JP6053725B2 - 銅系ナノ粒子分散液とその製造方法及びその分散液から製造される銅導体膜が形成された基材 - Google Patents

銅系ナノ粒子分散液とその製造方法及びその分散液から製造される銅導体膜が形成された基材 Download PDF

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本発明は、銅系微粒子の一つである「亜酸化銅ナノ粒子(CuO)」の分散液とその製造方法、及びこの分散液の乾燥塗膜を還元して得られる銅導体膜に関する。なお、本明細書において、乾燥塗膜(亜酸化銅分散液の塗膜を乾燥した膜)を還元して得られる銅導体膜を、銅還元膜または単に還元膜ということもある。
本件発明者らは、本発明に先立ち、金属微粒子の製造方法として、ケトン系溶媒中に分散させた酸化銅などの金属酸化物にレーザー光を照射する方法(特許文献1)、及び、レーザー光を用いない金属微粒子の製造方法として、ケトン系溶媒中に分散させた酸化銅、亜酸化銅などの金属酸化物粉体の分散液中に不活性ガスをバブリングしながら加熱する方法などを発明している(特許文献2)。さらに、上記の方法で得られた亜酸化銅ナノ粒子を基材(本明細書では基板ということもある)上に塗布して還元する亜酸化銅の低温還元方法などを発明している(特許文献3)。
すなわち、これまでの開発過程において、保護剤を含まなくても分散性の良い亜酸化銅ナノ粒子分散液を得る方法、及びその分散液を用いて低抵抗の銅導体膜を得る方法が確立されている。
WO2008/114866 WO2011/013542 WO2011/048937
亜酸化銅ナノ粒子分散液を電気配線形成するための導電性インクとして用いて得られる銅導体膜の性能を体積固有抵抗(比抵抗、抵抗率ともいう)の観点で実用レベルにまで高めるためには、例えば30[μΩ・cm]以下のような極めて高い導電性を得ることが求められる。特に、耐熱性の低い基材上にも電気配線を形成できるようにするために、例えば300[℃]以下のような低温での加熱処理を前提とする。また実用的な電気配線にするためには、還元後の銅導体膜は少なくとも0.5[μm]以上の膜厚に形成する必要がある。基材上に塗布された導電性インクは還元時に膜厚が減少するので、厚い還元膜を得るためには、導電性インクも厚く塗布しなければならない。
他方、従来の亜酸化銅ナノ粒子分散液は基材上に厚く塗布すると、長時間の加熱処理が必要となり、乾燥後の塗布膜の表面に亀裂やひび割れが生じたり、エッジ部と中央部とで膜厚が不均一になる「コーヒーステイン現象」が見られたり、或いは、基板との密着性が低下して還元膜が剥離したりといった種々の問題が生じやすい。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、膜厚に制約されずに各種印刷法で基材上に塗布でき、基材に損傷を与えない温度において比較的短時間の加熱還元処理で基材との密着性に優れる低抵抗の銅還元膜パターンが得られる亜酸化銅ナノ粒子分散液を得ることを主たる技術的課題とし、この課題を解決することが本発明の目的である。
本発明に係る亜酸化銅ナノ粒子分散液は、亜酸化銅ナノ粒子、γ―ブチロラクトン、ジエチレングリコールと質量数600以下の炭素水素酸素化合物を主成分として含むことを特徴とする。本発明に係る亜酸化銅ナノ粒子分散液は、例えば、特許文献1または特許文献2に記載の方法によって製造された亜酸化銅ナノ粒子/γ―ブチロラクトン分散液(亜酸化銅ナノ粒子がγ―ブチロラクトン中に分散された液を言う)を使用して、例えば、後述する第1または第2の実施形態に記載の方法によって製造することができる。以下、本発明に係る亜酸化銅ナノ粒子分散液を「本発明分散液」といい、本発明分散液の製造に用いる亜酸化銅ナノ粒子/γ―ブチロラクトン分散液を「原料分散液」という。なお、上記の質量数600以下の炭素水素酸素化合物については、後述し説明する。
本発明分散液を用いることにより、基材との密着性が高く、低抵抗の還元膜を容易に製造することができる。例えば基材との密着性が高く、厚みが1[μm]以上、比抵抗が10[μΩ・cm]以下の値を示す還元膜でも、容易に製造することができる。
(A)及び(B)透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影した実施形態の亜酸化銅ナノ粒子像。(C)亜酸化銅ナノ粒子の電子線回折像。 実施形態の分散液の塗布乾燥前後の赤外線分光分析の結果を示す図。 (A)比較例3および5の分散液を塗布乾燥した前後の赤外線分光分析の結果を示す図。(B)同図(A)の実線(乾燥後のスペクトル)を拡大した図。 比較例1、2、4、および6に係る分散液を塗布乾燥した後の赤外線分光分析の結果を示す図。 TIC(トータルイオンクロマトグラフ:検出イオン総量をトレース)の分析結果を示す図。 インクジェット吐出で描画したラインの乾燥膜(A)と導体膜(B)の構造を原子間力顕微鏡(AFM)で観察した図。 原料分散液の重量分析の結果を示し、一定温度で保持したときの、時間経過による揮発による物質量の減少曲線を示す図。 原料分散液にジエチレングリコールを配合し、酸素雰囲気下で加熱処理した後の亜酸化銅ナノ粒子分散液(本発明分散液)の重量分析の結果を示す図。 酸化・還元処理を同一温度で繰り返した際の導電性と密度の変化を示す図。 塗膜の膜厚による比抵抗の関係を示す図。 ジエチレングリコールの配合量aと酸化銅ナノ粒子含有量bの関係を示す図。 実施例15で用いた調整液Aの塗布乾燥後の赤外線分光分析の結果を示す図。 実施例15で用いた調整液Aに含まれる質量数600以下の炭素水素酸素化合物の紫外線吸収スペクトル(A)をγ−ブチロラクトンの酸化変性物のそれ(B)と比較した図。
−酸化状態制御の必要性について−
下記実施形態では、原料分散液から目標生成物である純銅(Cu)の導体膜が得られるまでの全ての工程において、酸化状態の厳密な制御を行っているが、はじめにその技術的意義について説明する。
基板上に塗布された数百[nm]以上の厚さを有する銅系ナノ粒子の塗膜を還元処理してこれを導体(還元)膜とする場合、膜中からの還元生成物である水などの除去(物質移動)が不可欠である。しかし、還元反応は一般に膜表面から基板側に向かって進行するため、表面近くで先に還元層が形成されると、これが上記の物質移動を妨げることになり、膜全体に還元反応が浸透しない。さらに純銅と酸化銅では密度も大きく異なるため、このような物質変換の結果、膜は必然的に収縮を余儀なくされ、その結果、還元膜中で膜の亀裂・断裂が発生する。還元前の膜が緻密性に欠け、ポーラスな構造を有し、もって還元剤や還元副生物である水が容易に拡散できるような場合は、こうした亀裂・断裂は避けることができるが、こうして得た還元膜は緻密性に欠け、機械的強度が弱く、また大気中で比較的容易に、再酸化により導電性を低下させる問題がある。
このような問題を解決するためには、物理的な拡散反応よりも低温で反応が進行する化学的な還元反応がむしろ基板側から塗膜表面に向かって進行するような、めっき過程に類似した反応条件の設定が必要となる。以上のような課題解決原理に基づいて、以下本発明の実施態様の一例を説明する。但し、以下の実施形態の記述により本発明が限定的に解釈されるべきものではない。
(第1の実施形態)
第1の実施形態の本発明分散液は、原料分散液、ジエチレングリコール及び質量数600以下の炭素水素酸素化合物(後述する)を混合して製造することができる。
本発明分散液中には、好ましくは粒子径1〜500[nm]の結晶性亜酸化銅(CuO)ナノ粒子が、5〜40[wt%]の濃度で分散している。なお、本明細書において「粒子径」とは、電子顕微鏡で撮影して計測したナノ粒子の直径を指すものとする。
図1(A)は、亜酸化銅ナノ粒子の粒径分布を示す低倍率透過型電子顕微鏡(TEM)像である。粒径分布は概ね1〜500[nm]の範囲であることが分かる。図1(B)は高倍率透過型霞子顕微鏡(TEM)像である。亜酸化銅の結晶格子を確認することができ、また各粒子が複数の一次粒子が集合しているような不規則形状を有することがわかる。
図1(C)は、電子線回折像を示す。この結果から、結晶性のある亜酸化銅であることが分かる。なお、本件発明者らの実験によれば、ナノ粒子の可視吸光スペクトルや膜のX線回折からも、このナノ粒子は亜酸化銅であることが確認された。
なお、亜酸化銅ナノ粒子の粒子径の好ましい範囲を1〜500[nm]とした理由は、1[nm]未満であるものを工業的に生成することは実用的で無く、また、粒子径が1[nm]未満であると最終目標である1[μm]以上の導体膜を形成するためにはナノ粒子を1000個以上垂直に並べなければならず、厚み方向で密度が不均一になり易く、均質な膜が得られ難いためである。また粒子径が500[nm]を超えると、数[μm]の導体膜にしたときの空隙が多くなり、密度が低下して、緻密性に欠け、比抵抗を30[μΩ・cm]以下にすることが困難になるためである。
本発明分散液中の亜酸化銅ナノ粒子は、非晶質よりも結晶性である方が好ましい。結晶性亜酸化銅が真性半導体としての性質を発現し易いからである。本発明分散液中の亜酸化銅ナノ粒子濃度は、5〜40[wt%]であることが好ましい。濃度が40[wt%]を超えると、亜酸化銅ナノ粒子に対する質量数600以下の炭素水素酸素化合物が相対的に不足し易くなり、塗膜形成後の乾燥中に、亜酸化銅ナノ粒子の均一分散維持が難しくなり、乾燥膜に亀裂が生じ、良好な乾燥膜が得られないためである。一方、分散液中の亜酸化銅ナノ粒子の濃度が5[wt%]未満である場合には、この分散液を基板に塗布、乾燥することにより膜厚数100[nm]のナノ粒子膜を基板上に容易に形成することができるが、膜厚1〜10[μm]程度のナノ粒子膜を形成するには、ナノ粒子分散液の塗布厚みを4〜40[μm]以上にする必要があるので、印刷方法にもよるが、実用上、分散液塗布膜の寸法精度が悪くなり使用しづらくなる。
本発明分散液中に含まれるγ―ブチロラクトンの濃度は28〜88[wt%]であり、ジエチレングリコールの濃度は4〜20[wt%]であり、質量数600以下の炭素水素酸素化合物の濃度は2〜12[wt%]であることが好ましい。このような本発明分散液は、分散液全量に対して、亜酸化銅ナノ粒子を5〜40[wt%]、γ―ブチロラクトンを28〜88[wt%]、ジエチレングリコールを4〜20[wt%]、及び、質量数600以下の炭素水素酸素化合物を2〜12[wt%]の割合になるよう、原料分散液、ジエチレングリコールおよび質量数600以下の炭素水素酸素化合物を配合、混合して製造する。
本発明分散液中の溶媒としてのγ―ブチロラクトンが28〜88[wt%]であると、本発明分散液中の亜酸化銅ナノ粒子は、少なくとも半年間密閉容器に保管していても、粒子径100[nm]以下のナノ粒子は分散を維持することができる。また、粒子径100[nm]を超えるナノ粒子は、質量効果で沈降するものの、印刷前に、簡易な方法で振動を与えるだけで容易に分散させることができる。
そして、本発明分散液を用いると、300[℃]以下の低温還元処理で、基材との密着があり、厚みが1[μm]以上で、比抵抗が30[μΩ・cm]以下の値を示す還元膜を形成することができる。
またγ―ブチロラクトンが28〜88[wt%]、ジエチレングリコールが4〜20[wt%]と質量数600以下の炭素水素酸素化合物が2〜12[wt%]からなる本発明分散液を用いて、塗布形成後、乾燥するときに塗膜の外周端部側が凹型状に盛り上がる、いわゆる「コーヒーステイン現象」を抑制することができ、10[μm]の厚みの導体膜断面の構造を凸型や台形状にすることができる。還元処理温度と密着性の関係については後記により説明する。
図6は、インクジェット吐出で描画したラインの乾燥膜と導体膜構造を原子間力顕微鏡(AFM)で観察したものである。乾燥膜と還元膜の断面はいずれも凸型であり、厚みが1.5[μm]の乾燥膜が、還元後に0.45[μm]になり、厚み方向のみ、約1/3に収縮したことがわかる。このときの還元膜の比抵抗は、30[μΩ・cm]以下で良好な導体膜であった。
質量数600以下の炭素水素酸素化合物は、γ―ブチロラクトンとジエチレングリコールとを混合する工程(工程C)と、流量比9/1〜0/10の窒素/酸素の混合ガスを工程Cで得た混合液中にバブリングしながら、前記混合液を155〜185[℃]で加熱攪拌する工程(工程D)とを含む工程によって製造することができる。工程Cにおける、γ―ブチロラクトンとジエチレングリコールとの混合比は、通常γ―ブチロラクトン1重量部に対しジエチレングリコール0.05〜0.7重量部、好ましくは、0.15〜0.40重量部である。
工程Dにおける、加熱時間は、通常1〜6時間、好ましくは3〜5時間である。工程Dで質量数600以下の炭素水素酸素化合物を含む液体が生成される。これには、通常、未反応のγ−ブチロラクトンとジエチレングリコールが残存しているが、必要に応じてこれらを部分的に蒸発させる濃縮処理によって、質量数600以下の炭素水素酸素化合物の濃度を任意に高めることができる。このようにして製造した質量数600以下の炭素水素酸素化合物は、上記のように本発明分散液の製造に使用される。このとき、質量数600以下の炭素水素酸素化合物を含む液体と原料分散液を混合すること、或いは、混合後、大気中で加熱処理することで、本発明分散液の製造ができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の本発明分散液は、亜酸化銅ナノ粒子とγ―ブチロラクトンからなる分散液(原料分散液)とジエチレングリコールとを混合する工程(工程A)と、次いで、流量比9/1〜0/10の窒素/酸素の混合ガスを工程Aで得た混合液中にバブリングしながらこの混合液を155〜185[℃]で加熱攪拌する工程(工程B)とを含む方法で製造することができる。
前記ジエチレングリコールの配合量a[wt%]は、工程Aで用いる、亜酸化銅ナノ粒子とγ―ブチロラクトンからなる分散液中の亜酸化銅ナノ粒子含有量b[wt%]を変数にして定められ、混合後の全液量に対して、a=(0.35±0.05)×b+(7.3±0.3)〔ただし、5≦b≦50〕で示される量である。このaとbの関係(回帰式)は、本発明の目的にかなう分散液(本発明分散液)を得た時のジエチレングリコールの配合量aと原料分散液中の酸化銅ナノ粒子含有量bの関係を、回帰分析して得ることができる。回帰式を図で示すと図11の通りである。
工程Bにおける加熱時間は、亜酸化銅ナノ粒子濃度などにより異なるが、通常、1時間〜10時間である。本発明分散液は、印刷方法により任意の塗膜を形成するために、必要に応じて、常圧又は減圧下に、溶媒を留去することで、任意の濃度に高めるなど調整して使用できる。
上記のように、ジエチレングリコールの配合量は、原料分散液中の亜酸化銅ナノ粒子の含有量に応じて計算され使用される。すなわち、この量は、原料分散液中の亜酸化銅ナノ粒子含有量b(wt%)から上記のとおり、計算することができる。このジエチレングリコールの配合量は、少なくても多くても、図3(B)の×印及び矢印(↓)で示されるようなものの生成がおこり、質量数600以下の炭素水素酸素化合物の好ましい生成量の維持ができなくなる。その結果、本発明分散液を得ることは困難となる。
窒素/酸素の混合ガスの流量比を9/1〜0/10にして、亜酸化銅ナノ粒子分散液中にバブリングしながら、温度を155〜185[℃]の範囲に維持して、攪拌すること(工程B)で、質量数600以下の炭素水素酸素化合物が、工程Bで得られる混合物中に2〜12[wt%]生成される。窒素/酸素の混合ガスの流量比を9/1未満(酸素の流量割合が9/1より小さくなること)であると、上記処理時間を数時間以上にしても質量数600以下の炭素水素酸素化合物の生成は極めて少なく、十分な生成量を得るための処理時間は極めて長くなり、実用的でない。一方、他の条件が適性であると、窒素/酸素の混合ガスの流量比を0/10にしても(すなわち純酸素ガスを用いても)、質量数600以下の炭素水素酸素化合物の生成はみられるし、図3(B)の×印及び矢印(↓)で示すようなものの生成はおこらない。工程Bにおける、加熱温度が155[℃]未満であると、質量数600以下の炭素水素酸素化合物の生成量は極めて少なく、十分な生成量を得るには生産時間は極めて長くなり、実用的でない。一方、温度が185[℃]を超えると、生成した質量数600以下の炭素水素酸素化合物などの還元作用で、原料分散液中の亜酸化銅ナノ粒子は、還元凝集し、銅の粗大粉(μmオーダー)として沈降し、本発明分散液を調製することは困難となる。
原料分散液の調製は、例えば、特許文献2に記載の公知の方法を用いればよい。
本発明分散液又はこれを濃縮した分散液を導電性インクとして、これを各種印刷法で基板上に塗布・印刷して亜酸化銅の塗膜を形成し、乾燥後、例えば特許文献3に記載の公知の還元処理を実施することでバルク銅に近い物性値を持つ、低抵抗の銅導体膜を基板上に形成することができる。基板はガラス基板に限られず、ポリイミド樹脂やセラミック基板、インジウム錫酸化物膜基板、金属基板などを用いることができる。
本発明は、本発明分散液又はこの濃縮液を上記の様な基板(基材ともいう)上に塗布・乾燥し、還元性雰囲気の下(例えば水素ガス存在下)に、170℃〜300℃の温度範囲で加熱することにより得られる銅導体膜が形成された基材も包含する。
本発明分散液の塗布・印刷方法には、スピン塗布法、スリット塗布法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット塗布法、ディスペンサー塗布法から選択されるいずれかの印刷方法を使用することができ、膜厚や形成するパターンに応じて最適な塗布法を選択することができる。厚く塗布しても乾燥後にひび割れせず、密着性も良好な亜酸化銅のパターンを基材上に描画することができる。
亜酸化銅などの真性半導体は一般にわずかな活性化エネルギーによって価電子帯中の電子がバンドギャップを超えて伝導帯中へ励起され、電子的な伝導性を示すようになる。亜酸化銅を主成分とする塗膜を170〜300[℃]の温度で加熱して1[kΩ・cm]以下の比抵抗に相当する電子的な伝導性を示すことが検証された場合には、亜酸化銅を主成分とする塗膜が得られているものと推定することができる。
導体膜の形成過程は以下のとおりである。
事前酸化処理として、亜酸化銅を主成分とする真性半導体である塗膜を大気中で200[℃]以下の温度で加熱して電子を励起して電子的な伝導性を発現させ、この状態を一定時間維持する。この状態は、塗膜と接する任意の還元剤から電子が供給された場合に、その電子が容易に塗膜中を移動できる状況が与えられることを意味すると共に、塗膜の酸化状態を確実に亜酸化銅まで酸化することを意味する。
次に、還元処理として、この塗膜に還元剤、例えば水素ガス、を供給する。塗膜を加熱したことにより電子的な伝導性が発現しているため、この状態で還元剤を供給すれば還元剤から供給される電子が塗膜中に注入される。その結果、還元剤から注入された電子は塗膜中を移動して基材と塗膜との界面に達し、界面の亜酸化銅が0価の銅(Cu)に還元される。そして、還元剤からの電子の供給が連続的に行われると界面は基材側から表面方向に移動し、塗膜全体が亀裂のない緻密な還元膜である銅の導体膜が形成される。
なお、このとき同時に放出される酸素イオン(O2−)は、塗膜の表面に向かって拡散し、上記の電子注入後にプロトン化した水素と結合して水となり、還元反応系外(塗膜外)に除去される。このような過程が続くことにより、導体膜が基板から膜表面に向っての方向性を有して成長する。
還元剤である水素から電子が注入されて基板界面への電子移動が生じ、界面でCuの還元層が形成され、酸素イオン(O2−)の拡散と水の脱離が生じ、還元層が表面方向へ向かって移動する。この現象は、別の見方をすると、上記の還元過程において、亜酸化銅(CuO)を主成分とする塗膜は銅イオン(Cu)の供給源と酸素イオン(O2−)の拡散媒体(一種の固体電解質)として働き、膜/基板界面から膜表面に向かって成長する銅膜は、還元剤から供給された電子とCuイオンとを結びつけるいわば電極として機能すると考えることもできる。すなわち、この過程は亜酸化銅(CuO)膜を固体メッキ浴とした銅の析出と成長過程そのものである。一般的に、部分的に酸化された銅膜の還元により導体膜を形成しようとすれば、本来ならば物質収縮による亀裂が避けられないにもかかわらず、厚み方向に約1/3に収縮したときに亀裂のない緻密な還元膜が得られるのは、このような還元様式が発現する場合に限られる。
表面粗度の小さな平滑な面を持つ樹脂フィルムの場合、樹脂フィルム表面の水素や水酸基と還元された銅膜との間での結合により、また酸化物系セラミックの場合、セラミック表面の酸素が還元された銅膜との間での結合により、また基材表面部と銅膜の間の界面部にごく微量の有機物が残存することで、密着強度の高い銅膜になっているものと推察する。
一方、基板上の塗膜が電子的な伝導性(導電性)を与えない条件、例えば塗膜が(真性半導体ではなく)有機不純物などが残留することにより亜酸化銅ナノ粒子間の電子的連結が阻害されている場合などには、上記のような、基板側から膜表面に向けた方向性のある還元膜の成長は期待できず、むしろ水素と接する膜表面に近い部分、あるいは水素分子が拡散できる膜中の欠陥サイトでの還元反応(必ずしも電子注入を伴わない)が優先する。この場合、膜の表面近くでまず導体層の形成が起こると、これが物質移動の障害となって、膜全体に還元反応が浸透しない。
例外としてこうした場合でも膜全体が還元され、見かけ上は特有の金属銅光沢を有した膜が得られる場合がある。それは、還元前の塗膜が非常に隙間が多く、緻密性に欠け、ポーラスな構造であるために、還元剤としての水素分子や還元反応生成物としての水が容易に膜中を拡散できる状況にある場合である。ただし、このような緻密性に欠ける還元膜は、導体としての物質的連続性に乏しいために比抵抗が30[μΩ・cm]以下の良好な導電性は発現せず、機械的強度も弱いと同時に、比較的容易に大気中で再酸化を受け易く、高い導電性を有した導体膜としての機能を発現しない。
再酸化及び再還元処理の繰り返し(必要により行う)について、基板上の塗膜の主成分が亜酸化銅という条件を満たし、よって真性半導体に期待される電子的な伝導性が発現する場合においても、実際には上述のような「方向性のある還元反応」が理想的に進行するとは限らず、1回の還元処理のみでは十分高い導電性が得られない場合もある。この場合には、還元後の塗膜を大気中で再加熱することにより亜酸化銅まで再酸化して、続いて上記の還元処理を繰り返すことにより、次第に導電性が向上し、導体膜としての物質的連続性と機械的強度も飛躍的に増加する。これは、再酸化の過程において、酸素分子は、導体としてのつながりが不十分な部分と優先的に反応し、その部分を再び亜酸化銅に引き戻すこと、或いは膜全体が真性半導体の性質を示すことで、より緻密な亜酸化銅膜に変換されるからである。こうして電子的な伝導性が一層向上した膜を再び還元すると、本発明に係る(基材界面から表面方向への)方向性のある還元反応がより完全な形で発現し、物質的・電子的連結の度合い、すなわち導体としての連続性が向上する導体膜となる。もちろんこの工程は最初の還元処理で十分に緻密で比抵抗が30[μΩ・cm]以下の良好な膜が得られた場合には不要である。
(実施例1)
先ず、銅(Cu)ナノ粒子分散液を調製するために、金属化合物として、BET比表面積が40[m/g]の酸化銅粉末を用い、分散媒としてγ−ブチロラクトンを用いた。350[ml]のγ−ブチロラクトンに対して3.5[g]の酸化銅を、マグネチックスターラーを備えた内容量500[ml]のガラス製ビーカーに入れて分散液とした。この分散液を100〜150[℃]に維持し、窒素ガスを1[L/分]の流量でバブリングしながら、レーザー照射装置として、Spectra−Physics社製Quanta−Ray PRO−230 Nd:YAGレーザーを使用し、波長1064[nm]、パルス幅10[ns]、パルス周波数30[Hz]、1パルス当たりの照射エネルギー1[J]のレーザー光を12分間照射した。レーザー光照射後、株式会社コクサン製冷却高速遠心機H−9Rを使用して、テフロン(登録商標)製容器内の内容物を毎分3000回転で5分間遠心分離することにより、沈降物と銅ナノ粒子分散液を分離した。
γ−ブチロラクトン中に分散されているCuナノ粒子の粒子径は、透過型電子顕微鏡で観察した結果、5〜20[nm]であった。また、γ−ブチロラクトン分散液中の銅ナノ粒子の割合は、0.3[wt%]であった。半年間経過しても、γ−ブチロラクトン分散液中に銅ナノ粒子は、沈降せずに、分散安定性を維持した。
次に、本発明分散液製造のために原料分散液の調製を行った。マスター粒子として、先に記載したレーザー法で形成した銅ナノ粒子を用いた。なお、先に記載したレーザー法で形成した銅ナノ粒子を、大気中、160〜180[℃]で加熱処理し、亜酸化銅ナノ粒子に変換したものを用いてもよい。原料粉として、日本化学産業株式会社製の水酸化銅粉末を使用し、溶媒として、γ−ブチロラクトンを用いた。内容量200[mL]のガラス容器に100[mL]の溶媒を入れ、これに5[g]の水酸化銅とマスター粒子を33[mg]投入して、マグネチックスターラーによる攪拌下、毎分約400[mL]の窒素ガスバブリングしながら、ホットプレートを用いて、160〜170[℃]で、20分加熱した。終了後、室温付近まで冷却、株式会社コクサン製冷却高速遠心機H−9Rを使用して、テフロン(登録商標)製容器内の内容物を毎分3000回転で5分間遠心分離することにより、沈降物と亜酸化銅ナノ粒子分散液を分離した。
この分散液をアセトン分散液中で希釈し、得られた希薄分散液の可視吸光スペクトルを浜松ホトニクス製PMA−11分光光度計で測定、解析した。
この粒子のスペクトルは、500[nm]付近から短波長側に向かって比較的鋭い立ち上りを示し、長波長側の吸収が小さい。これは、亜酸化銅ナノ粒子の性質を表し、この工程では、二価の銅が窒素雰囲気で一価の銅に還元される中で生成された亜酸化銅ナノ粒子分散液であることが確認できた。γ−ブチロラクトン中に分散されている亜酸化銅ナノ粒子の粒子径は、透過型電子顕微鏡で観察した結果、40〜100[nm]であった。また、γ−ブチロラクトン分散液中の亜酸化銅ナノ粒子の割合は、1[wt%]まで高まった。
また、亜酸化銅ナノ粒子の分散液を、80[℃]で、100[mPa]以下の減圧下で、この溶媒を留去することにより、亜酸化銅ナノ粒子分散液の濃度を50[wt%]まで大きくすることができる。こうした条件のもとで調製した亜酸化銅ナノ粒子分散液の酸化状態は、一価の状態である亜酸化銅で実質的に停止し、その後長期(少なくとも半年以上)に放置しても、ナノ粒子の表面層(厚さにして0.2〜2[nm]程度)で酸化銅が有意に成長して停止する。こうした組成と構造を有するため、亜酸化銅ナノ粒子分散液は粒子濃度を高濃度にして少なくとも半年間経過しても、γ−ブチロラクトン分散液中の亜酸化銅ナノ粒子は、沈降せずに分散安定性を維持した。
以上のように、非常に簡便な方法で原料分散液(亜酸化銅ナノ粒子/γ−ブチロラクトン分散液)を調製することができる。
次に、下記の操作によって、原料分散液から本発明分散液を調製した。
三口フラスコ、即ち、真ん中の口には冷却管を取り付け、その上部には、ガス排出口が開放され、横の口は、各々熱電対とガス流入ノズルを取り付けた密閉栓を設けた容器を準備する。この容器内に、原料分散液(亜酸化銅ナノ粒子の濃度30[wt%])、39[g](25[mL])と関東化学株式会社製ジエチレングリコール(DEG)8.27[g]を入れて(工程A)、マグネチックスターラーにより毎分600回転で攪拌し、更に窒素ガス流量と酸素ガス流量の割合を2:1にして合計2.4[L/分]の流量でバブリングしながら、170[℃]で5時間、加熱処理した(工程B)。室温まで冷却した後に、回収し本発明分散液を得た。
図2に示すように、この本発明分散液をシリコン基板上に塗布して、乾燥前および乾燥後に赤外線吸収スペクトル(Perkin Elmer製Spectrum Twoによる)を測定したところ、乾燥前のスペクトル(図2の点線)は、亜酸化銅ナノ粒子に特有の振動ピーク(波数636cm−1)を除き、γ-ブチロラクトンとジエチレングリコールを単純に混合した液のスペクトルと見分けがつかなかった。しかし、200[℃]で数分間加熱(溶媒成分はほぼ完全に揮発する条件)すると、図2の実線で示したようなスペクトルとなり、亜酸化銅ナノ粒子に由来するピークが突出することは当然として、それ以外にも明らかに溶媒に由来するとは考えられないピークが残存した。図2の挿入図はこれを拡大したスペクトルであり、その解析からおおよその帰属を行うと、おそらくエーテル酸素、OH基、メチレン基を有した飽和分子で、またカルボニル基を有するが、アルデヒドではないことが推定できる。
以上の事実・知見を総合すれば、本発明の分散液に含まれる、本発明の分散液に上記の様々な特性を付与するところの「質量数600以下の炭素水素酸素化合物」とは、単一組成・単一質量数の物質ではないものの、少なくとも以下のa)〜e)の全てを満足する炭素水素酸素化合物として明確に定義することができる。
a)質量数600以下の分子からなる。
b)大気圧下における該混合化合物の実効的な沸点温度は200℃以上である。
c)カルボニル基を有するがアルデヒド類ではない。
d)波数1000〜1500cm-1の領域に、図2のスペクトルに示されたような、特長的な一群の赤外振動ピークを与える。
e)波長400nm以下の紫外領域に、図13(A)で示されたような、幅広く、かつ短波長に向かって単調に吸光度が増加する紫外線吸収スペクトルを与える。
ここで、本発明分散液について、アセトニトリル溶液をキャリア液にして、本発明分散液を希釈して、液体クロマトグラフと質量分析装置(Bruker Daltonicss製microTOF2−KP、飛行時間型液体クロマトグラフ質量分析装置)を用いて分析(LC/MS)した。TIC(トータルイオンクロマトグラフ:検出イオン総量をトレース)の分析結果を図5(A)〜(B)に示す。ネガティブモード(A)測定では脱プロトンし易い化合物が検出され易く、ポジティブモード(B)測定ではプロトンが付加し易い化合物が検出され易くなる。この結果から、質量数600以下のマススペクトルが多数検出された。即ち、これは、質量数が、112、135、174、234、276、278、324、358、380、386、402、410、426、453、455、496、501、582などの質量数600以下の複数の炭素水素酸素化合物からなる混合物であり、炭素水素酸素化合物、Cで示されるものと推定される。Cの組成の一例としては、C15、C10、C1018、C1116、C1118、C2617、C2634などが推定できる。この本発明分散液を用いると、300[℃]以下の低温還元処理で、基材との密着があり、厚みが 1[μm]以上で、比抵抗が30[μΩ・cm]以下の値を示す還元膜を形成することができる。
本発明分散液中に含まれる質量数600以下の炭素水素酸素化合物の重量分率を決定するために以下の実験を行った。
1.測定法と実験
本発明分散液の成分構成は、1)亜酸化銅ナノ粒子、2)γ-ブチロラクトン、3)ジエチレングリコール、4)質量数600以下の炭素水素酸素化合物、の4種類である。4)の重量分率を決定するために、以下の実験を行った。
1−1 参照用実験
a)所定量の分散液をガラス基板(あらかじめその重量を測定しておく)上に塗布して、乾燥前のインクの全重量を測定、その値をWとする。
b)これを乾燥後、揮発成分を完全に取り除き、かつ固形分が完全に還元される十分な高温(350[℃]以上)下で還元を行い、その後に残存する重量を測定、これをWとする。
c)Wは、所定量の分散液中に含まれる銅由来の固形分が還元されたCuの重量を表し、R=W/Wは分散液の全重量に対するその比率である。
d)同量の固形分が亜酸化銅(CuO)の組成で存在する場合のその重量分率は、CuOの分子量の1/2(CuO0.5)とCuの原子量の比(1.12)をRに乗じた値である。これをRとする。
e) 同じく、固形分がCuOの組成で存在する場合のその重量分率は、CuOの分子量とCuの原子量の比(1.25)をRに乗じた値である。これをRとする。
1−2 主実験
a)所定量の分散液をガラス基板(あらかじめその重量を測定しておく)上に塗布して、乾燥前の分散液の全重量を測定し、その値をMとする。
b)これを各温度(80[℃]、150[℃]、200[℃]、250[℃]、300[℃])に設定したホットプレート上で大気中加熱し、一定時間加熱後の重量Mを逐一測定する。元のインクの全重量Mに対する比(残存重量比)M/Mを上記のR〜Rと比較すれば、本発明分散液中の質量数600以下の炭素水素酸素化合物の重量比が推定できる。
c)例えば、該加熱温度でナノ粒子の組成が亜酸化銅に維持され、かつナノ粒子以外の全ての成分が加熱除去された時のM/Mは、Rに一致しなければならない。一方、その値がRより大きくなれば、その差はまだ揮発せずに残っている溶媒もしくはその他の不純物の割合を与えることになる。また加熱温度が高くなり、ナノ粒子の酸化状態が酸化銅まで進むと、新たに結合した酸素原子に対応する重量増加も起こる。
2.原料分散液の重量分析
図7は、上記の実験をまず原料分散液について行った結果をまとめたものである。
横軸は各温度(図7中に記載)における加熱時間、縦軸は残存重量比M/Mを百分率で示す。点線で示した二本の横線は、それぞれ上記のR(CuO組成)およびR(CuO組成)に対応するラインである。
80[℃]という低温での加熱(ナノ粒子の組成はCuO)でも、十分時間をかければ残存重量比はRにごく近いレベルまで漸近しており、150[℃]〜200[℃](この温度範囲ではナノ粒子組成はなおCuOに保たれる)では20分以内にこのラインに到達している。それ以上の温度では、長い加熱時間で残存重量比はRに近づいていくが、これはCuO → CuOの酸化の進行を表す。この結果から、原料分散液中には、比較的容易に揮発する溶媒成分を除いて、それ以外の余分の物質はほとんど含まれない(最大1[wt%]未満)ことがわかる。
3. 本発明分散液の重量分析
図8は、本発明分散液についての同様な実験の結果をまとめたものである。原料分散液とは大きな違いがみられ、80[℃]の加熱では、残存重量比の値はRやRのラインをはるかに上回り、この温度での加熱では容易に除去できない新たな成分が本発明分散液の調製工程で生成したことを示す。
先にも述べたように、200[℃]程度の加熱では、ナノ粒子の組成は亜酸化銅に止まる。またこの温度では、溶媒由来の揮発性成分は10分以内に除去されるので、数分以内に急激に重量減少が生じた後の残存重量比(図から約30[wt%])とRラインの差は、すなわち本発明の調製工程で新たに生成した化合物(すなわち質量数600以下の炭素酸水素酸素化合物)の重量比を表す。図8に示すとおり、この値は8.0[wt%]となる。
更に、この本発明分散液の200[℃]での乾燥膜を、電子線マイクロアナライザ(株式会社島津製作所製EPMA−1610)により、元素分析を行った。このときの分析面積は、φ100[μm]で、深さ平均0.5[μm]で元素分析を調べた。銅は83.2[wt%]、酸素は、12.8[wt%]、炭素は3.05[wt%]で、残りは微量成分であった。この膜のX線回折の結果から、銅の酸化物として亜酸化銅相のみ同定できた。この結果から、銅全量が亜酸化銅であるとすると、この分の酸素は、10.5[wt%]となり、分析値との差である2.3[wt%]は、質量数600以下の炭素水素酸素化合物中の酸素分であると考えられ、質量数600以下の炭素水素酸素化合物は、少なくとも、炭素と酸素の和である、5.3[wt%]以上であると推定できる。
次に、調製した本発明分散液を、ガラス基板上に、スリット塗布法で印刷した。これを200[℃]で、10分間大気中で乾燥した。この膜には、質量数600以下の炭素水素酸素化合物が本発明分散液の調製工程で生成したものと考えられ、亀裂が無く、光沢があり、基板との密着が良好であった。この得られた乾燥膜をX線回折試験(株式会社リガク製RINT−2000)の結果、亜酸化銅を主成分とする膜であることがわかった。またこの亜酸化銅を主成分とする乾燥塗膜は、大気中、170〜300[℃]の加熱により、真性半導体としての電子的な伝導性、1[kΩ・cm]の比抵抗(体積固有抵抗)値を発現した。
導体膜の形成工程で使用する水素還元や大気酸化の処理装置は、次のものを使用した。乾燥膜を設置できる密閉反応装置をヒーター上に置き、装置内部の基板設置位置の温度は、室温から350[℃]の範囲で制御した。この密閉装置内には、窒素ガスをキャリアーガスとして、水素ガスと酸素ガスの3系統のガスを導入した。また、ガス排出系統は1系統であり、反応室からガス排出弁を介してガスを排出した。
先に、真性半導体としての電子的導通が確認された塗膜を250[℃]に加熱し、窒素ガスをキャリアーガスにして、大気圧の水素ガス濃度を3[体積%]なるように流し、塗膜を還元させた。このとき、還元状態の変化を判断するために、基板には透明ガラスを使用し、二つの試料の一方を裏返しに置き、基板のガラスを通して、塗膜/基板界面の反射色の変化を同時に観察した。その結果、例えば約250[℃]の処理温度において、約10分以内に、塗膜表面よりも塗膜/基板界面の方で先に、還元され、銅に由来する光沢が表れ、さらに数分間還元処理を続けることにより、塗膜全体が還元された。
ただし、この1回の還元処理で得られる銅膜の比抵抗は、必ずしも目的とするレベル(30[μΩ・cm]以下)には到達しなかった。そこで、同還元膜の置かれた密閉反応装置内に、窒素ガスをキャリアーガスにして、水素ガスのかわりに、酸素ガス濃度を20[体積%]以下になるように、1分間流し、塗膜を再酸化させた。
この再酸化と再還元処理を同温度(250[℃])で交互に繰り返したところ、その繰り返しにより、次第に導電性が向上した。その様子をグラフにしたものを図9に示す。4回繰返したしたところ、目的とする30[μΩ・cm]以下(10[μΩ・cm])の比抵抗に達し、その後さらに繰り返し回数を増加させることにより、バルク銅の比抵抗値の約2倍まで導電性が向上した。図9には、還元膜の密度の変化も合わせて示した。バルク銅の8割に近い密度が得られたことがわかる。なおこの時の還元膜の厚さは約700[nm]である。
同様の実験を他の処理温度においても実施し、その結果を表1に示した。還元膜の厚さは全て500〜1000[nm]の範囲になるように、塗膜の厚さを調整した。比抵抗値は、株式会社ダイアインスツルメンツ製抵抗率計ロレスタGP MCP−T610を用いて測定した値を示した。全ての処理温度で目的とする30[μΩ・cm]以下の比抵抗に到達しているが、それに必要な処理時間、水素ガス濃度は異なる。もちろん処理温度を高くするほど、また水素ガス濃度を高くすると還元時間は短縮できる。なおバルクの銅の比抵抗である1.7[μΩ・cm](室温)の2倍以下の比抵抗値に相当する特に高い導電性を実現するには、300[℃]以上の処理温度が必要であった。また粘着テープによる剥離性から判断する密着性試験によれば、250[℃]〜280[℃]の温度範囲を除く処理で、ガラス基板への実用的な密着強度を有していることを確認できた。
250[℃]までの温度処理の範囲では、本発明分散液中に含まれる質量数600以下の炭素水素酸素化合物の働きで、基材表面と亜酸化銅が還元された銅膜との間で結合が生じ、密着性が保持される。250[℃]を越えるとこの質量数600以下の炭素水素酸素化合物は分解し、基材表面と亜酸化銅が還元された銅膜との間で結合が無くなり密着性が失われる。ところが280[℃]を越えると、酸化物系セラミックであるガラスなどの場合、表面の酸素と還元された銅膜との間での化学的な結合により、すなわちSi−O−のOとCuとの間で結合が生じることで、密着強度の高い銅膜になったものと推定する。
[表1]
Figure 0006053725
当然ながら、上記の還元処理で到達できる比抵抗の値は塗膜の厚みにも依存し、厚みが薄いほど還元時間も短縮できる。図10は、処理温度230[℃]における同一還元条件における還元膜の膜厚と比抵抗の関係の一例である。膜厚が約2[μm]までは、ほぼ同じ10[μΩ・cm]の比抵抗が得られたが、それ以上に膜厚が増加すると、比抵抗は単調に増加した。なお、この処理条件では膜厚に関わらず、ガラス基板への強固な密着性が得られることも確認された。また、処理時間を延長すれば、2[μm]以上の厚みをもった還元膜の比抵抗も10[μΩ・cm]のレベルに低下させることが可能である。
(実施例2〜12)
実施例1と同様の原料分散液を用いて、表2に示す条件で本発明分散液を調製した。得られた本発明分散液を実施例1の場合と同様にして、塗膜を形成し、導体膜を形成した。何れの場合にも、目的とする30[μΩ・cm]以下の比抵抗を示す高導電性銅膜が得られた。
[表2]
Figure 0006053725
(比較例1〜6)
実施例1と同様の原料分散液を用いて、表3に示す条件で比較例の分散液の調製を行った。得られた比較例分散液を使用して実施例1の場合と同様にして、基板上に塗膜を形成したところ、比較例の分散液を使用した何れの場合も、塗膜を乾燥し、乾燥膜にしたときに亀裂が生じ、基材との密着も良くなかった。
比較例の分散液を用いると、300[℃]以下の低温還元処理で塗布膜厚みを1[μm]以下にしても、塗布後の乾燥膜中に亀裂が入り、これを還元した後の膜は比抵抗が30[μΩ・cm]以下の値とならなかった。これら比較例の分散液には、質量数600以下の炭素水素酸素化合物の生成そのものが不十分であったか(比較例1、2、4、および6)、もしくは 質量数600以下の炭素水素酸素化合物以外に、塗膜を乾燥にするときに亜酸化銅ナノ粒子が均一な分散状態に維持することを妨げるものが付加的に生成し(比較例3および5)、総じて質量数600以下の炭素水素酸素化合物の好ましい生成量が維持できなかったことが示唆される。
[表3]
Figure 0006053725
図3(A)は、比較例3および5に係る分散液をシリコン基板上に塗布して、その乾燥前後の赤外線吸収スペクトルを測定した結果である。乾燥前の液状態のスペクトル(図3(A)の点線)は、本発明品の図2と比較して差は小さいように見えるが、波数 1100[cm−1]付近のエーテル酸素(ジエチレングリコール由来)の信号強度が相対的に小さく、ジエチレングリコールが何等かの反応で速やかに消費されていることを示唆する。
図3(B)は200[℃]で数分間加熱後のスペクトル(図3(A)の実線の拡大スペクトル)であり、この比較例の分散液が本発明分散液のそれ(図2)と大きく異なることを示している。即ち、図2では認められなかった位置(×印及び矢印(↓)で示す)に、複数の鋭い振動ピークが見られる。その正体としては、難揮発性の不飽和もしくは環状化合物の生成が強く示唆される。すなわちこの場合、質量数600以下の炭素水素酸素化合物以外に、塗膜を乾燥するときに亜酸化銅ナノ粒子が均一な分散状態を維持することを妨げるものが付加的に生成し、総じて質量数600以下の炭素水素酸素化合物の好ましい生成量が維持できなくなったことを意味する。
図4は、比較例1、2、4、および6に係る分散液をシリコン基板上に塗布して、200℃で数分間加熱した後に測定した赤外線吸収スペクトルである。CuOナノ粒子のピーク強度と比べて、質量数600以下の炭素水素酸素化合物のピーク強度が非常に小さいことから、その生成速度そのものが極度に低下し、もってその好ましい生成量が維持できなかったことを意味する。
以上の結果をまとめると、比較例の分散液を用いると、300[℃]以下・20分以下の低温還元処理で、厚みが1[μm]以下にしても、塗布後の乾燥膜中に亀裂が入り、還元した後の膜で、比抵抗が30[μΩ・cm]以下の値を得ることはできなかった。
(実施例15)
まず、三口フラスコ、即ち、真ん中の口には冷却管を取り付け、その上部には、ガス排出口が開放され、横の口は、各々熱電対とガス流入ノズルを取り付けた密閉栓を設けた容器を準備する。この容器内に、三菱化学株式会社製γ―ブチロラクトン27.5[g]と、関東化学株式会社製ジエチレングリコール8.25[g]を入れて混合し(工程C)、これを、マグネチックスターラーにより毎分600回転で攪拌し、窒素ガス流量と酸素ガス流量の割合を2:1にして合計2.4[L/分]の流量でバブリングしながら、170[℃]で6時間加熱した(工程D)。室温で冷却した後に、回収したものは、γ―ブチロラクトンが66.9[wt%]、ジエチレングリコールが23.1[wt%]、質量数600以下の炭素水素酸素化合物1.32[wt%]が含まれた混合溶液であった(以下、「調整液A」という。)。以下、本発明分散液の調整にあたっては、調製液A中の未反応のγ−ブチロラクトンおよびジエチレングリコールを蒸発により部分的に除去することにより、質量数600以下の炭素水素酸素化合物の割合を所定量まで高めた。
図12は、調製液Aをシリコン基板上に塗布して、200℃で数分間加熱した後に測定した赤外線吸収スペクトルである。図2に示された質量数600以下の炭素水素酸素化合物と同一の物質の生成が確認できる。
また調製液Aには亜酸化銅ナノ粒子が含まれないため、質量数600以下の炭素水素酸素化合物の生成を紫外吸収分光法(株式会社島津製作所製UV−3600)によって確かめることもできる。 図13(A)は調製液A中に生成した質量数600以下の炭素水素酸素化合物の紫外線吸収スペクトルであり、図13(B)はγ―ブチロラクトンのみを同条件で加熱処理した際に生成するところの、より単純な溶媒酸化変性物の紫外線吸収スペクトルである。両者の違いは明瞭である。なお、ジエチレングリコールのみを同条件で加熱処理した場合は、溶媒酸化変性物の生成は認められなかった。
原料分散液(亜酸化銅ナノ粒子濃度30[wt%])39[g](25[mL])、と質量数600以下の炭素水素酸素化合物の割合を所定量まで高めた上記調整液A35.75[g]を混合して本発明分散液を得た。得られた本発明分散液中には、亜酸化銅ナノ粒子が15.7[wt%]、γ―ブチロラクトンが68.5[wt%]、ジエチレングリコールが11.0[wt%]、質量数600以下の炭素水素酸素化合物が4.8[wt%]含有されていた。
これを、実施例1の場合と同様に使用して、塗膜を形成し、導体膜を形成した。目的とする、30[μΩ・cm]以下の比抵抗を示す高導電性銅膜が得られた。
(実施例16〜17)
実施例15と同様の方法で、予め、三菱化学株式会社製γ―ブチロラクトンと関東化学株式会社製ジエチレングリコール(DEG)を所定の割合で混合し(工程C)、マグネチックスターラーで毎分600回転で攪拌し、更に窒素ガス流量と酸素ガス流量の割合を2:1にして合計2.4[L/分]の流量でバブリングしながら、170[℃]で6時間加熱処理した(工程D)。室温まで冷却しγ―ブチロラクトン、ジエチレングリコールと、質量数600以下の炭素水素酸素化合物が夫々所望の割合で含まれた2種の混合溶液を得た(ここで得られた混合溶液を夫々調製液B、調製液Cという。)。
実施例1の場合と同様の原料分散液に、夫々、質量数600以下の炭素水素酸素化合物の割合を所定量まで高めた上記の調整液Bまたは調製液Cを加えて、混合し、実施例16および実施例17の本発明分散液を得た。得られた実施例16及び実施例17の本発明分散液夫々に含まれる亜酸化銅ナノ粒子濃度、γ―ブチロラクトン、ジエチレングリコールおよび質量数600以下の炭素水素酸素化合物の量は、表4に示したとおりであった。
これらを、実施例1の場合と同様に使用して、塗膜を形成し、導体膜を形成した。目的とする、30[μΩ・cm]以下の比抵抗を示す高導電性銅膜が得られた。
[表4]
Figure 0006053725
表中、γBLはγ―ブチロラクトンを示し、DEGはジエチレングリコールを示す。
本発明に係る亜酸化銅ナノ粒子分散液によれば、300[℃]以下の低温処理により30[μΩ・cm]以下の比抵抗値を示す導体膜を形成することができる。そのため、特殊な耐熱性材料ではなく、一般的に使用されている耐熱性の低い基材も使用することができるため、適用範囲が広い。従って、本発明を実施した場合の産業上の利用可能性は極めて大きい。

Claims (10)

  1. 亜酸化銅ナノ粒子、γ―ブチロラクトン、ジエチレングリコールと、その他の質量数600以下の炭素水素酸素のみからなる複数の化合物の混合物を含む亜酸化銅ナノ粒子分散液であって、
    前記亜酸化銅ナノ粒子の粒子径の長さが1〜500[nm]の範囲にあり、
    前記質量数600以下の炭素水素酸素のみからなる複数の化合物の混合物は、カルボニル基を有し、かつ、アルデヒド類ではなく、波数1000〜1500cm-1の領域に、一群の赤外振動ピークを与えることを特徴とする亜酸化銅ナノ粒子分散液。
  2. 前記亜酸化銅ナノ粒子分散液中の亜酸化銅ナノ粒子は、結晶性であって、前記亜酸化銅ナノ粒子分散液中に5〜40[wt%]含まれていることを特徴とする請求項1記載の亜酸化銅ナノ粒子分散液。
  3. 前記亜酸化銅ナノ粒子分散液中に含まれる、γ―ブチロラクトンの濃度は28〜88[wt%]であり、前記ジエチレングリコールの濃度は4〜20[wt%]であり、前記質量数600以下の炭素水素酸素のみからなる複数の化合物の混合物の濃度は2〜12[wt%]であることを特徴とする請求項1記載の亜酸化銅ナノ粒子分散液。
  4. 前記質量数600以下の炭素水素酸素のみからなる複数の化合物の混合物が、γ−ブチロラクトンとジエチレングリコールとを混合する工程(工程C)と、体積流量比9/1〜0/10の窒素/酸素の混合ガスを工程Cで得た混合液中にバブリングしながら、前記混合液を155〜185[℃]で加熱撹拌する工程(工程D)とを含む工程で調整されることを特徴とする請求項1記載の亜酸化銅ナノ粒子分散液の製造方法。
  5. 前記亜酸化銅ナノ粒子と前記γ―ブチロラクトンからなる分散液と前記ジエチレングリコールとを混合する工程(工程A)と、
    体積流量比9/1〜0/10の窒素/酸素の混合ガスを工程Aで得た混合液中にバブリングしながら、前記混合液を155〜185[℃]で加熱攪拌する工程(工程B)とを含み、
    前記ジエチレングリコールの配合量a[wt%]が、下記の数式(I)で示される量であることを特徴とする、請求項1記載の亜酸化銅ナノ粒子分散液の製造方法。
    数式(I):a=(0.35±0.05)×b+(7.3±0.3)
    (式中、bは工程Aで用いる、亜酸化銅ナノ粒子とγ―ブチロラクトンからなる分散液中の亜酸化銅ナノ粒子含有量(wt%)を示し、5≦b≦50の正数である。)
  6. 亜酸化銅ナノ粒子5〜40[wt%]、γ―ブチロラクトン28〜88[wt%]、ジエチレングリコール4〜20[wt%]及びその他の質量数600以下の炭素水素酸素のみからなる複数の化合物の混合物2〜12[wt%]を配合し、混合する工程からなる亜酸化銅ナノ粒子分散液の製造方法であって、
    前記亜酸化銅ナノ粒子の粒子径の長さが1〜500[nm]の範囲にあり、
    前記質量数600以下の炭素水素酸素のみからなる複数の化合物の混合物は、カルボニル基を有し、かつ、アルデヒド類ではなく、波数1000〜1500cm-1の領域に、一群の赤外振動ピークを与えることを特徴とする亜酸化銅ナノ粒子分散液の製造方法。
  7. 前記質量数600以下の炭素水素酸素のみからなる複数の化合物の混合物が、γ―ブチロラクトンとジエチレングリコールとを混合する工程(工程C)と、体積流量比9/1〜0/10の窒素/酸素の混合ガスを工程Cで得た混合液中にバブリングしながら、前記混合液を155〜185[℃]で加熱攪拌する工程(工程D)とを含む工程で調製されるものであることを特徴とする、請求項6に記載の亜酸化銅ナノ粒子分散液の製造方法。
  8. 亜酸化銅ナノ粒子とγ―ブチロラクトンからなる分散液とジエチレングリコールとを混合する工程(工程A)と、
    体積流量比9/1〜0/10の窒素/酸素の混合ガスを工程Aで得た混合液中にバブリングしながら、前記混合液を155〜185[℃]、1〜10[時間]で加熱攪拌する工程(工程B)とを含み、
    前記ジエチレングリコールの配合量a[wt%]が、下記の数式(I)で示される量であることを特徴とする亜酸化銅ナノ粒子分散液の製造方法。
    数式(I): a=(0.35±0.05)×b+(7.3±0.3)
    (式中、bは工程Aで用いる、亜酸化銅ナノ粒子とγ―ブチロラクトンからなる分散液中の亜酸化銅ナノ粒子含有量(wt%)を示し、5≦b≦50の正数である。)
  9. 請求項4、5又は8に記載の亜酸化銅ナノ粒子分散液の製造方法により製造された前記亜酸化銅ナノ粒子分散液を基材上に塗布・乾燥し、還元性雰囲気の下に、170℃〜300℃の温度範囲で加熱することにより得られる銅導体膜が形成された基材の製造方法。
  10. 請求項1乃至3のいずれかの請求項に記載の亜酸化銅ナノ粒子分散液を基材上に塗布・乾燥し、還元性雰囲気の下に、170℃〜300℃の温度範囲で加熱することにより得られる銅導体膜が形成された基材の製造方法。
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