JP2008241463A - 測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】反射角度の検出結果が無駄になることを抑制することができる測定装置を提供する。
【解決手段】誘電体ブロック52に形成された薄膜57上のタンパクTaの付着領域に、複数種類のアナライト溶液とバッファー液を、各アナライト溶液毎に当該アナライト溶液をバッファー液と交互に供給することを1測定単位として連続的に供給して誘電体ブロック52と薄膜57との界面において全反射された光ビームの光強度分布を示す分布情報を取得し、取得された複数の分布情報により示される光強度分布において暗線が発生した反射角度を各々検出し、バッファー液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が許容範囲外である場合に当該許容範囲内となる他の測定単位でのバッファー液を供給した状態の反射角度を代用して、アナライト溶液を供給した状態とバッファー液を供給した状態での暗線が発生した反射角度の角度差を導出する。
【選択図】図18

Description

本発明は、測定装置に係り、特に、表面プラズモン共鳴現象を利用して検体物質の特性を測定する測定装置に関する。
従来より、表面プラズモン共鳴現象(Surface Plasmon Resonance:SPR)を利用して検体物質の特性を測定する測定装置の1つとして、表面プラズモンセンサーが知られている。
この表面プラズモンセンサーには、プリズムと、このプリズムの一面に形成され、測定対象とする検体物質が固定される金属性の薄膜層と、光ビームを発生させる光源と、光ビームをプリズムに対して、プリズムと薄膜層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの光強度分布を検出する光検出手段と、を備え、薄膜層上の検体物質の付着領域に様々な測定溶液と所定の基準溶液を、各測定溶液毎に当該測定溶液を基準溶液と交互に供給することを1測定単位として連続的に供給し、各測定溶液と基準溶液を各々個別に供給した状態で光検出手段により検出された各光強度分布から表面プラズモン共鳴現象による全反射減衰の発生により暗線が発生した反射角度を検出し、測定単位毎に測定溶液を供給した状態と基準溶液を供給した状態での暗線が発生した反射角度の角度差を導出することにより、検体物質の特性の測定を行なうものがある。
ところで、この種の測定装置では、測定溶液や基準溶液を供給した際に薄膜層上の検体物質に泡が付着して、暗線の発生する反射角度が大きく変化し、導出される角度差の測定精度が低下する場合がある。
この測定精度の低下を抑制するための技術として、本出願人は、特許文献1に、暗線が発生した反射角度が予め定められた許容範囲内である場合に測定が正常に行われていると判定し、暗線が発生した反射角度が上記許容範囲外である場合に測定が正常に行なわれていないと判定する技術を開示している。
この技術を用いて、例えば、測定溶液や基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が許容範囲外である場合に測定が正常に行なわれていないと判定し、当該反射角度が検出された測定単位の検出結果を角度差の導出対象から除外するものとした場合、測定精度の低下を抑制することができる。
特開2006−98208号公報
ところで、この種の測定装置では、基準溶液を供給した際に薄膜層上の検体物質に泡が付着して、基準溶液を供給した状態での暗線が発生した反射角度が許容範囲外となっても、測定溶液を供給したことにより泡が押し流されて、測定溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が許容範囲内となる場合がある。
しかしながら、例えば、基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が許容範囲外である場合に、当該反射角度が検出された測定単位の検出結果を角度差の導出対象から除外するものとした場合、測定溶液を供給した状態での暗線が発生した反射角度が許容範囲内にも関わらず、反射角度の検出結果が無駄になる場合がある、という問題点があった。
本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、反射角度の検出結果が無駄になることを抑制することができる測定装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、光透過性を有し、一部に薄膜層が形成されると共に当該薄膜層上に測定対象とする検体物質が付着された光透過性部材と、前記薄膜層上の前記検体物質の付着領域に、前記検体物質の特性の測定に用いる複数種類の測定溶液と測定結果の基準となる所定の基準溶液を、各測定溶液毎に当該測定溶液を前記基準溶液と交互に供給することを1測定単位として連続的に供給する供給手段と、前記測定単位毎に前記供給手段により前記測定溶液と前記基準溶液を各々個別に供給した状態で、前記光透過性部材と前記薄膜層との界面において全反射されるように複数の角度で前記光透過性部材に入射されて当該界面において全反射された光ビームの光強度分布を示す分布情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得された複数の前記分布情報により示される光強度分布において暗線が発生した反射角度を各々検出する検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づいて、前記測定単位毎に、前記基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が所定の許容範囲内である場合に前記測定溶液を供給した状態と前記基準溶液を供給した状態での暗線が発生した反射角度の角度差を導出し、前記基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が前記許容範囲外である場合に当該許容範囲内となる他の測定単位での前記基準溶液を供給した状態の反射角度を代用して前記角度差を導出する導出手段と、を備えている。
請求項1記載の発明は、光透過性を有する光透過性部材の一部に薄膜層が形成されると共に当該薄膜層上に測定対象とする検体物質が付着されており、供給手段により、薄膜層上の検体物質の付着領域に、検体物質の特性の測定に用いる複数種類の測定溶液と測定結果の基準となる所定の基準溶液が、各測定溶液毎に当該測定溶液を基準溶液と交互に供給することを1測定単位として連続的に供給され、取得手段により、測定単位毎に供給手段により測定溶液と基準溶液を各々個別に供給した状態で、光透過性部材と薄膜層との界面において全反射されるように複数の角度で前記光透過性部材に入射されて当該界面において全反射された光ビームの光強度分布を示す分布情報が取得される。
そして、本発明は、検出手段により、取得手段により取得された複数の分布情報により示される光強度分布において暗線が発生した反射角度が各々検出され、導出手段により、検出手段による検出結果に基づいて、測定単位毎に、基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が所定の許容範囲内である場合に測定溶液を供給した状態と前記基準溶液を供給した状態での暗線が発生した反射角度の角度差が導出され、前記基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が前記許容範囲外である場合に当該許容範囲内となる他の測定単位での前記基準溶液を供給した状態の反射角度を代用して前記角度差が導出される。
このように請求項1記載の発明によれば、光透過性部材に形成された薄膜層上の検体物質の付着領域に、複数種類の測定溶液と所定の基準溶液を、各測定溶液毎に当該測定溶液を基準溶液と交互に供給することを1測定単位として連続的に供給して、測定単位毎に、測定溶液と基準溶液を各々個別に供給した状態で、光透過性部材と薄膜層との界面において全反射された光ビームの光強度分布を示す分布情報を取得し、取得した複数の分布情報により示される光強度分布において暗線が発生した反射角度を各々検出し、基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が所定の許容範囲外である場合に当該許容範囲内となる他の測定単位での基準溶液を供給した状態の反射角度を代用して、測定溶液を供給した状態と基準溶液を供給した状態での暗線が発生した反射角度の角度差を導出しているので、反射角度の検出結果が無駄になることを抑制することができる。
なお、本発明の導出手段は、請求項2記載の発明ように、前記測定溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が前記許容範囲外である場合に当該反射角度が検出された測定単位における検出結果を前記角度差の導出対象から除外することが好ましい。
また、本発明は、請求項3記載の発明ように、前記薄膜層が、前記検体物質が付着された付着領域、及び前記検体物質が付着されていない未着領域が設けられ、前記取得手段が、前記光透過性部材と前記薄膜層との界面の前記付着領域及び前記未着領域において各々全反射された光ビームの光強度分布を示す分布情報を各々取得し、前記導出手段が、前記測定単位毎に、前記付着領域において前記測定溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度を前記未着領域において前記測定溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度で校正すると共に、前記付着領域及び前記付着領域において前記基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が共に所定の許容範囲内である場合に前記付着領域において前記基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度を前記未着領域において前記基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度で校正し、前記付着領域及び前記付着領域において前記基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度の何れかが所定の許容範囲外である場合に当該反射角度が検出された領域において当該許容範囲内となる他の測定単位での前記基準溶液を供給した状態の反射角度を代用して前記校正した後に前記角度差を導出してもよい。
このように、本発明によれば、光透過性部材に形成された薄膜層上の検体物質の付着領域に、複数種類の測定溶液と所定の基準溶液を、各測定溶液毎に当該測定溶液を基準溶液と交互に供給することを1測定単位として連続的に供給して、測定単位毎に、測定溶液と基準溶液を各々個別に供給した状態で、光透過性部材と薄膜層との界面において全反射された光ビームの光強度分布を示す分布情報を取得し、取得した複数の分布情報により示される光強度分布において暗線が発生した反射角度を各々検出し、基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が所定の許容範囲外である場合に当該許容範囲内となる他の測定単位での基準溶液を供給した状態の反射角度を代用して、測定溶液を供給した状態と基準溶液を供給した状態での暗線が発生した反射角度の角度差を導出しているので、反射角度の検出結果が無駄になることを抑制することができる、という効果が得られる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、以下では、本発明を表面プラズモン共鳴現象(Surface Plasmon Resonance:SPR)を利用して検体物質の特性を測定するバイオセンサーに適用した場合について説明する。
図1〜図4に示すように、本実施の形態に係るバイオセンサー10は、下部筐体11及び上部筐体12を備えている。上部筐体12は、断熱部材で構成されており、バイオセンサー10の上半分全体を覆っている。上部筐体12内と、外部及び下部筐体11内との間は、断熱されている。上部筐体12の手前側は、上方へ開放可能とされており、把手13が取り付けられている。上部筐体12の外側には、ディスプレイ14及び入力部16が設置されている。
図2は、上部筐体12を取り去って、図1の奥側からみたバイオセンサー10の内部を示す図であり、図3は筐体の内部を上面からみた図、図4は図2の手前側からみた内部の側面図である。
上部筐体12の内部には、分注ヘッド20、測定部30、試料ストック部40、ピペットチップストック部42、バッファストック部44、保冷部46、測定チップストック部48、ラジエータ60、ラジエータ送風ファン62、水平方向送風ファン64が備えられている。
試料ストック部40は、試料積層部40A及び試料セット部40Bで構成されている。試料積層部40Aには、個々のセルに検体物質の特性の測定に用いる試料として各々異なるアナライト溶液をストックする試料プレート40Pが、Z方向(鉛直方向)に積層されて収容されている。試料セット部40Bには、1枚の試料プレート40Pが、図示しない搬送機構により試料積層部40Aから搬送されてセットされる。
ピペットチップストック部42は、ピペットチップ積層部42A及びピペットチップセット部42Bで構成されている。ピペットチップ積層部42Aには、複数のピペットチップを保持するピペットチップストッカー42Pが、Z方向に積層されて収容されている。ピペットチップセット部42Bには、1枚のピペットチップストッカー42Pが、図示しない搬送機構によりピペットチップ積層部42Aから搬送されてセットされる。
バッファストック部44は、ボトル収容部44A及びバッファ供給部44Bで構成されている。ボトル収容部44Aには、測定の基準となる基準試料としてのバッファー液が貯留された複数本のボトル44Cが収容されている。バッファ供給部44Bには、バッファプレート44Pがセットされている。バッファプレート44Pは、複数筋に区画されており、各々の区画には濃度の異なるバッファー液が貯留されている。また、バッファプレート44Pの上部には、分注ヘッド20のアクセス時にピペットチップCPが挿入される孔Hが構成されている。バッファプレート44Pへは、ホース44Hによりボトル44Cからバッファ液が供給される。
バッファ供給部44Bの隣には、補正用プレート45が配置され、その隣に保冷部46が配置されている。補正用プレート45は、バッファー液の濃度調整を行うためのプレートであり、マトリクス状に複数セルが構成されている。保冷部46には、冷蔵の必要な試料が配置される。保冷部は低温とされており、この上で試料は低温状態に保たれる。
測定チップストック部48には、測定チップ収容プレート48Pがセットされている。測定チップ収容プレート48Pには、測定チップ50が複数本収納されている。
測定チップストック部48と測定部30との間には、測定チップ搬送機構49が備えられている。測定チップ搬送機構49は、測定チップ50を両側から挟み込んで保持する保持アーム49A、回転により保持アーム49AをY方向に移動させるボールねじ49B、Y方向に配置され、測定チップ50が載せられる搬送レール49C、を含んで構成されている。測定の際には、1本の測定チップ50が測定チップ搬送機構49により測定チップ収容プレート48Pから搬送レール49C上に載せられ、保持アーム49Aにより挟持されつつ測定部30へ移動してセットされる。
測定チップ50は、図5及び図6に示すように、誘電体ブロック52、流路部材54、及び、保持部材56、で構成されている。
誘電体ブロック52は、光ビームに対して透明な透明樹脂等で構成されており、断面が台形の棒状とされたプリズム部52A、及び、プリズム部52Aの両端部にプリズム部52Aと一体的に形成された被保持部52Bを備えている。プリズム部52Aの互いに平行な2面の内の広い側の上面には、金属性の薄膜57が形成されている。誘電体ブロック52は、いわゆるプリズムとして機能し、バイオセンサー10での測定の際には、プリズム部52Aの対向する互いに平行でない2つの側面の内の一方から光ビームが入射され、他方から薄膜57との界面で全反射された光ビームが出射される。
薄膜57の表面には、測定対象とする検体物質としてタンパクTaを薄膜57上に付着させるための、リンカー層57Aが形成されている。このリンカー層57A上にタンパクTaが付着される。
プリズム部52Aの両側面には、上側の端辺に沿って保持部材56と係合される係合凸部52Cが形成されている。また、プリズム部52Aの下側には、側端辺に沿って搬送レール49Cと係合されるフランジ部52Dが形成されている。
図6に示すように、流路部材54は、6個のベース部54Aを備え、ベース部54Aの各々に4本の円筒部材54Bが立設されている。ベース部54Aは、3個のベース部54A毎に、立設された円筒部材54Bのうちの1本の上部が連結部材54Dによって連結されている。流路部材54は、軟質で弾性変形可能な材料、例えば非晶質ポリオフィレンエラストマーで構成されている。このように、流路部材54を弾性変形可能な材料で構成することにより、誘電体ブロック52との密着性を高め、誘電体ブロック52との間に構成される液体流路55の密閉性を確保している。
保持部材56は、長尺とされ、上面部材56A及び2枚の側面板56Bが蓋状に構成された形状とされている。側面板56Bには、誘電体ブロック52の係合凸部52Cと係合される係合孔56C、及び、上記光ビームの光路に対応する部分に窓56Dが形成されている。保持部材56は、係合孔56Cと係合凸部52Cとが係合されて、誘電体ブロック52に取り付けられる。流路部材54は、保持部材56と一体成形されており、保持部材56と誘電体ブロック52の間に配置される。上面部材56Aには、流路部材54の円筒部材54Bに対応する位置に、受部59が形成されている。受部59は略円筒状とされている。
ベース部54Aには、図7に示すように、底面側に略S字状の2本の流路溝54Cが形成されている。流路溝54Cは、端部の各々が1の円筒部材54Bの中空部と連通されている。ベース部54Aは、底面が誘電体ブロック52の上面と密着され、流路溝54Cと誘電体ブロック52の上面との間に構成される空間と前記中空部とで、液体流路55が構成される。なお、本実施の形態に係る液体流路55の容量は、7μlとされている。
1個のベース部54Aには、2本の液体流路55が構成される。各々の液体流路55において、円筒部材54Bの上端面に液体流路55の出入口53が構成される。
ここで、2本の液体流路55のうち、1本は測定流路55Aとして用いられ、他の1本は参照流路55Rとして用いられる。測定流路55Aの薄膜57上(リンカー層57A上)にはタンパクTaを付着させ、参照流路55Rの薄膜57上(リンカー層57A上)にはタンパクTaを付着させない状態で測定が行われる。
測定流路55A及び参照流路55Rには、図7に示すように、各々光ビームL1、L2が入射される。光ビームL1、L2は、図8に示すように、ベース部54Aの中心線M上に配置されるS字の屈曲部分に照射される。以下、測定流路55Aにおける光ビームL1の照射領域を測定領域E1、参照流路55Rにおける光ビームL2の照射領域を参照領域E2という。参照領域E2は、タンパクTaが付着した測定領域E1から得られるデータを補正するための測定を行う領域である。
図9には、分注ヘッド20の詳細な構成が示されている。
分注ヘッド20は、12本の分注管20Aを備えている。各分注管20Aは、X方向と直交する矢印Y方向に沿って1列に配置されるように保持部材20Bにより保持されている。分注管20Aは、隣り合う2本で一対とされ、一方が液体供給用、他方が液体排出用とされている。分注管20Aの先端部には、ピペットチップCPが取り付けられる。ピペットチップCPは、ピペットチップストッカー42Pにストックされており、必要に応じて交換可能とされている。
図2に示すように、分注ヘッド20は、上部筐体12内の上部に設けられ、水平駆動機構22により矢印X方向に移動可能とされている。水平駆動機構22は、ボールねじ22A、モータ22B、ガイドレール22Cにより構成されている。ボールねじ22A及びガイドレール22Cは、X方向に配置されている。ガイドレール22Cは平行に2本配置され、そのうちの1本はボールねじ22Aの下側に所定間隔離れて配置されている。分注ヘッド20は、モータ22Bの回転駆動によってボールねじ22Aが回転することにより、ガイドレール22Cに沿ってX方向に移動される。このX方向移動により、分注ヘッド20は、保冷部46、補正用プレート45、バッファ供給部44B(バッファプレート44P)、測定部30(測定チップ50)、試料セット部40B(試料プレート40P)、及びピペットチップセット部42B(ピペットチップストッカー42P)に対向する位置にそれぞれ移動可能とされている。
また、図9に示すように、分注ヘッド20には、分注ヘッド20を矢印Z方向に移動させる鉛直駆動機構24が設けられている。鉛直駆動機構24は、モータ24A及びZ方向に配置された駆動軸24Bを含んで構成され、モータ24Aの回転駆動によって駆動軸24Bが回転することにより、分注ヘッド20をZ方向に移動させる。このZ方向移動により、分注ヘッド20は、ピペットチップセット部42Bにセットされたピペットチップストッカー42P、試料セット部40Bにセットされた試料プレート40P、バッファ供給部44Bにセットされたバッファプレート44P、補正用プレート45、保冷部46にセットされたプレート、及び測定部30にセットされた測定チップ50などにアクセス可能となっている。
図10に示されるように、分注ヘッド20には、吸排駆動部26が接続されている。吸排駆動部26は、第1ポンプ27、第2ポンプ28を備えている。第1ポンプ27及び第2ポンプ28は、前述の一対の分注管20Aに各々対応して設けられている。第1ポンプ27は、シリンジポンプで構成されており、第1シリンダ27A、第1ピストン27B、及び、第1ピストン27Bを駆動させる第1モータ27Cを備えている。第1シリンダ27Aは、配管27Hを介して分注ヘッド20と接続されている。また、第2ポンプ28も、シリンジポンプで構成されており、第2シリンダ28A、第2ピストン28B、及び、第2ピストン28Bを駆動させる第2モータ28Cを備えている。第2シリンダ28Aは、配管28Hを介して分注ヘッド20と接続されている。
分注ヘッド20は、第1モータ27C及び第2モータ28Cの回転駆動が各々制御されて第1ピストン27B及び第2ピストン28Bの駆動が制御されることにより、吸引、排出する溶液の液量、及び吸引、排出する際の溶液の速度が調整可能とされている。
測定時には、分注管20Aにより、測定チップ50へ試料やバッファー液が供給される。これらの液体の供給は、分注ヘッド20を、保冷部46、試料セット部40B、バッファ供給部44B上へ移動させ、液体供給用の6本の分注管20Aに取り付けられたピペットチップCPで試料やバッファー液を吸引する。このときの吸引量は、2本分の流路に供給するための量である。そして、試料やバッファー液を吸引した6本の分注管20A側のピペットチップCPを、測定チップ50の測定流路55A側の片方の出入口53(以下「供給口53A」という)へ挿入すると共に、排出用の列の6本の分注管20Aに取り付けられたピペットチップCPを他方の出入口53(以下「排出口53B」という)へ挿入する。そして、供給口53A側の分注管20Aから半量の液体を吐出すると共に、排出口53B側の分注管20Aで液体を吸入することにより行われる。続いて、参照流路55R側へも、同様にしてピペットチップCPの残り半量の液体が供給される。
一方、図4に示すように、測定部30は、光学定盤32、光出射部34、受光部36を含んで構成されている。光学定盤32には、側方向から見て、上部中央の水平平面で構成される上部台32A、上部台32Aから離れる方向に向かって低くなる出射傾斜部32B、上部台32Aを挟んで出射傾斜部32Bと逆側に配置される受光傾斜部32Cが形成されている。上部台32Aには、Y方向沿って測定チップ50がセットされるものとされている。光学定盤32の出射傾斜部32Bには、測定チップ50へ向かって光ビームL1、L2を出射する光出射部34が設置されている。また、受光傾斜部32Cには、受光部36が設置されている。光学定盤32の隣には、光学定盤32を冷却する水冷ジャケット32Jが設けられている。
図11に示すように、光出射部34には、光源34A、レンズユニット34Bが備えられている。また、受光部36には、レンズユニット36A、CCD36Bが備えられている。
光源34Aからは、発散状態の光ビームLが出射される。レンズユニット34Bは、偏光ビームスプリッタを内蔵しており、光源34Aから入射する光ビームLのP偏光成分とS偏光成分に分離し、光ビームLのP偏光成分をZ方向に対して一定の幅を持った比較的太い2本の平行な光ビームL1、L2に分ける。そして、レンズユニット34Bは、この2本の平行な光ビームL1、L2を薄膜57と誘電体ブロック52との界面の測定領域E1と参照領域E2に対して全反射角以上の種々の入射角で測定領域E1と参照領域E2において収束光状態となるように入射させる。よって、測定領域E1及び参照領域E2に入射する光ビームL1、L2は、誘電体ブロック52と薄膜57との界面において種々の反射角で全反射される。この全反射された光ビームL1、L2は、レンズユニット36Aを経てCCD36Bに結像される。CCD36Bは、全反射された2本の光ビームL1、L2を共に受光可能な面積の受光面を有するエリアセンサとされており、受光面に結像した像を示す画像情報を生成して出力する。
図12には、本実施の形態に係るバイオセンサー10の電気系の構成が示されている。
同図に示すように、バイオセンサー10は、CPU70A、ROM70B、RAM70C、HDD70D等を含んで構成され、装置全体の動作を司る制御部70と、上記モータ22Bとモータ24Aの回転駆動、及び上記第1モータ27Cと第2モータ28Cの回転駆動を制御することにより、分注ヘッド20のX方向及びZ方向への移動及び分注ヘッド20の各分注管20Aに取り付けられたピペットチップCPへの試料やバッファ液の吸引や排出を制御する分注ヘッド駆動制御部72と、保持アーム49Aを動作及びボールねじ49Bを回転させるさせる不図示のモータの回転駆動を制御することにより、測定チップ搬送機構49の動作を制御する測定チップ搬送制御部74と、CCD36Bの撮像動作の制御するCCD制御部76と、光源34Aへの電力供給を制御することにより、光源34Aの点灯を制御する点灯制御部78と、を備えている。
制御部70には、分注ヘッド駆動制御部72、測定チップ搬送制御部74、CCD制御部76、点灯制御部78、ディスプレイ14、及び入力部16が接続されている。
従って、制御部70は、分注ヘッド駆動制御部72を介した分注ヘッド20の移動及びピペットチップCPへの試料やバッファ液の吸引や排出の制御と、測定チップ搬送制御部74を介した測定チップ50の搬送の制御と、CCD制御部76を介したCCD36Bの撮像動作の制御と、点灯制御部78を介して光源34Aの点灯を制御と、ディスプレイ14への操作画面、各種メッセージ等の各種情報の表示の制御と、を各々行うことができる。また、制御部70は、入力部16に対する操作内容を把握することができる。
制御部70では、CCD制御部76を介して入力された画像情報に基づいて所定の処理を行なって、測定領域E1及び参照領域E2での屈折率変化データを導出する。
この屈折率変化データは、測定チップ50に試料及びバッファー液を個別に供給して光出射部34から光ビームLを出射させて測定領域E1及び参照領域E2に光ビームL1、L2を照射し、測定領域E1において全反射された光ビームL1の暗線が発生した反射角度と参照領域E2において全反射された光ビームL2の暗線が発生した反射角度との角度差に基づいて求められるものである。薄膜57と誘電体ブロック52との界面に特定の入射角で入射した光ビームL1、L2は、界面に表面プラズモンを励起させ、これにより、特定の入射角で入射した光ビームL1、L2の反射光の強度が鋭く低下して暗線として観察される。この暗線となる光ビームL1、L2の入射角が全反射減衰角θSPであり、バッファー液を測定チップ50に供給した場合の測定領域E1及び参照領域E2において検出される全反射減衰角θSPの角度差と、試料を測定チップ50に供給した場合の測定領域E1及び参照領域E2において検出される全反射減衰角θSPの角度差との差が屈折率変化データとなる。
次に、本実施の形態に係るバイオセンサー10の作用について説明する。
タンパクTaの特性の測定を行う場合、制御部70は、分注ヘッド駆動制御部72を介して分注ヘッド20を制御して、測定対象とする測定チップ50に分注ヘッド20から所定の濃度のバッファー液と様々な種類のアナライト溶液を交互に個別に供給させる。
また、制御部70は、測定チップ搬送制御部74を介して測定チップ搬送機構49を制御して、所定の測定周期毎に、バッファー液やアナライト溶液が供給された測定チップ50を上部台32Aに搬送して測定対象とする測定流路55Aの測定領域E1及び参照流路55Rの参照領域E2を各々光ビームL1、L2が入射する位置に配置する。そして、制御部70は、点灯制御部78を制御して光源34Aの点灯させ、光出射部34から光ビームを出射させて測定領域E1、参照領域E2の各々に、光ビームL1、L2を各々照射させる。これらの光ビームL1、L2は、測定領域E1、参照領域E2で全反射され、発散しながら誘電体ブロック52のプリズム面を通って外部に出射される。外部に出射された光ビームL1、L2は、レンズユニット36Aを経てCCD36Bの受光面に結像される。
制御部70は、CCD制御部76を介してCCD36Bの撮像動作の制御して、CCD36Bの受光面に結像した像の撮像を行わせ、当該像を示す画像情報をCCD36Bから出力させる。出力された画像情報はCCD制御部76を介して制御部70に入力する。
図13(A)には、画像情報により示される画像の一例が示されている。
同図に示されるように、画像情報により示される画像には、測定領域E1、参照領域E2で全反射された2本の光ビームL1、L2の像が含まれている。
制御部70は、画像情報が入力されると、以下の暗線位置導出処理を行う。
図14には、制御部70により実行される暗線位置導出処理の流れを示すフローチャートが示されている。以下、同図を参照して、当該暗線位置導出処理について説明する。
同図のステップ100では、画像情報により示される画像の光ビームL1の像が含まれる領域Aの画像及び光ビームL2の像が含まれる領域B(図13(A)も参照。)の画像に対してそれぞれ畳み込み演算を行なって光ビームL1、L2の1次元の光強度分布を示す分布情報をそれぞれ導出する。図13(B)には、領域Bの画像に対して畳み込み演算を行なって導出された分布情報により示される光ビームL2の1次元の光強度分布が示されている。なお、図13(B)では、横軸が反射角度方向を示しており、横軸の各位置が反射角度に対応している。
次のステップ102では、導出された各分布情報読により示される光強度分布からそれぞれ暗線位置の検出を行なうことにより、測定領域E1及び参照領域E2で全反射された光ビームの光強度分布から暗線が発生した反射角度を各々検出する。
なお、本ステップ102では、各分布情報読に対して図15(A)〜(E)に示される処理を行なうことにより暗線が発生した反射角度の検出を行なう。
すなわち、まず、分布情報により示される光強度分布(図15(A))に対して平滑化処理を行なって平滑化した光強度分布を求める(図15(B))。次に、分布情報により示される光強度分布から平滑化した光強度分布を減算して差分強度分布を導出する(図15(C))。そして、導出した差分強度分布により示される各強度に所定の閾値を加算する(図15(D))。最後に、閾値を加算した差分強度分布において強度がゼロ以下となる領域を特定し(図15(F))、強度がゼロ以下となる領域の面積の重心位置を求めることにより、暗線が発生した反射角度を検出する。
次のステップ104では、測定領域E1において暗線が発生した反射角度から参照領域E2において暗線が発生した反射角度を減算し、減算後の反射角度の角度差を示す角度差情報をHDD70Dに記憶させて、本暗線位置導出処理を終了する。このように、測定領域E1において暗線が発生した反射角度から参照領域E2において暗線が発生した反射角度を減算することにより、供給した溶液の影響による暗線が発生した反射角度の変化を校正することができる。
これにより、HDD70Dには、測定対象とする測定チップ50に分注ヘッド20から所定の濃度のバッファー液と様々な種類のアナライト溶液を交互に個別に供給されて所定の測定周期毎に求められた角度差情報が記憶される。
制御部70は、ユーザによって入力部16に対して屈折率変化データの導出を指示する所定の操作が行われると、以下の屈折率変化データ導出処理を行なって屈折率変化データを導出する。
図16には、制御部70により実行される屈折率変化データ導出処理の流れを示すフローチャートが示されている。以下、同図を参照して、当該屈折率変化データ導出処理について説明する。
同図のステップ150では、HDD70Dから測定対象とする測定チップ50の各角度差情報をそれぞれ読み出し、各角度差情報が求められた時間順に各角度差情報により示される反射角度の角度差を並べる。
図17には、測定対象とする測定チップ50に分注ヘッド20から所定の濃度のバッファー液と様々な種類のアナライト溶液を交互に個別に供給して求められた反射角度の角度差の経時的な変化の一例が示されている。なお、図17では、バッファー液とアナライト溶液の供給が切り替わるタイミングで液体流路55内の溶液が不安定となるため、ノイズが発生している。
ここで、アナライト溶液に含まれるアナライトがタンパクTaに付着すると膜厚が増加して暗線の発生する反射角度が変化するため、反射角度の角度差が変化する。また、アナライト溶液やバッファー液を供給した際に薄膜層上のタンパクTaに泡が付着した場合、暗線の発生する反射角度が大きく変化するため、反射角度の角度差が大きく変化する。
この角度差の変化は、タンパクTaにアナライトが付着した場合、例えば、100RU(1RU=1/10000゜)程度の変化であるのに対し、タンパクTaに泡が付着した場合、例えば、1000RU以上の変化であり、レベルが異なる。
次のステップ152では、上記図17のバッファー液が供給された各期間毎、及び各アナライト溶液が供給された各期間毎に、反射角度の角度差を平均化した平均角度差を求める。
図18には、バッファー液及びアナライト溶液が供給された各期間を液体流路55への1回の送液として、測定開始時から順に測定チップ50の液体流路55にバッファー液やアナライト溶液が送液された送液回数毎に平均角度差をプロットしたグラフの一例が示されている。
ここで、図18に示されるように、平均角度差のグラフでは、タンパクTaにアナライトや泡が付着した場合に暗線の発生する角度差が変化する。
次のステップ154では、各アナライト溶液をバッファー液と交互に1回ずつ供給した測定単位毎に、アナライト溶液を供給した状態とバッファー液を供給した状態での平均角度差の変化(差)を導出する。
なお、本ステップ154は、まず、測定単位毎に、アナライト溶液を供給した状態とバッファー液を供給した状態での平均角度差が所定の許容範囲内であるか否かを判定する。なお、この許容範囲は、検体物質であるタンパクTaにアナライトが付着したことによる平均角度差の変化量と、泡が付着したことによる平均角度差の変化量とに応じて、タンパクTaへのアナライトの付着と泡の付着を判別できる範囲として適宜定められる。本実施の形態では、許容範囲を、例えば、各バッファー液を供給した状態での平均角度差の平均値の±ΔS1(例えば1000RU)としている。
そして、本ステップ154では、アナライト溶液を供給した状態とバッファー液を供給した状態での平均角度差が共に上記許容範囲内である場合、アナライト溶液を供給した状態とバッファー液を供給した状態での暗線が発生した平均角度差の変化を導出する。
また、本ステップ154では、アナライト溶液を供給した状態で暗線が発生した平均角度差が上記許容範囲外である場合に当該平均角度差が検出された測定単位における検出結果を平均角度差の変化の測定対象から除外する。
また、本ステップ154では、バッファー液を供給した状態で暗線が発生した平均角度差が上記許容範囲外である場合に当該許容範囲内となる他の測定単位でのバッファー液を供給した状態の平均角度差を代用して、アナライト溶液を供給した状態とバッファー液を供給した状態での暗線が発生した平均角度差の変化を導出する。
これにより、バッファー液を供給した状態で暗線が発生した平均角度差が許容範囲外となっても、平均角度差の変化を導出することができる。
次のステップ156では、測定単位毎に導出された平均角度差の変化(差)を屈折率変化データとしてHDD70Dに記憶させて、本屈折率変化データ導出処理を終了する。
制御部70は、HDD70Dに記憶した屈折率変化データに基づいて、タンパクTaと試料Aとの反応状態を測定し、測定結果をディスプレイ14に表示させる。
以上のように本実施の形態によれば、誘電体ブロック52に形成された薄膜57上のタンパクTaの付着領域に、複数種類のアナライト溶液とバッファー液を、各アナライト溶液毎に当該アナライト溶液をバッファー液と交互に供給することを1測定単位として連続的に供給して、測定単位毎に、アナライト溶液とバッファー液を各々個別に供給した状態で、CCD36Bにより誘電体ブロック52と薄膜57との界面において全反射された光ビームの光強度分布を示す分布情報を取得し、制御部70により、取得された複数の分布情報により示される光強度分布において暗線が発生した反射角度を各々検出し、検出結果に基づいて、測定単位毎に、バッファー液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が所定の許容範囲内である場合にアナライト溶液を供給した状態とバッファー液を供給した状態での暗線が発生した反射角度の角度差を導出し、反射角度が許容範囲外である場合に当該許容範囲内となる他の測定単位でのバッファー液を供給した状態の反射角度を代用して前記角度差を導出しているので、反射角度の検出結果が無駄になることを抑制することができる。
なお、本実施の形態では、バッファー液やアナライト溶液が供給された各期間毎に、複数回検出された反射角度の角度差を平均化した平均角度差の変化を導出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、バッファー液やアナライト溶液が供給された各期間毎に反射角度を1回検出して反射角度の変化を導出してもよい。
また、本実施の形態では、測定領域E1において暗線が発生した反射角度から参照領域E2において暗線が発生した反射角度を減算することにより反射角度を校正した後に、校正後のバッファー液を供給した状態での平均角度差が許容範囲内であるか否かを判定して許容範囲外である場合に当該許容範囲内となる他の測定単位でのバッファー液を供給した状態の反射角度を代用して角度差を導出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、校正前の測定領域E1及び参照領域E2においてバッファー液を供給した状態で暗線が発生した反射角度の何れかが所定の許容範囲外である場合に当該反射角度が検出された領域において当該許容範囲内となる他の測定単位でのバッファー液を供給した状態の反射角度を代用して校正を行うものとしてもよい。
また、本実施の形態では、CCD36Bにより生成された画像情報により示される2次元の画像に対して畳み込み演算を行うことにより1次元の光強度分布を示す分布情報を取得する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、比較的細い光ビームを入射角を変化させて界面に入射させ、入射した光ビームの入射角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によって検出して光ビームの光強度分布を示す分布情報を取得するものとしてもよい。
また、本実施の形態では、分布情報により示される光強度分布から平滑化した光強度分布を減算して暗線位置を検出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、全反射減衰が発生していない状態の光ビームの光強度分布を示す基準データを予め暗線位置検出部84に記憶させておき、暗線位置検出部84が、分布情報により示される光強度分布と記憶した基準データにより示される光強度分布との差分や除算を求めることにより、差分強度分布を導出するものとしてもよい。
また、本実施の形態では、分布情報により示される光強度分布から平滑化した光強度分布を減算して暗線位置を検出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、光強度分布において暗線が発生する範囲が特定できる場合、分布情報により示される光強度分布の強度が閾値以下でかつ暗線が発生する範囲内の領域の面積から暗線位置を検出するものとしもよい。
さらに、本実施の形態の全反射減衰を利用する他の測定装置としては、漏洩モード検出器をあげることができる。漏洩モードセンサは、誘電体と、この上に順に層設されたクラッド層と光導波層とによって構成された薄膜とからなり、この薄膜の一方の面がセンサ面となり、他方の面が光入射面となる。光入射面に全反射条件を満たすように光を入射させると、その一部が前記クラッド層を透過して前記光導波層に取り込まれる。そして、この光導波層において、導波モードが励起されると、前記光入射面における反射光が大きく減衰する。導波モードが励起される入射角は、表面プラズモン共鳴角と同様に、センサ面上の媒質の屈折率に応じて変化する。この反射光の減衰を検出することにより、前記センサ面上の反応を測定することができる。
その他、本実施の形態で説明した測定装置の構成(図1〜図12参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、本実施の形態で説明した暗線位置導出処理(図14参照。)と屈折率変化データ導出処理(図16参照)の処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
実施の形態に係るバイオセンサー全体の斜視図である。 実施の形態に係るバイオセンサーの内部の斜視図である。 実施の形態に係るバイオセンサーの内部の上面図である。 実施の形態に係るバイオセンサーの内部の側面図である。 実施の形態に係る測定チップの斜視図である。 実施の形態に係る測定チップの分解斜視図である。 実施の形態に係る測定チップの測定領域及び参照領域へ光ビームが入射している状態を示す図である。 実施の形態に係る測定チップの流路部材を下側からみた図である。 実施の形態に係るバイオセンサーの分注ヘッドの鉛直駆動機構を示す斜視図である。 実施形態に係るバイオセンサーの液体吸排部の概略構成図である。 実施の形態に係るバイオセンサーの光学測定部付近の概略図である。 実施の形態に係るバイオセンサーの電気系の構成を示すブロック図である。 (A)は画像情報により示される2本の光ビームの像を含んだ画像の一例を示す図であり、(B)は光ビームの光強度分布の一例を示すグラフである。 実施の形態に係る暗線位置導出処理の流れを示すフローチャートである。 (A)〜(E)は暗線を検出する際の流れを示す図である。 実施の形態に係る屈折率データ導出処理の流れを示すフローチャートである。 バッファー液と様々な種類のアナライト溶液を交互に個別に供給して求められた反射角度の角度差の経時的な変化の一例を示すグラフである。 バッファー液及びアナライト溶液が供給された各期間毎に平均角度差をプロットしたグラフである。
符号の説明
10 バイオセンサー(測定装置)
20 分注ヘッド(供給手段)
36B CCD(取得手段)
52 誘電体ブロック(光透過性部材)
70 制御部(検出手段、導出手段)

Claims (3)

  1. 光透過性を有し、一部に薄膜層が形成されると共に当該薄膜層上に測定対象とする検体物質が付着された光透過性部材と、
    前記薄膜層上の前記検体物質の付着領域に、前記検体物質の特性の測定に用いる複数種類の測定溶液と測定結果の基準となる所定の基準溶液を、各測定溶液毎に当該測定溶液を前記基準溶液と交互に供給することを1測定単位として連続的に供給する供給手段と、
    前記測定単位毎に前記供給手段により前記測定溶液と前記基準溶液を各々個別に供給した状態で、前記光透過性部材と前記薄膜層との界面において全反射されるように複数の角度で前記光透過性部材に入射されて当該界面において全反射された光ビームの光強度分布を示す分布情報を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された複数の前記分布情報により示される光強度分布において暗線が発生した反射角度を各々検出する検出手段と、
    前記検出手段による検出結果に基づいて、前記測定単位毎に、前記基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が所定の許容範囲内である場合に前記測定溶液を供給した状態と前記基準溶液を供給した状態での暗線が発生した反射角度の角度差を導出し、前記基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が前記許容範囲外である場合に当該許容範囲内となる他の測定単位での前記基準溶液を供給した状態の反射角度を代用して前記角度差を導出する導出手段と、
    を備えた測定装置。
  2. 前記導出手段は、前記測定溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が前記許容範囲外である場合に当該反射角度が検出された測定単位における検出結果を前記角度差の導出対象から除外する
    請求項1記載の測定装置。
  3. 前記薄膜層は、前記検体物質が付着された付着領域、及び前記検体物質が付着されていない未着領域が設けられ、
    前記取得手段は、前記光透過性部材と前記薄膜層との界面の前記付着領域及び前記未着領域において各々全反射された光ビームの光強度分布を示す分布情報を各々取得し、
    前記導出手段は、前記測定単位毎に、前記付着領域において前記測定溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度を前記未着領域において前記測定溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度で校正すると共に、前記付着領域及び前記付着領域において前記基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度が共に所定の許容範囲内である場合に前記付着領域において前記基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度を前記未着領域において前記基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度で校正し、前記付着領域及び前記付着領域において前記基準溶液を供給した状態で暗線が発生した反射角度の何れかが所定の許容範囲外である場合に当該反射角度が検出された領域において当該許容範囲内となる他の測定単位での前記基準溶液を供給した状態の反射角度を代用して前記校正した後に前記角度差を導出する
    請求項1又は2記載の測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013002858A (ja) * 2011-06-14 2013-01-07 Konica Minolta Holdings Inc 計測装置及び計測方法
JP2015127719A (ja) * 2015-04-07 2015-07-09 コニカミノルタ株式会社 計測装置及び計測を行う方法

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