JP2015147831A - ポリエステル組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温・多湿などの過酷な自然環境下で長時間使用しても機械的性質の低下が抑制された耐加水分解性を有し、かつ異物・ゲル欠点などが抑制された外観性に優れたフィルムを製造するのに好適なポリエステル組成物を提供すること。
【解決手段】ポリエステル中に、組成物質量を基準として脂肪族モノカルボン酸グリシジルエステル(A)を0.15〜5.0質量%および、ポリエステルの全酸成分モル数を基準としてホスフィン系化合物(B)を0.5〜100ミリモル%添加する。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐加水分解性に優れたポリエステル組成物に関するものである。さらに詳しくは、耐加水分解性と外観性に優れたフィルムを製造するのに好適なポリエステル組成物に関するものである。
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートは優れた生産性、機械的性質、熱的性質、電気的性質、化学特性および寸法安定性を有するため広く使用されてきた。しかし、大部分のポリエステルは、高温・多湿の環境で使用すると、加水分解して物理的性能が低下しやすく、使用期間や使用条件が制限される問題があった。
近年、過酷な自然環境下で使用される太陽電池用途において、その長期信頼性を向上することが要望されており、太陽電池保護膜としてポリエステルフィルムを用いる場合には、優れた耐加水分解性を付与することが必要である。
ポリエステルは理想的にはそのポリマー鎖の全ての末端がヒドロキシル基として存在するが、高温または湿度を含むプロセスを経由することで熱分解、酸化分解、加水分解などが起こり、分子量低下およびカルボキシル末端基の生成が避けられないことが知られている。生じたカルボキシル末端基は、加水分解等の分解反応の触媒として作用するため、カルボキシル末端基の封止および分子量の増大によるポリエステルの耐久性向上を狙って、ポリエステルに対しカルボキシル末端封止剤や鎖延長剤の類を添加する手法が知られている。例えばカルボジイミド化合物、エポキシ化合物などを末端封止剤や鎖延長剤として添加する手法が知られている。
例えば、特許文献1〜3には、エポキシ化合物を末端封止剤ないし鎖延長反応剤として含有するポリエステルフィルムが提案されている。しかしながら、エポキシ化合物は自分自身に存在あるいは末端封止反応により発生する水酸基や、水分とも容易に反応しうることが知られており、局所的に分子量・分枝度が増大することによるゲル化が問題となる場合があった。そのため、これらの文献では、かかる副反応を抑制することを目的としてそれぞれ特定のエポキシ化合物を提案している。
また、特許文献4には、分枝モノカルボン酸のグリシジルエステルを末端封止剤とし、I族またはII族金属カチオンを反応触媒として併用することが提案されている。確かにこの方法によれば、該エポキシ化合物とポリエステルのカルボキシル末端基との反応は効率よく進行するものの、反応触媒自体の異物化という観点で課題が残されている。
特開2012−122051号公報 特開2007−276478号公報 国際公開第2011/030098号パンフレット 国際公開第2012/120260号パンフレット
本発明は、上記の背景技術に鑑みなされたもので、その目的は、高温・多湿などの過酷な自然環境下で長時間使用しても機械的性質の低下が抑制された耐加水分解性を有し、かつ異物・ゲル欠点などが抑制された、外観性にも優れたフィルムを製造するのに好適なポリエステル組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、エポキシ化合物として脂肪酸グリシジルエステル化合物を用いると共に、ポリエステルのカルボキシル末端基との反応を促進させるために特定構造の反応触媒を用いることにより、末端封止反応を効率よく進行させられ、同時に反応触媒種自体の異物化を抑制できるため、耐加水分解性とフィルムの外観性とを両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、ポリエステル中に、組成物質量を基準として脂肪族モノカルボン酸グリシジルエステル(A)を0.15〜5.0質量%および、ポリエステルの全酸成分モル数を基準としてホスフィン系化合物(B)を0.5〜100ミリモル%含有するポリエステル組成物が提供される。
さらに好ましい態様として、ホスフィン系化合物(B)がトリフェニルホスフィンまたはトリオクチルホスフィンであること、フィルムに用いられること、の少なくともいずれか一方を具備するポリエステル租税物も提供される。
本発明のポリエステル組成物は、高温・多湿などの過酷な自然環境下で長時間使用しても機械的性質の低下が抑制され、かつ異物・ゲル欠点などの少ない、耐加水分解性と外観性とに優れたポリエステルフィルム製造用として好適に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるポリエステルは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルである。かかるポリエステルは実質的に線状であり、そしてフィルム形成性、特に溶融成形によるフィルム形成性を有する。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸等が挙げられる。また、脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール,トリメチレングリコール,テトラメチレングリコール,ペンタメチレングリコール,ヘキサメチレングリコール等が挙げられる。
これらの中でも、アルキレンテレフタレートやアルキレンナフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート,ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートをはじめとして、例えば全ジカルボン酸成分の80モル%以上がテレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸であり、全グリコール成分の80モル%以上がエチレングリコールであるホモポリエステルまたはその共重合体が好ましい。
エチレンテレフタレートまたはエチレンナフタレンジカルボキシレートが主たる繰返し単位である場合、本発明の目的を損なわない程度であれば、ポリエステルの全酸成分を基準として20モル%以下の割合で、主たるジカルボン酸以外のジカルボン酸成分、あるいはエチレングリコール以外のグリコール成分を共重合してもよく、例えば先に例示した他の芳香族ジカルボン酸成分や脂肪族グリコール成分、またアジピン酸、セバチン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、シクロヘキサングリコールなどの脂環族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール等が例示される。
また本発明におけるポリエステルには、本発明の効果を損なわないかぎり、例えばヒドロキシ安息香酸の如き芳香族オキシ酸,ω−ヒドロキシカプロン酸の如き脂肪族オキシ酸等のオキシカルボン酸成分を、ジカルボン酸成分及びオキシカルボン酸成分の総量を基準として20モル%以下、好ましくは10モル%以下の割合で共重合してもよい。
さらに本発明におけるポリエステルには、実質的に線状である範囲の量であり、かつ本発明の効果を損なわないかぎり、例えば全酸成分を基準として2モル%以下の割合で、3官能以上のポリカルボン酸またはポリヒドロキシ化合物、例えばトリメリット酸、ペンタエルスリトール等を共重合してもよい。
本発明におけるポリエステルは、前述のジカルボン酸成分およびグリコール成分を反応させて先ずポリエステル前躯体とし、次いで所望の固有粘度に到達するまで重縮合反応させることによって製造することができる。
かかる製造方法においては、従来公知のポリエステル製造方法を採用することができる。具体的には、重縮合反応を行う前にエステル化反応もしくはエステル交換反応を行う。エステル交換反応を経由する場合には、エステル交換反応触媒として、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、マンガン化合物、チタン化合物などが好適に用いられる。
このようにしてエステル化反応もしくはエステル交換反応を経由して得られた前駆体を溶融状態で重縮合反応させればよい。重縮合反応触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物などが好適に用いられる。さらに、重縮合反応の初期段階までに、特にエステル化反応もしくはエステル交換反応終了後から固有粘度が0.3dl/gになるまでの重縮合反応中にリン化合物を添加することが好ましい。リン化合物としては特に限定はされないが、正燐酸、亜燐酸、フェニルホスホン酸、ホスホノ酢酸、およびこれらのエステル化合物などが好ましく、これらは単独で用いても、二種以上を併用しても構わない。
本発明のポリエステル組成物は、耐加水分解剤として脂肪族モノカルボン酸グリシジルエステル(A)(以下、成分(A)と称することがある)を、ポリエステル組成物の質量を基準として0.15〜5質量%、好ましくは0.15〜3.0質量%、より好ましくは0.2〜2.5質量%、さらに好ましくは0.5〜1.0質量%含有している必要がある。なお、ここでいうポリエステル組成物の質量は、成分(A)およびホスフィン系化合物(B)に加えて他の成分を含む場合には、それら全ての質量を合計したものである。またポリエステル組成物中の上記成分(A)は、その一部あるいは全てがポリエステル末端基と反応した状態で、好ましくはその一部が未反応の状態で存在している。
前記成分(A)の含有量が下限に満たない場合には、カルボキシル末端基の封止効果が不十分となり、耐湿熱性が十分に得られない。一方、前記成分(A)の含有量が上限を超える場合には、局所的な反応等によって溶融系の不均一化が起こり、ゲル欠点などが発生しやすく、さらに成分(A)自体の熱分解および加水分解が起こることでかえってポリエステルの分解を促進し、分子量低下やカルボキシル末端基の増大を招き、耐加水分解性が低下することがある。
本発明における脂肪族モノカルボン酸グリシジルエステルは、脂肪族モノカルボン酸残基を構成する炭素数が5〜50個であることが好ましく、より好ましくは5〜25個、さらに好ましくは5〜15個である。また、飽和脂肪族モノカルボン酸残基であることが好ましく、さらには耐熱性の観点より分枝脂肪族モノカルボン酸残基であることが好ましい。
また、上記の分枝脂肪族モノカルボン酸は、カルボン酸基に隣接する炭素原子が第三級炭素原子であることが好ましく、第三級炭素原子と結合する3個の基をR、R、Rとする場合、R、RおよびRの炭素数の合計が前述した5〜50個であることが好ましく、より好ましい範囲についても前記範囲であることが好ましい。RおよびRは前記炭素数を満たす範囲内でアルキル基の中からそれぞれ独立して選択でき、RおよびRの少なくとも一方はメチル基であることが好ましい。Rは水素および前記炭素数を満たす範囲内のアルキル基から選択でき、前記炭素数を満たす範囲内のアルキル基であることが好ましい。
好ましく用いられる脂肪族モノカルボン酸グリシジルエステルとしては、ネオデカン酸グリシジルエステルを例示することができる。
本発明のポリエステル組成物は、上述の脂肪族モノカルボン酸グリシジルエステル(A)の反応触媒として、ホスフィン系化合物(B)(以下、成分(B)と称することがある)を、ポリエステルの全酸成分モル数を基準として0.5〜100ミリモル%、好ましくは1〜80ミルモル%、さらに好ましくは5〜50ミリモル%含有している必要がある。成分(B)の含有量が下限に満たない場合には、触媒効果が不十分となって十分な耐加水分解性が得られない。一方、成分(B)の含有量が上限を超える場合には、異物が発生しやすくなる。
本発明でいうホスフィン系化合物は、リン元素にアルキル基またはアリール基が3個結合したもので、例えばトリフェニルホスフィン、トリオクチルホスフィン等を好ましいものとして例示できる。
前述のとおり、製造プロセス等で生成するポリエステルのカルボキシル末端基の封止を目的として、カルボキシル末端封止剤や鎖延長剤といった剤を添加する手法は知られている。本発明の特徴は、かかる手法において、カルボキシル末端封止剤として特定のエポキシ化合物である成分(A)を特定量用いると共に、その反応触媒としてホスフィン系化合物を特定量用いる点にあり、これにより、エポキシ基とカルボキシル基との反応を促進しつつ同時に副反応の抑制効果が高いため、かつ反応触媒自体の異物化がしがたいため、ポリエステル末端封止効果と異物抑制効果の双方に優れたポリエステル組成物が得られる。
エポキシ化合物の構造は一般的に多官能剤と単官能剤に分類できるが、本発明で用いられる成分(A)は単官能エポキシ化合物であるため、局所的な反応度増大に伴うゲル化を抑制できる。一方、多官能エポキシ化合物は分子量増大効果を有し、継時的に低下するポリエステルの機械特性を再生できるものの、その構造上、局所的な反応度増大に伴うゲル化の制御が困難である。
以上に説明した本発明のポリエステル組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、前述のポリエステル以外のポリマーを、例えば20質量%以下、好ましくは10質量%以下含有させることができる。さらには、各種添加剤、例えば滑剤,顔料,染料,酸化防止剤,光安定剤,遮光剤(例えばカーボンブラック,酸化チタン等)等を必要に応じて含有させることもできる。
例えば無機粒子としては、コロイダルシリカ、湿式シリカ、乾式シリカなどの酸化珪素、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリナイト、チャイナクレー、タルク、アルミナ、ゼオライト、グラファイト、長石、二硫化モリブデン、カーボンブラック、硫酸バリウム等の粒子を例示することができる。有機粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート共重合架橋体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリアクリロニトリル、ベンゾグアナミン樹脂、架橋シリコーン樹脂等の微粒子を例示することができる。また、これらの微粒子は、例えば特開平7−247119号公報、特開平4−7336号公報などで提案されているように、微粒子の表面を粒子内部の組成とは異なる化合物で被覆されていても、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などで処理されていても構わない。なかでも、酸化珪素、酸化チタン、アルミナ、ポリスチレン、架橋シリコーン樹脂の微粒子、或いはこれらの微粒子の表面を他の化合物で被覆した微粒子が好ましい。
なかでも本発明のポリエステル組成物を太陽電池部材用フィルム、特に太陽電池裏面保護膜用フィルムに適用する場合には、隠蔽性に優れ、受光面側への反射によって太陽電池の発電効率が向上する観点から白色顔料を添加するのが好ましい。かかる白色顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど公知のものを用いることができるが、太陽電池の裏面保護膜などの太陽電池部材として用いる場合には酸化チタンが好ましく、特にルチル型酸化チタンが好ましい。ルチル型酸化チタンを用いることで、隠蔽効果に加え、さらにフィルムの紫外線劣化を抑制でき、光線を長時間照射したときのフィルム変色や機械的強度の低下を少なくすることができる。
以上に説明した本発明のポリエステル組成物は、前記ポリエステル中に、前記成分(A)および成分(B)を、従来公知の方法を用いて配合することにより製造できる。例えば、それぞれの成分を以下のような手法で配合することができる。なお、前記成分(A)および成分(B)をポリエステル中に配合する際には、これらを単体で添加してもよいし、粉末などの担体に担持させたり、スラリー状態にして添加してもよいし、水やジオール成分の溶液状態として添加することもできる。また、前記成分(A)および成分(B)は同じ手法で添加しても、異なった手法で別々に添加してもよい。
(ア)ポリエステルのエステル化またはエステル交換工程〜重縮合工程において前記成分を添加する。
(イ)ポリエステルチップを溶融し、前記成分を添加することで該成分の高濃度マスターバッチを予め作成し、製膜等の成形直前に該成分を含まないポリエステルと混合して使用する。
(ウ)ポリエステルチップを溶融し、前記成分を添加することで希望の濃度の成分含有ペレットを予め作成し、そのまま使用する。
(エ)製膜等の成形直前に溶融する押出機のフィードポケットもしくはバレルにおいて、直接、前記成分を添加する。
これらの手法の中でも、成分(A)の添加は、添加量を工程状況に応じて制御できる(イ)または(エ)の手法が好ましく、ポリエステルおよび成分(A)が熱履歴を受ける回数を最小限にでき、反応終了後のカルボキシル基の生成が少ない手法(エ)が特に好ましい。一方、成分(B)の添加は、ハンドリングの観点から重合工程で添加する(ア)の手法かマスターバッチを作成する(イ)の手法により、該成分の高濃度マスターバッチを作成するのが好ましい。
なかでも、(ア)または(イ)の手法により、成分(B)を高濃度に含有するマスターバッチを予め作成し、製膜等の成形直前に、成分(A)および成分(B)を含まないポリエステルと、所望量のマスターバッチおよび成分(A)とを混合して使用する手法が特に好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに説明する。なお、各特性値は以下の方法により測定した。
1)固有粘度
ポリエステルチップまたはフィルムサンプルを、重量比が6:4のフェノール:トリクロロエタン混合溶媒に溶解後、35℃の温度にて測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いた。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml)、Kはハギンス定数である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。なおポリエステル以外に、白色顔料など上記溶媒に不溶な成分を含む際は、予めそのポリエステル成分の重量比率を測定しておき、η値を重量比率で割ることによりポリマー自体の固有粘度を算出した。
2)カルボキシル末端基数
ポリエステルチップまたはフィルムサンプルを、窒素雰囲気下、200℃でベンジルアルコールに溶解させた後、滴定法により、ポリエステル質量1t当りの当量数(eq/t)として測定した。
3)耐加水分解性
ポリエステルチップまたはフィルムサンプルを、平山製作所(株)製、PC−3011型プレッシャークッカーを用い温度140℃、湿度100%RHの条件下で20時間処理した後、全量冷凍粉砕を行った。このサンプルについてカルボキシル末端基数を測定し、プレッシャークッカー処理前後のカルボキシル末端基数増加値で評価した。カルボキシル末端基数の増加が低いほど耐加水分解性は良好である。
4)フィルムの表面異物欠点数
フィルムサンプルを金蒸着して微分干渉顕微鏡にて観察し、表面突起数を下記の基準で評価した。
表面突起数:長径25μm以上につき、フィルム面積25cmでカウント(測定回数、n=5で実施)
0個≦表面突起数≦5個 極めて良好(◎)
5個<表面突起数≦10個 良好(○)
10個<表面突起数≦15個 (△)
15個<表面突起数≦20個 やや不良(×)
20個<表面突起数 多目(××)
[参考例1]
(トリフェニルホスフィン高濃度マスターバッチ)
テレフタル酸ジメチル21300部とエチレングリコール10670部の混合物に、酢酸マンガン四水和物8.1部をエステル交換反応釜に仕込み、140℃から230℃まで徐々に昇温しつつ、生成するメタノールを系外に留出させながらエステル交換反応を行った。完全にメタノールの留出が終了した後、リン化合物としてリン酸トリメチル5.2部を加え、さらに10分後にトリフェニルホスフィン144部(酸成分対比、500ミリモル%)を加えた。続いて5分後に重合触媒三酸化アンチモン8.6部を加え240℃まで加熱して一部のエチレングリコールを留出させた後、重縮合反応釜へオリゴマーを移した。その後、常法にしたがって高真空下で加熱し、最終内温290℃にて所望の固有粘度に到達するまで重縮合反応を続けた。反応終了後、ポリマー吐出作業を行うために攪拌翼を停止させ、次いで重縮合反応釜内を窒素ガスで0.19Mpaに加圧し、ダイホールよりポリエステルをストランド状に押出した。その後、冷却バスでポリエステルを冷却した後、ペレターザーでカッテングを行い、長径約4mm、短径約2mm、長さ約4mmのポリエステルチップを得た。得られたポリエステルの固有粘度は0.62で、カルボキシル末端基数は30.1であった。
[参考例2]
(トリオクチルホスフィン高濃度マスターバッチ)
トリフェニルホスフィンをトリオクチルホスフィンに変更し、添加量を203部(酸成分対比、500ミリモル%)にする以外は実施例1と同様にしてポリエステルチップを得た。得られたポリエステルの固有粘度は0.62で、カルボキシル末端基数は31.8であった。
[参考例3]
(希釈用ポリエステル)
トリフェニルホスフィンを添加しない以外は実施例1と同様にしてポリエステルチップを得た。得られたポリエステルの固有粘度は0.62で、カルボキシル末端基数は18.9であった。
[実施例1〜9]
参考例1、参考例2および参考例3のチップを表1記載の割合でブレンドし、電気乾燥機内で160℃、6Hr乾燥処理後、日立製作所製押出し機(P40−22AB型)に投入する際、投入ホッパーに同時に脂肪族モノカルボン酸グリシジルエステル(A)として商品名「カーデュラE10P」(ネオデカン酸グリシジルエステル、モメンティブスペシャリティケミカルズ(株)製、以下「A1」と表記する)を表1に記載の配合量となるよう、チップと混ぜて添加し、295℃にて溶融押出し、日本製鋼所製2形フィルム製造装置(横形移動式)で厚さ125μmのポリエステルシートを作製した。次いで、これをロング延伸機で延伸を行い厚み12μmのフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
[実施例10]
参考例1、参考例2および参考例3のチップを表1記載の割合でブレンドし、日立製作所製押出し機(P40−22AB型)に投入する際に、A1と共に堺化学株式会社製ルチル型酸化チタン粒子TCR−52(平均粒径0.2μm)を3質量%となる割合で添加する以外は、実施例1と同様に行った。得られた結果を表1に示す。
[比較例1〜8]
参考例1、参考例3のチップ、A1および堺化学株式会社製ルチル型酸化チタン粒子TCR−52(平均粒径0.2μm)を表2に記載の割合で用いる以外は、実施例10と同様に行った。得られた結果を表2に示す。
Figure 2015147831
Figure 2015147831
本発明のポリエステル組成物は、高温・多湿などの過酷な自然環境下で長時間使用しても機械的性質の低下が抑制され、かつ異物・ゲル欠点などの発生も少ないので、耐加水分解性と外観性とに優れたポリエステルフィルム、特に太陽電池裏面保護膜用フィルムに極めて好適に使用できる。

Claims (3)

  1. ポリエステル中に、組成物質量を基準として脂肪族モノカルボン酸グリシジルエステル(A)を0.15〜5.0質量%および、ポリエステルの全酸成分モル数を基準としてホスフィン系化合物(B)を0.5〜100ミリモル%含有することを特徴とするポリエステル組成物。
  2. 該ホスフィン系化合物(B)が、トリフェニルホスフィンまたはトリオクチルホスフィンである、請求項1に記載のポリエステル組成物。
  3. フィルムに用いられる請求項1または2に記載のポリエステル組成物。
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