JP2015127730A - タッチパネル用黒色感光性組成物、その硬化物及び当該硬化物を含むタッチパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】耐高温高湿性及び耐光密着性を確保できると共に、パターンの直線性が良好で、細線形成も可能なタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物、その硬化物及び当該硬化物を含むタッチパネルを提供する。
【解決手段】(A)所定のアルカリ可溶性樹脂、(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、及び(D)遮光材をそれぞれ所定量含有し、上記アルカリ可溶性樹脂(A)は、(A−1)ビスフェノールA骨格を有するものを50〜90質量%含有すると共に、(A−2)ビスフェノールフルオレン骨格を有するものを10〜50質量%含有し、(A−1)ビスフェノールA骨格を有するものの重量平均分子量Mwは2000〜50000の範囲であるタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物であり、この黒色感光性樹脂組成物をフォトリソグラフィー法によりパターニングした後、引き続き熱硬化させることにより得られる硬化物、それを有したタッチパネルである。
【選択図】なし
【解決手段】(A)所定のアルカリ可溶性樹脂、(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、及び(D)遮光材をそれぞれ所定量含有し、上記アルカリ可溶性樹脂(A)は、(A−1)ビスフェノールA骨格を有するものを50〜90質量%含有すると共に、(A−2)ビスフェノールフルオレン骨格を有するものを10〜50質量%含有し、(A−1)ビスフェノールA骨格を有するものの重量平均分子量Mwは2000〜50000の範囲であるタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物であり、この黒色感光性樹脂組成物をフォトリソグラフィー法によりパターニングした後、引き続き熱硬化させることにより得られる硬化物、それを有したタッチパネルである。
【選択図】なし
Description
本発明は、現像密着性および直線性に優れた細線のパターン形成が可能であって、優れた遮光性および長時間光暴露後の基板との密着性(耐光密着性)を有するタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物に関する。また、このタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物を用いた硬化物、及び当該硬化物を構成要素として含むタッチパネルに関する。
液晶表示装置のカラーフィルターは、通常、各画素を区切るための黒色膜を形成したガラス、プラスチックシートなどの透明基板表面上に、赤、緑、青の画素を順次、ストライプ状あるいはモザイク状等の色パターンを形成する方法で製造されている。このうち黒色膜は、画素間の光漏れによるコントラスト及び色純度の低下を防止する役割を果たしており、カーボンブラック、酸窒化チタンやチタンブラック等の遮光材を含有し、アルカリ現像が可能な黒色感光性樹脂組成物を使用することが主となっている。
現在、液晶ディスプレイ等の表示装置におけるデータ入力手段として、タッチパネルが広く用いられるようになって来ており、その中でも静電容量式のタッチパネルが活用されるようになって来ている。静電容量式のタッチパネルは、ITO等の透明導電材料によって2層に形成されたモザイク状の電極パターンを画面内に有する。この2層の電極パターンはそれぞれx軸方向とy軸方向に連なった形状を示し、金属等の取出配線を介して外部の制御回路に接続される。そして、画面に指が触れると、その付近の電極パターンに静電容量の変化が生じ、これを制御回路が座標情報として検出して指の位置を識別することができる(例えば特許文献1を参照)。
このようなタッチパネル用の基板においても、カラーフィルターと同様の黒色膜が遮光や配線の目隠し等の目的で適用されるが、基板の構成によっては、黒色膜を形成した後に電極や金属配線等を形成する加工プロセスが必要となることがあり、この場合における前記黒色膜には、これら加工プロセスにおける高温度に対する耐熱性や、加工プロセスに使用される薬品に対する高い耐薬品性等が要求される。例えば、黒色膜形成後に金属配線を形成する場合には、パターン形成のためにアルカリ性または酸性のエッチング液やアルカリ性のレジスト剥離液等の処理液を用いるが、特に強いアルカリ性の処理液を使用した場合には、膜中に含まれるアルカリ可溶性樹脂との親和性から、膜が溶解して剥がれる問題や十分な密着性を担保出来ないといった問題が生じる。そのため、カーボンブラック、酸窒化チタンやチタンブラック等の遮光材の割合を増やすことにより、黒色膜中のアルカリ可溶性樹脂の割合を少なくすることで、耐薬品性は改善されるものの、光硬化性やパターン形成能が著しく低下してしまい、その結果、現像特性と十分な耐薬品性とを両立することが困難になる。
このような問題を解決するためにタッチパネル用黒色感光性組成物の提案も行われている(特許文献2,3参照)が、このタッチパネルの用途では黒色膜の耐光性が不足すると長時間光暴露後に基板との密着性が悪くなり、外観不良が起こることが問題となってきている。すなわち、タッチパネル用の黒色膜には、耐薬品性、パターン形成能の両立が必要であることに加えて、さらに耐高温高湿性、耐光密着性を備える必要があり、このような特性を全て満足した黒色塗膜を形成できる黒色感光性樹脂組成物が求められている。しかしながら、これらの特性をすべて満足することは非常に困難であるため、1つの解決策としては、耐光密着性を確保できる黒色感光性樹脂組成物を使用して黒色塗膜を形成し、その形成した黒色膜の上に耐薬品性を備えた保護膜を設置する層構成が検討されている。この目的に用いる黒色感光性樹脂組成物において、耐高温高湿性、耐光密着性を確保した上で光加工パターンの直線性、細線形成能を付与するためには、さらに高性能な材料の開発が望まれているが、このような耐高温高湿製及び耐光密着性とパターン形成能とを両立した塗膜(硬化物)を得るための黒色感光性樹脂組成物はこれまで満足な特性を有するものがなかった。
そこで、本発明の目的は、耐高温高湿性、耐光密着性を確保できる黒色感光性樹脂組成物であり、かつフォトリソグラフィー法によりパターンを形成した際のパターンの直線性が良好で、細線形成も可能なタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物、その硬化物及び当該硬化物を含むタッチパネルを提供することにある。
本発明者らは、前記の問題点を解決すべく鋭意研究を進めた結果、アルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、遮光材等を含む黒色感光性樹脂組成物において、アルカリ可溶性樹脂として特定の構造を有する2種類を使用することにより、パターンの直線性、細線形成能を保持した上で、耐高温高湿性、耐光密着性にも優れるタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物が得られることを見出した。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)本発明は、(A)ビスフェノール類から誘導される2個のグリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物に対して、(a)ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸無水物、及び(b)テトラカルボン酸又はその酸二無水物を反応させて得られたアルカリ可溶性樹脂、(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、及び(D)遮光材を含有するタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物であり、
固形分中(A)が20〜40質量%、(B)が5〜20質量%、(C)が(A)と(B)の合計量100質量部に対して2〜30質量部であり、さらに固形分中(D)が40〜60質量%であり、また、上記アルカリ可溶性樹脂(A)は、(A−1)ビスフェノールA骨格を有するアルカリ可溶性樹脂を50〜90質量%含有すると共に、(A−2)ビスフェノールフルオレン骨格を有するアルカリ可溶性樹脂を10〜50質量%含有し、(A−1)ビスフェノールA骨格を有するアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量Mwが2000〜50000の範囲であることを特徴とするタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物である。
固形分中(A)が20〜40質量%、(B)が5〜20質量%、(C)が(A)と(B)の合計量100質量部に対して2〜30質量部であり、さらに固形分中(D)が40〜60質量%であり、また、上記アルカリ可溶性樹脂(A)は、(A−1)ビスフェノールA骨格を有するアルカリ可溶性樹脂を50〜90質量%含有すると共に、(A−2)ビスフェノールフルオレン骨格を有するアルカリ可溶性樹脂を10〜50質量%含有し、(A−1)ビスフェノールA骨格を有するアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量Mwが2000〜50000の範囲であることを特徴とするタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物である。
(2)本発明はまた、上記(1)のタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物に、さらに、(E)2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物又はエポキシ樹脂を組成物の固形分中0.5〜10質量%含有することを特徴とするタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物である。
(3)本発明はまた、上記(1)または(2)の黒色感光性樹脂組成物をフォトリソグラフィー法によりパターニングした後、引き続き熱硬化させることにより得られる硬化物である。
(4)本発明はまた、これら硬化物を有するタッチパネルである。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物における(A)は、ビスフェノール類から誘導される2個のグリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物に対して、(a)ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸無水物、及び(b)テトラカルボン酸又はその酸二無水物を反応させて得られたアルカリ可溶性樹脂であり、(A−1)ビスフェノールA骨格を有するアルカリ可溶性樹脂と、(A−2)ビスフェノールフルオレン骨格を有するアルカリ可溶性樹脂とを必須成分として含む。ビスフェノールA骨格を有するとは、ビスフェノールAから誘導された骨格に加え、ビスフェノールAのベンゼン環の一部にアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ハロゲンといった置換基(アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基の一部が、さらに、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ハロゲンで置換されたものを含む。以下、このような場合には、「置換されていてもよいアルキル基」等と記すものとする。)が結合した骨格、およびビスフェノールAのアルキル基の一部がハロゲンで置換された骨格を含む。ビスフェノールフルオレン骨格を有するとは、ビスフェノールフルオレンから誘導された骨格、およびビスフェノールフルオレンのベンゼン環の一部が、「置換されていてもよいアルキル基」、「置換されていてもよいシクロアルキル基」、「置換されていてもよいフェニル基」、ハロゲンといった置換基で置換された骨格を含む。
(A)の原料となるビスフェノール類としては、(A−1)ビスフェノールA骨格を有するものとして、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。また、(A−2)ビスフェノールフルオレン骨格を有するものとしては、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等が挙げられる。また、その他のビスフェノール類を上記(A−1)及び(A−2)と併用することも可能であり、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)エーテル、4,4’−ビフェノール、3,3’−ビフェノール等およびこれらの誘導体が挙げられる。
(A)のアルカリ可溶性樹脂を得るに当たっては、上記ビスフェノール類とエピクロルヒドリンとを反応させて2個のグリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物を得る。この反応の際には、一般にジグリシジルエーテル化合物のオリゴマー化を伴うため、下記一般式(I)のエポキシ化合物を得ることになる。この反応は、ビスフェノール類として、ビスフェノールA骨格を有するもの、ビスフェノールフルオレン骨格を有するもの、その他のビスフェノール類を使用する場合に共通であるので、以下は、骨格を限定せずビスフェノール類を原料とする反応経路を示す。
一般式(I)の式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子又はフェニル基を表し、Aは、−CO−、−SO2−、−C(CF3)2−、−Si(CH3)2−、−CH2−、−C(CH3)2−、−O−、9,9−フルオレニル基又は直結合を表す。lは0〜10の整数である。好ましいR1、R2、R3及びR4は水素原子であり、好ましいAは、−C(CH3)2−若しくは−C(CF3)2−、又は9,9−フルオレニル基である。また、lは通常は複数の値が混在するため平均値0〜10(整数とは限らない)となるが、好ましいlの平均値は0〜3である。lの値が上限値を超えると、当該エポキシ化合物使用して合成したアルカリ可溶性樹脂を用いた黒色感光性樹脂組成物としたときに組成物の粘度が大きくなりすぎて塗工がうまく行かなくなったり、アルカリ可溶性を十分に付与できずアルカリ現像性が非常に悪くなったりする。
次に、一般式(I)の化合物に対して、例えば不飽和基含有モノカルボン酸としてアクリル酸若しくはメタクリル酸又はこれらの両方を反応させ、これにより得られたヒドロキシ基を有する反応物に対して、(a)ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸無水物、及び(b)テトラカルボン酸又はその酸二無水物を反応させる。その際、(a)/(b)のモル比が0.01〜10となる範囲で反応させることが好ましい。そして、下記一般式(II)で表されるエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物の構造を有するアルカリ可溶性樹脂を得る。
〔式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子又はフェニル基を表し、R5は、水素原子又はメチル基を表し、Aは、−CO−、−SO2−、−C(CF3)2−、−Si(CH3)2−、−CH2−、−C(CH3)2−、−O−、9,9−フルオレニル基又は直結合を表し、Xは4価のカルボン酸残基を表し、Y1及びY2は、それぞれ独立して水素原子又は−OC−Z−(COOH)m(但し、Zは2価又は3価カルボン酸残基を表し、mは1〜2の数を表す)を表し、nは1〜20の整数を表す。〕
このエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物(II)は、重合性不飽和基とカルボキシル基とを併せ持ち、尚且つ、ビスフェノールA骨格を有するものとビスフェノールフルオレン骨格を有するものとを必須成分として含有したアルカリ可溶性樹脂であり、優れた光硬化性、良現像性、パターニング特性を与え、かつ耐高温高湿性、耐光密着性も良好なタッチパネル用黒色膜パターンが得られるものである。
本発明の(A)である一般式(II)のエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物に利用される(a)ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸無水物としては、鎖式炭化水素ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸無水物や脂環式ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸無水物、芳香族ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸無水物が使用される。ここで、鎖式炭化水素ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸無水物としては、例えば、コハク酸、アセチルコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、イタコン酸、アゼライン酸、シトラリンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、オキソグルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、ジグリコール酸等の化合物があり、更には任意の置換基が導入されたジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸無水物でもよい。また、脂環式ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸無水物としては、例えば、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ノルボルナンジカルボン酸等の化合物があり、更には任意の置換基が導入されたジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸無水物でもよい。更に、芳香族ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸無水物としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等の化合物があり、更には任意の置換基が導入されたジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸無水物でもよい。
また、本発明の(A)である一般式(II)のエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物に利用される(b)テトラカルボン酸又はその酸二無水物としては、鎖式炭化水素テトラカルボン酸又はその酸二無水物や脂環式テトラカルボン酸又はその酸二無水物、又は、芳香族多価カルボン酸又はその酸二無水物が使用される。ここで、鎖式炭化水素テトラカルボン酸又はその酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸、ヘキサンテトラカルボン酸等があり、更には任意の置換基が導入されたテトラカルボン酸又はその酸二無水物でもよい。また、脂環式テトラカルボン酸又はその酸二無水物としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、シクロへプタンテトラカルボン酸、ノルボルナンテトラカルボン酸等があり、更には任意の置換基の導入されたテトラカルボン酸又はその酸二無水物でもよい。更に、芳香族テトラカルボン酸やその酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸又はその酸二無水物が挙げられ、更には任意の置換基の導入されたテトラカルボン酸又はその酸二無水物でもよい。
本発明の(A)である一般式(II)のエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物に使用される(a)ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸無水物と(b)テトラカルボン酸又はその酸二無水物とのモル比(a)/(b)は、上述したように0.01〜10であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜3.0となる範囲である。モル比(a)/(b)が上記範囲を逸脱すると最適分子量が得られず、(A)を使用した黒色感光性樹脂組成物において、アルカリ現像性、耐熱性、耐溶剤性、パターン形状等が劣化するので好ましくない。なお、モル比(a)/(b)が小さいほどアルカリ溶解性が大となり、分子量が大となる傾向がある。
また、本発明の(A)である一般式(II)のエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物において、ビスフェノールA骨格を有する(A−1)は、重量平均分子量(Mw)が2000〜50000の範囲である必要があり、5000〜20000の範囲であることが好ましい。また、フルオレン骨格を有する(A−2)は、重量平均分子量(Mw)が2000〜50000の範囲であることが好ましく、2000〜7000の間であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)が2000に満たないと(A)を使用した黒色感光性樹脂組成物の現像時のパターンの密着性が維持できず、パターン剥がれが生じ、また、重量平均分子量(Mw)が50000を超えると現像残渣や未露光部の残膜が残り易くなる。更に、(A)は、その酸価が30〜200mgKOH/gの範囲であることが望ましい。この値が30mgKOH/gより小さいと(A)を使用した黒色感光性樹脂組成物のアルカリ現像がうまくできないか、強アルカリ等の特殊な現像条件が必要となり、200mgKOH/gを超えると(A)を使用した黒色感光性樹脂組成物へのアルカリ現像液の浸透が早くなり過ぎ、剥離現像が起きるので、何れも好ましくない。
本発明で利用される一般式(II)のエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物は、上述の工程により、既知の方法、例えば特開平8-278629号公報や特開2008-9401号公報等に記載の方法により製造することができる。先ず、一般式(I)のエポキシ化合物に不飽和基含
有モノカルボン酸を反応させる方法としては、例えば、エポキシ化合物のエポキシ基と等モルの不飽和基含有モノカルボン酸を溶剤中に添加し、触媒(トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、2,6-ジイソブチルフェノール等)の存在下、空気を吹き込みながら90〜120℃に加熱・攪拌して反応させるという方法がある。次に、反応生成物であるエポキシアクリレート化合物の水酸基に酸無水物を反応させる方法としては、エポキシアクリレート化合物と酸二無水物および酸一無水物の所定量を溶剤中に添加し、触媒(臭化テトラエチルアンモニウム、トリフェニルホスフィン等)の存在下、90〜130℃で加熱・攪拌して反応させるという方法がある。
有モノカルボン酸を反応させる方法としては、例えば、エポキシ化合物のエポキシ基と等モルの不飽和基含有モノカルボン酸を溶剤中に添加し、触媒(トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、2,6-ジイソブチルフェノール等)の存在下、空気を吹き込みながら90〜120℃に加熱・攪拌して反応させるという方法がある。次に、反応生成物であるエポキシアクリレート化合物の水酸基に酸無水物を反応させる方法としては、エポキシアクリレート化合物と酸二無水物および酸一無水物の所定量を溶剤中に添加し、触媒(臭化テトラエチルアンモニウム、トリフェニルホスフィン等)の存在下、90〜130℃で加熱・攪拌して反応させるという方法がある。
本発明のタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物における(B)少なくとも1個の重合性不飽和基を有する光重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類や、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。また、当該少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマーは、光重合性基を3個以上有して不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂の分子同士を架橋することができるものを用いることが好ましい。なお、(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマーは遊離のカルボキシ基を有しない。
本発明のタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物における(C)光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p'-ビスジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類、2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)ビイミダゾール、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2、4,5-トリアリールビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物類、2-トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル-5-(p-シアノスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチルチアゾール化合物類、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-メチル−4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-フェニル-4、6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロRメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4,5-トリメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メチルチオスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物類、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(o-ベンゾイルオキシム)、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-o-ベンゾアート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-o-アセタート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1-オンオキシム-o-アセタート等のo-アシルオキシム系化合物類、ベンジルジメチルケタール、チオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、2,4-ジエチルチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2-イソプロピルチオキサンソン等のイオウ化合物、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類、アゾビスイソブチルニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物、トリエタノールアミン、トリエチルアミン等の第3級アミンなどが挙げられる。この中でも、高感度の黒色感光性樹脂組成物を得られやすい観点から、o-アシルオキシム系化合物類を用いることが好ましい。また、これら光重合開始剤を2種類以上使用することもできる。なお、本発明でいう光重合開始剤とは、増感剤を含む意味で使用される。
本発明のタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物における(D)遮光材としては、黒色有機顔料、混色有機顔料又は無機系顔料等を特に制限なく用いることができる。黒色有機顔料としては、例えばペリレンブラック、シアニンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。混色有機顔料としては、赤、青、緑、紫、黄色、シアニン、マゼンタ等から選ばれる少なくとも2種以上の顔料を混合して擬似黒色化されたものが挙げられる。無機系顔料としては、カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄、チタンブラック、酸窒化チタン、チタン窒化物等を挙げることができる。これらの遮光材は、いずれか1種類単独でも2種以上を適宜選択して用いることもできるが、特にカーボンブラックが、遮光性、表面平滑性、分散安定性、樹脂との親和性が良好な点で好ましい。
本発明のタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物における(E)エポキシ基を有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、多価アルコールのグリシジルエーテル、多価カルボン酸のグリシジルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルをユニットとして含む重合体、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸(3’,4’−エポキシシクロヘキシル)メチルに代表される脂環式エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン骨格を有する多官能エポキシ化合物(例えばDIC社製商品名HP7200シリーズ)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(例えばダイセル社製商品名「EHPE3150」)、エポキシ化ポリブタジエン(例えば日本曹達社製商品名「NISSO−PB・JP−100」)、シリコーン骨格を有するエポキシ化合物等を挙げることができる。これら成分としてはエポキシ当量が100〜2000g/eqかつ数平均分子量が100〜10000の化合物であることが好ましい。さらに、1分子中にエポキシ基を3個以上有するエポキシ化合物を用いることがより好ましい。なお、(E)は、1種類の化合物のみを用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明の黒色感光性樹脂組成物においては、上記(A)〜(E)の他に溶剤を使用して粘度を調整することが好ましい。溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類等が挙げられ、これらを用いて溶解、混合させることにより、均一な溶液状の組成物とすることができる。
また、本発明の黒色感光性樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤、充填材、溶剤、レベリング剤、消泡剤、カップリング剤、界面活性剤等の添加剤を配合することができる。熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、フェノチアジン等を挙げることができ、可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、リン酸トリクレジル等を挙げることができ、充填材としては、ガラスファイバー、シリカ、マイカ、アルミナ等を挙げることができ、消泡剤やレベリング剤としては、シリコーン系、フッ素系、アクリル系の化合物を挙げることができる。また、界面活性剤としてはフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を挙げることができ、カップリング剤としては3−(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤を挙げることができる。
黒色感光性樹脂組成物中の(A)〜(D)の各成分の構成割合については、組成物の固形分(光硬化反応により固形分となるモノマー成分を含む)中において、(A)が20〜40質量%、(B)が5〜20質量%、(C)が(A)と(B)の合計量の100質量部に対して2〜30質量部であり、(D)が40〜60質量%である。そして、(A)のアルカリ可溶性樹脂において、(A−1)ビスフェノールA骨格を有するアルカリ可溶性樹脂が50〜90質量%であり、(A−2)ビスフェノールフルオレン骨格を有するアルカリ可溶性樹脂が10〜50質量%である。(A−1)が50質量%未満であると、塗膜の耐光密着性が十分に確保できず、一方、(A−2)が10%未満になると、パターン形成能が十分に得られず、特に10μm以下のパターン形成が良好にできなくなる。(E)を併用する場合は、(E)が組成物の固形分中0.5〜10質量%であることが好ましい。
本発明のタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物は、上記(A)〜(D)または(A)〜(E)成分を主成分として含有する。感光性樹脂組成物においては、溶剤を除いた固形分(光硬化後に固形分となるモノマー成分を含む)中に、主成分が合計で70質量%以上、好ましくは80質量%、より好ましくは90質量%以上含むことがよい。溶剤の量は、目標とする粘度によって変化するが、感光性樹脂組成物中60〜90質量%の範囲が好ましい。
本発明のタッチパネル用黒色膜は、本発明のタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により形成される。その製造工程としては、先ず、感光性樹脂組成物を基板表面に塗布し、次いで溶媒を乾燥させた(プリベーク)後、このようにして得られた被膜の上にフォトマスクをあて、紫外線を照射して露光部を硬化させ、更にアルカリ水溶液を用いて未露光部を溶出させる現像を行ってパターンを形成し、更に後乾燥としてポストベークを行う方法が挙げられる。ここで、感光性樹脂組成物を塗布する基板としては、ガラス、透明フィルム(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフォン等)等が用いられる。
感光性樹脂組成物を基板に塗布する方法としては、公知の溶液浸漬法、スプレー法の他、ローラーコーター機、ランドコーター機、スリットコーター機やスピナー機を用いる方法等の何れの方法を採用することができる。これらの方法によって、所望の厚さに塗布した後、溶剤を除去する(プリベーク)ことにより、被膜が形成される。プリベークはオーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。プリベークにおける加熱温度及び加熱時間は使用する溶剤に応じて適宜選択され、例えば60〜110℃の温度で1〜3分間行われる。
プリベーク後に行われる露光は、露光機によって行なわれ、フォトマスクを介して露光することによりパターンに対応した部分の感光性樹脂組成物のみを感光させる。露光機及びその露光照射条件は適宜選択され、超高圧水銀灯、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、遠紫外線灯等の光源を用いて露光を行い、被膜中の感光性樹脂組成物を光硬化させる。
露光後のアルカリ現像は、露光されない部分の感光性樹脂組成物を除去する目的で行われ、この現像によって所望のパターンが形成される。このアルカリ現像に適した現像液としては、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩の水溶液、アルカリ金属の水酸化物の水溶液等を挙げることができるが、特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩を0.03〜1重量%含有する弱アルカリ性水溶液を用いて23〜27℃の温度で現像するのがよく、市販の現像機や超音波洗浄機等を用いて微細なパターンを精密に形成することができる。
このようにして現像した後、200〜240℃の温度、20〜60分の条件で熱処理(ポストベーク)が行われる。このポストベークは、パターニングされた黒色膜と基板との密着性を高めるため等の目的で行われる。これはプリベークと同様に、オーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。本発明の硬化物は、以上のフォトリソグラフィー法による各工程を経て形成される。
本発明のタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物は、フォトリソグラフィーによるパターン形成が可能であって、現像特性に優れるため、これを用いて形成した硬化物は、耐高温高湿性に優れ、かつ、長時間光暴露後にも基板密着性が低下しないというように、良好なパターン形成と耐高温高湿性および耐光性とを両立することが可能である。また、当該黒色感光性樹脂組成物で形成した硬化物は耐高温高湿性および耐光性に優れるため、耐高温高湿性および耐光性に優れたタッチパネルとすることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、一般式(II)で表される重合性不飽和基含有アルカリ可溶性(メタ)アクリレ
ート樹脂の合成例等に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの合成例等によりその範囲を限定されるものではない。また、以下の合成例における樹脂の評価は、断りのない限り以下の通りに行った。
ート樹脂の合成例等に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの合成例等によりその範囲を限定されるものではない。また、以下の合成例における樹脂の評価は、断りのない限り以下の通りに行った。
[固形分濃度]
合成例中で得られた樹脂溶液1gをガラスフィルター〔重量:W0(g)〕に含浸させて秤量し〔W1(g)〕、160℃にて2hr加熱した後の重量〔W2(g)〕から次式より求めた。
固形分濃度(重量%)=100×(W2−W0)/(W1−W0)
合成例中で得られた樹脂溶液1gをガラスフィルター〔重量:W0(g)〕に含浸させて秤量し〔W1(g)〕、160℃にて2hr加熱した後の重量〔W2(g)〕から次式より求めた。
固形分濃度(重量%)=100×(W2−W0)/(W1−W0)
[エポキシ当量]
樹脂溶液をジオキサンに溶解させた後に臭化テトラエチルアンモニウムの酢酸溶液を加え、電位差滴定装置〔平沼製作所(株)製 商品名COM-1600〕を用いて1/10N−過塩素酸溶液で滴定して求めた。
樹脂溶液をジオキサンに溶解させた後に臭化テトラエチルアンモニウムの酢酸溶液を加え、電位差滴定装置〔平沼製作所(株)製 商品名COM-1600〕を用いて1/10N−過塩素酸溶液で滴定して求めた。
[酸価]
樹脂溶液をジオキサンに溶解させ、電位差滴定装置〔平沼製作所(株)製 商品名COM-1600〕を用いて1/10N−KOH水溶液で滴定して求めた。
樹脂溶液をジオキサンに溶解させ、電位差滴定装置〔平沼製作所(株)製 商品名COM-1600〕を用いて1/10N−KOH水溶液で滴定して求めた。
[分子量]
ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)[東ソー(株)製商品名HLC-8220GPC、溶媒:テトラヒドロフラン、カラム:TSKgelSuperH-2000(2本)+TSKgelSuperH-3000(1本)+TSKgelSuperH-4000(1本)+TSKgelSuper-H5000(1本)〔東ソー(株)製〕、温度:40℃、速度:0.6ml/min]にて測定し、標準ポリスチレン〔東ソー(株)製PS−オリゴマーキット〕換算値として重量平均分子量(Mw)を求めた。
ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)[東ソー(株)製商品名HLC-8220GPC、溶媒:テトラヒドロフラン、カラム:TSKgelSuperH-2000(2本)+TSKgelSuperH-3000(1本)+TSKgelSuperH-4000(1本)+TSKgelSuper-H5000(1本)〔東ソー(株)製〕、温度:40℃、速度:0.6ml/min]にて測定し、標準ポリスチレン〔東ソー(株)製PS−オリゴマーキット〕換算値として重量平均分子量(Mw)を求めた。
また、合成例及び比較合成例で使用する略号は次のとおりである。
YD-7011:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量480、新日鉄住金化学製
YD-907:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量1600、新日鉄住金化学製
BPFE:9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンとクロロメチルオキシランとの反応物
BPDA:3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:3,3',4,4'-オキシジフェニルテトラカルボン酸二無水物
CHDA:1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物
THPA:1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物
TPP:トリフェニルホスフィン
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
YD-7011:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量480、新日鉄住金化学製
YD-907:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量1600、新日鉄住金化学製
BPFE:9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンとクロロメチルオキシランとの反応物
BPDA:3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA:3,3',4,4'-オキシジフェニルテトラカルボン酸二無水物
CHDA:1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物
THPA:1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物
TPP:トリフェニルホスフィン
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
[合成例1]
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中に、YD-7011 96.08g(0.10mol)、アクリル酸14.41g(0.20mol)、TPP 0.26g、及びPGMEA 110gを仕込み、100〜105℃の加熱下で12hr撹拌し、反応生成物を得た。
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中に、YD-7011 96.08g(0.10mol)、アクリル酸14.41g(0.20mol)、TPP 0.26g、及びPGMEA 110gを仕込み、100〜105℃の加熱下で12hr撹拌し、反応生成物を得た。
次いで、得られた反応生成物に、BPDA 10.30g(0.035mol)及びTHPA 12.17g(0.080mol)を仕込み、120〜125℃の加熱下で6hr撹拌し、樹脂溶液(A)-1を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は55.1wt%であり、酸価(固形分換算)は69mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは9000であった。
[合成例2]
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中に、YD-7011 96.08g(0.10mol)、アクリル酸14.41g(0.20mol)、TPP 0.26g、及びPGMEA 110gを仕込み、100〜105℃の加熱下で12hr撹拌し、反応生成物を得た。
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中に、YD-7011 96.08g(0.10mol)、アクリル酸14.41g(0.20mol)、TPP 0.26g、及びPGMEA 110gを仕込み、100〜105℃の加熱下で12hr撹拌し、反応生成物を得た。
次いで、得られた反応生成物にBPDA 14.71g(0.050mol)及びTHPA 7.61g(0.050mol)を仕込み、120〜125℃の加熱下で6hr撹拌し、樹脂溶液(A)-2を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は55.3wt%であり、酸価(固形分換算)は70mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは12300であった。
[合成例3]
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中に、YD-7011 96.08g(0.10mol)、アクリル酸14.41g(0.20mol)、TPP 0.26g、及びPGMEA 110gを仕込み、100〜105℃の加熱下で12hr撹拌し、反応生成物を得た。
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中に、YD-7011 96.08g(0.10mol)、アクリル酸14.41g(0.20mol)、TPP 0.26g、及びPGMEA 110gを仕込み、100〜105℃の加熱下で12hr撹拌し、反応生成物を得た。
次いで、得られた反応生成物にODPA 10.86g(0.035mol)及びTHPA 12.17g(0.080mol)を仕込み、120〜125℃の加熱下で6hr撹拌し、樹脂溶液(A)-3を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は55.3wt%であり、酸価(固形分換算)は68mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは10250であった。
[合成例4]
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中に、YD-7011 96.08g(0.10mol)、アクリル酸14.41g(0.20mol)、TPP 0.26g、及びPGMEA 110gを仕込み、100〜105℃の加熱下で12hr撹拌し、反応生成物を得た。
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中に、YD-7011 96.08g(0.10mol)、アクリル酸14.41g(0.20mol)、TPP 0.26g、及びPGMEA 110gを仕込み、100〜105℃の加熱下で12hr撹拌し、反応生成物を得た。
次いで、得られた反応生成物にCHDA 7.85g(0.035mol)及びTHP A12.17g(0.080mol)を仕込み、120〜125℃の加熱下で6hr撹拌し、樹脂溶液(A)-4を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は55.2wt%であり、酸価(固形分換算)は70mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは12230であった。
[合成例5]
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中に、BPFE 78.63g(0.17mol)、アクリル酸24.50g(0.34mol)、TPP 0.45g、及びPGMEA 114gを仕込み、100〜105℃の加熱下で12hr撹拌し、反応生成物を得た。
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中に、BPFE 78.63g(0.17mol)、アクリル酸24.50g(0.34mol)、TPP 0.45g、及びPGMEA 114gを仕込み、100〜105℃の加熱下で12hr撹拌し、反応生成物を得た。
次いで、得られた反応生成物にBPDA 25.01g(0.085mol)及びTHPA 12.93g(0.085mol)を仕込み、120〜125℃の加熱下で6hr撹拌し、樹脂溶液(A)-5を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は55.8wt%であり、酸価(固形分換算)は103mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは2600であった。
[比較合成例1]
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中にYD-907 159.7g(0.05mol)、アクリル酸7.21g(0.10mol)、TPP0.13g、及びPGMEA 145gを仕込み、100〜105℃の加熱下で12hr撹拌し、反応生成物を得た。
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中にYD-907 159.7g(0.05mol)、アクリル酸7.21g(0.10mol)、TPP0.13g、及びPGMEA 145gを仕込み、100〜105℃の加熱下で12hr撹拌し、反応生成物を得た。
次いで、得られた反応生成物にBPDA8.83g(0.030mol)及びTHPA0.38g(0.0025mol)を仕込み、120〜125℃の加熱下で6hr撹拌し、樹脂溶液(A)-6を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は55.5wt%であり、酸価(固形分換算)は25mgKOH/gであり、GPC分析によるMwは98630であった。
(実施例1〜7、比較例1〜6)
次に、感光性樹脂組成物及びその硬化物の製造に係る実施例及び比較例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。ここで、以降の実施例及び比較例の感光性樹脂組成物及びその硬化物の製造で用いた原料及び略号は以下の通りである。
次に、感光性樹脂組成物及びその硬化物の製造に係る実施例及び比較例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。ここで、以降の実施例及び比較例の感光性樹脂組成物及びその硬化物の製造で用いた原料及び略号は以下の通りである。
(A)−1成分:上記合成例1で得られたアルカリ可溶性樹脂溶液
(A)−2成分:上記合成例2で得られたアルカリ可溶性樹脂溶液
(A)−3成分:上記合成例3で得られたアルカリ可溶性樹脂溶液
(A)−4成分:上記合成例4で得られたアルカリ可溶性樹脂溶液
(A)−5成分:上記合成例5で得られたアルカリ可溶性樹脂溶液
(A)−6成分:上記比較合成例1で得られたアルカリ可溶性樹脂溶液
(B)−1成分:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(B)−2成分:ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジアクリレート
(B)−3成分:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
(C)成分:オキシムエステル系光重合開始剤(BASF製商品名「イルガキュアOXE02」)
(D)成分:カーボンブラック濃度20.0質量%、高分子分散剤濃度5.0質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート分散液(固形分30.0%)
(E)−1成分:9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンとクロロメチルオキシランとの反応で得られたエポキシ樹脂
(E)−2成分:フェノールノボラック型エポキシ樹脂
溶剤-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤-2:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
添加剤−1:シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
添加剤−2:メガファックF475〔大日本インキ化学工業(株)製商品名〕
(A)−2成分:上記合成例2で得られたアルカリ可溶性樹脂溶液
(A)−3成分:上記合成例3で得られたアルカリ可溶性樹脂溶液
(A)−4成分:上記合成例4で得られたアルカリ可溶性樹脂溶液
(A)−5成分:上記合成例5で得られたアルカリ可溶性樹脂溶液
(A)−6成分:上記比較合成例1で得られたアルカリ可溶性樹脂溶液
(B)−1成分:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(B)−2成分:ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジアクリレート
(B)−3成分:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
(C)成分:オキシムエステル系光重合開始剤(BASF製商品名「イルガキュアOXE02」)
(D)成分:カーボンブラック濃度20.0質量%、高分子分散剤濃度5.0質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート分散液(固形分30.0%)
(E)−1成分:9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンとクロロメチルオキシランとの反応で得られたエポキシ樹脂
(E)−2成分:フェノールノボラック型エポキシ樹脂
溶剤-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
溶剤-2:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
添加剤−1:シランカップリング剤(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
添加剤−2:メガファックF475〔大日本インキ化学工業(株)製商品名〕
上記の配合成分を表1に示す割合で配合して、実施例1〜7及び比較例1〜6の感光性樹脂組成物を調製した。尚、表1中の数値はすべて質量部を表す。
[硬化物の作成]
予め低圧水銀灯で波長254nmの照度1000 mJ/cm2の紫外線を照射して表面を洗浄した、125mm×125mmの化学強化ガラス基板(コーニング社製商品名Gorilla)(以降、UV洗浄ガラス基板という。)上に、表1に示した感光性樹脂組成物を第2段のベーキング後の膜厚が1.5μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレート乾燥機を用いて90℃で2分間第1段目のベーキングをして塗布板を作成した。次いで、この塗布板に、波長365nmの照度が25mW/cm2の高圧水銀ランプで100mJ/cm2の紫外線を照射して光硬化反応を行った。その後、熱風乾燥機を用いて230℃、30分間第2段目のベーキングを行って、実施例1〜7、及び比較例1〜6に係る感光性樹脂組成物を用いた硬化物(塗膜)を得た。
予め低圧水銀灯で波長254nmの照度1000 mJ/cm2の紫外線を照射して表面を洗浄した、125mm×125mmの化学強化ガラス基板(コーニング社製商品名Gorilla)(以降、UV洗浄ガラス基板という。)上に、表1に示した感光性樹脂組成物を第2段のベーキング後の膜厚が1.5μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレート乾燥機を用いて90℃で2分間第1段目のベーキングをして塗布板を作成した。次いで、この塗布板に、波長365nmの照度が25mW/cm2の高圧水銀ランプで100mJ/cm2の紫外線を照射して光硬化反応を行った。その後、熱風乾燥機を用いて230℃、30分間第2段目のベーキングを行って、実施例1〜7、及び比較例1〜6に係る感光性樹脂組成物を用いた硬化物(塗膜)を得た。
上記で得られた実施例1〜7、及び比較例1〜6の感光性樹脂組成物からなる硬化物(塗膜)について、以下の項目について評価した結果を表2に示す。これらの評価方法は以下の通りに行った。
膜厚:
触針式段差形状測定装置(ケーエルエー・テンコール(株)製 商品名P-10)を用いて測定した。
触針式段差形状測定装置(ケーエルエー・テンコール(株)製 商品名P-10)を用いて測定した。
耐高温高湿密着性:
UV洗浄ガラス基板上に作成した硬化物を、温度121℃、湿度100%、気圧2atmの条件下で5時間放置した。更に、放置した硬化物に対して、太佑機材株式会社製商品名「Super Cutter Guide」を使用して1mm×1mmの正方形のマス目が100個形成されるように切込みを入れ、マス目の上にセロハンテープ(ニチバン製)を貼ってから剥がすテープ剥離試験を行なった。マス目の中の硬化物が全く剥離していない場合は○、マス目の中の硬化物の1/3未満が剥離している場合は△、1/3以上が剥離している場合は×とした。
UV洗浄ガラス基板上に作成した硬化物を、温度121℃、湿度100%、気圧2atmの条件下で5時間放置した。更に、放置した硬化物に対して、太佑機材株式会社製商品名「Super Cutter Guide」を使用して1mm×1mmの正方形のマス目が100個形成されるように切込みを入れ、マス目の上にセロハンテープ(ニチバン製)を貼ってから剥がすテープ剥離試験を行なった。マス目の中の硬化物が全く剥離していない場合は○、マス目の中の硬化物の1/3未満が剥離している場合は△、1/3以上が剥離している場合は×とした。
耐光密着性:
UV洗浄ガラス基板上に作成した硬化物を、ガラス面側からキセノン(Xe)ランプ(照射面照度250W/m2)を照射し、温度60℃、湿度50%の条件下で200hr放置した。その後、この硬化物に対して、太佑機材株式会社製商品名「Super Cutter Guide」を使用して1mm×1mmの正方形のマス目が100個形成されるように切込みを入れ、マス目の上にセロハンテープ(ニチバン製)を貼ってから剥がすテープ剥離試験を行なった。マス目の中の硬化物が全く剥離していない場合は○、マス目の中の硬化物の1/3未満が剥離している場合は△、1/3以上が剥離している場合は×とした。
UV洗浄ガラス基板上に作成した硬化物を、ガラス面側からキセノン(Xe)ランプ(照射面照度250W/m2)を照射し、温度60℃、湿度50%の条件下で200hr放置した。その後、この硬化物に対して、太佑機材株式会社製商品名「Super Cutter Guide」を使用して1mm×1mmの正方形のマス目が100個形成されるように切込みを入れ、マス目の上にセロハンテープ(ニチバン製)を貼ってから剥がすテープ剥離試験を行なった。マス目の中の硬化物が全く剥離していない場合は○、マス目の中の硬化物の1/3未満が剥離している場合は△、1/3以上が剥離している場合は×とした。
アルカリ現像性(パターン形成、及び残渣):
表1に示した感光性樹脂組成物を、スピンコーターを用いて125mm×125mmのUV洗浄ガラス基板上に第2段のベーキング後の膜厚が1.5μmとなるように塗布し、ホットプレート乾燥機を用いて90℃で2分間第1段のベーキングをして塗布板を作成した。次いで、塗膜上に石英ガラスからなるライン&スペース=6μm/50μmのパターン形成用露光マスクをGAPが150μmとなるように設置し、波長365nmの照度が25mW/cm2の高圧水銀ランプで100mJ/cm2の紫外線を照射し感光部分の光硬化反応を行った。次に、この露光済み塗板を23℃の0.04wt%水酸化カリウム水溶液または0.2wt%炭酸ナトリウム水溶液中、ディップ現像にて1分間現像を行い、さらに水洗を行い、塗膜の未露光部を除去した。その後、熱風乾燥機を用いて230℃、30分間第2段のベーキングを行って、実施例1〜7、及び比較例1〜6に係る感光性樹脂組成物を用いた硬化物を得た。
アルカリ現像性(パターン形成)は、6μmラインパターンが形成されている場合を○、6μmラインパターンが部分的に剥離している場合を△、6μmラインパターンがガラス基板上に残っていない場合あるいは未露光部が現像されずに6μmラインパターンの識別が不能な場合は×とした。
アルカリ現像性(残渣)は、6μmラインパターンが得られた場合にのみ評価し、未露光部の塗膜が全て除去されている場合は○、パターンの端面から2μm未満の範囲に塗膜残渣が残っている場合は△、パターンの端面から2μm以上の範囲に塗膜残渣が残っている場合は×とした。
表1に示した感光性樹脂組成物を、スピンコーターを用いて125mm×125mmのUV洗浄ガラス基板上に第2段のベーキング後の膜厚が1.5μmとなるように塗布し、ホットプレート乾燥機を用いて90℃で2分間第1段のベーキングをして塗布板を作成した。次いで、塗膜上に石英ガラスからなるライン&スペース=6μm/50μmのパターン形成用露光マスクをGAPが150μmとなるように設置し、波長365nmの照度が25mW/cm2の高圧水銀ランプで100mJ/cm2の紫外線を照射し感光部分の光硬化反応を行った。次に、この露光済み塗板を23℃の0.04wt%水酸化カリウム水溶液または0.2wt%炭酸ナトリウム水溶液中、ディップ現像にて1分間現像を行い、さらに水洗を行い、塗膜の未露光部を除去した。その後、熱風乾燥機を用いて230℃、30分間第2段のベーキングを行って、実施例1〜7、及び比較例1〜6に係る感光性樹脂組成物を用いた硬化物を得た。
アルカリ現像性(パターン形成)は、6μmラインパターンが形成されている場合を○、6μmラインパターンが部分的に剥離している場合を△、6μmラインパターンがガラス基板上に残っていない場合あるいは未露光部が現像されずに6μmラインパターンの識別が不能な場合は×とした。
アルカリ現像性(残渣)は、6μmラインパターンが得られた場合にのみ評価し、未露光部の塗膜が全て除去されている場合は○、パターンの端面から2μm未満の範囲に塗膜残渣が残っている場合は△、パターンの端面から2μm以上の範囲に塗膜残渣が残っている場合は×とした。
上記表2の結果から明らかなように、実施例1〜7に係る感光性樹脂組成物を用いた硬化物は、化学強化ガラス表面において高い密着性を示しており、特に、比較例1及び2と比較して優れた耐光密着性を有している。また、実施例1〜7に係る感光性樹脂組成物は、比較例3〜6と比較して優れた細線パターン形成能及び残渣抑制能を有している。
本発明の黒色感光性組成物は、フォトリソグラフィーでパターン形成できることから、既存のフォトリソグラフィー工程でタッチパネル用黒色膜パターンを形成でき、耐光密着性に優れるタッチパネル用黒色膜を得ることができる。特に、タッチパネル・カバーガラス一体型技術(OGS:one glass solution)向けタッチパネル遮光膜として好適である。
Claims (4)
- (A)ビスフェノール類から誘導される2個のグリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物と不飽和基含有モノカルボン酸との反応物に対して、(a)ジカルボン酸若しくはトリカルボン酸又はその酸無水物、及び(b)テトラカルボン酸又はその酸二無水物を反応させて得られたアルカリ可溶性樹脂、(B)少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合性モノマー、(C)光重合開始剤、及び(D)遮光材を含有するタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物であり、
固形分中(A)が20〜40質量%、(B)が5〜20質量%、(C)が(A)と(B)の合計量100質量部に対して2〜30質量部であり、さらに固形分中(D)が40〜60質量%であり、また、上記アルカリ可溶性樹脂(A)は、(A−1)ビスフェノールA骨格を有するアルカリ可溶性樹脂を50〜90質量%含有すると共に、(A−2)ビスフェノールフルオレン骨格を有するアルカリ可溶性樹脂を10〜50質量%含有し、(A−1)ビスフェノールA骨格を有するアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量Mwが2000〜50000の範囲であることを特徴とするタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物。 - 請求項1に記載のタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物には、さらに、(E)2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物又はエポキシ樹脂が、組成物の固形分中0.5〜10質量%含有されることを特徴とするタッチパネル用黒色感光性樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の黒色感光性樹脂組成物をフォトリソグラフィー法によりパターニングした後、引き続き熱硬化させることにより得られる硬化物。
- 請求項3に記載の硬化物を有するタッチパネル。
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-
2013
- 2013-12-27 JP JP2013272575A patent/JP2015127730A/ja active Pending
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