして、感光体の下引き層には、種々の無機化合物が導入され、性能の安定化が図られている。
また、特開平5−249708号公報(特許文献10)に記載されているように、電荷発生層に金属酸化物粒子を導入することにより安定性の向上が図られている例もある。更に、短波長の光源に対する性能の安定化効果として、特開2007−233347号公報(特許文献11)には、下引き層中の金属酸化物の光吸収による感光体の感度特性に与える影響について記載されているが、その効果については未だ十分であるとはいえない。
特開昭57−30846号公報 特開平1−23259号公報 特開昭61−72256号公報 特開平1−172970号公報 特許第3416310号明細書 特許第3186010号明細書 特開平9−240051号公報 特開2000−47408号公報 特開2000−105479号公報 特開平5−249708号公報 特開2007−233347号公報
このような状況下、本発明者は、電子写真感光体の感光層にフッ素系微粒子を用い、露光手段の光源として短波長青色系レーザーを用いた画像形成装置を創作したところ、耐刷性は向上するものの、解像度及び画質が低下するという課題が見出された。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、耐刷性に優れると共に、ドット再現性が良好で、高解像度及び高画質が実現可能である画像形成装置を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、従来の画像形成装置に用いるフッ素系微粒子は、短波長青色系レーザーの散乱を起こすため、電子写真感光体の表面層にフッ素系微粒子が存在していると、解像度及び画質の低下が起こることが分かった。そして、本発明者は、露光手段の光源として短波長青色系レーザーを用いた画像形成装置において、電子写真感光体の表面層に存在するフッ素系微粒子を特定の酸素濃度を有するフッ素系微粒子に変更すると、ドット再現性を改善できることを見出し、本発明を完成させるに至った。フッ素系微粒子に一定量の酸素を導入することで、青色系レーザーの散乱を起こり難くしていると推測される。
即ち、本発明の画像形成装置は、導電性基体及び該導電性基体上に形成された感光層を備える電子写真感光体と、該電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段とを備える画像形成装置であって、
前記露光手段には発振波長360〜510nmの青色系レーザーを用いており、
前記電子写真感光体の表面層は、フッ素系微粒子を含有し、蛍光X線分析法により測定した該フッ素系微粒子中の酸素濃度が0.9質量%以上3.0質量%以下であることを特徴とする。
本発明の画像形成装置の好適例においては、前記蛍光X線分析法により測定したフッ素系微粒子中の酸素濃度が1.5質量%以上3.0質量%以下である。
本発明の画像形成装置の他の好適例においては、前記フッ素系微粒子が、次の工程:
(a)フッ素系重合性モノマーとアセトンの混合溶液に電離性放射線を照射することによって前記フッ素系重合性モノマーを重合させて、前記混合溶液をゲル状態のフッ素系ポリマーのアセトン分散体とする工程;及び
(b)前記フッ素系ポリマーのアセトン分散体に電離性放射線を照射することによって前記フッ素系ポリマーを架橋し微粒子懸濁液を形成する工程
を含む方法により作製される架橋フッ素系微粒子を含む。
本発明の画像形成装置の他の好適例において、前記フッ素系微粒子は、1次粒子のメジアン径(D50)が0.2μm以上1μm以下である。
本発明の画像形成装置の他の好適例においては、前記青色系レーザーが青色系半導体レーザーである。
本発明によれば、耐刷性に優れると共に、ドット再現性が良好で、高解像度及び高画質が実現可能である画像形成装置を提供することができる。
本発明の画像形成装置の一実施態様を構成する電子写真感光体の概略断面図である。 本発明の画像形成装置の他の実施態様を構成する電子写真感光体の概略断面図である。 本発明の画像形成装置の他の実施態様の概略断面図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の画像形成装置は、導電性基体及び該導電性基体上に形成された感光層を備える電子写真感光体と、該電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段とを備える画像形成装置であって、前記露光手段には発振波長360〜510nmの青色系レーザーを用いており、前記電子写真感光体の表面層は、フッ素系微粒子を含有し、蛍光X線分析法により測定した該フッ素系微粒子中の酸素濃度が0.9質量%以上3.0質量%以下であることを特徴とする。
本発明の画像形成装置において、電子写真感光体は、導電性基体及び該導電性基体上に形成された感光層を備える。ここで、感光層は、単層型の感光層でも積層型の感光層でもよく、積層型の感光層の例としては、電荷発生層及び電荷輸送層からなる感光層が挙げられる。また、電子写真感光体は、導電性基体と感光層の間に下引き層を備えてもよく、これにより、電気的安定性を改善することが可能となる。更に、電子写真感光体は、感光層上に形成される保護層を備えていてもよい。なお、電子写真感光体の表面層とは、電子写真感光体の表面を覆う層であり、導電性基体から最も外側に位置する層を意味する。例えば、導電性基体上に単層型感光層のみを備える電子写真感光体であれば、単層型感光層が表面層となり、導電性基体上に電荷発生層、電荷輸送層の順で積層した感光層を備える電子写真感光体であれば、電荷輸送層が表面層となり、感光層上に保護層を備える電子写真感光体であれば、保護層が表面層となる。
本発明の画像形成装置において、電子写真感光体の表面層は、蛍光X線分析法により測定される酸素濃度が0.9質量%以上3.0質量%以下であるフッ素系微粒子を含有することを要する。上記特定した範囲の酸素濃度を有するフッ素系微粒子を電子写真感光体の表面層に用いることで、ドット再現性を向上させ、高解像度及び高画質が実現可能となる。ここで、蛍光X線分析法により測定されるフッ素系微粒子中の酸素濃度が0.9質量%未満であると、短波長青色系レーザーの散乱を十分に抑えることができず、ドット再現性を向上させることができない。一方、該フッ素系微粒子中の酸素濃度が3.0質量%を超えると、電子写真感光体の電気的な安定性が低下し、延いては解像度及び画質が低下する。
また、蛍光X線分析法により測定される酸素濃度が0.9質量%以上3.0質量%以下であるフッ素系微粒子は、酸素濃度が0.9質量%未満であるフッ素系微粒子(従来、フィラーとして利用されていたフッ素系微粒子)と同程度の耐摩耗性を有すると共に、酸素濃度が0.9質量%未満であるフッ素系微粒子と比べて、感光体塗液中での分散安定性を向上できることを見出した。従来、フッ素系微粒子を電子写真感光体の表面層に用いる場合、感光体塗液中でのフッ素系微粒子の分散性を確保するために分散剤の使用が不可避であったが、分散剤の使用により感光体の電気特性が低下するという課題があった。これに対し、本発明によれば、蛍光X線分析法により測定される酸素濃度が0.9質量%以上3.0質量%以下であるフッ素系微粒子が感光体塗液中での分散安定性に優れるため、分散剤の使用を回避することができ、電気的に安定した感光体を提供することができる。また、蛍光X線分析法により測定される酸素濃度が0.9質量%以上3.0質量%以下であるフッ素系微粒子を用いることにより、耐摩耗性を発揮できるため、所望の耐刷性も得ることができる。
また、蛍光X線分析法により測定されるフッ素系微粒子中の酸素濃度は、0.9質量%以上3.0質量%以下であることを要するが、1.5質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
なお、本発明において、フッ素系微粒子中の酸素濃度は、フッ素系微粒子を構成する酸素の組成比であり、蛍光X線分析法によって測定され、一般的な蛍光X線分析装置を用いて測定できる。
上記フッ素系微粒子としては、特に制限されるものではなく、例えば、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂等のフッ素系樹脂粒子が使用できる。これらフッ素系微粒子は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記フッ素系微粒子に酸素を導入する方法としては、例えば、フッ素系微粒子に電離性放射線を照射することによって該フッ素系微粒子を架橋する手法が挙げられる。電離性放射線を照射することにより、フッ素系微粒子にはエーテル結合を介した架橋が起こり、フッ素系微粒子に酸素を導入することができる。空気中で放射線照射を行う場合、空気中の酸素や二酸化炭素に由来する酸素が組み込まれ、溶媒中で放射線照射を行う場合、溶媒に由来する酸素が組み込まれると推測される。また、電離性放射線の線量を変えることにより、フッ素系微粒子中の酸素濃度を適宜調整することができる。電離性放射線としてはγ線が好ましい。
また、フッ素系微粒子に電離性放射線を照射するのではなく、フッ素系微粒子の製造過程において放射線照射を行う手法も知られている。このような方法としては、例えば、次の工程:
(a)フッ素系重合性モノマーとアセトンの混合溶液に電離性放射線を照射することによって該フッ素系重合性モノマーを重合させて、該混合溶液をゲル状態のフッ素系ポリマーのアセトン分散体とする工程;及び
(b)工程(a)により得られたフッ素系ポリマーのアセトン分散体に電離性放射線を照射することによって該フッ素系ポリマーを架橋し微粒子懸濁液を形成する工程
を含む方法が挙げられ、該方法には、任意に、
(c)工程(b)によって得られた微粒子懸濁液から架橋フッ素系微粒子を分離し乾燥させる工程が含まれていてもよい。かかる方法によれば、結合酸素を粒子中に取り込み、粒子表面に極性が出現するため、塗液中での分散性及び分散安定性が向上し、感光体特性の安定化がみこまれる。
上記工程(a)に用いるフッ素系重合性モノマーとしては、上述したフッ素系樹脂粒子の製造に使用できるモノマーが挙げられ、例えば、4フッ化エチレン(即ちテトラフルオロエチレン)、3フッ化塩化エチレン、6フッ化エチレンプロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、2フッ化2塩化エチレン等が挙げられ、テトラフルオロエチレンが好ましい。
本発明の画像形成装置においては、光散乱をより抑え、電荷輸送層に使用される場合には電気的キャリアーへの弊害をできるだけ少なくするため、フッ素系微粒子の粒子径は小さいものが好ましく、感光体塗液中での分散安定性を更に向上させる観点から、フッ素系微粒子は、1次粒子のメジアン径(D50)が0.2μm以上1μm以下であることが好ましい。なお、本明細書において、1次粒子のメジアン径(D50)は、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径をいい、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば堀場製作所社製LA−750)によって測定される値、又は目視観察による統計的手法により求められる値である。目視観察では、走査型電子顕微鏡(例えば日本電子社製JSM−5400)を用いて行うことができる。
本発明の画像形成装置において、電子写真感光体の表面層中における上記フッ素系微粒子の含有量は、特に制限されず、表面層の種類(電荷輸送層、保護層等)によって適宜調整されるものであるが、例えば、1〜40質量%である。
本発明の画像形成装置において、露光手段は、帯電された電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する手段であるが、露光光源として、発振波長が360〜510nmの青色系レーザーを用いることを要する。このような短波長レーザーは、感光体上のスポット径が小さいため、ドット再現性が高く、高解像度及び高画質が実現可能となる。また、青色系レーザーの種類は特に限定されるものではないが、青色系半導体レーザーが好ましい。
本発明の画像形成装置は、通常、上述の電子写真感光体及び露光手段に加えて、電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録材上に転写する転写手段と、記録材上に転写されたトナー像を該記録材上に定着する定着手段とを備えるが、更に、電子写真感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、電子写真感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段とを備えてもよい。また、本発明の画像形成装置は、電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を備える構成であってもよい。
次に、図を参照しながら、本発明の画像形成装置の実施態様を詳細に説明するが、本発明は、下記の実施態様に何ら限定されるものではない。
〔実施形態1〕
図1は、本発明の画像形成装置の一実施態様を構成する電子写真感光体の概略断面図である。この実施形態1に係る電子写真感光体1(以下、感光体と略称する)は、導電性材料から成る円筒状の導電性基体11と、導電性基体11の外周面上に下引き層15と、下引き層15の外周面上に感光層14とを備える。感光層14は、図1に示す通り、積層型であり、下引き層15上に位置する電荷発生物質を含有する電荷発生層12と、電荷発生層12上に位置する電荷輸送物質を含有する電荷輸送層13とからなる。実施形態1に係る電子写真感光体1の表面層は電荷輸送層13であり、ここに、蛍光X線分析法により測定される酸素濃度が0.9質量%以上3.0質量%以下であるフッ素系微粒子が含まれる。かかるフッ素系微粒子については上述したとおりである。
(導電性基体)
導電性基体11は、感光体1の電極としての役割を果たすとともに、上部に配置される層、即ち下引き層15及び感光層14の支持部材としても機能する。なお、導電性基体11の形状は、この実施形態1では円筒状であるけれども、これに限定されることはなく、円柱状、シート状又は無端ベルト状等であってもよい。
導電性基体11を構成する導電性材料としては、例えばアルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金等の導電性金属やこれらの合金材料;アルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金や酸化インジウム等の導電性の金属、合金又は金属酸化物を用いることができる。
また、これらの金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエステル、ポリオキシメチレン若しくはポリスチレン等の高分子材料、硬質紙又はガラス等の表面に、上記導電性金属の箔をラミネートしたもの、上記金属材料を蒸着したもの、又は導電性高分子、酸化錫、酸化インジウム等の導電性化合物の層を蒸着若しくは塗布したもの等を用いることもできる。
これらの導電性材料は所定の形状に加工されて使用される。
導電性基体11の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品若しくは熱水等による表面処理、着色処理、又は表面を粗面化する等の乱反射処理を施してもよい。
レーザーを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザー光の波長が揃っているので、感光体表面で反射されたレーザー光と感光体内部で反射されたレーザー光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥となることがある。しかしながら、導電性基体11の表面に上記のような処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザー光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
(下引き層)
導電性基体11と感光層14との間に下引き層15がない場合、導電性基体11又は感光層14の欠陥に起因して微小な領域での帯電性の低下が生じ、黒ぽち等の画像のかぶりが発生し、著しい画像欠陥を生じることがある。下引き層を設けることによって、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止することができる。従って、感光層14の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少を抑え、画像にかぶり等の欠陥が発生することを防止することができる。
更に、下引き層15を設けることによって、導電性基体11表面の凸凹を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層14の成膜性を高めることができる。また、感光層14の導電性基体11からの剥離を抑え、導電性基体11と感光層14との接着性を向上させることができる。
この下引き層15には、各種樹脂材料から成る樹脂層又はアルマイト層等が用いられる。
上記樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂及びポリアミド樹脂等の樹脂、並びにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等を挙げることができる。また、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース、ニトロセルロース及びエチルセルロース等も挙げられる。
これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂を用いることが好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることが好ましい。
好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、2−ナイロン及び12−ナイロン等を共重合させた、いわゆる共重合ナイロン、並びにN−アルコキシメチル変性ナイロン及びN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂等を挙げることができる。
そして、下引き層の電荷調整機能をもたせるために、フィラーの添加がなされる。この目的のために、金属酸化物微粒子が適用され、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム及び酸化錫等の粒子を挙げることができる。金属酸化物の粒子径としては、0.01μm以上0.3μm以下程度が適当である。好ましくは0.02μm以上0.1μm以下程度ある。
なお、下引き層15は、例えば上記の樹脂を適当な溶剤中に溶解又は分散させて下引き層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって形成される。下引き層15に前述の酸化物微粒子等の粒子を含有させる場合には、例えば前述の樹脂を適当な溶剤に溶解させて得られる樹脂溶液中に、カーボンナノコイルを分散させて下引き層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって下引き層15を形成することができる。
下引き層用塗布液の溶剤には、水若しくは各種有機溶剤、又はこれらの混合溶剤が用いられる。例えば、水、メタノール、エタノール若しくはブタノール等の単独溶剤、又は水とアルコール類、2種類以上のアルコール混液、アセトン若しくはジオキソラン等とアルコール類、ジクロロエタン、クロロホルム若しくはトリクロロエタン等のハロゲン系有機溶剤とアルコール類等の混合溶剤が用いられる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
前述の粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機又はペイントシェーカー等を用いる一般的な方法を使用することができる。また、微小空隙中に上記分散液を超高圧で通過させることによって発生する非常に強いせん断力を利用したメディアレスタイプの分散装置を利用することによってより、安定な分散塗液を製造することが可能となる。
下引き層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの中でも、特に浸漬塗布法は、前述のように、比較的簡単で、生産性及び原価の点で優れているので、下引き層15を形成する場合にも多く利用されている。
下引き層15の膜厚は、0.01μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm以上10μm以下である。下引き層15の膜厚が0.01μmよりも薄いと、実質的に下引き層15として機能しなくなり、導電性基体11の凸凹を被覆して均一な表面性を得ることができず、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止することができなくなり、感光層14の帯電性の低下が生じる。また、下引き層15の膜厚を20μmよりも厚くすることは、下引き層15を浸漬塗布法によって形成する場合に、下引き層15の形成が困難になるとともに、下引き層15上に感光層14を均一に形成することができず、感光体の感度が低下するので好ましくない。従って、下引き層15の膜厚の好適な範囲を、0.01μm以上、20μm以下とした。
(電荷発生層)
電荷発生層12は、光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質を主成分として含有する。上記の電荷発生物質として有効な物質は、波長360〜510nmのレーザー光を吸収する電荷発生物質であり、有機系顔料を含む有機系光導電性材料及び無機顔料を含む無機系光導電性材料が挙げられる。
上記有機系顔料を含む有機系光導電性材料としては、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料及びトリスアゾ系顔料等のアゾ系顔料、インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ系顔料、ペリレンイミド及びペリレン酸無水物等のペリレン系顔料、アントラキノン及びピレンキノン等の多環キノン系顔料、金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類及びチオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素等の有機光導電性材料が挙げられる。特に、チタニルフタロシアニンが好ましく、CuKα線(波長1.541Å)によるX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に主要なピークを示すチタニルフタロシアニンが更に好ましい。なお、このようなチタニルフタロシアニンについては特開2009−237488号公報において説明されている。また、上記無機顔料を含む無機系光導電性材料としては、セレン及びその合金、ヒ素−セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコン、その他の無機光導電体が挙げられる。
電荷発生物質は、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー及びビクトリアブルー等に代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ及びフラペオシン等に代表されるアクリジン染料、メチレンブルー及びメチレングリーン等に代表されるチアジン染料、カプリブルー及びメルドラブルー等に代表されるオキサジン染料、シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料又はチオピリリウム塩染料等の増感染料と組合わされて使用してもよい。
電荷発生層12の形成方法としては、前述の電荷発生物質を導電性基体11の表面に真空蒸着する方法、又は前述の電荷発生物質を適当な溶剤中に分散して得られる電荷発生層用塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法等が用いられる。これらの中でも、結着剤である結着樹脂を溶剤中に混合して得られる結着樹脂溶液中に、電荷発生物質を従来公知の方法によって分散して電荷発生層用塗布液を調製し、得られた塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法が好適に用いられる。以下、この方法について説明する。
電荷発生層12に用いられる結着樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂及びポリビニルホルマール樹脂等の樹脂、並びにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂等を挙げることができる。
共重合体樹脂の具体例としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂及びアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂等の絶縁性樹脂等を挙げることができる。
結着樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂を結着樹脂として使用することができる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
電荷発生層用塗布液の溶剤には、例えばジクロロメタン若しくはジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン若しくはシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル若しくは酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類、1,2−ジメトキシエタン等のエチレングリコールのアルキルエーテル類、ベンゼン、トルエン若しくはキシレン等の芳香族炭化水素類、又はN,N−ジメチルホルムアミド若しくはN,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶剤等が用いられる。上記の溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。上記の溶剤は、1種が単独で使用されてもよく、2種以上の混合溶剤として使用してもよい。
電荷発生物質と結着樹脂とを含んで構成される電荷発生層12において、電荷発生物質の重量W1と結着樹脂の重量W2との比率W1/W2は、100分の10(10/100)以上100分の400(400/100)以下であることが好ましい。比率W1/W2が10/100未満であると、感光体1の感度が低下する。逆に、比率W1/W2が400/100を超えると、電荷発生層12の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大するので、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなる。従って、比率W1/W2の好適な範囲を、10/100以上、400/100以下とした。
電荷発生物質は、結着樹脂溶液中に分散される前に、予め粉砕機によって粉砕処理されてもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル及び超音波分散機等を挙げることができる。また、電荷発生物質を結着樹脂溶液中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカー、ボールミル及びサンドミル等を挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器及び分散機を構成する部材の摩耗等による不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択する。
電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの塗布方法のうちから、塗布の物性及び生産性等を考慮に入れて最適な方法を選択することができる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度又は逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面上に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
電荷発生層12の膜厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上1μm以下である。電荷発生層12の膜厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感光体1の感度が低下する。逆に、電荷発生層12の膜厚が5μmを超えると、電荷発生層12内部での電荷移動が感光層14の表面電荷を消去する過程の律速段階となり、感光体1の感度が低下する。従って、電荷発生層12の膜厚の好適な範囲を、0.05μm以上、5μm以下とした。
(電荷輸送層)
電荷発生層12上には電荷輸送層13が設けられる。電荷輸送層13は、電荷発生層12に含まれる電荷発生物質が発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有する電荷輸送物質と、電荷輸送物質を結着させる結着樹脂とを含んで構成することとなる。
上記電荷輸送物質としては、エナミン誘導体、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体及びベンジジン誘導体等を挙げることができる。特に、下記式(1):

で表されるN,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)ベンジジンが好ましい。
電荷輸送層13を構成する結着樹脂には、透明性や耐刷性に優れるなどの理由から、当該分野で周知のポリカーボネートを主成分とする樹脂が好適に選択される。その他に、第2成分として、例えばポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のビニル重合体樹脂及びこれらを構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、並びにポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂及びフェノール樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂も挙げられる。これらの樹脂は単独で使用してもよく、また、2種以上の混合物を使用してもよい。
なお、上記の主成分とは、ポリカーボネート樹脂の質量%が、電荷輸送層を構成する総結着樹脂中で最も高い割合を占めることを意味し、より好ましくは50〜90質量%の範囲を占めることを意味する。また、上記の第2成分としての樹脂は、上記総結着樹脂中10〜50質量%の範囲で用いられ得る。
また、電荷輸送層における電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、質量比で10/10〜10/18の範囲が好ましい。
実施形態1においては、電荷輸送層13が感光体1の表面層であるため、上述の通り、蛍光X線分析法により測定される酸素濃度が0.9質量%以上3.0質量%以下であるフッ素系微粒子が含まれる。また、フッ素系微粒子を分散させる方法としては、下引き層に添加する酸化物微粒子と同様に、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機又はペイントシェーカー等を用いる一般的な方法を使用することができる。また、微小空隙中に上記分散液を超高圧で通過させることによって発生する非常に強いせん断力を利用したメディアレスタイプの分散装置を利用することによってより、安定な分散塗液を製造することが可能となる。
また、電荷輸送層13には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。例えば、成膜性、可撓性又は表面平滑性を向上させるために、可塑剤又はレベリング剤等を電荷輸送層13に添加してもよい。上記可塑剤としては、例えばフタル酸エステル等の二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィン及びエポキシ型可塑剤等を挙げることができる。また、上記レベリング剤としては、例えばシリコーン系レベリング剤等を挙げることができる。
電荷輸送層13は、前述の電荷発生層12を塗布によって形成する場合と同様に、例えば適当な溶媒中に、電荷輸送物質、結着樹脂、フッ素系微粒子及び必要な場合には、上記添加剤を溶解又は分散させて電荷輸送層用塗布液を調製し、得られた塗布液を電荷発生層12上に塗布することによって形成される。
電荷輸送層用塗布液の溶剤としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン及びモノクロルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン及びジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン及びジメトキシメチルエーテル等のエーテル類、並びにN,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。また、上記の溶媒に、必要に応じてアルコール類、アセトニトリル又はメチルエチルケトン等の溶媒を更に加えて使用することもできる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
電荷輸送層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、上述のように種々の点で優れているので、電荷輸送層13を形成する場合にも多く利用されている。
電荷輸送層13の膜厚はそれぞれ、5μm以上40μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上30μm以下である。電荷輸送層13の膜厚が5μm未満であると、帯電保持能が低下する。また、電荷輸送層13の膜厚が40μmを超えると、感光体1の解像度が低下する。従って、電荷輸送層13の膜厚の好適な範囲を、5μm以上40μm以下とした。
感光層14の各層には、感度の向上を図り、更に繰返し使用による残留電位の上昇及び疲労等を抑えるために、電子受容物質及び色素等の増感剤を1種又は2種以上添加してもよい。
上記電子受容物質としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物等の酸無水物、テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリル等のシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類、アントラキノン、1−ニトロアントラキノン等のアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン等の多環若しくは複素環ニトロ化合物、又はジフェノキノン化合物等の電子吸引性材料等を用いることができる。またこれらの電子吸引性材料を高分子化したもの等を用いることもできる。
上記色素としては、例えばキサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料又は銅フタロシアニン等の有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有機光導電性化合物は光学増感剤として機能する。
また感光層14の各層12及び13には、酸化防止剤又は紫外線吸収剤等を添加してもよい。特に電荷輸送層13には、酸化防止剤又は紫外線吸収剤等を添加することが好ましく、各層を塗布によって形成する際の塗布液の安定性を高めることができる。更に、電荷輸送層13には、酸化防止剤を添加するのが特に好ましい。この酸化防止剤の電荷輸送層への添加により、オゾン、窒素酸化物等の酸化性ガスに対する感光層の劣化を低減することができる。上記酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物又はアミン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール誘導体若しくはヒンダードアミン誘導体、又はこれらの混合物が好適に用いられる。
なお、必要に応じて、感光層14上に表面保護層を設ける場合もある。この場合、表面保護層が電子写真感光体の表面層であるため、表面保護層に、蛍光X線分析法により測定される酸素濃度が0.9質量%以上3.0質量%以下であるフッ素系微粒子が含まれることになる。
この実施形態1では、感光層14が電荷発生層12と電荷輸送層13とで構成される形態を説明したが、図2に示すように、感光層14がこの形態と異なる形態であってもよい。図2は、本発明の画像形成装置の他の実施態様を構成する電子写真感光体の概略断面図である。図2の(1)に示すように、感光層14が単一の層で形成されてもよい。つまり、図2(1)に示される電子写真感光体1は、導電性材料から成る円筒状の導電性基体11と、導電性基体11の外周面上に積層される層であって電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有する感光層14とを備える。図2(1)では、電子写真感光体1の表面層は感光層14であり、ここに、蛍光X線分析法により測定される酸素濃度が0.9質量%以上3.0質量%以下であるフッ素系微粒子が含まれる。また、図2の(2)に示すように、電荷輸送層13が複数の層で形成されてもよい。図2(2)に示される電子写真感光体1は、導電性材料から成る円筒状の導電性基体11と、導電性基体11の外周面上に感光層14とを備えており、ここで、感光層14は、導電性基体11上に位置する電荷発生層12と、電荷発生層12上に位置する2枚の電荷輸送層13を備える。このような電荷輸送層13は、第1電荷輸送層13Aと第2電荷輸送層13Bとで構成され、第1電荷輸送層13A中の電荷輸送物質の含有量と第2電荷輸送層13B中の電荷輸送物質の含有量とが異なるように形成されている。図2(2)では、電子写真感光体1の表面層は電荷輸送層13Bであり、ここに、蛍光X線分析法により測定される酸素濃度が0.9質量%以上3.0質量%以下であるフッ素系微粒子が含まれる。
〔実施形態2〕
図3は、本発明の画像形成装置の他の実施態様の概略断面図である。図3に示す画像形成装置30は、上述した実施形態1と同じ構成の感光体1を搭載するレーザープリンタである。以下、図3を参照してレーザープリンタ30の構成及び画像形成動作について説明する。なお、図3に記載のレーザープリンタ30は、この発明の例示であり、以下の記載内容によってこの発明の画像形成装置が限定されるものではない。
画像形成装置であるレーザープリンタ30は、感光体1、半導体レーザー31、回転多面鏡32、結像レンズ34、ミラー35、帯電手段であるコロナ帯電器36、現像手段である現像器37、転写紙カセット38、給紙ローラ39、レジストローラ40、転写手段である転写帯電器41、分離帯電器42、搬送ベルト43、定着器44、排紙トレイ45クリーニング手段であるクリーナ46、及び除電手段である除電器50を含んで構成される。
なお、上記の半導体レーザー31、回転多面鏡32、結像レンズ34及びミラー35は、露光手段49を構成する。なお、半導体レーザー31は、発振波長360〜510nmの青色系半導体レーザーである。
感光体1は、図示しない駆動手段によって矢符47の方向に回転可能なようにレーザープリンタ30に搭載される。半導体レーザー31から出射されるレーザービーム33は、回転多面鏡32によって感光体1の表面に対してその長手方向(主走査方向)に繰返し走査される。結像レンズ34は、f−θ特性を有し、レーザービーム33をミラー35で反射させて感光体1の表面に結像させて露光させる。感光体1を回転させながらレーザービーム33を上記のように走査して結像させることによって、感光体1の表面に画像情報に対応する静電潜像が形成される。
上記のコロナ帯電器36、現像器37、転写帯電器41、分離帯電器42及びクリーナ46は、矢符47で示す感光体1の回転方向上流側から下流側に向ってこの順序で設けられる。
また、コロナ帯電器36は、レーザービーム33の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられ、感光体1の表面を均一に帯電させる。従って、レーザービーム33が、均一に帯電された感光体1表面を露光することになり、レーザービーム33によって露光された部位の帯電量と露光されなかった部位の帯電量とに差異が生じて前記の静電潜像が形成される。
現像器37は、レーザービーム33の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられ、感光体1表面に形成された静電潜像にトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する。転写紙カセット38に収容される転写紙48は、給紙ローラ39によって1枚ずつ取出され、レジストローラ40によって感光体1への露光と同期して転写帯電器41に与えられる。転写帯電器41によって、トナー像が転写紙48に転写される。転写帯電器41に近接して設けられる分離帯電器42は、トナー像が転写された転写紙を除電して感光体1から分離する。
感光体1から分離された転写紙48は、搬送ベルト43によって定着器44に搬送され、定着器44によってトナー像が定着される。このようにして画像が形成された転写紙48は、排紙トレイ45に向けて排紙される。なお、分離帯電器42によって転写紙48が分離された後、更に回転を続ける感光体1は、その表面に残留するトナー及び紙粉等の異物がクリーナ46によって清掃される。クリーナ46によってその表面が清掃された感光体1は、クリーナ46と共に設けられる除電器50によって除電された後、更に回転され、上記の感光体1の帯電から始まる一連の画像形成動作が繰り返される。
本発明の画像形成装置は、図3に示す画像形成装置の構成に限定されるものではなく、上記感光体を使用することができるものであれば、モノクロ、カラーを問わず、電子写真プロセスを利用する種々のプリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等であり得る。なお、本発明の画像形成装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の思想を逸脱しない範囲で種々の変形、変更が可能であって、その他の形態は本明細書及び図面の記載から容易に理解される。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
・下引き層の作製
酸化チタン(商品名:タイベークTTO−D−1、石原産業株式会社製)3質量部及び市販のポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ株式会社製)2質量部をメチルアルコール25質量部に加え、ペイントシェーカーにて8時間分散処理し、下引き層用塗布液3kgを調製した。得られた下引き層用塗布液を塗布槽に満たし、導電性基体として直径30mm、長さ357mmのアルミニウム製のドラム状支持体を浸漬した後にこれを引き上げ、膜厚1μmの下引き層を導電性基体上に形成した。
・電荷発生層の作製
次いで、電荷発生物質として、CuKα1.541ÅのX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が27.3°に主要なピークを示すX線回折スペクトルを有するチタニルフタロシアニン1質量部及び結着樹脂としてブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−2、積水化学工業株式会社製)1質量部をメチルエチルケトン98質量部に混合し、ペイントシェーカーにて8時間分散処理して電荷発生層用塗布液3リットルを調製した。得られた電荷発生層用塗布液を、下引き層形成の場合と同様の方法で先に設けた下引き層表面に塗布し、自然乾燥して膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
・電荷輸送層の作製
市販のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子であるルブロンL−2(ダイキン工業社製,1次粒子のメジアン径(D50)200〜300nm)をポリエチレン製容器に投入し、コバルト60からのγ線を大気中で150kGy照射した。γ線照射後のPTFE粒子中の酸素濃度を蛍光X線分析装置(理学電気社製、ZSX−primasII)を用いて30kV−100mAの条件にて評価したところ、PTFE粒子中の酸素濃度は1.05質量%であった。
次いで、電荷輸送物質として下記化合物(1)

100質量部(T2269:東京化成工業社製)、ポリカーボネート樹脂(TS2050:帝人化成社製)180質量部、及び上記γ線照射PTFE粒子30質量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤として加え、固形分21質量%の懸濁液を作製し、その後、湿式乳化分散装置(NVL−AS160:吉田機械製)を用いて、設定圧力:100MPaの条件にて5pass操作実施し、電荷輸送層用塗布液3kgを調製した。この電荷輸送層用塗布液を、浸漬法により、先に設けた電荷発生層表面に塗布し、120℃で1時間乾燥して、膜厚28μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、図1に示す積層型感光体を作製した。
〔実施例2〕
・下引き層及び電荷発生層の作製
実施例1と同様に、下引き層及び電荷発生層を作製した。
・電荷輸送層の作製
γ線の線量を150kGyから700kGyに変えた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層を形成した。なお、γ線照射後のPTFE粒子中の酸素濃度は2.28質量%であった。
〔実施例3〕
・下引き層及び電荷発生層の作製
実施例1と同様に、下引き層及び電荷発生層を作製した。
・電荷輸送層の作製
30mlのガラスアンプルにアセトン5mlとテトラフルオロエチレン(TFE)0.2ml(液体窒素によってガラスアンプル内で一度固化させ、溶解したときの液体の体積で計量)を充填して、TFEが4vol%の混合溶液を調製した。ドライアイスとメタノールの混合物に浸漬することによって溶液の温度を−78℃に調節し、この溶液にコバルト60からのγ線を真空中で60kGy照射した後、室温に戻し、ゲル化ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の分散液を得た。この操作を繰り返した後、アセトンを濃縮することにより、20質量%の架橋PTFE粒子分散液を得た。架橋PTFE粒子の1次粒子のメジアン径(D50)は0.3μmであり、また、架橋PTFE粒子中の酸素濃度は1.73質量%であった。
次いで、実施例1で用いた電荷輸送物質(化合物(1))100質量部(T2269:東京化成工業社製)、ポリカーボネート樹脂(TS2050:帝人化成社製)180質量部、及び上記架橋PTFE粒子分散液(濃度20質量%)156質量部を混合し、テトラヒドロフランを溶剤として加え、固形分21質量%の懸濁液を作製し、その後、実施例1と同様にして、積層型感光体を作製した。
〔実施例4〕
・下引き層及び電荷発生層の作製
実施例1と同様に、下引き層及び電荷発生層を作製した。
・電荷輸送層の作製
アセトン5ml及びTFE0.2mlをアセトン10ml及びTFE0.1mlに変更した以外は、実施例3と同様にして電荷輸送層を形成した。なお、架橋PTFE粒子の1次粒子のメジアン径(D50)は0.15μmであり、また、架橋PTFE粒子中の酸素濃度は1.7質量%であった。
〔実施例5〕
・下引き層及び電荷発生層の作製
実施例1と同様に、下引き層及び電荷発生層を作製した。
・電荷輸送層の作製
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子をKTL−1N(株式会社喜多村製、PTFE、1次粒子のメジアン径2μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層を形成した。なお、γ線照射後のPTFE粒子中の酸素濃度は1.1質量%であった。
〔比較例1〕
・下引き層及び電荷発生層の作製
実施例1と同様に、下引き層及び電荷発生層を作製した。
・電荷輸送層の作製
PTFE粒子を用いず、γ線照射を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層を形成した。
〔比較例2〕
・下引き層及び電荷発生層の作製
実施例1と同様に、下引き層及び電荷発生層を作製した。
・電荷輸送層の作製
γ線照射を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層を形成した。なお、PTFE粒子中の酸素濃度は0.55質量%であった。
〔比較例3〕
・下引き層及び電荷発生層の作製
実施例1と同様に、下引き層及び電荷発生層を作製した。
・電荷輸送層の作製
γ線照射を行わず、更にはPTFE粒子の分散剤としてGF−400(東亞合成株式会社製)1質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層を形成した。なお、PTFE粒子中の酸素濃度は0.55質量%であった。
〔比較例4〕
・下引き層及び電荷発生層の作製
実施例1と同様に、下引き層及び電荷発生層を作製した。
・電荷輸送層の作製
γ線の線量を150kGyから1000kGyに変えた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層を形成した。なお、γ線照射後のPTFE粒子中の酸素濃度は3.31質量%であった。
〔比較例5〕
・下引き層及び電荷発生層の作製
実施例1と同様に、下引き層及び電荷発生層を作製した。
・電荷輸送層の作製
PTFE粒子をテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキル(PFA)MP101(三井デュポンフルオロケミカル株式会社製、1次粒子のメジアン径2.0μm)に変更した以外は、比較例3と同様にして電荷輸送層を形成した。なお、フッ素系微粒子中の酸素濃度は0.70質量%であった。
[評価]
[1.電荷輸送層用塗布液における分散安定性評価]
実施例1〜実施例5及び比較例2〜比較例5の電荷輸送層用塗布液に対して、レーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラクMT−3000II、日機装社製)を用いて、フッ素系微粒子の分散安定性を評価した。詳細には、電荷輸送層用塗布液を調製後直ちに、サンプル管(50cc)中に40ccを移し取り、スターラー攪拌(100rpm、15h)を行い、塗布液中に存在する粒子の粒度分布(d50)を測定し、下記基準に従って評価した。結果を表1に示す。
◎:良好(d50が1.0μm未満)
○:実使用上問題なし(d50が1.0μm以上3.0μm未満)
△:実使用可能なレベル(d50が3.0μm以上6.0μm未満)
×:実使用不可(d50が6.0μm以上)
実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例5の感光体を、デジタル複写機(商品名:MX−2600、シャープ株式会社製)を改造した試験用複写機に搭載し、画像形成工程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(TREC JAPAN社製、model344)を設けて、各感光体の電気特性及び画質を評価した。尚、画像露光光源として405nmの発振波長を有する青色系半導体レーザーを用い、コリメーターレンズ、アパーチャー、シリンダレンズ、ポリゴンミラー、fθレンズ、樽型トロイダルレンズ、反射ミラーからなる像露光装置により書き込みを行った。
〔比較例6〕
405nmの発振波長を有する青色系半導体レーザーを780nmの発振波長を有する青色系半導体レーザーに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体の電気特性及び画質を評価した。
[2.電気評価]
まず、上記複写機を用い、現像部での感光体の表面電位、具体的には感光体の感度をみるために露光時における黒地部分の感光体の表面電位VL(−V)を測定した。これらの表面電位VLを、25℃/50%RH(相対湿度)の常温/常湿(「N/N」と略す)環境下で、初期及び100k枚続繰り返しコピー直後について測定し、下記基準に従って評価した。結果を表1に示す。なお、比較例5では、表面電位の絶対値が高すぎ、電気特性の低下が十分に確認できなかった。
◎:良好(ΔVLが11未満)
○:実使用上問題なし(ΔVLが11V以上20V未満)
△:実使用可能なレベル(ΔVLが20V以上30V未満)
×:実使用不可(ΔVLが30V以上)
[3.画像評価]
<ドット再現性の評価>
ハーフトーン画像(1ドット画像)を形成し、目視観察によりドット形成状態(ドットの再現性、散逸状態及び輪郭の先鋭度)を下記の基準に従って評価した。結果を表1に示す。
◎:ドット再現性が良好、かつ散逸も無く、輪郭の先鋭度に優れている
○:上記3項目とも若干の劣化はあるが、実使用上問題なし
△:3項目いずれかが、実使用上問題となる
×:3項目中2項目以上が、実使用不可能となる
[4.膜べり評価]
実写評価前と100k枚実写後での感光体膜厚の変化を、渦電流式膜厚計(フィッシャー社製)を用いて測定し、複写機上の感光体100k回転あたりの膜べり量(μm)に換算して、下記の基準に従って評価した。結果を表1に示す。尚、比較例2の感光体については、電荷輸送層中のフッ素微粒子の凝集に伴う画質劣化が初期より著しく、膜べり量の評価ができなかった。
○:耐刷性が非常に良好(膜べり量が1.0μm未満)
△:耐刷性が良好(膜べり量が1.0μm以上2.0μm未満)
×:耐刷性が低い(膜べり量が2.0μm以上)
1 電子写真感光体
11 導電性基体
12 電荷発生層
13,13A,13B 電荷輸送層
14 感光層
15 下引き層
30 レーザープリンタ(画像形成装置)
31 半導体レーザー
32 回転多面鏡
33 レーザービーム
34 結像レンズ
35 ミラー
36 コロナ帯電器
37 現像器
38 転写紙カセット
39 給紙ローラ
40 レジストローラ
41 転写帯電器
42 分離帯電器
43 搬送ベルト
44 定着器
45 排紙トレイ
46 クリーナ
47 矢符
48 転写紙
49 露光手段
50 除電器

Claims (5)

  1. 導電性基体及び該導電性基体上に形成された感光層を備える電子写真感光体と、該電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段とを備える画像形成装置であって、
    前記露光手段には発振波長360〜510nmの青色系レーザーを用いており、
    前記電子写真感光体の表面層は、フッ素系微粒子を含有し、蛍光X線分析法により測定した該フッ素系微粒子中の酸素濃度が0.9質量%以上3.0質量%以下であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記蛍光X線分析法により測定したフッ素系微粒子中の酸素濃度が1.5質量%以上3.0質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記フッ素系微粒子が、次の工程:
    (a)フッ素系重合性モノマーとアセトンの混合溶液に電離性放射線を照射することによって前記フッ素系重合性モノマーを重合させて、前記混合溶液をゲル状態のフッ素系ポリマーのアセトン分散体とする工程;及び
    (b)前記フッ素系ポリマーのアセトン分散体に電離性放射線を照射することによって前記フッ素系ポリマーを架橋し微粒子懸濁液を形成する工程
    を含む方法により作製される架橋フッ素系微粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記フッ素系微粒子は、1次粒子のメジアン径(D50)が0.2μm以上1μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記青色系レーザーが青色系半導体レーザーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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