JP2015127719A - 計測装置及び計測を行う方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】気泡による反応の阻害を回避でき、反応場形成物の劣化が抑制される計測装置及び方法を提供する。【解決手段】流路は、気泡検出区間及び反応区間を順に経由して液体入口から液体出口へ至る。プリズムは金膜の一方の主面に密着する。抗体固層膜は、金膜の他方の主面に定着し、反応区間に配置され、反応物が反応する反応場を形成する。照射機構は、気泡検出光又は励起光をプリズムに照射する。気泡検出光は、プリズムの内部を進行し気泡検出区間へ向かい、プリズムと金膜との界面に共鳴角で入射する。励起光は、プリズムの内部を進行し反応区間へ向かう。測定機構は、気泡検出区間において反射された気泡検出光の光量を測定し、反応場から放射される表面プラズモン励起蛍光の光量を測定する。気泡検出部は、反射された気泡検出光の光量が基準より増加した場合に気泡検出区間に気泡が混入したと判定する。【選択図】図1

Description

本発明は、表面プラズモン励起蛍光分光法による計測を行う計測装置及び表面プラズモン励起蛍光分光法による計測を行う方法に関する。
誘電体媒体の内部を進行する励起光が導電体膜と誘電体媒体との界面に全反射条件を満たして入射する場合は、界面からエバネッセント波がもれだし、導電体膜の表面のプラズモンとエバネッセント波とが干渉する。界面への励起光の入射角が共鳴角に設定されプラズモンとエバネッセント波とが共鳴する場合にエバネッセント波の電場は著しく増強される。表面プラズモン励起蛍光分光法(SPFS)による計測においては、この増強された電場が用いられる。
SPFSによる計測においては、導電体膜の表面に抗原が捕捉され、捕捉された抗原が蛍光標識される。増強された電場は蛍光標識された抗原に作用し、蛍光標識された抗原からは表面プラズモン励起蛍光が放射される。表面プラズモン励起蛍光の光量の測定結果から抗原の有無、抗原の捕捉量等が特定される。
導電体膜の表面に抗原を捕捉し抗原を蛍光標識するために、導電体膜の表面の近傍に抗原と結合する一次抗体が固定される。一次抗体が固定された後に、抗原を含む液体及び蛍光標識化された二次抗体を含む液体が流路へ供給され、固定された一次抗体に抗原が結合させられ、結合させられた抗原に二次抗体がさらに結合させられる。
反応中に気泡が流路へ混入した場合は、一次抗体への抗原の結合、抗原への二次抗体の結合等が阻害され、計測の誤りが生じる。また、測定中に気泡が流路へ混入した場合は、表面プラズモン共鳴が阻害され、計測の誤りが生じる。このため、流路への気泡の混入を検出することが望まれる。
特許文献1は、気泡の混入の検出に関する。特許文献1においては、流路が反応区間(測定領域10)を有し、反応区間への気泡の混入が検出される(段落0058)。特許文献1には、反応物が反応する反応場を形成する反応場形成物(検出素子6)に気泡(気泡7)が付着した状態が示される(図2)。
特開2008−281526号公報
特許文献1によれば、反応区間に気泡が混入し反応場形成物に気泡が付着した場合に気泡が混入したと判定される。したがって、気泡が混入したと判定された場合には、反応場における反応は既に阻害されている。
また、特許文献1においては、気泡検出光が反応場形成物に照射され、気泡検出光により反応場形成物が劣化しやすい。
本発明は、これらの問題を解決するためになされる。本発明の目的は、気泡による反応の阻害を回避でき、反応場形成物の劣化が抑制される計測装置及び方法を提供することである。
本発明の第1の局面は、表面プラズモン励起蛍光分光法による計測を行う計測装置に向けられる。
本発明の第1の局面においては、流路形成物、誘電体媒体、導電体膜、反応場形成物、照射機構、測定機構及び気泡検出部が設けられる。
流路形成物には流路が形成される。流路は、気泡検出区間及び反応区間を順に経由し液体入口から液体出口へ至る。誘電体媒体は導電体膜の第1の主面に密着する。反応場形成物は導電体膜の第2の主面に定着する。反応場形成物は、反応区間に配置され、反応物が反応する反応場を形成する。
気泡が検出される場合は、照射機構は、気泡検出光を誘電体媒体に照射する。気泡検出光は、誘電体媒体の内部を進行し、気泡検出区間へ向かう。気泡検出光は、誘電体媒体と導電体膜との界面に共鳴角で入射する。計測が行われる場合は、照射機構は、励起光を誘電体媒体に照射する。励起光は、誘電体媒体の内部を進行し、反応区間へ向かう。励起光は、誘電体媒体と導電体膜との界面に共鳴角で入射する。
気泡が検出される場合は、測定機構は、気泡検出区間において反射された気泡検出光の光量を測定する。計測が行われる場合は、測定機構は、反応場から放射される表面プラズモン励起蛍光の光量を測定する。
気泡検出部は、気泡検出区間において反射された気泡検出光の光量の測定結果を測定機構から取得し、気泡検出区間において反射された気泡検出光の光量が基準より増加した場合に気泡検出区間に気泡が混入したと判定する。
本発明の第2の局面は、表面プラズモン励起蛍光分光法による計測を行う方法に向けられる。
本発明の第2の局面においては、流路形成物、誘電体媒体、導電体膜及び反応場形成物を備える構造物が準備される。流路形成物、誘電体媒体、導電体膜及び反応場形成物は、本発明の第1の局面と同じものである。
気泡検出光は、誘電体媒体に照射され、誘電体媒体の内部を進行し、気泡検出区間へ向かい、誘電体媒体と導電体膜との界面に共鳴角で入射する。同時に、気泡検出区間において反射された気泡検出光の光量が測定される。気泡検出区間において反射された気泡検出光の光量の測定結果が取得され、気泡検出区間への気泡の混入が検出される。
励起光は、誘電体媒体に照射され、誘電体媒体の内部を進行し、反応区間へ向かい、誘電体媒体と導電体膜との界面に共鳴角で入射する。同時に、反応場から放射される表面プラズモン励起蛍光の光量が測定される。
本発明によれば、反応区間の上流への気泡の混入が検出され、反応区間に気泡が到達する前に気泡の混入が検出される。反応場における反応が阻害される前に気泡の混入が検出され、気泡による反応の阻害を回避できる。気泡検出光が反応場形成物に照射されず、気泡検出光による反応場形成物の劣化が抑制される。
これらの及びこれら以外の本発明の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面とともに考慮されたときに下記の本発明の詳細な説明によってより明白となる。
第1実施形態の計測装置の模式図である。 センサーチップの分解断面図である。 コントローラーのブロック図である。 一次抗体液が流路に満たされた状態の模式図である。 一次抗体液が流路に満たされた状態の模式図である。 試料液が流路に満たされた状態の模式図である。 二次抗体液が流路に満たされた状態の模式図である。 計測装置の動作を示すフローチャートである。 SPR曲線及び入射角と電場増強度との関係を示すグラフである。 気泡の混入の検出の手順を示すフローチャートである。 気泡の混入の検出の手順を示すフローチャートである。 気泡の混入の検出の手順を示すフローチャートである。 第2実施形態の計測装置の模式図である。
{第1実施形態}
(概略)
第1実施形態は、表面プラズモン励起蛍光分光法(SPFS)による計測を行う計測装置及びSPFSによる計測を行う方法に関する。
図1の模式図は、第1実施形態の計測装置を示す。図2の模式図は、センサーチップの分解断面図である。図3のブロック図は、コントローラーを示す。
図1に示すように、計測装置1000は、センサーチップ1010、照射機構1012、測定機構1014、送液機構1016、コントローラー1018及びディスプレイ1020を備える。
照射機構1012は、励起光用のレーザーダイオード1030、気泡検出光用のレーザーダイオード1032、直線偏光板1034、ミラー1036及びミラー駆動機構1038を備える。
測定機構1014は、電荷結合素子(CCD)センサー1050、反応区間1092において反射された励起光用のフォトダイオード(以下では単に「励起光用のフォトダイオード」という。)1052、気泡検出区間1090を透過した気泡検出光用のフォトダイオード(以下では単に「気泡検出光用のフォトダイオード」という。)1054及びローパスフィルター1056を備える。
図1及び図2に示すように、センサーチップ1010は、流路形成物1060、プリズム1062、金膜1064、抗体固層膜1066及びシール1068を備える。流路形成物1060には、流路1080が形成される。流路1080は、気泡検出区間1090及び反応区間1092を順に経由し液体入口1100から液体出口1102へ至る。気泡検出区間1090は、反応区間1092より上流に設けられる。
図1に示すように、コントローラー1018は、気泡検出部1110を備える。図3に示すように、コントローラー1018は、気泡検出部1110に加えて、送液制御部1112、報知制御部1114及び計測制御部1116を備える。
計測が行われる前には、送液機構1016により、一次抗体を含む液体(以下では「一次抗体液」という。)が液体入口1100へ供給され、一次抗体が抗体固層膜1066に固定され、一次抗体液が液体出口1102から回収される。続いて、送液機構1016により、計測される抗原を含む液体(以下では「試料液」という。)が液体入口1100へ供給され、一次抗体に抗原が結合させられ、試料液が液体出口1102から回収される。さらに続いて、送液機構1016により、蛍光標識化された二次抗体を含む液体(以下では「二次抗体液」という。)が液体入口1100へ供給され、二次抗体が抗原に結合させられる。
計測が行われる場合には、照射機構1012により励起光ELがプリズム1062に照射される。プリズム1062に照射された励起光ELは、プリズム1062の内部を進行し、反応区間1092へ向かう。反応区間1092へ向かう励起光ELは、プリズム1062と金膜1064との界面で反射され、プリズム1062から出射する。プリズム1062と金膜1064との界面への励起光ELの入射角θ1は、臨界角θc以上であり、全反射条件を満たす。入射角θ1は、共鳴角θrに設定される。
励起光ELがプリズム1062に照射されている間は、プリズム1062と金膜1064との界面から金膜1064の側へエバネッセント波がもれだし、エバネッセント波と金膜1064の表面のプラズモンとが共鳴し、エバネッセント波の電場が増強される。この増強された電場が蛍光標識に作用し、抗体固層膜1066により形成される反応場から表面プラズモン励起蛍光FLが放射される。表面プラズモン励起蛍光FLの光量は、CCDセンサー1050により測定される。
一次抗体液、試料液及び二次抗体液が液体入口1100へ供給される場合には、気泡検出区間1090への気泡の混入が検出される。気泡検出区間1090への気泡の混入が検出される場合は、照射機構1012により気泡検出光DLがプリズム1062に照射される。プリズム1062に照射された気泡検出光DLは、プリズム1062の内部を進行し、気泡検出区間1090へ向かう。プリズム1062と金膜1064との界面への気泡検出光DLの入射角θ2は、臨界角θcより小さく、全反射条件を満たさない。気泡検出区間1090へ向かう気泡検出光DLは、気泡検出区間1090を透過し、流路形成物1060から出射する。気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光量は、気泡検出光用のフォトダイオード1054により測定される。気泡検出区間1090に気泡が混入した場合は、気泡検出区間1090を透過する気泡検出光DLの光量が減少する。このため、気泡検出区間1090を透過する気泡検出光DLの光量が基準より減少した場合には、気泡検出区間1090に気泡が混入したと気泡検出部1110により判定される。
これにより、反応区間1092の上流の気泡検出区間1090への気泡の混入が検出され、反応区間1092に気泡が到達する前に気泡の混入が検出される。反応場における反応が阻害される前に気泡の混入が検出され、気泡による反応の阻害を回避できる。また、気泡検出光DLが抗体固層膜1066に照射されず、気泡検出光DLによる抗体固層膜1066の劣化が抑制される。
(センサーチップ)
図1及び図2に示すように、プリズム1062の上には金膜1064が密着させられ、金膜1064の上には抗体固層膜1066が定着させられる。プリズム1062、金膜1064及び抗体固層膜1066の複合体1120には流路形成物1060が接合される。プリズム1062は金膜1064の一方の主面1130に密着し、抗体固層膜1066は金膜1064の他方の主面1132に定着する。金膜1064は、少なくとも反応区間1092に配置され、気泡検出区間1090にも広がる。金膜1064が反応区間1092のみに配置されてもよい。抗体固層膜1066は、反応区間1092のみに配置され、気泡検出区間1090には広がらない。
センサーチップ1010は、「検査チップ」「分析チップ」「試料セル」等とも呼ばれる。センサーチップ1010は、望ましくは、各辺の長さが数mmから数cmまでの範囲内にある構造物であるが、「チップ」とは呼びがたいより小型の又はより大型の構造物に置き換えられてもよい。
(プリズム)
図1及び図2に示すように、プリズム1062は、台形柱体である。望ましくは、プリズム1062は、等脚台形柱体である。プリズム1062の一方の傾斜側面1140は励起光ELの入射面になる。プリズム1062の幅狭の平行側面1142は気泡検出光DLの入射面になる。プリズム1062の幅広の平行側面1144は励起光ELの反射面及び気泡検出光DLの出射面になる。プリズム1062の他方の傾斜側面1146は励起光ELの出射面になる。
一方の傾斜側面1140へ入射した励起光ELが幅広の平行側面1144に反射され他方の傾斜側面1146から出射し、幅狭の平行側面1142へ入射した気泡検出光DLが幅広の平行側面1144から出射するように一方の傾斜側面1140、幅狭の平行側面1142、幅広の平行側面1144及び他方の傾斜側面1146は配置される。
プリズム1062の形状は、臨界角θc以上の入射角θ1で励起光ELを反射面へ入射させることがで、臨界角θcより小さい入射角θ2で気泡検出光DLを出射面へ入射させることができるように決められる。この条件が満たされる限り、プリズム1062が台形柱体以外でもよく、プリズム1062が「プリズム」とは呼びがたい形状物に置き換えられてもよい。例えば、プリズム1062が半円柱体であってもよく、プリズム1062が板に置き換えられてもよい。
プリズム1062は、励起光EL及び気泡検出光DLに対して透明な材質からなる誘電体媒体である。プリズム1062は、ガラス、樹脂等からなる。プリズム1062は、射出成形により作製される。プリズム1062が射出成形以外により作製されてもよい。
(金膜)
金膜1064は、薄膜である。金膜1064の膜厚は、望ましくは、30〜70nmであり、典型的には50nmである。ただし、金膜1064の膜厚がこの範囲外であってもよい。
金膜1064は、スパッタリング、蒸着、メッキ等により形成される。金膜1064が他の方法により形成されてもよい。
金膜1064が表面プラズモン共鳴を発生させる他の種類の導電体からなる膜に置き換えられてもよい。例えば、金膜1064が銀、銅、アルミニウム等の金属又はこれらの金属を含む合金からなる膜に置き換えられてもよい。
(抗体固層膜)
抗体固層膜1066は、一次抗体、抗原及び二次抗体等の反応物を反応させる反応場を形成する。抗体固層膜1066は、非流動体からなる。したがって、一次抗体液、試料液又は二次抗体液が抗体固層膜1066に接触しても、抗体固層膜1066は移動しない。
抗体固層膜1066は、ラバー製のアプリケーターによりパターニングされる。抗体固層膜1066が他の方法により形成されてもよい。
(流路形成物)
流路形成物1060には、流路1080が形成される。流路1080の一部は、流路形成物1060の表面に露出し、複合体1120により閉塞される。金膜1064の他方の主面1132は、当該流路1080の一部に面する。流路形成物1060は、接着、レーザー溶着、超音波溶着、クランプ圧着等により、複合体1120に接合される。ただし、流路形成物1060が他の方法により複合体1120に接合されてもよい。流路形成物1060が2個以上の構成物の結合物であってもよい。
流路形成物1060は、表面プラズモン励起蛍光FL及び気泡検出光DLに対して透明な材質からなる。流路形成物1060は、樹脂等からなる。流路形成物1060は、射出成形により製造される。流路形成物1060が射出成形以外により製造されてもよい。
(送液機構)
送液機構1016は、一次抗体液、試料液、二次抗体液、バッファー液等の液体を液体入口1100へ供給し、一次抗体液、試料液、二次抗体液、バッファー液等の液体を液体出口1102から回収する。一次抗体液、試料液及び二次抗体液が液体入口1100へ供給された場合は、それぞれ、流路1080が一次抗体液、試料液及び二次抗体液で満たされ、一次抗体液、試料液及び二次抗体液が抗体固層膜1066に接触する。送液機構1016が、一次抗体液、試料液、二次抗体液及びバッファー液以外の液体を供給及び回収してもよい。
送液機構1016においては、例えば、ポンプにより送液元から液体が吸引され、送液元から送液先へポンプが搬送され、ポンプにより送液先へ液体を吐出される。送液元から送液先へ至る配管に液体が流されてもよい。
液体入口1100及び液体出口1102が時により入れ替えられてもよい。液体入口1100及び液体出口1102が時により入れ替えられる場合は、液体入口1100と反応区間1092との間に気泡検出区間1090が設定されるべきであるので、液体入口1100の変化に応じて気泡検出区間1090が変化し、気泡検出区間1090の変化に応じて気泡検出光DLが向かう先も移動する。気泡検出光DLの向かう先が2個以上ある場合は、2個以上の気泡検出光用のレーザーダイオード1032が設けられてもよく、2個以上の気泡検出光用のフォトダイオード1054が設けられてもよい。
(流路への液体の供給)
図4及び図5の模式図は、一次抗体液が流路に満たされた状態を示す。図4は、気泡が流路に混入しなかった場合を示す。図5は、気泡が流路に混入した場合を示す。図6の模式図は、試料液が流路に満たされた状態を示す。図7の模式図は、二次抗体液が流路に満たされた状態を示す。
図4に示すように、一次抗体液1150が流路1080に満たされた場合は、一次抗体液1150に含まれる一次抗体1160が予め形成された抗体固層膜1066に固定される。しかし、図5に示すように、流路1080に気泡1170が混入した場合は、一次抗体1160の抗体固層膜1066への固定が阻害され、抗原の捕捉量が正確に計測されない。一次抗体1160は、望ましくは、N−エチル−N′−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)/N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)による活性化エステル法により、金膜1064の他方の主面1132に密着する自己組織化膜(SAM)の表面のカルボキシル基に固定される。抗体固層膜1066の表面のうち一次抗体1160が固定される領域は、反応場となる。
また、図6に示すように、一次抗体1160が抗体固層膜1066に固定された状態において試料液1180が流路1080に満たされた場合は、試料液1180に含まれる抗原(腫瘍マーカ等)1190と抗体固層膜1066に固定された一次抗体1160とが生化学反応又は免疫反応(抗原抗体反応)により結合し、抗原1190が抗体固層膜1066に捕捉される。ただし、流路1080に気泡1170が混入した場合は、一次抗体1160と抗原1190との結合が阻害され、抗原の捕捉量が正確に計測されない。
さらに、図7に示すように、抗原1190が抗体固層膜1066に捕捉された状態において二次抗体液1200が流路1080に満たされた場合は、抗体固層膜1066に捕捉された抗原1190と二次抗体液1200に含まれる蛍光標識化された二次抗体1210とが生化学反応又は免疫反応により結合し、抗原1190が二次抗体1210に蛍光標識される。ただし、流路1080に気泡1170が混入した場合は、抗原1190と二次抗体1210との結合が阻害され、抗原の捕捉量が正確に計測されない。蛍光標識化された二次抗体1210にエバネッセント波EFが作用した場合は、表面プラズモン励起蛍光FLが放射される。
(一次抗体液、試料液及び二次抗体液)
一次抗体液1150は、計測される抗原1190と結合し抗体固層膜1066に固定される一次抗体1160を含む。
試料液1180は、典型的には、血液等の人間からの採取物であるが、人間以外の生物からの採取物であってもよく、非生物からの採取物であってもよい。希釈、血球分離、試薬の混合等の他の前処理が採取物に対して行われてもよい。
二次抗体液1200は、計測される抗原1190と結合し蛍光標識化された二次抗体1210を含む。二次抗体1210は、蛍光を放射する蛍光標識となる化学構造を含む。
(レーザーダイオード)
図1に示すように、励起光用のレーザーダイオード1030は励起光ELを放射し、気泡検出光用のレーザーダイオード1032は、気泡検出光DLを放射する。
励起光用のレーザーダイオード1030及び気泡検出光用のレーザーダイオード1032の両方又は片方がレーザーダイオード以外の光源、例えば、発光ダイオード、水銀灯、レーザーダイオード以外のレーザー等に置き換えられてもよい。
励起光用又は気泡検出光用の光源から放射される光が平行光線でない場合は、レンズ、ミラー、スリット等により光が平行光線へ変換される。光が直線偏光でない場合は、直線偏光板等により光が直線偏光へ変換される。光が単色光でない場合は、回折格子等により光が単色光へ変換される。
励起光用のレーザーダイオード1030が気泡検出光用のレーザーダイオードを兼ねてもよい。励起光用のレーザーダイオード1030が気泡検出光用のレーザーダイオードを兼ねる場合は、励起光用のレーザーダイオード1030を移動することにより、励起光用のレーザーダイオード1030から放射される光が向かう先が気泡検出区間1090と反応区間1092との間で切り替えられる。励起光用のレーザーダイオード1030から放射される光が向かう先がミラー1036及びミラー駆動機構1038等の光学系により気泡検出区間1090と反応区間1092との間で切り替えられてもよい。
(直線偏光板)
図1に示すように、直線偏光板1034は、励起光ELの光路上に配置され、励起光用のレーザーダイオード1030から放射された励起光ELを直線偏光へ変換する。励起光ELの偏光方向は、励起光ELが反射面1144に対してp偏光になるように選択される。これにより、エバネッセント波EFのもれだしが増加し、表面プラズモン励起蛍光FLが増加し、計測の感度が向上する。
(ミラー及びミラー駆動機構)
ミラー1036は、励起光ELの光路上に配置され、直線偏光板1034を通過した励起光ELを反射する。ミラー1036により反射された励起光ELは、プリズム1062に照射される。プリズム1062に照射された光は、入射面1140へ入射し、反射面1144に反射され、出射面1146から出射する。反射面1144への励起光ELの入射角θ1は、全反射条件θc≦θ1を満たす。
ミラー駆動機構1038は、モーター、圧電アクチュエーター等の駆動力源を備え、ミラー1036を回転させ、ミラー1036の姿勢を調整する。また、ミラー駆動機構1038は、リニアステッピングモーター等の駆動力源を備え、励起光用のレーザーダイオード1030の光軸方向にミラー1036を移動させ、ミラー1036の位置を調整する。これにより、反射面1144における励起光ELの入射位置を抗体固層膜1066が定着する領域に維持したまま反射面1144への励起光ELの入射角θ1を調整できる。
(CCDセンサー)
CCDセンサー1050は、表面プラズモン励起蛍光FLの光路上に配置され、表面プラズモン励起蛍光FLの光量を測定する。CCDセンサー1050が他の形式の光量センサーに置き換えられてもよい。例えば、CCDセンサー1050が光電子増倍管等に置き換えられてもよい。
(フォトダイオード)
気泡検出光用のフォトダイオード1054は、気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光路上に配置され、気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光量を測定する。気泡検出光用のフォトダイオード1054が他の形式の光量センサーに置き換えられてもよい。例えば、気泡検出光用のフォトダイオード1054がフォトトランジスター、フォトレジスター等に置き換えられてもよい。
励起光用のフォトダイオード1052は、プリズム1062と金膜1064との界面において反射された励起光ELの光路上に配置されプリズム1062と金膜1064との界面において反射される励起光ELの光量を測定する。励起光用のフォトダイオード1052が他の形式の光量センサーに置き換えられてもよい。例えば、励起光用のフォトダイオード1052がフォトトランジスター、フォトレジスター等に置き換えられてもよい。
(ローパスフィルター)
ローパスフィルター1056は、表面プラズモン励起蛍光FLの光路上に配置される。
ローパスフィルター1056は、カットオフ波長より長い波長の光を透過し、カットオフ波長より短い波長の光を減衰させる。カットオフ波長は、励起光ELの波長から表面プラズモン励起蛍光FLの波長までの範囲内で選択される。散乱された励起光ELはローパスフィルター1056により減衰し、散乱された励起光ELのごく一部がCCDセンサー1050に到達するが、表面プラズモン励起蛍光FLはローパスフィルター1056を透過し、表面プラズモン励起蛍光FLの大部分がCCDセンサー1050に到達する。これにより、相対的に光量が小さい表面プラズモン励起蛍光FLの光量が測定される場合に相対的に光量が大きい散乱された励起光ELの影響が抑制され、計測の精度が向上する。
(状態の切り替え)
気泡が検出される状態と計測が行われる状態とが切り替えられる場合は、光を放射する光源及び光の光量を測定する光量センサーがコントローラー1018により切り替えられる。
気泡が検出される状態においては、気泡検出光用のレーザーダイオード1032から気泡検出光DLが放射され、気泡検出光DLがプリズム1062に照射される。気泡検出光DLは、プリズム1062の内部を進行し、気泡検出区間1090へ向かう。気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLは、流路形成物1060から出射し、気泡検出光用のフォトダイオード1054に入射する。気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光量は気泡検出光用のフォトダイオード1054により測定される。測定結果はコントローラー1018に転送される。
計測が行われる状態においては、励起光用のレーザーダイオード1030から励起光ELが放射され、プリズム1062に励起光ELが照射される。励起光ELは、プリズム1062の内部を進行し、反応区間1092へ向かう。表面プラズモン励起蛍光FLは、流路形成物1060から出射し、CCDセンサー1050に入射する。表面プラズモン励起蛍光FLの光量はCCDセンサー1050により測定される。測定結果はコントローラー1018に転送される。
(コントローラー)
コントローラー1018は、制御プログラムを実行する組み込みコンピューターである。1個の組み込みコンピューターがコントローラー1018の機能を担ってもよいし、2個以上の組み込みコンピューターが分担してコントローラー1018の機能を担ってもよい。ソフトウエアを伴わないハードウエアがコントローラー1018の全部又は一部の機能を担ってもよい。ハードウエアは、例えば、オペアンプ、コンパレーター等の電子回路である。コントローラー1018による処理の全部又は一部が、手作業により実行されてもよく、計測装置1000の外部において実行されてもよい。
(気泡検出部)
気泡検出部1110は、気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光量の測定結果を気泡検出光用のフォトダイオード1054から取得し、気泡検出区間1090への気泡1170の混入を検出する。気泡検出部1110は、気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光量が基準を超えて減少した場合に気泡検出区間1090に気泡1170が混入したと判定する。
典型的には、気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光量の閾値が基準になる。この場合は、気泡検出区間1090に気泡1170が混入した場合に気泡検出区間1090を透過する気泡検出光DLの光量と気泡検出区間1090に気泡1170が混入しない場合に気泡検出区間1090を透過する気泡検出光DLの光量とが事前に調べられ、前者の光量と後者の光量との間に閾値が設定される。また、気泡検出部1110は、気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光量が閾値を下回った場合に気泡検出区間1090に気泡1170が混入したと判定する。
気泡検出区間1090を透過する気泡検出光DLの光量の閾値以外が基準になってもよい。例えば、気泡検出区間1090に気泡1170が混入していないことが確認された時からの気泡検出区間1090を透過する気泡検出光DLの光量の減少量の閾値が基準であってもよい。この場合は、気泡検出区間1090に気泡1170が混入した場合の気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光量の減少量が事前に調べられ、当該減少量以下に閾値が設定される。また、気泡検出部1110は、気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光量の減少量が閾値を上回った場合に気泡検出区間1090に気泡1170が混入したと判定する。
気泡検出部1110による気泡検出区間1090への気泡1170の混入の検出は、送液機構1016及び送液制御部1112が省略され手作業により液体入口1100へ液体が供給され液体出口1102から液体が回収される場合にも有用である。
気泡検出部1110が、気泡検出区間1090への気泡1170の混入に加えて、反応区間1092への気泡1170の混入を検出してもよい。反応区間1092への気泡1170の混入が検出される場合は、気泡検出部1110は、プリズム1062と金膜1064との界面において反射された励起光ELの光量の測定結果を励起光用のフォトダイオード1052から取得し、プリズム1062と金膜1064との界面において反射された励起光ELの光量が基準を超えて増加した場合に反応区間1092に気泡1170が混入したと判定する。これにより、計測が行われる状態においても気泡1170の混入が検出される。
(送液制御部)
送液制御部1112は、気泡検出部1110の判定結果を取得し、送液機構1016を制御し、送液機構1016に液体入口1100へ液体を供給させ液体出口1102から液体を回収させる。液体の供給及び回収の処理は、気泡検出部1110の検出結果によって変化する。
(報知制御部)
報知制御部1114は、気泡検出部1110の検出結果を取得し、ディスプレイ1020を制御し、計測エラーをディスプレイ1020に報知させる。ディスプレイ1020に代えて又はディスプレイ1020に加えて、他の形式の報知機構が設けられてもよい。報知制御部1114は、当該報知機構を制御し、当該報知機構に計測エラーを報知させる。例えば、ランプ等の発光体が報知機構として設けられ、発光体の点灯、発光体の消灯、発光体の発光色の変更、発光体の点滅等により計測エラーが報知されてもよい。ブザー、スピーカー、ベル等の発音体が設けられ、エラー音の発生、エラーメッセージの発声等により計測エラーが報知されてもよい。
(計測制御部)
計測制御部1116は、表面プラズモン励起蛍光FLの光量の測定の開始及び終了を制御する。
(計測装置の動作)
図8のフローチャートは、計測装置の動作を示す。
図8に示すように、計測装置1000により計測が行われる場合は、センサーチップ1010が準備され、センサーチップ1010が計測装置1000に取り付けられる(ステップS101)。
センサーチップ1010が準備され計測装置1000に取り付けられた後に、励起光ELがプリズム1062に照射され、入射角θ1が共鳴角θrに設定される(ステップS102)。入射角θ1が共鳴角θrに設定される場合は、コントローラー1018がミラー駆動機構1038にミラー1036の姿勢及び位置を調整させ、予想される共鳴角θrの近傍で入射角θ1を走査させる。コントローラー1018は、入射角θ1の走査と並行して、反射された励起光ELの光量の測定結果を励起光用のフォトダイオード1052から取得する。コントローラー1018は、入射角θ1と反射された励起光ELの光量との関係を示すSPR曲線から反射された励起光ELの光量が極小になる入射角θ1である共鳴角θrを特定する。反射された励起光ELの光量が極小になる入射角θ1と電場増強度が極大になる入射角θ1とはわずかに異なるので、望ましくは、共鳴角θrに微小角Δθrを加算又は減算する補正が行われる。「共鳴角」の語は、当該補正が行われた後のものも含む意味で用いられる。図9のグラフは、SPR曲線及び入射角θ1と電場増強度との関係を示す。
入射角θ1が共鳴角θrに設定された後に、一次抗体1160が抗体固層膜1066へ固定され(ステップS103)、抗原1190と一次抗体1160とが結合させられ(ステップS104)、抗原1190と二次抗体1210とが結合させられる(ステップS105)。一次抗体1160が抗体固層膜1066に予め固定されたセンサーチップ1010が準備される場合は、一次抗体1160の抗体固層膜1066への固定(ステップS103)が省略される。
これらの反応が完了した後に、コントローラー1018は、表面プラズモン励起蛍光FLの光量の測定結果をCCDセンサー1050から取得し、必要な演算を行う(ステップS106)。
(一次抗体液及び二次抗体液の供給中における気泡の混入の検出)
図10のフローチャートは、一次抗体液及び二次抗体液の供給中における気泡の混入の検出の手順を示す。
図10に示すように、送液制御部1112が送液機構1016に液体(一次抗体液1150又は二次抗体液1200)を液体入口1100へ供給させた後に(ステップS121)、気泡検出部1110は、気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光量の測定結果を気泡検出光用のフォトダイオード1054から取得し、気泡検出区間1090への気泡1170の混入を検出する(ステップS122)。
気泡検出区間1090への気泡1170の混入が検出されない場合は、反応の終了後に(ステップS123)、送液制御部1112が送液機構1016に液体を液体出口1102から回収させる(ステップS124)。これにより、液体の送液が正常に完了する。
気泡検出区間1090への気泡1170の混入が検出された場合は、送液制御部1112が送液機構1016に液体を液体出口1102からいったん回収させ(ステップS125)、液体を液体入口1100へ再供給させる(ステップS126)。これにより、気泡検出区間1090に気泡1170が混入した場合に液体入口1100へ液体が再供給され、気泡1170が除去され、計測エラーが回避される。送液制御部1112が送液機構1016に液体を液体入口1100へ再供給させることに代えて、報知制御部1114がディスプレイ1020に計測エラーを報知させてもよい。例えば、反射された励起光ELの光量の異常等のために計測エラーが生じる可能性がある場合には、計測エラーが報知される。
液体が液体入口1100へ再供給された後に、気泡検出部1110は、気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光量の測定結果を気泡検出光用のフォトダイオード1054から再取得し、気泡検出区間1090への気泡1170の混入を再検出する(ステップS127)。
気泡検出区間1090への気泡1170の混入が再検出されない場合は、反応の終了後に(ステップS123)、送液制御部1112が送液機構1016に液体を液体出口1102から回収させる(ステップS124)。
気泡検出区間1090への気泡1170の混入が再検出された場合は、報知制御部1114がディスプレイ1020に計測エラーを報知させ、センサーチップ1010の交換を作業者に促す(ステップS128)。液体を再々供給せず計測エラーを報知するのは、液体が液体入口1100へ再供給されても気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光量が少ないままである場合は、気泡1170の混入ではなくごみの混入等が疑われるためである。したがって、液体が液体入口1100へ再供給されても気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光量が少ないままである場合に計測エラーを報知することは、気泡1170の混入以外の要因による計測エラーが見過ごされないようにすることに寄与する。
(試料液の供給中における気泡の混入の検出)
図11のフローチャートは、試料液の供給中における気泡の混入の検出の手順を示す。
図11に示すように、送液制御部1112が送液機構1016に試料液1180を液体入口1100へ供給させた後に(ステップS141)、気泡検出部1110は、気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光量の測定結果を気泡検出光用のフォトダイオード1054から取得し、気泡検出区間1090への気泡1170の混入を検出する(ステップS142)。
気泡検出区間1090への気泡1170の混入が検出されない場合は、反応の終了後に(ステップS143)、送液制御部1112が送液機構1016に試料液1180を液体出口1102から回収させる(ステップS144)。
気泡検出区間1090への気泡1170の混入が検出された場合は、試料液1180は再供給されず、報知制御部1114がディスプレイ1020に計測エラーを報知させる(ステップS145)。これにより、気泡検出区間1090に気泡1170が混入した場合に計測エラーが報知され、計測エラーが見過ごされない。
試料液1180が再供給されない理由は、試料液1180が抗体固層膜1066に接触していた時間、液体入口1110へ供給された試料液1180の量等により、抗体固層膜1066に捕捉される抗原1190の量が変化し、計測結果が変化するからである。ただし、単に抗原1190の有無がわかればよい場合のように、試料液1180を再供給してもよい場合もある。試料液1180を再供給してもよい場合は、一次抗体液1150及び二次抗体液1200と同様に図10のフローチャートにしたがって気泡1170の混入が検出されてもよい。
(測定中における気泡の混入の検出)
図12のフローチャートは、測定中における気泡の混入の検出の手順を示す。
計測制御部1116が表面プラズモン励起蛍光FLの光量の測定を開始させた後に(ステップS161)、気泡検出部1110は、反射された励起光ELの光量の測定結果を励起光用のフォトダイオード1052から取得し、反応区間1092への気泡1170の混入を検出する(ステップS162)。
反応区間1092への気泡1170の混入が検出されない場合は、測定が継続され、計測制御部1116が測定を正常に終了させる(ステップS163)。
反応区間1092への気泡1170の混入が検出された場合は、計測制御部1116が測定を中止させ(ステップS164)、送液制御部1112が、送液機構1016に二次抗体液1200を液体出口1102からいったん回収させ(ステップS165)、バッファー液を液体入口1100へ再供給させる(ステップS166)。これにより、反応区間1092に気泡1170が混入した場合に液体入口1100へバッファー液が再供給され、気泡1170が除去され、計測エラーが回避される。送液制御部1112が、送液機構1016にバッファー液を液体入口1100へ再供給させることに代えて、報知制御部1114がディスプレイ1020に計測エラーを報知させてもよい。
バッファー液が液体入口1100へ再供給された後に、気泡検出部1110は、反射された励起光ELの光量の測定結果を励起光用のフォトダイオード1052から再取得し、反応区間1092への気泡1170の混入を再検出する(ステップS167)。
反応区間1092への気泡1170の混入が再検出されない場合は、計測制御部1116が再測定を開始させ(ステップS168)、再測定を正常に終了させる(ステップS169)。
反応区間1092への気泡1170の混入が再検出された場合は、報知制御部1114がディスプレイ1020に計測エラーを報知させる(ステップS170)。バッファー液を再々供給せず計測エラーを報知するのは、二次抗体液1200が液体出口1102から回収された後にバッファー液が液体入口1100へ再供給されても反射された励起光ELの光量が多いままである場合は、気泡1170の混入ではなくごみの混入等が疑われるためである。したがって、バッファー液が液体入口1100へ再供給されても反射された励起光ELの光量が多いままである場合に計測エラーを報知することは、気泡1170の混入以外の要因による計測エラーが見過ごされないようにすることに寄与する。
{第2実施形態}
第2実施形態は、第1実施形態の計測装置を置き換える計測装置に関する。以下では、第1実施形態の計測装置と第2実施形態の計測装置との重要な共通点及び相違点が説明される。説明されない事項については、第1実施形態の計測装置の構成が、そのまま又は変形されてから、第2実施形態の計測装置において採用される。第2実施形態の計測装置の構成物には、第1実施形態の計測装置の対応する構成物と同じ名称が付与される。
図13の模式図は、第2実施形態の計測装置を示す。
図13に示すように、計測装置2000は、センサーチップ2010、照射機構2012、測定機構2014、送液機構2016、コントローラー2018及びディスプレイ2020を備える。第2実施形態のセンサーチップ2010、送液機構2016及びディスプレイ2020は、それぞれ、第1実施形態のセンサーチップ1010、送液機構1016及びディスプレイ1020と同じものである。
照射機構2012は、レーザーダイオード2030及びレーザーダイオード駆動機構2300を備える。
測定機構2014は、CCDセンサー2050、フォトダイオード2052、フォトダイオード駆動機構2302及びローパスフィルター2056を備える。第2実施形態のCCDセンサー2050及びローパスフィルター2056は、それぞれ、第1実施形態のCCDセンサー1050及びローパスフィルター1056と同じものである。
センサーチップ2010は、流路形成物2060、プリズム2062、金膜2064、抗体固層膜2066及びシール2068を備える。流路形成物2060には、流路2080が形成される。流路2080は、気泡検出区間2090及び反応区間2092を順に経由し液体入口2100から液体出口2102へ至る。
コントローラー2018は、気泡検出部2110を備える。
第1実施形態においては、気泡検出区間1090を透過した気泡検出光DLの光量の減少により気泡検出区間1090への気泡の混入が検出される。これに対して、第2実施形態においては、気泡検出区間2090において反射された気泡検出光DLの光量の増加により気泡検出区間2090への気泡の混入が検出される。
また、第1実施形態においては、励起光用のレーザーダイオード1030とは別に気泡検出光用のレーザーダイオード1032が設けられ、励起光用のフォトダイオード1052とは別に気泡検出光用のフォトダイオード1054が設けられる。これに対して、第2実施形態においては、レーザーダイオード2030が励起光用及び気泡検出光用を兼ね、フォトダイオード2052が励起光用及び気泡検出光用を兼ねる。ただし、第1実施形態と同じく、励起光用のレーザーダイオードと気泡検出光用のレーザーダイオードとが別個であってもよく、励起光用のフォトダイオードと気泡検出光用のフォトダイオードとが別個であってもよい。
計測が行われる場合には、レーザーダイオード2030により励起光ELがプリズム2062に照射される。プリズム2062に照射された励起光ELは、プリズム2062の内部を進行し、反応区間2092へ向かう。反応区間2092へ向かう励起光ELは、プリズム2062と金膜2064との界面で反射され、プリズム2062から出射する。プリズム2062と金膜2064との界面への励起光ELの入射角θは、臨界角θc以上であり、共鳴角θrに設定される。
励起光ELがプリズム2062に照射されている間は、抗体固層膜2066により形成される反応場から表面プラズモン励起蛍光FLが放射される。表面プラズモン励起蛍光FLの光量は、CCDセンサー2050により測定される。
気泡の混入が検出される場合は、レーザーダイオード2030により気泡検出光DLがプリズム2062に照射される。プリズム2062に照射された気泡検出光DLは、プリズム2062の内部を進行し、気泡検出区間2090へ向かう。気泡検出区間2090へ向かう気泡検出光DLは、プリズム2062と金膜2064との界面で反射され、プリズム2062から出射する。プリズム2062と金膜2064との界面への気泡検出光DLの入射角θは、臨界角θc以上であり、共鳴角θrに設定される。反射された気泡検出光DLの光量は、フォトダイオード2052により測定される。気泡検出区間2090に気泡が混入した場合は、反射される気泡検出光DLの光量が増加する。このため、反射された気泡検出光DLの光量が基準より増加した場合には、気泡検出区間2090に気泡が混入したと気泡検出部2110により判定される。
これにより、反応区間2092の上流の気泡検出区間2090への気泡の混入が検出され、反応区間2092へ気泡が到達する前に気泡の混入が検出される。反応場における反応が阻害される前に気泡の混入が検出され、気泡による反応の阻害を回避できる。また、気泡検出光DLが抗体固層膜2066に照射されず、気泡検出光DLによる抗体固層膜2066の劣化が抑制される。
気泡が検出される状態と計測が行われる状態とが切り替えられる場合は、レーザーダイオード駆動機構2300によりレーザーダイオード2030の位置及び姿勢の両方又は片方が調整され、レーザーダイオード2030から放射される光の光路が切り替えられる。光学系により光の光路が調整されてもよい。また、フォトダイオード駆動機構2302によりフォトダイオード2052の位置が調整される。
気泡検出部2110は、反射された気泡検出光DLの光量の測定結果をフォトダイオード2052から取得し、気泡検出区間2090への気泡の混入を検出する。気泡検出部2110は、反射された気泡検出光DLの光量が基準を超えて増加した場合に気泡検出区間2090に気泡が混入したと判定する。これは、気泡検出区間2090に気泡が混入した場合は、表面プラズモン共鳴(SPR)条件からのずれにより、プリズム2062と金膜2064との界面において反射される光の光量が増加することを利用している。
典型的には、反射された気泡検出光DLの光量の閾値が基準になる。この場合は、気泡検出区間2090に気泡が混入した場合に反射される気泡検出光DLの光量と気泡検出区間2090に気泡が混入しない場合に反射される気泡検出光DLの光量とが事前に調べられ、前者の光量と後者の光量との間に閾値が設定される。また、気泡検出部2110は、反射される気泡検出光DLの光量が閾値を上回った場合に気泡検出区間2090に気泡が混入したと判定する。
反射される気泡検出光DLの光量の閾値以外が基準になってもよい。例えば、気泡検出区間2090に気泡が混入していないことが確認された時からの反射された気泡検出光DLの光量の増加量の閾値が基準であってもよい。この場合は、気泡検出区間2090に気泡が混入した場合の反射された気泡検出光DLの光量の増加量が事前に調べられ、当該増加量以下に閾値が設定される。また、気泡検出部2110は、反射された気泡検出光DLの光量の増加量が閾値を上回った場合に気泡検出区間2090に気泡が混入したと判定する。
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において例示であり、この発明は上記の説明に限定されない。例示されない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定されうる。
1000,2000 計測装置
1010,2010 センサーチップ
1012,2012 照射機構
1014,2014 測定機構
1060,2060 流路形成物
1062,2062 プリズム
1064,2064 金膜
1066,2066 抗体固層膜
1080,2080 流路
1090,2090 気泡検出区間
1092,2092 反応区間
1100,2100 液体入口
1102,2102 液体出口

Claims (2)

  1. 表面プラズモン励起蛍光分光法による計測を行う計測装置であって、
    気泡検出区間及び反応区間を順に経由し液体入口から液体出口へ至る流路が形成される流路形成物と、
    誘電体媒体と、
    前記反応区間に配置され、反応物が反応する反応場を形成する反応場形成物と、
    第1の主面及び第2の主面を有し、前記第1の主面に前記誘電体媒体が密着し、前記第2の主面に前記反応場形成物が定着する導電体膜と、
    気泡の混入が検出される場合に気泡検出光を前記誘電体媒体に照射し前記気泡検出光に前記誘電体媒体の内部を進行させ前記気泡検出光を前記気泡検出区間へ向かわせ前記誘電体媒体と前記導電体膜との界面に共鳴角で前記気泡検出光を入射させ、計測が行われる場合に励起光を前記誘電体媒体に照射し前記励起光に前記誘電体媒体の内部を進行させ前記励起光を前記反応区間へ向かわせ前記誘電体媒体と前記導電体膜との界面に共鳴角で前記励起光を入射させる照射機構と、
    気泡の混入が検出される場合に前記気泡検出区間において反射された前記気泡検出光の光量を測定し、計測が行われる場合に前記反応場から放射された表面プラズモン励起蛍光の光量を測定する測定機構と、
    前記気泡検出区間において反射された前記気泡検出光の光量の測定結果を前記測定機構から取得し、前記気泡検出区間において反射された前記気泡検出光の光量が基準より増加した場合に前記気泡検出区間に気泡が混入したと判定する気泡検出部と、
    を備える計測装置。
  2. 表面プラズモン励起蛍光分光法による計測を行う方法であって、
    (a) 流路形成物、誘電体媒体、導電体膜及び反応場形成物を備え、気泡検出区間及び反応区間を順に経由し液体入口から液体出口へ至る流路が前記流路形成物に形成され、前記導電体膜が第1の主面及び第2の主面を有し、前記誘電体媒体が前記第1の主面に密着し、前記反応場形成物が前記第2の主面に定着し、前記反応場形成物が前記反応区間に配置され反応物が反応する反応場を形成する構造物を準備する工程と、
    (b) 気泡検出光を前記誘電体媒体に照射し、前記気泡検出光に前記誘電体媒体の内部を進行させ、前記気泡検出光を前記気泡検出区間へ向かわせ前記誘電体媒体と前記導電体膜との界面に共鳴角で前記気泡検出光を入射させる工程と、
    (c) 前記工程(b)と同時に前記気泡検出区間において反射された前記気泡検出光の光量を測定する工程と、
    (d)前記気泡検出区間において反射された前記気泡検出光の光量の測定結果を取得し、前記気泡検出区間において反射された前記気泡検出光の光量が基準より増加した場合に前記気泡検出区間に気泡が混入したと判定する工程と、
    (e) 励起光を前記誘電体媒体に照射し、前記励起光に前記誘電体媒体の内部を進行させ、前記励起光を前記反応区間へ向かわせ、前記誘電体媒体と前記導電体膜との界面に共鳴角で前記励起光を入射させる工程と、
    (f) 前記工程(e)と同時に前記反応場から放射される表面プラズモン励起蛍光の光量を測定する工程と、
    を備える計測を行う方法。
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