JP2015143207A - 芳香族化合物異性体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】芳香族異性体混合物から2種類以上の芳香族異性体を製造する方法の提供。
【解決手段】キシレン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物のオルト/メタ/パラ異性体の混合物から2種類の異性体を併産する製造方法であって、目的成分濃度を異性化反応によって高める反応工程、反応工程から得られる反応液から目的成分を多く含む第1流れと、目的外の成分を主成分とする第2流れに分離する蒸留等の第1分離工程、第1分離工程で得られた第1流れを第1目的成分を含む第3流れと、第2目的成分を含む第4流れに分離する吸着等の第2分離工程、第2分離工程から得られる第4流れから第2目的成分を含む第5流れと、目的外成分及び/又は第1目的成分を含む第6流れを分離する晶析又は吸着等の第3分離工程、第1分離工程で得られた第2流れを異性化反応工程へ循環する工程、第3分離工程から得られた第6流れを第1分離工程に循環する工程を含む製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は芳香族異性体混合物から芳香族異性体を工業的に有利に製造する方法に関する。
詳しくは、少なくとも2つのアルキル基および/またはハロゲン基で置換された芳香族化合物異性体の混合物から、2種類の異性体を併産する製造方法である。
複数の異性体を持つハロゲン化および/またはアルキル化芳香族化合物から、目的の異性体を高効率で取り出す技術が検討されている。
例えば特許文献1ではキシレン混合物からパラキシレンを製造する際に、圧力スィング吸着法を晶析分離や擬似移動床吸着分離によるパラキシレン精製技術と組み合わせることにより、精製工程におけるパラキシレンの回収率を向上させる技術が報告されている。文献1の代表的な実施形態では晶析分離によって製品パラキシレンを分離したのち、残液は異性化工程へリサイクルされる。異性化を効率的に行うためには残液中のパラキシレン濃度を十分に低くする必要があるが、晶析分離によって達成できるパラキシレン回収率には共晶点による限界が存在する。
特許文献2では、パラジクロロベンゼン(以下p−DCB)を製造する際に、分離が困難な副生物であるm−DCBを、トランスクロロ化反応させ、モノクロロベンゼンに還元することによって反応原料として再利用し、収率を向上させる技術を提案している。このように、製品として取り出す目的の異性体以外を、効率よく目的の異性体に転化するプロセスの開発が望まれている。
特表2004−502746号公報 特開平10−218807号公報
しかしながら、特許文献1のような製造方法において、異性化工程から得られる反応液におけるパラキシレンの割合は最高でも約22質量%であり、残りの約8割は目的生成物にならないまま反応工程と分離工程を循環している。そのため設備は大きくなり、エネルギー的にも非効率である。また、特許文献2のような製造方法においても同様に、異性化工程から得られる反応液中のp−DCBの割合は最高でも約28質量%であり、生産効率が悪い。
本発明は上記の課題を解決するため、芳香族化合物異性体から2種以上の異性体を得る方法として、以下の方法を提供するものである。
少なくとも2つのアルキル基および/またはハロゲン基で置換された芳香族化合物異性体の混合物から、少なくとも2種類の異性体を分離する芳香族化合物異性体の製造方法であって、芳香族化合物異性体混合物中の目的成分濃度を異性化反応によって高める反応工程、反応工程から得られる反応液から目的成分を多く含む第1流れと、目的外の成分を主成分とする第2流れに分離する第1分離工程、第1分離工程で得られた第1流れを第1目的成分を含む第3流れと、第2目的成分を含む第4流れに分離する第2分離工程、第2分離工程から得られる第4流れから第2目的成分を含む第5流れと、目的外成分および/または第1目的成分を含む第6流れを分離する第3分離工程、第1分離工程で得られた第2流れを異性化反応工程へ循環する工程、第3分離工程から得られた第6流れを第1分離工程に循環する工程を含むことを特徴とする2種類の芳香族化合物異性体の製造方法。
本発明の2種類の芳香族化合物異性体の製造方法では、異性化反応工程へ循環する流れ中の目的成分を低減することにより、反応工程で起こる平衡反応において生成される目的成分量が増え、高い生産性を達成できる。また、2種類の異性体を目的成分とする本プロセスにおいて、反応原料の目的成分への転嫁率は極めて高く、生産量に比して小規模な設備および用役量での生産が可能である。さらに、分離工程においても、目的外成分を先に分離することにより、高い分離効率を達成することができる。
本発明の代表的な実施形態を示すプロセスフロー図である。 第1分離工程に蒸留分離を用いる場合の代表的な実施形態を示すプロセスフロー図である 実施例1のプロセスフロー図である。 比較例1のプロセスフロー図である。 実施例2のプロセスフロー図である。 比較例2のプロセスフロー図である。
本発明において製造の対象となる芳香族化合物は、少なくとも2つのアルキル基及び/またはハロゲンで置換された芳香族化合物である。置換基としては、C1〜C3もしくはハロゲンが好ましい。芳香族化合物としては、2つの置換基で置換されたものが好ましく、DCB,ジエチルベンゼン,キシレンに特に適している。このような芳香族化合物は3種以上の異性体を有しており、異性化反応によって反応液中の目的成分の割合を高める異性化工程と、異性体の混合物から目的成分を分離する分離工程からなる製造方法がしばしば用いられる。
本発明の製造方法は、DCB異性体混合物から、第1目的成分としてm−DCBを分離し、第2目的成分としてp−DCBを分離する製造方法や、キシレン異性体混合物から第1目的成分としてm−キシレンを分離し、第2目的成分としてp−キシレンを分離する製造方法に特に適している。
(代表的な実施形態)
以下に本発明の代表的な実施形態をDCBを一例として説明する。図1に代表的な実施形態のプロセスフロー図を示す。
原料としてo−DCBとm−DCBとp−DCBの混合物を異性化工程に供給し、第1目的成分であるm−DCBと第2目的成分であるp−DCBを生産するプロセスである。
(異性化工程)
本発明では異性化反応によって反応液中の目的成分の割合を高める。異性化反応は平衡反応であり、異性化工程においては触媒を用いて、供給された原料を平衡組成に近づけ、反応液中の目的成分の割合を増加させることによって、供給液中と反応液中の目的成分濃度の差分だけ目的成分が生成される。芳香族化合物としてDCBを用いる場合、異性化を行う触媒としては例えば特開平11−319573号公報に記載されているゼオライト触媒などを用いることができる。
異性化触媒について詳細を説明する。DCBの異性化に好適な触媒は、主空洞の入口が10員酸素環からなるゼオライトであるが、かかるゼオライトはいわゆるペンタシル型ゼオライトとして知られ、米国特許3894106号明細書にその組成および製造法が、また、Nature271、30March、437(1978)にその結晶構造が記載されているZSM−5ゼオライトおよびそれと同じ系列に属すると考えられているゼオライトが好ましく用いられる。具体的には例えば前記ZSM−5の他に、英国特許1334243号明細書に記載されているZSM−8、特公昭53−23280号公報に記載されているZSM−11、米国特許4001346号明細書に記載されているZSM−21、特開昭53−144500号公報に記載されているZSM−35、特開昭51−67299号公報に記載されているゼオライトゼータ1および特開昭51−67298号公報に記載されているゼオライトゼータ3などが例示される。主空洞の入口が10員酸素環からなる構造特性を有するゼオライトであればもちろん前記例示に限定されず使用可能である。
また、ペンタシル型ゼオライトを製造する方法にはこれまで種々の方法が開示されている。例えば、特開昭52−115800号公報、特開昭53−134798号公報および特開昭57−123815号公報などを挙げることができる。かかるゼオライトを構成するシリカ/アルミナモル比としては10から100が好ましく用いられる。さらに好ましくは18から50である。シリカ/アルミナモル比が10から100の範囲の場合、触媒活性の点で好ましい。
前記ゼオライトが粉末状態である場合には、触媒として工業的に使用するには成型することが必要である。成型法には圧縮成型法、混練法、オイル・ドロップ法など種々の方法があるが、混練法が好ましく用いられる。混練法としては、バインダーが一般に必要であり、無機酸化物および/または粘土類が用いられる。
好ましく用いられるバインダーとしてアルミナゾル、アルミナゲルを挙げることができる。バインダー量はゼオライト100重量部に対して絶乾基準で5から30重量部、好ましくは10から20重量部である。成型性が悪いときには、混練時に塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化バリウムなどのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を添加したり、ポリビニールアルコール、スパン、レオドールなどの界面活性剤を添加すると効果がある。成型体はその後50から200℃で乾燥され、次いで350から600℃で焼成し、成型体強度を増加させる。
触媒成形体中で、ゼオライトは、一次結晶子が凝集して二次粒子を形成するが、触媒成型体中の二次粒子径は走査電子顕微鏡(SEM)で容易に調べることができる。触媒成型体中の主空洞の入口が10員酸素環からなるゼオライトの二次粒子径は最大5ミクロン以下が異性化触媒として適している。原料ゼオライトが無機酸化物および/または粘土類と均一に混合し成型される際、その二次粒子は一部崩れ分散されるが、触媒成型体中の主空洞の入口が10員酸素環からなるゼオライトの二次粒子が十分小さく、高度に分散されているほど触媒有効度が向上し、化芳香族化合物異性化反応の触媒活性が向上するので好ましい。触媒成型中の二次粒子径は成型条件およびかかる原料ゼオライト粉末の二次粒子径などにより制御される。成型条件としてはかかる原料ゼオライトと無機酸化物および/または粘土類の混合時の時間および水分率などが重要であり、例えば混練時間が長いほど触媒成型体中の二次粒子径は小さくなり好ましい。また、かかる原料ゼオライト粉末の二次粒子径は合成時の反応混合物組成比、結晶化時間、撹拌条件および乾燥方法などにより制御でき、使用する原料により異なり一概にはいえないので、適宜合成条件を選択する必要がある。これまでの知見によれば、合成時の反応混合物中のアルカリ度を低くしたり、結晶化時間を短くすると二次粒子径が小さくなる傾向がある。
異性化触媒として使用する場合、触媒成型体中に含まれる主空洞の入口が10員酸素環からなるゼオライトを酸型体にすることが好ましい。成型前に酸型体あるいは水素イオン前駆体であるアンモニウムイオンあるいは有機カチオンの形態の場合には必ずしも酸型体にする処理を新たに行う必要はないが、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンなどを含んでいる場合には酸型体にするためのイオン交換処理が行われる。イオン交換処理は無機酸、有機酸などの水溶液で直接に酸型にする場合と、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどの水溶液でイオン交換しアンモニウムイオンを導入し、次いで焼成することにより水素イオンに変換し、酸型体にする方法がある。酸水溶液でイオン交換するとかかるゼオライトの脱アルミニウムがおきやすいので、アンモニウム塩水溶液でイオン交換するのが好ましい。このようにして調製された触媒組成物は50から200℃で乾燥され、次いで350から600℃で焼成されハロゲン化芳香族化合物の異性化反応に供される。
DCBなどのハロゲン化芳香族化合物の異性化反応は、従来知られている種々の異性化操作に準じて行うことが可能であって、気相反応、液相反応いずれでも好結果が得られる。また、異性化反応方式は、固定床、移動床、流動床いずれの方法も用いられるが、操作の容易さから固定床流通反応方式が特に好ましい。反応温度は200から550℃、好ましくは250から500℃である。反応圧力は特に限定されるものではないが、液相反応の場合、反応系を液相状態に保つべく反応圧力を設定しなければならないのは言うまでもない。また、異性化反応時に水素、芳香族化合物、あるいは供給原料とは異なるポリハロゲン化芳香族化合物を共存させると、副反応の減少や触媒寿命の延長にしばしば効果がある。重量空間速度(WHSV)は0.05から30Hr−1、好ましくは0.1から20Hr−1である。
(低高沸カット)
異性化工程で得られる反応液中には、反応によって副生した低高沸成分が含まれ、そのまま異性化工程や分離工程に供給した場合、異性化触媒や、分離工程で用いられる吸着剤の性能を劣化させる可能性がある。そのため、異性化工程で得られる反応液から蒸留などにより低沸成分、高沸成分を除去することが望ましい。
(第1分離工程)
本発明において、第1分離工程では目的成分と目的外成分を分離する。分離方法としては任意の方法が適用できるが、DCBの場合は蒸留が好ましい。第1目的成分がm−DCB、第2目的成分がp−DCBの場合は、目的外成分であるo−DCBを缶出液として分離され、第2流れとして異性化工程へ供給される。第2分離工程に供給される第1流れ中には、目的成分のm−DCB、p−DSCが含まれ、目的外成分のo−DCB濃度は0.1質量%以上15.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以上5.0質量%以下であり、m−DCB濃度は40.0質量%以上80.0質量%以下が好ましく、p−DCB濃度は20.0質量%以上60.0質量%以下が好ましい。
第2流れ中のo−DCB濃度は70.0質量%以上99.9%以下好ましくは95.0質量%以上99.0質量%以下であり、m−DCB濃度は0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、p−DCB濃度は0.1質量%以上20質量%以下が好ましい。
(第2分離工程)
本発明において第2分離工程では第1流れに含まれる第1目的成分と第2目的成分を分離する。分離方法としては任意の方法が適用できるが、この実施形態の場合、吸着分離が好ましく採用され、擬似移動床吸着分離や、圧力スイング吸着分離などが好ましい。擬似移動床吸着分離を用いる場合、たとえば特開平4−330025号公報に示されるような分離方法を適用することができる。
第2分離工程で吸着分離を採用する場合、吸着剤としてはY型ゼオライトを用いることができる。ここでいうY型ゼオライトとは、フォージャサイト型ゼオライトに属する結晶性アルミノシリケートであってMn/2O・Al・xSiO・yHOで示される酸化物のモル比で構成される。ここで、Mは金属カチオンまたはプロトンでありnは金属Mまたはプロトンの原子価である。またxはシリカ/アルミナ比であり通常4.5〜6.0の範囲である。yは水和の程度により異なる。Mはカリウムイオンおよび鉛イオンを含むのが好ましい。全カチオン中のカリウムおよび鉛の割合は、通常、(PbO+KO)/Mn/2Oとして80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは90モル%以上である。カリウムイオンと鉛イオンの比は、Pb2+/(Pb2+2K)として10〜80モル%の範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜50モル%である。
吸着分離に用いる脱着剤には、脱着剤存在下で吸着剤の分離能力を損なわないこと、吸着剤に吸着剤に吸着したDCBを効率良く脱着できること、およびDCBと容易に分離できること等の特性が要求される。このような特性を満足する脱着剤としては、種々のアルキル置換またはハロゲン置換ベンゼン誘導体が利用できるが、その中でも特に3,4−ジクロロトルエンが好ましい。吸着分離の操作条件としては、温度は室温から350℃、好ましくは50から250℃であり、また圧力は大気圧から5.0MPaG(ゲージ圧)、好ましくは大気圧から4.0MPaG(ゲージ圧)である。吸着分離は気相でも液相でも実施され得るが、操作温度を低くして原料供給物または脱着剤の好ましくない副反応を減じるために液相で実施するのが好ましい。
第2分離工程により得られる第1目的成分の純度は99.6質量%以上が好ましい。上限は通常99.9質量%以下である。また、第2分離工程により第1目的成分を分離した残りの、第4流れ中のo−DCB濃度は1質量%以上50質量%以下、m−DCB濃度は1質量%以上50質量%以下、p−DCB濃度は50質量%以上90質量%以下が好ましい。
(第3分離工程)
本発明では、第2分離工程で第1目的成分を分離した残りの第4流れを第3分離工程に供し、第2目的成分を分離する。第3分離工程の分離方法としては任意の方法が適用できるが、DCBの場合、晶析分離または擬似移動床吸着分離が望ましい。
第3分離工程を晶析分離により分離する場合、p−DCBとm−DCB、p−DCBとo−DCBの共晶点は約−20℃であり、この時の晶析残液中p−DCB濃度は13質量%である。また、p−DCBの融点は約53℃であり、晶析槽の運転温度としては−15℃〜30℃が望ましい。また、求められるp−DCBの純度によっては、特公昭47−40621号公報に示される結晶精製装置を組み合わせてもよい。
この実施形態において、第2目的成分の純度は99.90質量%以上とすることができる。上限は通常99.99質量%以下である。また、第3分離工程により第2目的成分を分離したあとの、第6流れ中のo−DCB濃度は1質量%以上50質量%以下が好ましく、m−DCB濃度は1質量%以上50質量%以下が好ましく、p−DCB濃度は15質量%以上50質量%以下が好ましい。
(第6流れの循環)
特表2004−502746などで示されているように、従来、目的成分を取り除いた後の残液は異性化工程へ再供給されるのが一般的であった。しかしながら、キシレンの例では、異性化工程から得られる反応液におけるパラキシレンの割合は最高でも約22質量%であり、パラキシレン分離後の残液中の残存パラキシレン濃度が高いと、異性化によるパラキシレン生産効率が大きく損なわれる。そこで、パラキシレン分離のためには大がかりな設備を用いて多くのエネルギーを投入し、可能な限りパラキシレンを回収する必要があった。また、ジクロロベンゼンにおいても同様に、異性化工程から得られる反応液中のp−DCBの割合は最高でも約28質量%であり、異性化工程へ供給されるp−DCB濃度を下げる必要がある。
さらに、パラキシレンやp−DCBの分離にしばしば用いられる晶析分離において、共晶点による制約により、晶析残液中において達成できるパラキシレン濃度は7%、p−DCB濃度は13質量%が下限であり、それ以上回収することは困難である。晶析残液中に含まれるパラキシレンやp−DCBは異性化工程に再供給され、生産効率を悪化させる。
本発明では第3分離工程から得られる残液を第6流れとして第一分離工程に循環する。異性化工程には第1分離工程から分離された目的外成分が供給されるため、共晶点による制約と関係なく、異性化工程へ再供給される目的成分の濃度を低く抑えることが可能となり、異性化により生成する目的成分量を増やすことができる。また、二つの目的成分を生産するプロセスを志向することにより、生産量に比して小さな設備での効率的な生産を達成することができる。
さらに、原料中に含まれる目的成分濃度が高い場合には、第1分離工程に原料を供給することにより、異性化工程に流入する目的成分を増加させることなく、効率的な生産を行うことができる。そのため、本発明によって提案されるプロセスは、原料組成の変動に柔軟に対応できるといえる。
また、異性化工程で生じた低高沸成分の除去は、反応液、第1流れ、または第2流れのいずれから実施してもよいが、第1分離工程に蒸留分離を用いる場合、低沸成分は第1流れに、高沸成分は第2流れに多く含まれるため、第1分離工程から第3分離工程を通り第6流れで戻る循環流中に低沸成分が蓄積するのを防止する観点から、低沸成分の分離は第1流れから実施することが好ましく、分離にかかる負荷を低減する観点から、高沸成分の分離は第2流れから実施することが好ましい。第1分離工程に蒸留分離を用いる場合の代表的な実施形態を図2に示す。
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
(実施例1)
図3に実施例1のブロックフロー図を示す。原料としてo−DCB 90%,p−DCB 10%を含むmix−DCB溶液を異性化工程に供給し、低沸点成分蒸留塔、高沸点成分蒸留塔、o−DCB精留塔、吸着分離工程によりm−DCBを得て、晶析工程を経てp−DCBを製品として得た。晶析残液はo−DCB精留塔に、o−DCB精製塔の缶出液は異性化工程にリサイクルした。各工程の詳細は以下のとおり。
異性化触媒としてペンタシル型ゼオライトを特開平11−319573号公報の実施例1と同様の方法で調整したものを用いた。異性化反応塔の温度は約330℃、圧力は2.9MPaG(ゲージ圧)で運転した。WHSVは0.4Hr−1とした。
吸着分離には特開平4−33025号公報の実施例に記載の擬似移動床装置をスケールアップしたものを用いた。吸着剤にはm−DCB分離用のゼオライト吸着剤を特開平4−33025号公報の実施例1〜4に記載の方法により調整したものを用いた。吸着塔の運転条件を表1に示す。
Figure 2015143207
晶析分離には二つの晶析槽に加え溶融晶析装置を用いた。晶析槽の運転温度はそれぞれ29℃および13℃とし、溶融晶析装置における還流比は1とした。実施結果を表2に示す。
Figure 2015143207
(比較例1)
図4に比較例1のブロックフロー図を示す。晶析残液を異性化工程にリサイクルした以外は実施例1と同様の方法で実施した。結果を表3に示す。
Figure 2015143207
晶析残液を異性化工程にリサイクルした実施例1では、比較例1に比べて異性化で生成されるm−DCB、p−DCBが増えるため10、12で得られるm−CB,p−DCBの流量が増加した。
(実施例2)
図5に実施例2のブロックフロー図を示す。原料としてo−DCB 80%,p−DCB 20%を含むmix−DCB溶液をo−DCB精留塔に供給した以外は実施例1と同様の方法で実施した。結果を表4に示す。
Figure 2015143207
(比較例2)
図6に比較例2のブロックフロー図を示す。晶析残液を異性化工程にリサイクルした以外は実施例2と同様の方法で実施した。結果を表5に示す。
Figure 2015143207
晶析残液を異性化工程にリサイクルした実施例2では、比較例2に比べて異性化で生成されるm−DCB、p−DCBが増えるため10,12で得られるm−CB,p−DCBの流量が増加した。
本発明の方法により、ジクロロベンゼン、キシレンなどの芳香族異性体混合物から、少なくとも2種類の異性体を効率よく分離回収することができる。
1 第1流れ
2 第2流れ
3 第3流れ
4 第4流れ
5 第5流れ
6 第6流れ
7 原料
8 反応液
9 第2流れ(目的外成分:o−DCB)
10 第3流れ(第1目的成分:m−DCB)
11 第4流れ(晶析入)
12 第5流れ(第2目的成分:p−DCB)
13 第6流れ(晶析残液)

Claims (9)

  1. 少なくとも2つのアルキル基および/またはハロゲン基で置換された芳香族化合物異性体の混合物から、少なくとも2種類の異性体を分離する芳香族化合物異性体の製造方法であって、芳香族化合物異性体混合物中の目的成分濃度を異性化反応によって高める反応工程、反応工程から得られる反応液から目的成分を含む第1流れと、目的外の成分を含む第2流れに分離する第1分離工程、第1分離工程で得られた第1流れを第1目的成分を含む第3流れと、第2目的成分を含む第4流れに分離する第2分離工程、第2分離工程から得られる第4流れから第2目的成分を含む第5流れと、目的外成分および/または第1目的成分を含む第6流れを分離する第3分離工程、第1分離工程で得られた第2流れを異性化反応工程へ循環する工程、第3分離工程から得られた第6流れを第1分離工程に循環する工程を含むことを特徴とする2種類の芳香族化合物異性体の製造方法。
  2. 第1分離工程が蒸留分離であることを特徴とする請求項1記載の芳香族化合物異性体の製造方法。
  3. 蒸留分離の留出液である第1流れから低沸成分を除去する請求項2記載の芳香族化合物異性体の製造方法。
  4. 蒸留分離の缶出液である第2流れから高沸成分を除去する請求項2記載の芳香族化合物異性体の製造方法。
  5. 第2分離工程が吸着分離であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の芳香族化合物異性体の製造方法。
  6. 第3分離工程が晶析分離または吸着分離であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の芳香族化合物異性体の製造方法。
  7. 異性化反応工程へ循環する第1分離工程で得られた第2流れの目的外成分の濃度が70質量%以上であることを特徴とする1〜6のいずれか記載の芳香族化合物異性体の製造方法。
  8. 第2分離工程から得られる第4流れ中の第2目的成分濃度が50質量%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の芳香族化合物異性体の製造方法。
  9. 芳香族化合物がジクロロベンゼンまたはキシレンであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の芳香族化合物異性体の製造方法。
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