JP2013206720A - 導電膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電膜の内部における空隙(ボイド)の発生を抑制することができると共に、高い導電性を有する導電膜を製造することができる導電膜の製造方法を提供する。
【解決手段】銅酸化物微粒子と、加熱によりアルカリを発生させるアルカリ発生剤とを含む分散体を基材に付与する工程と、前記分散体を加熱する工程と、前記分散体に光を照射して、前記銅酸化物微粒子を焼結する工程と、を含むことを特徴とする導電膜の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電膜の内部における空隙(ボイド)の発生を抑制することができると共に、高い導電性を有する導電膜を製造することができる導電膜の製造方法に関する。
従来より、電子材料の分野において、基板上に金属薄膜を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法、メッキ法及び金属ペースト法等が利用されている。例えば、金属ペースト法は、金属酸化物のペーストを基板上に塗布して、これを加熱処理することにより金属薄膜を形成する方法である。金属ペースト法によると、真空装置等の特別な装置が不要であるため、比較的容易に金属薄膜を形成することができる。
しかしながら、この方法によると、金属抵抗値が低い薄膜を得るために高い温度で加熱処理するため、耐熱性が高い基材を使用する必要があり、基材が制限されるという問題点がある。
そこで、最近では、金属酸化物及び還元剤を含む分散液からなる配線基板形成用インクが先行特許文献1に開示されており、エネルギービームを照射することにより金属酸化物を還元して、微細な導電パターンを得る方法が記載されている。
また、基板上に銅ナノ粒子を含有するフィルムを堆積させ、このフィルム中の銅ナノ粒子に対して、光焼結と還元とを同時に行う方法が、先行特許文献2に記載されている。この方法によると、金属薄膜の材料として銅を利用することにより、低コストを実現することができると共に、基板との密着性が優れた多様な導電性パターンを容易に形成することができる。
特開2004−253794号公報 特開2010−528428号広報
しかしながら、先行特許文献1には、還元作用を促進させる目的で、例えば、塩基プレカーサを分散液に添加してもよいと記載されているが、その具体的な例が記載されていない。
また、先行特許文献2に記載の方法によると、銅ナノ粒子を銅フィルムに焼結させるのと同時に銅酸化物層を金属銅に光還元する工程において、フイルムの表面のみで金属酸化物が焼結され、金属膜の表面に更に硬化した膜が形成されるという問題点が発生する。その後、金属膜が加熱されることにより、膜の内側に閉じ込められた有機物が気化し、金属膜に空隙(ボイド)が発生する要因となる。
また、密度に基づいて計算すると、金属酸化物が還元される際に、その体積は56%に収縮するので、ボイドが形成されやすくなると共に、導電性及び基板との密着性が低下するという問題点がある。
このように、従来の金属薄膜の形成方法においては、ボイドの発生を抑制することができると共に、優れた導電性を有する金属薄膜を製造することができる製造方法については確立されていなかった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、ボイドの発生を抑制することができると共に、優れた導電性を有する導電膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、銅酸化物微粒子と、加熱によりアルカリを発生させるアルカリ発生剤とを含む分散体を基材に付与する工程と、前記分散体を加熱する工程と、前記分散体に光を照射して、前記銅酸化物微粒子を焼結する工程と、を含むことを特徴とする導電膜の製造方法を見出した。そして、前記導電膜の製造方法により、ボイドの発生を防止することができ、優れた導電性を有する導電膜を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の課題は、以下の方法によって達成された。
〔1〕
銅酸化物微粒子と、加熱によりアルカリを発生させるアルカリ発生剤とを含む分散体を基材に付与する工程と、
分散体を加熱する工程と、
分散体に光を照射して、銅酸化物微粒子を焼結する工程と、
を含むことを特徴とする導電膜の製造方法。
〔2〕
アルカリ発生剤は尿素又はヘキサメチレンテトラミンであることを特徴とする〔1〕に記載の導電膜の製造方法。
〔3〕
分散体は更に銅イオンを含むことを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の導電膜の製造方法。
〔4〕
分散体を加熱する工程における温度は、70℃〜100℃の温度であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
〔5〕
分散体を加熱する工程において、分散体のpHが7以下の値から9以上の値まで変化することを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
〔6〕
分散体を加熱する工程において、分散体のpHが5〜6の範囲の値から9〜10の範囲の値まで変化することを特徴とする〔5〕に記載の導電膜の製造方法。
〔7〕
分散体は、銅酸化物微粒子及びアルカリ発生剤が水溶性溶媒に分散したものであることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
〔8〕
水溶性溶媒は、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−プロパンジオールからなる群から選択された少なくとも1種の溶媒であることを特徴とする〔7〕に記載の導電膜の製造方法。
〔9〕
銅酸化物微粒子を焼結する工程は、30J/cm以上のエネルギーで分散体に光を照射する工程であることを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
〔10〕
分散体を基材に付与する工程がインクジェット法を用いることを特徴とする〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
本発明によれば、ボイドの発生を抑制することができると共に、導電性が優れた導電膜の製造方法が提供される。
A評価のボイドを有する導電膜の電子像断面の例である。 B評価のボイドを有する導電膜の電子像断面の例である。 C評価のボイドを有する導電膜の電子像断面の例である。
以下に本発明の導電膜の製造方法について、詳細に説明する。なお、本発明において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
本発明に係る導電膜の製造方法は、銅酸化物微粒子と、加熱によりアルカリを発生させるアルカリ発生剤とを含む分散体を基材に付与する工程と、前記分散体を加熱する工程と、前記分散体に光を照射して、前記銅酸化物微粒子を焼結する工程と、を含む。
〔銅酸化物微粒子〕
後述する分散体中において、銅酸化物微粒子の表面は水素イオン又は水酸化物イオンで水和されており、水素イオンの濃度により、銅酸化物の表面電位を変化させることができる。銅酸化物の表面の電荷がゼロ(等電点)になると、荷電反発により分散していた銅酸化物微粒子が表面電荷を失って凝集する。
本発明においては、後述するアルカリ発生剤を利用することにより銅酸化物微粒子を凝集させ、この凝集体を光焼結することにより、緻密な導電膜を得ることができる。なお、本発明において、銅酸化物微粒子として、CuO微粒子を使用することができるが、CuO及び/又はCuなどを含んでいてもよい。本発明においては、銅酸化物微粒子として、例えば、関東化学社製のCuOナノ粒子、シグマアルドリッチ社製のCuOナノ粒子等を好ましく使用することができる。
銅酸化物微粒子の粒径は1〜200nmであることが好ましく、10〜150nmであることがより好ましく、20〜120nmであることが最も好ましい。銅酸化物微粒子の粒径の測定方法としては限定的ではないが、一次平均粒子径を走査型顕微鏡(SEM)で測定することにより求めることが出来る。
また、分散体中の銅酸化物微粒子の含有量は、1〜80質量%であることが好ましく、5〜50質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが最も好ましい。
〔アルカリ発生剤〕
上述のごとく、本発明においては、銅酸化物の表面電位を変化させ、銅酸化物微粒子を凝集させる目的で、分散体中にアルカリ発生剤を含有させる。アルカリ発生剤とは加熱によりアルカリを発生させるものであり、アルカリ発生剤が含まれる分散体を所定の温度に加熱することにより、分散体のpHをアルカリ性に変化させることができる。
なお、本発明における加熱とは、限定的ではないが、60〜120℃の熱をかけることをいう。前記加熱はホットプレート等の機器を用いて行うことができる。
アルカリ発生剤としては、加熱により分散体のpHを所望の値に変化させることができるものであれば特に限定しないが、尿素、ヘキサメチレンテトラミンを使用することが好ましく、尿素を使用することが最も好ましい。特に、尿素はアルカリを発生させる温度が70〜100℃であり、尿素を使用すると、加熱工程を低温で実施することができると共に、分散体中において均一にアルカリを発生させるので、CuO微粒子が局所的に凝集することを防止することができる。従って、アルカリ発生剤としては尿素を使用することがより好ましい。
尿素が加熱によりアルカリを発生するメカニズムについて、以下に説明する。CuO微粒子と尿素とを含むインクを基体に塗布した後、これを70〜100℃に加熱すると、以下の化学式(1)に示すように尿素が加水分解する。
CO(NH+4HO→2NHOH+HO+CO (1)
この加水分解により、分散体中にアンモニアが発生するので、インクのpHは9.3程度に上昇する。CuOの等電点はpH9.0〜9.5程度であるので、インクのpHの上昇により、CuO微粒子はその表面電荷が失われて凝集する。その後、このCuO凝集体を光焼結することにより、ボイドが少ない緻密な導電膜を得ることができる。
なお、分散体中のアルカリ発生剤の含有量は、加水分解によるアンモニア発生量が多すぎると、CuO粒子がアンミン錯体として溶出するため、0.1〜10質量%とすることが好ましく、0.5〜5質量%とすることが最も好ましい。
〔分散体〕
本発明における銅酸化物微粒子とアルカリ発生剤とを含む分散体としては、銅酸化物微粒子とアルカリ発生剤とを溶媒に分散させたものを好ましく用いることができる。
前記溶媒としては、銅酸化物微粒子及びアルカリ発生剤を分散することができるものであれば特に制限はないが、使用する溶媒として、高沸点溶媒を使用することが好ましい。高沸点溶媒を使用することにより、基材に分散体を付与した後の加熱工程において、溶媒を沸騰させることなくアルカリ発生剤の効果を得ることができる。
さらに、前記溶媒としては、水溶性溶媒を使用することが好ましく、水溶性高沸点溶媒を使用することがより好ましい。
本発明において使用される前記溶媒の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることが最も好ましい。
本発明において使用される溶媒としては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオールがより好ましく、グリセリンが最も好ましい。
本発明における分散体は、更に銅イオンを含むことが好ましい。分散体に銅イオンが含まれていると、加熱によりpHが変化したときに、銅酸化物微粒子が凝集すると共に、Cu2+が水酸化銅Cu(OH)として沈殿する。
アルカリ発生剤の加水分解によるpHの変化は、分散体中において均一に起こるので、水酸化銅はCuO微粒子の隙間でも生成されて沈殿する。生成された水酸化銅は比較的に熱に不安定であるので、60℃〜80℃で加熱されることにより脱水して分解し、CuOに変化する。この変化はアルカリ発生剤の加水分解のための加熱を単に継続するのみで得られる。これにより、凝集により発生したCuO微粒子間の隙間を、水酸化銅の沈殿後に生成されたCuOが埋めることになり、銅イオンを含まない場合と比較して、空隙が少ないCuO凝集体を形成することができる。その後、このCuO凝集体を光焼結することにより、極めて緻密な導電膜を得ることができる。
銅イオン源として使用することができる化合物には特に制限がないが、銅酸化物微粒子の表面の水和層除去の観点から、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅が好ましく、硫酸銅、塩化銅がより好ましく、硫酸銅が最も好ましい。
分散体が更に銅イオンを含む場合、銅イオンの含有量は0.01〜1.0質量%であることが好ましく、0.05〜0.5質量%であることがより好ましく、0.1〜0.3質量%であることが最も好ましい。
〔付与工程〕
本発明においては、銅酸化物微粒子と、加熱によりアルカリを発生させるアルカリ発生剤とを含む分散体を基材に付与する方法に特に制限はない。
前記付与する方法としては、塗布法、インクジェット法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、カーテンコート法、キャスト法、スクリーン転写法などが公知であり適用可能である。
これらのうち、所望の箇所に分散体を効率よく付与し当該箇所に対して選択的に導電性を発現させることができる観点から、インクジェット法が最も好ましい。
〔加熱工程〕
本発明においては、前述のごとく、銅酸化物微粒子とアルカリ発生剤とを含む分散体を基材に付与した後、分散体を加熱する。この加熱工程により、アルカリ発生剤が加水分解して分散体のpHを上昇させ、銅酸化物微粒子が凝集する。尚、分散体を膜状に付与する際の分散体の膜厚としては、限定的ではないが、0.1〜5μmが好ましく、0.5〜2μmが更に好ましく、0.5〜1μmが特に好ましい。膜状に付与する分散体の膜厚の調整方法としては、例えば、分散体中の銅酸化物微粒子濃度を変化させることにより調整できる。
この加熱温度は、アルカリ発生剤が加水分解してアルカリを発生させることができる温度であれば、特に制限はない。
本発明においては、分散体を加熱する温度として70℃〜100℃が好ましく、80℃〜100℃がより好ましく、90℃が最も好ましい。
70℃以上の温度で加熱すると、アルカリ発生剤が十分に加水分解して、分散体のpHを後述する所望の範囲に上昇させることができる。一方、加熱温度を100℃以下とすることにより、水分の沸騰による膜の破壊を防止することができる。
なお、分散体の加熱時間については特に限定されないが、1分〜60分が好ましく、5分〜45分がより好ましく、10〜40分が最も好ましい。
本発明の加熱工程において使用される加熱手段にも特に制限がない。
前記加熱手段としては、加熱は、オーブン、ホットプレート等公知の加熱手段を用いることができる。
これらのうち、基板の底部つまり膜の内部から加熱するという観点から、ホットプレートが最も好ましい。
〔分散体のpH〕
本発明において、加熱によりアルカリ発生剤がアルカリを発生させ、これによりCuO微粒子を凝集させることができれば、加熱前後の分散体のpHは特に限定されない。
ここで、CuOの等電点がpH9.0〜9.5程度であることから、加熱後の分散体のpHを9以上とすると、CuO微粒子を十分に凝集させることができ、加熱後の分散体のpHを10以下とすると、CuO微粒子をより十分に凝集させる効果が得られる。
一方、加熱前の分散体については、pHが7以下であると、CuO微粒子の表面電荷の働きにより、CuO微粒子は分散体中に均一に分散され、pHが5〜6の範囲でより均一にCuO微粒子が分散される。
従って、本発明においては、分散体を加熱する工程において、分散体のpHが7以下の値から9以上の値まで変化することが好ましく、分散体のpHが4〜7から8〜10の値まで変化することがより好ましく、分散体のpHが5〜6の範囲の値から9〜10の範囲の値まで変化することが最も好ましい。
〔焼結〕
本発明においては、分散体を加熱した後に、この分散体に光を照射して、分散体中の銅酸化物微粒子の凝集体を光焼結する。
このとき、光照射のエネルギーは30J/cm以上であることが好ましく、35J/cm以上であることがより好ましく、45J/cm以上であることが最も好ましい。
前記光照射のエネルギーを30J/cm以上とすると、効率よく光焼結することができる。
なお、焼結工程において使用する光源については、銅酸化物微粒子の凝集体を光焼結することができる光源であれば、使用する光源に特に制限はないが、例えば、キセノンフラッシュランプ、高圧水銀ランプ、クリプトンランプなどを使用することができる。
これらのうち、樹脂基材へのダメージ防止の観点から、UVを含まないキセノンフラッシュランプやクリプトンランプを使用することが好ましく、キセノンフラッシュランプを使用することが最も好ましい。
〔基材〕
更に、基材について詳細に説明する。本発明において使用される基材としては、例えば、プラスチックフィルム、プラスチック板、及びガラス板等を使用することができる。プラスチックフィルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を使用することができる。
本発明において、基材として使用することができるプラスチックフィルム及びプラスチック板は、単層で使用することもできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとして使用することも可能である。
本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、分散液中のCuOナノ粒子が凝集して沈降する様子を確認するために、作成した一部の分散液に対して、加熱などによる状態変化の観察も行った。これを参考実験として、実施例と共に以下に示す。
(実施例1)
銅酸化物微粒子として関東化学製のCuOナノ粒子(粒径:27.2〜95.3nm)が10質量%、エチレングリコールが10質量%、アルカリ発生剤としての尿素が1質量%となるように、これらを水に分散させて、水分散液(a)(分散体)を作成した。このとき、分散液のpHは5.6であった。
本実施例において、分散液をスライドグラスの表面に塗布する方法として、FUJIFILM Dimatix製インクジェットプリンター(DMP−2831)と、インクジェットヘッド(DMC−11610)とを組み合わせたインクジェット装置を使用した。そして、波形は装置標準のものを使用して、吐出周波数は2kHzとした。
次に、分散液(a)をスライドグラスの表面に塗布した後、ホットプレート上にて90℃で10分間加熱し、スライドグラス表面の分散液(a)を乾燥させることにより、1μmの膜厚の塗膜を得た。その後、この塗膜に対してXenonランプ(Xenon社製光焼結装置;Sinteron2000)にて、45J/cmでフラッシュ光を照射し、CuOを光焼結することにより、導電膜を得た。焼結前の塗膜は黒色で導電性を有していなかったが、焼結後の塗膜は銅色に変化し、体積抵抗率は10−4Ωcmオーダーの前半の値となった。
−参考実験1−
分散液(a)を90℃に加熱した結果、分散していたCuOナノ粒子は凝集して、分散液中で沈降することが確認された。なお、加熱後の分散液のpHは9.2であった。
(実施例2)
実施例1の分散液(a)に、更にCuイオン源として、0.2質量%の硫酸銅を添加し、分散液(b)を作成した。このとき、分散液のpHは5.2であった。その後、得られた分散液(b)を使用し、実施例1と同一の工程で導電膜を製造した。但し、Cuイオンは分散液(b)中で水酸化銅に変化しているので、この水酸化銅を脱水させて酸化銅とするために、加熱時間を30分間とした。
−参考実験2−
分散液(b)を90℃に加熱した結果、分散していたCuOナノ粒子は凝集して、分散液中で沈降することが確認された。また、沈降速度は参考実験1と比較して速いものとなった。なお、加熱後の分散液のpHは9.0であった。
(実施例3〜9)
分散液に使用する溶剤、アルカリ発生剤の種類及びその添加量、銅イオンの添加の有無、並びに加熱温度などを下記表1に示すように変更した以外は、実施例1の条件と同様にして、実施例3〜9の導電膜を製造した。
(比較例1)
アルカリ発生剤としての尿素を添加せず、その他の添加物及びその含有量は実施例1の分散液(a)と同一として、分散液(c)を作成した。その後、得られた分散液(c)を使用し、実施例1と同一の工程で導電膜を製造した。焼結前の塗膜は黒色で導電性を有していなかったが、焼結後の塗膜は銅色に変化し、体積抵抗率は10−3Ωcmオーダーの値となった。
−参考実験3−
分散液(c)を90℃に加熱したが、CuOナノ粒子の凝集及び沈降を確認することができなかった。
(比較例2)
CuOナノ粒子を添加せず、その他の添加物及びその含有量は実施例2の分散液(b)と同一として、分散液(d)を作成した。その後、得られた分散液(d)を使用し、実施例2と同一の工程で2μmの膜厚の塗膜を作成し、実施例2と同一の条件で導電膜を製造した。
−参考実験4−
分散液(d)を90℃に加熱した結果、Cuイオンに起因する薄い青色の溶液が白濁し、その後、分散液(d)中で沈降した。
(比較例3)
比較例1と同一の分散液(c)を作成した。分散液(c)のpHは5.6であった。
分散液(c)にアルカリとしてNaOHを滴下して、pHを9.5に調整したが、NaOHを滴下した時点でCuOが凝集して沈降し、分散性が消失した。そして、アルカリを滴下した後の液を使用して塗布膜を形成することはできなかった。
(比較例4)
実施例1と同一の分散液(a)を作成し、この分散液(a)をスライドグラスの表面に塗布した後、加熱せずに自然乾燥させることにより、1μmの膜厚の塗膜を得た。その後、この塗膜に対して実施例1と同一の条件でCuOを光焼結することにより、導電膜を得た。焼結前の塗膜は黒色で導電性がなく、焼結後の塗膜は銅色に変化したが、体積抵抗率は10−1Ωcmオーダーの値となった。
(比較例5)
比較例4において作成した光焼結後の導電膜をホットプレート上で90℃に加熱したが、体積抵抗値は変化せず、比較例4と同様の値となった。
<評価>
以上の各実施例(実施例1〜9)及び比較例(比較例1〜5)の導電膜について下記評価を行い、その結果を下記表2に示した。
(導電性)
得られた導電膜の膜厚を触針式段差計(Dektak3、アルバック社製)により測定し、その膜厚を低抵抗率計(ロレスタ、三菱化学製)に入力して、4端子法で体積抵抗率を測定した。
下記のとおり、体積抵抗率の範囲により導電性を評価した。
A:0.1×10−4Ωcm未満
B:0.1×10−4Ωcm以上0.1×10−3Ωcm未満
C:0.1×10−3Ωcm以上0.1×10−2Ωcm未満
D:0.1×10−2Ωcm以上
(ボイド)
集束イオンビーム(FIB:エスアイアイ・ナノテクノロジー製 SMI3200F)又はイオン加工により、光照射後のサンプルの基材に対して垂直方向の断面を出し、走査型電子顕微鏡(SEM:日立ハイテクノロジーズ製 S−5500)を使用して断面を観察した。そして、SEMによる二次電子像を画像ソフト(Adobe Systems,Inc.製 “Adobe Photoshop”)にて閾値を調整して、銅が存在する白の領域と、空隙が存在する黒の領域とに二値化した。その後、断面全体の面積に対する黒の領域(空隙)の面積の割合を下記式より算出し、これをボイド率とした。
ボイド率(%)=(黒の領域の面積/断面全体の面積)×100
ボイドの評価基準としては、ボイド率が10%未満のものをA、10%以上30%未満のものをB、30%以上のものをCとして、三段階で評価した。
(テープ密着性)
基材(スライドグラス)表面の2cm×2cmの領域に上記分散液を塗布し、実施例又は比較例の方法で導電膜を製造した。その導電膜に対し、1mm間隔で縦横各10本ずつの素地面に達する切り傷をカッターで碁盤目状につけ、この導電膜の上に粘着テープを貼って、引きはがした後の導電膜の基材への付着状態を目視によって観察した。テープ密着性の評価基準としては、導電膜の剥がれがないものをA、導電膜が剥がれた面積が全体の10%未満であるものをB、導電膜が剥がれた面積が全体の10%以上であるものをCとして、三段階で評価した。
以上に示すように、本発明の導電膜の製造方法は、比較例の製造方法と比べて、ボイドの発生を抑制することができると共に、導電性及び基板との密着性が優れていることが分かった。
一方、比較例1はアルカリ発生剤が添加されていないので、ボイドが発生し、体積抵抗率が高くなった。また、比較例2は銅酸化物微粒子(CuOナノ粒子)を使用していないので、導電性が得られなかった。
比較例3は塗布膜を形成することができず、実験不可となった。
比較例4は加熱を実施しなかったので、アルカリ発生剤の効果を得ることができなかった。従って、CuOを凝集・沈降させることができず、導電膜中にボイドが発生し、体積抵抗率が極めて高い値となった。
比較例5は焼結の後に加熱を実施したので、アルカリ発生剤の効果を得ることができず、比較例4と同様の結果となった。なお、比較例5は光焼結後に加熱を行ったため、加熱後のpHを測定することができなかった。

Claims (10)

  1. 銅酸化物微粒子と、加熱によりアルカリを発生させるアルカリ発生剤とを含む分散体を基材に付与する工程と、
    前記分散体を加熱する工程と、
    前記分散体に光を照射して、前記銅酸化物微粒子を焼結する工程と、
    を含むことを特徴とする導電膜の製造方法。
  2. 前記アルカリ発生剤は尿素又はヘキサメチレンテトラミンであることを特徴とする請求項1に記載の導電膜の製造方法。
  3. 前記分散体は更に銅イオンを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の導電膜の製造方法。
  4. 前記分散体を加熱する工程における温度は、70℃〜100℃の温度であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  5. 前記分散体を加熱する工程において、前記分散体のpHが7以下の値から9以上の値まで変化することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  6. 前記分散体を加熱する工程において、前記分散体のpHが5〜6の範囲の値から9〜10の範囲の値まで変化することを特徴とする請求項5に記載の導電膜の製造方法。
  7. 前記分散体は、前記銅酸化物微粒子及び前記アルカリ発生剤が水溶性溶媒に分散したものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  8. 前記水溶性溶媒は、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及び1,3−プロパンジオールからなる群から選択された少なくとも1種の溶媒であることを特徴とする請求項7に記載の導電膜の製造方法。
  9. 前記銅酸化物微粒子を焼結する工程は、30J/cm以上のエネルギーで前記分散体に光を照射する工程であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  10. 前記分散体を基材に付与する工程がインクジェット法を用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
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