JP5838711B2 - 脱硫スラグからの硫黄の除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶銑の脱硫処理によって発生した、CaOを主成分とする脱硫スラグからこの脱硫スラグに含有される硫黄を除去し、硫黄含有量の低下した脱硫スラグを製銑工程または製鋼工程にてCaO源として有効活用することを可能とするための、脱硫スラグからの硫黄の除去方法に関する。
鉄鋼製品の材料特性の向上及び品質要求の高まりを受け、溶銑における予備精錬として溶銑の脱硫処理が鉄鋼各社において行われている。この脱硫処理においては、溶銑中の硫黄は、一般的に、CaOを主成分とするフラックス(脱硫剤)の添加、並びに、このフラックスと溶銑との攪拌処理によって、硫化物形態となってスラグへ除去されている。尚、溶銑の脱硫処理とは、転炉にて脱炭精錬する前の溶銑段階において、溶銑中の硫黄を除去する処理のことである。
溶銑への脱硫処理比率の上昇に伴って、脱硫スラグの発生量が増加する。但し、この脱硫スラグには硫黄が含まれており、水の存在する環境下で脱硫スラグを再利用すると硫黄(黄水)が溶出し、環境に悪影響を与える懸念があり、脱硫スラグの利材化には大きな制約のあるのが実態である。また、溶銑の脱硫処理におけるCaOの脱硫剤としての利用効率は高々数%程度であり、脱硫処理で使用されるCaOの大部分は、未利用のまま脱硫スラグとして製鉄所外へ排出されている。
そこで、これらの課題を解決するべく以下のような技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、溶銑の脱硫処理で発生した高温の脱硫スラグを高温のままリサイクルし、新たな溶銑の脱硫処理に使用することでCaOの利用効率を高め、脱硫スラグ排出量を削減する技術が開示されている。
特許文献2には、硫黄を含有するスラグを溶媒に浸漬し、溶媒中に二酸化炭素を吹き込んで溶媒をpH4〜10に調整することで、スラグに含まれる硫黄を溶媒中に抽出し、スラグの硫黄含有量を低減させる技術が開示されている。
また、特許文献3には、脱硫スラグを大気中で1100〜1400℃に加熱し、脱硫スラグに含有される硫黄を亜硫酸ガス(SO2)として除去する技術が開示されている。
特開2004−244706号公報 特開2011−93761号公報 特開平7−10616号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
即ち、特許文献1では、高温でリサイクルされる脱硫スラグ中には硫黄が含有されており、リサイクル回数を重ねることによって脱硫スラグ中の硫黄濃度が上昇して脱硫能が低下するので、リサイクルできる量には制約がある。また、脱硫スラグの発生量は少なくなるものの、最終的には脱硫スラグを処理する必要がある。
特許文献2は湿式処理であり、湿式処理の場合、処理に必要な薬品が高価であるのみならず、大掛かりな処理設備が必要となり、設備費及び運転費ともに高価となる。
特許文献3は、大気中での脱硫であるので、本明細書で後述するように、脱硫スラグに含有されるCaS中の硫黄のみが気相側に除去可能であり、CaSO3やCaSO4といった硫黄化合物の形態で脱硫スラグ中に存在する硫黄は除去することができないという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑の脱硫処理で発生する脱硫スラグに含有される硫黄を効率的に除去することによって、製銑工程及び製鋼工程では、硫黄濃度の低下した脱硫スラグを硫黄の影響を受けることなくCaO源として有効にリサイクル活用することのできる、脱硫スラグからの硫黄の除去方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)溶銑の脱硫処理において発生した硫黄を含有する脱硫スラグを、雰囲気温度が1100〜1400℃の範囲であり、且つ、雰囲気のCO/CO2比が前記脱硫スラグ中の硫黄化合物の形態に応じて調整された雰囲気中に曝し、前記脱硫スラグ中の硫黄をSOxとして雰囲気の気相側に除去する第1の工程と、前記第1の工程において気相側に除去されたSOxを含有する排ガスを脱硫処理する第2の工程と、前記第1の工程によって硫黄含有量が低下した脱硫スラグを製銑工程または製鋼工程でのCaO源としてリサイクルする第3の工程と、を有することを特徴とする、脱硫スラグからの硫黄の除去方法。
(2)前記第1の工程において、脱硫スラグの脱硫率が80%以上となるように、雰囲気のCO/CO2比を調整することを特徴とする、上記(1)に記載の脱硫スラグからの硫黄の除去方法。
(3)前記第1の工程において、雰囲気のCO/CO2比を、脱硫スラグ中の硫黄がCaSの形態の化合物である場合にSOxとして除去される範囲と、脱硫スラグ中の硫黄がCaSO3及びCaSO4の形態の化合物である場合にSOxとして除去される範囲と、の少なくとも2つの範囲に変更することを特徴とする、上記(1)または上記(2)に記載の脱硫スラグからの硫黄の除去方法。
(4)前記第3の工程における処理後の脱硫スラグのリサイクル先が、鉄鉱石の焼結工程または高炉での溶銑製造工程であることを特徴とする、上記(1)ないし上記(3)の何れか1項に記載の脱硫スラグからの硫黄の除去方法。
(5)前記第3の工程における処理後の脱硫スラグのリサイクル先が、製鋼精錬工程における溶銑の脱硫処理、予備脱燐処理、脱炭精錬処理の何れかであることを特徴とする、上記(1)ないし上記(3)の何れか1項に記載の脱硫スラグからの硫黄の除去方法。
(6)前記第1の工程に供する脱硫スラグから事前に金属鉄を分離することを特徴とする、上記(1)ないし上記(5)の何れか1項に記載の脱硫スラグからの硫黄の除去方法。
本発明によれば、溶銑の脱硫処理で発生する脱硫スラグを製銑工程または製鋼工程へリサイクルするにあたり、先ず、前記脱硫スラグ中の硫黄を、処理雰囲気温度及び処理雰囲気のCO/CO2比を調整して気相側へSOxとして除去し、硫黄含有量の低下したスラグを製銑工程または製鋼工程におけるCaO源としてリサイクルするので、脱硫スラグに含有された硫黄の大半は気相側へ除去され、製銑工程及び製鋼工程では、硫黄の影響を受けることなくCaO源として再利用することができる。
製銑工程へのリサイクルでは、鉄鉱石の焼結工程または高炉へのリサイクルによって高炉スラグの発生量が増加するが、高炉スラグは、高炉スラグを微粉末状にしてセメントの混和材として使用することによって、高炉スラグ中のCaO分などがセメントと同様のポゾラン反応を起こし、セメントの強度を発現させる。従来、セメント原料のCaO分は炭酸カルシウム(CaCO3)を焼成して製造しており、この焼成時に熱エネルギーを必要とするのみならずCO2ガスも発生するが、高炉スラグ微粉末をセメントに混ぜて高炉スラグセメント(「高炉セメント」と呼ぶ)とした場合には、高炉スラグ微粉末/普通ポルトランドセメントの混合比率に応じて、焼成エネルギー及びCO2ガスの発生量を低減可能となる。また、製鋼工程へのリサイクルでは、スラグをCaO源としてリサイクルすることで、生石灰(CaO)の使用量を低減することができ、製鋼スラグの発生量を大幅に低減することができる。同時に、脱硫スラグを製銑工程や製鋼工程にリサイクルすることで、脱硫スラグ中の鉄分をも鉄資源として有効活用することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、CaO単体、或いは、CaOにCaF2またはAl23をCaOの滓化促進剤とて添加したCaO−CaF2やCaO−Al23を脱硫剤として用いた溶銑の脱硫処理で発生する脱硫スラグを、CaO源として製銑工程または製鋼工程でリサイクル使用する際に、リサイクルする前に脱硫スラグから硫黄を除去する方法を検討した。
先ず、製鉄所内での脱硫スラグの冷却・粉砕処理プロセスにおいて、脱硫スラグから試料を採取し、脱硫スラグ中の硫黄の化合物形態についてX線回折を用いて調査した。その結果、脱硫スラグ中には、従来考えられていたCaSの化合物形態以外にも、CaSO3やCaSO4の形態で存在することが確認できた。これは、冷却・粉砕処理プロセスの過程でCaSが大気に酸化され、CaSO3やCaSO4が生成するものと考えられる。
次に、熱力学的な検討を行った。その結果、CaSであれば、脱硫スラグを大気中で酸化させることでCaS中の硫黄が気体のSOxになり、脱硫スラグ中の硫黄を気相側へ除去することが可能であるが、CaSO3やCaSO4は大気中で酸化させてもSOxとして気相側へ除去することができないことが分った。即ち、脱硫スラグ中のCaSO3やCaSO4をSOxとして気相へ除去するためには、反応雰囲気の平衡酸素ポテンシャルを低下させ、SOxを乖離させる必要のあることが分った。
本発明者らは、上記の熱力学的検討の妥当性を確認すべく実験調査を行った。実験は、加熱炉内にスラグ試料を装入し、加熱炉内の酸素ポテンシャルを制御するためにCO/CO2比を調整して行った。その結果、加熱炉内のCO/CO2比を調整することで、CaSの形態でも、またCaSO3やCaSO4の形態でも、脱硫スラグ中の硫黄を除去できることが確認できた。今回、実験調査を行った脱硫スラグに関しては、CaSの形態の硫黄を気相へ除去する場合には、CO/CO2比を0.01未満とし、一方、CaSO3やCaSO4の形態の硫黄を気相へ除去する場合には、CO/CO2比を0.1以上とすることで、脱硫スラグに含まれる硫黄質量の80%以上を除去できること、つまり80%以上の脱硫率で硫黄を気相に除去できることが分った。
また、CaS、CaSO3及びCaSO4が脱硫スラグに混在する場合についても実験調査を行った。これらの硫黄化合物が混在する場合には、CO/CO2比を一概に定めることはできない。しかしながら、種々調査の結果、硫黄化合物が混在する場合には、先ず、雰囲気のCO/CO2比を0.01未満としてCaSの形態で存在する硫黄を除去し、その後、雰囲気のCO/CO2比を0.1以上に高めてCaSO3やCaSO4の形態で存在する硫黄を除去するという、硫黄除去処理中に雰囲気のCO/CO2比を2水準に変更した2段階の硫黄除去が可能であることを確認した。この場合、始めにCaSO3やCaSO4の形態で存在する硫黄を除去し、その後CaSの形態で存在する硫黄を除去するようにしてもよい。但し、混在していても、脱硫スラグに存在する硫黄の大部分がCaSの形態であれば、2段階の硫黄除去を行わなくても、雰囲気のCO/CO2比を0.01未満とする1段階の処理でも、80%以上の脱硫率を得ることができる。
尚、本明細書に記載(後述の実施例を参照)した脱硫スラグでは、気相への硫黄の除去のためのCO/CO2比が上記の閾値となったが、脱硫スラグ中のCaS、CaSO3、CaSO4の各硫黄化合物の存在比率が実施例に示す脱硫スラグの範囲と大きく異なる場合には、処理後のスラグ中硫黄濃度を確認しつつ、CO/CO2比を適正な範囲に調整すればよい。定性的にはCaSの存在比率が高い場合には、CO/CO2比を低くし、CaSO3やCaSO4の存在比率が高い場合にはCO/CO2比を高くすることで対応可能であることを別途実験により確認している。
更に、処理する際の雰囲気温度について実験調査を行った結果、1100〜1400℃の範囲が脱硫スラグからの硫黄除去に適していることが分った。1100℃未満では、硫黄の除去反応速度が遅いために脱硫率がやや低位となった。一方、1400℃より高い処理温度では、脱硫率はさほど変化しないにも拘わらず、処理容器の耐火物への損傷が大きくコストアップとなった。
このような処理によって硫黄含有量が低下した脱硫スラグのリサイクル方法としては、鉄鉱石の焼結工程におけるCaO源(造滓剤)として利用し、その後、高炉での溶銑製造工程で装入原料として使用する方法以外に、高炉での溶銑製造工程でのCaO系の造滓剤として直接使用する方法、または、高炉溶銑の予備脱燐処理や脱硫処理におけるCaO系フラックスとして使用する方法、或いは、転炉での溶銑の脱炭精錬工程における造滓剤として使用する方法などが、好適な例として挙げられる。これ以外の工程であっても、製鉄所における製銑工程及び製鋼工程の生石灰を使用している工程である限り、生石灰の代替として使用可能である。尚、発生する脱硫スラグの全量を本発明の処理に供しても構わないが、溶銑の脱硫処理において発生した脱硫スラグを、再度、溶銑の脱硫処理に使用することは省資源の観点からも有効である。つまり、脱硫スラグ中の硫黄濃度がリサイクルにより高くなり脱硫剤としての効用が無くなるまでは、溶銑脱硫処理工程へのリサイクルを行い、脱硫スラグ中の硫黄濃度が高くなり脱硫剤としての効用が無くなった時点で、本発明を適用することが好ましい。
また、本発明の硫黄除去処理に供する脱硫スラグには金属鉄が含まれていることが多く、この金属鉄の一部は、硫黄除去処理を経た後には酸化鉄となる。酸化鉄を含んだスラグを製銑工程や製鋼工程にリサイクルした場合には、酸化鉄は還元されて鉄資源となり得るものの、酸化鉄の還元エネルギーが必要となる。そこで、本発明の硫黄除去処理に供する前に脱硫スラグから金属鉄を取り除くことが好ましい。金属鉄の分離には、例えば磁力を用いた分離や、鉄とスラグとの比重差を利用した遠心気流分離など、スラグの形状や処理量に応じて適切なプロセスを選択すればよい。
気相側へ除去されたSOxを含有する排ガスに対して脱硫処理を施し、排ガス中のSOxの大気への放散を防止する。排煙脱硫処理方法としては、一般に広く適用されている石灰石膏法や、水酸化マグネシウム法、或いは乾式の活性コークス法など様々な方式を採用することができる。排煙脱硫方式は、硫黄除去処理によって発生する排ガスの流量や副生物の処置、処理コスト、設備コストなどを総合的して最適な方式を選択すればよい。
硫黄除去処理を行う反応容器としては、脱硫スラグに熱を与え、容器内の雰囲気を制御できるものであればどのようなものでもよく、具体的には、ロータリーキルンやRHFや流動層などが挙げられる。また、加熱方式としてはLPGバーナーやLNGバーナーなどであればCO/CO比の調整も兼ねることができる。
以上説明したように、本発明によれば、溶銑の脱硫処理で発生する脱硫スラグを製銑工程または製鋼工程へリサイクルするにあたり、処理温度を最適な範囲とし、且つ、脱硫スラグ中の硫黄の化合物形態に応じて処理雰囲気のCO/CO2比を制御して硫黄除去処理を脱硫スラグに施すので、脱硫スラグ中の硫黄を気体のSOxとして気相へ除去することができ、硫黄含有量の少ない脱硫スラグをCaO源として有効活用することが実現される。これにより、脱硫スラグ自体の発生量が減少して脱硫スラグの処理コストを削減することができるとともに、脱硫スラグを製鉄所外で有効利用したときの黄水発生などのリスクも回避することができる。
高炉から出銑された高炉溶銑をトピードカーで受銑し、トピードカーに収容された高炉溶銑に脱珪処理及び予備脱燐処理を施し、その後、高炉溶銑を溶銑鍋に移し替え、溶銑鍋内の高炉溶銑に機械攪拌式脱硫装置により脱硫処理を施し、この脱硫処理終了後の高炉溶銑を転炉に装入して転炉にて脱炭精錬を施し、かくして、高炉溶銑から溶鋼を溶製する製銑−製鋼工程において本発明を適用した。高炉での出銑から転炉脱炭精錬終了までの高炉溶銑及び溶製される溶鋼の化学成分の例を表1に示す。
Figure 0005838711
表1に示すように、脱硫処理前の高炉溶銑には0.03質量%程度の硫黄が含有されており、溶銑脱硫工程において脱硫剤としてCaO源を添加し攪拌処理をすることで0.002質量%まで脱硫される。この時発生する脱硫スラグに対して本発明を適用する試験を行った。脱硫スラグの代表組成を表2に示す。
Figure 0005838711
50トンの脱硫スラグを、加熱バーナーを備えたロータリーキルンに装入し、バーナーによって脱硫スラグを加熱して脱硫スラグからの硫黄除去処理を実施した。脱硫スラグ中の硫黄化合物の形態は、処理前に脱硫スラグから試料を採取し、X線回折装置を用いてその存在比率を確認した。炉内雰囲気の温度は加熱バーナーの出力を調整することで制御し、炉内雰囲気はバーナーのガス条件を変更することでCO/CO2比を制御した。排ガス側には排煙脱硫設備を設け、排ガス中のSOxを無害化処理した。表3に、試験条件並びに試験結果を示す。
Figure 0005838711
本発明例1〜4においては、脱硫スラグ中の硫黄化合物の形態がCaS主体であったので、CO/CO2比を低くすることだけで、処理温度1100〜1400℃において80%以上の脱硫率を得ることができた。
一方、比較例1及び比較例3は、脱硫スラグ中の硫黄化合物の形態が本発明例1〜4と同様にCaS主体であったが、処理温度をそれぞれ1000℃及び1500℃と本発明の範囲外とした。その結果、比較例1では低温に起因する脱硫速度の低下によって脱硫率が80%を下回り、比較例3では脱硫率は80%以上であったものの、炉内の耐火物に溶損が発生した。
本発明例5〜11においては、脱硫スラグ中の硫黄化合物がCaS、CaSO3、CaSO4の混在物であったので、先ず、炉内雰囲気のCO/CO2比を低くしてCaSを除去し、その後、炉内雰囲気のCO/CO2比を高くしてCaSO3やCaSO4の除去を試みた。その結果、何れも脱硫率は80%以上となった。
一方、比較例2と比較例4は、脱硫スラグ中の硫黄化合物がCaS、CaSO3、CaSO4の混在物であり、先ず、炉内雰囲気のCO/CO2比を低くし、その後CO/CO2比を高くしたが、処理温度をそれぞれ1000℃、1500℃と本発明の範囲外とした。その結果、処理温度が1000℃の比較例2では脱硫率が80%を下回り、処理温度が1500℃の比較例4では耐火物の溶損が認められた。
比較例5及び比較例6は、脱硫スラグ中の硫黄化合物の形態がCaS主体であったが、処理雰囲気のCO/CO2比をやや高くして試験した。この場合には硫黄を十分に除去することができず、脱硫率は80%を下回った。また、比較例7及び比較例8は、脱硫スラグ中の硫黄化合物の形態がCaS、CaSO3、CaSO4の混在物であったが、処理雰囲気のCO/CO2比をやや低くして試験した。この場合も同様に脱硫率は80%を下回った。
本発明例1〜11の硫黄除去処理後の脱硫スラグを鉄鉱石の焼結工程における造滓剤用のCaO源として使用し、製造した焼結鉱を鉄源として高炉に装入し、高炉溶銑を製造したが、何ら問題は発生しなかった。また、リサイクルを行った際の高炉スラグを用いて高炉スラグセメントを製造したが、JIS A 6206「コンクリート用高炉スラグ微粉末」の品質規格を満足しており、また、JIS R 5211 「高炉セメント」の強度などの特性も従来と同等で何ら問題はなく、従来と同様にセメント製造の省エネルギー化が可能となった。
また、本発明例1〜11の硫黄除去処理後の脱硫スラグを製鋼工程における溶銑の脱硫処理、予備脱燐処理、脱炭精錬処理用のCaO源としても用いたが、何ら問題無く精錬操業を行うことができた。
更に、事前に磁気分離により脱硫スラグから金属鉄を取り除いてから、硫黄除去処理を行っても、雰囲気の温度及びCO/CO2比が適正な条件であれば脱硫率は80%以上を満足し、また、事前に取り除いた金属鉄は、鉄資源として製銑工程や製鋼工程で還元エネルギーを消費することなく活用することができた。
一方、溶銑の脱硫処理で発生した脱硫スラグを本発明の硫黄除去処理を施すことなくそのまま焼結鉱のCaO源としてリサイクルした場合には、焼結での排ガス中SOx濃度が規制値を超えてしまうために、焼結設備に排煙脱硫処理を設置しなければ操業が成り立たなかった。また、脱硫スラグを本発明の硫黄除去処理を施すことなくそのまま高炉へリサイクルした場合には、高炉スラグの硫黄濃度が上昇し、高炉スラグセメントの製造条件を満足することができなかった。更に、脱硫スラグを本発明の硫黄除去処理を施すことなくそのまま製鋼工程の予備脱燐処理や脱炭精錬処理にCaO源としてリサイクルした場合には、溶銑や溶鋼の硫黄濃度が上昇し、操業阻害を引き起こした。溶銑の脱硫処理にCaO源としてリサイクルした場合には、或る一定の量まではリサイクル可能であったものの、脱硫スラグの発生全量を製鉄所内でリサイクルすることは不可能であった。

Claims (6)

  1. 溶銑の脱硫処理において発生した硫黄を含有する脱硫スラグを、雰囲気温度が1100〜1400℃の範囲であり、且つ、雰囲気のCO/CO2比が前記脱硫スラグの脱硫率が80%以上となるように調整された雰囲気中に曝し、前記脱硫スラグ中の硫黄をSOxとして雰囲気の気相側に除去する第1の工程と、
    前記第1の工程において気相側に除去されたSOxを含有する排ガスを脱硫処理する第2の工程と、
    前記第1の工程によって硫黄含有量が低下した脱硫スラグを製銑工程または製鋼工程でのCaO源としてリサイクルする第3の工程と、
    を有することを特徴とする、脱硫スラグからの硫黄の除去方法。
  2. 溶銑の脱硫処理において発生した硫黄を含有する脱硫スラグを、雰囲気温度が1100〜1400℃の範囲であり、且つ、雰囲気のCO/CO2比が、脱硫スラグ中の硫黄がCaSの形態の化合物である場合にSOxとして除去される範囲と、脱硫スラグ中の硫黄がCaSO 3 及びCaSO 4 の形態の化合物である場合にSOxとして除去される範囲と、の少なくとも2つの範囲に変更された雰囲気中に曝し、前記脱硫スラグ中の硫黄をSOxとして雰囲気の気相側に除去する第1の工程と、
    前記第1の工程において気相側に除去されたSOxを含有する排ガスを脱硫処理する第2の工程と、
    前記第1の工程によって硫黄含有量が低下した脱硫スラグを製銑工程または製鋼工程でのCaO源としてリサイクルする第3の工程と、
    を有することを特徴とする、脱硫スラグからの硫黄の除去方法。
  3. 前記第1の工程において、脱硫スラグの脱硫率が80%以上となるように、雰囲気のCO/CO2比を調整することを特徴とする、請求項に記載の脱硫スラグからの硫黄の除去方法。
  4. 前記第3の工程における処理後の脱硫スラグのリサイクル先が、鉄鉱石の焼結工程または高炉での溶銑製造工程であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の脱硫スラグからの硫黄の除去方法。
  5. 前記第3の工程における処理後の脱硫スラグのリサイクル先が、製鋼精錬工程における溶銑の脱硫処理、予備脱燐処理、脱炭精錬処理の何れかであることを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の脱硫スラグからの硫黄の除去方法。
  6. 前記第1の工程に供する脱硫スラグから事前に金属鉄を分離することを特徴とする、請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の脱硫スラグからの硫黄の除去方法。
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