JP2015147979A - 製鋼スラグの処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製鋼スラグの発生量を低減できるとともに、広い用途で使用可能な改質スラグを得ることができる製鋼スラグの処理方法を提供する。
【解決手段】溶銑中の不純物を除去する製鋼プロセスにおいて発生した製鋼スラグの処理方法であって、前記製鋼スラグを反応容器内に装入して加熱するとともに、還元用炭材を添加することにより、改質スラグと回収メタルとを得る改質還元処理工程を有し、前記改質スラグ中のT.Fe濃度が5mass%未満となる前に、前記改質還元処理工程を終了する。
【選択図】なし

Description

本発明は、溶銑中の不純物を除去する製鋼プロセスにおいて発生した製鋼スラグを処理する製鋼スラグの処理方法に関するものである。
製鋼プロセスにおいては、溶銑中のケイ素(Si)、燐(P)、炭素(C)などの不純物を除去する。この転炉製鋼プロセスとしては、一工程として連続して脱珪、脱燐および脱炭精錬を行い、その際に生成したスラグを排出するケースや、溶銑中のケイ素および燐を除去する脱燐処理工程を行って生成したスラグを排出した後、溶銑から炭素を除去する脱炭処理工程を行うケースがある。
上述の脱燐処理工程では、反応容器内の溶銑に生石灰等の造滓剤を供給してスラグを形成し、溶銑およびスラグに向けて酸素を吹き込んで、溶銑中の不純物をスラグと反応させて除去する酸素吹錬(酸化精錬)が行われている。この酸素吹錬においては、スラグと溶銑との界面において、下記に代表されるような脱燐反応が進行することによって、溶銑から燐が除去される。
2[P]+5Fe2++8O2− → 2PO 3−+5Fe
また、脱炭処理工程では、脱燐処理工程後の溶銑に、必要に応じて生石灰等の造滓剤を追加供給するとともに、溶銑に向けて酸素を吹き込むことにより、溶銑中の炭素を除去している。
ここで、製鋼プロセスにおける脱燐処理工程および脱炭処理工程においては、溶銑と反応したスラグ(製鋼スラグ)が発生する。この製鋼スラグは、粒鉄、酸化鉄等の鉄分や燐酸を比較的多く含んでいることから、例えば特許文献1−3においては、製鋼スラグから鉄分や燐等の有価金属を回収する方法が提案されている。
また、特許文献4には、製鋼スラグを溶融還元の金属材料、造滓剤として有効活用する技術が開示されている。
特開昭52−033897号公報 特開2009−132544号公報 特表2003−520899号公報 特開平09−272908号公報
ところで、特許文献1,2においては、製鋼スラグからの燐の回収を目的としていることから、製鋼スラグを処理した後の回収メタルにおいてはP濃度が高くなっている。この回収メタルを製鋼プロセスに戻すためには、脱燐処理を実施する必要があり、この脱燐処理の際に脱燐スラグが発生することになる。このため、製鋼プロセス全体としてスラグの発生量が多くなってしまうといった問題があった。なお、この場合のスラグ中のT.Fe濃度は0.9mass%程度であった。なお、T.Fe濃度とはスラグ中に存在する鉄の酸化物を構成する鉄分のスラグ質量に対するmass%をいう。
また、特許文献3においては、製鋼スラグ中の鉄分の回収を目的としているが、製鋼スラグ中の酸化鉄を十分に還元させた場合(この場合のスラグ中のT.Fe濃度は2.2mass%程度)には、燐、ケイ素も還元されて回収メタル中に含まれることになる。このため、回収メタルに対して脱燐処理を実施する必要があり、製鋼プロセス全体としてスラグの発生量が多くなってしまうといった問題があった。
さらに、特許文献4においては、製鋼スラグを溶融還元の金属材料、造滓剤として活用することを目的としているが、この場合のスラグ中のT.Fe濃度は約3mass%であった。
さらに、特許文献1−4に記載の技術においては、上述のようにスラグ中のT.Fe濃度を下げているので、スラグの融点が上がり流動性が低下する。したがって、スラグの流動性を確保して、スラグを処理炉からスラグ鍋等に移す等のハンドリングを円滑に行うために、スラグにSiO、Al等を添加する必要があり、そのためにスラグ量が多くなるという問題点を有していた。
また、上述の製鋼スラグにおいては、未滓化の石灰(遊離CaO)を含んでいることから、この遊離CaOが水と反応してCa(OH)となり体積膨張することが知られている。そこで、製鋼スラグを使用する際には、上述の体積膨張を抑制するために、遊離CaOを予めCa(OH)とする蒸気エージングを行うことがある。この蒸気エージングを行う場合には、スラグの内部にまで蒸気が十分に供給されるように、スラグの粒径を小さくする必要があることから、大きな塊状のスラグを得ることができなかった。
さらに、脱燐処理工程で生成する脱燐スラグは、COガスの気泡を多く含有していることから、強度が低いものであった。
以上のことから、製鋼スラグは、土木工事用の仮設道路の路盤材や下層路盤材等の低級用途において主に使用されており、コンクリート骨材や上層路盤材等の高級用途には使用することができなかった。
また、製鋼スラグは、塩基度CaO/SiOが高いため、Caイオンの溶出によりpHが高くなることから、上記、土木工事用等に使用する際には、高pH水の漏水防止対策をとる必要があった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、製鋼スラグの発生量を低減できるとともに、広い用途で使用可能な改質スラグを得ることができる製鋼スラグの処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る製鋼スラグの処理方法は、溶銑中の不純物を除去する製鋼プロセスにおいて発生した製鋼スラグの処理方法であって、前記製鋼スラグを反応容器内に装入して加熱するとともに、還元用炭材を添加することにより、改質スラグと回収メタルとを得る改質還元処理工程を有し、前記改質スラグ中のT.Fe濃度が5mass%未満となる前に、前記改質還元処理工程を終了することを特徴としている。
この構成の製鋼スラグの処理方法によれば、製鋼スラグに対して還元用炭材を添加する改質還元処理工程を、改質スラグ中のT.Fe濃度が5mass%未満となる前に終了しているので、製鋼スラグ中のP,Siが還元されることを抑制でき、回収メタル中のP濃度、Si濃度を低く抑えることができる。よって、回収メタルに対して脱燐処理のために造滓剤を添加する必要がなくなり、製鋼プロセス全体でスラグの発生量を低減することができる。
また、製鋼スラグを再加熱処理しているので、製鋼スラグは改質され、スラグの塩基度が低くなるとともに遊離CaOをスラグ化することができる。また、蒸気エージングを省略することが可能となるため、スラグの粒径を小さくする必要がなく、大きな塊状の改質スラグを得ることができる。さらに、得られた改質スラグは、含まれている気泡の量が削減されており、強度も十分である。以上のことから、得られた改質スラグは、高級用途にも使用することができる。
ここで、本発明に係る製鋼スラグの処理方法においては、前記製鋼プロセスは、溶銑中のケイ素および燐を除去する脱燐処理工程と、溶銑から炭素を除去する脱炭処理工程とを有しており、前記製鋼スラグとして、前記脱燐処理工程で発生した脱燐スラグおよび前記脱炭処理工程で発生した脱炭スラグの一方又は両方を処理するものとしてもよい。
この場合、脱燐処理工程で発生した脱燐スラグおよび脱炭処理工程で発生した脱炭スラグを改質することができ、スラグの発生量を抑制することが可能となるとともに、得られた改質スラグを高級用途に使用することができる。
また、本発明に係る製鋼スラグの処理方法においては、前記改質還元処理工程終了後の前記改質スラグ中のT.Fe濃度を、5mass%以上10mass%以下の範囲内とすることが好ましい。
この構成の製鋼スラグの処理方法によれば、前記改質還元処理工程終了後の改質スラグ中のT.Fe濃度が5mass%以上とされているので、回収メタル中のP濃度を低減することができ、回収メタルを製鋼プロセスに戻す際に、回収メタルに対して脱燐処理のために造滓剤を添加する必要がなくなる。よって、製鋼プロセス全体でスラグの発生量を低減することができる。一方、改質スラグ中のT.Fe濃度が10mass%以下とされているので、製鋼スラグ中の酸化鉄の一部を還元して回収することができる。
また、本発明に係る製鋼スラグの処理方法においては、前記改質還元処理工程終了後の前記改質スラグの塩基度(CaO)/(SiO)を、1.7以下とすることが好ましい。
この構成の製鋼スラグの処理方法によれば、前記改質還元処理工程終了後の改質スラグの塩基度(CaO)/(SiO)を1.7以下としているので、改質スラグが水に溶解しても高pHにならず、漏水対策を施す必要がない。
さらに、本発明に係る製鋼スラグの処理方法においては、前記改質還元処理工程終了後の前記回収メタルを、前記脱炭処理工程を実施する反応容器内に移送することが好ましい。
この構成の製鋼スラグの処理方法によれば、上述のように、回収メタル中のP濃度が低いことから、脱燐処理を省略することができ、スラグの発生量を確実に低減することが可能となる。
上述のように、本発明によれば、製鋼スラグの発生量を低減できるとともに、広い用途で使用可能な改質スラグを得ることができる製鋼スラグの処理方法を提供することができる。
本実施形態である製鋼スラグの処理方法が実施される製鋼プロセスの一例を示すフロー図である。 スラグ中のT.Fe濃度とメタル中の燐濃度(%P)との関係を示すグラフである。
以下に、本発明の一実施形態である製鋼スラグの処理方法について、添付した図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態である製鋼スラグの処理方法は、製鋼プロセスの過程において発生する製鋼スラグ(脱燐スラグ11、脱炭スラグ12)に対して改質還元処理を行うことにより、改質スラグ15と回収メタル16とを得るものである。図1に、本実施形態である製鋼スラグの処理方法が実施される製鋼プロセスの一例を示す。
製鋼プロセスにおいては、図1に示すように、まず、高炉において生成された溶銑を転炉(転炉A)に移送し、転炉(転炉A)内に貯留された溶銑の上に生石灰(CaO)等の造滓剤を添加してスラグを形成し、溶銑に向けて酸素を吹き込むことにより、溶銑とスラグとの反応によって溶銑中の燐を除去する(脱燐処理工程S01)。なお、この脱燐処理工程S01においては、溶銑中のSiも酸化されてスラグ中に取り込まれる。脱燐処理工程S01が終了した後、脱燐処理工程S01で生成した脱燐スラグ11は、転炉(転炉A)から排出され、一旦、スラグヤードに貯留される。
脱燐スラグ11を排出した後、転炉(転炉A)内の溶銑の上に、必要に応じて生石灰(CaO)等の造滓剤を追加添加してスラグを形成し、溶銑に向けて酸素を吹き込むことにより、溶銑中の炭素を除去する(脱炭処理工程S02)。なお、この脱炭処理工程S02で生成した脱炭スラグ12は、転炉(転炉A)から排出され、一旦、スラグヤードに貯留される。
このように、製鋼プロセス(脱燐処理工程S01、脱炭処理工程S02)によって、溶銑中の燐、炭素が除去されて溶鋼が得られることになる。
次に、得られた溶鋼は、2次製錬工程S03及び連続鋳造工程S04を経て、鋳片とされる。
ここで、脱燐処理工程S01で生成する脱燐スラグ11、および、脱炭処理工程S02で生成する脱炭スラグ12は、別の転炉(転炉B)に装入され、改質還元処理が実施される(改質還元処理工程S10)。ここで、改質還元処理工程S10の温度条件は、1350℃以上1500℃以下の範囲内とされている。なお、この改質還元処理工程S10においては、脱燐スラグ11および脱炭スラグ12を混合して転炉(転炉B)に装入してもよいし、脱燐スラグ11および脱炭スラグ12をそれぞれ単独で転炉(転炉B)に装入してもよい。
改質還元処理工程S10においては、転炉(転炉B)内に装入された脱燐スラグ11および脱炭スラグ12に、SiO含有改質材と還元用炭材(例えば、微粉炭)を添加するとともに、酸素を供給することにより、脱燐スラグ11および脱炭スラグ12を溶融して改質還元処理を行う。この改質還元処理工程S10により、脱燐スラグ11および脱炭スラグ12の改質と還元が実施され、改質スラグ15と回収メタル16とが得られる。なお、改質還元処理工程S10においては、溶融した脱燐スラグ11および脱炭スラグ12を直接供給するようにしてもよい。
そして、本実施形態である製鋼スラグの処理方法においては、改質スラグ15中のT.Fe濃度が5mass%未満となる前に、改質還元処理工程S10を終了することとしている。さらに本実施形態では、改質還元処理工程S10終了後の改質スラグ15中のT.Fe濃度を5mass%以上10mass%以下の範囲内となるように、還元用炭材(例えば、微粉炭)を添加している。
さらに、本実施形態では、改質還元処理工程S10終了後の改質スラグ15の塩基度(CaO)/(SiO)は、還元用炭材のアッシュからのSiOインプットにより1.7以下となる。
なお、改質スラグ15のT.Fe濃度については、改質還元処理工程S10中の排ガス流量およびCO濃度、CO濃度、H濃度を分析し、炭素、水素および酸素バランスにより、算出することが可能である。具体的には、CO中の酸素、COの酸素および平衡計算で求まるHO分の酸素の総量が、吹き込んだ酸素量と還元された酸化鉄分の酸素の総量とバランスするので、排ガスの情報から還元状態を評価して、改質スラグ15のT.Fe濃度を算出することができるのである。
ここで、スラグ中のT.Fe濃度(%T.Fe)とメタル中の燐濃度(%P)との関係を図2に示す。この図2によれば、スラグ中のトータル鉄濃度(%T.Fe)が低くなると、メタル中の燐濃度(%P)が高くなることがわかる。これは、スラグ中のFeが還元された後に、Pが還元されるためである。なお、Pが還元された後に、スラグ中のSiが還元されることから、回収メタル中のP濃度が低い場合には、Si濃度も十分に低いことになる。
本実施形態では、改質スラグ15中のT.Fe濃度が5mass%未満となる前に、改質還元処理工程S10を終了していることから、回収メタル16中のP濃度が低くなっており、具体的には、P濃度が0.01mass%以下となっている。すなわち、回収メタル16は、脱燐処理工程S01後の溶銑と同等のP濃度とされているのである。
そこで、本実施形態では、改質還元処理工程S10で得た回収メタル16を、脱炭処理工程S02を実施する転炉(転炉A)に移送する構成とされている。
また、改質スラグ15は、転炉(転炉B)から排出され、上層路盤材やセメント骨材、仮設道路材や下層路盤材等として出荷される。
以上のような構成とされた本実施形態である製鋼スラグの処理方法によれば、製鋼スラグ(脱燐スラグ11、脱炭スラグ12)に対して還元用炭材を添加する改質還元処理工程S10を、改質スラグ15中のT.Fe濃度が5mass%未満となる前に終了しているので、製鋼スラグ(脱燐スラグ11、脱炭スラグ12)中のP,Siが還元されることを抑制でき、回収メタル16中のP濃度、Si濃度が低くなる。よって、回収メタル16に対して脱燐処理を行う必要がなく、回収メタル16の脱燐処理によってスラグが新たに発生することを抑制でき、製鋼プロセス全体としてスラグの発生量を低減することが可能となる。
また、製鋼スラグ(脱燐スラグ11、脱炭スラグ12)を再加熱処理することにより改質スラグ15を得ているので、改質スラグ15の塩基度が低くなるとともに遊離CaOをスラグ化することができる。これにより、蒸気エージングを省略することが可能となる。また、改質スラグ15を、上層路盤材やセメント骨材等の高級用途にも使用することができる。
また、本実施形態である製鋼スラグの処理方法においては、改質スラグ15中のT.Fe濃度を5mass%以上10mass%以下の範囲内とされているので、回収メタル16中のP濃度、Si濃度を低くすることができ、回収メタル16に対する脱燐処理を省略することができる。また、改質スラグ15中のT.Fe濃度が10mass%以下とされているので、製鋼スラグ(脱燐スラグ11および脱炭スラグ12)中の鉄分を還元して回収することができる。
ここで、スラグ中のT.Fe濃度が10mass%を超える場合、スラグ中の酸化鉄と溶銑中のCとが反応して、COガスがスラグ中で発生し、スラグがポーラスになる傾向がある。このため、本実施形態では、スラグ中のT.Fe濃度を10mass%以下とすることが望ましい。
さらに、本実施形態である製鋼スラグの処理方法においては、改質スラグ15の塩基度(CaO)/(SiO)を1.7以下としているので、改質スラグ15が水と接触してもCaイオンの溶出が少ないため、高pHとならず、漏水対策を施す必要がなくなる。
なお、還元用炭材のアッシュからのSiOインプットによって塩基度(CaO)/(SiO)が1.7以下にならない場合や、塩基度(CaO)/(SiO)をさらに下げたい場合には、改質剤としてSiO源をさらに添加してもよい。
また、本実施形態である製鋼スラグの処理方法においては、回収メタル16を、脱炭処理工程S02に移送する構成としているので、回収メタル16に対する脱燐処理を確実に省略することができ、製鋼プロセス全体としてスラグの発生量を確実に低減することができる。
また、本発明においては、スラグ中のT.Fe濃度を5mass%以上確保しているので、融点が低く、スラグにSiO,Al等の改質剤を添加する必要がない。そのために、改質剤の添加によるスラグ量の増大を抑制することができる。
さらに、本実施形態である製鋼スラグの処理方法においては、改質還元処理工程S10中の排ガス流量およびCO濃度、CO濃度、H濃度を分析し、炭素、水素および酸素バランスにより、改質スラグ15のT.Fe濃度を算出しているので、改質スラグ15中のT.Fe濃度が5mass%未満となる前に改質還元処理工程S10を確実に終了することができ、P濃度の低い回収メタル16を得ることが可能となる。
以上、本発明の実施形態である製鋼スラグの処理方法に説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、改質還元処理を転炉で実施するものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の反応容器において改質還元処理を実施してもよい。
以下に、本発明の効果を確認すべく、実施した実験結果について説明する。
100t転炉(転炉A)に、表1に示す高炉溶銑を装入し、造滓剤として生石灰を添加して溶銑の上にスラグを形成し、溶銑に向けて酸素を吹き込むことにより、脱燐処理を実施した。この脱燐処理後に排出される脱燐スラグは2.8t(粒鉄をのぞく)であった。また、脱燐スラグの組成は表2に示すものであった。
また、脱燐スラグを排出した後、さらに造滓剤として生石灰を添加して溶銑の上にスラグを形成し、溶銑に向けて酸素を吹き込むことにより、脱炭処理を実施した。この脱炭処理後に排出される脱炭スラグは3.7t(粒鉄をのぞく)であった。また、脱炭スラグの組成は表3に示すものであった。
Figure 2015147979
Figure 2015147979
Figure 2015147979
次に、別の転炉(転炉B)に溶銑を50t装入した後、上述の脱燐スラグおよび脱炭スラグを混合した混合スラグと無煙炭とを連続的に供給し、1450℃で改質還元処理を実施した。1回の処理では、混合スラグを50t(粒鉄も含む)使用した。このとき使用した混合スラグの組成を表4に、無煙炭の組成を表5に示す。
Figure 2015147979
Figure 2015147979
この改質還元処理時には、排ガス流量およびCO濃度、CO濃度、H濃度を分析し、炭素、水素および酸素バランスにより、逐次、スラグ中のT.Fe濃度を計算した。所定量の混合スラグを投入後、スラグ中のT.Fe濃度が5mass%になった時点で処理を終了し、回収メタルは残したまま改質スラグを排出した。ここで、得られた改質スラグの組成を表6に、回収メタルの組成を表7に示す。
この改質還元処理をくり返し実施し、合計400t(粒鉄分も含む、スラグ分は360t)の混合スラグを処理した。
Figure 2015147979
Figure 2015147979
この改質還元処理の結果、改質スラグが328t得られており、混合スラグ360tに対して32tのスラグ発生量を削減できた。この改質スラグにおいては、未滓化の石灰(遊離CaO)が含まれておらず、蒸気エージングは不要であった、また、改質されて気泡もない強度の高いものが得られており、上層路盤材やセメント骨材等の高級用途にも使用可能であった。
また、改質還元処理をくり返し実施した後、転炉Bのメタル量は151tとなった。このうち101tを出銑し、転炉Aにて脱炭処理を行った。表7に示すように、メタル中には、Siが含まれておらず、Pも0.009mass%であったため、脱燐処理を省略することができた。よって、脱燐処理のための造滓剤を使用する必要がなくなり、スラグの発生量を抑制できた。
具体的には、転炉Bで処理したスラグ(転炉Aで発生したスラグ)400t(粒鉄分も含む、スラグ分は360t)は、転炉Aで56回処理したスラグの総量である。したがって、転炉Aで57回目の処理の際に、転炉Bで得られたメタルを使用すると、通常では57回分のスラグが発生するのに対して、56回分のスラグ発生量とすることができる。
以上のように、本発明の製鋼スラグの処理方法により、合計で38.5t(32t+2.8t+3.7t)のスラグ発生量を削減することができた。これは、約10%の削減代となる。
100t転炉(転炉A)に、表1に示す高炉溶銑を装入し、造滓剤として生石灰を添加して溶銑の上にスラグを形成し、溶銑に向けて酸素を吹き込むことにより、脱燐処理を実施した。この脱燐処理後に排出される脱燐スラグは2.8t(粒鉄をのぞく)であった。また、脱燐スラグの組成は表2に示すものであった。
また、脱燐スラグを排出した後、さらに造滓剤として生石灰を添加して溶銑の上にスラグを形成し、溶銑に向けて酸素を吹き込むことにより、脱炭処理を実施した。この脱炭処理後に排出される脱炭スラグは3.7t(粒鉄をのぞく)であった。また、脱炭スラグの組成は表3に示すものであった。
次に、別の転炉(転炉B)に溶銑を50t装入した後、上述の脱燐スラグおよび脱炭スラグを混合した混合スラグと無煙炭とを連続的に供給し、1450℃で改質還元処理を実施した。1回の処理では、混合スラグを50t(粒鉄も含む)使用した。このとき使用した混合スラグの組成を表4に、無煙炭の組成を表5に示す。
この改質還元処理時には、排ガス流量およびCO濃度、CO濃度、H濃度を分析し、炭素、水素および酸素バランスにより、逐次、スラグ中のT.Fe濃度を計算した。所定量の混合スラグを投入後、スラグ中のT.Fe濃度が9mass%になった時点で処理を終了し、回収メタルは残したまま改質スラグを排出した。ここで、得られた改質スラグの組成を表8に、回収メタルの組成を表9に示す。
この改質還元処理をくり返し実施し、合計500t(粒鉄分も含む、スラグ分は450t)の混合スラグを処理した。
Figure 2015147979
Figure 2015147979
この改質還元処理の結果、改質スラグが430t得られており、混合スラグ450tに対して20tのスラグ発生量を削減できた。この改質スラグにおいては、未滓化の石灰(遊離CaO)が含まれておらず、蒸気エージングは不要であった、また、改質されて気泡もない強度の高いものが得られており、上層路盤材やセメント骨材等の高級用途にも使用可能であった。
また、改質還元処理をくり返し実施した後、転炉Bのメタル量は151tとなった。このうち101tを出銑し、転炉Aにて脱炭処理を行った。表9に示すように、メタル中には、Siが含まれておらず、Pも0.008mass%であったため、脱燐処理を省略することができた。よって、脱燐処理のための造滓剤を使用する必要がなくなり、スラグの発生量を抑制できた。
具体的には、転炉Bで処理したスラグ(転炉Aで発生したスラグ)500t(粒鉄分も含む、スラグ分は450t)は、転炉Aで69回処理したスラグの総量である。したがって、転炉Aで70回目の処理の際に、転炉Bで得られたメタルを使用すると、通常では70回分のスラグが発生するのに対して、69回分のスラグ発生量とすることができる。
以上のように、本発明の製鋼スラグの処理方法により、合計で26.5t(20t+2.8t+3.7t)のスラグ発生量を削減することができた。これは、約6%の削減代となる。
1基の転炉(転炉A)では、通常操業を行い、別の転炉(転炉B)にて、転炉Aで排出された脱燐スラグの改質還元処理を実施した。なお、脱炭スラグの改質還元処理は実施しなかった。使用した脱燐スラグの組成は、表2に示すものであった。
転炉Bに、溶銑を50t装入した後、上述の脱燐スラグと表5の組成の無煙炭とを連続的に供給し、1450℃で改質還元処理を実施した。1回の処理では、脱燐スラグを50t(粒鉄も含む)使用した。
この改質還元処理時には、排ガス流量およびCO濃度、CO濃度、H濃度を分析し、炭素、水素および酸素バランスにより、逐次、スラグ中のT.Fe濃度を計算した。所定量の混合スラグを投入後、スラグ中のT.Fe濃度が5mass%になった時点で処理を終了し、回収メタルは残したまま改質スラグを排出した。ここで、得られた改質スラグの組成を表10に、回収メタルの組成を表11に示す。
この改質還元処理をくり返し実施し、合計400t(粒鉄分も含む、スラグ分は360t)の脱燐スラグを処理した。
Figure 2015147979
Figure 2015147979
この改質還元処理の結果、改質スラグが322t得られた。この改質スラグにおいては、未滓化の石灰(遊離CaO)が含まれておらず、蒸気エージングは不要であった、また、改質されて気泡もない強度の高いものが得られており、上層路盤材やセメント骨材等の高級用途にも使用可能であった。
また、改質還元処理をくり返し実施した後、転炉Bのメタル量は162tとなった。このうち112tを出銑し、転炉Aにて脱炭処理を行った。表11に示すように、メタル中には、Siが含まれておらず、Pも0.01mass%であったため、転炉Aでの脱燐処理を省略することができた。よって、脱燐処理のための造滓剤を使用する必要がなくなり、スラグの発生量を抑制できた。
ここで、転炉Aの脱燐スラグ360t(粒鉄含まず)を処理した場合、転炉Aの脱炭スラグは476t(粒鉄含まず)であった。この改質還元処理により、38t(360t−322t)削減されたので、全発生量の約5%が削減されたことになる。
以上のように、実施例1、実施例2および実施例3の結果から、本発明の製鋼スラグの処理方法によれば、製鋼スラグの発生量を低減できるとともに、広い用途で使用可能な改質スラグを得ることができることが確認された。
11 脱燐スラグ
12 脱炭スラグ
15 改質スラグ
16 回収メタル
S01 脱燐処理工程
S02 脱炭処理工程
S10 改質還元処理工程

Claims (5)

  1. 溶銑中の不純物を除去する製鋼プロセスにおいて発生した製鋼スラグの処理方法であって、
    前記製鋼スラグを反応容器内に装入して加熱するとともに、還元用炭材を添加することにより、改質スラグと回収メタルとを得る改質還元処理工程を有し、
    前記改質スラグ中のT.Fe濃度が5mass%未満となる前に、前記改質還元処理工程を終了することを特徴とする製鋼スラグの処理方法。
  2. 前記製鋼プロセスは、溶銑中のケイ素および燐を除去する脱燐処理工程と、溶銑から炭素を除去する脱炭処理工程とを有しており、
    前記製鋼スラグとして、前記脱燐処理工程で発生した脱燐スラグおよび前記脱炭処理工程で発生した脱炭スラグの一方又は両方を処理することを特徴とする請求項1に記載の製鋼スラグの処理方法。
  3. 前記改質還元処理工程終了後の前記改質スラグ中のT.Fe濃度を、5mass%以上10mass%以下の範囲内とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の製鋼スラグの処理方法。
  4. 前記改質還元処理工程終了後の前記改質スラグの塩基度(CaO)/(SiO)を、1.7以下とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の製鋼スラグの処理方法。
  5. 前記改質還元処理工程終了後の前記回収メタルを、前記脱炭処理工程を実施する反応容器内に移送することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の製鋼スラグの処理方法。
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