WO2024005195A1 - 硬化性樹脂組成物、当該組成物を硬化させた絶縁性硬化膜及びタッチパネル用絶縁性硬化膜、並びに、タッチパネル - Google Patents

硬化性樹脂組成物、当該組成物を硬化させた絶縁性硬化膜及びタッチパネル用絶縁性硬化膜、並びに、タッチパネル Download PDF

Info

Publication number
WO2024005195A1
WO2024005195A1 PCT/JP2023/024423 JP2023024423W WO2024005195A1 WO 2024005195 A1 WO2024005195 A1 WO 2024005195A1 JP 2023024423 W JP2023024423 W JP 2023024423W WO 2024005195 A1 WO2024005195 A1 WO 2024005195A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
group
alkali
resin composition
soluble resin
curable resin
Prior art date
Application number
PCT/JP2023/024423
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
裕貴 大浦
朱里 伊藤
Original Assignee
大阪有機化学工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 大阪有機化学工業株式会社 filed Critical 大阪有機化学工業株式会社
Publication of WO2024005195A1 publication Critical patent/WO2024005195A1/ja

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F290/00Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers modified by introduction of aliphatic unsaturated end or side groups
    • C08F290/08Macromolecular compounds obtained by polymerising monomers on to polymers modified by introduction of aliphatic unsaturated end or side groups on to polymers modified by introduction of unsaturated side groups
    • C08F290/12Polymers provided for in subclasses C08C or C08F
    • GPHYSICS
    • G06COMPUTING; CALCULATING OR COUNTING
    • G06FELECTRIC DIGITAL DATA PROCESSING
    • G06F3/00Input arrangements for transferring data to be processed into a form capable of being handled by the computer; Output arrangements for transferring data from processing unit to output unit, e.g. interface arrangements
    • G06F3/01Input arrangements or combined input and output arrangements for interaction between user and computer
    • G06F3/03Arrangements for converting the position or the displacement of a member into a coded form
    • G06F3/041Digitisers, e.g. for touch screens or touch pads, characterised by the transducing means
    • G06F3/044Digitisers, e.g. for touch screens or touch pads, characterised by the transducing means by capacitive means

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Human Computer Interaction (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

酸価が55~100mgKOH/gの熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)と、 光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)と、 2つの重合性官能基、及び、前記2つの重合性官能基の間に含まれる環構造を有する(メタ)アクリル系モノマー(B)と、 光重合開始剤(C)と、を含み、 前記熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)及び光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)の総量〔A〕と前記(メタ)アクリル系モノマー(B)の総量〔B〕との質量比〔A:B〕が100:35~80である、 硬化性樹脂組成物。

Description

硬化性樹脂組成物、当該組成物を硬化させた絶縁性硬化膜及びタッチパネル用絶縁性硬化膜、並びに、タッチパネル
 本発明は、硬化性樹脂組成物、並びに、当該組成物を硬化させた絶縁性硬化膜に関し、例えば、タッチパネルなどに用いられる絶縁性硬化膜用途(例えば、絶縁膜用途、保護膜用途、平坦膜用途など)に有用な硬化性樹脂組成物、並びに、当該組成物を硬化させたタッチパネル用絶縁性硬化膜及び当該硬化膜を備えたタッチパネルに関する。
 近年、電子機器の高機能化や多様化や小型軽量化が進むに伴い、液晶等の表示素子の前面に透明タッチパネルを装着し、この透明タッチパネルを通して表示素子に表示された文字や記号、絵柄などの視認、選択をおこない、透明タッチパネルの操作によって機器の各機能の切り替えをおこなうものが増えている。
 タッチパネルの検出方式には、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、光学方式などがあり、近年では、抵抗膜方式及び静電容量方式が普及している。例えば、抵抗膜方式は、上部電極フィルムと下部電極ガラスとの2面構成からなり上部電極フィルムの上からペン先などで圧力をかけることで、スイッチが押され反応する方式である。また、静電容量方式は、表面の保護ガラスとセンサーガラスとからなり、表面のガラスに指が触れることで静電結合が起こり、奥のガラスとの静電容量に差が生じ、その差から触れた箇所を割りだす方式である。
 静電容量式タッチパネルは、例えば、ITO膜付きガラスを基板に用い、接触した位置の誤認識を防ぐため、積層構造中に絶縁膜や保護膜を設けている。このような保護膜としては、高硬度な無機系のSiO2、SiNxや透明樹脂等で形成された保護膜や、有機系の保護膜が用いられている。また、タッチパネルは液晶表示装置と組み合わされる際、その設置部位に応じて、アウトセル構造、オンセル構造、インセル構造に区別することができる。近年では視認性に優れるオンセル構造やインセル構造が主流になりつつある。これらオンセル構造及びインセル構造では、タッチパネルが液晶パネル内に組み込まれている。さらに、タッチパネルの構造としては、絶縁膜の一面にX電極が、他面にY電極が配置された2面型と、同一平面上にX電極及びY電極が形成されている1面型とが知られている。
 このようなタッチパネルに適用可能な技術としては、例えば、特定のアルカリ可溶性樹脂と光反応性単量体とを用い、耐薬品性、現像性、及び、耐しわ性に優れる硬化膜に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開WO2020/251004号
 上述のように、タッチパネルや液晶表示装置等に用いられている絶縁膜を形成するために硬化性樹脂組成物が多く用いられている。このような絶縁膜には、パターニングが施されることがあり、特には、電極間を導通する等の目的で微細な貫通孔(いわゆるスルーホール)が形成されることがある。
 微細なパターンを形成するためにはポジ型の硬化性樹脂組成物を用いることが有利とされている。しかし、ポジ型の硬化性樹脂組成物を用いた場合、硬化物に着色が生じるなどの問題がある。
 一方、硬化物の着色を回避すべくネガ型の硬化性樹脂組成物を用いることも考えられる。しかし、従来のネガ型の硬化性組成物は、微細なパターン、特には微細なスルーホールを適切な形状で形成するのが難しい。そこで、ネガ型の硬化性樹脂組成物でありながら、微細なパターンを形成できる技術、特には微細かつ良好な形状のスルーホールを形成できる技術(スルーホール加工性に優れる技術)の開発が強く望まれていた。
 本発明は、上述の課題を解決すべく、微細なパターンを形成可能であり、特にはスルーホール加工性に優れる硬化性樹脂組成物、当該組成物を硬化させた絶縁性硬化膜及びタッチパネル用絶縁性硬化膜、並びに、当該硬化膜を備えたタッチパネルを提供することを目的とする。
 本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、特定の構造を有する共重合体と特定の構造を有するモノマーとを特定の比率で含む組成物を用いることで、上述の課題を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
<1>
 酸価が55~100mgKOH/gの熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)と、
 光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)と、
 2つの重合性官能基、及び、前記2つの重合性官能基の間に含まれる環構造を有する(メタ)アクリル系モノマー(B)と、
 光重合開始剤(C)と、を含み、
 前記熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)及び光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)の総量〔A〕と前記(メタ)アクリル系モノマー(B)の総量〔B〕との質量比〔A:B〕が100:35~80である、
 硬化性樹脂組成物。
<2>
 前記熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)が、酸基、及び、環状エーテル基を有する、前記<1>に記載の硬化性樹脂組成物。
<3>
 前記熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)が、少なくとも、下記単位(a1-1)及び(a1-2)を含む、前記<1>又は<2>に記載の硬化性樹脂組成物。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
 
(単位(a1-1)中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;X1は、単結合、又は、酸素原子を含んでいてもよい炭素数1~15の直鎖若しくは環状の脂肪族炭化水素基を示す。単位(a1-2)中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;R3は、環状エーテル構造を有し、且つ、酸素原子を含んでいてよい炭素数3~15の直鎖若しくは分岐鎖脂肪族炭化水素基を示す。)
<4>
 前記熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)が、さらに、下記単位(a1-3)を含む、前記<3>に記載の硬化性樹脂組成物。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
 
(式中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;R4は、酸素原子を含んでいてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、芳香族基、及び、これらの組み合わせから選ばれる少なくとも1種を示す。)
<5>
 前記光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)の酸価が70mgKOH/g以下である、前記<1>~前記<4>のいずれか一つに記載の硬化性樹脂組成物。
<6>
 前記光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)が、少なくとも、下記単位(a2-1)及び(a2-2)を含む、前記<1>~前記<5>のいずれか一つに記載の硬化性樹脂組成物。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
 
 
(単位(a2-1)中、R1は、それぞれ独立して、水素原子、又は、メチル基を示し;R5は、ヘテロ原子を含んでいてよい、鎖状、分岐、又は環状の、炭素数2~15の脂肪族炭化水素基を示す。単位(a2-2)中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;X1は、単結合、又は、酸素原子を含んでいてもよい炭素数1~15の直鎖若しくは環状の脂肪族炭化水素基を示す。)
<7>
 前記光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)が、さらに、下記単位(a2-3)を含む、前記<6>に記載の硬化性樹脂組成物。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
 
(式中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;R4は、酸素原子を含んでいてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、芳香族基、これらの組み合わせから選ばれる少なくとも1種を示す。)
<8>
 前記光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)の重量平均分子量が20,000以下である、前記<1>~前記<7>のいずれか一つに記載の硬化性樹脂組成物。
<9>
 前記熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)及び前記光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)の少なくとも一方が、環状の基を有する、前記<1>~前記<8>のいずれか一つに記載の硬化性樹脂組成物。
<10>
 前記(メタ)アクリル系モノマー(B)における前記環構造が、酸素原子を含んでいてよい炭素数6~26の脂肪族炭化水素基、酸素原子を含んでいてよい炭素数6~26の芳香族炭化水素、及び、これらの組み合わせ、を含む群から選択されるいずれか一つである、前記<1>~前記<9>のいずれか一つに記載の硬化性樹脂組成物。
<11>
 前記(メタ)アクリル系モノマー(B)における前記2つの重合性官能基がアクリル基を含む、前記<1>~前記<10>のいずれか一つに記載の硬化性樹脂組成物。
<12>
 前記(メタ)アクリル系モノマー(B)が下記式(b1)で示される化合物である、前記<1>~前記<11>のいずれか一つに記載の硬化性樹脂組成物。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
 
 (式中、R11及びR12は、各々独立して、水素原子、又は、メチル基を示し;Y1及びY2は、各々独立して、単結合、又は、酸素原子を含んでいてもよい、直鎖若しくは分岐鎖の、炭素数1~26の脂肪族炭化水素基を示し;X11は、環状骨格を有する炭素数6~26の脂肪族炭化水素基又は芳香族基を示し;W1及びW2は、各々独立して、O,N又はSを示す。)
<13>
 絶縁膜形成用途に用いられる前記<1>~前記<12>のいずれか一つに記載の硬化性樹脂組成物。
<14>
 前記<1>~前記<12>のいずれか一つに記載の硬化性樹脂組成物を硬化させた絶縁性硬化膜。
<15>
 前記<1>~前記<12>のいずれか一つに記載の硬化性樹脂組成物を硬化させたタッチパネル用絶縁性硬化膜。
<16>
 前記<15>に記載のタッチパネル用絶縁性硬化膜を備えたタッチパネル。
 本発明によれば、微細なパターンを形成可能であり、特にはスルーホール加工性に優れる硬化性樹脂組成物、当該組成物を硬化させた絶縁性硬化膜及びタッチパネル用絶縁性硬化膜、並びに、当該硬化膜を備えたタッチパネルを提供することができる。
本実施形態のタッチパネルの一態様の構成を示す平面図である。 図1におけるAA断面図である。 スルーホールの断面形状を示す模式図である。
 以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
《硬化性樹脂組成物》
 本実施形態の硬化性樹脂組成物は、酸価が55~100mgKOH/gの熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)と、光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)と、2つの重合性官能基、及び、前記2つの重合性官能基の間に含まれる環構造を有する(メタ)アクリル系モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、を含み、前記熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)及び光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)の総量〔A〕と前記(メタ)アクリル系モノマー(B)の総量〔B〕との質量比〔A:B〕が100:35~80である。
 本実施形態の硬化性樹脂組成物は微細なパターンを形成可能であり、特にはスルーホールの加工性に優れており、ネガ型の組成物でありながら、所望のサイズで、ホール側面まで十分に開口され且つホール断面形状が露光方向から逆台形状のスルーホールを形成することができる。本実施形態の硬化性樹脂組成物において微細なパターンを形成可能であり、特にはスルーホール加工性が優れる理由については定かではないが、まず、本実施形態の硬化性樹脂組成物は熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)及び光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)と(メタ)アクリル系モノマーとを特定の割合で含むため、スルーホールを作製する際における、非潜像部(非露光部)の現像性に優れると共に、潜像部(露光部)においては現像液に対する耐性が高いことが一因であると推測される。さらに、本実施形態の硬化性樹脂組成物は、熱硬化性アルカリ可溶性樹脂を含むため、現像後のポストベーク時の熱においてスルーホール壁面がだれることなく、ホール断面形状が露光方向から逆台形状に保つことができるものと推測される。
<アルカリ可溶性樹脂(A)>
 本実施形態の硬化性樹脂組成物は、熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)と、光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)とを含む。熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)と、光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)とは異なる化合物である。“アルカリ可溶性樹脂”は、非硬化部が現像液に対して溶解性を示し、硬化部が現像液に対して不溶性又は難溶性を示す。また、硬化物の現像液に対する耐性(以下、単に「現像液に対する耐性」という)の観点から、熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)及び前記光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)の少なくとも一方は、環状の基を有することが好ましい。
 以下、熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)及び光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)を各々“アルカリ可溶性樹脂(A1)”又は“アルカリ可溶性樹脂(A2)”と称することがある。また、アルカリ可溶性樹脂(A1)及び(A2)を総じて“アルカリ可溶性樹脂(A)”と称することがある。本実施形態の硬化性樹脂組成物は、複数のアルカリ可溶性樹脂(A1)及び(A2)を含むことができる。
(熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1))
 アルカリ可溶性樹脂(A1)は、酸価が55~100mgKOH/gの熱硬化性アルカリ可溶性樹脂である。アルカリ可溶性樹脂(A1)は、熱反応性基を有しており70℃以上で硬化が進行する樹脂である。前記熱反応性基としては、特に限定はないが、低温硬化性の点で、例えば、酸基(例えば、カルボキシル基、酸無水物基、スルホン基、リン酸基)、環状エーテル基、ヒドロキシ基、アミノ基、チオール基、イソアネート基、シラノール基等、が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂(A1)は、熱反応性基として酸基及び環状エーテル基(例えば、エポキシ基、オキセタニル基など)を有することが好ましい。熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)の硬化が進行する温度は熱反応性基の種類及び数によって変動するが、低温硬化性と未露光部の現像性(未露光部の現像液への溶解性)との観点から、70℃以上であり、80℃~230℃が好ましく、90℃~150℃がさらに好ましい。
 アルカリ可溶性樹脂(A1)の酸価は、55~100mgKOH/gであり、60~95mgKOH/gがさらに好ましく、70~90mgKOH/gがさらに好ましい。アルカリ可溶性樹脂(A1)の酸価が55~100mgKOH/gの範囲内にあると、現像不良の発生を抑制でき、且つ、現像液(例えば、テトラメチルアンモニウム-ヒドロキシド)に対する耐性が高く、過現像を抑制することができる。また、55mgKOH/g未満であると現像性が低下する恐れがある。アルカリ可溶性樹脂の酸価としては理論固形分酸価値を用いることができ、下記のようにして算出することができる。
 理論固形分酸価値(mgKOH/g)=[56.1(水酸化カリウムの分子量)×(アルカリ可溶性樹脂(A1)における酸基含有単位の全量[g])×1000]/[(アルカリ可溶性樹脂(A1)の固形分の全量[g])×(酸基含有単位の分子量)]
 熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)としては、少なくとも、下記単位(a1-1)及び(a1-2)を含む樹脂を用いることができる。熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)は、下記の同一の構成単位を2種以上(例えば、2種の単位(a1-2)を含むもの)であってもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
 
(単位(a1-1)中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;X1は、単結合、又は、酸素原子を含んでいてもよい炭素数1~15の直鎖若しくは環状の脂肪族炭化水素基を示す。単位(a1-2)中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;R3は、環状エーテル構造を有し、且つ、酸素原子を含んでいてよい炭素数3~15の直鎖若しくは分岐鎖脂肪族炭化水素基を示す。)
-単位(a1-1)-
 単位(a1-1)は不飽和カルボン酸に由来する単位である。
 単位(a1-1)中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し、得られる硬化物の耐熱性(硬化物の形状が熱で変化しにくいことをいう。以下、単に「耐熱性」という)の点からメチル基が好ましい。
 また、X1は、単結合、又は、酸素原子を含んでいてもよい炭素数1~15の直鎖若しくは環状の脂肪族炭化水素基(二価の結合基)を示す。耐熱性の観点から、酸素原子を含んでいてもよい脂肪族炭化水素基の炭素数としては1~9が好ましい。これら脂肪族炭化水素基は、構造中に-O-構造(酸素原子を含む構造:例えば、エーテル基(-O-)、エステル基(-CO-O-)、酸無水物基(-CO-O-CO-))を有していてもよい。直鎖の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~15のアルキレン基、複数のエステル基や酸無水物基(-CO-O-CO-)を含んでいてもよい炭素数3~15の脂肪族炭化水素基等が挙げられる。また、環状の脂肪族炭化水素基としては、炭素数3~15のシクロアルキレン基、複数のエステル基や酸無水物基を含んでいてもよい炭素数3~15のシクロアルキレン基等が挙げられる。また、X1は、直鎖部分と環状部分との両方を含む脂肪族炭化水素基であってもよい。複数のエステル基や酸無水物基を有するX1の例としては、-CO-O-CH2-CH2-O-CO-CH2-CH2-、-CO-O-CH2-CH2-O-CO-シクロへキシル-などが挙げられる。
 単位(a1-1)としては、例えば、メタクリル酸(以下「MAA」と称することがある)、アクリル酸、クロトン酸(trans)、マレイン酸(cis)、フマル酸(trans)、シトラコン酸(cis)、メサコン酸(trans)、イタコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸-2-メタクリロイルオキシエチルなどが挙げられる。単位(a1-1)の好ましい構造としては以下の化合物に由来する単位が例示される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
 
-単位(a1-2)-
 単位(a1-2)は環状エーテル構造を有する不飽和カルボン酸に由来する単位である。
 下記単位(a1-2)中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;R3は、環状エーテル構造を有し、且つ、酸素原子を含んでいてよい炭素数3~15の直鎖若しくは分岐鎖脂肪族炭化水素基を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
 
 単位(a1-2)中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し、耐熱性の点からメチル基が好ましい。
 また、R3は、環状エーテル構造を有し、且つ、酸素原子を含んでいてよい炭素数3~15の直鎖若しくは分岐鎖脂肪族炭化水素基を示す。
 ここで、環状エーテル構造を有する直鎖若しくは分岐鎖脂肪族炭化水素基の炭素数は、現像性の観点から、3~7が好ましい。これら脂肪族炭化水素基は、構造中に-O-構造(酸素原子を含む構造:例えば、エーテル基(-O-)、エステル基(-CO-O-)、酸無水物基(-CO-O-CO-))を有していてもよい。環状エーテル構造を有する直鎖若しくは分岐鎖脂肪族炭化水素基は、アルキレン基(例えば、メチレン基)の末端に環状エーテル構造が結合した基などが挙げられる。単位(a1-2)の好ましい構造としては以下の化合物に由来する単位が例示される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
 
-単位(a1-3)-
 熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)としては、現像液に対する耐性の観点で、上述の単位(a1-1)及び(a1-2)に加えて、下記単位(a1-3)を含む樹脂を用いることができる。単位(a1-3)は、不飽和化合物に由来する単位である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
 
(式中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;R4は、酸素原子を含んでいてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、芳香族基、及び、これらの組み合わせから選ばれる少なくとも1種を示す。)
 単位(a1-3)中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し、耐熱性の点からメチル基が好ましい。
 また、R4は、直鎖、分岐鎖又は環状の炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、芳香族基、或いは前記脂肪族炭化水素と芳香族基との組み合わせである。ここで、前記脂肪族炭化水素基の炭素数は、現像液に対する耐性と、現像性の観点から、1~10が好ましい。これら脂肪族炭化水素基は、構造中に-O-構造(酸素原子を含む構造:例えば、エーテル基(-O-)、エステル基(-CO-O-)、酸無水物基(-CO-O-CO-))を有していてもよい。前記直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~20の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、が挙げられ、現像液に対する耐性の点からメチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基、ノルマルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、アダマンチル基が好ましい。また、前記芳香族基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、硬化物の透明性の点からフェニル基が好ましい。また、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基と芳香族基との組み合わせとしては、アルコキシフェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシナフチル基、アルキルナフチル基、アルコキシアントラセニル基、アルキルアントラセニル基等が挙げられ、硬化物の透明性の点からアルコキシフェニル基、アルキルフェニル基が好ましい。単位(a1-3)の好ましい構造としては以下の化合物に由来する単位が例示される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
 
-構成比-
 アルカリ可溶性樹脂(A)における、単位(a1-1)、単位(a1-2)及び単位(a1-3)の含有率(モル%)は、現像液に対する耐性と、現像性の観点から、(a1-1)/(a1-2)/(a1-3)=10~50/10~70/0~70であることが好ましく、15~40/15~60/15~65がさらに好ましく、15~30/20~50/30~60が特に好ましい。
-他の構成単位-
 アルカリ可溶性樹脂(A1)は、上述の単位(a1-1)~(a1-3)のいずれにも該当しない他の構成単位を含むものであってもよい。他の構成単位としては、例えば、1,3-ビス(メタクリロイルオキシ)-2-プロパノール、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-シクロへキシルスクシンイミド等が挙げられる。
 前記アルカリ可溶性樹脂(A1)における、他の構成単位の含有率(モル%)は、現像液に対する耐性と、現像性の観点から、0~35モル%が好ましく、0~20モル%がさらに好ましい。
(分子量)
 アルカリ可溶性樹脂(A1)の重量平均分子量は、現像性の観点から3,000~30,000であることが好ましく、4,000~25,000がさらに好ましく、5,000~20,000が特に好ましい。アルカリ可溶性樹脂(A)の分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、品番:HLC-8120、カラム:G-5000HXL及びG-3000HXLの2連結、検出器:RI、移動相:テトラヒドロフラン)で行なうことができる。
(ガラス転移温度)
 アルカリ可溶性樹脂(A1)のガラス転移温度は、耐熱性、現像性、及び低温硬化性の観点から、0~300℃であることが好ましく、30~250℃であることがさらに好ましく、50~200℃であることが特に好ましい。当該ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)で測定することができる。
(エポキシ当量)
 アルカリ可溶性樹脂(A1)のエポキシ当量は、現像液に対する耐性と、現像性の両立の観点から、200~1,000であることが好ましく、250~800であることがさらに好ましく、300~600であることが特に好ましい。当該エポキシ当量は、例えば、JIS K7236(2001)に従って求めることができる。
(二重結合当量)
 アルカリ可溶性樹脂(A1)の二重結合当量は、耐熱性と反応性との観点から、150~2000であることが好ましく、150~1500であることがさらに好ましく、200~1000であることが特に好ましい。当該二重結合当量は、例えば、“(1mol当たりのポリマーの質量)/(1mol当たりのエチレン性不飽和基の数)”により求めることができる。
(具体例)
 アルカリ可溶性樹脂(A1)の具体例としては、例えば、以下のポリマーが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
 
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
 
(光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2))
 アルカリ可溶性樹脂(A2)は、光重合開始剤(C)からのラジカルで硬化する樹脂である。アルカリ可溶性樹脂(A2)は、ラジカルと反応する官能基としてエチレン性不飽和二重結合を有することが好ましい。エチレン性不飽和二重結合としては、特に限定はないが、得られる硬化物の耐薬品性の点で、例えば、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、が挙げられ、(メタ)アクリル基が好ましい。
 光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)としては、少なくとも、下記単位(a2-1)及び(a2-2)を含む樹脂を用いることができる。光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)は、下記の同一の構成単位を2種以上(例えば、2種の単位(a2-2)を含むもの)であってもよい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
 
(単位(a2-1)中、R1は、それぞれ独立して、水素原子、又は、メチル基を示し;R5は、ヘテロ原子を含んでいてよい、鎖状、分岐、又は環状の、炭素数2~15の脂肪族炭化水素基を示す。単位(a2-2)中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;X1は、単結合、又は、酸素原子を含んでいてもよい炭素数1~15の直鎖若しくは環状の脂肪族炭化水素基を示す。)
-単位(a2-1)-
 単位(a2-1)は(メタ)アクリロイル基を有する不飽和化合物に由来する単位である。
 単位(a2-1)中、R1は、それぞれ独立して、水素原子、又は、メチル基を示し、耐熱性の点からメチル基が好ましい。
 また、R5は、ヘテロ原子を含んでいてよい、鎖状、分岐、又は環状の、炭素数2~15の脂肪族炭化水素基を示す(二価の結合基)。組成物の反応性の観点から、ヘテロ原子を含んでいてよい脂肪族炭化水素基の炭素数としては3~10が好ましい。これら脂肪族炭化水素基は、構造中に-O-構造(酸素原子を含む構造:例えば、-OH(水酸基)、エーテル基(-O-)、エステル基(-CO-O-)、酸無水物基(-CO-O-CO-))や、-S-構造等の硫黄原子を含む構造,-NH-構造などの窒素原子を含む構造を有していてもよい。直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基としては、炭素数2~15のアルキレン基、複数のエステル基や酸無水物基(-CO-O-CO-)を含んでいてもよい炭素数2~15の脂肪族炭化水素基等が挙げられる。また、環状の脂肪族炭化水素基としては、炭素数3~15のシクロアルキレン基、複数のエステル基や酸無水物基を含んでいてもよい炭素数3~15のシクロアルキレン基等が挙げられる。また、R5は、直鎖部分と環状部分との両方を含む脂肪族炭化水素基であってもよい。ヘテロ原子を有するR5の例としては、-CH2-CH(OH)-CH2-、-CH2-CH2-O-CO-NH-CH2-CH2-O-、-CO-O-CH2-CH(OH)-CH2-O-、-CO-O-CH2-CH2-O-CO-NH-CH2-CH2-O-、-CO-O-CH2-CH2-CH2-CH2-O-CO-NH-CH2-CH2-O-などが挙げられる。
 単位(a2-1)の好ましい構造としては以下の化合物に由来する単位が例示される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
 
-単位(a2-2)-
 単位(a2-2)は不飽和カルボン酸に由来する単位であり、上述の単位(a1-1)と同様の構成を示す。
 単位(a2-2)中、R1、X1は、単位(a1-1)中のものと同義であり、好ましい具体例も同様である。
-単位(a2-3)-
 光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)としては、現像液に対する耐性の観点で、上述の単位(a2-1)及び(a2-2)に加えて、下記単位(a2-3)を含む樹脂を用いることができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000021
 
(式中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;R4は、酸素原子を含んでいてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、芳香族基、及び、これらの組み合わせから選ばれる少なくとも1種を示す。)
 単位(a2-3)は不飽和化合物に由来する単位であり、上述の単位(a1-3)と同様の構成を示す。
 単位(a2-3)中、R1、R4は、単位(a1-1)中のものと同義であり、好ましい具体例も同様である。
-構成比-
 アルカリ可溶性樹脂(A2)における、単位(a2-1)、単位(a2-2)及び単位(a2-3)の含有率(モル%)は、現像液に対する耐性と、現像性の両立の観点から、(a2-1)/(a2-2)/(a2-3)=10~70/1~50/0~70であることが好ましく、15~60/5~40/0~60がさらに好ましく、20~50/10~30/0~50が特に好ましい。
-他の構成単位-
 アルカリ可溶性樹脂(A2)は、上述の単位(a2-1)~(a2-3)のいずれにも該当しない他の構成単位を含むものであってもよい。他の構成単位としては、例えば、ベンジルメタクリレート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N-シクロへキシルスクシンイミド等が挙げられる。
 前記アルカリ可溶性樹脂(A2)における、他の構成単位の含有率(モル%)は、現像液に対する耐性と現像性との両立の観点から、0~30モル%が好ましく、0~15モル%がさらに好ましい。
(分子量)
 アルカリ可溶性樹脂(A2)の重量平均分子量は、現像性の観点から、例えば、20,000以下とすることができ、500以上20,000以下であることが好ましく、1,000以上15,000以下がさらに好ましく、2,000以上10,000以下がより好ましい。アルカリ可溶性樹脂(A2)の分子量測定は、アルカリ可溶性樹脂(A1)と同様に行なうことができる。
(酸価)
 アルカリ可溶性樹脂(A2)の酸価は、現像液に対する耐性と現像性との両立の観点から70mgKOH/g以下であることが好ましく、10~60mgKOH/g以下が好ましく、20~60mgKOH/gがさらに好ましい。アルカリ可溶性樹脂の酸価としては上述の理論固形分酸価値を用いることができる。
(ガラス転移温度)
 アルカリ可溶性樹脂(A2)のガラス転移温度は、耐熱性と現像性との観点から、0~300℃であることが好ましく、30~250℃であることがさらに好ましく、50~200℃であることが特に好ましい。当該ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)で測定することができる。
(二重結合当量)
 アルカリ可溶性樹脂(A2)の二重結合当量は、反応性と現像性との観点から、150~2000であることが好ましく、150~1500あることがさらに好ましく、200~1000であることが特に好ましい。当該二重結合当量は、アルカリ可溶性樹脂(A1)と同様にして求めることができる。
(具体例)
 アルカリ可溶性樹脂(A2)の具体例としては、例えば、以下のポリマーが挙げられる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000022
 
(含有量)
 本実施形態の硬化性樹脂組成物中におけるアルカリ可溶性樹脂(A)の含有量(アルカリ可溶性樹脂(A1)とアルカリ可溶性樹脂(A2)との総量)は特に限定はないが、例えば、現像性の観点から、組成物中の全固形分に対して、30~80質量%が好ましく、40~70質量%がさらに好ましく、45~65質量%が特に好ましい。本明細書を通じて「全固形分」とは、樹脂組成物における溶媒以外の全成分を意味する。
(アルカリ可溶性樹脂(A1)とアルカリ可溶性樹脂(A2)との組み合わせ)
 本実施形態の硬化性樹脂組成物中におけるアルカリ可溶性樹脂(A1)とアルカリ可溶性樹脂(A2)との質量比は、特に限定はないが、例えば、低温硬化性の観点から、質量比(A1):(A2)が100:1~100が好ましく、100:5~60がさらに好ましく、100:10~50が特に好ましい。
<他のポリマー>
 本実施形態の硬化性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)以外の他のポリマーを含んでいてもよい。本実施形態の硬化性樹脂組成物中における他のポリマーの含有量は特に限定はないが、例えば、硬化膜の耐薬品性等を大きく阻害せず、他のポリマーを含むことによる効果を得るとの観点から、アルカリ可溶性樹脂(A)100質量部に対して、5~30質量部が好ましく、10~20質量部がさらに好ましい。
<(メタ)アクリル系モノマー(B)>
 (メタ)アクリル系モノマー(B)は、2つの重合性官能基、及び、前記2つの重合性官能基の間に含まれる環構造を有する化合物であり、少なくとも1つの(メタ)アクリル基を有する。本実施形態の硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリル系モノマー(B)を用いることで、スルーホール加工性を向上させることができる。
 ここで、“環構造”とは少なくとも一つの環状骨格を有する構造をいい、環状骨格のみで構成される構造と、環状骨格と環状骨格に結合した直鎖状の構造等とから構成される構造とのいずれも含む。また、“2つの重合性官能基の間に含まれる環構造”とは、2つの重合性官能基が環構造を介して結合していることを意味し、重合性官能基は、環状骨格に直接結合してもよく、環状骨格に間接的に結合してもよい。(メタ)アクリル系モノマー(B)の環構造は、現像液に対する耐性の観点から、酸素原子を含んでいてよい炭素数6~26の脂肪族炭化水素基、酸素原子を含んでいてよい炭素数6~26の芳香族炭化水素、及び、これらの組み合わせ(例えば、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素との組み合わせの他、異なる脂肪族炭化水素同士の組み合わせ、異なる芳香族炭化水素化合物等)、を含む群から選択されるいずれか一つとすることができる。環状骨格の具体例としては、例えば、フルオレン骨格、シクロヘキサン骨格、ビスフェノールA骨格、ジシクロペンタン骨格、及び、これらの組み合わせなどが挙げられる。
 “重合性官能基”は、(メタ)アクリル基自体、(メタ)アクリル基を1つ含む基、又は、(メタ)アクリル基以外の重合性基を1つ含む官能基である。(メタ)アクリル基以外の重合性官能基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられる。以下、“(メタ)アクリル基を含む基”と称した場合、(メタ)アクリル基自体又は(メタ)アクリル基を1つ含む基を意味する。(メタ)アクリル系モノマー(B)は、2つの重合性官能基が各々(メタ)アクリル基を含む基であることが好ましく、2つの重合性官能基の少なくとも一方がアクリル基であることが好ましい。(メタ)アクリル系モノマー(B)中、重合性官能基の数は2つである。重合性官能基の数が2を超えるとスルーホール加工性が低下することがある。また、2つの重合性官能基の種類は同一でもよいし互いに異なっていてもよい。
 (メタ)アクリル系モノマー(B)としては、下記式(b1)で示される化合物を用いることができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000023
 
(式中、R11及びR12は、各々独立して、水素原子、又は、メチル基を示し;Y1及びY2は、各々独立して、単結合、又は、酸素原子を含んでいてもよい、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数1~26の脂肪族炭化水素基を示し;X11は、環状骨格を有する炭素数6~26の脂肪族炭化水素基又は芳香族基を示し;W1及びW2は、各々独立して、O,N又はSを示す。)
 式(b1)中、R11及びR12は、各々独立して、水素原子又はメチル基を示し、露光の際に組成物が良好な硬化性を示す(以下、単に“硬化性”という)観点から、水素原子が好ましい。
 Y1及びY2は、各々独立して、単結合、又は、酸素原子を含んでいてもよい、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数1~26の脂肪族炭化水素基(二価の結合基)を示す。硬化性の観点から、脂肪族炭化水素基の炭素数としては1~20が好ましく、1~12がさらに好ましい。直鎖若しくは分岐鎖の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1~26のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、1-メチルエチレン基、1-メチルプロレン基、2-メチルプロレン基、1,1-ジメチルエチレン基等が挙げられる。また、酸素原子を含むY1及びY2としては、例えば、-O(C24O)m-で示される基(mは1~13)などが挙げられる。Y1及びY2としては、例えば、メチレン基が好ましい。
 X11は、環状骨格を有する炭素数6~26の脂肪族炭化水素基又は芳香族基(二価の結合基)を示す。現像液への耐性の観点から、X11の炭素数としては、6~26が好ましい。
 前記環状骨格を有する炭素数6~26の脂肪族炭化水素としては、シクロヘキサン環、シクロデカン環、トリシクロデカン環、アダマンタン環、ノルボルナン環又はデカリン環からなる2価の結合基が挙げられ、前記芳香族基としては、ベンゼン環、ナフタレン環からなる2価の結合基等が挙げられる。X11としては、上述のフルオレン骨格、シクロヘキサン骨格、ビスフェノールA骨格、ジシクロペンタン骨格、及び、これらの組み合わせ、から選ばれる少なくとも1種を含む2価の結合基が好ましい。
 (メタ)アクリル系モノマー(B)としては、特に限定されるものではないが、以下の化合物を挙げることができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000024
 
 本実施形態の硬化性樹脂組成物中における(メタ)アクリル系モノマー(B)の含有量は、スルーホール形成時における現像性の観点から、熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)及び光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)の総量〔A〕と(メタ)アクリル系モノマー(B)の総量〔B〕との質量比〔A:B〕が100:35~80となるように設定される。熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)及び光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)の総量〔A〕100質量部に対して、(メタ)アクリル系モノマー(B)の総量〔B〕が35未満であると、スルーホール形成時における現像性が低下することがある。スルーホール加工性の観点から、質量比〔A:B〕は、100:40~75が好ましく、100:45~70がさらに好ましい。
 また、特に限定はないが、アルカリ可溶性樹脂(A1)及びアルカリ可溶性樹脂(A2)と(メタ)アクリル系モノマー(B)との組み合わせは現像液に対する耐性と現像性との両立の観点から、例えば、A1:A2:B=100:5~40:35~110とすることができ、100:10~30:50~100とすることができる。
 また、本実施形態の硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリル系モノマー(B)以外の光反応性単量体を含んでいてもよい。他の光反応性単量体としては特に限定はないが、例えば、エチレン性不飽和基を分子内に3つ以上有する化合物が挙げられる。このような化合物の例としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
(二重結合当量)
 (メタ)アクリル系モノマー(B)の二重結合当量は、反応性と現像性との観点から、120~1000であることが好ましく、120~800であることがさらに好ましく、120~600であることが特に好ましい。当該二重結合当量は、(メタ)アクリル系モノマー(B)の分子量)/((メタ)アクリル系モノマー(B)が有するエチレン性不飽和基の数)に従って求めることができる。
(LogP)
 (メタ)アクリル系モノマー(B)のLogPは、現像液に対する耐性と、現像性の観点から、1~8であることが好ましく、1.5~7であることがより好ましく、2~6であることがさらに好ましく、2.5~6であることが特に好ましく、3~5であることが最も好ましい。
 当該LogPは、OECD GUIDELINES FOR THE TESTING CHEMICALS Partition Coefficient (n-octanol/water), High Performance Liquid Chromatography (HPLC) Method 117(Adopted 13 April 2004)に従い、逆相カラム(C18)を用いてHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)にて測定を行い、決定することができる。LogP既知の標準物質はベンジルアルコール、アニソール、トルエン、ブチルベンゼンを用いる。
 LogPの測定条件の例は以下のとおりである。
・装置:Agilent Technology社製の1200Series HPLC・カラム: DiKMA社製 Inspire C18 5μm 150×4.6mm (粒径5μm、内径4.6mm、長さ150mm)
・移動相:アセトニトリルと0.5wt%リン酸水溶液の混合液{混合比率55:45(体積比)}
・オーブン温度:40℃
・流速:1mL/min
・UV検出波長:210nm
(光重合開始剤(C))
 本実施形態の硬化性樹脂組成物は光重合開始剤(C)を含むネガ型の硬化性樹脂組成物である。光重合開始剤は、各種の活性光線、例えば紫外線等により活性化され、重合を開始する化合物である。光重合開始剤としては、例えば、ラジカル光重合開始剤、カチオン光重合開始剤、アニオン光重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤(C)は、特に限定されるものではないが、例えば、紫外線から可視光線によってエチレン性不飽和基を重合させるラジカルを発生させる光重合開始剤を好適に用いることができる。
 光重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセトフェノン、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のα-アミノケトン系光重合開始剤や、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]オクタン-
1,2-ジオン=2-(O-ベンゾイルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、1-〔9-エチル-6-ベンゾイル-9.H.-カルバゾール-3-イル〕-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9.H.-カルバゾール-3-イル〕-エタン-1-オンオキシム-O-ベンゾエート、1-〔9-n-ブチル-6-(2-エチルベンゾイル)-9.H.-カルバゾール-3-イル〕-エタン-1-オンオキシム-O-ベンゾエート、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロフラニルベンゾイル)-9.H.-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-4-テトラヒドロピラニルベンゾイル)-9.H.-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-(2-メチル-5-テトラヒドロフラニルベンゾイル)-9.H.-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)、エタノン-1-〔9-エチル-6-{2-メチル-4-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}-9.H.-カルバゾール-3-イル〕-1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系光重合開始剤や、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、チオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、2,4-ジエチルチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2-イソプロピルチオキサンソン等の硫黄化合物、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシフェニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシナフチル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン類;アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物等が挙げられる。
 現像液に対する耐性と現像性との両立の観点から、光重合開始剤(C)としては、オキシムエステル系光重合開始剤が好ましい。これらの光重合開始剤は、その1種を単独で用いてもよいが、2種以上を併用することもできる。
 本実施形態の硬化性樹脂組成物中における光重合開始剤(C)の含有量は特に限定はないが、例えば、光反応性と保存安定性との観点から、(メタ)アクリル系モノマー(B)と、光反応性モノマーと、光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)の合計を100質量部としたときに、0.1~30質量部が好ましく、1~20質量部がさらに好ましく、2~15質量部が特に好ましい。
<硬化性樹脂組成物の製法>
 本実施形態の硬化性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)、(メタ)アクリル系モノマー(B)、光重合開始剤(C)を含むネガ型の硬化性樹脂であり、その他、溶剤、重合防止剤、シランカップリング剤、などを加え、攪拌・混合して調製することができる。
(溶剤)
 本実施形態において、溶剤は、所望の目的に応じて公知のものを適宜選定して用いることができる。
 前記溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン(アノン)、シクロペンタノン、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、アセチルアセトン、メタノール、エタノール、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、ジグライム、シクロヘキサノン、エチルベンゼン、キシレン、酢酸イソアミル、酢酸n-アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EDM)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコール、トリエチリングリコールモノメチルエーテル、トリエチリングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、液体ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エステル、メチルメトキシプロピオネート、エチルエトキシプロピオネートなどが挙げられる。
 前記溶剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 また、本実施形態の硬化性樹脂組成物中における溶剤の含有量は特に限定はないが、例えば、保存安定性と塗工性との観点から、全固形分(組成物中、溶媒以外の成分の全質量)濃度が、好ましくは1~40質量%、さらに好ましくは5~40質量%、特に好ましくは10~30質量%となるように、溶媒を用いることが好ましい。固形分割合を上述の範囲内とすることにより、硬化性樹脂組成物の粘度を適度なものとすることができ、基材などに塗布して膜を形成する際の塗工性が特に向上する。
(重合防止剤)
 本実施形態の硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリル系モノマー(B)等が重合することを抑制する観点から、重合防止剤を含むことができる。また、重合防止剤として、公知の紫外線吸収剤を用いてもよい。
 重合防止剤としては、例えば、4-メトキシフェノール、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-N,N-ジメチルアミノ-p-クレゾール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、4-tert-ブチルカテコール、4,4’-チオ-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)などのフェノール系化合物;4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-アセトアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシルなどのN-オキシラジカル系化合物;メトキノン(MEHQ)、ハイドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,6-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、ベンゾキノンなどのキノン系化合物;塩化第一銅;ジメチルジチオカルバミン酸銅などのジアルキルジチオカルバミン酸銅;フェノチアジン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、フェニル-β-ナフチルアミン,N,N’-ジ-β-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミンなどのアミノ化合物;1,4-ジヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンなどのヒドロキシアミン系化合物などが挙げられる。重合防止剤としては、例えば、前記メトキノンを好適に用いることができる。重合防止剤としては、これらは、単独で用いてもよく2種類以上を併用してもよい。
 本実施形態の硬化性樹脂組成物中重合防止剤の量は、特に限定はないが、スルーホール加工性の観点から、全固形分(組成物中、溶媒以外の成分の全質量)に対し、0.1~0.6質量%が好ましく、0.1~0.4質量%がさらに好ましい。
(シランカップリング剤)
 本実施形態の硬化性樹脂組成物は、基材と塗膜との密着性を高める観点から、シランカップリング剤を用いてもよい。また、本実施形態の硬化性樹脂組成物にシランカップリング剤を含めると、得られる硬化物の絶縁性を高めることができる。
 シランカップリング剤の種類は特に限定はなく、公知のシランカップリング剤を用いることができ、例えば、下記化合物を用いることできる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000025
 
 本実施形態の硬化性樹脂組成物中のシランカップリング剤の量は、特に限定はないが、基板との密着性や絶縁性向上の観点から、アルカリ可溶性樹脂(A)の総量100質量部に対し、1~40質量部であることが好ましく、5~30質量部であることがさらに好ましい。
 本実施形態の硬化性樹脂組成物は、その他必要に応じて無機微粒子、密着促進添加剤、界面活性剤、貯蔵安定剤、レベリング剤、光安定剤、酸化防止剤などの各種添加剤を使用することもできる。これら添加剤の例としては、例えば、特開2012-215833号に記載のものが挙げられる。
≪絶縁性硬化膜≫
 本実施形態の硬化性樹脂組成物の用途は特に限定されるものではないが、絶縁膜形成用途に用いることができ、例えば、絶縁性硬化膜、特にタッチパネル用絶縁性硬化膜として用いることができる。タッチパネル用絶縁性硬化膜は、硬化性樹脂組成物を、ガラス基材、ITO、金属膜、有機膜等の基材上に、スピンコートなどの回転塗布、ダイコートなどの流延塗布、ロールコートによる塗布、ロール転写法による塗布など各種付与方法を用いて塗膜を形成し、当該塗膜を硬化させることで形成することができる。
 具体的には、硬化性樹脂組成物をガラス基板などの基材上に塗布し、マスクを介して光を照射し、現像した後、必要に応じて加熱処理することによりパターン加工することで、本実施形態の硬化膜を形成することができる。
 絶縁性硬化膜は、絶縁膜用途、保護膜用途、平坦膜用途などのいずれの用途にも使用できる。本実施形態の硬化性樹脂組成物を用いた絶縁性硬化膜は、特に、タッチパネル用保護膜や、タッチパネル用絶縁膜として好適に用いることができる。
 また、本実施形態の絶縁性硬化膜は、タッチパネルなどの装置内に維持される、所謂永久膜としての用途のみならず、ガラス基板上にITO膜をパターニングする際に用いられるレジスト膜として用いてもよい。
(スルーホール)
 タッチパネルの絶縁性硬化膜等に用いられる硬化膜には電極間の通電等を目的として所望のサイズを有するスルーホールを設けることができる。スルーホールは、パターニングにより形成されるパターンの一態様である。上述のように本実施形態の硬化性樹脂組成物はネガ型の組成物でありながらもスルーホール加工性に優れており、ホール側面まで十分に開口され且つホール断面形状が露光方向から逆台形状のスルーホールを形成することができるため、スルーホール付硬化膜形成用組成物として好適に用いることができる。
 本実施形態の硬化性樹脂組成物を用いたスルーホール付硬化膜の作製方法については特に限定されず、公知のスルーホール形成方法及び硬化膜の作製方法を適宜選定することができる。本実施形態の硬化性樹脂組成物を用いたスルーホール付硬化膜の作製方法の一例としては、基板上に本実施形態の硬化性樹脂組成物を付与して塗膜を形成する工程(塗膜形成工程)と、前記塗膜を、スルーホール形成用マスクを介して露光する工程(露光工程)と、露光後の前記塗膜の非露光部を現像液で除去する工程(現像工程)と、非露光部が除去された前記塗膜を加熱(例えば、90~230℃、10~60分)する工程(ポストベーク工程)と、を含む方法が挙げられる。塗膜形成工程と露光工程との間などには、塗膜を加熱(例えば、80~100℃、60~180秒)する工程(プリベーク工程)を施してもよい。
 本実施形態の硬化性樹脂組成物は、非露光部(非硬化部)の現像性に優れるとともに、露光部(硬化部)の耐現像液性能が高い。このため、過現像を抑制しつつ所望の微細なパターンを形成することができる。また、光硬化性樹脂(アルカリ可溶性樹脂(A2))に加えて、熱硬化性樹脂(アルカリ可溶性樹脂(A1))を含むため、ポストベーク工程においてスルーホール壁面がだれることなくホール断面形状のテーパー角を維持することができる。このように、本実施形態の硬化性樹脂組成物を用いると、小さい孔径(例えば、直径5μm以下の孔径)を有するスルーホールであっても、ホール側面まで十分に開口され且つホール断面形状が露光方向から逆台形状のスルーホールを形成することができる。
 スルーホール付硬化膜の厚さは、目的に応じて適宜設定可能であるが、例えば、反応性の観点から、0.2μm~10μmとすることができ、さらに0.5μm~5μmとすることができる。
 また、スルーホール付硬化膜に形成されるスルーホールの孔径は、目的に応じて適宜設定可能であるが、例えば、反応性と現像性の観点から、100μm以下とすることができ、さらに10μm以下とすることができる。なお、スルーホール付硬化膜に形成されるスルーホールの“孔径”は、図3に示すように、スルーホール底面から10%の高さに相当する高さの孔径(図3における10%Bottom CD;“R10”と称することもある。)と定義することができる。
 硬化膜の膜厚〔T〕と開口径〔R10〕(スルーホール底面から10%の高さに相当する高さの孔径(図3における10% Bottom CD)との比〔T:R10〕は、1:10以下であることが好ましく、1:1~4であることが更に好ましい。
 また、スルーホール付硬化膜に形成されるスルーホールの開口サイズは特に限定されるものではないが、マスクサイズ(マスクの開口径(直径);例えば開口直径が5μm))に対してスルーホールの孔径(R10;10%Bottom CD値)を差し引いた値(絶対値)が1.5μm以下が好ましく、0.5μm未満がさらに好ましい。
 スルーホールの断面形状におけるテーパー角(図3に示す直線Aと直線Bとの交点の角度α(テーパー角)は、絶縁膜上層に金属配線を形成する際に、絶縁膜上層からスルーホール底面にかけて金属配線が断線しないことが望ましく、90°未満が好ましく、15~70°がさらに好ましい。
≪タッチパネル≫
 上述のように、本実施形態の硬化性樹脂組成物及びこれを用いた絶縁性硬化膜は、タッチパネル用絶縁膜として好適に用いることができる。以下、本実施形態の絶縁性硬化膜及びタッチパネル用絶縁膜を総称して単に「本実施形態の硬化膜」と称することがある。
 本実施形態のタッチパネルは、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、光学方式のいずれであってもよいが、静電容量方式のタッチパネルであることが好ましい。
 静電容量式タッチパネルは、例えば、ITO膜付きガラスを基板に用い、接触した位置の誤認識を防ぐため、積層構造中(例えば電極間)に絶縁膜や保護膜を設けている。本実施形態のタッチパネルが静電容量式タッチパネルの場合、本実施形態のタッチパネルは、本実施形態の硬化膜を、例えば、積層構造中の絶縁膜、保護膜、又はその両方に用いることができる。
 また、タッチパネルは、絶縁膜の一面にX電極が、他面にY電極が配置された2面型構造、及び、同一平面上にX電極とY電極とが形成されている1面型構造に分けることができる。本実施形態のタッチパネルは2面型又は1面型のいずれの構造であってもよいが、特に1面型構造のタッチパネルであることが好ましい。
 1面型のタッチパネル構造においては、X電極とY電極とが電気的に分離されている。この際、電極のパターンによって、例えば、アイランド型パターン、スルーホール型パターンなどに区別できる。例えば、アイランド型パターンの場合、また、1面のタッチパネル構造においては、分離された電極同士が、例えばジャンパ部といわれる部材にて電気的に接続されている。また、電極ジャンパ部にはITO膜など透明電極が用いられているが、例えば、ジャンパ部が分離されたY電極同士を結合している場合、X電極との絶縁性を保つためにジャンパ部の下部に絶縁層が設けられる。また、通常、1面型に配置された各電極上には一様に絶縁膜(保護膜)が形成される。
 このため、本実施形態のタッチパネルが1面型のタッチパネル構造の場合、本実施形態のタッチパネルは、例えば、本実施形態の硬化膜を、電極上に形成される絶縁膜、ジャンパ部下部に形成される絶縁層、又は、その両方に用いることができる。
 さらに、タッチパネルは液晶表示装置に組み込まれる際に、その設置部位に応じて、アウトセル構造、オンセル構造、インセル構造に区別することができる。オンセル構造及びインセル構造では、タッチパネルが液晶パネル内に組み込まれており、アウトセル構造ではタッチパネルが液晶パネルの外側に組み込まれる。オンセル構造では、観察方向側の偏光板と液晶積層体(一対の基盤ガラスとこれに介在する液晶層とで構成される積層体)との間にタッチパネルが設置される。また、インセル構造では、液晶積層体の液晶層がタッチパネル機能を有する。本実施形態のタッチパネルは、いずれの構造にも適用可能だが、例えば、オンセル構造に用いられることが好ましい。
 以下、図を用いて本実施形態のタッチパネルの一態様について説明する。図1は、本実施形態のタッチパネルの一態様の構成を示す平面図である。図1に示すように本実施形態のタッチパネルが1面型タッチパネルの場合、ガラス基板10上にITO(酸化インジウムスズ)電極(X1~X3,Y1~Y3)が形成される。
 ガラス基板10の素材としては、例えば、特に限定されるものではないが、例えば、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板を用いることができる。また、ガラス基板の代わりに、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)などからなるプラスチック板、プラスチックフィルムを用いてもよい。
 ITO電極(X1~X3,Y1~Y3)は、透明電極である。本実施形態においては透明電極の材料としてITOを用いているが、基板表面に配設することができるものであれば特に限定されるものではなく、ITOの他、例えば、ZnO(酸化亜鉛)などの無機導電材料、PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸)、ポリアニリン、ポリピロールなどの有機導電材料も用いることができる。これら材料は1種のみで用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 なお、図1及び2においては記載を省略しているが、各電極及びジャンパ部X12において、その下層に、又は透明電極に変えて、金属配線としての機能を有する金属薄膜を用いてもよい。金属薄膜には、Mo(モリブデン)、Al(アルミニウム)、Ag(銀)、Pd(パラジウム)などの金属材料を用いることができ、Mo及びAlのいずれか一方以上を用いることが好ましい。
 図1に示すように、ITO電極X1~X3は、図1における矢印P方向に配列された電極であり、ITO電極X1~X3は隣接する電極と分離されているが、P方向に隣接する電極とジャンパ部X12を介して電気的に接続されている。ジャンパ部X12はITO等、透明電極と同様の材料で形成することができる。また、ジャンパ部X12の厚み方向下部には、ITO電極Yの接続部との間に、図2に示される絶縁膜14が介在している。さらに、各ジャンパ部X12の両端には、P方向に隣接する電極電気的に接続するためにスルーホール20が設けられている。
 また、ITO電極Y1~Y3は、図1における矢印Q方向に配列された電極である。ITO電極Y1~Y3は、Q方向に隣接する電極とITO膜で形成された接続部を介して連続的に結合されており、Q方向に電気的に接続されている。なお、通常ITO電極Y1~Y3は、各接続部と、電極成形時に一体として連続的に形成される。
 以下、P方向に電気的に接続された電極群を“X電極”、Q方向に電気的に接続された電極群を“Y電極”と称する。図1に示すように、1面型タッチパネルでは、P方向に沿ってX電極が配列され、Q方向に沿ってY電極が配列されている。
 つぎに、図2を用いて、本実施形態におけるタッチパネルの断面構造について説明する。図2は、図1におけるAA断面図である。図2に示すように、ITO電極X2及びX3の間には、絶縁膜14と、ITO電極Y1及びY2の接続部Y12と、が介在している。ITO電極X2及びX3は、上述のようにジャンパ部X12によって電気的に接続されている。また、ジャンパ部X12の厚み方向下部においては、接続部Y12との間に、絶縁膜14の一部が延在しており、ジャンパ部X12と接続部Y12との絶縁性が保たれている。また、絶縁膜14、並びに、ジャンパ部X12の厚み方向上側には絶縁性保護層16が設けられている。
 本実施形態において、絶縁膜14又は絶縁性保護層16の少なくともいずれか一方は、本実施形態の硬化膜が用いられる。しかし、いずれか他方を、従来、絶縁膜や保護膜に用いられていた公知の材料を用いて形成してもよいが、絶縁膜14及び絶縁性保護層16の両方が本実施形態の硬化膜であることが好ましい。
 上述のタッチパネルにおいて、本実施形態の硬化膜を形成する方法は特に限定されるものではないが、例えば、下層(例えば、絶縁膜14に対する、ガラス基板10及びITO電極であり、又は、絶縁性保護層16に対する、ITO電極等)上にスプレーコートやスピンコート、スリットダイコート、ロールコート、バーコート等の塗布方法によって塗膜形成することができる。この際、塗膜の乾燥膜厚は、特に限定はないが、例えば、絶縁性保護層16の場合は、0.5~20μmが好ましく、1.0~10μmがさらに好ましい。同様に、絶縁膜14の場合には、乾燥膜厚が0.2~10μmが好ましく、0.5~5μmがさらに好ましい。また、必要によって塗膜は、塗膜と接触または非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して露光をおこなうことができる。露光の際の光線の種類は特に限定されるものではなく、可視光線、紫外線、遠赤外線、電子線、X線等が挙げられ、中でも紫外線が好ましい。光線の照度は特に限定されるものではないが、365nmにおいて5~150mW/cm2であることが好ましく、5~35mW/cm2であることが特に好ましい。
 その後、必要に応じて炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水性アルカリ現像液、或いは水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)に浸漬するか、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して非硬化部を除去し所望のパターンを形成する。さらに、感光性組成物の重合を促進して硬化させるため、それぞれ必要に応じて加熱(ポストベーキング)を施すことができる。なお、当該硬化膜の形成の際には、上述のスルーホールの形成方法を適用することができる。
 さらに、例えば、ジャンパ部X12を形成する場合には、まず、ガラス基板10上にパターニングされたX電極、Y電極を形成し、その後、ガラス基板10及び電極表面に硬化性樹脂組成物を塗布し、絶縁膜14、スルーホール20を形成可能なマスクを用いて硬化性樹脂組成物を露光・現像する。ついで、絶縁膜14及びスルーホール20上にPVD等によってジャンパ部X12となる材料(ITO等)を堆積させ導電層を形成する。その後、ジャンパ部X12を形成する箇所(例えば図2における接続部Y12上の絶縁膜14)の導電層表面にのみ保護層を設け、エッチング処理を施すことで、接続部Y12上の絶縁膜14上にジャンパ部X12が形成することができる。
 以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例及び比較例]
 下記表に示す配合にて各成分を混合し、硬化性樹脂組成物を調製した。混合は室温でおこない、重合反応が開始しないように紫外線を遮断しておこなった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000026
 
※ 表中、「OXE-01」は、Irgacure OXE01(BASFジャパン(株))を示す。
  また、表中各成分に対する数値は組成物全体(但し溶媒を除く)に対する質量部を意味する。
 前記表において各成分は下記表に示すものを用いた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000027
 
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000028
 
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000029
 
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000030
 
≪評価≫
 上述より得られた実施例及び比較例の硬化性組成物について、各評価をおこなった。結果を下記表に示す。
(LogPの測定)
 LogPの測定は以下の測定条件に従って、OECD GUIDELINES FOR THE TESTING CHEMICALS Partition Coefficient (n-octanol/water), High Performance Liquid Chromatography (HPLC) Method 117(Adopted 13 April 2004)に従い、逆相カラム(C18)を用いてHPLC(高性能液体クロマトグラフィー)にて測定を行った。LogP既知の標準物質はベンジルアルコール、アニソール、トルエン、ブチルベンゼンを用いた。
[測定条件]
・装置:Agilent Technology社製の1200Series HPLC・カラム: DiKMA社製 Inspire C18 5μm 150×4.6mm (粒径5μm、内径4.6mm、長さ150mm)
・移動相:アセトニトリルと0.5wt%リン酸水溶液の混合液(混合比率55:45)・オーブン温度:40℃
・流速:1mL/min
・UV検出波長:210nm
(スルーホールの形成)
 得られた硬化性樹脂組成物を、スピンコート法により、ITO膜を有した基板上に塗布し、90℃のホットプレート上で90秒間プリベークして塗膜を形成した。ついで、ネガ用のコンタクトホールパターン(ホールピッチ100μm/ホール径5μm)を用い、超高圧水銀灯の光を40mJ/cm2照射した(365nmにおける照度:10mW/cm2)。ついで、2.38%TMAH水溶液を用いて30秒間現像し、90℃で30分間加熱することにより、膜厚1.6μmの硬化膜付き基板を作製した。
 得られた硬化膜付き基板の断面をレーザー顕微鏡(LASERTEC社製;製品名:OPTELICSHYBRID)で観察し、以下の基準に従って各評価を行った。
〔スルーホールの開口〕
A:スルーホールが下地まで貫通していた。
C:ホール底部に膜が確認され、未開口であった
〔開口サイズ〕
 開口が確認された硬化膜付き基板に対し、マスクサイズから、スルーホールの孔径(R10;10%Bottom CD値)を差し引いた値(マスクサイズ(5μm)-R10(絶対値))を算出し、以下の基準に従って評価した。
A:0.5μm未満
B:0.5μm以上1.5μm未満
C:1.5μm以上
〔テーパー形状〕
 得られた硬化膜付き基板の断面を走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製;型番:JSM-IT500)で観察し、図3に示す直線Aと直線Bとの交点の角度α(テーパー角度)
を測定し、下記基準に従って評価した。
A:テーパー角度が90°未満であった。
C:テーパー角度が90°以上であった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000031
 
 得られた結果から、本実施形態における光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)を用いなかった比較例1、本実施形態における熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)を用いなかった比較例2は、スルーホールは開口されたものの、開口サイズが小さく加工性に劣っていた。
 また、本実施形態における(メタ)アクリル系モノマー(B)を用いなかった比較例3~6、熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)及び光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)の総量〔A〕と前記(メタ)アクリル系モノマー(B)の総量〔B〕との質量比〔A:B〕が100:30である比較例7、及び、酸価が55mgKOH/g未満の樹脂を用いた比較例8は、いずれもスルーホールが下地まで貫通していなかった。
 これに対し、本実施形態の硬化性組成物を用いた実施例は、スルーホールが貫通しており、開口サイズ、膜厚:開口径比、テーパー形状のいずれ評価においても優れた結果であった。このため、実施例の硬化性組成物はスルーホール加工性に優れ、且つ、1.6μm程度の膜厚に対し4μm程度のスルーホールを形成できることがわかる。
 2022年7月1日に出願された日本国特許出願2022-106883号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
 また、明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
10:ガラス基板、14:絶縁膜、16:絶縁性保護層、X1~X3,Y1~Y4:ITO電極、X12:ジャンパ部、Y12:接続部、20:スルーホール

Claims (16)

  1.  酸価が55~100mgKOH/gの熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)と、
     光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)と、
     2つの重合性官能基、及び、前記2つの重合性官能基の間に含まれる環構造を有する(メタ)アクリル系モノマー(B)と、
     光重合開始剤(C)と、を含み、
     前記熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)及び光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)の総量〔A〕と前記(メタ)アクリル系モノマー(B)の総量〔B〕との質量比〔A:B〕が100:35~80である、
     硬化性樹脂組成物。
  2.  前記熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)が、酸基、及び、環状エーテル基を有する、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3.  前記熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)が、少なくとも、下記単位(a1-1)及び(a1-2)を含む、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
     
    (単位(a1-1)中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;X1は、単結合、又は、酸素原子を含んでいてもよい炭素数1~15の直鎖若しくは環状の脂肪族炭化水素基を示す。単位(a1-2)中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;R3は、環状エーテル構造を有し、且つ、酸素原子を含んでいてよい炭素数3~15の直鎖若しくは分岐鎖脂肪族炭化水素基を示す。)
  4.  前記熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)が、さらに、下記単位(a1-3)を含む、請求項3に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
     
    (式中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;R4は、酸素原子を含んでいてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、芳香族基、及び、これらの組み合わせから選ばれる少なくとも1種を示す。)
  5.  前記光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)の酸価が70mgKOH/g以下である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  6.  前記光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)が、少なくとも、下記単位(a2-1)及び(a2-2)を含む、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
     
    (単位(a2-1)中、R1は、それぞれ独立して、水素原子、又は、メチル基を示し;R5は、ヘテロ原子を含んでいてよい、鎖状、分岐、又は環状の、炭素数2~15の脂肪族炭化水素基を示す。単位(a2-2)中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;X1は、単結合、又は、酸素原子を含んでいてもよい炭素数1~15の直鎖若しくは環状の脂肪族炭化水素基を示す。)
  7.  前記光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)が、さらに、下記単位(a2-3)を含む、請求項6に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
     
    (式中、R1は、水素原子、又は、メチル基を示し;R4は、酸素原子を含んでいてもよい直鎖、分岐鎖又は環状の炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、芳香族基、これらの組み合わせから選ばれる少なくとも1種を示す。)
  8.  前記光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)の重量平均分子量が20,000以下である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  9.  前記熱硬化性アルカリ可溶性樹脂(A1)及び前記光硬化性アルカリ可溶性樹脂(A2)の少なくとも一方が、環状の基を有する、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  10.  前記(メタ)アクリル系モノマー(B)における前記環構造が、酸素原子を含んでいてよい炭素数6~26の脂肪族炭化水素基、酸素原子を含んでいてよい炭素数6~26の芳香族炭化水素、及び、これらの組み合わせ、を含む群から選択されるいずれか一つである、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  11.  前記(メタ)アクリル系モノマー(B)における前記2つの重合性官能基がアクリル基を含む、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  12.  前記(メタ)アクリル系モノマー(B)が下記式(b1)で示される化合物である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
     
     (式中、R11及びR12は、各々独立して、水素原子、又は、メチル基を示し;Y1及びY2は、各々独立して、単結合、又は、酸素原子を含んでいてもよい、直鎖若しくは分岐鎖の、炭素数1~26の脂肪族炭化水素基を示し;X11は、環状骨格を有する炭素数6~26の脂肪族炭化水素基又は芳香族基を示し;W1及びW2は、各々独立して、O,N又はSを示す。)
  13.  絶縁膜形成用途に用いられる請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  14.  請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させた絶縁性硬化膜。
  15.  請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化させたタッチパネル用絶縁性硬化膜。
  16.  請求項15に記載のタッチパネル用絶縁性硬化膜を備えたタッチパネル。
PCT/JP2023/024423 2022-07-01 2023-06-30 硬化性樹脂組成物、当該組成物を硬化させた絶縁性硬化膜及びタッチパネル用絶縁性硬化膜、並びに、タッチパネル WO2024005195A1 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022106883 2022-07-01
JP2022-106883 2022-07-01

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2024005195A1 true WO2024005195A1 (ja) 2024-01-04

Family

ID=89380744

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2023/024423 WO2024005195A1 (ja) 2022-07-01 2023-06-30 硬化性樹脂組成物、当該組成物を硬化させた絶縁性硬化膜及びタッチパネル用絶縁性硬化膜、並びに、タッチパネル

Country Status (2)

Country Link
TW (1) TW202406945A (ja)
WO (1) WO2024005195A1 (ja)

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015087541A (ja) * 2013-10-30 2015-05-07 東洋インキScホールディングス株式会社 光硬化性樹脂組成物
JP2015127730A (ja) * 2013-12-27 2015-07-09 新日鉄住金化学株式会社 タッチパネル用黒色感光性組成物、その硬化物及び当該硬化物を含むタッチパネル
JP2016181083A (ja) * 2015-03-24 2016-10-13 富士フイルム株式会社 転写フィルム、静電容量型入力装置の電極用保護膜、積層体、積層体の製造方法および静電容量型入力装置
JP2018109733A (ja) * 2016-12-28 2018-07-12 太陽インキ製造株式会社 ネガ型光硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板
WO2019117018A1 (ja) * 2017-12-11 2019-06-20 Agc株式会社 ネガ型感光性樹脂組成物
JP2019101322A (ja) * 2017-12-06 2019-06-24 富士フイルム株式会社 感光性組成物、転写フィルム、硬化膜、並びに、タッチパネル及びその製造方法
JP2021521310A (ja) * 2019-03-27 2021-08-26 エルジー・ケム・リミテッド アルカリ可溶性、光硬化性および熱硬化性を有する共重合体、これを用いた感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、およびカラーフィルタ
KR20210106351A (ko) * 2020-02-20 2021-08-30 동우 화인켐 주식회사 경화성 수지 조성물, 패턴 및 화상 표시 장치
CN113485071A (zh) * 2020-12-29 2021-10-08 住华科技股份有限公司 着色树脂组成物、及应用其的光阻结构、彩色滤光片和显示装置
KR20210131560A (ko) * 2020-04-24 2021-11-03 동우 화인켐 주식회사 경화성 수지 조성물, 패턴 및 화상표시장치

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015087541A (ja) * 2013-10-30 2015-05-07 東洋インキScホールディングス株式会社 光硬化性樹脂組成物
JP2015127730A (ja) * 2013-12-27 2015-07-09 新日鉄住金化学株式会社 タッチパネル用黒色感光性組成物、その硬化物及び当該硬化物を含むタッチパネル
JP2016181083A (ja) * 2015-03-24 2016-10-13 富士フイルム株式会社 転写フィルム、静電容量型入力装置の電極用保護膜、積層体、積層体の製造方法および静電容量型入力装置
JP2018109733A (ja) * 2016-12-28 2018-07-12 太陽インキ製造株式会社 ネガ型光硬化性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物およびプリント配線板
JP2019101322A (ja) * 2017-12-06 2019-06-24 富士フイルム株式会社 感光性組成物、転写フィルム、硬化膜、並びに、タッチパネル及びその製造方法
WO2019117018A1 (ja) * 2017-12-11 2019-06-20 Agc株式会社 ネガ型感光性樹脂組成物
JP2021521310A (ja) * 2019-03-27 2021-08-26 エルジー・ケム・リミテッド アルカリ可溶性、光硬化性および熱硬化性を有する共重合体、これを用いた感光性樹脂組成物、感光性樹脂フィルム、およびカラーフィルタ
KR20210106351A (ko) * 2020-02-20 2021-08-30 동우 화인켐 주식회사 경화성 수지 조성물, 패턴 및 화상 표시 장치
KR20210131560A (ko) * 2020-04-24 2021-11-03 동우 화인켐 주식회사 경화성 수지 조성물, 패턴 및 화상표시장치
CN113485071A (zh) * 2020-12-29 2021-10-08 住华科技股份有限公司 着色树脂组成物、及应用其的光阻结构、彩色滤光片和显示装置

Also Published As

Publication number Publication date
TW202406945A (zh) 2024-02-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10338468B2 (en) Photosensitive resin composition, photosensitive resin laminate, resin pattern production method, cured film, and display device
JP5858190B2 (ja) 金属繊維の劣化抑制方法、膜、及び膜の製造方法
JP5257558B1 (ja) 導電パターンの形成方法、導電パターン基板及びタッチパネルセンサ
JP6176295B2 (ja) 導電パターンの形成方法
JP2011039165A (ja) アルカリ可溶性光硬化型組成物、該組成物を使用した硬化塗膜及び透明部材
JP5862297B2 (ja) タッチパネル、タッチパネルの製造方法、感放射線性組成物およびタッチパネル用硬化膜
JP2013064973A (ja) 感光性樹脂組成物、タッチパネル用材料、タッチパネル保護膜、タッチパネル絶縁膜、タッチパネル
JPWO2016167228A1 (ja) 感光性導電フィルム、導電パターンの形成方法、導電パターン付き基材、及びタッチパネルセンサ
WO2000058788A1 (fr) Article multicouche photopolymerisable haute definition et dispositif semiconducteur fabrique avec cet article
WO2024005195A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、当該組成物を硬化させた絶縁性硬化膜及びタッチパネル用絶縁性硬化膜、並びに、タッチパネル
WO2020251004A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、当該組成物を硬化させた絶縁性硬化膜及びタッチパネル用絶縁性硬化膜、並びに、タッチパネル
WO2024005189A1 (ja) 硬化性樹脂組成物、当該組成物を硬化させた絶縁性硬化膜及びタッチパネル用絶縁性硬化膜、並びに、タッチパネル
JP2014206574A (ja) 感光性樹脂組成物、タッチパネル用材料、タッチパネル保護膜、タッチパネル絶縁膜及びタッチパネル
KR20210038385A (ko) 블랙 레지스트용 감광성 수지 조성물, 상기 감광성 수지 조성물의 제조 방법 및 이것을 경화해서 이루어지는 차광막, 상기 차광막을 갖는 컬러필터 및 터치패널, 상기 컬러필터 및 터치패널을 갖는 표시 장치
JP6289921B2 (ja) 感光性樹脂組成物の調整方法、感光性樹脂組成物、タッチパネル用材料、タッチパネル保護膜、タッチパネル絶縁膜、タッチパネル
WO2023210746A1 (ja) 重合体、並びに、硬化性樹脂組成物、当該組成物を硬化させた伸長性絶縁性硬化膜及びタッチパネル用絶縁性硬化膜、タッチパネル、フレキシブルプリント回路基板用絶縁性硬化膜、及び、フレキシブルプリント回路基板
JP2017198878A (ja) 感光性導電フィルム及びそれを用いた導電パターン、導電パターン基板、タッチパネルセンサの製造方法
JP2016042126A (ja) 感放射線性樹脂組成物、表示素子の層間絶縁膜、その形成方法及び表示素子
TWI789434B (zh) 光間隔物形成用感光性樹脂組合物、光間隔物之形成方法、附光間隔物之基板、及彩色濾光片
JP7309609B2 (ja) フォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物、フォトスペーサの形成方法、フォトスペーサ付基板、及び、カラーフィルタ
WO2021065288A1 (ja) 転写フィルム、積層体の製造方法、積層体、タッチパネルセンサー、タッチパネル
JP2017125125A (ja) 樹脂組成物および感光性樹脂組成物、レジストパターンの製造方法、ならびにタッチパネル部材
JP2019144431A (ja) 感光性エレメント、及び、電子部品の製造方法
JP2017181564A (ja) 電極付きカラーフィルタ基板、これを用いた表示装置、およびこれらの製造方法
JP2018040934A (ja) 感光性導電フィルム、並びにこれを用いた導電パターン基板とその製造方法及びタッチパネルセンサ

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 23831634

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1