JP2015125093A - 卵巣癌マーカー及び卵巣癌検出方法 - Google Patents

卵巣癌マーカー及び卵巣癌検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】感度および特異度が高く、子宮内膜症との識別が容易な卵巣癌マーカー糖タンパク質、およびそれを用いた卵巣癌の検出方法を提供する
【解決手段】補体因子4結合タンパク質のα鎖を含む糖タンパク質からなるマーカーであって、該α鎖の少なくとも一つがN結合型糖鎖を少なくとも一つ有し、そして該N結合型糖鎖のうちの少なくとも一つがガラクトース数とシアル酸数を同一数含むことを特徴とする、卵巣癌マーカー。
【選択図】なし

Description

本発明は、卵巣癌マーカー及び卵巣癌検出方法に関する。具体的には、体液中の特定の糖タンパク質又はその断片からなる卵巣癌マーカー、及び卵巣癌マーカーの存在量を指標とする卵巣癌の検出方法に関する。また、対応するキット及び装置も提供される。
現在、癌の診断は内視鏡やPET、MRIといった画像診断が中心であるが、これらは患者に対する苦痛が大きく、または費用負担が大きいなどの理由で、健常人が定期的に受ける診断として必ずしも普及していないのが実情である。
自覚症状のない初期癌を発見するためには、画像診断よりも簡便でかつ費用の少ない血液検査が望ましいが、現在の癌マーカーは精度が不十分であるために、健常人が定期的に受ける健康診断では実施されていない。仮にこれを実施すると偽陽性と判定される健常者が続出し、彼らの追加検査(画像診断など)によっては病院の診断機能が麻痺してしまうためである。特に卵巣癌の診断に使われるマーカーであるCA125は子宮内膜症でも高値を示すため、再発モニターなど特別な用途にしか使われていないのが現状である。
例えば、特許文献1には、CA125卵巣癌抗原用腫瘍特異性アッセイの方法について記載されており、これを用いた卵巣癌の診断とモニターが実施されているが、非特許文献1には、卵巣癌マーカーとして利用されているCA125は妊婦で上昇する事が記載されている。また、非特許文献2には、卵巣癌マーカーとして利用されているCA125は月経で上昇する事が記載されている。
一方、血清に含まれる糖タンパク質は癌化に伴い糖鎖構造が変化することが古くから知られており、既存の卵巣癌マーカーであるCA125においても卵巣癌に伴う血液中の糖タンパク質糖鎖の構造変化を検出している。特許文献2は、特定位置のアスパラギン残基に糖鎖が付加された糖タンパク質又は糖鎖を有するその断片を上皮性卵巣癌鑑別マーカーとして使用しうることが記載され、補体因子4結合タンパク質(C4BP)を含む多くの糖タンパク質が挙げられている。
非特許文献3には、C4BP蛋白質濃度が大腸癌で増加する事が開示されているが、その糖鎖については記載されていない。
Seki K, Kikuchi Y, Uesato T, Kato K., Increased serum CA 125 levels during the first trimester of pregnancy. Acta Obstet Gynecol Scand. 1986;65(6):583-5. Waiter Mastropaolo, Zoe Fernandez, and Elgan L. Mliier, Pronounced increases in the concentration of an ovarian tumor marker, CA-125, in serum of a healthy subject during menstruation. CLIN. CHEM. 32/11, 2110-2111 (1986) Battistelli S, Stefanoni M, Lorenzi B, Dell'avanzato R, Varrone F, Pascucci A, Petrioli R, Vittoria A., Coagulation factor levels in non-metastatic colorectal cancer patients. Int J Biol Markers. 2008 Jan-Mar;23(1):36-41.
米国特許第4921790号公報 特開2012−145500号公報
本発明は、感度および特異度が高く、子宮内膜症との識別が容易な卵巣癌マーカー糖タンパク質、およびそれを用いた卵巣癌の検出方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、補体因子4結合タンパク質(C4BP)の詳細な糖鎖構造と疾患との関係を検討した結果、C4BPに結合する、ガラクトース数とシアル酸数を同一数含むN結合型糖鎖(以下、「フルシアル化糖タンパク質」と称することがある。)を卵巣癌マーカーとして用いると、卵巣癌を特異的に検出できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の要旨は、以下に存する。
(1−0)補体因子4結合タンパク質のα鎖由来のN結合型糖鎖からなる卵巣癌マーカーであって、該N結合型糖鎖がガラクトース数とシアル酸数を同一数含むことを特徴とする、卵巣癌マーカー。
(1)補体因子4結合タンパク質のα鎖を少なくとも一つ含む糖タンパク質からなる卵巣癌マーカーであって、該α鎖の少なくとも一つがN結合型糖鎖を少なくとも一つ有し、そして該N結合型糖鎖のうちの少なくとも一つがガラクトース数とシアル酸数を同一数含むことを特徴とする、卵巣癌マーカー。
(2)補体因子4結合タンパク質のα鎖のペプチド断片からなる卵巣癌マーカーであって、該ペプチド断片がN結合型糖鎖を少なくとも一つ有し、そして該N結合型糖鎖のうちの少なくとも一つがガラクトース数とシアル酸数を同一数含むことを特徴とする、卵巣癌マーカー。
(3)前記N結合型糖鎖が、2本分岐鎖または3本分岐鎖であることを特徴とする、(1)又は(2)記載の卵巣癌マーカー。
(4)前記α鎖の少なくとも一つにおいて、該α鎖におけるAsn506および/またはAsn528に前記N結合型糖鎖が結合していることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか記載の卵巣癌マーカー。ここで上記α鎖における番号付けは配列番号1の番号付けに対応する。以下、同様。
(5−1)前記N結合型糖鎖が、A3G3S3、A2G2S2、A3G3S3F1、およびA2G2S2F1、ここでAは分岐数、G はガラクトース数、Sはシアル酸数、Fはフコース数を示す、からなる群より選択されるいずれかの構造を有することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれか記載の卵巣癌マーカー。
(5−2)前記α鎖の少なくとも一つにおいて、Asn506にA3G3S3F1の構造を有するN結合型糖鎖が結合し、かつAsn528にA2G2S2の構造を有するN結合型糖鎖が結合していることを特徴とする、(4)記載のマーカー。
(6)前記卵巣癌マーカーの存在量を測定し得る試薬を含む、(1)〜(5)のいずれか記載の卵巣癌マーカーを検出するためのキット。
(7)前記卵巣癌マーカーの存在量を測定する手段を含む、(1)〜(5)のいずれか記載の卵巣癌マーカーを検出するための装置。
(8)卵巣癌を検出するための(1)〜(5)のいずれか一項記載の卵巣癌マーカーの使用。
(9−0)被検動物における卵巣癌を検出する方法であって、該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程、を含み、ここで該マーカーが補体因子4結合タンパク質のα鎖由来のN結合型糖鎖からなり、そして該N結合型糖鎖がガラクトース数とシアル酸数を同一数含む、卵巣癌検出方法。
(9)被検動物における卵巣癌を検出する方法であって、該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程、を含み、ここで該マーカーが補体因子4結合タンパク質のα鎖を少なくとも一つ含む糖タンパク質であり、該α鎖の少なくとも一つがN結合型糖鎖を少なくとも一つ有し、そして該N結合型糖鎖のうちの少なくとも一つがガラクトース数とシアル酸数を同一数含む、卵巣癌検出方法。
(10)被検動物における卵巣癌を検出する方法であって、該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程、を含み、ここで該マーカーが補体因子4結合タンパク質のα鎖のペプチド断片からなり、該ペプチド断片がN結合型糖鎖を少なくとも一つ有し、そして該N結合型糖鎖のうちの少なくとも一つがガラクトース数とシアル酸数を同一数含む、卵巣癌検出方法。
(11)前記マーカーの前記存在量または該存在量に基づく算出値が、前記被検動物が卵巣癌を有することの指標となる、(9)又は(10)記載の卵巣癌検出方法。
(12)前記算出値が、前記マーカーの存在量に基づき算出されるガラクトース数とシアル酸数を同一数含むN結合型糖鎖の存在量と、前記補体因子4結合タンパク質におけるガラクトース数よりも少ないシアル酸数を含むN結合型糖鎖の存在量との比である、(11)記載の卵巣癌検出方法。
(12−2)前記マーカーの前記存在量または該存在量に基づく算出値が、卵巣癌を有さない動物から採取された前記マーカーの存在量に基づく参照値よりも有意に高い場合に、前記被検動物が卵巣癌を有することを示す、(11)又は(12)記載の卵巣癌検出方法。
(12−3)前記マーカーの前記存在量または該存在量に基づく算出値が、予め設定されたカットオフ値よりも高い場合に、前記被検動物が卵巣癌を有することを示す、(11)又は(12)記載の卵巣癌検出方法。
(13)前記補体因子4結合タンパク質におけるガラクトース数よりも少ないシアル酸数を含むN結合型糖鎖の前記存在量が、前記マーカーの測定により同時に算出される、(12)〜(12−3)記載の卵巣癌検出方法。
(13−1)前記マーカーを測定する工程が
(a1)前記体液から全糖タンパク質を抽出する工程
(a2)該抽出された全糖タンパク質中に含まれる前記マーカーの存在量を測定する工程
を含む、(9)〜(13)のいずれか記載の卵巣癌検出方法。
(13−2)前記マーカーを測定する工程が
(b1)前記体液中の全糖タンパク質から補体因子4結合タンパク質を分離する工程
(b2)該分離された補体因子4結合タンパク質における前記マーカーの存在量および/またはガラクトース数とシアル酸数を同一数含むN結合型糖鎖の存在量を測定する工程を含む、(9)〜(13)のいずれか記載の卵巣癌検出方法。
(14)前記N結合型糖鎖が、2本分岐鎖または3本分岐鎖であることを特徴とする、(9)〜(13−2)のいずれか記載の卵巣癌検出方法。
(15)前記α鎖の少なくとも一つにおいて、該α鎖におけるAsn506および/またはAsn528に前記N結合型糖鎖が結合していることを特徴とする、(9)〜(14)のいずれか記載の卵巣癌検出方法。
(16)前記N結合型糖鎖が、A3G3S3、A2G2S2、A3G3S3F1、およびA2G2S2F1、ここでAは分岐数、G はガラクトース数、Sはシアル酸数、Fはフコース数を示す、からなる群より選択されるいずれかの構造を有することを特徴とする、(9)〜(15)のいずれか記載の卵巣癌検出方法。
(17−1)前記α鎖の少なくとも一つにおいて、Asn506にA3G3S3F1の構造を有するN結合型糖鎖が結合し、かつAsn528にA2G2S2の構造を有するN結合型糖鎖が結合している、(16)記載の卵巣癌検出方法。
(18−1)卵巣癌を有する又は卵巣癌の素因を有する被検動物における卵巣癌治療薬または予防薬による処置の効果を評価する方法であって、
1)処置前に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程、
2)処置後に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程
を含み、ここで該マーカーが補体因子4結合タンパク質のα鎖由来のN結合型糖鎖からなり、そして該N結合型糖鎖がガラクトース数とシアル酸数を同一数含み、ここで2)で得られた値が1)で得られた値よりも低い場合に、処置効果があったことを示す、評価方法。
(18−2)卵巣癌を有する又は卵巣癌の素因を有する被検動物における卵巣癌治療薬または予防薬による処置の効果を評価する方法であって、
1)処置前に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程、
2)処置後に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程
を含み、ここで該マーカーが補体因子4結合タンパク質のα鎖を少なくとも一つ含む糖タンパク質であり、該α鎖の少なくとも一つがN結合型糖鎖を少なくとも一つ有し、そして該N結合型糖鎖のうちの少なくとも一つがガラクトース数とシアル酸数を同一数含み、ここで2)で得られた値が1)で得られた値よりも低い場合に、処置効果があったことを示す、評価方法。
(18−3)卵巣癌を有する又は卵巣癌の素因を有する被検動物における卵巣癌治療薬または予防薬による処置の効果を評価する方法であって、
1)処置前に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程、
2)処置後に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程
を含み、ここで該マーカーが補体因子4結合タンパク質のα鎖のペプチド断片からなり、該ペプチド断片がN結合型糖鎖を少なくとも一つ有し、そして該N結合型糖鎖のうちの少なくとも一つがガラクトース数とシアル酸数を同一数含み、ここで2)で得られた値が1)で得られた値よりも低い場合に、効果があったことを示す、評価方法。
(19−1)卵巣癌予防薬候補化学物又は卵巣癌治療薬候補化合物を評価する方法であって、
1)該候補化合物の投与前に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程、
2)該候補化合物の投与後に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程
を含み、ここで該マーカーが補体因子4結合タンパク質のα鎖由来のN結合型糖鎖からなり、そして該N結合型糖鎖がガラクトース数とシアル酸数を同一数含み、ここで2)で得られた値が1)で得られた値よりも低い場合に、候補化合物が卵巣癌予防薬または卵巣癌治療薬として有用であることを示す、候補化合物評価方法。
(19−2)卵巣癌予防薬候補化学物又は卵巣癌治療薬候補化合物を評価する方法であって、
1)該候補化合物の投与前に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程、
2)該候補化合物の投与後に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程
を含み、ここで該マーカーが補体因子4結合タンパク質のα鎖を少なくとも一つ含む糖タンパク質であり、該α鎖の少なくとも一つがN結合型糖鎖を少なくとも一つ有し、そして該N結合型糖鎖のうちの少なくとも一つがガラクトース数とシアル酸数を同一数含み、ここで2)で得られた値が1)で得られた値よりも低い場合に、候補化合物が卵巣癌予防薬または卵巣癌治療薬として有用であることを示す、候補化合物評価方法。
(19−3)卵巣癌を有する又は卵巣癌の素因を有する被検動物における手術処置の効果を評価する方法であって、
1)該候補化合物の投与前に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程、
2)該候補化合物の投与後に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程
を含み、ここで該マーカーが補体因子4結合タンパク質のα鎖のペプチド断片からなり、該ペプチド断片がN結合型糖鎖を少なくとも一つ有し、そして該N結合型糖鎖のうちの少なくとも一つがガラクトース数とシアル酸数を同一数含み、ここで2)で得られた値が1)で得られた値よりも低い場合に、候補化合物が卵巣癌予防薬または卵巣癌治療薬として有用であることを示す、候補化合物評価方法。
(20−1)卵巣癌を有する又は卵巣癌の素因を有する被検動物における手術処置の効果を評価する方法であって、
1)処置前に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程、
2)処置後に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程
を含み、ここで該マーカーが補体因子4結合タンパク質のα鎖由来のN結合型糖鎖からなり、そして該N結合型糖鎖がガラクトース数とシアル酸数を同一数含み、ここで2)で得られた値が1)で得られた値よりも低い場合に、処置効果があったことを示す、処置効果評価方法。
(20−2)卵巣癌を有する又は卵巣癌の素因を有する被検動物における処置の効果を評価する方法であって、
1)処置前に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程、
2)処置後に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程
を含み、ここで該マーカーが補体因子4結合タンパク質のα鎖を少なくとも一つ含む糖タンパク質であり、該α鎖の少なくとも一つがN結合型糖鎖を少なくとも一つ有し、そして該N結合型糖鎖のうちの少なくとも一つがガラクトース数とシアル酸数を同一数含み、ここで2)で得られた値が1)で得られた値よりも低い場合に、処置効果があったことを示す、処置効果評価方法。
(20−3)卵巣癌を有する又は卵巣癌の素因を有する被検動物における手術処置の効果を評価する方法であって、
1)処置前に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程、
2)処置後に該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程
を含み、ここで該マーカーが補体因子4結合タンパク質のα鎖のペプチド断片からなり、該ペプチド断片がN結合型糖鎖を少なくとも一つ有し、そして該N結合型糖鎖のうちの少なくとも一つがガラクトース数とシアル酸数を同一数含み、ここで2)で得られた値が1)で得られた値よりも低い場合に、効果があったことを示す、処置効果評価方法。
(21−1)前記得られた値が、前記マーカーの前記存在量または該存在量に基づく算出値である、(18−1)〜(20−3)のいずれか記載の処置効果評価方法。
(22−1)前記算出値が、前記マーカーの存在量に基づき算出されるガラクトース数とシアル酸数を同一数含むN結合型糖鎖の存在量と、前記補体因子4結合タンパク質におけるガラクトース数よりも少ないシアル酸数を含むN結合型糖鎖の存在量との比である、(21−1)記載の処置効果評価方法。
(23−1)前記補体因子4結合タンパク質におけるガラクトース数よりも少ないシアル酸数を含むN結合型糖鎖の前記存在量が、前記マーカーの測定により同時に算出される、(22−1)記載の処置効果評価方法。
(24−1)前記マーカーを測定する工程が
(e1)前記体液から全糖タンパク質を分離する工程
(e2)該全糖タンパク質中に含まれる前記マーカーを測定する工程
を含む、(18−1)〜(23−1)のいずれか記載の処置効果評価方法。
(24−2)前記マーカーを測定する工程が
(f1)前記体液中の全糖タンパク質から補体因子4結合タンパク質を分離する工程
(f2)該分離された補体因子4結合タンパク質における前記マーカーの存在量および/またはガラクトース数とシアル酸数を同一数含むN結合型糖鎖の存在量を測定する工程を含む、(18−1)〜(23−1)のいずれか記載の処置効果評価方法。
(25−1)前記N結合型糖鎖が、2本分岐鎖または3本分岐鎖であることを特徴とする、(18−1)〜(24−2)のいずれか記載の処置効果評価方法。
(26−1)前記α鎖の少なくとも一つにおいて、該α鎖におけるAsn506および/またはAsn528に前記N結合型糖鎖が結合していることを特徴とする、(18−1)〜(25−1)のいずれか記載の処置効果評価方法。
(27−1)前記N結合型糖鎖が、A3G3S3、A2G2S2、A3G3S3F1、およびA2G2S2F1、ここでAは分岐数、G はガラクトース数、Sはシアル酸数、Fはフコース数を示す、からなる群より選択されるいずれかの構造を有することを特徴とする、(18−1)〜(26−1)のいずれか記載の処置効果評価方法。
(28−1)前記α鎖の少なくとも一つにおいて、Asn506にA3G3S3F1の構造を有するN結合型糖鎖が結合し、かつAsn528にA2G2S2の構造を有するN結合型糖鎖が結合している、(27−1)記載の処置効果評価方法。
本発明により、従来よりも感度および特異度の高い卵巣癌マーカー、卵巣癌の検出方法、および卵巣癌検出用測定キットまたは装置を提供することができる。
(a)A2G2S2及び(b)A3G3S3の糖鎖構造を示す。 A2G2S2F1の糖鎖構造を示す。ここで、Fucはフコースを指す。 A3G3S3F1の糖鎖構造を示す。ここで、Fucはフコースを指す。 実施例1で測定したピーク強度についての各種解析結果を示す。グラフの横軸はT検定におけるP値、縦軸はピーク数を示す。 ペプチドAの糖鎖構造を示す。各糖鎖構造のグラフの横軸は質量電荷比(m/z)、縦軸はピーク面積を示す。 ペプチドA及びCA125の測定値を比較した結果を示す。上段のグラフにおいて、縦軸はピーク強度を示す。 ペプチドA及びCA125の測定値について、日本人と欧米人とを比較した結果を示す。グラフにおいて、縦軸はピーク強度を示す。 初期卵巣癌の検出について、ペプチドAとCA125とを比較した結果を示す。グラフにおいて、縦軸はピーク強度を示す。 卵巣癌患者の手術前後における、血中のペプチドAとCA125の測定値の変化を比較した結果を示す。 Asn506又はAsn528に結合している糖鎖構造毎のROC値を比較した結果を示す。
<卵巣癌マーカー>
本発明は、卵巣癌マーカーであって、補体因子4結合タンパク質(C4BP)のα鎖由来のN結合型糖鎖、C4BPのα鎖を含む糖タンパク質(N結合型糖鎖を少なくとも一つ有する)、またはC4BPのα鎖由来のペプチド断片(N結合型糖鎖を少なくとも一つ有する)からなり、ここで、該N結合型糖鎖は、ガラクトース数とシアル酸数を同一数含む(フルシアル化糖鎖)、卵巣癌マーカーを提供する。
本明細書において、「卵巣癌」とは、被検動物の卵巣にできる任意の悪性新生物のことを指す。卵巣癌の例として、上皮性卵巣癌、性索間質性腫瘍、非細胞腫瘍、転移性卵巣癌が挙げられるが、これに限定されない。
本明細書において、ガラクトース数とシアル酸数を同一数含むとは、N結合型糖鎖に含まれるすべてのガラクトース残基がシアル酸と1モル:1モルで結合している状態を指す。本明細書中、前記状態であるN結合型糖鎖を、フルシアル化糖鎖と称する場合がある。シアル酸とガラクトースの結合様式は、理論的にはシアル酸の全ての水酸基とガラクトースの全ての水酸基との組み合わせの結合様式から選択され、特に限定されない。好ましくは、結合様式は、α2−3結合(シアル酸の2番目の炭素のα方向とガラクトースの3番目の炭素との結合)またはα2−6結合(シアル酸の2番目の炭素のα方向とガラクトースの6番目の炭素との結合)が望ましい。シアル酸の種類は、N-アセチルノイラミン酸、N−グリコリルノイラミン酸、デアミノノイラミン酸、2,3−デヒドロノイラミン酸、N−アセチル−2,7−アンヒドロノイラミン酸などを含むが、特に限定されない。好ましくは、シアル酸は、N−アセチルノイラミン酸が最も望ましい。なお、シアル酸の数がガラクトースの数を下回っているN結合型糖鎖は、本明細書中において非フルシアル化糖鎖と称する場合がある。
本発明におけるN結合型糖鎖とは、タンパク質のアスパラギン残基の側鎖のアミド基の窒素原子に結合する糖鎖を指す。N結合型糖鎖を構成する糖は、マンノース、ガラクトース、NアセチルDグルコサミン、シアル酸、およびフコース等が含まれるがこれに限定されない。N結合型糖鎖はマンノースを基点として分岐を形成しているものが含まれ、例えば2本分岐鎖、3本分岐鎖、4本分岐鎖等がある。本発明のN結合型糖鎖(フルシアル化糖鎖)は、好ましくは2本分岐鎖または3本分岐鎖である。本発明のフルシアル化糖鎖の具体的な構造としては、A2G2S2、A3G3S3、A2G2S2F1、A3G3S3F1などが挙げられるが、これに限定されない。ここで、Aは分岐数、Gはガラクトース数、Sはシアル酸(N−アセチルノイラミン酸)数、Fはフコース数を示す。好ましくは、N結合型糖鎖の具体的な構造は、A2G2S2、A3G3S3、A2G2S2F1、A3G3S3F1からなる群より選択される。具体的な構造の好ましい例として、図1aにA2G2S2の構造を、図1bにA3G3S3の構造を、図2にA2G2S2F1の構造を、図3にA3G3S3F1の構造を示す。なお、非フルシアル化糖鎖の具体的な構造としては、A2G2S1やA3G3S2等が挙げられる。
本明細書において、補体因子4結合タンパク質(Complement component4−Binding Protein:C4BP)は、補体系のC4が活性化されたC4bに結合して阻害し調節機能を果たす、血液に含まれるタンパク質を指す。血液中では主に7本のα鎖ポリペプチドと1本のβ鎖ポリペプチドから構成されており、Vitamin K-dependent protein Sに特異的に結合することが知られている。主に肝臓で産生され、分子量は約500kDaで血清中に約200mg/L存在する。
本発明のC4BPのα鎖およびβ鎖のアミノ酸配列はそれぞれ、例えばNCBIに登録されているような、当業者に公知の配列を含む。例えばヒトC4BPのα鎖およびβ鎖のアミノ酸配列は、典型的には配列番号1および配列番号2のアミノ酸配列からなるが、本発明の効果が得られる範囲内で変異(アミノ酸の付加、欠失、置換など)が入っていてもよい。すなわち、本発明のC4BPのα鎖は、好ましくは、配列番号1の配列または配列番号1と少なくとも90%配列同一性を有する配列からなるポリペプチドである。ここで、少なくとも90%配列同一性を有する配列においては、後述するN結合糖部位となるアスパラギン酸残基(好ましくはAsn506、Asn528、およびAsn221)の少なくとも一つは保存されている。また、本発明のC4BPのβ鎖は、好ましくは、配列番号2の配列または配列番号2と少なくとも90%配列同一性を有する配列からなるポリペプチドである。
C4BPのα鎖は、N結合糖鎖結合部位となるアスパラギン残基を有し、それぞれに糖鎖がアスパラギンとN−グリコシド結合をなしている。C4BPのα鎖に含まれるアスパラギン残基全てがN結合糖鎖結合部位となり得るが、好ましくは、本発明のC4BPのα鎖におけるN結合糖鎖結合部位となるアスパラギン残基は、Asn506、Asn528、およびAsn221であり、より好ましくはAsn506及びAsn528である。ここで、アミノ酸位置の番号付けは配列番号1の番号付けに対応し、本発明のα鎖に上記変異(特に付加又は欠失)が入っている場合は、実際のα鎖におけるN結合糖鎖結合部位となるアスパラギン残基の位置は変異に応じて変動しうる。
N結合糖鎖結合部位となるそれぞれにアスパラギン残基に結合する本発明のフルシアル化糖鎖に特に制限はなく、A2G2S2、A3G3S3、A2G2S2F1、A3G3S3F1などが挙げられる。より好ましい態様としては、C4BPのα鎖のAsn506にA2G2S2、A3G3S3若しくはA3G3S3F1が結合しており、かつ/またはC4BPのα鎖のAsn528にA2G2S2、A3G3S3若しくはA3G3S3F1が結合している。さらにより好ましい態様としては、C4BPのα鎖のAsn506にA3G3S3F1が結合し、かつC4BPのα鎖のAsn528にA2G2S2が結合している。
一つの態様において、本発明のマーカーは、上記C4BPのα鎖由来の上記フルシアル化糖鎖からなる。ここで「由来」または「由来する」とは、N結合型糖鎖が元々はC4BPのα鎖に結合していたことを指す。好ましくは、本発明のフルシアル化糖鎖からなるマーカーは、上述の通りC4BPのα鎖のAsn506又はAsn528に由来する。より好ましい態様において、本発明のフルシアル化糖鎖からなるマーカーは、C4BPのα鎖のAsn506に由来するA3G3S3、A2G2S2、A3G3S3F1、若しくはA2G2S2F1の構造を有するフルシアル化糖鎖か、又はC4BPのα鎖のAsn528に由来するA3G3S3、A2G2S2、A3G3S3F1、若しくはA2G2S2F1の構造を有するフルシアル化糖鎖である。さらにより好ましい態様において、本発明のフルシアル化糖鎖からなるマーカーは、C4BPのα鎖のAsn506由来のA3G3S3F1又はC4BPのα鎖のAsn528由来のA2G2S2である。
別の態様において、本発明のマーカーは、上記C4BPのα鎖を少なくとも一つ含む糖タンパク質(本発明のフルシアル化糖鎖を少なくとも一つ有する)からなる。すなわち、本発明のマーカーにおける糖タンパク質は、C4BPのα鎖を少なくとも一つ含む任意の糖タンパク質であればよく、C4BPに限られない。好ましくは、本発明のマーカーにおけるC4BPのα鎖を少なくとも一つ含む糖タンパク質は、上記C4BPである。より好ましくは、本発明のマーカーにおけるC4BPのα鎖を含む糖タンパク質は、配列番号1の配列または配列番号1と少なくとも90%配列同一性を有する配列(ここでN結合糖部位となるアスパラギン酸残基(好ましくはAsn506、Asn528、及びAsn221、より好ましくはAsn506及びAsn528)は保存されている)からなるα鎖ポリペプチド七つと、配列番号2の配列または配列番号2と少なくとも90%配列同一性を有する配列からなるβ鎖ポリペプチド一つとで構成されるC4BPである。
本態様において、上記糖タンパク質が有するフルシアル化糖鎖は少なくとも一つでよく、二つ以上であってもよい。好ましい態様において、本発明の糖タンパク質からなるマーカーは、C4BPのα鎖のAsn506にA3G3S3、A2G2S2、A3G3S3F1、およびA2G2S2F1からなる群より選択される構造を有するフルシアル化糖鎖が結合し、並びに/又はC4BPのα鎖のAsn528にA3G3S3、A2G2S2、A3G3S3F1、およびA2G2S2F1からなる群より選択される構造を有するフルシアル化糖鎖が結合している。さらにより好ましい態様において、本発明の糖タンパク質からなるマーカーは、C4BPのα鎖のAsn506にA3G3S3F1の構造を有するフルシアル化糖鎖が結合し、かつC4BPのα鎖のAsn528にA2G2S2構造を有するフルシアル化糖鎖が結合している。
さらに別の態様において、本発明のマーカーは、上記C4BPのα鎖のペプチド断片(本発明のフルシアル化糖鎖を少なくとも一つ有する)からなる。ここで、本発明のC4BPのα鎖のペプチド断片とは、N結合糖鎖結合部位となるアスパラギン残基を含む任意のα鎖ポリペプチドの一部分である。C4BPのα鎖のペプチド断片の具体例としては、C4BPのα鎖をトリプシン、リシルエンドペプチターゼ、及びAspN等のプロテアーゼで分解した結果生じるポリペプチドが挙げられるが、これに限定されない。
一つの態様において、本発明のC4BPのα鎖のペプチド断片からなるマーカーは、配列番号1の位置499〜位置529からなる配列、又はその配列と少なくとも90%配列同一性を有する配列(Asn506及びAsn528は保存されている)からなるフルシアル化糖鎖を少なくとも一つ有するポリペプチドである。好ましい態様において、本発明のペプチド断片からなるマーカーは、C4BPのα鎖のAsn506にA3G3S3、A2G2S2、A3G3S3F1、およびA2G2S2F1からなる群より選択される構造を有するフルシアル化糖鎖が結合し、並びに/又はC4BPのα鎖のAsn528にA3G3S3、A2G2S2、A3G3S3F1、およびA2G2S2F1からなる群より選択される構造を有するフルシアル化糖鎖が結合している。さらにより好ましい態様において、本発明のペプチド断片からなるマーカーは、C4BPのα鎖のAsn506にA3G3S3F1の構造を有するフルシアル化糖鎖が結合し、かつC4BPのα鎖のAsn528にA2G2S2構造を有するフルシアル化糖鎖が結合している。
また別の態様において、本発明のC4BPのα鎖のペプチド断片からなるマーカーは、配列番号1の位置499〜位置510又は位置511〜位置529からなる配列、又はそれらの配列と少なくとも90%配列同一性を有する配列(それぞれAsn506又はAsn528は保存されている)からなるフルシアル化糖鎖を一つ有するポリペプチドである。好ましい態様において、本発明のペプチド断片からなるマーカーは、C4BPのα鎖のAsn506にA3G3S3、A2G2S2、A3G3S3F1、およびA2G2S2F1からなる群より選択される構造を有するフルシアル化糖鎖が結合し、又はC4BPのα鎖のAsn528にA3G3S3、A2G2S2、A3G3S3F1、およびA2G2S2F1からなる群より選択される構造を有するフルシアル化糖鎖が結合している。さらにより好ましい態様において、本発明のペプチド断片からなるマーカーは、C4BPのα鎖のAsn506にA3G3S3F1の構造を有するフルシアル化糖鎖が結合し、又はC4BPのα鎖のAsn528にA2G2S2構造を有するフルシアル化糖鎖が結合している。
<卵巣癌の検出方法>
本発明はまた、被検動物における卵巣癌を検出する方法であって、被検動物から採取された体液中の、上記の本発明の卵巣癌マーカーを測定する方法(以降、本発明の卵巣癌検出方法と称することがある)を提供する。
本発明の卵巣癌検出方法は、より具体的には、上記の本発明の卵巣癌マーカーであるフルシアル化糖鎖、フルシアル化糖鎖を有する糖タンパク質、またはフルシアル化糖鎖を有するペプチド断片を測定することにより該マーカーの存在量を決定し、ここで該マーカーの存在量又は該存在量に基づく算出値が、被検動物が卵巣癌を有することの指標となる方法である。つまり、体液中から、(i)C4BPのα鎖を有すること、(ii)フルシアル化糖鎖を、糖タンパク質1分子あたり少なくとも1本以上有すること、という2つの条件を満たす糖タンパク質の存在量、または該糖タンパク質に含まれるフルシアル化糖鎖の存在量を決定し、必要に応じて解析を行なうことで検出する方法である。後述の具体的な測定方法に記載するように、上記(i)と(ii)とは、別工程として測定してもよいし、一つの工程で測定してもよく、上記(i)と(ii)の測定する順序にも特に制限はなく任意に設定することができる。
ここで、本発明の検出方法においては、必ずしも上述の本発明の卵巣癌マーカー(C4BP)全体を検出する必要はなく、本発明の卵巣癌マーカーであることが判定できればその部分構造を検出するような測定方法を用いてもよい。また、上述の本発明の卵巣癌マーカーの好ましい構造として挙げたフルシアル化糖鎖を有する糖タンパク質のうち1種を単独でマーカーとして用いることもできるが(例えばC4BPにA2G2S2が結合したフルシアル化糖タンパク質のみをマーカーとする)、それらの2種以上の混合物をマーカーとして用いる、つまり、それらの混合物の合計量を卵巣癌検出のための指標として用いることも可能である(例えばC4BPにA2G2S2が結合したフルシアル化糖タンパク質と、C4BPにA3G3S3が結合したフルシアル化糖タンパク質の合計量を卵巣癌の検出のための指標とする)。このような検出を行うことができれば、測定方法自体に特に制限はない。
本発明の方法の検体としては、被検動物から採取された体液が用いられる。体液としては、血液、リンパ液、髄液、尿及びその処理物などが用いられるが、好ましくは血液、さらに好ましくは該血液を分離して得られる血清、血漿が用いられる。また、被検動物は、卵巣癌を有する可能性がある任意の哺乳動物であり、ヒト、チンパンジー、カニクイザル、イヌ、ネコ、ラット、マウスなどが挙げられる。被検動物は、好ましくはヒトである。
本発明の卵巣癌検出方法における測定方法の具体例としては、例えば、以下の2つの方法が挙げられる。
(1)被検動物から採取された体液中の全糖タンパク質から、前記フルシアル化糖タンパク質の存在量を測定する工程を有することを特徴とする、卵巣癌検出方法。
(2)被検動物から採取された体液中の糖タンパク質から予めC4BPを分離する工程、および、分離されたC4BPに含まれる前記フルシアル化糖鎖の存在量を測定する工程を有することを特徴とする、卵巣癌検出方法。
特定の態様において、前記(1)被検動物から採取された体液中の糖タンパク質から、前記フルシアル化糖タンパク質の存在量を測定する工程を有する卵巣癌検出方法とは、本発明の検出方法におけるマーカーを測定する工程が(a1)被検動物から採取された体液から全糖タンパク質を抽出する工程、および(a2)該全糖タンパク質中に含まれる前記マーカーの存在量を測定する工程、を含む本発明の卵巣癌検出方法である。この方法は、上記(i)と(ii)とを一つの工程で測定する検出方法であり、被検動物から採取された体液中の糖タンパク質からC4BPのみを測定対象として、本発明の卵巣癌マーカーの存在量を測定する工程を有する検出方法である。またこの検出方法は、好ましくは、質量分析装置等により、本発明のマーカーであるフルシアル化糖鎖を有するC4BPのα鎖由来のペプチド断片を検出し、その存在量を測定することにより行なう。
より特定の態様において、被検動物から採取された体液に含まれる全糖タンパク質を抽出し、抽出された全糖タンパク質をプロテアーゼ等によりペプチド断片化し(以下、断片化された糖タンパク質を「糖ペプチド断片」と称する)、得られた糖ペプチド断片の混合物から、本発明のマーカーであるフルシアル化糖鎖を有するC4BPのα鎖由来のペプチド断片を質量分析装置等で検出する方法が挙げられる。断片化した糖ペプチド断片はそのまま質量分析装置で計測しても問題ないが、レクチンなどで予め濃縮することが望ましく、さらにはAALレクチン、SSAレクチン、またはECAレクチンを使って糖ペプチドを濃縮することが望ましい。質量分析装置による計測は、質量分析装置単体でも問題ないが、液体クロマトグラフィーやキャピラリー電気泳動などのクロマトグラフィーと組み合わせることが望ましい。目的の糖ペプチドの存在量を測定する方法としては、目的糖鎖ピーク面積を計測する方法が挙げられる。以下、本発明の卵巣癌マーカーを検出する方法について工程ごとに詳細に説明する。
被検動物から採取された体液から全タンパク質を取り出す工程は、体液に対し2〜10倍の溶媒を加える。溶媒はタンパク質を沈殿させるものであればどのようなものでもよく、アセトン、メタノール、エタノール、トリクロロ酢酸、塩酸水溶液などが好ましいが、アセトン、トリクロロ酢酸が特に好ましい。沈殿したタンパク質は変性後、還元アルキル化し、プロテアーゼを使いペプチド断片化する。プロテアーゼはタンパク質をペプチド断片に分解するものであればどのようなものでもよいが、トリプシン、リシルエンドペプチターゼ、またはその両方が用いることが望ましい。
分解後のペプチドはそのまま分析してもよいが、抗体やレクチンを使って糖ペプチド断片を濃縮すること、特に、本発明の卵巣癌マーカー由来の糖ペプチド断片を濃縮することが望ましい。具体的にはレクチンカラムを使って糖ペプチドを濃縮することが好ましく、特にAALレクチン、SSAレクチン、またはECAレクチンカラムを用いることが望ましい。検出方法は、濃縮した糖ペプチドの中から本発明の卵巣癌マーカー由来の糖ペプチドを選択的に検出できる分析方法であれば、どのような方法でもよいが、好ましくは液体クロマトグラフィー質量分析装置が用いられる。C4BPの標準品の分解物と照合することで、混合物の中から本発明の卵巣癌マーカー由来糖ペプチドを見分けることができる。
別の態様において、前記(2)体液中の糖タンパク質から予めC4BPを分離する工程、および、分離されたC4BPに含まれる前記フルシアル化糖タンパク質の存在量を測定する工程を有することを特徴とする、卵巣癌検出方法は、本発明の方法におけるマーカーを測定する工程が、(b1)前記体液中の全糖タンパク質からC4BPを分離する工程(C4BP分離工程(b1))、および(b2)該分離されたC4BPにおける前記マーカーの存在量を測定する工程(マーカー測定工程(b2))、を含む本発明の卵巣癌検出方法である。この方法は、上記(i)と(ii)とを二つの工程に分けて行なう検出方法である。なお、マーカー測定工程(b2)において測定されるマーカーは、C4BPのα鎖由来のフルシアル化糖鎖、フルシアル化糖鎖を少なくとも一つ有するC4BPのα鎖を少なくとも一つ含む糖タンパク質、またはフルシアル化糖鎖を少なくとも一つ有するC4BPのα鎖のペプチド断片からなるマーカーである。好ましくは、本発明のフルシアル化糖鎖からなるマーカーを測定の対象とする。
以下、前記(b1)および(b2)について工程ごとに詳細に説明する。
前記C4BP分離工程(b1)としては、C4BPを特異的に認識して、その他の糖タンパク質も含む被検動物から採取された体液からC4BPを分離し得る方法であればいずれのものでもよい。具体的には、抗C4BP抗体を用いた免疫沈降法または抗体アフィニティーカラムによりC4BPを分離する方法が挙げられる。
この(b1)工程の具体例としては、以下の方法が挙げられる。まず、アガロースビーズまたは磁気ビーズにC4BPに対する抗体を結合させる。ここで、結合の様式は共有結合でもよいし、ビオチン−アビジンによる結合でもよい。次に、抗体結合ビーズに対して被検動物から採取された体液を接触させ、ビーズ上の抗体にC4BPを結合させた後、ビーズを充分に洗浄し、さらに弱酸を用いてビーズ上の抗体からC4BPを遊離させることで、C4BPを分離する。
次に、マーカー測定工程(b2)を行なう。前記C4BP分離工程(b1)で分離されたC4BPに含まれる、本発明のフルシアル化糖鎖、フルシアル化糖鎖を有する糖タンパク質、またはフルシアル化糖鎖を有するペプチド断片からなるマーカーの存在量を測定する。以下、(b2)工程において本発明のフルシアル化糖鎖からなるマーカーの存在量を測定する場合について、より具体的に説明する。
本発明のフルシアル化糖鎖からなるマーカーを検出する方法としてはいずれのものでもよいが、例えば、前記C4BP分離工程(A)で分離されたC4BPの糖鎖部分を、グリカナーゼやヒドラジンを使って分解して遊離させた後、測定の対象とする該糖鎖部分を必要に応じて誘導体化または化学修飾して、液体クロマトグラフィー等により本発明の糖鎖部分(すなわち本発明のフルシアル化糖鎖)を分離することで、その存在量を測定することができる。
C4BPから糖鎖部分を分解する方法としては、ヒドラジン分解法や、酵素(N−グリカナーゼ)消化法等が挙げられる。これらのうち、定量的に糖鎖を切断するにはヒドラジン分解法が好ましく、例えば、Y. Otake et al., J Biochem (Tokyo)129 (2001) 537-42に記載の方法等が好ましく用いられる。ここで、ヒドラジン分解法を用いた場合には、ヒドラジン分解によって脱離したアセチル基を再アセチル化する必要があり、例えば、K. Tanabe et al., Anal.Biochem. 348 (2006) 324-6.記載の方法等を用いることができる。
上述のようにして調製した糖鎖において、検出したい糖鎖部分を標識、誘導体化する方法としては、特に限定されるものではないが、質量分析法装置を使う場合はイオン化効率を高める4級アンモニウム標識法、より具体的には、TMAPA (トリメチル(4-アミノフェニル)アンモニウムクロライド)を用いる標識方法が特に好ましい。蛍光検出器を使う場合は2-アミノピリジンにより糖鎖部分を標識することが好ましい。また、上述のようにして標識した糖鎖部分を誘導体化する方法として、標識にTMAPAを用いる場合は、例えば、M. Okamoto et al., Rapid Commun Mass Spectrom 9 (1995) 641-3.に記載の方法等が用いられ、標識に2-アミノピリジンを用いる場合はY. Otake et al., J Biochem (Tokyo) 129 (2001) 537-42に記載の方法等が用いられる。
上述のようにして、標識、誘導化された糖鎖を分離する方法としては、液体クロマトグラフィーの他、電気泳動等を用いることができるが、好ましくは液体クロマトグラフィーを用いることができる。液体クロマトグラフィーの条件は特に限定されるものではないが、逆相または順相カラムが望ましく、溶離液が安定的に送液できるものであればどのような仕様でもよく、特に限定されるものではない。
次に、本発明の糖鎖部の存在量の測定を行なうが、この方法としては、本発明の糖鎖部を選択的に検出できるものであれば、特に限定されるものではない。具体的な測定方法としては、紫外可視光吸収法、蛍光検出法、質量分析法、核磁気共鳴法、本発明の糖鎖部に特異的な抗体を用いる方法などが挙げられ、中でも、蛍光検出法や質量分析法が望ましい。
蛍光検出法を用いて検出する場合は、上述の2−アミノピリジンなどの蛍光物質で予め糖鎖を標識化する必要がある。蛍光検出法の検出条件は、検出対象とする本発明の糖鎖部を検出できるものであれば、特に限定されるものではない。2−アミノピリジンを標識化合物に使った場合は、励起光に波長280nm〜330nm、蛍光検出に波長350nm〜420nmを選択することが好ましい。
また、質量分析法を使う場合は上述の2−アミノピリジンやTMAPAにより予め糖鎖にイオン性化合物を付加することが望ましく、特にTMAPAを用いることが望ましい。質量分析法を用いて検出する場合、質量分析装置の検出範囲としては、検出対象とする本発明の糖鎖部を検出できる範囲であれば、特に限定されるものではない。イオン化法はESIの他、APCIなどでもよいが、ESIが最も好ましい。質量分析装置は四重極型、TOF型、イオントラップ型、磁場型、フーリエ変換型のいずれでもよいが、定量性の高い四重極型、感度の高いTOF型、イオントラップ型が特に好ましい。また、検出するイオンは、親イオンに限定されるものではなく、フラグメントイオン、付加イオン、2量体イオンなど関連イオンであってもよい。このようにして求められる本発明の癌マーカーの含有量を測定する方法としては、検出対象とする糖鎖(本発明の糖鎖部)に相当するピークのピーク面積を計測する方法等が挙げられる。なお、質量分析法を用いて検出する場合、液体クロマトグラフィーの機能も有するLS−MSを用いることが好ましい。
また、上述した方法の他、被検動物から採取された体液から、本発明の糖鎖部を有する糖タンパク質を分離する工程と、分離された本発明の糖鎖部をもつ糖タンパク質に含まれるC4BPの存在量を測定する工程とを含む方法を用いることもできる。すなわち、すなわち、本発明の方法におけるマーカーを測定する工程が、(c1)前記体液中の全糖タンパク質からフルシアル化糖鎖を有する糖タンパク質を分離する工程、および(c2)該分離された糖タンパク質におけるC4BPの存在量を測定する工程、を含む卵巣癌検出方法である。
(評価方法)
上述の本発明の検出方法により、被検動物から採取された体液中の本発明の卵巣癌マーカーの存在量、または本発明の卵巣癌マーカーの存在量に基づく算出値を指標として、該体液を提供した被検動物の卵巣癌の可能性を判断することができる。
「本発明の卵巣癌マーカーの存在量に基く算出値」とは、「本発明の卵巣癌マーカーの存在量」と、他の指標とを組み合わせ、算出したものをいう。「本発明の卵巣癌マーカーの存在量」と組み合わせる指標としては、卵巣癌判定の精度が上がれば特に制限されるものではないが、他の癌マーカー値、生化学検査値、特定のタンパク質量や全タンパク質量、代謝物の発現量等が挙げられ、より具体的には、体液中の総糖タンパク質量(体液中に含まれる全ての糖タンパク質の存在量の総量をいう。)、体液中のC4BPの総量(糖鎖の構造に関わらず、体液中に含まれるC4BPの存在量の総量をいう。)、質量分析または蛍光検出器で検出した全ピークの合計面積などが挙げられる。中でも、本発明の卵巣癌マーカーの存在量と、C4BPの総量との比を指標とすることや、本発明の卵巣癌マーカーの存在量と、体液中の総糖タンパク質量との比を指標とすることが好ましい。また、算出値を、体液中のC4BPにおけるフルシアル化糖鎖の存在量と非フルシアル化糖鎖の存在量との比とすることも好ましい。
組み合わせる他の指標の数は限定されないが、「本発明の卵巣癌マーカーの存在量」を含め、2〜5個が好ましく、2〜3個が特に好ましい。組み合わせの方法(計算方法)は特に限定されるものではないが、2個の指標を組み合わせるときは和、差、比や線形一次式を用いたり、3個以上の指標を組み合わせるときは、線形一次式を用いたりすることが好ましい。
本発明における卵巣癌検出方法では、卵巣癌マーカー糖タンパク質の存在量として、その絶対量を必ずしも求める必要はなく、上記測定方法などで検出された個々の卵巣癌マーカー糖タンパク質固有のピークを数値化したり、基準とするピークとの比を求めたりすることによっても求めることもできる。この具体的な方法としては、検出された各ピークの高さを数値化する方法、ピーク面積を数値化する方法等があり、液体クロマトグラフィーでは定量性を有する測定方法であるのでどちらかに限定されるものではないが、LC−MS法ではピーク面積を数値化する方法が、精度がよく、好ましい。
被検動物の卵巣癌の可能性を判断するにあたっては、例えば、被検動物の体液中の本発明の卵巣癌マーカーの存在量、または本発明の卵巣癌マーカーの存在量に基づいて算出される値を、参照値または予め設定されたカットオフ値と比較することにより行なう。
本発明における参照値とは、比較対象とする非癌動物から採取された体液中の本発明の卵巣癌マーカーの存在量、または本発明の卵巣癌マーカーの存在量のことであり、具体的には、健常者、非癌患者(糖尿病患者など)、および卵巣病変のある非癌患者(子宮内膜症、卵巣腫瘍)からなる群から選ばれる少なくとも一種の、体液中の本発明の卵巣癌マーカーの存在量、または本発明の卵巣癌マーカーの存在量のことであり、複数のサンプルの平均値を用いることが好ましい。
「本発明の卵巣癌マーカーの存在量」は、非癌動物の体液中では少ないが、卵巣癌動物の体液中では顕著に多くなる。従って、特定の態様において、本発明の卵巣癌検出方法において体液中の「本発明の卵巣癌マーカーの存在量」または該卵巣癌マーカーの存在量に基く算出値が前記参照値より有意に大きいとき又は予め設定されたカットオフ値より大きいときに、その被検動物は卵巣癌を発症している可能性が高いということができる。
また、本発明におけるカットオフ値とは、本発明の検出方法により得られた卵巣癌マーカーの存在量又は卵巣癌マーカーの存在量に基く算出値と比較して、卵巣癌を有する動物と非癌動物を区別する値を指す。好ましくは、カットオフ値は、ROC解析に基き設定される。
また、本発明の卵巣癌マーカーの卵巣癌動物における存在量は、子宮内膜症を発症している動物における存在量よりも有意に多くなるという特徴があるため、上記参照値またはカットオフ値を用いた評価手法は、卵巣癌を子宮内膜症と区別して検出する際にも好ましく用いられる。
<卵巣癌予防薬または治療薬の評価方法>
また、本発明は、卵巣癌を有する又は卵巣癌の素因を有する被検動物における卵巣癌予防薬もしくは治療薬を用いた処置の効果を評価する方法を提供する。具体的には、卵巣癌を有する又は卵巣癌の素因を有する被検動物における卵巣癌の治療薬または予防薬を用いた処置の応答性を決定する方法であって、(1)処置前に該被検動物から得られた体液中の本発明の卵巣癌マーカーの存在量を測定する工程、および(2)処置後に該被検動物から得られた体液中の本発明の卵巣癌マーカーの存在量を測定する工程、を含む、方法である。このように、卵巣癌予防薬もしくは治療薬を動物に投与した後に、該動物より採取された体液中の本発明の卵巣癌マーカーの存在量を測定し、得られた本発明の卵巣癌マーカーの存在量またはその値に基づき算出される値を指標とすることによって、該動物における卵巣癌の予防もしくは治療効果の評価を行うこともできる。
例えば、本発明の卵巣癌マーカーの存在量またはその存在量に基く算出値を、卵巣癌予防薬もしくは治療薬投与前((1)において得られた値)と投与後数日〜数ヵ月の時点((2)において得られた値)において比較し、後者における本発明の卵巣癌マーカーの存在量またはその値に基づいて算出される値が低下していれば予防または治療効果があったと判断することができる。評価対象の動物として好ましくはヒトである。
ここで用いる卵巣癌治療薬としては、例えば、シスプラチン、タキソール、カルボプラチン、パクリタキセル、ドセタキセルなどが挙げられる。
<卵巣癌予防薬又は治療薬候補化合物の評価方法>
さらに、本発明は、卵巣癌予防薬候補化学物又は卵巣癌治療薬候補化合物を評価する方法を提供する。具体的には、卵巣癌予防薬候補化学物又は卵巣癌治療薬候補化合物を評価する方法であって、(1)処置前に該被検動物から得られた体液中の本発明の卵巣癌マーカーの存在量を測定する工程、および(2)処置後に該被検動物から得られた体液中の本発明の卵巣癌マーカーの存在量を測定する工程、を含む、方法である。このように、卵巣癌予防薬または治療薬の候補化合物を動物に投与した後に該動物より採取された体液中の本発明の卵巣癌マーカーの存在量を測定し、該本発明の卵巣癌マーカーの存在量またはそれから算出される値を指標とすることによって、該候補化合物の卵巣癌の予防もしくは治療効果を評価することもできる。
例えば、本発明の卵巣癌マーカーの存在量またはその存在量に基く算出値を、候補化合物投与前((1)において得られた値)と投与後数日〜数ヵ月の時点((2)において得られた値)において比較し、後者における本発明の卵巣癌マーカーの存在量または存在量に基く算出値が低下していれば、該候補化合物は卵巣癌予防薬または治療薬の有力な候補物質であると判断することができる。
ここで用いる候補化合物としては、低分子化合物でもよいし、ペプチドやタンパク質(抗体)などであってもよい。また、評価対象の動物として好ましくはヒトである。
<卵巣癌の手術処置の効果の評価方法>
さらに、本発明は、卵巣癌を有する又は卵巣癌の素因を有する被検動物における手術処置の効果を評価する方法を提供する。具体的には、卵巣癌を有する又は卵巣癌の素因を有する被検動物における手術処置の効果を評価する方法であって、(1)処置前に該被検動物から得られた体液中の本発明の卵巣癌マーカーの存在量を測定する工程、および(2)処置後に該被検動物から得られた体液中の本発明の卵巣癌マーカーの存在量を測定する工程、を含む、方法である。このように、手術の処置前後に被検動物より採取された体液中の本発明の卵巣癌マーカーの存在量を測定し、該本発明の卵巣癌マーカーの存在量またはそれから算出される値を指標とすることによって、手術処置の効果を評価することもできる。
例えば、本発明の卵巣癌マーカーの存在量またはその存在量に基く算出値を、手術処置前((1)において得られた値)と手術処置後数日〜数ヵ月の時点((2)において得られた値)において比較し、後者における本発明の卵巣癌マーカーの存在量または存在量に基く算出値が低下していれば、手術処置が成功したと判断することができる。一方、後者における本発明の卵巣癌マーカーの存在量または存在量に基く算出値が上昇している場合、手術処置が成功しなかったか、卵巣癌の再発が疑われる。
ここで行われる手術処置は、被検動物から卵巣癌を取り除く手術であれば任意の手術処置で良い。また、評価対象の動物として好ましくはヒトである。
<卵巣癌検出用測定キットまたは装置>
本発明の卵巣癌検出用測定キットまたは卵巣癌検出用測定装置(以下、「本発明のキット」または「本発明の装置」と称する場合がある。)とは、フルシアル化糖タンパク質の存在量を測定し得る試薬を含んでいることを特徴とする、卵巣癌検出用キットまたは装置である。但し、当該フルシアル化糖タンパク質とは、糖鎖に含まれるガラクトース残基のすべてがシアル化されているN結合型糖鎖を、糖タンパク質1分子あたり少なくとも1本以上もつC4BPを表わす。
即ち、本発明のキットまたは装置は、一種類以上の本発明の卵巣癌マーカー糖タンパク質の体液中の存在量を測定し得る試薬を含むものである。このような試薬としては、C4BPを特異的に認識する抗体や、本発明の糖鎖部を特異的に認識する抗体、タンパク質をペプチド断片に分解する酵素などが挙げられる。ここで使用する抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、これらのフラグメントのいずれであってもよい。このような抗体は、C4BPや、本発明の糖鎖部あるいはタンパク質部を抗原として公知の方法により取得することができる。また、抗体に加えて、本発明の糖鎖部を特異的に認識するレクチンを加えてもよい。
本発明のキットまたは装置は、卵巣癌の検出だけではなく、卵巣癌の治療効果または予防効果の評価や、卵巣癌の治療薬または予防薬の候補化合物の評価用いることができる。
<卵巣癌を検出するための卵巣癌マーカーの使用>
本発明はまた、卵巣癌を検出するための本発明の卵巣癌マーカーの使用を提供する。好ましくは、in vitroにおける本発明の方法における使用である。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[測定条件]
血清サンプルから得られた糖ペプチドについて液体クロマトグラフィー(Agilent HP1200、Agilent technologies社製)および質量分析装置(Q-TOF 6520、Agilent technologies社製)を用いて以下の条件で測定を行なった。
液体クロマトグラフィーのカラムはイナートシルODS4(内径1.5mm,長さ100mm,粒径2μm)を用いた。溶離液にはA液:0.1%ギ酸水溶液,B液:0.1%ギ酸、90%アセトニトリル水溶液を使用し、40分間かけてB液比率を10%から56%まで直線的に変化させた後、さらに10分間B液比率を56%に維持した。カラムオーブン温度は40℃、流速は0.1ml/分とした。質量分析はネガティブモードとし、キャピラリーボルテージ:4000V,ネブライザーガス量:45psi,ドライガス10L/分(350℃)にて測定した。
ペプチド同定を目的とした前記質量分析装置を用いたMSMS測定のコリジョンエネルギーは各ペプチドに応じて20eV〜70eV間で最適化した。
[ROC解析によるAUC値]
AUC値は以下のようにして算出した。比較したいサンプルを例えば2群(グループA(非癌患者)と、グループB(卵巣癌患者))に分け、AUC値算出の対象とするマーカーのカットオフ(閾値)を0から∞に変化させたときの感度(卵巣癌患者の陽性率)および1−特異度(非癌患者群の陰性率)をプロットしてROCカーブを作成した。ROCカーブは、縦1×横1の正方形の中に描かれ、感度=1、特異度=1の場合(すなわち卵巣癌患者群を完全に非癌患者と識別できる場合)は左上の頂点を通る線となる。AUC(Area Under Curve)値とは、ROCカーブにより区切られた正方形の右下部分の面積のことである(感度=1、特異度=1のときにAUCは1となる)。
[実施例1] 卵巣癌患者および類縁疾患患者の血清中に存在するC4BPの糖鎖の検出およびフルシアル化糖タンパク質含有量の測定
インフォームドコンセントを取得した血清を東海大学、荘病院、東京大学医科学研究所バイオバンク、神奈川癌臨床研究・情報機構、KAC社、総合医科学研究所より入手した。はじめに、入手した血清サンプルを以下のグループに分類した。
グループ1:健常者グループ 44名
グループ2:健常者(月経中)グループ 19名
グループ3:子宮癌グループ 15名
グループ4:卵巣腫瘍グループ 21名
グループ5:子宮筋腫グループ 21名
グループ6:子宮内膜症グループ 36名
グループ7:卵巣癌グループ 85名
次に各患者の血清100μLに対しアセトン400μLを加えた後、12,000rpm、20分間、4℃で遠心分離(ハイマックCT1、日立工機)し、タンパク質を沈殿させた。上清を除去後、沈殿物に尿素を含む変性剤(尿素0.4g、1Mトリス塩酸バッファー(pH8.5)500μL、0.1M EDTA水溶液50μL、1M TCEP水溶液20μL、水190μL)を加え、タンパク質を変性後、ヨードアセトアミド180mgにより還元アルキル化を行った。変性剤、還元剤を除去後、トリプシンを添加してタンパク質をペプチド断片化し、それをAALレクチンカラムによりフコース含有糖ペプチドを濃縮した。調整したフコース含有糖ペプチド断片を、上述の条件で、液体クロマトグラフィー(Agilent HP1200、Agilent technologies社製)・質量分析装置(Q-TOF 6520、Agilent technologies社製)(以下、「LC−MS」と称することがある。)を用いて分析し、各血清に含まれるすべての糖ペプチド断片の構造を解析した。まず、全ピークについてグループ1〜6とグループ7に対するT検定を行い、P値が10−8以下のピーク2517個を抽出した。次ぎにこれらのピークを対象にグループ1〜6のピーク強度の平均値に対し、グループ7のピーク強度の平均値が4倍以上のピーク193個を抽出した。次ぎにこれらのピークを対象にROC解析を実施し、AUCが84%以上のピーク1個を抽出した(図4)。
このピークを液体クロマトグラフィーで単離後、MSMS解析し、マスコットデータベース検索(Mascot Database:http://www.matrixscience.com/)をしたところC4BP由来のペプチド(配列番号1のアミノ酸配列の499番目から529番目まで)であることがわかった。また本糖ペプチドと、糖鎖を脱離させたペプチドの質量数差、および糖鎖解析から、本ペプチドにはA3G3S3F1とA2G2S2が結合していることが推測され、さらにペプチド分解酵素GluCによるペプチド切断によってAsn506にはA3G3S3F1が、Asn528にはA2G2S2が結合していることがわかった(図5)。ここで、本糖ペプチドのペプチド部(糖鎖が結合していない状態)の質量数は3314.5であるが、システイン残基がアセトアミド化されたペプチドの質量数は3428.5となる。糖鎖部の質量数はそれぞれ、Asn506に結合するA3G3S3Fの質量数が3025.1,Asn528に結合するA2G2S2の質量数が2222.8であり、これらが脱水縮合して生成する本糖ペプチドの質量数は8640.4である。4価イオンとして検出した場合、m/zは2159.1であったが、さらにカーボン12がカーボン13に置き換わった同位体イオン(m/z=2159.3,2159.6,2159.8,2160.1,2160.3,2160.6など)も検出された。また、3価イオンとして検出した場合のm/zは2879.1であったが、カーボン12がカーボン13に置き換わったイオン(m/z=2879.4,2879.8,2880.1,2880.4,2880.8,2881.1など)も検出された。なお、これらの質量数は、ネガティブモードで検出したものである。
本糖ペプチドを以後ペプチドAと称する。各グループにおけるペプチドAの発現量(上記LC−MS解析で測定されたピーク強度:各m/zにおけるクロマトグラムを抽出(エクストラクテッド・イオンクロマトグラム)後、ピーク形状をスムージングし、ピーク始点から終点までの積分強度をピーク強度とした。)と既存卵巣癌マーカーCA125の発現量(CLIA (Chemiluminescent Immuno Assay)法にて測定)とを比較した(図6上段)。また、グループ1〜6の各群とグループ7(卵巣癌患者)とのROC解析をペプチドAの発現量とCA125の発現量それぞれについて行い、個々のAUC値を比較した。その結果、ペプチドAはすべてのグループにおいてCA125を上回り、特にCA125では困難な子宮内膜症との識別が可能だった。
[実施例2] 日本人と欧米人との比較
実施例1で用いたグループ1(健常者)44名を、日本人30名と欧米人14名に分け、さらにグループ7(卵巣癌患者)85名を、日本人71名と欧米人14名に分けて、日本人と訪米人それぞれについて健常者と卵巣癌患者のペプチドAの発現量(実施例1におけるピーク強度)を比較した(図7)。
その結果、ペプチドAは人種の差によらず、卵巣癌患者では健常者に比べて値が増加することがわかった。
[実施例3]初期卵巣癌の検出
実施例1で用いたグループ7(卵巣癌患者)の85名の中のステージ1(初期癌)の患者20名を抽出し、健常者44名と比較した。
その結果、卵巣癌中のペプチドAの発現量(実施例1におけるピーク強度)は健常者に対して有意に上昇しており、その判別能(ROC解析AUC値=0.88)はCA125(AUC=0.84)を上回った(図8)。
[実施例4]治療応答のモニター
実施例1で用いたグループ7(卵巣癌患者)の85名の中から手術により卵巣癌を取り除いた患者16名を抽出し、治療前後のペプチドAの変動を調べた。その結果、多くの患者でペプチドAの発現量(実施例1におけるピーク強度)は治療後に減少することがわかり、治療応答モニターに有用なマーカーであることがわかった。16名の中の患者Aは手術により完全に卵巣癌を取り除いたものの、卵巣癌を再発した患者である。また患者Bは手術により完全に癌を切除できなかった患者である。患者A,BについてはCA125が減少したものの、ペプチドAの発現量(実施例1におけるピーク強度)は減少しなかった(図9)。
[実施例5]C4BP糖鎖の卵巣癌マーカーとしての特徴
ペプチドAはAsn506にA3G3S3F1が、Asn528にA2G2S2が結合した糖ペプチドである。本糖ペプチドのどの構造に卵巣癌マーカーとしての特徴があるかを、他のC4BP由来の糖ペプチドと比較することで明らかにした。
ペプチドAは1ペプチド中に2糖鎖存在するために解析が困難である。よって実施例1に加え、さらにペプチド分解酵素AspNによる分解を行い、C4BPを完全に1ペプチド1糖鎖になるまで分解した。なお、AspNによる分解により、ペプチドAからは2種のアミノ酸配列を有するペプチドが生成される(配列番号1のアミノ酸配列の499番目から510番目までと配列番号1のアミノ酸配列の位置511から位置529まで)。
そして被検者を
グループ1:健常者(妊婦)10名 +子宮内膜症患者 20名 計30名
グループ2:卵巣癌患者 20名
に分け、個々のC4BP関連糖ペプチドが、どのようにグループ1と2を判別するかをROC解析により評価した。
その結果、C4BP由来の糖ペプチドを10本検出した。各糖ペプチドのピーク強度を用いてROC解析の結果、ガラクトース残基がすべてシアル化されている糖ペプチドのAUC値がすべてCA125のAUC値(0.65)を上回ったのに対し、ガラクトース残基の一部がシアル化された糖ペプチドはすべてCA125のAUC値を下回ることが明らかになった。フコースの付加の有無、分岐数、糖鎖結合位置(Asn506、Asn528)はAUC値に影響しなかった。よってペプチドAを卵巣癌マーカーとして特徴づけている要因はC4BPタンパク質の糖鎖に含まれるガラクトースがすべてシアル化(フルシアル化)されていることと結論づけた(図10)。

Claims (16)

  1. 補体因子4結合タンパク質のα鎖を少なくとも一つ含む糖タンパク質からなる卵巣癌マーカーであって、該α鎖の少なくとも一つがN結合型糖鎖を少なくとも一つ有し、そして該N結合型糖鎖のうちの少なくとも一つがガラクトース数とシアル酸数を同一数含むことを特徴とする、卵巣癌マーカー。
  2. 補体因子4結合タンパク質のα鎖のペプチド断片からなる卵巣癌マーカーであって、該ペプチド断片がN結合型糖鎖を少なくとも一つ有し、そして該N結合型糖鎖のうちの少なくとも一つがガラクトース数とシアル酸数を同一数含むことを特徴とする、卵巣癌マーカー。
  3. 前記N結合型糖鎖が、2本分岐鎖または3本分岐鎖であることを特徴とする、請求項1又は2記載の卵巣癌マーカー。
  4. 前記α鎖の少なくとも一つにおいて、該α鎖におけるAsn506および/またはAsn528に前記N結合型糖鎖が結合していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の卵巣癌マーカー。
  5. 前記N結合型糖鎖が、A3G3S3、A2G2S2、A3G3S3F1、およびA2G2S2F1、ここでAは分岐数、G はガラクトース数、Sはシアル酸数、Fはフコース数を示す、からなる群より選択されるいずれかの構造を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の卵巣癌マーカー。
  6. 前記卵巣癌マーカーの存在量を測定し得る試薬を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の卵巣癌マーカーを検出するためのキット。
  7. 前記卵巣癌マーカーの存在量を測定する手段を含む、請求項1〜5のいずれか一項記載の卵巣癌マーカーを検出するための装置。
  8. 卵巣癌を検出するための請求項1〜5のいずれか一項記載の卵巣癌マーカーの使用。
  9. 被検動物における卵巣癌を検出する方法であって、
    該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程、
    を含み、
    ここで該マーカーが補体因子4結合タンパク質のα鎖を少なくとも一つ含む糖タンパク質であり、該α鎖の少なくとも一つがN結合型糖鎖を少なくとも一つ有し、そして該N結合型糖鎖のうちの少なくとも一つがガラクトース数とシアル酸数を同一数含む、
    卵巣癌検出方法。
  10. 被検動物における卵巣癌を検出する方法であって、
    該被検動物から採取された体液中のマーカーの存在量を測定する工程、
    を含み、
    ここで該マーカーが補体因子4結合タンパク質のα鎖のペプチド断片からなり、該ペプチド断片がN結合型糖鎖を少なくとも一つ有し、そして該N結合型糖鎖のうちの少なくとも一つがガラクトース数とシアル酸数を同一数含む、
    卵巣癌検出方法。
  11. 前記マーカーの前記存在量または該存在量からの算出値が、前記被検動物が卵巣癌を有することの指標となる、請求項9又は10記載の卵巣癌検出方法。
  12. 前記算出値が、前記マーカーの存在量から算出されるガラクトース数とシアル酸数を同一数含むN結合型糖鎖の存在量と、前記補体因子4結合タンパク質におけるガラクトース数よりも少ないシアル酸数を含むN結合型糖鎖の存在量との比である、請求項11記載の卵巣癌検出方法。
  13. 前記補体因子4結合タンパク質におけるガラクトース数よりも少ないシアル酸数を含むN結合型糖鎖の前記存在量が、前記マーカーの測定により同時に算出される、請求項12記載の卵巣癌検出方法。
  14. 前記N結合型糖鎖が、2本分岐鎖または3本分岐鎖であることを特徴とする、請求項9〜13のいずれか一項記載の卵巣癌検出方法。
  15. 前記α鎖の少なくとも一つにおいて、該α鎖におけるAsn506および/またはAsn528に前記N結合型糖鎖が結合していることを特徴とする、請求項9〜14のいずれか一項記載の卵巣癌検出方法。
  16. 前記N結合型糖鎖が、A3G3S3、A2G2S2、A3G3S3F1、およびA2G2S2F1、ここでAは分岐数、G はガラクトース数、Sはシアル酸数、Fはフコース数を示す、からなる群より選択されるいずれかの構造を有することを特徴とする、請求項9〜15のいずれか一項記載の卵巣癌検出方法。
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