以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の導電性材料の製造方法にて得られる導通パターンは、銀からなる。ここで銀からなるとは、導通パターンを構成する金属に占める銀の割合が97質量%以上であることを意味し、より好ましくは99質量%以上である。他の金属としては、ハロゲン化銀乳剤層が含有するハロゲン化銀粒子を製造する際、物理熟成に使用されるタリウム、ロジウム、イリジウム、金、セレン等が挙げられる。
導通パターンはメッシュパターンであることが好ましく、該メッシュパターンの形状としては、例えば正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形等の四角形、(正)六角形、(正)八角形、(正)十二角形、(正)二十角形等の(正)n角形、星形等を組み合わせた形状が挙げられ、またこれらの形状の単独の繰り返し、あるいは2種類以上の複数の形状の組み合わせが挙げられる。中でも正方形もしくは菱形であることが好ましい。メッシュパターンを構成する細線の線幅は20μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以下である。メッシュパターンの繰り返し間隔(格子間隔)は、1000μm以下が好ましく、700μm以下がさらに好ましい。またメッシュパターン部を構成する細線厚みは薄すぎると必要な導電性を確保し難くなる。よってその厚みは0.05〜5μmが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。
抵抗膜式タッチパネルや静電容量方式タッチパネル等のタッチパネル用途において電極として使用される導電性材料は、ディスプレイ上にて手で操作される光透過性導電部と、該導電部で感知された電気信号を外部に取り出す周辺配線部を有する。該光透過性導電部としてITO導電膜を用いる場合、一般的にはITO導電膜を形成した後、更に銀ペーストなどを用いて周辺配線部を作製するなど、ITO導電膜を作製するのとは別の工程が必要となり、生産性があまり良くなかった。これに対し本発明のハロゲン化銀乳剤層を有する導電性材料前駆体を用いた製造方法では、光透過性導電部として用いる導通パターンと周辺配線部が同時に形成できるため、また前述したようにロール・ツー・ロールの製造方法が採用可能であることから、極めて高い生産性にて製造することが可能となる。
上記した周辺配線部は、複数の導通パターンにより感知された電気信号を外部に取り出すための配線である。通常このような配線はディスプレイ上にて目立たなくすることを目的に、また表示装置に対するディスプレイ部の割合を高めるため、可能な限りディスプレイの枠部分に集中するように配置される。周辺配線部のラインアンドスペースとしては、100μm/100μm以下が好ましく、75μm/75μm以下がより好ましく、更には50μm/50μm以下がより好ましい。なお本発明において上記した周辺配線部のラインアンドスペースは、周辺配線部において配線が最も密に存在している箇所におけるラインアンドスペースである。
次に本発明の導電性材料の製造方法について詳細に説明する。本発明の導電性材料の製造方法は、支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する導電性材料前駆体(以下、前駆体とも記載)を像様に露光する露光工程、該露光工程により露光された前駆体を現像し、銀からなる導通パターンを析出させる現像工程、および該現像工程により現像された前駆体のハロゲン化銀乳剤層を有する側の面に5mS/m以下の電導度を有する水を供給し、現像後のハロゲン化銀乳剤層を除去する水洗工程、を少なくとも具備する。
露光工程では、ハロゲン化銀乳剤層を有する導電性材料前駆体を像様に露光する。該工程で用いる露光方法としては、例えばメッシュ状のパターンが描画された原稿と、導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層を有する側の面を密着して露光する方法、あるいは該原稿を利用せずに、各種レーザー光を用いて該パターンを走査露光する方法等がある。レーザー光で露光する方法においては、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードとも云う)を用いることができる。また特開2007−225884号公報、特開2008−116514号公報、特開2008−241987号公報、特開2009−175287号公報等に記載される、円筒体を利用した連続露光装置も好ましく用いることができる。
本発明に用いる導電性材料前駆体は、支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有し、現像処理後のハロゲン化銀乳剤層は水洗除去される前駆体である。なお、現像によりハロゲン化銀粒子は銀に還元されるため、現像後のハロゲン化銀乳剤層は実質的にハロゲン化銀粒子を含有しない場合もあるが、本発明では便宜上、現像工程以降であってもハロゲン化銀乳剤層と記載する。
かかる導電性材料前駆体としては、例えば特開2003−77350号公報、特開2005−250169号公報、および特開2007−188655号公報等に記載される銀錯塩拡散転写法により銀からなる導通パターンを形成する導電性材料前駆体、および特開2007−59270号公報に記載される、硬化現像法を利用して銀からなる導通パターンを形成する導電性材料前駆体が挙げられる。
前記した露光方法にて像様(所望するパターン形状)に露光された前駆体は、現像工程にて現像される。上述した銀錯塩拡散転写法を利用して導通パターンを形成する際に使用する現像液は、可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤を含有するアルカリ液である。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物である。
現像液が含有する可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウムやチオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、オキサゾリドン類、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、米国特許第5,200,294号明細書に記載のようなチオエーテル類、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に、「The Theory of the photographic Process(4th edition,p474〜475)」、T.H.James著に記載されている化合物が挙げられる。これらの可溶性銀錯塩形成剤の中でもアルカノールアミンを含有する現像液で現像した場合、特に優れた導電性を有する導通パターンが得られるため、好ましい。
アルカノールアミンとしては、例えばN−(2−アミノエチル)エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、4−アミノブタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、3−アミノプロパノール、N−エチル−2,2′−イミノジエタノール、2−メチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
これらの可溶性銀錯塩形成剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。
現像液に用いられる還元剤は、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載されているような写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、アスコルビン酸及びその誘導体、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。これらの還元剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。
可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1リットル当たり、0.001〜5モルが好ましく、より好ましくは0.005〜1モルの範囲である。還元剤の含有量は現像液1リットル当たり0.01〜1モルが好ましく、より好ましくは0.05〜1モルの範囲である。また現像液のpHは10以上が好ましく、更に11〜14が好ましい。所望のpHに調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ剤、リン酸、炭酸などの緩衝剤を単独、または組み合わせて含有させる。また、現像液は、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム等の保恒剤を含むことが好ましい。
次に硬化現像法を利用して導通パターンを形成する際に使用する現像液(硬化現像液)について説明する。硬化現像法とは、光センサーのハロゲン化銀粒子を像様に露光して潜像を形成し、これを触媒としてハロゲン化銀を還元する時に、ゼラチンの硬化作用を有する還元剤を用い、金属銀を形成すると同時に金属銀周囲のゼラチンを硬化させ、画像を形成させた後、水洗除去して非硬化部を洗い流す方法である。ゼラチンの硬化作用を有する還元剤とは、詳細にはハロゲン化銀を還元でき、かつ該還元剤の酸化体によってハロゲン化銀乳剤層を硬化可能な還元剤である。
上記したハロゲン化銀乳剤層を硬化可能な還元剤としては、例えばハイドロキノン、カテコール、クロロハイドロキノン、ピロガロール、ブロモハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジクロロハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,3−ジブロモハイドロキノン、1,4−ジヒドロキシ−2−アセトフェノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、4−フェニルカテコール、4−t−ブチルカテコール、4−s−ブチルピロガロール、4,5−ジブロモカテコール、2,5−ジエチルハイドロキノン、2,5−ベンゾイルアミノハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン系還元剤が挙げられ、特にベンゼン核の少なくとも1,2位または1,4位にヒドロキシル基が置換したポリヒドロキシベンゼン系還元剤が好ましい。また該現像液は3−ピラゾリドン類、例えば1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、及び1−p−クロロフェニル−3−ピラゾリドン等の公知の写真現像液に用いる還元剤を、上記ポリヒドロキシベンゼン系還元剤と併せて使用することも可能である。
硬化現像法にて導通パターンを作製する場合、アルカリ性の条件下で該現像主薬の酸化体を安定してハロゲン化銀乳剤層に作用させることが重要であり、このような観点から、上記したポリヒドロキシベンゼン系還元剤は現像液が含有するのではなく、導電性材料前駆体が有するハロゲン化銀乳剤層が含有することが好ましい。
硬化現像液はアルカリ性物質、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第3燐酸ナトリウム、あるいはアミン化合物、粘稠剤、例えばカルボキシメチルセルロース、カブリ防止剤、例えば臭化カリウム、現像変性剤、例えばポリオキシアルキレン化合物、ハロゲン化銀溶剤、例えばチオ硫酸塩、チオシアン酸塩、環状イミド、チオサリチル酸、メソイオン性化合物等の添加剤等を含有することができる。硬化現像液のpHは通常10〜14である。通常の銀塩写真現像液に用いる保恒剤、例えば亜硫酸ナトリウムなどは硬化現像による硬化反応を停める作用があるので、硬化現像液では保恒剤は少なくとも20g/L以下の使用量、好ましくは10g/L以下の使用量が好ましい。また該硬化現像液は膨潤抑制剤を含有することが好ましい。膨潤抑制剤としては後述する前駆体に含有させるのと同様の膨潤抑制剤を用いることができる。好ましい膨潤抑制剤の含有量は50〜300g/L、好ましくは100〜250g/Lである。
本発明において現像処理を行う方法としては、浸漬方式であっても塗布方式であってもよい。浸漬方式は、例えば、タンクに大量に貯留された処理液中に、導電性材料前駆体を浸漬しながら搬送するものであり、塗布方式は、例えば導電性材料前駆体上に処理液を1平方メートルあたり40〜120ml程度塗布するものである。前述した硬化現像液を用いる場合には塗布方式にし、硬化現像液は再利用せず使い切りとすることが好ましい。
本発明における好ましい現像処理条件については、以下の通りである。現像温度は2〜30℃であることが好ましく、より好ましくは10〜25℃である。現像時間は10〜300秒であることが好ましい。
次に水洗工程について説明する。本発明では、現像工程により現像された導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層を有する側の面に5mS/m以下の電導度を有する水を供給し、現像後のハロゲン化銀乳剤層を水洗除去する。該水洗除去はハロゲン化銀乳剤層のみだけでなく、ハロゲン化銀乳剤層および必要に応じて設けられる中間層や保護層の除去も同時に行われる。
導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層を有する側の面に供給する5mS/m以下の電導度を有する水としては、水を複式蒸留、イオン交換樹脂、逆浸透膜、およびEDI(電気再生式イオン交換装置)等を利用した公知の方法で処理することで得ることが可能である。また本発明における電導度は25℃における電導度であり、例えば横河電機(株)製、SC72等を用いて測定することが可能である。
5mS/m以下の電導度を有する水を、現像工程で現像された導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層を有する側の面に供給する方法としては、5mS/m以下の電導度を有する水が投入された水洗槽中に、現像後の導電性材料前駆体を浸漬する方法、あるいは現像後の導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層を有する側の面に、5mS/m以下の電導度を有する水をシャワーやスリット等の吹き掛け手段から供給する方法等が挙げられる。現像後のハロゲン化銀乳剤層は大量の現像液を含有しているため、例えば前者の方法を利用した場合、水洗槽に5mS/m以下の電導度を有する水を大量に補充する必要がある。このため5mS/m以下の電導度を有する水をハロゲン化銀乳剤層を有する側の面に供給する方法としては、後者のシャワーやスリット等の吹き掛け手段から供給する方法が好ましい。
従来技術では、特開2006−190535号公報や、特開2007−240593号公報等に記載されるように、現像後のハロゲン化銀乳剤層の水洗除去には温水が利用され、噴出された温水は水洗貯留槽に貯留され、該貯留槽から温水を再度シャワーノズルに供給して循環して使用することが一般的であった。これに対し、現像された導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層を有する側の面に5mS/m以下の電導度を有する水を供給して現像後のハロゲン化銀乳剤層を水洗除去することで、優れた導電性を有する導通パターンが高い歩留まりで製造できるという事実は、当業者といえども予測できない驚くべき事実であった。
現像後のハロゲン化銀乳剤層の水洗除去に用いられる水の温度は30〜45℃であることが好ましい。また水洗除去に用いられる水の電導度は5mS/m以下であるが、2mS/m以下とした場合、より高い導電性を有する導通パターンが得られるため、好ましい。
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。図1は本発明に用いる処理装置の一例を示す概略側断面図である。
図1において、ロール状の導電性材料前駆体12(例えば特開2007−225884号公報に記載された連続露光装置にて露光して巻き取った導電性材料前駆体12)は、巻き出し軸11に装着され、図中矢印の方向に連続的に巻き出されて搬送される。導電性材料前駆体12は、内巻き(ハロゲン化銀乳剤層を有する側の面を内側にして巻き取られている)になっている。巻き出し軸11には、張力制御手段13が接続されている。ロール状の導電性材料前駆体12の最上巻きと最下巻きには、処理装置の搬送経路の全長に相当する長さのリードフィルムが設けられており、巻き出されたウエブFの製品となる部分(導通パターンが形成される部分)には常に搬送速度および張力が制御された状態となっている。
ウエブFが搬送されて現像槽20に入る前に、ウエブFは反転ローラ21で搬送方向が反転される。この反転ローラ21と後述の反転ローラ22によって、現像槽20中でウエブFのハロゲン化銀乳剤層を有する側の面は非接触の状態で搬送される。現像槽20は、図1に示すように縦長で薄型の槽が好ましく、槽内の下部に設けられている反転ローラ22でウエブFの裏面(ハロゲン化銀乳剤層を有さない側の面)を支持しながら搬送方向を反転させることによって、小さい設置スペースで現像時間(現像液に浸漬している時間)を稼ぐことができる。
現像槽20の容量は、ウエブFの幅寸法によっても異なるが、通常30〜50リットル程度が適当である。現像槽20には現像液23がほぼ満杯に貯留されており、現像処理によって消費された現像液は、図示しない補充装置で補充されるようになっている。また現像槽20は、図示しない恒温装置で所望の温度範囲に温度調節されるようになっている。本発明において、現像開始時点とは、現像槽20の現像液23にウエブFが浸入した時点である。従って、反転ローラ21が現像開始前のハロゲン化銀乳剤層を有する側の面に接触する最後の固体物(ローラ)であり、後述するローラ対42までは、ウエブFのハロゲン化銀乳剤層を有する側の面は非接触で搬送される。
現像槽20から搬出されたウエブFは、空中現像部24で引き続き現像され、水洗処理部30に搬送される。水洗処理部30において、ウエブFは、まず、シャワーノズル31から噴出された水(25℃における電導度が5mS/m以下の水)により、ハロゲン化銀乳剤層および必要に応じて設けられる中間層や保護層等が水洗除去されて、物理現像核上に銀からなる導通パターン、あるいは硬化現像により得られた銀からなる導通パターンが露出する。次に、リンス処理部40において、シャワーノズル41から噴出された水により、前記した水洗処理部30にて除去しきれなかった不要成分を完全に除去する。水洗処理部30の最後端にはエアナイフ32が取り付けられており、シャワーノズル31から噴出される水が下流側に流れ込まないようにしている。
シャワーノズル31から噴出される水は、ウエブFの両端部から落下し、水洗液貯留槽33に貯留される。水洗液貯留槽33に貯留された水の電導度は、ウエブFにより持ち込まれた現像液成分や、水洗除去されたハロゲン化銀乳剤層等の成分の影響により次第に上昇するものの、ウエブFのハロゲン化銀乳剤層を有さない側の面の水洗には使用可能である。図1では水洗液貯留槽33に貯留された水は、循環ポンプ35によって、シャワーノズル31Bに供給される。水洗液貯留槽33の容量は、30〜50リットル程度が適当である。水の配管経路にはフィルタ34が設置されており、水中に浮遊している銀スラッジ等の浮遊物を除去している。水洗液貯留槽33には図示しないヒーターが取り付けられており、35〜40℃程度に温調されていることが好ましい。
シャワーノズル31から噴射する水の水圧は0.05〜0.5MPaであることが好ましい。またシャワーノズル31から噴射される水の噴射角度は90〜115°の範囲とすることが好ましい。水洗処理部30内に設けられるシャワーノズル31の数は複数であることが好ましく、例えば図1では、複数のシャワーノズル31を有するシャワーユニットが水洗処理部30内に3列設けられている。
リンス処理部40において使用される水の電導度は特に規定しないが、電導度が5mS/m以下の水を利用した場合、より高い導電性を有する導通パターンが得られるため、好ましい。シャワーノズル41から噴出された水は、ウエブFの水洗に使用された後、リンス液貯留槽43に貯溜される。リンス液貯留槽43の容量は、30〜50リットル程度が適当である。リンス液貯留槽43には、循環ポンプ45、フィルタ44、および図示しないヒーターが取り付けられており、リンス液貯留槽43に貯留された水は、シャワーノズル41Bに供給され、ウエブFのハロゲン化銀乳剤層を有さない側の面のリンスに好ましく利用される。
リンス処理部40において不要成分が水洗除去されたウエブFは、ローラ対42を経て、乾燥部50で乾燥され、巻き取り軸61でロール状に巻き取られる。ローラ対42は、ウエブFに付着した余分の水分を乾燥部50に持ち込まないために取り付けられている。ローラ対42は、スポンジ状の柔らかいローラであり、挟持力は弱い。ローラ対42に加えられる圧力は、0.05MPaから0.5MPaの範囲が適当であり、好ましくは0.05MPaから0.2MPaの範囲である。
乾燥部50には、複数の温風乾燥機51が設置されており、温風によってウエブFを乾燥させる。乾燥温度としては、30℃以上であればよいが、生産性の観点から、40〜80℃が適当であり、好ましくは50〜65℃が適当である。巻き取り軸61には、該軸を駆動回転できる張力制御手段63(例えば、トルクモータ)が取り付けられている。張力制御手段63は、現像部20以降のウエブFの蛇行を抑制するために、ウエブFに高い張力を加えており、4kgf/mから15kgf/mの範囲が適当である。符号62は、導通パターンが形成された導電性材料がロール状に巻き取られたものである。
次に、支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有し、現像処理後にハロゲン化銀乳剤層が水洗除去される導電性材料前駆体について説明する。該前駆体としては、銀錯塩拡散転写法により銀からなる導通パターンを形成する導電性材料前駆体、および硬化現像法により銀からなる導通パターンを形成する導電性材料前駆体が挙げられる。
本発明の導電性材料前駆体が有する支持体は、全光線透過率が60%以上である支持体が好ましい。また支持体はフレキシブル性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。また支持体の厚みは50〜300μmであることが好ましく、更にロール・ツー・ロールの製造方法にて導電性材料を製造する場合、支持体の長さは少なくとも5m以上であることが好ましく、より好ましくは10m以上である。また支持体の幅としては、300mm以上であることが好ましく、より好ましくは500mm以上である。
銀錯塩拡散転写法により銀からなる導通パターンを形成する導電性材料前駆体は、支持体上に少なくとも物理現像核層およびハロゲン化銀乳剤層をこの順に有する。さらには、非感光性層を支持体から最も遠い最外層(保護層)および/又は物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層の間(中間層)に有していても良い。非感光性層は、親水性ポリマーを主たるバインダーとして含有する層である。ここでいう親水性ポリマーとは、前述した現像液で容易に膨潤し、下層のハロゲン化銀乳剤層まで現像液成分を容易に浸透させるものであれば任意のものが選択できる。該親水性ポリマーとしては、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、ポリビニルアルコール等が挙げられ、特に好ましい親水性ポリマーは、ゼラチン、アルブミン、カゼイン等のタンパク質である。非感光性層が含有する親水性ポリマーの量は、ハロゲン化銀乳剤層の総バインダー量に対して20質量%〜100質量%の範囲が好ましく、特に30質量%〜80質量%が好ましい。
上記した非感光性層には、必要に応じて写真業界では公知の界面活性剤、ポリマーラテックス、マット剤、滑り剤、などを含有してもよい。また後述するように、セーフライト耐性向上のために染料を含有させることは好ましい。さらに、現像処理後のハロゲン化銀乳剤層の水洗除去を妨げない限りにおいて、架橋剤により硬膜させることも可能である。
物理現像核層が含有する物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられる。これらの物理現像核の微粒子層は、真空蒸着法、カソードスパッタリング法、コーティング法によって支持体上に設けることができる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1平方メートル当たり0.1〜10mg程度が適当である。
物理現像核層は親水性バインダーを含有することもできる。親水性バインダーの量は、物理現像核の固形分量に対して10〜500質量%が好ましい。親水性バインダーとしては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、各種デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。好ましい親水性バインダーは、ゼラチン、アルブミン、カゼイン等のタンパク質である。
支持体として樹脂フィルムを用いる場合、支持体と物理現像核層との間にタンパク質からなるベース層(タンパク質含有ベース層;以降、単にベース層と云う)を有することは好ましい。支持体とベース層の間には、更に塩化ビニリデンやポリウレタン等の易接着層を有することは好ましい。ベース層に用いられるタンパク質としては、ゼラチン、アルブミン、カゼインあるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。ベース層におけるタンパク質の含有量は1平方メートル当たり10〜1000mgが好ましい。
物理現像核層は、架橋剤(硬膜剤)を含有することが好ましい。架橋剤としては例えばクロム明ばんのような無機化合物、ホルマリン、グリオキザール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒド類、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロートリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等が挙げられ、特に、グリオキザール、グルタルアルデヒド、3−メチルグルタルアルデヒド、サクシンアルデヒド、アジポアルデヒド等のジアルデヒド類が好ましい。架橋剤は、ベース層および物理現像核層に含まれる合計のタンパク質に対して0.1〜30質量%を物理現像核層に含有させるのが好ましい。
ハロゲン化銀乳剤層が含有するハロゲン化銀乳剤粒子の形成には、順混合、逆混合、同時混合等の、当業界では周知の方法が用いられる。中でも同時混合法の1種で、粒子形成される液相中のpAgを一定に保ついわゆるコントロールドダブルジェット法を用いることが、粒径のそろったハロゲン化銀乳剤粒子が得られる点において好ましい。好ましいハロゲン化銀乳剤粒子の平均粒径は0.25μm以下、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤のハロゲン化物組成には好ましい範囲が存在し、塩化物を80モル%以上含有するのが好ましく、特に90モル%以上が塩化物であることが特に好ましい。
ハロゲン化銀乳剤は、必要に応じて粒子の形成あるいは物理熟成の過程において、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩、ロジウム塩もしくはその錯塩、イリジウム塩もしくはその錯塩を共存させても良い。また、種々の化学増感剤によって増感することができ、イオウ増感法、セレン増感法、貴金属増感法など当業界で一般的な方法を、単独、あるいは組み合わせて用いることができる。また本発明においてハロゲン化銀乳剤は必要に応じて色素増感することもできる
ハロゲン化銀乳剤層はハロゲン化銀粒子の保護コロイドとしてバインダーを含有する。バインダーとしては天然ポリマー、水溶性の合成ポリマー、非水溶性の合成ポリマーが挙げられる。天然ポリマーとしてはゼラチン、カゼイン、アルブミンなどのタンパク質、澱粉、デキストリン等の多糖類、セルロースおよびその誘導体(例えばカルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、メチルセルロースなど)、アルギン酸、カラギーナン、フコイダン、キトサン、ヒアルロン酸などを用いることができ、その中でも最も好ましい天然ポリマーはゼラチンである。またコハク化ゼラチンなど公知の方法で修飾した天然ポリマーを用いることもできる。水溶性の合成ポリマーとしては、例えばポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、ポリリジン、ポリアクリル酸等が挙げられる。また、これらのグラフト重合ポリマーなども用いることができる。
非水溶性の合成ポリマーとしての高分子ラテックスとしては単独重合体や共重合体など各種公知の樹脂を用いることができる。単独重合体としては酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メタクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン等があり、共重合体としてはエチレン・ブタジエン、スチレン・ブタジエン、スチレン・p−メトオキシスチレン、スチレン・酢酸ビニル、酢酸ビニル・塩化ビニル、酢酸ビニル・マレイン酸ジエチル、メチルメタクリレート・アクリロニトリル、メチルメタクリレート・ブタジエン、メチルメタクリレート・スチレン、メチルメタクリレート・酢酸ビニル、メチルメタクリレート・塩化ビニリデン、メチルアクリレート・アクリロニトリル、メチルアクリレート・ブタジエン、メチルアクリレート・スチレン、メチルアクリレート・酢酸ビニル、アクリル酸・ブチルアクリレート、メチルアクリレート・塩化ビニル、ブチルアクリレート・スチレン等がある。高分子ラテックスの平均粒径は0.01〜1.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.8μmである。
ハロゲン化銀乳剤層の銀/ゼラチン質量比は2以上であることが好ましく、ハロゲン化銀乳剤を銀換算で3g/m2以上含有することが好ましい。更に好ましくは銀/ゼラチン質量比が2.5〜3.5、ハロゲン化銀乳剤塗布量は銀換算で3.5〜4.0g/m2である。銀/ゼラチン質量比は高すぎるとハロゲン化銀粒子の保護コロイドとしてのゼラチンの割合が不足することとなり、塗布液中でハロゲン化銀粒子の沈降が起きやすくなるため好ましくない。
上記した導電性材料前駆体の各層には、さらに種々の目的のために、公知の写真用添加剤を用いることができる。これらは、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載、あるいは引用された文献に記載されている。
次に、硬化現像法により銀からなる導通パターンを形成する際に利用される導電性材料前駆体について説明する。
硬化現像法により導通パターンを形成する導電性材料前駆体が有する支持体としては、前述した銀塩拡散転写法により導通パターンを形成する導電性材料前駆体と同様の支持体が利用される。また支持体はベース層を有することが好ましい。
硬化現像法により導通パターンを形成する導電性材料前駆体は、前記した支持体上にハロゲン化銀乳剤層を有する。該ハロゲン化銀乳剤層が含有するハロゲン化銀のハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせてもよい。ハロゲン化銀乳剤粒子の形成には、順混合、逆混合、同時混合等の方法が用いられる。中でもコントロールドダブルジェット法を用いることが、粒径のそろったハロゲン化銀乳剤粒子が得られる点において好ましい。好ましいハロゲン化銀乳剤粒子の平均粒径は0.25μm以下、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。
ハロゲン化銀乳剤層が含有するバインダーとしては水溶性バインダーが好ましく、ゼラチン、カゼインなどのタンパク質が好ましい。またハロゲン化銀(銀換算)とバインダーとの質量比(銀/総バインダー)は0.5以上であることが好ましく、より好ましくは1.5〜3.5であり、好ましい総バインダー量は0.05〜3g/m2、更に好ましくは0.1〜1g/m2である。
ハロゲン化銀乳剤層は、ハロゲン化銀乳剤層を硬化可能な化合物を含有することが好ましく、該化合物としては前述した現像液が含有する化合物と同様の化合物が挙げられる。中でも、ベンゼン核の少なくとも1,2位または1,4位にヒドロキシル基が置換した化合物が好ましい。
またハロゲン化銀乳剤層は膨潤抑制剤を含有することが好ましい。本発明における膨潤抑制剤とは導電性材料前駆体を硬化現像液で処理する際に、ハロゲン化銀乳剤層が含有する水溶性バインダーが膨潤するのを防ぐことによって、得られる導通パターンの画質の低下を防ぎ、また導電性を上げるために含有せしめる。膨潤抑制剤として作用するかどうかはpH3.5の5%ゼラチン水溶液に膨潤抑制剤0.35モル/Lになるよう加えてゼラチンの沈澱が発生するかどうかで調べられ、この試験でゼラチンの沈澱が発生するような薬品は全て膨潤抑制剤として作用する。膨潤抑制剤の具体例としては、例えば硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸亜鉛、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化マンガン、燐酸マグネシウムなどの無機塩類、あるいは例えばベンゼンスルホン酸、ジフェニルスルホン酸、5−スルホサリチル酸、p−トルエンスルホン酸、フェノールジスルホン酸、α−ナフタレンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレンスルホン酸、1−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸、ジナフチルメタンスルホン酸などのスルホン酸類、例えばポリビニルベンゼンスルホン酸、無水マレイン酸とビニルスルホン酸の共重合物、ポリビニルアクリルアミドなどの高分子沈澱剤として用いられる化合物などが挙げられる。これら膨潤抑制剤は単独でも組み合わせて用いても良いが、無機塩類、特に硫酸塩類を使用することが好ましい。膨潤抑制剤の好ましい含有量は0.01〜10g/m2、更に好ましくは0.1〜2g/m2である。
硬化現像法により導通パターンを形成する導電性材料前駆体は、上記したハロゲン化銀乳剤層の他に、非感光性層を支持体から最も遠い最外層(保護層)として有していても良い。該最外層は、当業界で公知の界面活性剤、現像抑制剤、イラジエーション防止色素、顔料、マット剤、滑剤などを含有することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、無論この記述により本発明が制限されるものではない。
(実施例1)
支持体として幅が660mm、長さが40mのポリエチレンテレフタレートフィルム(全光線透過率90%、厚み100μm)を用いた。物理現像核層を塗布する前に、このフィルムにゼラチンを500mg/m2含有するベース層を塗布、乾燥し、一旦ロール状に巻き取った。
次に、硫化パラジウムゾル液を下記のようにして作製し、得られたゾルを用いて物理現像核液を作製した。
<硫化パラジウムゾルの調製>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40mL
蒸留水 1000mL
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000mL
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
<物理現像核液組成/1m2あたり>
前記硫化パラジウムゾル 0.4mg
2質量%のグルタルアルデヒド溶液 0.08mL
10質量%SP−200水溶液 0.5mg
(日本触媒(株)製ポリエチレンイミン;平均分子量10,000)
この物理現像核液を硫化パラジウムが固形分で0.4mg/m2になるように、ベース層の上に塗布した。
続いて、上記物理現像核層を塗布した側と反対側の面に下記組成の裏塗り層を塗布した。
<裏塗り層組成/1m2あたり>
ゼラチン 2g
不定形シリカマット剤(平均粒径5μm) 20mg
染料1 200mg
界面活性剤(S−1) 400mg
続いて、支持体に近い方から順に下記組成の中間層、ハロゲン化銀乳剤層、及び最外層を上記物理現像核層の上に塗布し、ロール状に巻き取った。ハロゲン化銀乳剤は、写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法で製造した。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀95モル%と臭化銀5モル%で、平均粒径が0.15μmになるように調製した。このようにして得られたハロゲン化銀乳剤を定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を用い、金イオウ増感を施した。こうして得られたハロゲン化銀乳剤は銀1gあたり0.5gのゼラチンを含む。
<中間層組成/1m2あたり>
ゼラチン 0.5g
界面活性剤(S−1) 5mg
<ハロゲン化銀乳剤層組成/1m2あたり>
ゼラチン 1.0g
ハロゲン化銀乳剤 6.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 3.0mg
界面活性剤(S−1) 20mg
<最外層組成/1m2あたり>
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤(S−1) 10mg
このようにして得た導電性材料前駆体を、特開2007−225884号公報に記載の連続露光機で露光した。露光光源は三菱電機照明株式会社製直管蛍光ランプFL40SDを用いた。露光の際に用いた透過原稿は、細線幅10μm、格子間隔が300μmの菱形のメッシュパターンを有し、該メッシュパターンは幅が5mm、長さが300mmの短冊状である。また個々の短冊状のメッシュパターンの両端には、該メッシュパターン部の抵抗値を測定するための画像部(幅が5mm、長さが2mm)を設けた。そして該透過原稿はこのような短冊状の画像を40本有する。
上記した導電性材料前駆体の先端部と後端部にリードフィルムをつなぎ合わせ、得られるメッシュパターンの細線幅が、上記した透過原稿のメッシュパターンの細線幅と同じになるように連続露光機のラインスピードを調整し、40本の短冊状の導通パターンを1セットとし、この画像を100セット露光し、一旦巻き取った。
その後、露光した導電性材料前駆体を、図1に記載した処理装置で処理した。現像槽20に22℃の下記組成の拡散転写現像液を満たし、現像液に75秒間浸漬するように処理装置のラインスピードを調整した。水洗処理部30のシャワーノズル31には、温純水タンクより、25℃における導電度が0.2mS/mの水を35℃とした温純水を供給し、現像処理後のウエブFが有する中間層、ハロゲン化銀乳剤層、および最外層を水洗除去した。ウエブFのハロゲン化銀乳剤層を有さない側の面には、水洗液貯留槽33に貯留された水をシャワーノズル31Bから供給し、裏塗り層を水洗除去した。
さらに水洗処理部30を通過したウエブFに対し、リンス処理部40において不要成分を水洗した。リンス処理部40のシャワーノズル41には、温純水タンクより、25℃における導電度が0.2mS/mの水を35℃に保温した温純水を供給し、ウエブFの導通パターンが形成された面を水洗した。ウエブFの導通パターンが形成されていない反対側の面には、シャワーノズル41Bに水洗液貯留槽43に貯留された水を供給し、水洗した。そしてその後、乾燥部50にて、55℃温風によってウエブFを乾燥させ、巻き取り軸61に巻き取った。このようにして、実施例1の導電性材料を得た。なお得られたメッシュパターン部は透過原稿の細線幅および格子間隔を忠実に再現しており、またメッシュパターン部を構成する細線の厚みは0.12μmであった。
<拡散転写現像液組成>
水酸化カリウム 70g
ハイドロキノン 30g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 3g
亜硫酸カリウム 150g
N−メチルエタノールアミン 4g
85%リン酸 34g
臭化カリウム 1.5g
全量を水で1000mLとする。
pH=12.2に調整する。
(実施例2)
実施例1の導電性材料の製造において、水洗処理部30のシャワーノズル31から供給した温純水を、25℃における導電度が4.0mS/mの水を35℃に保温した温純水に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2の導電性材料を得た。
(実施例3)
実施例1の導電性材料の製造において、リンス処理部40のシャワーノズル41から供給した温純水を、25℃における導電度が10mS/mの水を35℃に保温した温純水に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例3の導電性材料を得た。
(実施例4)
実施例1の導電性材料の製造において作製した露光済みの導電性材料前駆体を10本準備し、実施例1と同様にして10本連続して現像処理し、10本目の導電性材料を実施例4の導電性材料として得た。
(比較例1)
実施例1の導電性材料の製造において、水洗処理部30のシャワーノズル31から供給した温純水を、25℃における導電度が6.0mS/mの水を35℃に保温した温純水に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1の導電性材料を得た。
<歩留まりの評価>
上記した実施例1〜4および比較例1の導電性材料が有する100セットの導通パターンそれぞれについて、個々の導通パターンが有する40本のパターンの抵抗値を抵抗計(日置電機(株)製RM3548)を用いて測定した。40本中一本でも断線が確認されたものは不良品として除外し、歩留まり率を表1に示した。
<平均抵抗値>
100セットの導通パターン中、先頭から1セット目、50セット目、および100セット目の導通パターンが有する40本の導通パターンの抵抗値を測定し、この平均抵抗値を表1に示した。
表1の結果から、本発明によって優れた導電性を有する導通パターンが高い歩留まりで製造できることが判る。