JP5884186B2 - 脱硫スラグの再生処理方法及び脱硫スラグの利材化方法 - Google Patents

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本発明は、溶銑の脱硫処理で発生した、CaOを主成分とする脱硫スラグから、この脱硫スラグに含有される硫黄を除去して脱硫スラグを再生する方法に関し、また、硫黄を除去した後の脱硫スラグを製鋼工程でCaO源として有効活用する利材化方法に関する。
鉄鋼製品の材料特性の向上及び品質要求の高まりを受け、溶銑の脱硫処理が溶銑における予備精錬として各製鉄所で行われている。この脱硫処理においては、溶銑中の硫黄(S)は、一般的に、酸化カルシウム(CaO)を主成分とするフラックス(脱硫剤)の添加、並びに、このフラックスと溶銑との撹拌処理により、硫化物形態となってスラグへ除去されている。尚、溶銑の脱硫処理とは、転炉にて脱炭精錬する前の溶銑段階で溶銑中の硫黄を除去する処理のことであり、また、この脱硫処理後に生成するスラグを「脱硫スラグ」と称している。
溶銑の脱硫処理比率の上昇に伴って、脱硫スラグの発生量が増加している。上記のように、脱硫スラグには硫黄が含まれており、水の存在する環境下で脱硫スラグを再利用すると硫黄(黄水)が溶出し、環境に悪影響を与える懸念があり、発生量が増加している脱硫スラグの利材化には大きな制約のあるのが実体である。また、溶銑の脱硫処理におけるCaOの脱硫剤としての利用効率は高々数%程度であり、溶銑の脱硫処理で使用されるCaOの大部分は、未利用のまま脱硫スラグとして製鉄所外へ排出されている。
そこで、これらの課題を解決するべく以下のような技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、硫黄及びカルシウム(Ca)を含有する鉄鋼スラグを溶媒に浸漬し、該溶媒中に二酸化炭素を吹き込み、且つ溶媒をpH4〜10に調整することで、鉄鋼スラグに含まれる硫黄成分とCa成分とを溶媒中に抽出するとともに、抽出されたCa成分を前記二酸化炭素と反応させて炭酸カルシウムを生成させ、該炭酸カルシウムを処理済スラグとともに回収する硫黄・Ca含有スラグの処理方法が開示されている。
特許文献2には、脱硫スラグを大気中で1100〜1400℃に加熱処理し、この加熱処理により、「CaS+xCO/CO2→CaO+SO2+xC」の反応を利用して、脱硫スラグ中の硫黄を亜硫酸ガスとして脱硫スラグから除去するとともに、加熱処理で生成した溶湯と酸化物とを分離・回収する脱硫スラグの処理方法が開示されている。
特許文献3には、炉長と炉内径との比が5以下のロータリーキルンの上流開口端から、塩基度を0.8〜1.4に調整した平均粒子径が0.02〜5mmのスラグを装入するとともに、該スラグの還元当量の1.5〜4倍の還元剤を装入し、前記上流開口端から加熱用バーナーにより下流開口端に向けて燃焼火炎を放射し、ロータリーキルン内の処理物の温度を1250〜1450℃に調整してスラグを還元し、溶融スラグ及びメタルを得るスラグの溶融還元方法において、ロータリーキルンの下流開口端に、水平に対して10〜45°下向きの方向を向いた、ダムリングの生成を防止または抑制するためのバーナーを設置し、燃料に対する空気比を0.9〜1.5に調整して前記ロータリーキルン内を加熱するスラグの溶融還元方法が開示されている。
尚、「ダムリング」とは、完全に溶融していないスラグや浸炭が不十分で高融点のメタルがロータリーキルンの内壁に部分的に付着・堆積して形成されるリング状の堆積物、或いは、一旦溶融した処理物が冷却され、流動性が低下するためにロータリーキルンの内壁に部分的に付着し、この付着物が成長して堆積して形成されるリング状の堆積物であり、傾斜したロータリーキルン内を流れる溶融物や移動する反応生成物などが、あたかもダム(堰)が設置されたかのように堰き止められることから、「ダムリング」と称している。このダムリングの形成は、ロータリーキルンのような回転加熱型の反応炉では操業上の大きな問題となる。
特開2011−93762号公報 特開平7−10616号公報 特開2005−126732号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題がある。
即ち、特許文献1は湿式処理であり、湿式処理の場合、処理に必要な薬品が高価であるのみならず、大掛かりな処理設備が必要となり、設備費及び運転費ともに高価となる。
特許文献2に開示された温度域においては、脱硫スラグは金属鉄を含有することから、スラグ中の金属鉄が酸化され、生成する酸化鉄がスラグ中のCaOと反応することで低融点のカルシウムフェライトが生成する。これが未溶融固体との混合物として処理容器内に付着し、ダムリングが発生する。ダムリングの発生は操業を大きく阻害する原因となることから、脱硫スラグの大規模処理の上で大きな問題となる。つまり、特許文献2は、ダムリングの発生を防止する対策が採られていないという問題がある。
特許文献3は、塩基度を0.8〜1.4に調整する必要があり、特許文献3を、CaOを主成分とする脱硫スラグに適用する場合には、塩基度調整のためのSiO2源が必要となる。また、特許文献3では、ダムリングは生成しないものの、ダムリング解消用のバーナーを余分に設置することから、ランニングコストの上昇に繋がり、また、水平に対して10〜45°下向きのバーナーを設置しており、このバーナーによって炉体耐火物が直接炙られることから、耐火物の溶損にも繋がる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、溶銑の脱硫処理で発生する脱硫スラグを回転加熱型の反応炉で加熱処理し、この加熱処理で脱硫スラグに含有される硫黄を除去するにあたり、ダムリング解消用のバーナーを余分に設置することなく、カルシウムフェライトに起因するダムリングを発生させずに、安定的な加熱処理を連続して行うことのできる脱硫スラグの再生処理方法を提供することであり、また、硫黄を除去した後の脱硫スラグを製鋼工程でCaO源として有効活用する利材化方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]溶銑の脱硫処理で発生した、CaOを主成分とする脱硫スラグを回転加熱型の反応炉に装入し、前記反応炉に設けられた燃料バーナーにより、前記反応炉の炉内雰囲気の温度を1000〜1400℃に制御するとともに、炉内雰囲気の酸素分圧をPO2(atm)としたときPO2が−8≦logPO2≦−4となるように制御して反応炉内の前記脱硫スラグを加熱処理し、該加熱処理によって前記脱硫スラグ中の硫黄成分をSOxとして気相側へ除去して脱硫スラグを再生する、脱硫スラグの再生処理方法であって、前記脱硫スラグは、その粒径が5mm以下になるように、前記反応炉に装入する前に予め整粒されており、且つ、前記脱硫スラグは、脱硫スラグ中に混入している金属鉄を除去するための処理が、前記反応炉に装入する前に予め施されていることを特徴とする、脱硫スラグの再生処理方法。
[2]反応炉に装入する脱硫スラグ中の金属鉄の含有量と、反応炉の炉内雰囲気の温度とが、反応炉に装入する脱硫スラグ中のCaOの含有量に対して、下記の(1)式の関係を満足するように、装入する脱硫スラグの金属鉄の含有量及び/または炉内雰囲気の温度とすることを特徴とする、上記[1]に記載の脱硫スラグの再生処理方法。
(質量%M-Fe)<[a−(40/56)×(質量%CaO)]/(T−b) …(1)
但し、(1)式において、(質量%M-Fe)は、脱硫スラグ中の金属鉄の含有量(質量%)、(質量%CaO)は、脱硫スラグ中のCaOの含有量(質量%)、Tは、反応炉の炉内雰囲気の温度(℃)である。また、a及びbは、反応炉の炉内雰囲気の温度によって決まる定数である。
[3]上記[1]または上記[2]に記載の脱硫スラグの再生処理方法によって脱硫スラグ中の硫黄成分が除去された後の脱硫スラグを、溶銑の脱硫処理の脱硫剤として使用することを特徴とする、脱硫スラグの利材化方法。
本発明によれば、溶銑の脱硫処理で発生する脱硫スラグを製鋼工程へリサイクルするにあたり、先ず、例えば気流分離法や磁力分離法によって脱硫スラグから事前に金属鉄を除去し、その後、回転加熱型の反応炉を用いて、脱硫スラグ中の硫黄を気相側へSOxとして除去する加熱処理を脱硫スラグに施すので、炉内雰囲気の温度及び酸素ポテンシャルを調整して行う加熱処理では、カルシウムフェライトに起因するダムリングの発生を防止することができ、連続した安定的な加熱処理が可能となり、ランニングコストの削減が達成される。また、硫黄成分が除去された後の脱硫スラグを、溶銑の脱硫処理での投射用脱硫剤としてリサイクルするので、脱硫スラグの発生量を大幅に少なくすることが可能となり、溶銑の脱硫処理コストを、従来に比較して大幅に低減することが実現される。
各雰囲気温度における炉内雰囲気酸素分圧(logPO2(atm))と脱硫率との関係を示す図である。 ダムリング発生の有無を、脱硫スラグ中のCa含有量と脱硫スラグ中の金属鉄含有量との和に対する脱硫スラグ中の金属鉄含有量の比率と、雰囲気温度と、の関係から調査した結果を示す図である。 脱硫率が80%以上の加熱処理後の脱硫スラグを脱硫剤として使用した場合と、粉状生石灰を脱硫剤として使用した場合とで、脱硫処理前の溶銑中硫黄濃度と脱硫処理後の溶銑中硫黄濃度との関係を比較して示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、CaO単体、或いは、CaOにCaF2またはAl23をCaOの滓化促進剤とて添加したCaO−CaF2やCaO−Al23などのCaOを主成分(CaO含有量50質量%以上)とする脱硫剤を用いた溶銑の脱硫処理で発生する脱硫スラグを、製鋼工程、主に溶銑脱硫工程の脱硫剤用のCaO源としてリサイクルするにあたり、リサイクル使用する前に、脱硫スラグから脱硫スラグ中の硫黄成分を除去する方法を検討した。
具体的には、バーナー加熱タイプの回転加熱型の反応炉(「ロータリーキルン」ともいう)を反応容器として使用し、脱硫スラグからの硫黄除去条件について実験・調査を行った。その結果、図1に示すように、反応炉内の雰囲気温度を1000〜1500℃の範囲として脱硫スラグに加熱処理を施し、且つ、そのときの炉内雰囲気の酸素分圧(PO2(atm))を−8≦logPO2≦−4に保つことで、脱硫スラグからの硫黄成分の除去が効率的に行われることが確認された。尚、ここで、反応炉内の雰囲気温度とは、炉内で最も低温となる、キルン出側の雰囲気温度である。
上記回転加熱型の反応炉では、炉内をバーナーで加熱しており、バーナー用燃料と、この燃料の燃焼用酸素ガスとの混合比率を調整することで、炉内雰囲気の酸素分圧(PO2(atm))を容易に調整することができる。つまり、供給する燃焼用酸素ガスを、供給するバーナー用燃料の当量に対して少なくすれば、炉内の酸素分圧(PO2(atm))は低下する。また、脱硫スラグからの硫黄除去反応を効率的に行うために、加熱処理する脱硫スラグの粒径(直径)は5mm以下とすることが必要である。脱硫スラグの粒径は篩によって特定されるものであり、従って、目開き寸法が5mmの篩を通過する限り、長径が5mmを超える紡錘形の粒子が混入しても構わない。
しかしながら、事前に金属鉄が分離・除去されていない脱硫スラグを1000〜1400℃の範囲で加熱処理すると、加熱処理によって生成する溶融物と装入した未溶融固体との混合物が炉壁に付着し、ダムリングが生成する場合が発生した。ダムリングが生成する場合には、操業が阻害され、安定した加熱処理はできなかった。また、雰囲気温度が1400℃を超えると、雰囲気温度が高いために、事前の金属鉄の分離・除去に拘わらず、脱硫スラグが半溶融状態となってダムリングが発生した。このことから、反応炉内の雰囲気温度は1000〜1400℃の範囲に制御する必要のあることがわかった。
一般的に、CaOを主成分とする脱硫剤は、機械攪拌式脱硫装置での溶銑の脱硫処理で使用されている。これは、CaOを主成分とする脱硫剤は、金属Mg、カルシウムカーバイド、ソーダ灰などの他の脱硫剤に比較して脱硫能が低いことから、機械攪拌式脱硫装置を用いて溶銑と脱硫剤とを強攪拌させ、脱硫反応を促進させることが必要であるからである。従って、溶銑と脱硫剤とを強攪拌させることから、CaOを主成分とする脱硫剤を用いた溶銑の脱硫処理後に生成する脱硫スラグには、多くの金属鉄が混入する。
事前に金属鉄の除去処理を施さずに加熱処理して、脱硫スラグからの硫黄の除去を試みると、スラグ中の金属鉄が酸化され、生成する酸化鉄がスラグ中のCaOと反応することで低融点のカルシウムフェライトが生成する。特に、回転加熱型の反応炉においては、低融点のカルシウムフェライト融体の生成はダムリング発生の原因となることから、脱硫スラグに事前に除鉄処理を施す必要のあることが判明した。
そこで、カルシウムフェライトが生成されない条件を熱力学的に検討した。その結果、脱硫スラグに対する雰囲気温度が1000〜1400℃の範囲では、反応温度に応じて、脱硫スラグ中の金属鉄の含有量とスラグ中のCaOの含有量とを調整することで、カルシウムフェライトの生成が抑制できることがわかった。
更に、脱硫スラグ中の金属鉄の含有量とスラグ中のCaOの含有量とをどのように調整すれば、カルシウムフェライトの生成が抑制できるかを確認するために、バーナー加熱タイプの回転加熱型の反応炉を用い、脱硫スラグ中の金属鉄の含有量及び雰囲気温度を変更し、ダムリング発生の有無を調査する試験を行った。図2に、試験結果を示す。
図2において、横軸は、脱硫スラグ中のCa含有量(質量%)と金属鉄含有量(質量%)との和に対する脱硫スラグ中の金属鉄含有量(質量%)の比率であり、縦軸は、雰囲気温度であり、また、符号「○」はダムリングが発生しない試験、符号「□」はダムリングが発生した試験、符号「●」は脱硫不良の試験である。図2の符号「□」で示した条件のうち、1400℃以上の条件では、雰囲気温度が高いために脱硫スラグが半溶融状態となってダムリングが発生し、1000〜1400℃の条件では、カルシウムフェライトが生成したためにダムリングが発生した。
また、図2における折れ線の境界線は、1000℃の雰囲気温度を基点として雰囲気温度を100℃単位として熱力学的検討のもとに定めたダムリング発生の有無の境界線である。つまり、雰囲気温度が1000〜1400℃の範囲において、横軸の金属鉄含有量の比率に対して、境界線よりも上側の雰囲気温度ではダムリングが発生せず、境界線よりも下側の雰囲気温度ではダムリングが発生することを意味している。図2から明らかなように、雰囲気温度が高くなるほど、脱硫スラグ中の金属鉄含有量の比率が高くなってもダムリングが発生しないことがわかる。
図2に示す、ダムリング有無の境界線は、下記の(2)式で表される。
T=a×(質量%M-Fe)/[(質量%M-Fe)+(質量%Ca)]+b …(2)
但し、(2)式において、Tは雰囲気温度(℃)、つまり、反応炉の炉内雰囲気温度(℃)であり、(質量%M-Fe)は、脱硫スラグ中の金属鉄含有量(質量%)、(質量%Ca)は、脱硫スラグ中のCa含有量(質量%)である。また、a及びbは定数であり、定数a及び定数bは、下記の(3)式の平衡定数に脱硫スラグ処理時の炉内雰囲気の酸素分圧の最大値(logPO2=−4(atm))を適用し、Ca、Feの比を規定することで、各温度域において下記の表1に示す値として求めることができる。
2Ca+2Fe+5/2O2→Ca2Fe2O5 …(3)
Figure 0005884186
(2)式の右辺以下の温度になると、Ca2Fe25が生成する(3)式が進行することから、カルシウムフェライトが生成することが予想される。
(2)式をM-Feについて整理し、%Caを%CaOに換算すると、ダムリングが発生しない条件として、下記の(1)式が得られる。
(質量%M-Fe)<[a−(40/56)×(質量%CaO)]/(T−b) …(1)
即ち、雰囲気温度(T)とスラグ中CaO濃度(質量%)とを(1)式に適用したときに算出される(質量%M-Fe)に対して、脱硫スラグ中の金属鉄含有量(質量%)が高ければカルシウムフェライトが生成するが、脱硫スラグ中の金属鉄含有量が算出される(質量%M-Fe)に対して低くなるように、事前に金属鉄除去処理を施せば、カルシウムフェライトが生成せず、ダムリングの発生を抑制することが可能となる。
本発明は、上記試験結果に基づきなされたもので、本発明に係る脱硫スラグの再生処理方法は、脱硫スラグを回転加熱型の反応炉に装入し、前記反応炉に設けられた燃料バーナーにより、反応炉の炉内雰囲気の温度を1000〜1400℃に制御するとともに炉内雰囲気の酸素分圧(PO2(atm))を−8≦logPO2≦−4に制御して反応炉内に装入した脱硫スラグを加熱処理し、該加熱処理によって前記脱硫スラグ中の硫黄成分をSOxとして気相側へ除去して脱硫スラグを再生する、脱硫スラグの再生処理方法であって、前記脱硫スラグは、その粒径が5mm以下になるように、前記反応炉に装入する前に予め整粒されており、且つ、前記脱硫スラグは、脱硫スラグ中に混入する金属鉄を除去するための処理が、前記反応炉に装入する前に予め施されていることを必須の条件とする。
脱硫スラグからの金属鉄の分離には、例えば磁力を用いた分離や、金属鉄とスラグとの比重差を利用した遠心気流分離などを用いることができる。金属鉄の分離を促進させる観点から、脱硫スラグを5mm以下の粒径に破砕・整粒した後、金属鉄の分離処理を行うことが好ましい。
硫黄成分を除去した後の脱硫スラグは、硫黄含有量の少ないCaO源として製鋼工程で再利用することが可能であり、製鋼工程で再利用した場合には、脱硫スラグ自体の発生量が減少して脱硫スラグの処理コストを削減できるとともに、CaO系精錬用媒溶剤の削減にも繋がる。本発明者らは、溶銑脱硫時の投射設備の脱硫剤として、粉状の生石灰と遜色なく利用できることを確認している。
以上説明したように、本発明によれば、溶銑の脱硫処理で発生する脱硫スラグを製鋼工程へリサイクルするにあたり、先ず、例えば気流分離法や磁力分離法によって脱硫スラグから事前に金属鉄を除去し、その後、回転加熱型の反応炉を用いて、脱硫スラグ中の硫黄を気相側へSOxとして除去する加熱処理を脱硫スラグに施すので、この加熱処理ではカルシウムフェライトに起因するダムリングの発生を防止することができ、連続した安定的な加熱処理が可能となり、ランニングコストの削減が達成される。
高炉から出銑された高炉溶銑には0.03質量%程度の硫黄が含有されており、溶銑脱硫工程において、脱硫剤としてCaO源を添加し、機械攪拌式脱硫装置で撹拌処理することで、溶銑は、硫黄濃度が0.003質量%程度にまで脱硫処理される。この脱硫処理で発生する脱硫スラグに対して、本発明を適用する試験を実施した。
脱硫処理で発生した脱硫スラグの代表組成を表2に示す。金属鉄を除去する前の脱硫スラグには、10質量%程度の金属鉄が混入している。
Figure 0005884186
上記の脱硫スラグ50トンを粒径5mm以下に破砕・整粒し、その後、遠心気流分離及び/または磁力分離による金属鉄の除去処理を施し、脱硫スラグ中の金属鉄含有量とCaO含有量との比を変えた。このようにして得られた脱硫スラグを、加熱バーナーを備えたロータリーキルンに装入し、バーナーによって脱硫スラグを加熱して、脱硫スラグからの硫黄除去処理を実施した。
図1に、各雰囲気温度における炉内雰囲気酸素分圧(logPO2(atm))と脱硫率との関係を示す。雰囲気温度が1000℃よりも低い条件では硫黄成分の除去が十分でなく、1000℃以上の条件においては、炉内雰囲気の酸素分圧が−8≦logPO2≦−4を満たすときに80%以上の高い脱硫率が得られた。
図2に、脱硫スラグ中のCa含有量(質量%Ca)と脱硫スラグ中の金属鉄含有量(質量%M-Fe)との和に対する脱硫スラグ中の金属鉄含有量(質量%M-Fe)の比率と、雰囲気温度(T)との関係から、ダムリング発生の有無を調査した結果を示す。脱硫スラグ中の金属鉄含有量(質量%M-Fe)及び脱硫スラグ中のCa含有量(質量%Ca)は分析して求めた値である。
図2の符号「○」で示した条件では、ダムリングが発生せず、脱硫率も80%以上の結果が得られた。一方、図2の符号「●」で示した条件では、雰囲気温度が低く脱硫率が悪かった。また、図2の符号「□」で示した条件のうち、1400℃以上の条件では、雰囲気温度が高いために脱硫スラグが半溶融状態となってダムリングが発生し、1000〜1400℃の条件では、カルシウムフェライトが生成したためにダムリングが発生し、何れも操業が阻害された。
脱硫率が80%以上の加熱処理後の脱硫スラグを投射設備の脱硫剤として用いて機械攪拌式脱硫装置で溶銑の脱硫処理を実施した。図3は、脱硫率が80%以上の加熱処理後の脱硫スラグを脱硫剤として使用した場合と、粉状生石灰を脱硫剤として使用した場合とで、脱硫処理前の溶銑中硫黄濃度と脱硫処理後の溶銑中硫黄濃度との関係を比較して示す図である。
図3に示すように、脱硫率が80%以上の加熱処理後の脱硫スラグを使用した脱硫処理では、粉状生石灰を使用した脱硫処理と同等の脱硫率が得られることがわかった。即ち、脱硫率が80%以上の加熱処理後の脱硫スラグは、未使用の粉状生石灰と遜色なく精錬工程に適用できることが確認できた。

Claims (3)

  1. 溶銑の脱硫処理で発生した、CaOを主成分とする脱硫スラグを回転加熱型の反応炉に装入し、前記反応炉に設けられた燃料バーナーにより、前記反応炉の炉内雰囲気の温度を1000〜1400℃に制御するとともに、炉内雰囲気の酸素分圧をPO(atm)としたときPOが−8≦logPO≦−4となるように制御して反応炉内の前記脱硫スラグを加熱処理し、該加熱処理によって前記脱硫スラグ中の硫黄成分をSOxとして気相側へ除去して脱硫スラグを再生する、脱硫スラグの再生処理方法であって、
    前記脱硫スラグは、その粒径が5mm以下になるように、前記反応炉に装入する前に予め整粒されており、且つ、前記脱硫スラグは、脱硫スラグ中に混入している金属鉄を除去するための処理が、前記反応炉に装入する前に予め施されていることを特徴とする、脱硫スラグの再生処理方法。
  2. 反応炉に装入する脱硫スラグ中の金属鉄の含有量と、反応炉の炉内雰囲気の温度とが、反応炉に装入する脱硫スラグ中のCaOの含有量に対して、下記の(1)式の関係を満足するように、装入する脱硫スラグの金属鉄の含有量及び炉内雰囲気の温度とすることを特徴とする、請求項1に記載の脱硫スラグの再生処理方法。
    (質量%M−Fe)<[a−(40/56)×(質量%CaO)]/(T−b)…(1)
    但し、(1)式において、(質量%M−Fe)は、脱硫スラグ中の金属鉄の含有量(質量%)、(質量%CaO)は、脱硫スラグ中のCaOの含有量(質量%)、Tは、反応炉の炉内雰囲気の温度(℃)である。また、a及びbは、反応炉の炉内雰囲気の温度によって決まる定数である。
  3. 請求項1または請求項2に記載の脱硫スラグの再生処理方法によって脱硫スラグ中の硫黄成分が除去された後の脱硫スラグを、溶銑の脱硫処理の脱硫剤として使用することを特徴とする、脱硫スラグの利材化方法。
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