JP2007226043A - 酸化亜鉛膜の形成方法及び透明導電性基材 - Google Patents

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Abstract

【課題】支持体上に酸化亜鉛膜を形成するための簡易的な方法を提供することにあり、さらには透明性、導電性及び耐擦過性に優れた透明導電性基材を提供する。
【解決手段】透明支持体の少なくとも一方の面に、写真製法により、銀画像部を形成させた後、触媒付与し、さらに、亜鉛イオン、硝酸イオン及びアミンボラン化合物を含む酸化亜鉛膜形成組成物で処理すること、及び、支持体上に酸化亜鉛膜を有する透明導電性基材において、支持体と酸化亜鉛膜との間に、少なくとも、下記式を満たす全光線透過率を有する銀画像部と、単位長さ当たりの抵抗率が1kΩ/mm以下の微細配線銀画像部と、前記銀画像部と微細配線銀画像部を包接する酸化亜鉛膜形成部からなる事を特徴とする透明導電性基材及びその製造方法。
T(%)≧t(%)×0.4
ここで、T(%)は支持体上に銀画像が形成された部分の全光線透過率を表し、t(%)は、支持体単独の全光線透過率を表す。
【選択図】 図1

Description

本発明は、酸化亜鉛膜を用いた物品、特に、ディスプレイ、太陽電池等に用いられる透明導電性基材の製造方法に関する。
酸化亜鉛は、ウルツ鉱型構造を有する禁制帯幅が約3.3eVの化合物半導体であり、光学的透明性、圧電性、導電性、発光性、蛍光性、光触媒性等に優れ、資源的にも豊富であり、透明導電膜、半導体レーザー、光導波路、ガスまたは湿度検知用センサー、表面弾性波素子、発光素子、各種音響素子、薄膜バリスタ等のエレクトロニクス分野、光触媒等の化学工業分野等の広い分野で幅広く応用されている。
従来、酸化亜鉛膜の形成方法としては、CVD法、蒸着法、スパッタリング法、MBE法などの乾式法、スプレーパイロリシス法、ゾルーゲル法、液相成長法などの湿式法などにより、基材上に成膜する方法が試みられている。しかしながら、スパッタリング法、CVD法、蒸着法、MBE法等の乾式法では、成膜の際に、成膜室の減圧若しくはガス混入、基材の加熱などの処理が必要となり、真空排気装置、基材加熱装置、高周波電源などを含む大規模な作製装置が必要である。さらにこれらの方法では、成膜速度が遅く、組成や膜厚の制御が難しく、複雑な形状の基材上に均一な膜を作製することが困難である等の欠点がある。
また、スプレーパイロリシス法やゾルーゲル法においても、酸化亜鉛膜を得るためには、基材に成膜後、300〜900℃で加熱しなければならないため、加熱炉が必要であり、プラスチックなどの低融点材料を基材材料として使用することができないという問題点もある。
その他の酸化亜鉛膜の製造方法として、硝酸イオン及び亜鉛イオンを含有する水溶液から陰極電解法により導電性基材上に酸化亜鉛膜を作製する方法が報告されている(非特許文献1)。しかしながら、この方法は陰極電解法であるために、酸化亜鉛膜を形成すべき基材が良好な導電性を有することが必要であり、プラスチック、ガラス等の非導電性基材上に酸化亜鉛膜を形成することはできない。
プラスチック、ガラス等の非導電性材料に酸化亜鉛膜を形成するための方法としては、センシタイジング−アクチベーション法でスズ、パラジウム等のメッキの触媒となる金属を基材上に付着した後、亜鉛イオン、硝酸イオン及びボラン−アミンコンプレックスを含有する水溶液で処理する方法(特許文献1)、錫、銀、パラジウムからなるメッキの触媒となる金属核粒子を高密度に付与し、酸化亜鉛膜を作製する方法(特許文献2)が報告されている。
しかし、これらの方法では、基材の表面全面に酸化亜鉛膜が均一に形成されることから、ディスプレイ等に用いられるアドレス電極のような必要な画像部分のみに、直接酸化亜鉛膜を形成させることはできない。このような必要な画像部分のみに酸化亜鉛膜を形成させる場合、基材に酸化亜鉛膜を形成させた後、例えば、下記(1)〜(4)のような複雑な製造工程を必要とする。
(1)基材を酸化亜鉛膜形成処理後、フォトレジストを塗布する。
(2)露光、現像処理を行い、酸化亜鉛膜の上にレジスト画像を形成する。
(3)レジストで覆われていない酸化亜鉛膜をエッチング処理し、溶解除去する。
(4)残存したレジストを溶解除去する。
一方、一般に用いられる透明電極としてはITO膜がよく知られている。ITO(酸化インジウム、酸化錫の混合物)等の酸化物膜は電気抵抗が高く、透明電極として用いた場合、電極の場所(例えば、端部と中央部)で電流密度が異なるという問題を有する。この問題を克服する手段として、従来、図4に示すようなITO膜上に金や白金等の良導体金属からなる微細配線を補助配線として印刷法で形成した透明電極が知られていたが、この方法では、表面に金属ラインを有するので、液晶ディスプレイにおけるラビング(配向膜の配向工程)による金属ラインの剥離が生じやすいという問題を有しており、有機インジウムを添加した貴金属レジネートインキを用いる方法(特許文献3)が報告されている。しかし、この方法においても、前記方法と同様、表面に金属ラインを有するので、ラビングによる金属ラインの剥離に対する効果としては不十分である。
また、これらの補助配線を作製する方法は、印刷工程と焼成工程が必要となるので、製造工程がさらに複雑化する。
一方、写真製法を利用して得られた銀画像の上に導電性金属膜を形成する方法が、特許文献4及び特許文献5に報告されている。しかし、これらの方法では、銀画像全面に銅やニッケル等の非透明性の金属膜を形成するので、導電性は得られるが、透明性が不十分であり、ディスプレイまたは太陽電池の透明電極のような透明性を必要とする透明導電性基材としては好ましいものではなかった。
第55回応用物理学会学術講演会講演予講集、第396頁、1994年9月19日発行 特開平9−278437号公報 特開2002−170429号公報 特開平5−241172公報 特開2004−221564号公報 国際公開第2004/007810号パンフレット
本発明の目的は、支持体上に酸化亜鉛膜を形成するための簡易的な方法を提供することにあり、さらには透明性、導電性及び耐擦過性に優れた透明導電性基材を提供することにある。
本発明の上記目的は、透明支持体の少なくとも一方の面に、写真製法により、銀画像部を形成させた後、触媒付与し、さらに、亜鉛イオン、硝酸イオン及びアミンボラン化合物を含む酸化亜鉛膜形成組成物で処理すること、及び、支持体上に酸化亜鉛膜を有する透明導電性基材において、支持体と酸化亜鉛膜との間に、少なくとも、下記式を満たす全光線透過率を有する銀画像部と、単位長さ当たりの抵抗率が1kΩ/mm以下の微細配線銀画像部と、前記銀画像部と微細配線銀画像部を包接する酸化亜鉛膜形成部からなる事を特徴とする透明導電性基材により達成することができる。
T(%)≧t(%)×0.4
ここで、T(%)は支持体上に銀画像が形成された部分の全光線透過率を表し、t(%)は、支持体単独の全光線透過率を表す。
本発明によれば、支持体の少なくとも一方の面に、写真製法により、銀画像部を形成させた後、触媒付与し、さらに、亜鉛イオン、硝酸イオン及びアミンボラン化合物を含む酸化亜鉛膜形成組成物で処理することにより、複雑な製造工程を必要とすることなく、簡易的に酸化亜鉛膜を形成することができ、さらに透明性、導電性及び耐擦過性に優れた透明導電性基材を提供することができる。
以下、最良の形態に基づき、本発明を説明する。
本発明の酸化亜鉛膜は、支持体の少なくとも一方の面に、写真製法により、銀画像を形成させた後、触媒付与し、さらに、亜鉛イオン、硝酸イオン及びアミンボラン化合物を含む酸化亜鉛膜形成組成物を用いて処理することによって得ることができる。これにより、本発明は、ディスプレイまたは太陽電池等に用いられている透明アドレス電極のような透明導電性基材を簡易的に製造することができる。また、図1は本発明の透明電極基材の断面を表す概念図であるが、上記写真製法における露光条件等を変更することにより、補助電極として微細配線部分を有する透明導電性基材を複雑な製造工程を必要とすることなく、簡易的に製造することができる。
写真製法を利用して銀画像を形成する方法としては、下記の(a)、(b)に示す2通りがあるが、本発明は、いずれの写真製法も用いることができる。
(a)支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する感光材料を露光、現像処理することにより、画像部のハロゲン化銀を還元し金属銀画像を析出させ、次いで非画像部のハロゲン化銀を溶解除去する写真製法。
(b)支持体上に少なくとも物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に有する感光材料を露光、現像処理することにより、物理現像核上に金属銀画像を析出させ、次いで不要となったハロゲン化銀乳剤層を水洗除去する写真製法(銀錯塩拡散転写法、以降DTR法と称す。)。
本発明の上記写真製法(a)及び(b)に用いるためのハロゲン化銀乳剤層を有する感光材料(以下銀画像形成材料の前駆体と称す)の作製方法について説明する。写真製法(a)の銀画像形成材料の前駆体としては、支持体上に、少なくともハロゲン化銀乳剤層を塗布したものが用いられ、写真製法(b)の銀画像形成材料の前駆体としては、支持体上に、少なくとも物理現像核層及びハロゲン化銀乳剤層を塗布したものが用いられる。
上記支持体としては、プラスチック、ガラス、ゴム、セラミックス等が好ましく用いられ、透明導電性基材を作製する場合には、プラスチック、ガラス等、可視領域で透明性を有し、全光線透過率が60%以上のものが好ましい。プラスチックの中でも、フレキシブル性を有する樹脂フィルムは、取扱い性が優れている点で、好適に用いられる。透明支持体に使用される透明樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂等からなる厚さ50〜300μmのフィルムが挙げられる。ガラスとしては、NESAガラス、ITOガラス等の導電性ガラス、ソーダライムガラス、無アルカリガラス(コーニング7059ガラス)等を挙げることができる。透明支持体としてプラスチックを用いる場合には、塩化ビニリデンやポリウレタン等のポリマーラテックス層を設けることが好ましく、支持体としてガラスを用いる場合には、コロイダルシリカ、酸化チタン等の金属酸化物層等の接着層を設け、その後150〜500℃で加熱処理し、銀膜と支持体との接着性を向上させることが好ましい。これらの支持体は、写真製法(a)及び(b)のいずれの場合においても用いることができる。
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層は、ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本発明においてもそのまま用いることもできる。
ハロゲン化銀に含有されるハロゲン化物としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物及びフッ化物のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよいが、塩化物比率が高い物の方が好ましい。ハロゲン化銀乳剤粒子の形成には、順混合、逆混合、同時混合等の、当業界では周知の方法が用いられる。中でも同時混合法の1種で、粒子形成される液相中のpAgを一定に保ついわゆるコントロールドダブルジェット法を用いることが、粒径の揃ったハロゲン化銀乳剤粒子が得られる点において好ましい。本発明においては、好ましいハロゲン化銀乳剤粒子の平均粒径は0.25μm以下、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状など)、八面体状、14面体状など様々な形状であることができる。
ハロゲン化銀乳剤の製造において、必要に応じて、ハロゲン化銀粒子の形成あるいは物理熟成の過程において、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩、あるいはロジウム塩もしくはその錯塩、イリジウム塩もしくはその錯塩などVIII族金属元素の塩若しくはその錯塩を共存させてもよい。また、種々の化学増感剤によって増感することができ、イオウ増感法、セレン増感法、貴金属増感法など当業界で一般的な方法を、単独、あるいは組み合わせて用いることができる。
また本発明において、ハロゲン化銀乳剤は、必要に応じて、分光増感することもできる。また本発明において、ハロゲン化銀乳剤は必ずしもネガ感光性でなくてもよく、必要に応じて、ポジ感光性を持つ直接反転乳剤としてもよい。これにより、前記(a)及び(b)の写真製法において、ネガ型をポジ型、ポジ型をネガ型に変換することができる。直接反転乳剤に関しては、特開平8−17120号、同平8−202041号公報に記載されている方法によって作製することができる。
本発明の銀画像形成材料の前駆体に設けられるハロゲン化銀乳剤の銀量としては、酸化亜鉛の析出をさせるために、少なくとも0.01g/mは必要である。また、銀画像を導電性の優れた微細配線部に用いる場合は、3.0〜5.0g/mが好ましい。銀量があまり多すぎると、長い現像時間を必要としたり、支持体に近い側のハロゲン化銀乳剤粒子の感光性が低下したりするなどの問題があるため、7g/m程度を上限とすべきである。
本発明において、ハロゲン化銀乳剤層は、水溶性ポリマーをバインダーとして含む。好ましいバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。
本発明においては、様々な目的のため上記水溶性ポリマーバインダーの他に疎水性ポリマーを併用してもよい。一般にこれらの疎水性ポリマーは水系分散物として使用され、各種モノマーの単独重合体や共重合体など公知のものを用いることができる。単独重合体としては、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メタクリロニトリル、ブタジエン、イソプレンなどがあり、共重合体としてはエチレン・ブタジエン、スチレン・ブタジエン、スチレン・p−メトオキシスチレン、スチレン・酢酸ビニル、酢酸ビニル・塩化ビニル、酢酸ビニル・マレイン酸ジエチル、メチルメタクリレート・アクリロニトリル、メチルメタクリレート・ブタジエン、メチルメタクリレート・スチレン、メチルメタクリレート・酢酸ビニル、メチルメタクリレート・塩化ビニリデン、メチルアクリレート・アクリロニトリル、メチルアクリレート・ブタジエン、メチルアクリレート・スチレン、メチルアクリレート・酢酸ビニル、アクリル酸・ブチルアクリレート、メチルアクリレート・塩化ビニル、ブチルアクリレート・スチレン等がある。また、写真製法(a)を利用する場合においては、必要に応じてタンパク質の架橋剤を利用することができる。
ハロゲン化銀乳剤層に含有する水溶性ポリマーと疎水性ポリマーバインダーの総量、すなわち総バインダー量については、バインダー量が少ないと塗布性に悪影響を及ぼし、また安定したハロゲン化銀粒子も得られなくなる。一方、多過ぎると導電性の低下や、酸化亜鉛膜を形成する際の形成触媒付与工程において、触媒付与性の低下がみられるようになる。好ましいハロゲン化銀(銀換算)と総バインダーとの重量比(銀/総バインダー)は1.2以上、より好ましくは1.5〜3.5である。
ハロゲン化銀乳剤層には、さらに種々の目的のために、公知の写真用添加剤を用いることができる。これらは、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)308119(1989年12月)に記載、あるいは引用された文献に記載されている。これらのハロゲン化銀乳剤の製造方法及び塗布銀量は、写真製法(a)及び(b)のどちらの場合においても用いることができる。
本発明における写真製法(a)及び(b)に用いるための銀画像形成材料の前駆体には、必要に応じて支持体のハロゲン化銀乳剤層と反対面に裏塗層やハロゲン化銀乳剤層の上にオーバー層等を設けることができる。さらに、写真製法(b)においては、上記裏塗り層、オーバー層の他に、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層との間に中間層を設けることができる。
また、銀画像形成材料の前駆体を構成する各層の塗布は、例えばディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの塗布方式で塗布することができ、その塗布方式に合わせて、界面活性剤及び増粘剤等の各種塗布助剤を用いることができる。
銀画像形成材料の前駆体には、ハロゲン化銀乳剤層の感光波長域に吸収極大を有する非増感性染料又は顔料を、画質向上のためのハレーション、あるいはイラジエーション防止剤として用いることは好ましい。ハレーション防止剤としては、本発明における写真製法(a)に用いるための銀画像形成材料の前駆体の場合、ハロゲン化銀乳剤層と支持体の間の下引き層やあるいは裏塗り層に含有させることができ、本発明における写真製法(b)に用いるための銀画像形成材料の前駆体の場合、上記下引き層及び裏塗り層の他に、物理現像核層あるいは物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層との間に設けられている中間層に含有させることができる。イラジエーション防止剤としては、ハロゲン化銀乳剤層に含有させるのがよく、写真製法(a)及び(b)のどちらの場合においても用いることができる。添加量は、目的の効果が得られるのであれば広範囲に変化しうるが、たとえばハレーション防止剤として裏塗り層に含有させる場合、1m当たり、約20mg〜約1gの範囲が望ましく、好ましくは、極大吸収波長における光学濃度として、0.5以上である。
写真製法(b)に用いるための銀画像形成材料の前駆体の場合、物理現像核層には、少なくとも物理現像核を含有する。物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられる。これらの物理現像核の微粒子層は、真空蒸着法、カソードスパッタリング法、コーティング法等によって透明支持体上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1m当たり0.1〜10mg程度が適当である。
物理現像核層の塗布には、例えばディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの塗布方式で塗布することができる。
物理現像核層をコーティング法により設ける場合には、親水性バインダー及びタンパク質の架橋剤を含有するのが好ましい。親水性バインダー量は物理現像核に対して10〜500質量%程度が好ましい。親水性バインダーとしては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、各種デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。好ましい親水性バインダーは、ゼラチン、アルブミン、カゼイン等のタンパク質である。物理現像核層におけるタンパク質の含有量は1m当たり10〜300mgが好ましい。
物理現像核層に含有するタンパク質の架橋剤(硬膜剤)としては、例えばクロム明ばんのような無機化合物、ホルマリン、グリオキザール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒド類、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロートリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN、N、N−トリアクロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合物の一種もしくは二種以上を用いることができる。これらの架橋剤の中でも、好ましくは、グリオキザール、グルタルアルデヒド、3−メチルグルタルアルデヒド、サクシンアルデヒド、アジポアルデヒド等のジアルデヒド類であり、より好ましい架橋剤は、グルタルアルデヒドである。架橋剤は、物理現像核層に含まれる合計のタンパク質に対して0.1〜30質量%を物理現像核層に含有させるのが好ましく、特に1〜20質量%が好ましい。
写真製法(b)に用いるための銀画像形成材料の前駆体の場合、支持体上に物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に設ける方法、あるいは別の紙やプラスチック樹脂フィルム等の支持体上に設けられたハロゲン化銀乳剤層から可溶性銀錯塩を供給する方法がある。コスト及び生産効率の面からは前者の物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層を一体的に設けるのが好ましい。
次に、前記銀画像形成材料の前駆体を用いて、銀画像形成材料を作製するための方法について説明する。銀画像形成材料を作製するには、前記前駆体を露光し、現像処理する必要がある。露光方法としては、透過原稿とハロゲン化銀乳剤層を密着して露光する方法、あるいは各種レーザー光、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードとも云う)を用いて走査露光する方法等がある。
写真製法(a)の現像処理には、感光したハロゲン化銀を還元する現像処理工程と、感光していないハロゲン化銀を溶解除去するための定着処理工程がある。また、現像処理工程と定着処理工程との間に、例えば、酢酸、クエン酸等を含有する酸性水溶液を用いて現像停止処理、現像処理または定着処理で生成した不要な塩を除去するための水洗処理を行ってもよい。一方、写真製法(b)の現像処理には、感光したハロゲン化銀をハロゲン化銀乳剤層中で還元するとともに、感光していないハロゲン化銀を溶解させ、物理現像核上で銀を還元、析出させるための現像処理工程と、物理現像核層より上の不要となった層を洗い流すための水洗処理工程がある。
写真製法(a)及び(b)の現像処理で用いる現像液には、ハロゲン化銀を還元するための現像主薬と、pHをアルカリ性に保つためのアルカリ剤を含有する。現像主薬としては、写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができ、例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。
アルカリ剤もまた、写真現像の分野で公知の化合物を用いることができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属塩等が挙げられる。現像液のpHは、pH10以上が好ましく、更に11〜14の範囲が好ましい。また、現像液には、現像速度をコントロールするための現像抑制剤、現像主薬の保恒剤等、写真現像の分野で公知の化合物を含有させることができる。
また、上記写真製法(b)の現像液には、現像主薬及びアルカリ剤の他に、感光していないハロゲン化銀を溶解するための可溶性銀錯塩形成剤が含まれる。可溶性銀錯塩形成剤もまた、写真現像の分野で公知の化合物を用いることができ、例えば、チオ硫酸アンモニウム及びチオ硫酸ナトリウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、オキサドリドン類、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、USP5,200,294に記載のようなチオエーテル類、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に、T.H.ジェームス編のザ・セオリー・オブ・ザ・フォトグラフィック・プロセス4版の474〜475項(1977年)に記載されている化合物が挙げられる。
これらの可溶性銀錯塩形成剤の中でも特にチオ硫酸塩、アルカノールアミンが好ましい。アルカノールアミンとしては、例えば2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、4−アミノブタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、3−アミノプロパノール、N,N−エチル−2、2’−イミノジエタノール、2−メチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
上記した写真製法(b)の銀画像形成方法において、現像液中に用いられる可溶性銀錯塩形成剤及び現像主薬は、前駆体の構成層中に含有させてもよいし、現像液中に含有させてもよい。更に両方に含有してもよいが、現像液中に含有させるのが好ましい。現像液中への可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1リットル当たり、0.1〜5モルの範囲で用いるのが適当であり、還元剤は現像液1リットル当たり0.05〜1モルの範囲で用いるのが適当である。現像処理の温度としては、温度が高すぎると、現像中にハロゲン化銀乳剤が溶け出してしまうので、30℃以下が好ましく、特に25℃以下が好ましい。また、現像時間としては、生産効率を考慮して、120秒以下が好ましい。
現像を行うための現像液の供給方式は、浸漬方式であっても塗布方式であってもよい。浸漬方式は、例えば、タンクに大量に貯流された現像液中に、前記露光済みの前駆体を浸漬しながら搬送するものであり、塗布方式は、例えばハロゲン化銀乳剤層上に現像液を1m当たり40〜120ml程度塗布するものである。
上記写真製法(a)の定着処理には、少なくとも、感光していないハロゲン化銀を溶解するための可溶性銀錯塩形成剤が含まれる。可溶性銀錯塩形成剤としては、写真現像の分野で公知の化合物、例えば、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、アルカノールアミン、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩等が挙げられる。また、現像後の膜を硬化させるための硫酸アルミニウム等の硬膜剤等を含有させてもよい。定着処理の温度としては、温度が高すぎると、現像中に構成層が溶け出してしまい、処理液を汚染するので、30℃以下が好ましい。また、定着時間としては、生産効率を考慮して、300秒以下が好ましい。
上記写真製法(b)の水洗処理は、現像後、物理現像核層より上の不要な層を洗い流すために行われるので、30℃から50℃の温水を用いることが好ましい。水洗方式としては、スクラビングローラ等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する方法がある。水洗液には、洗い流された膜が蓄積し、汚染されるので、水洗後に、水または温水で再度水洗することが好ましい。
次に本発明の支持体上に酸化亜鉛膜を有する透明導電性基材の製造方法について説明する。図1は本発明の透明電極基材の断面を表す概念図である。本発明の透明電極基材は、支持体1と酸化亜鉛膜4との間に、下記式を満たす全光線透過率を有する銀画像部3と、単位長さ当たりの抵抗率が1kΩ/mm以下の銀画像で形成された微細配線部2とを有する。銀画像部3が前記式1を満たさない場合、透明性が不十分で、透明導電性基材としての能力が不十分となる。
T(%)≧t(%)×0.4
ここで、T(%)は支持体上に銀画像が形成された部分の全光線透過率を表し、t(%)は、支持体単独の全光線透過率を表す。全光線透過率の測定は、市販のヘイズメーターを用い、JIS−K7105に準拠して測定することができる。
一般に導電性物質の導電性の良否判断には、体積抵抗率が用いられる。この体積抵抗率とは、比抵抗とも言い、単位体積当たりの抵抗を表す。また、体積抵抗率は、等方性導体については物質定数であり、銀の場合、1.62×10−6Ω・cm(18℃)である。しかし、本発明で得られる銀画像を形成している銀は、アルカリ金属や有機物等の他元素が混入した形となっているので、等方性導体の銀の体積抵抗率より高い値となる。特に有機物の混入により、銀粒子と銀粒子との間隔が広がると、体積抵抗率はより高い値となる。
本発明の前記式1を満たす全光線透過率の銀画像部3を形成する銀は、透過性を得るために、露光量を調整し、単位面積当たりの銀量を少なくするので、平均粒径が0.05μm以下の銀粒子が分散した形または平均粒径が0.05μm以下の銀粒子が凝集した2次粒子が分散した形となる。これにより、銀粒子と銀粒子との間隔が広がり、体積抵抗率は著しく増大するので、殆ど導電性が得られない。これに対し、図1中の微細配線部2を形成する銀画像部の銀は、単位体積当たりの銀量が多く、銀粒子と銀粒子とが接触し合った形で凝集し、結合しているため、等方性の銀ほどではないが、体積抵抗率が低く、導電性が優れている。
本発明の微細配線部2を形成する銀画像は、銀粒子の凝集体で形成された層となっているので、表面が凹凸になっていたり、内部に空洞を有しているため、厚みを正確に測定することが難しい。また、アルカリ金属や有機物等の他元素の混入の影響により、体積抵抗率が変動するので、本発明においては、体積抵抗率を指標とすることは好ましくない。そこで発明者らは、本発明の銀画像の導電性の良否判定に、体積抵抗率の代わりとして、単位長さ当たりの抵抗率という指標を用いた。この単位長さ当たりの抵抗率は、市販の電気抵抗率計(テスター)を用いて容易に測定することができる。単位長さ当たりの抵抗率は、テスターで測定した抵抗率を電極間の距離で割ることにより求めることができる。この場合、銀画像の厚みが不明瞭であっても、銀画像の導電性の良否を正確に判定することができる。
本発明の図1における銀画像部3と微細配線部2は、銀画像形成材料の写真製法における露光方法を変更することにより作製することができる。その露光方法は、例えば、下記の(1)〜(3)に示す方法、及び、これらの組み合わせによる方法がある。
(1)前記写真製法に用いる銀画像形成材料の前駆体を、図1中の銀画像部3を描画した透過原稿フィルムと、微細配線部2を描画した透過原稿フィルムの2種類の透過原稿フィルムを用いて、2度にわたって密着露光し、現像することにより、式1を満たす全光線透過率を有する銀画像部と、単位長さ当たりの抵抗率が1kΩ/mm以下の銀画像部で形成された微細配線部を得る方法。
この場合の透明電極基材の作製方法の具体的な例を説明する。ネガ型のハロゲン化銀乳剤を用いた写真製法(a)のネガ型の銀画像形成材料の前駆体を用いる場合、微細配線部2を形成するための露光と、銀画像部3を形成するための露光の順序はどちらからでもよい。ただし、銀画像部3を形成するための露光は、微細配線部2を形成するための露光より露光量を少なくする。例えば、微細配線部2を形成するための露光量を100とすると、銀画像部3を形成するための露光量は、おおむね10〜20である。
一方、ネガ型のハロゲン化銀乳剤を用いた写真製法(b)のポジ型の銀画像形成材料の前駆体を用いる場合、最初の露光には、銀画像部3を形成するための露光を行い、次いで微細配線部2を形成するための露光を行う。この場合、銀画像部3を形成するための露光の露光量より、微細配線部2を形成するための露光の露光量を少なくする。例えば、銀画像部3を形成するための露光量を100とすると、細配線部2を形成するための露光量は、おおむね10〜20である。
(2)前記写真製法に用いる銀画像形成材料の前駆体を、図1中の銀画像部3を描画した透過原稿フィルムと、微細配線部2を描画した透過原稿フィルムの2種類の透過原稿フィルムを重ね合わせて密着露光し、現像することにより、式1を満たす全光線透過率を有する銀画像部と、単位長さ当たりの抵抗率が1kΩ/mm以下の銀画像部で形成された微細配線部を得る方法。
この場合の透明電極基材の作製方法の具体的な例を説明する。ネガ型のハロゲン化銀乳剤を用いた写真製法(a)のネガ型の銀画像形成材料の前駆体を用いる場合、微細配線部2を形成するための画像を描画した透過原稿フィルムの非画像部を形成させる部分が、露光において幾分かの光が透過できるように、光学透過濃度を低くする必要がある。この微細配線部2を形成するための画像を描画した透過原稿フィルムにおける画像部を形成させる部分の光学透過濃度としては、0.1以下、非画像部を形成させる部分の光学透過濃度が0.7〜1.0程度のものが用いられる。また、銀画像部3を形成するための画像を描画した透過原稿フィルムは、上記のように非画像部を形成させる部分に幾分かの光を透過させる必要はなく、非画像部を形成させる部分の光学透過濃度としては、0.1以下、画像部を形成させる部分の光学透過濃度としては、3.0以上のものが用いられる。
一方、ネガ型のハロゲン化銀乳剤を用いた写真製法(b)のポジ型の銀画像形成材料の前駆体を用いる場合、微細配線部2を形成するための画像を描画した透過原稿フィルムにおける非画像部を形成させる部分の光学透過濃度としては、0.1以下、画像部を形成させる部分の光学透過濃度が3.0以上のものが用いられる。また、銀画像部3を形成するための画像を描画した透過原稿フィルムは、画像部を形成させる部分が露光において幾分かの光が透過できるように、光学透過濃度を低くする必要がある。この場合の非画像部を形成させる部分の光学透過濃度としては、0.1以下、画像部を形成させる部分の光学透過濃度が0.7〜1.0程度のものが用いられる。
(3)上記露光方法において、透過原稿フィルムを用いた密着露光の代わりに、レーザー光による走査露光で行うことにより、式1を満たす全光線透過率を有する銀画像部と、単位長さ当たりの抵抗率が1kΩ/mm以下の銀画像部で形成された微細配線部を得る方法。
上記(1)〜(3)の露光が得られた銀画像形成材料の前駆体を現像処理することで、得られる銀画像部3と微細配線部2を有する銀画像形成材料に触媒付与し、酸化亜鉛膜形成組成物で処理することで、酸化亜鉛膜が上記微細配線部2及び銀画像部3の上に形成され、図1に示すように、これらを包接する酸化亜鉛膜形成部4を有する透明導電性基材が得られる。尚、図1中の微細配線部2は、酸化亜鉛膜の中心部にあるが、必ずしも中心部にある必要がなく、端部であってもよく、また、1つの酸化亜鉛膜の下に1つ以上の微細配線部を形成させてもよい。微細配線部の線幅は、使用される材料に求められる導電性及び透過性により、適宜調整すればよいが、例えば、ディスプレイ用途においては、30μm以下とすることが好ましい。微細配線部2の単位長さ当たりの抵抗率が1kΩ/mmを超えると、導電性が不十分で、透明導電性基材としての性能が不足する。
次に、露光、現像処理された銀画像形成材料前駆体を用い、酸化亜鉛膜を形成する方法について説明する。酸化亜鉛膜を形成する方法においては、前記写真製法(a)及び(b)のいずれの方法で作製した銀画像形成材料においても同じ方法が適用される。
本発明は、上記銀画像形成物に、触媒付与し、亜鉛イオン、硝酸イオン及びアミンボラン化合物を含む酸化亜鉛膜形成組成物を用いて処理を施す。また、本発明では、酸化亜鉛膜形成組成物処理に先立って、触媒付与処理が施される。さらに触媒付与処理に先立って、下記で示すような公知の脱脂処理及び表面調整処理を施してもよい。
触媒付与処理とは、パラジウム、鉄、コバルト、ニッケル、白金等の触媒金属を付与する処理であり、具体的な触媒金属としては、パラジウムが好ましい。触媒付与処理液としては、これら触媒金属イオンを含む水溶液を用いる。尚、対アニオンとしては、その金属化合物を水溶液とするものであればよく、特に制限されないが、硫酸イオン、ハロゲンイオン、リン酸イオン、硝酸イオン等が挙げられる。上記触媒金属イオンは、水溶液中に10〜5000mg/Lが好ましく、より好ましくは、50〜1000mg/Lの範囲である。また、触媒付与処理液中に、安定剤として、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、蓚酸、酪酸、プロピオン酸、ギ酸、コハク酸、グルタル酸、マロン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、マレイン酸等を用いてもよい。触媒付与処理液のpHは、1〜9が好ましく、より好ましくは、1〜4の範囲である。また、触媒付与処理の温度及び時間には特に制限はないが、処理温度としては、20〜90℃が好ましく、処理時間としては、生産効率を考慮して、30〜120秒が好ましい。本発明の特徴としては、プラスチック、ガラス等の非導電性支持体上に酸化亜鉛膜を形成する場合でも、メッキ処理の分野で行われるセンシタイジング処理を施さなくてもよいという点にある。
脱脂処理とは、基材上に付着した油分等を洗浄除去するための処理であり、公知の処理条件を使用することができる。一般にはアルカリ脱脂剤や界面活性剤、有機溶媒等を使用し、10〜60℃で1〜10分間浸漬処理する。
上記表面調整処理とは、表面調整剤を使用して、基材表面に電荷を付与するための処理であり、表面調整剤としては、例えば、主成分としてカチオン界面活性剤あるいはカチオン性高分子化合物1〜50g/Lを含有する水溶液を使用することができ、10〜60℃で1〜10分間浸漬処理する方法がある。
酸化亜鉛膜形成組成物処理には、電解法と無電解法があるが、本発明で実施する酸化亜鉛膜形成組成物処理としては、無電解法が用いられる。酸化亜鉛膜形成組成物としては、亜鉛イオン、硝酸イオンおよびボラン−アミンコンプレックスを含有する水溶液を用いる。この様な亜鉛イオン及び硝酸イオンの両方を同時に含有する水溶液を用いることによって、酸化亜鉛膜を形成することが可能となる。亜鉛イオンのイオン源となる化合物としては、水溶性亜鉛塩を用いればよく、その具体例として、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、リン酸亜鉛、ピロリン酸亜鉛、炭酸亜鉛等を挙げることができる。硝酸イオン源としては、硝酸、水溶性硝酸塩等を用いることができ、硝酸塩の具体例として、硝酸亜鉛、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸リチウム、硝酸尿素等を挙げることができる。亜鉛イオン源となる化合物及び硝酸イオン源となる化合物は、それぞれ、一種単独又は二種以上混合して用いることができ、また、亜鉛イオン及び硝酸イオンの両方のイオン源として、硝酸亜鉛を単独で用いても良い。特に、硝酸亜鉛を単独で用いる場合には、浴中に不要な成分が多く存在することがなく、水酸化亜鉛の形成なども抑制されて、純度の高い酸化亜鉛膜を広い濃度範囲で形成することが可能となる。
亜鉛イオン及び硝酸イオンの濃度は広い範囲で調整できるが、いずれか一方でもイオン濃度が低すぎると酸化亜鉛膜を形成することができず、また、いずれか一方でもイオン濃度が高すぎると水酸化亜鉛膜が形成され易くなって酸化亜鉛膜の純度が低下しやすい。このため亜鉛イオン及び硝酸イオンのそれぞれの濃度は、0.001〜0.5mol/L(亜鉛分換算で0.065〜32.7g/L)程度の範囲内にあることが好ましく、0.01〜0.2mol/L(亜鉛分換算で0.65〜13g/L)程度の範囲内にあることがより好ましい。
さらに、本発明の酸化亜鉛膜形成組成物には、ボラン−アミンコンプレックスを配合することが必要である。ボラン−アミンコンプレックスを配合した水溶液を用いることによって、該水溶液中に基材を浸漬するだけで、通電することなく酸化亜鉛膜を形成することが可能となる。ボラン−アミンコンプレックスとしては、水溶性の化合物であればいずれも用いることができ、具体例として、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン等を挙げることができる。特に、トリメチルアミンボランを用いる場合には、浴の安定性が良好となり、良好な酸化亜鉛膜を長期間継続して形成できる。
アミン−ボランコンプレックスの配合量は、特に限定的ではないが、配合量が少なすぎる場合には、水溶液の安定性は向上するものの酸化亜鉛の析出速度が遅くなり、一方、配合量が多すぎる場合には、溶解が困難になることに加えて、加温した場合に浴の安定性が低下して沈殿が生成し易くなる等の問題点がある。このため、アミン−ボランコンプレックスの配合量は、0.001〜0.5mol/L程度とすることが好ましく、0.005〜0.1mol/L程度とすることがより好ましい。
本発明の酸化亜鉛膜形成組成物処理の液温は、40〜90℃程度とすることが好ましく、60〜70℃程度とすることがより好ましい。また、該組成物のpHは、特に限定されるものではないが、pHが低い場合には浴の安定性は向上するものの成膜速度が低下し、一方、pHが高い場合には、成膜速度は向上するが浴の安定性が低下して沈殿が生成し易くなり、酸化亜鉛膜を得ることが困難となる。これらの点から、該組成物のpHは4.0〜7.0程度とすることが好ましい。
本発明の酸化亜鉛膜形成組成物に基材を浸漬する際には、該酸化亜鉛膜形成組成物は、無撹拌及び撹拌状態のいずれでも良く、撹拌法としては、公知の攪拌方法を適宜採用できる。形成される酸化亜鉛膜の膜厚は浸漬時間とともに増加するので、浸漬時間を適宜設定することによって、目的とする膜厚の酸化亜鉛膜を形成することができる。膜厚としては、0.005μm以上、好ましくは0.005〜2μmであるが、これに制限されるものではない。
酸化亜鉛膜を形成した後は、水洗、乾燥等の通常の後処理の操作を行なうことができる。さらに、酸化亜鉛膜の導電性を向上させるために、後述する改質剤によって酸化亜鉛を処理した後、加熱処理を行なうこともできる。
上述の如く作製した酸化亜鉛膜を改質する改質剤は、3価の金属カチオンを含む水溶液であり、ここで、3価の金属カチオンとしては、In3+,Al3+,Ga3+,Tb3+,Y3+,Eu3+,Bi3+,Ru3+,Ce3+を挙げることができ、これらの中から選ばれる少なくとも1種を含有するものである。尚、対アニオンとしては、その3価の金属化合物を水溶液とするものであればよく、特に制限されないが、硫酸イオン、ハロゲンイオン、リン酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、クエン酸イオン、乳酸イオン、その他のカルボン酸イオンなどが挙げられる。上記3価の金属カチオンは、水溶液中に0.1〜50g/L、より好ましくは0.3〜3g/L含有されることが有効である。上記3価の金属カチオンが上記範囲を外れると、酸化亜鉛上に均一に改質膜が得られなくなる恐れがある。
上記3価の金属カチオン含有水溶液(改質剤)のpHは2〜10、特に3〜8であることが好ましい。
上記処理により得られる、酸化亜鉛膜中の3価金属の含有量は、表面抵抗率を安定させるためには0.01質量%以上とすることが好ましく、更に優れた透明性を得るためには30質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.05〜10質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
酸化亜鉛膜を改質剤で処理する場合の条件は、適宜選定されるが、10〜60℃、特に20〜40℃で1秒〜10分程度の条件を採用することができ、酸化亜鉛を改質剤中に浸漬することによって処理することができるが、スプレー処理等によってもよい。
上記処理によれば、酸化亜鉛膜表面が水溶液で濡れているので、空気との接触を抑制することができるため、処理中に酸化亜鉛膜の導電性が変動することを抑えることができる。
また、上記工程により得られた改質酸化亜鉛膜を加熱処理する条件については、150〜700℃、好ましくは200〜650℃で行うことが好ましく、また加熱時間は5分〜2時間であることが好ましく、これにより、導電性が更に向上する。
ここで、上記加熱処理は、上記改質処理に次いで行うこともできるが、後述する酸化亜鉛膜以外の層を酸化亜鉛膜の上層へ形成した後に行ってもよい。
更に、加熱雰囲気は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の非酸化性ガス雰囲気、水素等の還元性ガス雰囲気、これらの混合ガス雰囲気のいずれであってもよいが、ガス雰囲気中の酸素濃度を100ppm以下、特に10ppm以下とすることが好ましい。ガス雰囲気中の酸素濃度が100ppmよりも多いと、加熱しても導電性が十分に向上しない場合がある。これは、ガス雰囲気中の酸素が多いために酸化亜鉛膜中の酸素欠陥を形成することが困難であるためと考えられる。また、水素等の還元ガスを非酸化性ガス雰囲気中に0.01〜10容量%、特に0.05〜5容量%含有する混合ガスを使用することにより、より表面抵抗率の低い酸化亜鉛膜を得ることができる。これは、還元性ガスにより酸化亜鉛膜中に酸素欠陥を形成し、抵抗率の低い酸化亜鉛膜が得られると考えられる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、記載中、特にことわりのない限り、%は質量%を意味する。
透明導電性フィルムの作製の実施例を以下に示す。プラスチック樹脂フィルムとして、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。自動ヘーズコンピューター(スガ試験機社製ヘイズメーターの商品名)を用いて、このフィルムの全光線透過率を測定したところ、92%であった。物理現像核層を塗布する前に、このフィルムに、塩化ビニリデンからなる下引き層を塗布し、その上にゼラチンが50mg/mのベース層を塗布し乾燥した。次に、下記のようにして作製した硫化パラジウムからなる物理現像核層を塗布し、乾燥した。
<硫化パラジウムゾルの調製>
A液
塩化パラジウム 5g
塩酸 40ml
蒸留水 1000ml
B液
硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000ml
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
<物理現像核層塗液の調製>
前記硫化パラジウムゾル 50ml
1質量%のゼラチン溶液 20ml
界面活性剤 0.2g
ハレーション防止染料(下記化1) 5g
水を加えて全量を2000mlとする。
この物理現像核層塗液を硫化パラジウムが固形分で0.4mg/mになるように、ベース層の上に塗布し、乾燥した。
Figure 2007226043
続いて、ハロゲン化銀乳剤層を上記物理現像核層の上に塗布した。ハロゲン化銀乳剤は、写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法で製造した。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀90モル%と臭化銀10モル%で、平均粒径が0.3μmになるように調製した。このハロゲン化銀乳剤に、チオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を加え、50℃で化学増感した。ハロゲン化銀乳剤層の銀(硝酸銀)/ゼラチンの質量比は1.5である。ハロゲン化銀乳剤層には、界面活性剤を0.2g/m、及びイエロー蛍光灯下での取り扱いを可能とするために上記化1の染料、下記化2、3の染料をそれぞれ50mg/m含有する。このハロゲン化銀乳剤層をハロゲン化銀量(硝酸銀に換算)が0.2g/mになるように塗布し、乾燥して、前記写真製法(b)で用いられる銀画像形成フィルムの前駆体を作製した。
Figure 2007226043
Figure 2007226043
この前駆体を、20cm×30cmに裁断し、水銀灯を光源とする密着プリンターを用いて、中心に10cm×10cmの光学透過濃度0.85の画像を有する透過原稿(非画像部の光学透過濃度0.03)を介して露光し、続いて、下記の現像液−1(写真製法(b)で用いられる前記可溶性銀錯塩形成剤を含有する現像液)中に20℃で5秒間浸漬した後、続いてハロゲン化銀乳剤層を40℃の温水を用いて水洗除去し、写真製法(b)を用いてフィルム上に銀画像を形成させた銀画像形成フィルムを作製した。
<現像液−1>
水酸化ナトリウム 20g
ハイドロキノン 20g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸ナトリウム 30g
モノメチルエタノールアミン 10g
臭化カリウム 2g
全量を水で1000mlに調整する。pH13に調整。
上記のようにして得られた銀画像形成フィルムの画像部の全光線透過率を、前記自動ヘーズコンピューターで測定した結果、83%であった。また、非画像部の全光線透過率は、91%であった。
この銀画像形成フィルムを、下記脱脂剤に、60℃で1分間浸漬した後、下記触媒付与剤に25℃で2分間浸漬することにより、画像表面にパラジウム触媒を付与した。次いで、下記酸化亜鉛膜形成組成物に80℃で180分間浸漬して、画像部に約1μmの膜厚を有する酸化亜鉛膜を得た。
<脱脂剤>
NaOH 15g
全量を水で1000mlに調整する。
<触媒付与剤>
PdCl2 1.5g
HCl(36%) 1.5ml
pH2.8。
全量を水で1000mlに調整する。
<酸化亜鉛膜形成組成物>
Zn(NO32 10.0g
ジメチルアミンボラン 4.5g
pH 6.3
全量を水で1000mlに調整する。
上記のようにして得られた酸化亜鉛膜形成部の全光線透過率を前記同一方法で測定した結果、80%であった。また、市販の切れるEL(エレクトロルミネッセンス)発光シート WH−A6(販売元:ワンダーキット)用い、EL発光シートに取り付けられている透明電極フィルムに代わり、上記酸化亜鉛膜が形成された部分を透明電極として貼り合わせ、インバータを介して、交流120V、400Hzの電圧を供給したところ、EL発光シートが発光した。比較例として、画像形成されていない非画像部を透明電極として用い、上記と同じ方法でEL発光シートを作製したところ、全く動作しなかった。
この結果から分かるように、本発明の写真製法(b)を用いて、銀画像を形成させた銀画像形成材料を作製し、触媒付与し、さらに、亜鉛イオン、硝酸イオン及びアミンボラン化合物を含む酸化亜鉛膜形成組成物を用いて処理することにより、透明導電性基材が極めて簡易的に作製することができた。
比較例1
上記実施例1の触媒付与剤を用いないこと以外、実施例1と同様にして、比較の透明基材を作製した。尚、画像形成された部分の全光線透過率は82%であった。また、実施例1と同様にして、EL発光シートを作製したが、全く動作しなかった。
比較例2
上記実施例1の酸化亜鉛膜形成組成物のジメチルアミンボランを用いないこと以外、実施例1と同様にして、比較の透明基材を作製した。尚、画像形成された部分の全光線透過率は83%であった。また、実施例1と同様にして、EL発光シートを作製したが、全く動作しなかった。
比較例3
上記実施例1の酸化亜鉛膜形成組成物のZn(NOの代わりにZnClを用いること以外、実施例1と同様にして、比較の透明基材を作製した。尚、画像形成された部分の全光線透過率は82%であった。また、実施例1と同様にして、EL発光シートを作製したが、全く動作しなかった。
上記実施例1の銀画像形成材料の前躯体において、物理現像核層を設けないこと及びハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀乳剤層の銀(硝酸銀)/ゼラチンの質量比を3.0とする以外、実施例1と同様にして、前駆体を作製し、中心に10cm×10cmの光学透過濃度0.45の画像を有する透過原稿(周囲の光学透過濃度4.80)を介して露光し、続いて、三菱製紙社製ゲッコール現像液(写真製法(a)で用いられる現像液)中に20℃で90秒間浸漬した後、続いて3%−酢酸水溶液からなる現像停止液に20℃で30秒間浸漬した。さらに三菱製紙社製ヒシラピッド定着液に20℃で3分間浸漬した後、流水で5分間水洗し、写真製法(a)を用いてフィルム上に銀画像を形成させた銀画像形成フィルムを作製した。実施例1と同一方法で、全光線透過率、表面抵抗を測定したところ、画像部の全光線透過率は81%で、非画像部の全光線透過率は89%であった。
以下実施例1と同様にして、上記画像上に酸化亜鉛膜を形成させたところ、酸化亜鉛膜形成部の全光線透過率は78%であった。また、実施例1と同様にして、EL発光シートを作製したところ、EL発光シートが発光した。
この結果から分かるように、本発明の写真製法(a)を用いて、銀画像を形成させた銀画像形成材料を作製し、触媒付与し、さらに、亜鉛イオン、硝酸イオン及びアミンボラン化合物を含む酸化亜鉛膜形成組成物を用いて処理することにより、透明導電性基材を作製することができた。
上記実施例1の銀画像形成材料の前駆体において、ハロゲン化銀乳剤層をハロゲン化銀量(硝酸銀に換算)が4.0g/mになるように塗布すること以外、実施例1と同様にして前駆体を作製し、図3に示す光学透過濃度0.85の黒色画像を有する透過原稿フィルムと、図2に示す画像(線幅25μm、線長さ100mm、線間隔250μm)を描画した透過原稿フィルムとを用い、上記銀画像部3の中に、微細配線部2が同じ位置になるようにフィルムを重ね合わせ、水銀灯を光源とする密着プリンターを用いて露光した。また、重ね合わせの方法としては、微細配線部2を描画した透過原稿フィルムが、直接前駆体と接触させ、銀画像部3を描画した透過原稿フィルムをその下に敷くように重ね合わせた。尚、微細配線部2を描画した透過原稿フィルムの細線の光学透過濃度を、マイクロデンシトメーターを用いて測定したところ、3.5であった。
続いて、この前駆体を、下記の現像液−2(写真製法(b)で用いられる前記可溶性銀錯塩形成剤を含有する現像液)中に22℃で60秒間浸漬した後、続いてハロゲン化銀乳剤層を40℃の温水を用いて水洗除去し、フィルム上に導電性の良好な微細配線部2と透明性の優れた銀画像部3を形成させた銀画像形成フィルムを作製した。
<現像液−2>
水酸化ナトリウム 20g
ハイドロキノン 20g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸ナトリウム 30g
モノメチルエタノールアミン 10g
臭化カリウム 0.2g
全量を水で1000mlに調整する。pH13に調整。
また、全面に光学透過濃度0.85の黒色画像有する透過原稿フィルムを作製し、上記と同じ露光及び現像を施し、全面に銀画像3を形成させた銀画像形成フィルムを作製した。この銀画像形成フィルムの全光線透過率は85%であった。これにより、本発明の銀画像部3の全光線透過率が式1を満足していることを確認した。
一方、図2に示す画像を描画した透過原稿フィルムのみを用いて、上記と同じ露光及び現像を施し、微細配線部2のみを有する銀画像形成フィルムを作製した。市販のテスターを用いて、微細配線部2の抵抗率を測定したところ、単位長さ当たりの抵抗率は、297Ω/mmであり、本発明の微細配線部2の単位長さ当たりの抵抗率が1kΩ/mm以下の銀画像で形成された微細配線部であることを確認した。
その後、実施例1と同様にして、上記微細配線部2と銀画像部3を形成させた銀画像形成フィルムの画像部上に酸化亜鉛膜を形成させ、透明導電性基材を作製した。また、走査型電子顕微鏡を用い、この透明電極基材の断面を観察したところ、酸化亜鉛形成部の縁部が若干丸みを有していたが、銀画像部3と微細配線部2を包接する形で酸化亜鉛膜が形成していることを確認した。
さらに、実施例1と同様にして、EL発光シートを作製したところ、EL発光シートが何ら問題なく発光し、窓枠電極から遠い中心部と電極に近い端部との間の発光強度に違いがなく、均一な発光が得られた。これは、微細配線部2を設けたことによる効果であると考えられる。
比較例4
また、比較例として、図2に示す微細配線部2を形成する画像を描画した透過原稿フィルムのみを用いて微細配線部2のみを有する銀画像形成フィルムを作製した。その銀画像形成フィルムに酸化亜鉛膜形成処理を施さず、そのまま透明電極基材として用い、EL発光シートを作製したところ、EL発光シートは均一に発光したが、発光強度が弱かった。これは、微細配線部2近傍でしかEL素子が発光していないことによる影響であると考えられる。
さらに、実施例3の透明電極を、大栄科学精器製作所製平面摩耗試験機(型式PA−2)で、摩擦子として白綿を用い、100gの荷重をかけ、60回摩耗試験したが、微細配線に断線や剥離等の異常は見られなかった。また、比較例として、特開平5−241172号の実施例記載の透明電極を作製し、上記と同じ摩擦試験したところ、金属配線部が剥離してしまった。
これらの結果から分かるように、前記式1を満たす全光線透過率を有する銀画像部3と、単位長さ当たりの抵抗率が1kΩ/mm以下の銀画像で形成された微細配線部2とを有することを特徴とする本発明の透明導電性基材は、導電性EL発光シートを均一に発光させることができた。また、耐擦過性に優れていることが立証された。
上記実施例3の露光方法において、露光に用いる透過原稿フィルムとして、図3に示す銀画像部3を形成する画像の透過濃度を1.20にすること以外、実施例3と同様にして、透明導電性基材を作製した。尚、全面に光学透過濃度1.20の黒色画像有する透過原稿フィルムを作製し、上記と同じ露光及び現像を施し、全面に銀画像3を形成させた銀画像形成フィルムを作製した。この銀画像形成フィルムの全光線透過率は35%であった。また、実施例1と同様にして、EL発光シートを作製し、発光させたが、発光強度が弱く、明室環境下では発光を確認するのがやや困難であった。
上記実施例3の現像方法において、現像時間を20℃5秒にすること以外、実施例3と同様にして、透明導電性基材を作製した。尚、図2に示す画像を描画した透過原稿フィルムのみを用いて、上記と同じ露光及び現像を施し、微細配線部2のみを有する銀画像形成フィルムを作製した。市販のテスターを用いて、微細配線部2の抵抗率を測定したところ、抵抗率は高すぎて測定不能であり、本発明の微細配線部2の単位長さ当たりの抵抗率が1kΩ/mm以下の銀画像で形成された微細配線部ではないことを確認した。また、実施例1と同様にして、EL発光シートを作製したところ、EL発光シートが発光したが、電極から遠い中心部は、電極に近い端部より発光強度が実施例3の透明電極基材を用いた場合に比べてやや弱く、均一性がやや欠けていた。
上記実施例では、本発明をEL発光シートに適用した例について説明したが、本発明は、ELディスプレイに限らず、液晶ディスプレイ、PDP(プラズマディスプレイ)等のディスプレイにも適用可能であり、また、太陽電池、タッチパネル等の透明電極としても適用可能である。
本発明の透明電極基材の断面を表す概念図 微細配線形成用画像を有する透過原稿フィルムの画像を表す概念図 式1を満たす全光線透過率を有する銀画像形成用画像を有する透過原稿フィルムの画像を表す概念図 ITO膜上に金属からなる微細配線を補助配線として形成した透明電極の断面を表す概念図
符号の説明
1 透明支持体
2 単位長さ当たりの抵抗率が1kΩ/mm以下の銀画像で形成された微細配線部
3 式1を満たす全光線透過率を有する銀画像部
4 酸化亜鉛膜形成部
5 非画像部
6 透過原稿フィルム
7 線幅25μm、長さ100mm、線間隔250μmの微細配線形成用画像部
8 窓枠電極用画像部
9 透過原稿フィルム
10 線幅125μm、長さ100mm、線間隔250μmの式1を満たす全光線透過率を有する銀画像形成用画像部
11 ガラス基板
12 SiO
13 ITO透明電極
14 金属ライン

Claims (3)

  1. 支持体の少なくとも一方の面に、写真製法により、銀画像を形成させた後、触媒付与し、さらに、亜鉛イオン、硝酸イオン及びアミンボラン化合物を含む酸化亜鉛膜形成組成物を用いて処理することを特徴とする酸化亜鉛膜の形成方法。
  2. 前記写真製法により銀画像を形成する方法において、下記(a)または(b)の写真製法を用いて画像形成することを特徴とする請求項1記載の酸化亜鉛膜の形成方法。
    (a)支持体上に少なくともハロゲン化銀乳剤層を有する感光材料を露光、現像処理することにより、画像部のハロゲン化銀を還元し金属銀画像を析出させ、次いで非画像部のハロゲン化銀を溶解除去する写真製法。
    (b)支持体上に少なくとも物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に有する感光材料を露光、現像処理することにより、物理現像核上に金属銀画像を析出させ、次いで不要となったハロゲン化銀乳剤層を水洗除去する写真製法。
  3. 透明支持体上に少なくとも、下記式を満たす全光線透過率を有する銀画像部と、単位長さ当たりの抵抗率が1kΩ/mm以下の微細配線銀画像部と、前記銀画像部と微細配線銀画像部を包接する酸化亜鉛膜形成部からなる事を特徴とする透明導電性基材。
    T(%)≧t(%)×0.4
    ここで、T(%)は支持体上に銀画像が形成された部分の全光線透過率を表し、t(%)は、支持体単独の全光線透過率を表す。
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