JP2015141752A - 導電膜形成用組成物、導電膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温焼成温度においても、導電性および平滑性に優れた導電膜を形成することができる、酸化銅粒子の分散安定性に優れた導電膜形成用組成物、および上記導電膜形成用組成物を用いた導電膜の製造方法を提供する。【解決手段】導電膜形成用組成物であって、平均一次粒子径が100nm以下である酸化銅粒子(A)と、有機物(B)と、周期律表の8族〜11族からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属触媒(C)と、水(D)とを含み、有機物(B)が、SP値が30.0〜35.0(MPa)1/2である3価のアルコール(B−1)と、沸点が100℃未満の有機溶媒(B−2)と、沸点が100以上250℃以下であり表面張力が35.0mN/m以下の有機溶媒(B−3)とを含有し、酸化銅粒子(A)およびアルコール(B−1)が所定量含まれる、導電膜形成用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、導電膜形成用組成物に係り、特に、特定の有機物を含む導電膜形成用組成物に関する。また、本発明は、導電膜形成用組成物を用いた導電膜の製造方法にも関する。
基材上に金属酸化物粒子の分散体を印刷法により塗布し、その後焼結させることによって、基材上に配線などの導電膜を形成する技術が知られている。
上記方法は、従来の高熱・真空プロセス(スパッタ)やめっき処理による配線形成法に比べて、簡便で、省エネルギーで、省資源であることから次世代エレクトロニクス開発において大きな期待を集めている。
例えば、特許文献1には、「銅、銀またはインジウムの高原子価化合物、直鎖、分岐または環状の炭素数1から18のアルコール類およびVIII族の金属触媒から成ることを特徴とする、銅、銀またはインジウムの金属膜製造用組成物。」が開示されている(請求項1)。
特開2010−121206号公報
一方、近年、各種デバイスの性能向上が求められており、それに伴って、デバイス中の配線基板などに使用される導電膜の導電性および平滑性(言い換えると、膜厚の均一性)のより一層の向上が求められている。
また、より一層の微細な配線パターンを形成する観点からは、導電膜の形成に使用される組成物中における金属酸化物粒子の凝集のより一層の抑制(言い換えれば、分散安定性のより一層の向上)も求められている。
このような中、本発明者らが、特許文献1を参考に、酸化銅粒子とアルコール(例えば、シクロヘキサノール)とVIII族の金属触媒(例えば、パラジウム元素を含む金属触媒)とを含有する組成物について検討したところ、分散安定性が昨今求められているレベルを必ずしも満たすものではないことが明らかになった。
また、上記組成物を使用して導電膜を形成したところ、導電性および平滑性が昨今求められているレベルを必ずしも満たすものではないことが明らかになった。特に、焼成温度が比較的低温(210℃以下)である場合にその傾向が顕著であった。
そこで、本発明は、上記実情を鑑みて、低温焼成温度においても、導電性および平滑性に優れた導電膜を形成することができる、酸化銅粒子の分散安定性に優れた導電膜形成用組成物、および上記導電膜形成用組成物を用いた導電膜の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特に、所定のSP値を示すアルコールと、有機溶媒2種とを使用することにより、所望の効果が得られることを知見し、本発明を完成させた。すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
(1) 導電膜形成用組成物であって、
平均一次粒子径が100nm以下である酸化銅粒子(A)と、有機物(B)と、周期律表の8族〜11族からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属触媒(C)と、水(D)とを含み、
有機物(B)が、SP値が30.0〜35.0(MPa)1/2である3価のアルコール(B−1)と、沸点が100℃未満の有機溶媒(B−2)(但し、アルコール(B−1)は除く)と、沸点が100℃以上250℃以下であり表面張力が35.0mN/m以下の有機溶媒(B−3)(但し、アルコール(B−1)は除く)とを含有し、
酸化銅粒子(A)の含有量が、導電膜形成用組成物の全質量に対して、2.0〜15.0質量%であり、
アルコール(B−1)の含有量が、導電膜形成用組成物の全質量に対して、15.0〜50.0質量%である、導電膜形成用組成物。
(2) アルコール(B−1)のSP値が32.0〜35.0(MPa)1/2である、(1)に記載の導電膜形成用組成物。
(3) 有機溶媒(B−2)の含有量が、有機溶媒(B−3)の全質量に対して80〜400質量%である、(1)または(2)に記載の導電膜形成用組成物。
(4) 金属触媒(C)の含有量が、導電膜形成用組成物の全質量に対して、0.20質量%以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の導電膜形成用組成物。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の導電膜形成用組成物を基材上に塗布して、塗膜を形成する塗膜形成工程と、
塗膜に対して加熱処理を行い、導電膜を形成する加熱処理工程とを備える、導電膜の製造方法。
(6) 加熱処理が、酸素濃度が100ppm以下の不活性ガス雰囲気下で、130〜210℃の範囲で30〜90分間加熱を行う処理である、(5)に記載の導電膜の製造方法。
(7) 基材の材質が、シリコン、ガラス、金属、セラミック、および、樹脂のいずれかである、(5)または(6)に記載の導電膜の製造方法。
(8) 塗膜形成工程の前に、基材に光照射を行い、基材表面の純水に対する接触角を40°以下にする照射工程をさらに備える、(5)〜(7)のいずれかに記載の導電膜の製造方法。
(9) 照射工程の後で塗膜形成工程の前に、基材表面を有機溶媒で洗浄する洗浄工程をさらに備える、(8)に記載の導電膜の製造方法。
(10) 導電膜の膜厚が80〜400nmである、(5)〜(9)のいずれかに記載の導電膜の製造方法。
以下に示すように、本発明によれば、低温焼成温度においても、導電性および平滑性に優れた導電膜を形成することができる、酸化銅粒子の分散安定性に優れた導電膜形成用組成物、および上記導電膜形成用組成物を用いた導電膜の製造方法を提供することができる。
以下に、本発明の導電膜形成用組成物、および、上記導電膜形成用組成物を用いた導電膜の製造方法について説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[導電膜形成用組成物]
本発明の導電膜形成用組成物(以下、単に、組成物とも言う)は、平均一次粒子径が100nm以下である酸化銅粒子(A)と、有機物(B)と、周期律表の8族〜11族からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属触媒(C)と、水(D)とを含有する。
本発明の組成物の特徴点の一つとしては、有機物(B)として、所定のSP値を示すアルコール(B−1)、沸点100℃未満の有機溶媒(B−2)、および、沸点100〜250℃で所定の表面張力を示す有機溶媒(B−3)を使用している点が挙げられる。
まず、アルコール(B−1)を使用することにより、酸化銅粒子の還元が効率よく進行し、導電性に優れた導電膜が得られやすくなる。また、有機溶媒(B−2)および有機溶媒(B−3)を併用することにより、塗膜形成時に沸点の低い有機溶媒(B−2)が先に揮発して塗膜が形成される際に、有機溶媒(B−3)の存在により塗膜の表面張力が低く抑えられ、塗膜の収縮が抑制される。結果として、平滑性および導電性に優れる導電膜が得られやすくなる。
以下では、まず、導電膜形成用組成物の各成分について詳述し、その後、導電膜形成用組成物の調製方法、および、導電膜の製造方法について詳述する。
<酸化銅粒子(A)>
本発明の組成物に含有される酸化銅粒子(A)は、平均一次粒子径が100nm以下である粒子状の酸化銅であれば特に制限されない。
粒子状とは小さい粒状を指し、その具体例としては、球状、楕円体状などが挙げられる。完全な球や楕円体である必要は無く、一部が歪んでいてもよい。
酸化銅粒子(A)は、酸化銅(I)粒子(Cu2O粒子)または酸化銅(II)粒子(CuO粒子)であることが好ましく、安価に入手可能である点、空気中での安定性に優れる点、および、還元反応性に優れる点から、酸化銅(II)粒子であることがより好ましい。
酸化銅粒子(A)の平均一次粒子径は100nm以下であれば特に制限されないが、30〜60nmであることが好ましい。平均一次粒子径の下限は特に制限されないが、1nm以上であることが好ましい。酸化銅粒子の平均一次粒子径が100nmを超えると分散安定性が低下し、また、得られる導電膜の平滑性および導電性が不十分となる。
なお、上記平均一次粒子径は、日本電子(株)社製の透過型電子顕微鏡TEM2010(加圧電圧200kV)を用いて撮影された画像から任意に選択した一次粒子1000個の粒子径(円相当径)を測定し、それらを算術平均して求める。なお、円相当径とは、観察時の粒子の投影面積と同じ投影面積をもつ真円を想定したときの当該円の直径である。
本発明の組成物中において、酸化銅粒子(A)は一部が凝集していてもよく、凝集している場合、得られる導電膜の平滑性および導電性がより優れる点で、酸化銅粒子(A)の体積平均二次粒子径は70〜150nmが好ましく、80〜130nmがより好ましい。
なお、体積平均二次粒子径の測定方法としては、イオン交換水で酸化銅粒子濃度が0.04質量%になるように導電膜形成用組成物を希釈し、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)で動的光散乱法により測定する。
また、酸化銅粒子(A)の一部が凝集している場合、本発明の酸化銅粒子(A)の会合度(上記体積平均二次粒子径/上記平均一次粒子径)は特に制限されないが、得られる導電膜の平滑性および導電性がより優れる点で、1.0超5.0以下が好ましく、1.5〜3.0がより好ましい。
本発明の組成物において、酸化銅粒子(A)の含有量は、組成物の全質量に対して、2.0〜15.0質量%であり、酸化銅粒子の分散安定性、導電膜の導電性、および、導電膜の平滑性の少なくともいずれか1つがより優れる点(以後、単に「本発明の効果がより優れる点」とも称する)で、4.0〜15.0質量%が好ましい。
酸化銅粒子(A)の含有量が、組成物の全質量に対して2.0質量%未満または15.0質量%超である場合、分散安定性が不十分となるか、また、得られる導電膜の平滑性および/または導電性が不十分となる。
<有機物(B)>
本発明の組成物には、SP値が30.0〜35.0(MPa)1/2である3価のアルコール(B−1)と、沸点が100℃未満の有機溶媒(B−2)(但し、上記アルコール(B−1)は除く)と、沸点が100〜250℃であり表面張力が35.0mN/m以下の有機溶媒(B−3)(但し、上記アルコール(B−1)は除く)の3種類を少なくとも含有する有機物(B)が含まれる。有機物(B)は、上述したように、酸化銅粒子(A)の分散安定性向上、並びに、導電膜の導電性および平滑性向上に寄与する。なお、有機物(B)には、後述する水(D)は含まれない。
以下、それぞれの成分について詳述する。
(アルコール(B−1))
アルコール(B−1)のSP値は30.0〜35.0(MPa)1/2であり、酸化銅粒子の分散安定性および/または導電膜の導電性がより優れる点で、32.0〜35.0(MPa)1/2が好ましく、33.0〜34.5(MPa)1/2がより好ましい。
なお、SP値とは、溶解度パラメータ(SP値)であり、分子凝集エネルギーの平方根で表される値である。SP値については、Polymer HandBook(Second Edition)第IV章 Solubility Parameter Valuesに記載があり、その値を本発明におけるSP値とする。また、単位は(MPa)1/2であり、25℃における値を指す。なお、データの記載がないものについては、R.F.Fedors,Polymer Engineering Science,14,p147〜154(1974)に記載の方法で計算した値を本発明におけるSP値とする。
アルコール(B−1)は、3価のアルコールである。つまり、ヒドロキシ基(水酸基)を3つ含む化合物である。
上記SP値を示すアルコール(B−1)としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,3−ブタントリオールなどの3価のアルコールが挙げられる。
また、アルコール(B−1)としては、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(有機溶媒(B−2):低沸点有機溶媒)
有機溶媒(B−2)は、沸点100℃未満の有機溶媒であり、本発明の効果がより優れる点で、沸点は90℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。なお、下限は特に制限されないが、取扱い性により優れる点から、50℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましい。
なお、本明細書において、“沸点”とは、圧力1atmのもとでの沸点を意味する。
有機溶媒(B−2)としては上記沸点の要件を満たしてれば特にその種類は限定されないが、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、アミド系溶媒、アセトニトリルなどのニトリル系溶媒、酢酸メチルなどのエステル系溶媒、ジメチルカーボネートなどのカーボネート系溶媒、この他にも、エーテル系溶媒、グリコール系溶媒、アミン系溶媒、チオール系溶媒、ハロゲン系溶媒などが挙げられる。
なかでも、後述する金属触媒(C)の組成物中における溶解性がより向上する点で、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒が好ましい。
但し、上記有機溶媒(B−2)には、上述したアルコール(B−1)は含まれない。
また、有機溶媒(B−2)としては、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(有機溶媒(B−3):高沸点有機溶媒)
有機溶媒(B−3)の沸点100以上250℃以下であり、本発明の効果がより優れる点で、110〜250℃が好ましく、150〜250℃がより好ましい。
有機溶媒(B−3)の表面張力は、35.0mN/m以下であり、本発明の効果がより優れる点で、30.0mN/m以下が好ましく、28.0mN/m以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、導電膜の平滑性の点から、20.0mN/m以上が好ましい。
表面張力が35.0mN/m超の場合、導電膜の導電性および平滑性が劣る。
なお、本明細書において、表面張力とは25℃における表面張力を意図し、一般的に用いられる表面張力計(例えば、協和界面科学(株)製、表面張力計CBVP−Z等)を用いて、ウィルヘルミー法で液温25℃にて測定することに求められる。
有機溶媒(B−3)としては上記沸点および上記表面張力の要件を満たしてれば特にその種類は限定されないが、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、カーボネート系溶媒、エーテル系溶媒、グリコール系溶媒、アミン系溶媒、チオール系溶媒、ハロゲン系溶媒などが挙げられる。
なかでも、酸化銅粒子(A)の組成物中における分散性がより向上する点で、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、グリコール系溶媒が好ましい。
但し、上記有機溶媒(B−3)には、上述したアルコール(B−1)は含まれない。
また、有機溶媒(B−3)としては、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記アルコール(B−1)の組成物中における含有量としては、組成物全質量に対して、15.0〜50.0質量%であり、本発明の効果がより優れる点で、20.0〜50.0質量%が好ましく、30.0〜45.0質量%がより好ましい。
なお、アルコール(B−1)の含有量が15.0質量%未満および50.0質量%超の場合、導電膜の導電性および/または平坦性が劣る。
上記有機溶媒(B−2)の組成物中における含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、5.0〜35.0質量%が好ましく、5.0〜30.0質量%がより好ましい。
上記有機溶媒(B−3)の組成物中における含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、3.0〜20.0質量%が好ましく、5.0〜15.0質量%がより好ましく、6.0〜10.0質量%がさらに好ましい。
アルコール(B−1)と酸化銅粒子(A)との混合割合は特に制限されないが、導電膜の導電性がより優れる点で、アルコール(B−1)の含有量は、酸化銅粒子(A)100質量部に対して、300〜1000質量部であることが好ましく、500〜900質量部であることがより好ましい。
また、アルコール(B−1)と有機溶媒(B−3)との混合割合は特に制限されないが、導電膜の導電性がより優れる点で、有機溶媒(B−3)の含有量は、アルコール(B−1)の全質量に対して、10〜75質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましく、10質量%超40質量%未満がさらに好ましい。
有機溶媒(B−2)と有機溶媒(B−3)との混合割合は特に制限されないが、酸化銅粒子の分散安定性または導電膜の平滑性がより優れる点で、有機溶媒(B−2)の含有量は、有機溶媒(B−3)の全質量に対して、50〜500質量%であることが好ましく、80〜400質量%であることがより好ましい。
<金属触媒(C)>
本発明の組成物には、周期律表の8族〜11族からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属触媒(C)が含まれる。金属触媒は、上述した酸化銅粒子(A)の還元性を高めると共に、導電膜の導電性向上に寄与する。
金属触媒(C)は周期律表の8族〜11族からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素(金属)を含み、本発明の効果がより優れる点で、金属元素としては、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、および、ニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素が好ましく、銀、白金、パラジウム、および、ニッケルからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素がより好ましく、パラジウムまた白金が特に好ましく、得られる導電膜の導電性がより優れる理由から、パラジウムが最も好ましい。すなわち、得られる導電膜の導電性がより優れる理由から、金属触媒(C)は、パラジウムを含む金属触媒であることが好ましい。
金属触媒(C)の好適な態様としては、例えば、パラジウム塩、パラジウム錯体が挙げられる。
上記パラジウム塩の種類は特に制限されず、その具体例としては、パラジウムの塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩などが挙げられる。なかでも、カルボン酸塩であることが好ましい。
上記カルボン酸塩を形成するカルボン酸の炭素数は特に制限されないが、1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。カルボン酸塩を形成するカルボン酸はハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)を有してもよい。
上記パラジウム錯体の種類は特に制限されず、その配位子としては、例えば、2,2’−ビピリジル、1,10−フェナントロリン、メチレンビスオキサゾリン、N,N,N’N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェノキシホスフィン、1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン、1,3−ビスジフェニルホスフィノプロパンなどが挙げられる。
なかでも、トリフェニルホスフィンであることが好ましい。
トリフェニルホスフィンを配位子とするパラジウム錯体の種類は特に制限されないが、その具体例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどが挙げられる。なかでも、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムが好ましい。
パラジウム塩またはパラジウム錯体は、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウムおよびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましく、酢酸パラジウムであることがより好ましい。
本発明の組成物に含有される金属触媒(C)の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、導電膜形成用組成物の全質量に対して0.20質量%以下であることが好ましく、0.05〜0.18質量%であることがより好ましい。
金属触媒(C)と酸化銅粒子(A)との含有割合は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、金属触媒(C)の含有量が酸化銅粒子(A)の全質量に対して、0.5〜6.0質量%であることが好ましく、0.5〜4.0質量%であることがより好ましい。
<水(D)>
本発明の組成物は、水(D)を含有する。
本発明の組成物に含有される水(D)の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、組成物全質量に対して、10〜50質量%が好ましく、20〜45質量%がより好ましい。
<その他成分>
本発明の組成物には、上記各成分以外の成分が含まれていてもよい。
例えば、本発明の組成物には、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤は、酸化銅粒子(A)の分散性をさらに向上する役割や、導電膜の平滑性を向上させる役割を果たす。界面活性剤の種類は特に制限されず、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。これら界面活性剤は、1種を単独、または2種以上を混合して用いることができる。
本発明の組成物の粘度は、インクジェット、スクリーン印刷等の印刷用途に適するような粘度に調整させることが好ましい。インクジェット吐出を行う場合、1〜50cPであることが好ましく、1〜40cPであることがより好ましい。スクリーン印刷を行う場合は、1000〜100000cPであることが好ましく、10000〜80000cPであることがより好ましい。
本発明の組成物の調製方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、上記各成分を混合した後、超音波法(例えば、超音波ホモジナイザーによる処理)、ビーズミル法、ミキサー法、3本ロール法、ボールミル法などの公知の手段により成分を分散させることによって調製することができる。
<導電膜の製造方法>
本発明の導電膜の製造方法は特に制限されないが、基材上に上述した本発明の組成物を塗布して、塗膜を形成する塗膜形成工程と、上記塗膜に対して加熱処理を行い、導電膜を形成する加熱処理工程とを備えることが好ましい。
以下に、それぞれの工程について詳述する。
<塗膜形成工程>
本工程は、基材上に上述した本発明の組成物を塗布して、塗膜を形成する工程である。本工程により加熱処理工程前の前駆体膜が得られる。
本工程で使用される基材の材質としては、公知のものを用いることができる。
基材の材質としては、例えば、シリコン、ガラス、金属、セラミック、または、樹脂などが挙げられる。なかでも、フレキシブル性に優れる点で、樹脂を含む基材(樹脂基材)が好ましい。
本工程で使用される基材の材質が樹脂である場合、樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN))、ポリアセタール樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、セルロース誘導体などが挙げられる。
なかでも、ポリエステル樹脂であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレンナフタレート(PEN)であることがより好ましい。
すなわち、樹脂基材はポリエステル樹脂基材であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)基材またはポリエチレンナフタレート(PEN)基材であることがより好ましい。
基材の厚さは特に制限されないが、1〜1000μmであることが好ましい。
基材上に本発明の組成物を塗布して、塗膜を形成する方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。
塗布の方法としては、例えば、ダブルロールコータ、スリットコータ、エアナイフコータ、ワイヤーバーコータ、スライドホッパー、スプレーコータ、ブレードコータ、ドクターコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、トランスファーロールコータ、エクストロージョンコータ、カーテンコータ、ディップコーター、ダイコータ、グラビアロールによる塗工法、スクリーン印刷法、ディップコーティング法、スプレー塗布法、スピンコーティング法、インクジェット法、反転印刷法などが挙げられる。なかでも、簡便であり、また、サイズの大きい導電膜を製造することが容易であることから、スクリーン印刷法またはインクジェット法であることが好ましく、インクジェット法であることがより好ましい。なお、本明細書においては、塗布の方法の一つとして、印刷法が含まれる。
塗布の形状は特に制限されず、樹脂基材全面を覆う面状であっても、パターン状(例えば、配線状、ドット状)であってもよい。
本工程における本発明の組成物の塗布量は特に制限されないが、0.4〜17.0mg/cm2であることが好ましく、得られる導電膜の導電性がより優れる理由から、0.5〜12.0mg/cm2であることがより好ましい。
なお、基材上に本発明の組成物を塗布した後、必要に応じて、乾燥処理を施してもよい。乾燥処理を施すことにより、後述する加熱処理工程において、導電膜中において気化膨張に起因する微小なクラックや空隙の発生を抑制することができる理由から好ましい。乾燥処理の方法としては従来公知の方法を使用することができる。乾燥処理の温度は特に制限されないが、50〜100℃であることが好ましい。乾燥処理の時間も特に制限されないが、1〜30分であることが好ましい。
上記塗膜形成工程の前に、必要に応じて、基材に光照射を行い、基材表面の純水に対する接触角を40°以下にする照射工程をさらに実施してもよい。本工程を実施することにより、導電膜の導電性および平滑性がより向上する。
光照射としては、紫外線照射、または、プラズマ照射が好ましく挙げられる。なかでも、導電膜の平滑性がより優れる点で、紫外線照射を行うことが好ましい。
光照射の条件は特に制限されず、基材表面の純水に対する接触角が所定の範囲になるように最適な条件が選択されるが、導電膜の平滑性がより優れる点および生産性の点で照射時間は、30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましい。
光照射が施された基材表面の純水に対する接触角は40°以下となるように調整され、なかでも、導電膜の平滑性がより優れる点で、35°以下が好ましく、30°以下がより好ましい。なお、下限は特に制限されないが、基材の材質の点から、5°以上の場合が多い。
なお、接触角の測定方法としては、接触角測定装置DM-SAやPCA-1(協和界面科学社製)を用いて測定することができる。より具体的には、測定には純水を用い、着滴から測定までの待ち時間を5000msとして、JIS−R3257に記載してある「静滴法」に準拠したθ/2法で測定する。
また、上記照射工程の後で、後述する加熱処理工程の前に、基材を有機溶媒で洗浄する洗浄工程を設けてもよい。洗浄工程を設けることにより、導電膜の平滑性がより優れる。
使用される有機溶媒の種類は特に制限されず、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、カーボネート系溶媒、エーテル系溶媒、グリコール系溶媒、アミン系溶媒、チオール系溶媒、ハロゲン系溶媒などが挙げられ、なかでも、アルコール系溶媒が好ましい。
洗浄の方法は特に制限されず、例えば、有機溶媒中に基材を浸漬する方法や、基材上に有機溶媒を塗布した後払拭等で除去する方法などが挙げられる。
<加熱処理工程>
本工程は、上記塗膜形成工程で形成された塗膜に対して加熱処理(焼成処理)を行い、酸化銅粒子(A)を還元して、銅を含有する導電膜を形成する工程である。
加熱処理の温度は特に制限されないが、80〜500℃であることが好ましく、100〜400℃であることがより好ましく、130〜210℃であることがさらに好ましい。
また、加熱時間は特に制限されないが、1〜120分間であることが好ましく、10〜90分間であることがより好ましく、30〜90分間であることがさらに好ましい。
また、加熱処理の雰囲気は特に制限されないが、大気雰囲気、不活性雰囲気または還元性雰囲気(例えば、水素、一酸化炭素、ギ酸、アルコール)であることが好ましく、不活性雰囲気(好ましくは、窒素雰囲気またはアルゴン雰囲気)であることがより好ましい。
加熱処理を不活性ガス雰囲気下で行う場合、不活性ガス雰囲気の酸素濃度は、200ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましく、50ppm以下であることがもっとも好ましい。
なお、加熱処理の方法は特に制限されず、焼結装置(特にRTA(rapid thermal anneal)焼結装置)、オーブン、ホットプレートなどの公知の加熱処理装置によって行われる。なかでも、不活性雰囲気中に設置したホットプレートまたはイナートオーブンによって行われるのが好ましい。
(導電膜)
上述した製造方法により、導電膜が製造される。
導電膜の膜厚は特に制限されず、使用される用途に応じて適宜最適な平均膜厚が調整される。なかでも、導電膜の導電性がより優れる点から、80〜400nmが好ましく、200〜400nmがより好ましい。
なお、膜厚は、導電膜の任意の点における厚さを3箇所以上測定し、その値を算術平均して得られる値(平均値)である。
導電膜は基材の全面、または、パターン状に設けられてもよい。パターン状の導電膜は、プリント配線基板などの導体配線(配線)として有用である。
パターン状の導電膜を得る方法としては、上述した本発明の組成物をパターン状に基材に付与して、上記加熱処理を行う方法や、基材全面に設けられた導電膜をパターン状にエッチングする方法などが挙げられる。
エッチングの方法は特に制限されず、公知のサブトラクティブ法、セミアディティブ法などを採用できる。
パターン状の導電膜を多層配線基板として構成する場合、パターン状の導電膜の表面に、さらに絶縁膜(絶縁樹脂層、層間絶縁膜、ソルダーレジスト)を積層して、その表面にさらなる配線(金属パターン)を形成してもよい。
絶縁膜の材料は特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、アラミド樹脂、結晶性ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂、フッ素含有樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、全フッ素化ポリイミド、全フッ素化アモルファス樹脂など)、ポリイミド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶樹脂など挙げられる。
これらの中でも、密着性、寸法安定性、耐熱性、電気絶縁性等の観点から、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂または液晶樹脂が好ましく、より好ましくはエポキシ樹脂である。具体的には、味の素ファインテクノ(株)製、ABF GX−13が挙げられる。
また、配線保護のために用いられる絶縁膜の材料の一種であるソルダーレジストについては、例えば、特開平10−204150号公報や、特開2003−222993号公報等に詳細に記載され、ここに記載の材料を所望により本発明にも適用することができる。ソルダーレジストは市販品を用いてもよく、具体的には、例えば、太陽インキ製造(株)製PFR800、PSR4000(商品名)、日立化成工業(株)製 SR7200G、などが挙げられる。
上記導電膜は種々の用途に使用することができるが、プリント配線板の配線、有機薄膜トランジスタの電極(例えば、ソース電極、ドレイン電極)として特に有用である。
以下、実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例A:実施例1〜14、比較例1〜8>
<導電膜形成用組成物の調製>
酸化第二銅粒子(シーアイ化成(株)製、NanoTek CuO、平均一次粒子径(48nm))45質量部と、イオン交換水55質量部とを混合し、レディーミル分散機(アイメックス社製のビーズミル分散機)を用いて、ビーズ径0.05mmφのジルコニアビーズにより、体積平均二次粒子径が128nmとなるまで分散し、酸化銅分散体を得た。なお、この体積平均二次粒子径は、イオン交換水で酸化第二銅粒子濃度が0.04質量%になるように分散体を希釈し、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)で動的光散乱法により測定した。この酸化銅分散体および下記表1に示される成分を同表に示される配合量(質量%)で混合し、スターラーで10分間攪拌処理することで導電膜形成用組成物を調製した。
(分散安定性評価)
導電膜形成用組成物について、調製直後の酸化銅粒子の体積平均二次粒子径(D1)を測定した。同様に、調製に用いた原料である酸化銅分散体中の酸化銅粒子の体積平均二次粒子径(D2)を測定した。測定用の液は、酸化銅分散体および導電膜形成用組成物中の酸化銅粒子の濃度が0.04質量%となるようにイオン交換水で希釈して作製した。なお、この体積平均二次粒子径は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)で動的光散乱法により測定した。
上記測定結果より、体積平均二次粒子径の増加量(D1−D2)を求め、以下の基準に基づき、分散安定性を評価した。結果を第1表に示す。AまたはBであることが好ましく、Aであることがより好ましい。
・「A」:体積平均二次粒子径の増加量が10nm以内。
・「B」:体積平均二次粒子径の増加量が10nm超、30nm以内。
・「C」:体積平均二次粒子径の増加量が30nm超。
<導電膜の製造>
ポリエチレンナフタラート(PEN)基材(テオネックス(R)Q65F,帝人デュポン社製)上に、各導電膜形成用組成物を塗布した。次いで、O2濃度80ppm〜100ppmの雰囲気中に設置したホットプレートを用いて、表1に記載の焼成温度および時間にて焼結処理(加熱処理)を施し、基材上に導電膜を作製した。
なお、表1において、なお、「UV照射」欄が「あり」の実施例および比較例においては、上記導電膜形成用組成物を塗布する前に、以下の手順に従って、UV照射および有機溶媒での洗浄を行った。
UV照射は、セン特殊光源株式会社製PM1102−3低圧水銀ランプ(17mW/cm2)を3分間照射して行った。なお、UV照射後の基材表面の純水に対する接触角は、40°以下であった。接触角の測定方法は、上述の方法に従って実施した。
有機溶媒での洗浄は、エタノールによる払拭を行った。
(平滑性評価)
得られた各導電膜について、導電膜の垂直断面(基材表面に対して法線方向で導電膜を切った際に観察される断面)をSEM観察して、以下の基準に基づき、平滑性を評価した。結果を第1表に示す。実用上、A〜Cであることが好ましい。
「A」:SEMにより断面観察したときに最も厚い部分の膜厚が、平均値(平均膜厚)に対して1.5倍未満。
「B」:SEMにより断面観察したときに最も厚い部分の膜厚が、平均値(平均膜厚)に対して1.5倍以上2倍未満。
「C」:目視では薄い部分と濃い部分とがあるのは検知できないが、SEMにより断面観察したときに最も厚い部分の膜厚が、平均値(平均膜厚)に対して2倍以上。
「D」:目視で導電膜の薄い部分と濃い部分とがあるのがはっきり分かる。
(導電性評価)
得られた各導電膜について、四探針法抵抗計を用いて体積抵抗率を測定した。測定された体積抵抗率から、以下の基準に基づき、導電性を評価した。結果を第1表に示す。実用上、A〜Cであることが好ましい。
・「A」:体積抵抗率が10μΩ・cm以上30μΩ・cm未満
・「B」:体積抵抗率が30μΩ・cm以上100μΩ・cm未満
・「C」:体積抵抗率が100μΩ・cm以上1000μΩ・cm未満
・「D」:体積抵抗率が1000μΩ・cm以上
なお、表1中の各成分の詳細は以下のとおりである。
・酸化銅:酸化銅粒子(シーアイ化成社製、NanoTek CuO、酸化銅(II)粒子(CuO粒子)、平均一次粒子径:48nm)
表1中、組成物欄における数値は、組成物中における各成分の質量%を意図する。酸化銅の質量は、酸化銅固形分の質量%である。
また、表1中、「B−1」成分中のカッコ内にはSP値を示す(例えば、トリメチロールプロパン(34.5(MPa)1/2)とは、トリメチロールプロパンのSP値が34.5(MPa)1/2であることを示す。)。
また、表1中、「B−2」および「B−3」成分中のカッコ内には、左から沸点および表面張力を示す(例えば、アセトン(56.5℃、23.3mN/m)とは、アセトンの沸点が56.5℃で、表面張力が23.3mN/mであることを示す)。
また、表1中、導電膜の膜厚は、平均膜厚を意図し、その測定方法は上述の通りである。
表1に示すように、本発明の組成物を使用した実施例においては、酸化銅粒子の分散安定性に優れ、得られる導電膜の導電性および平滑性にも優れていた。
また、実施例1と実施例2との比較より、UV照射による照射工程を実施した場合、導電膜の導電性および平滑性がより向上することが確認された。
また、実施例2、3および4の比較より、アルコール(B−1)の質量が酸化銅粒子(A)の質量に対して5倍以上の場合、分散安定性、並びに、導電膜の導電性および/または平滑性がより向上することが確認された。
また、実施例5と7との比較、および、実施例6と8との比較より、有機溶媒(B−3)の質量がアルコール(B−1)の質量に対して、10質量超40質量%未満の場合、導電膜の導電性および/または平滑性がより向上することが確認された。
また、実施例10〜12の比較より、有機溶媒(B−3)として、1,2−ヘキサンジオール、ブタノールがより好ましいことが確認された。
一方、所定の有機溶媒(B−2)が使用されていない比較例1、所定の有機溶媒(B−3)が使用されていない比較例2〜3、アルコール(B−1)の含有量が所定範囲でない比較例4〜5、酸化銅粒子(A)の含有量が所定範囲でない比較例7〜8においては、所望の効果が得られなかった。
また、比較例6は、特許文献1の実施例欄で使用されていたシクロヘキサノールを用いた態様であり、この態様では所望の効果が得られなかった。
<実施例B:実施例15〜18>
後述する表2に示される成分を同表に示される配合量(質量%)で混合して得られる組成物を使用して、ポリエチレンナフタラート(PEN)基材(テオネックス(R)Q65F,帝人デュポン社製)の代わりにガラス基板を使用し、表2に示す焼成温度および時間にて焼結処理(加熱処理)を施した以外は、実施例Aと同様の手順に従って、導電膜を製造し、各種評価を実施した。
なお、実施例Bにおいては、実施例Aで行ったUV照射および有機溶媒での洗浄は実施しなかった。
表2に示すように、導電膜の厚みが200nm以上の場合、導電性がより優れることが確認された。
<実施例C:実施例19〜21>
後述する表3に示される成分を同表に示される配合量(質量%)で混合して得られる組成物を使用して、ポリエチレンナフタラート(PEN)基材(テオネックス(R)Q65F,帝人デュポン社製)の代わりにガラス基板を使用し、表3に示す焼成温度および時間にて焼結処理(加熱処理)を施した以外は、実施例Aと同様の手順に従って、導電膜を製造し、各種評価を実施した。
なお、実施例Cにおいては、実施例Aで行ったUV照射および有機溶媒での洗浄は実施しなかった。
表3に示すように、SP値が32.0〜35.0のアルコール(B−1)を使用すると、分散安定性がより向上することが確認された。
<実施例D:実施例22〜25>
後述する表4に示される成分を同表に示される配合量(質量%)で混合して得られる組成物を使用して、ポリエチレンナフタラート(PEN)基材(テオネックス(R)Q65F,帝人デュポン社製)の代わりにガラス基板を使用し、表4に示す焼成温度および時間にて焼結処理(加熱処理)を施した以外は、実施例Aと同様の手順に従って、導電膜を製造し、各種評価を実施した。
なお、実施例Dにおいては、実施例Aで行ったUV照射および有機溶媒での洗浄は実施しなかった。
表4に示すように、有機溶媒(B−2)の含有量が、有機溶媒(B−3)の全質量に対して80〜400質量%であると、分散安定性、または、導電膜の平滑性がより向上することが確認された。

Claims (10)

  1. 導電膜形成用組成物であって、
    平均一次粒子径が100nm以下である酸化銅粒子(A)と、有機物(B)と、周期律表の8族〜11族からなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む金属触媒(C)と、水(D)とを含み、
    前記有機物(B)が、SP値が30.0〜35.0(MPa)1/2である3価のアルコール(B−1)と、沸点が100℃未満の有機溶媒(B−2)(但し、前記アルコール(B−1)は除く)と、沸点が100℃以上250℃以下であり表面張力が35.0mN/m以下の有機溶媒(B−3)(但し、前記アルコール(B−1)は除く)とを含有し、
    前記酸化銅粒子(A)の含有量が、前記導電膜形成用組成物の全質量に対して、2.0〜15.0質量%であり、
    前記アルコール(B−1)の含有量が、前記導電膜形成用組成物の全質量に対して、15.0〜50.0質量%である、導電膜形成用組成物。
  2. 前記アルコール(B−1)のSP値が32.0〜35.0(MPa)1/2である、請求項1に記載の導電膜形成用組成物。
  3. 前記有機溶媒(B−2)の含有量が、前記有機溶媒(B−3)の全質量に対して、80〜400質量%である、請求項1または2に記載の導電膜形成用組成物。
  4. 前記金属触媒(C)の含有量が、前記導電膜形成用組成物の全質量に対して、0.20質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電膜形成用組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電膜形成用組成物を基材上に塗布して、塗膜を形成する塗膜形成工程と、
    前記塗膜に対して加熱処理を行い、導電膜を形成する加熱処理工程とを備える、導電膜の製造方法。
  6. 前記加熱処理が、酸素濃度が100ppm以下の不活性ガス雰囲気下で、130〜210℃の範囲で30〜90分間加熱を行う処理である、請求項5に記載の導電膜の製造方法。
  7. 前記基材の材質が、シリコン、ガラス、金属、セラミック、および、樹脂のいずれかである、請求項5または6に記載の導電膜の製造方法。
  8. 前記塗膜形成工程の前に、前記基材に光照射を行い、前記基材表面の純水に対する接触角を40°以下にする照射工程をさらに備える、請求項5〜7のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  9. 前記照射工程の後で前記塗膜形成工程の前に、前記基材表面を有機溶媒で洗浄する洗浄工程をさらに備える、請求項8に記載の導電膜の製造方法。
  10. 前記導電膜の膜厚が80〜400nmである、請求項5〜9のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
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