JP2012145500A - 上皮性卵巣癌鑑別マーカー - Google Patents

上皮性卵巣癌鑑別マーカー Download PDF

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Abstract

【課題】安価で、簡便に、かつ低侵襲的に、そして高い正診率で上皮性卵巣癌を検出することのできる上皮性卵巣癌鑑別マーカーとそれを用いた上皮性卵巣癌罹患判定方法の開発及び提供を目的とする。
【解決手段】上皮性卵巣癌細胞が分泌する、特定位置のアスパラギン残基に糖鎖が付加された糖タンパク質を、又は糖鎖を有するその断片を上皮性卵巣癌鑑別マーカーとして提供する。また、その糖タンパク質を用いて、上皮性卵巣癌罹患判定する方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本願発明は、上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質又は糖鎖を有するその断片、及びそれを用いた上皮性卵巣癌の罹患を判定する方法に関する。
卵巣癌は、婦人科癌の中では乳癌に次いで発生率が高い癌である。卵巣癌は、発症初期段階の自覚症状がほとんどないことから早期発見が困難であり、発見時には既に症状が進行していることが多い。それ故、予後は不良であり、婦人科癌の中では最も死亡率が高い。
卵巣癌は、発症部位により、卵巣の表層上皮細胞から発生する表層上皮性・間質性腫瘍(上皮性卵巣癌)や胚細胞から発生する胚細胞腫瘍等が知られている。このうち上皮性卵巣癌が全卵巣癌約90%を占め、特に40代以降の中高年に多く見られる。したがって、上皮性卵巣癌を早期に発見することができれば、卵巣癌による死亡率を減少させることができる。
しかし、上皮性卵巣癌は、子宮癌のように、内視鏡による検査や外部から直接細胞を採取することができない。それ故、直接検査や細胞診にも開腹を要する。さらに、触診による早期発見も困難で、通常は症状が進行して卵巣が肥大した後でなければ看過されてしまうことが多い。エコー検査、MRI、CT等は、早期発見に比較的有効であるものの、検査自体が大掛かりな上に検査費用が高額であり、また良性、悪性の診断精度が必ずしも高くないという問題もある。
上記背景から、近年、腫瘍マーカーが注目されている。腫瘍マーカーとは、癌細胞が産生する物質、又は癌細胞に反応して細胞が産生する物質であって、血清等の体液中の量が腫瘍量や組織型、悪性度(予後)を反映することから、癌判定等の鑑別子となり得る。体液からの検査が可能であることから侵襲性が低く、検査も簡便で、費用も比較的安価である等の利点を有する。
上皮性卵巣癌に対する腫瘍マーカーとしては、現在までのところ、CA125、CA602、CA130、CA72-4、CA546、CA19-9、STN等の各種癌関連抗原が知られている(非特許文献1〜6)。しかし、いずれの腫瘍マーカーも、健常者と上皮性卵巣癌患者における血清中の発現量の差異、すなわち、タンパク質発現量の多寡に基づくものであり、そのようなタンパク質は、通常、正常細胞でも少なからず発現しているため上皮性卵巣癌特異性は低い。それ故、偽陽性率及び偽陰性率が高く、腫瘍マーカーとして正診率が高いとは言い難かった。また、これらの腫瘍マーカーは、主として上皮性卵巣癌の予後診断用として利用されており、原発癌の早期発見に資する腫瘍マーカーは、未だ得られていない。
Bast R.C. Jr. et al., 1983, N. Engl.J. Med., 309:883-887 Suzuki M.et al., 1990, Nippon Gan Chiryo Gakkai Shi,. 25:1454-1460 Inaba N.et al., 1989, Nippon Gan Chiryo Gakkai Shi, 24:2426-2435 Ohuchi N. et al., 1988, Gan To Kagaku Ryoho, 15 2767-2772 Nozawa S.et al., 1996, Nippon Rinsho, 54:1665-1673 Charpin C.et al., 1982, Int. J. Gynecol. Pathol., 1:231-245
本発明は、安価で、簡便に、かつ低侵襲的に、そして高い正診率で体液、細胞又は腹腔洗浄液から上皮性卵巣癌を検出することのできる上皮性卵巣癌鑑別マーカーとそれを用いた上皮性卵巣癌罹患判定方法の開発及び提供を目的とする。
細胞から分泌されるタンパク質に付加される糖鎖の組成、構造及びその付加位置は、糖鎖関連遺伝子の発現バランスに基づき制御され、細胞の分化に応じて変動することが知られている。また、糖鎖の組成及び構造は、癌の進展の程度に応じて変化する。したがって、特定の癌細胞に見られる糖タンパク質は、腫瘍マーカーを含む疾患病態指標マーカーとして利用することができる。近年、このような(グライコ)プロテオミクスを基盤とした糖鎖関連腫瘍マーカーの探索が盛んに進められている。
本発明者らは、前記課題を解決するために、レクチンマイクロアレイ法とグライコプロテオミクスを利用して、上皮性卵巣癌鑑別マーカーの探索を行った。その結果、上皮性卵巣癌において特異的な構造を有する新規の糖タンパク質群又は糖ペプチド群を同定することができた。また、これらの糖タンパク質群又は糖ペプチド群を用いて、上皮性卵巣癌の罹患の有無を判別できることが明らかとなった。さらに、糖タンパク質群又は糖ペプチド群の一部によれば、上皮性卵巣癌の組織型を類推できることも判明した。本発明は、これらの知見に基づくものであって、以下を提供する。
(1)表1に示すタンパク質のアミノ酸配列において、表1に示す糖付加位置のアスパラギン残基の少なくとも一つに糖鎖が付加された上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質。
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(2)前記糖鎖がフコース修飾を伴う糖鎖及び/又は末端N−アセチルガラクトサミンを含む糖鎖である、(1)に記載の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質。
(3)前記糖鎖がAALレクチン及び/又はWFAレクチンと結合する、(1)又は(2)に記載の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質。
(4)上皮性卵巣癌が明細胞腫瘍、粘液性腫瘍、漿液性腫瘍及び類内膜腫瘍の少なくとも一つである、(1)〜(3)のいずれかに記載の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質。
(5)前記タンパク質が6型コラーゲンα1であり、かつ上皮性卵巣癌が明細胞腫瘍又は漿液性腫瘍である、(4)に記載の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質。
(6)表1に示す糖付加位置に糖鎖が付加されたアスパラギン残基を少なくとも一つ含む(1)〜(5)のいずれかに記載の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質断片。
(7)被験者より採取された試料から、一以上の(1)〜(5)のいずれかに記載の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質、及び/又は一以上の(6)に記載の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質断片を検出する工程、及び前記上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質及び/又はその糖タンパク質断片が検出された場合に、その被験者が上皮性卵巣癌に罹患していると判定する工程を含む上皮性卵巣癌罹患判定方法。
(8)前記検出工程が糖タンパク質富化ステップとタンパク質検出ステップを含む、(7)に記載の方法。
(9)前記上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質及び/又はその糖タンパク質断片を、前記糖鎖に結合する一以上の糖鎖プローブを用いて検出する、(7)又は(8)に記載の方法。
(10)前記糖鎖プローブがレクチン、抗体又はファージ抗体である、(9)に記載の方法。
(11)前記レクチンがAAL又はWFAである、(10)に記載の方法。
(12)前記試料が体液、細胞又は腹腔洗浄液である、(7)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(13)上皮性卵巣癌が明細胞腫瘍、粘液性腫瘍、漿液性腫瘍及び類内膜腫瘍の少なくとも一つである、(7)〜(12)のいずれかに記載の方法。
本願発明の上皮性卵巣癌鑑別マーカー及び上皮性卵巣癌罹患判定方法によれば、体液、細胞又は腹腔洗浄液より、簡便に、比較的安価かつ低侵襲的に、そして高い正診率で上皮性卵巣癌の罹患の有無を判定することができる。
プローブレクチンの選別結果を示す。RMUG-S、RMG-I、RMG-II、RMG-V,RTSGは上皮性卵巣癌由来の、Colo205及びColo201は大腸癌由来の、そしてKATO IIIは胃癌由来の、培養細胞である。Aは、選別されたプローブレクチンであるWFAレクチンの結果を、Bは、同様に選別されたAALレクチンの結果を、それぞれ示す。 各2名の明細胞腺癌患者、類内膜腺癌患者、漿液性腺癌及び胃癌患者から採取した腹腔洗浄液中の6型コラーゲンα1(COL6α1)糖タンパク質の存在を示すウェスタンブロッティング図である。腹腔洗浄液に対してAALレクチンカラムクロマトグラフィーを行い、AALレクチンに結合する糖タンパク質を富化分離後、抗COL6α1抗体で検出した。 各2名の明細胞腺癌患者、類内膜腺癌患者、漿液性腺癌及び胃癌患者から採取した腹腔洗浄液中のLOXL2(リジルオキシダーゼ様2)糖タンパク質の存在を示すウェスタンブロッティング図である。腹腔洗浄液に対してWFAレクチンカラムクロマトグラフィーを行い、WFAレクチンに結合する糖タンパク質を富化分離後、抗LOXL2抗体で検出した。 各2名の明細胞腺癌患者、類内膜腺癌患者、漿液性腺癌及び1名の胃癌患者から採取した腹腔洗浄液中のセルロプラスミン(CP)糖タンパク質の存在を示すウェスタンブロッティング図である。腹腔洗浄液に対してWFAレクチンカラムクロマトグラフィーを行いWFAレクチンに結合する糖タンパク質を富化分離後、抗CP抗体で検出した。 各2名の明細胞腺癌患者、類内膜腺癌患者、漿液性腺癌及び胃癌患者から採取した腹腔洗浄液中のF12(血液凝固因子第XII因子)糖タンパク質の存在を示すウェスタンブロッティング図である。腹腔洗浄液に対してWFAレクチンカラムカラムクロマトグラフィーを行い、WFAレクチンに結合する糖タンパク質を富化分離後、抗F12抗体で検出した。 各2名の明細胞腫瘍患者、類内膜腫瘍患者、漿液性腫瘍及び胃癌患者から採取した腹腔洗浄液中のSERPING1糖タンパク質の存在を示すウェスタンブロッティング図である。腹腔洗浄液に対してWFAレクチンカラムクロマトグラフィーを行い、WFAレクチンに結合する糖タンパク質を富化分離後、抗SERPING1抗体で検出した。
1.上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質及び糖鎖を有するその断片
本発明の第1の実施形態は、前記表1に記載の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質及びその糖タンパク質断片である。
1−1.上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質
本実施形態の「上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質」とは、上記表1においてタンパク質番号#1〜262で示される糖タンパク質であって、それぞれのアミノ酸配列において、少なくとも表1中の「糖鎖付加位置」で示される位置(開始アミノ酸残基(開始メチオニン)の位置を1とする)のアスパラギン残基に上皮性卵巣癌特有の糖鎖が付加された糖タンパク質である。例えば、表1のタンパク質#1の場合であれば、そのアミノ酸配列上の少なくとも212位のアスパラギン残基に糖鎖が付加されている6型コラーゲンα1タンパク質(collagen type VI alpha 1; 以下「COL6α1」とする)が該当する。また、表1において、一つのタンパク質に対して糖鎖付加位置が複数箇所記載されている場合であれば、それらの中の少なくとも一つが糖鎖付加されていればよい。例えば、タンパク質#2のバイグリカン(biglycan)のように、270位と311位の2箇所のアスパラギン残基が記載されている場合や、タンパク質#15の補体成分4(C4)結合タンパク質α鎖(complement component 4 binding protein alpha chain)のように、506位と528位の2箇所のアスパラギン残基が記載されている場合には、それぞれ、少なくとも一方のアスパラギン残基が糖鎖付加されていれば本発明の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質として足りる。本明細書では、以下、糖鎖が付加されたタンパク質を「糖タンパク質」として表し、糖鎖以外のベースとなるタンパク質部分を「コアタンパク質」として表す。
表中の「gi(ID)」は、本実施形態の糖タンパク質におけるコアタンパク質のID番号を示す。一つのコアタンパク質に複数のgi(ID)が登録されている場合には、それらを全て表中に記載している。また、一つのコアタンパク質に複数のアイソフォームが存在する場合にも、それらのgi(ID)をそのアイソフォーム番号と共に記載している。mRNAスプライシング等により、アイソフォーム間で開始アミノ酸残基からの糖鎖付加位置が変わる場合には、それぞれのアイソフォームに対応する糖鎖付加位置を記載している。
本実施形態の糖タンパク質のアスパラギン残基に付加される糖鎖は、上皮性卵巣癌特有の糖鎖であれば特に制限はしない。ここで、「上皮性卵巣癌特有の糖鎖」とは、例えば、フコース修飾(フコシル化)を伴う糖鎖及び/又は末端N−アセチルガラクトサミン(N-Acetylgalactosamine:以下「GalNAc」とする)を含む糖鎖が挙げられる。これらの糖鎖は、それぞれの糖鎖を特異的に認識し、結合するレクチン、抗体又はファージ抗体によって特定することができる。例えば、フコース修飾(フコシル化)を伴う糖鎖の場合、それに特異的に結合するヒイロチャワンタケ(Aleuria aurantia)由来のAALレクチン、又はレンズマメ(Lens culinaris)由来のLCAレクチンが挙げられる。また、末端GalNAcの場合、それに特異的に結合するノダフジ(Wisteria floribunda)由来のWFAレクチンが挙げられる。
表1では、AALレクチン又はWFAレクチンとの結合を確認した上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質を「○」で、未確認のものを「−」で、示している。
「上皮性卵巣癌」には、主に明細胞腫瘍、粘液性腫瘍、類内膜腫瘍及び漿液性腫瘍からなる組織型が知られている。本実施形態の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質は、これらの組織型の少なくとも一つを鑑別することができる。例えば、表1においてタンパク質#28で示されリジルオキシダーゼ様2(LOXL2)糖タンパク質、タンパク質#35で示されるセルロプラスミン(CP)糖タンパク質、タンパク質#68で示される血液凝固因子第XII因子(F12)糖タンパク質、及びタンパク質#42で示されるセルピンぺプチダーゼインヒビタークレイドGメンバー1(serpin peptidase inhibitor clade G (C1 inhibitor) member 1; SERPING1)糖タンパク質は、明細胞腫瘍、粘液性腫瘍、類内膜腫瘍及び漿液性腫瘍の全ての組織型を鑑別することができる(下記実施例2参照)。すなわち、これらの糖タンパク質は、組織型に関係なく、被検体が上皮性卵巣癌に罹患しているか否かを鑑別する際に有用な上皮性卵巣癌鑑別マーカーとなり得る。一方、表1においてタンパク質#1で示される6型コラーゲンα1(COL6α1)糖タンパク質は、明細胞腫瘍と漿液性腫瘍を鑑別することができる(下記実施例2参照)。明細胞腫瘍は、欧米諸国に比して日本での発生頻度が高い組織型であり、漿液性腫瘍に比べて予後が不良であると同時に、類内膜腫瘍と同様に子宮内膜症への合併頻度が高いことが知られている(Yoshikawa H. et al., 2000, Gynecol. Obstet., 1:11-17)。したがって、COL6α1糖タンパク質は、子宮内膜症合併的に発生した上皮性卵巣癌の組織型が明細胞腫瘍であるか否かを鑑別できるマーカーとなり得る。また、明細胞腫瘍は、再発率が高く、化学療法抵抗性を示すため、早期発見により切除された症例であっても厳重なフォローを要する。それ故、COL6α1糖タンパク質のように、明細胞腫瘍を囲い込めるマーカーは極めて有用な上皮性卵巣癌鑑別マーカーとなり得る。
1−2.上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質断片
本実施形態の「上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質断片」とは、前記上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質の一部からなるオリゴペプチド又はポリペプチドの断片であって、表1に示す糖付加位置のアスパラギン残基をそのアミノ酸配列中に少なくとも一つ含み、かつそのアスパラギン残基に前記「1−1.上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質」で説明した上皮性卵巣癌特有の糖鎖が付加されていることを特徴とする。
上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質断片のアミノ酸の長さは、特に限定はしないが、好ましくは、5〜100アミノ酸、8〜80アミノ酸又は8〜50アミノ酸である。
前記上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質とそのマーカー用糖タンパク質断片をまとめて表す場合、以降「上皮性卵巣癌鑑別マーカー」とする。
上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質断片の具体的な例としては、配列番号1〜388で示されるアミノ酸配列からなり、表1に示す糖付加位置に相当するアスパラギン残基に上皮性卵巣癌特有の糖鎖が付加された糖ペプチドが挙げられる。例示した糖ペプチドは、本実施形態の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質を同定する際に、後述するIGOT法で得られた上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質断片であって、いずれも上皮性卵巣癌に罹患しているか否かを鑑別することができる。表1に示したアミノ酸配列中、下線を引いたアスパラギン残基(N)は、糖鎖が付加されているアスパラギン残基であることを示す。ここで、表1に示したアミノ酸配列中に下線が引かれた複数のアスパラギン残基が存在する場合には、それらのうちの少なくとも一つのアスパラギン残基が糖鎖付加されていれば、本実施形態の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質断片として足りる。
2.上皮性卵巣癌罹患判定方法
本発明の第2の実施形態は、上皮性卵巣癌罹患判定方法である。
本実施形態の方法は、検出工程と判定工程を含む。以下、それぞれの工程について具体的に説明をする。
2−1.検出工程
「検出工程」とは、被験者より採取された試料から、一以上の前記実施形態1に記載の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質及び/又は一以上のその糖タンパク質断片、すなわち上皮性卵巣癌鑑別マーカーを検出する工程である。本工程は、必要に応じて、さらに糖タンパク質富化ステップとタンパク質検出ステップを含む。
本明細書において「被験者」とは、検査に供される者、すなわち後述する試料を提供する者を指す。被験者は、何らかの疾患を有する患者又は健常者のいずれであってもよい。好ましくは、上皮性卵巣癌に罹患している可能性がある者又は上皮性卵巣癌患者である。
「試料」とは、前記被験者から採取され、本実施形態の判定方法に供されるものであって、例えば、体液、細胞(細胞抽出液を含む)又は腹腔洗浄液が該当する。
「体液」とは、被験者から直接採取される液体状の生体試料をいう。例えば、血液(血清、血漿及び間質液を含む)、リンパ液、腹水、胸水、痰、髄液、涙液、鼻汁、唾液、尿、膣液、精液等が挙げられる。好ましくは、血液、リンパ液、腹水等の体液又は生理食塩水を用いた腹腔洗浄液である。体液や腹腔洗浄液は、被験者から採取したものを、必要に応じて希釈若しくは濃縮、又はヘパリンのような血液凝固阻止剤を添加する等の前処理を行なった後に使用してもよいし、そのような前処理を行なうことなく、そのまま使用してもよい。また、細胞の場合には、当該分野で公知の方法によって、破砕した後、その抽出液を得ればよい。細胞抽出液の調製方法は、例えば、McMamee M.G. 1989, Biotechniques, 7:466-475やJohnson B.H. et al., 1994, Biotechnology (N Y), 12:1357-1360等に記載の方法を参照することができる。体液又は腹腔洗浄液の採取は、当該分野の公知の方法に基づいて行なえばよい。例えば、血液やリンパ液であれば、公知の採血方法に従えばよい。具体的には、末梢血であれば、末梢部の静脈等に注射をして採取することができる。また、腹水又は腹腔洗浄液であれば、経腹超音波断層法ガイド下に腸管を避けた穿刺吸引による採取、又は開腹時に生理食塩水約100mLを腹腔内に注入し、ダグラス窩より注射器等を用いた吸引によって採取することができる。さらに、細胞であれば、適当な器官又は組織から検査に供すべき細胞を外科的に採取すればよい。
体液や腹腔洗浄液は、採取後直ちに利用してもよいし、冷凍により一定期間保存した後、必要に応じて解凍等の処理を行ない、利用することもできる。本実施形態において、血清又は腹腔洗浄液を用いる場合、上皮性卵巣癌鑑別マーカーの検出には、通常、10μL〜100μLの容量があればよい。
本工程において検出すべき上皮性卵巣癌鑑別マーカーは、前記表1に記載の上皮性卵巣癌鑑別マーカーのいずれであってもよい。一種の上皮性卵巣癌鑑別マーカーを検出してもよいし、二種以上の上皮性卵巣癌鑑別マーカーを検出することもできる。個々の上皮性卵巣癌鑑別マーカーの検出では、その上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質において表1に示す糖鎖付加位置のアスパラギン残基の少なくとも一つが糖鎖付加されていることを検出すればよい。
上皮性卵巣癌鑑別マーカーの検出方法は、糖タンパク質を検出できる公知の方法であればいずれの方法であってもよく、特に制限はしない。検出には、上皮性卵巣癌鑑別マーカーの糖鎖に結合する一以上の糖鎖プローブを用いることができる。
本明細書において「糖鎖プローブ」とは、特定の糖鎖及び/又は糖タンパク質等の複合糖質を特異的に認識し、それに結合する判定子をいう。例えば、レクチン、抗体又はファージ抗体が挙げられる。糖鎖プローブがレクチンの場合、本工程に使用可能なレクチンとしては、例えば、AALレクチン、LCAレクチンやWFAレクチンが挙げられる。
具体的な検出方法として、例えば、上皮性卵巣癌鑑別マーカーの糖鎖と特異的に結合する糖鎖プローブを用いて当該糖鎖を有する糖タンパク質を選択的に富化する糖タンパク質富化ステップと、そのコアタンパク質に対して特異的な抗体等を用いて検出するタンパク質検出ステップとを組合せた方法を用いることができる。より具体的には、例えば、以下の通りである。
糖タンパク質富化ステップ:被験者から得られた腹腔洗浄液又は体液(例えば、血清)中に含まれる糖タンパク質群を、その糖タンパク質の糖鎖と特異的に結合する糖鎖プローブ、例えば、レクチン(本明細書では、便宜的に、以下、「レクチンA」とする)を用いて分離する。
タンパク質検出ステップ:続いて、検出すべき上皮性卵巣癌鑑別マーカーにおいてレクチンAと特異的に結合する糖鎖以外の部分、例えば、コアタンパク質を、それを特異的に認識する抗体等、例えば、抗コアタンパク質抗体(本明細書では、便宜的に、以下、「抗体B」とする)を用いて検出する。
これによって、目的とするレクチンAと特異的に結合する糖鎖を有する上皮性卵巣癌鑑別マーカーを検出することができる。なお、糖タンパク質とコアタンパク質の富化ステップと検出ステップの順序は問わない。例えば、コアタンパク質を、前記抗体Bを用いて富化するタンパク質富化ステップ後に、目的の糖タンパク質を、糖鎖プローブ(例えば、レクチンA)で検出(糖タンパク質検出ステップ)してもかまわない。
又は、レクチンAと特異的に結合する糖鎖を有する上皮性卵巣癌鑑別マーカーに対する特異的な抗体であって、その糖鎖部分およびタンパク質部分双方をエピトープとする抗体を用いて目的の上皮性卵巣癌鑑別マーカーを検出する方法を用いることもできる。この方法であれば、被験者から得られた腹腔洗浄液又は血清中に含まれる目的の上皮性卵巣癌鑑別マーカー、すなわちレクチンAと特異的に結合する糖鎖を有する上皮性卵巣癌鑑別マーカーをワンステップで検出することができるので便利である。
上記方法は、レクチンAを固定化したカラムやアレイ、及び上皮性卵巣癌鑑別マーカーを検出する手段、より具体的には、上皮性卵巣癌鑑別マーカーに対する抗体、好ましくはレクチンAと特異的に結合する糖鎖を有する上皮性卵巣癌鑑別マーカーに特異的なモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を用いて、レクチン−抗体サンドイッチELISA法、抗体オーバーレイ・レクチンアレイ法、レクチンオーバーレイ・抗体アレイ法、質量分析法(高速液体クロマトグラフ質量分析法(LC-MS)、高速液体クロマトグラフタンデム質量分析法(LC-MS/MS)、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC-MS)、ガスクロマトグラフタンデム質量分析法(GC-MS/MS)、キャピラリー電気泳動質量分析法(CE-MS)及びICP質量分析法(ICP-MS)を含む)、免疫学的測定法、酵素活性測定法、キャピラリー電気泳動法、金コロイド法、放射免疫測定法、ラテックス凝集免疫測定法、蛍光免疫測定法、ウェスタンブロッティング法、免疫組織化学法、表面プラズモン共鳴法(SPR法)又は水晶振動子マイクロバランス(QCM)法等により達成することができる。これらの方法は、いずれも公知の方法であり、当該分野における通常の方法に準じて行えばよい。一具体例として、レクチン-抗体サンドイッチELISA法、抗体オーバーレイ・レクチンアレイ法及びレクチンオーバーレイ・抗体アレイ法、について、以下で説明をする。
レクチン−抗体サンドイッチELISA法は、2種の抗体を用いるサンドイッチELISA法と基本原理は同じであり、サンドイッチELISA法における一方の抗体をレクチンに置き換えただけの方法である。したがって、この手法は、既存の自動免疫検出装置を用いた自動化にも適用可能である。唯一考慮しなければならない点は、サンドイッチに用いる抗体とレクチン間の反応である。抗体は、少なくとも2本のN結合型糖鎖を有する。したがって、使用するレクチンが抗体上の糖鎖を認識する場合は、サンドイッチ検出時にその結合反応に起因するバックグランドノイズを生じてしまう。このノイズシグナルの発生を抑制するのに抗体上の糖鎖部分に修飾を導入する方法や、糖鎖部分を含まないFabのみを用いる方法が考えられるが、これらは公知の手法を用いればよい。糖鎖部分への修飾方法としては、例えばChen S. et al., 2007, Nat. Methods, 4:437-44やComunale M.A. et al., 2009, J. Proteome Res., 8:595-602等があり、Fabを用いる方法としては例えばMatsumoto H. et al., 2010, Clin. Chem. Lab. Med., 48:505-512等がある。
抗体オーバーレイ・レクチンアレイ法は、レクチンアレイを用いる方法である。レクチンアレイとは、糖鎖プローブとして、複数種の特異性の異なるレクチンを1つの基板上に並列に固定(アレイ化)したものであり、分析対象となる複合糖質に、どのレクチンがどれだけ相互作用したかを一斉に解析することができる。レクチンマイクロアレイ技術の原理・基礎は、例えば、Kuno A. et al. 2005, Nat. Methods 2:851-856に記載されている。また、45種類のレクチンを基盤に固定化したレクチンアレイであれば、GPバイオサイエンス社よりLecChipとして市販されているので、それを利用してもよい。抗体オーバーレイ・レクチンアレイ法では、抗体を介して間接的に蛍光基等を被験者の試料に導入し、レクチンアレイにより、簡便かつ高速に、そして一斉に多検体に対する分析を行うことができる。具体的な方法については、Kuno A. et al, 2009, Mol. Cell Proteomics 8:99-108、平林淳ら, 2007, 実験医学増刊「分子レベルから迫る癌診断研究〜臨床応用への挑戦〜」、羊土社, Vol25(17): 164-171、久野敦ら, 2008, 遺伝子医学, MOOK11号, pp.34-39、メディカルドゥ参照)。
例えば、被験者の試料中の糖タンパク質の糖鎖部分は、レクチンマイクロアレイ上のレクチンによって特異的に認識されるため、コアタンパク質部分に対する抗体をその上から被せる(オーバーレイ)ことによって、被検糖タンパク質を標識したり、あるいは高度に精製したりすることなく、特異的にかつ高感度で検出することが可能である。
レクチンオーバーレイ・抗体マイクロアレイ法は、前記抗体オーバーレイ・レクチンアレイ法におけるレクチンマイクロアレイの代わりにコアタンパク質に対する抗体をガラス基板等の基板上に並列に固定(アレイ化)した抗体アレイを用いる方法である。前記抗体オーバーレイ・レクチンアレイ法のレクチンと抗体の関係を逆にしただけで、基本的原理は変わらない。ただし、調べる上皮性卵巣癌鑑別マーカーに対するだけの数の抗体と、糖鎖変化を検出するレクチンをあらかじめ確定することが必要である。
上記様々な検出方法において、使用する上皮性卵巣癌鑑別マーカー又はそのコアタンパク質を特異的に認識するポリクローナル抗体及び/又はモノクローナル抗体は、市販されている場合には、それらを用いることができる。しかし、容易に入手できない場合には、例えば、以下の方法で調製することができる。
まず、抗上皮性卵巣癌鑑別マーカー糖ペプチドポリクローナル抗体は、当該分野で周知の方法を用いて調製することができる。具体的には、検出対象とする抗原用の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質又は糖ペプチドにアジュバントを添加する。抗原は、糖鎖結合部位(アスパラギン)を含む上皮性卵巣癌鑑別マーカー糖ペプチドを合成し、それを用いてもよい。アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバント等が挙げられ、それらを混合して用いることもできる。前記抗原と共にアジュバントを抗体産生動物に同時に接種して抗体の生成をブーストすることもできる。また、このペプチドを市販キーホール・リンペット(スカシ貝)ヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin、KLH)等に共有結合させ、抗体産生動物に接種してもよい。なお、このとき顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(granulocyte-macrophage colony stimulating factor, GM-CSF)を同時に投与して抗体産生をブーストすることもできる。抗原を接種する抗体産生動物は、哺乳動物、例えばマウス、ラット、ウマ、サル、ウサギ、ヤギ、ヒツジ等を利用することができる。免疫は、既存の方法であれば、何れの方法をも用いることができるが、主として静脈内注射、皮下注射、腹腔内注射等により行う。また、免疫の間隔は特に限定されず、数日から数週間間隔で、好ましくは4〜21日間隔で免疫する。
最終の免疫日から2〜3日後に免疫動物から全血を採取し、血清を分離後、ポリクローナル抗体を調製することができる。
また、例えば、抗上皮性卵巣癌マーカー糖ペプチドモノクローナル抗体は、ケラー&ミルシュタインの方法で調製することができる(Nature 256:495-497 (1975))。例えば、抗原で免疫した動物から得られる抗体産生細胞と、ミエローマ細胞との細胞融合によりハイブリドーマを調製し、得られるハイブリドーマから抗上皮性卵巣癌鑑別マーカー糖ペプチドモノクローナル抗体を産生するクローンを選択することにより調製することができる。
具体的には、前記ポリクローナル抗体の作製で、最終の免疫日から2〜3日後に抗体産生細胞を採集する。抗体産生細胞としては、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血細胞が挙げられる。
抗体産生細胞と融合させるミエローマ(骨髄腫)細胞として、マウス、ラット、ヒト等種々の動物に由来し、当業者が一般に入手可能な株化細胞を使用する。使用する細胞株としては、薬剤抵抗性を有し、未融合の状態では選択培地(例えばHAT培地)で生存できず、融合した状態でのみ生存できる性質を有するものが用いられる。一般的に8-アザグアニン耐性株が用いられ、この細胞株は、ヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼを欠損し、ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)培地に生育できないものである。
ミエローマ細胞は、既に公知の種々の細胞株、例えば、P3(P3x63Ag8.653)(Kearney J.F. et al., 1979, J. Immunol., 123:1548-1550)、P3x63Ag8U.1(Yelton D.E. et al., 1978, Curr. Top. Microbiol. Immunol., 81:1-7)、NS-1(Kohler G. et al., 1976, Eur. J. Immunol., 6:511-519)、MPC-11 (Margulies D.H. et al., 1976, Cell, 8:405-415)、SP2/0(Shulman M. et al., 1978, Nature, 276:269-270) 、FO(de St.Groth S.F. et al., 1980, J. Immunol. Methods, 35:1-21)、S194(Trowbridge I.S. 1978, J. Exp. Med., 148:313-323)、R210(Galfre G. et al., 1979, Nature, 277:131-133)等が好適に使用される。
次に、上記ミエローマ細胞と抗体産生細胞とを細胞融合させる。細胞融合は、MEM、DMEM、RPMI-1640培地等の動物細胞培養用培地,市販のクローニング用又は細胞融合用培地中で、ミエローマ細胞と抗体産生細胞とを、混合比1:1〜1:10で融合促進剤の存在下、30〜37℃で1〜15分間接触させることによって行われる。細胞融合を促進させるためには、平均分子量1,000〜6,000のポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール又はセンダイウイルス等の融合促進剤や融合ウイルスを使用することができる。また、電気刺激(例えばエレクトロポレーション)を利用した市販の細胞融合装置を用いて抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることもできる。
細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを選別する。その方法として、選択培地における細胞の選択的増殖を利用する方法等が挙げられる。すなわち、細胞懸濁液を適切な培地で希釈後、マイクロタイタープレート上にまき、各ウェルに選択培地(HAT培地等)を加え、以後適当に選択培地を交換して培養を行う。その結果、生育してくる細胞をハイブリドーマとして得ることができる。
ハイブリドーマのスクリーニングは、限界希釈法、蛍光励起セルソーター法等により行い、最終的にモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを取得する。取得したハイブリドーマからモノクローナル抗体を採取する方法としては、通常の細胞培養法や腹水形成法等が挙げられる。
2−2.判定工程
「判定工程」とは、検出工程において被験者より採取された試料から上皮性卵巣癌鑑別マーカーが検出された場合には、その被験者が上皮性卵巣癌に罹患していると判定する工程である。
上皮性卵巣癌鑑別マーカーの検出の判断は、前記検出工程に記載の検出方法の結果、対象とする上皮性卵巣癌鑑別マーカーが検出されたか否かに基づいて判断すればよい。糖鎖プローブ等の上皮性卵巣癌鑑別マーカーの判定子の特異性が高く、交差反応性が認められないような場合(判定子が抗体の場合)には、この検出の有無のみで正確な判断ができる。
一方、判定子の特異性が比較的低く、検出対象である上皮性卵巣癌鑑別マーカー以外の糖タンパク質等も検出してしまう場合、すなわち、検出バックグラウンドが比較的高い場合には、検出の有無のみで正確な判断ができない。この場合、対象とする上皮性卵巣癌鑑別マーカーの被験者における検出量が、健常人のそれと比較して、統計学的に有意差があることによって判断してもよい。ここで、「健常人」とは、上皮性卵巣癌に罹患していないことが明らかな人、好ましくは疾患に罹患していない健康な人、より好ましくは被験者との生体的条件が近い人、例えば、性別、年齢、体重、体質(アレルギー等)、既往歴、出産経験等が同じか、又は近い条件の人である。
検出量は、前記検出工程に記載の検出方法による上皮性卵巣癌鑑別マーカーの定量結果を利用することができる。このとき、被験者と健常者の試料において量的差異がないことが期待される公知のタンパク質を内部コントロールとして用いれば、被験者と健常者の定量結果の補正が可能となることから、より正確な検出量を得ることができる。このような内部コントロール用のタンパク質として、例えば、アルブミンが挙げられる。
「統計学的に有意」とは、被験者と健常人のそれぞれから採取した試料中に含まれる検出対象である上皮性卵巣癌鑑別マーカーの量的差異を統計学的に処理したときに、両者間に有意差があることをいう。具体的には、例えば、危険率(有意水準)が5%、1%又は0.1%より小さい場合が挙げられる。統計学的処理の検定方法は、有意性の有無を判断可能な公知の検定方法を適宜使用すればよく、特に限定しない。例えば、スチューデントt検定法、多重比較検定法を用いることができる(鈴木▼完▲之、統計学の基礎、永田靖ら、統計的多重比較法の基礎)。「統計学的に有意差がある」とは、具体的には、多検体解析において、常法によって設定される感度と特異度が最適になるよう患者と健常人を分離できる値をカットオフ値と定め、そのカットオフ値よりも高い若しくは低い場合をいう。
上皮性卵巣癌鑑別マーカーの検出により上皮性卵巣癌の罹患を判定する具体的な方法として、例えば、以下の方法が挙げられる。
表1に記載のいずれか一の上皮性卵巣癌鑑別用マーカー用糖タンパク質及び/又はその糖タンパク質断片、すなわち上皮性卵巣癌鑑別用マーカーが単独で検出された場合には、試料提供した被験者がその上皮性卵巣癌鑑別用マーカーによって鑑別可能な上皮性卵巣癌に罹患していると判定し、検出されなかった場合には、少なくともその上皮性卵巣癌鑑別用マーカーによって鑑別可能な上皮性卵巣癌には罹患していないと判定する。具体的には、例えば、表1においてタンパク質#28で示されるLOXL2糖タンパク質が試料中から検出された場合には、その試料提供した被験者は、上皮性卵巣癌に罹患していると判定し得る。また、表1においてタンパク質#1で示されるCOL6α1糖タンパク質が試料中から検出された場合には、その試料を提供した被験者は、明細胞腫瘍又は漿液性腫瘍に罹患しているか、その可能性が高いと判定することができる。
表1に記載の二種以上の上皮性卵巣癌鑑別用マーカーを検出に用いた場合にも、試料を提供した被験者が各上皮性卵巣癌鑑別用マーカーによって鑑別可能な上皮性卵巣癌に罹患していると判定し、検出されなかった場合には、少なくともその上皮性卵巣癌鑑別用マーカーによって鑑別可能な上皮性卵巣癌には罹患していないと判定する。具体的には、例えば、表1においてタンパク質#28で示されるLOXL2糖タンパク質とタンパク質#35で示されるCP糖タンパク質を上皮性卵巣癌鑑別マーカーとして、それぞれの検出を行い、そのいずれもが検出できた場合には、その試料を提供した被験者は、上皮性卵巣癌に罹患しているか、その可能性が極めて高いと判定することができる。一方、LOXL2糖タンパク質は検出できたが、CP糖タンパク質が検出できなかった場合には、LOXL2糖タンパク質の検出結果が擬陽性であったか、あるいはCP糖タンパク質の検出結果が偽陰性であり、他の上皮性卵巣癌鑑別マーカーの検出を試みる等、再検出を行う必要があると判定することができる。さらに、前記LOXL2糖タンパク質とタンパク質#1で示されるCOL6α1糖タンパク質を上皮性卵巣癌鑑別マーカーとして、それぞれの検出を行い、そのいずれも検出できた場合には、その試料を提供した被験者が上皮性卵巣癌に罹患しており、かつ子宮内膜症合併的に発生している場合においては、その組織型は明細胞腫瘍であると判定することができる。一方、LOXL2糖タンパク質は検出できたが、COL6α1糖タンパク質が検出できなかった場合には、その試料を提供した被験者は、上皮性卵巣癌に罹患しているが、その組織型は明細胞性腫瘍又は漿液性腫瘍ではないと判定することができる。このように、二種以上の上皮性卵巣癌鑑別用マーカーを検出することで、上皮性卵巣癌鑑別用マーカーを単独で検出したときよりも擬陽性率及び偽陰性率が低く、より精度の高い鑑別が行えることや、上皮性卵巣癌の罹患の有無と共に、その組織型の鑑別も可能となるので、本実施形態の上皮性卵巣癌罹患判定方法として好ましい。
<実施例1:上皮性卵巣癌鑑別マーカーの選択>
1.培養上清を用いたレクチンマイクロアレイによるプローブレクチンの選択
(方法)
(1)上皮性卵巣癌、胃癌、及び大腸癌細胞株培養上清の調製
上皮性卵巣癌細胞株5種(RMG-I、RMG-II、RTSG、RMG-V、RMUG-S)を90% HamF12、10% FBS(PS+)の培地を用いて、また、非上皮性卵巣癌細胞株として、胃癌細胞株1種(KATOIII)及び大腸癌細胞株2種(Colo201、Colo205)を90% RPMI-1640、10% FBS (PS+)の培地を用いて、それぞれ培養した。ここで、RMG-I、RMG-V、RMUG-S、RMG-II、及びRTSGについては、直径14cmディッシュにて80〜90%コンフルエントになるまで培養し、前記FBS含有培地を吸引除去後に無添加培地(FBS-、PS-)10mL/ディッシュで7回洗浄した後、同培地30mLを添加して48時間培養した。また、KATOIII、Colo201、及びColo205については、直径14cmディッシュあたり1×107細胞に調製し、上記無添加培地10mLを加えて懸濁と遠心(1000rpm、5分、室温)による上清除去での洗浄を7回行った後、14cmディッシュに播種し、無添加培地30mLを添加して48時間培養した。培養後、遠心(1000rmp、5分、室温)により上清を回収し、回収した上清を再度遠心(3000rpm、5分、室温)して上清を回収し、-80℃で凍結保存した。保存試料は、使用前に融解して0.46μmフィルターを用いてろ過した後、以下の解析に用いた。
(2)レクチンマイクロアレイによるプローブレクチンの選定
上述調製培養上清を2-D Clean-Up kit(GE社)を用いて濃縮脱塩処理し、得られた沈殿物を20μLのPBSで再溶解した。各培養上清のタンパク質濃度をMicro BCA protein assay kit(Pierce社)を用いて測定後、PBSで10倍希釈して100ng総タンパク質量分を採取して、PBSTx(1% Triton X-100含有PBS)で10μLに調製した後、20ngの蛍光ラベル化試薬(Cy3-SE、GE社)を加えて1時間室温下で反応させた。反応後に90μLのグリシン含有緩衝液を加えて、さらに2時間室温下で反応させ、余剰ラベル化試薬の不活化を行ったものを蛍光標識糖タンパク質溶液としてレクチンマイクロアレイに供した。レクチンマイクアロアレイは、43種の異なるレクチンが3スポットずつ固定化されているものを使用した。獲得される結合シグナルの比較解析を最適なものとすべく、試料毎に4点の希釈系列を調製して解析した。レクチンへの結合反応は、20℃で12時間行った。反応後、アレイ上の試料溶液を除去し、専用の緩衝液で3回洗浄した後、GPバイオサイエンス社製レクチンマイクロアレイ用スキャナー(GlycoStation TM Reader 1200)を用いてシグナル強度を測定した。バックグラウンド値を引いた真値算出後、各レクチン3スポット間の平均値を算出し、全レクチンで最大のシグナル強度を基準値と定めて、相対値を求め、以下の統計処理を行った。算出した相対値を常用定数に変換した後、クラスター分析法及び主成分分析法を用いたシグナルパターン解析により、上皮性卵巣癌と非上皮性卵巣癌(胃癌及び大腸癌)の2群に分かれることを確認した。次に、t検定によって、これら二群間で有意差が確認できるWFAレクチンを抽出した。同時に、レクチンマイクロアレイ解析に供した全ての試料で高いシグナルが検出されたAALレクチンを抽出した。これらWFAレクチン及びAALレクチンを、以後使用するプローブとして選定した。
(結果)
各癌細胞株由来の糖タンパク質と上記工程によって抽出された2種類のレクチンの結合シグナル強度を図1に示す。図1AはWFAレクチンを、図1BはAALレクチンを、それぞれ示す。この図で示すように、WFAレクチンは、上皮性卵巣癌細胞株で高いシグナルを示す一方、非上皮性卵巣癌細胞株である大腸癌細胞株や胃癌細胞株でのシグナルは低かった。また、AALレクチンは、上皮性卵巣癌細胞株及び非上皮性卵巣癌細胞株で高いシグナルを示す一方、胃癌細胞株(KATOIII)でのシグナルは低かった。なお、WFAレクチン及びAALレクチンは、上皮性卵巣癌細胞株の一つであるRMUG-Sに対してはシグナルが低かったが、これは、本実験がプローブレクチンの選択として糖タンパク質を全体で解析した結果によるものであり、実施例のような個々の糖タンパク質のレクチン結合性に関する挙動を示すものではない。以上のように、WFAレクチンとAALレクチンは、上皮性卵巣癌細胞株が分泌する糖タンパク質が有する糖鎖に結合するプローブレクチンとなり得ることが明らかとなった。
2.グライコプロテオミクス(IGOT-LC/MS法)による糖ペプチドマーカーの選択
(方法)
(1)ペプチド試料の調製
上皮性卵巣癌細胞株の培養上清、及び腹腔洗浄液から試料タンパク質を調製した。上皮性卵巣癌細胞株の培養上清は、上記1.(1)に記載の方法に準じて調製した。腹腔洗浄液は、愛知がんセンター中央病院にて、手術時に採取された上皮性卵巣癌患者腹腔洗浄液7例(56〜77y)(明細胞癌患者3例、stage IIIC〜IV;類内膜腺癌1例、stage IV;漿液性腺癌3例、IIIC〜IV)を用いた。3.6〜7.6mg総タンパク質分の培養上清(1260〜3300mL)及び8.2〜15.4mg総タンパク質分の腹腔洗浄液(0.3〜300mL)に、終濃度10%となるようにトリクロロ酢酸(TCA、100%飽和水溶液)を加え、氷上で10〜60分間冷却してタンパク質を沈殿させた。4℃下で高速遠心分離により沈殿物を回収した後、氷冷アセトンに懸濁し、2回の洗浄によってTCAを除去した。得られた沈殿物に、可溶化緩衝液(0.5Mトリス-塩酸緩衝液(pH8〜8.5)、7Mグアニジン塩酸、10mM EDTAを含む)を、タンパク質濃度が5〜10mg/mLとなるように加えて溶解して試料タンパク質とした。別法として、それぞれ培養上清及び腹腔洗浄液を4℃下で分子量1万カットの限外濾過膜を用いて濃縮し、これに可溶化緩衝液を加えて再度濾過したものを試料タンパク質とした。
続いて、前記試料タンパク質を4℃下で高速遠心分離により残渣を取り除き、得られた上清を抽出液として回収した。抽出液に窒素ガスの通気又は吹きつけによって溶存酸素を除いた後、タンパク質重量と等量のジチオスレイトール(DTT)を粉末又は少量の可溶化緩衝液に溶かして加えた。窒素ガスの通気又は雰囲気下で、ジスルフィド結合を還元させるために室温で1〜2時間反応させた。次いで、S-アルキル化のため、タンパク質重量の2.5倍量のヨード酢酸アミドを加え、遮光室温下で1〜2時間反応させた。反応後、50〜100倍量の緩衝液(10mM 重炭酸アンモニウム緩衝液pH8.6)を外液として4℃下で透析した。外液を3〜5回交換し、変性剤(グアニジン塩酸)や過剰試薬を除いた。これらの操作によってタンパク質の部分的な沈殿が認められたが、それらを回収することなく懸濁液のままタンパク質定量を行った。タンパク質量の1/100〜1/50重量のトリプシン(シークエンスグレード以上)を加え、37℃、終夜(約16時間)消化した。十分な消化の進行をSDS-ゲル電気泳動法により確認後、終濃度5mMのフッ化フェニルメタンスルフォニル(PMSF)を加えて反応を停止した。得られたタンパク質断片(ペプチド)からなる溶液を試料ペプチドとした。
(2)候補糖ペプチドの捕集・精製
上記試料ペプチドを、プローブレクチン(AALレクチン及び/又はWFAレクチン)を固定化したカラムに供して洗浄後、レクチンの特異性に応じた方法、すなわち、AALレクチンについては、5mMフコースを含有する緩衝液を、WFAレクチンについては、10mM GalNAcを含む緩衝液を用いて、糖ペプチドを溶出した。得られた糖ペプチド溶液に等容量のエタノール及び4倍容量の1-ブタノールを加え、水:エタノール:1-ブタノール(1:1:4(v/v))で予め平衡化したセファロースカラムに供した。カラムを同平衡化溶媒で洗浄後、50%エタノール(v/v)を用いて糖ペプチドを溶出した。糖ペプチド画分を、2μLのグリセロールの入ったマイクロチューブに少量ずつ移し、減圧遠心による水の除去を繰り返して糖ペプチド画分を濃縮した。得られた精製糖ペプチドのグリセロール溶液を糖ペプチド試料とした。
(3)糖鎖切除と糖鎖付加位置安定同位体標識法(isotope-coded glycosylation site-specific tagging法:IGOT法)
上記糖ペプチド試料に必要量の緩衝液を加え、再度減圧遠心濃縮した後、安定同位体酸素-18(18O)で標識した水(H2 18O)を加えて溶解した(グリセロール濃度は10%以下とする)。これに標識水で調製したペプチド-N-グリカナーゼ(グリコペプチダーゼF、PNGase)を加えて、37℃で終夜反応させた。この反応により、糖鎖結合部位のアスパラギンがアスパラギン酸となり、その際の水中同位体酸素(18O)が糖ペプチドに取り込まれることで糖ペプチドが標識される。
(4)標識ペプチドのLC/MSショットガン分析
上記IGOT法により標識された糖ペプチドを含む反応液を0.1%ギ酸で希釈し、LC/MSショットガン分析した。高分離能、高再現性、高感度に検出するため、ダイレクトナノフローポンプを基礎とするナノLCシステムを利用した。インジェクトした糖ペプチド試料は、脱塩を目的としたトラップカラム(逆相C18シリカゲル系の担体)上に一旦捕集し、洗浄後、同じ樹脂を詰めたスプレーチップの形状をしたフリットレス微小カラム(内径150μm × 50mL)を用い、アセトニトリルの濃度グラジェント法により分離した。溶出液は、エレクトロスプレーインターフェースを介してイオン化し、直接質量分析機に導入した。質量分析はデータ依存モードで最大2つのイオンを選択しながら、衝突誘起解離(CID)によるタンデム質量分析を行った。
(5)MS/MS-イオンサーチ法による候補糖ペプチドの検索
得られた数千のMS/MSスペクトルについて、個々にスムージング、中心化処理を行ってピークリストを作成した。このデータに基づいてタンパク質アミノ酸配列データベースを用いてMS/MSイオンサーチ法により検出糖ペプチドを同定した。検索エンジンにはマトリックスサイエンス社のMascotを用いた。検索条件のパラメータとして、使用した断片化法(トリプシン消化)、ミスクリーベージ許容数:2、固定する修飾:システインのカルバミドメチル化、変動的な修飾:N末端アミノ基の脱アミノ化(末端グルタミン)、酸化(メチオニン)、18Oを取り込んだ脱アミド化(アスパラギン:糖鎖付加部位)、MSスペクトルの許容誤差:500ppm、MS/MSスペクトルの許容誤差:0.5Daを用いた。
(6)上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質の同定
上述条件での検索から得られた糖ペプチドに対して、下記(i)〜(iv)の同定確認処理を行い、全ての条件を満たす糖ペプチドを選択した。
(i)同定の確からしさのスコア(偶然の一致の確率:Expect値)が0.05以下であること。
(ii)同定に寄与したフラグメントイオンの数が4つ以上であること。
(iii)誤差(ppm)が系統的誤差より大きくずれていないこと(質量誤差が0.5Da以下であること)。
(iv)同定されたペプチドにコンセンサス配列があり、その数以下のAsn修飾(Aspへの変換、及び18Oの取り込み)があること。
(結果)
選択された糖ペプチドを前記表1で「ペプチド配列」として配列番号1〜388で示す。これらのペプチドのアミノ酸配列に基づき、アミノ酸配列データベースNCBI-Refseqより対応する上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質におけるコアタンパク質の全アミノ酸配列を同定した。その結果、262種の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質が同定された。前記表1に上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質のコアタンパク質名を示す。
<実施例2:上皮性卵巣癌鑑別マーカーによる上皮性卵巣癌の検出>
実施例1で選択、同定された上皮性卵巣癌鑑別マーカーによる上皮性卵巣癌の検出を検証した。
(方法)
(1)プローブレクチンを用いた腹腔洗浄液の分画
明細胞腫瘍、粘液性腫瘍、漿液性腫瘍及び類内膜腫瘍の卵巣癌患者各2名、及び手術時に生理食塩水約100mLを腹腔内に注入し、ダグラス窩より注射器等を用いて腹腔洗浄液を回収した後、qPCR法で腹腔内進展が確認された胃癌患者各2名の腹腔洗浄液を用いた。各腹腔洗浄液中に含まれるタンパク質の濃度をBCA法により測定し、各試料中の総タンパク質量を等量に調製した後、以下のAALレクチン又はWFAレクチン分画に供した。
AAL分画は、0.5mLのAAL-アガロース(Vector Laboratories社)を2mL Disposable polystyrene column(Pierce社)に充填して10倍量のTBS(pH8)で洗浄を行った後、500μLにTBSで調製した各腹腔洗浄液(0.25mg総タンパク質量)を供し、カラム内に試料をとどめたまま室温下で静置し、一晩反応させた。その後、通過試料を回収し、カラムを10mLのTBSで洗浄した後、1mLの50mM フコース-TBSで溶出した(画分A-1)。さらに、カラムを30分間、室温静置によって反応させた後、2.4mLの溶出液を用いて画分を回収した(画分A-2)。その後4mLのTBSを用いてカラムを洗浄した後、上記回収した通過画分全量を再度カラムに供して、カラム内に試料をとどめたまま、室温静置して4時間反応させた。反応後10mLのTBSでカラムを洗浄し、0.6mLの溶出液を用いて画分を回収した(画分A-3)。さらに、カラムを30分間の室温静置によって反応させた後、1.4mLの溶出液を用いて画分を回収した(画分A-4)。前記A-1〜A-4画分を腹腔洗浄液のAAL(+)画分としてプールした。
WFA分画は、0.3mLのWFAアガロース(Vector Laboratories社)を上記AALと同様に2mL Disposable polystyrene column(Pierce社)に充填して洗浄した後、500μLにTBSで調製した各腹腔洗浄液(2.5mg総タンパク質量)を供して30分間室温下にて反応させた。反応後に6mLのTBSでカラムを洗浄してから、0.18mLの200mM ラクトース-TBSで溶出した(画分W-1)。次に、画分W-1を溶出したカラムを30分間、室温で静置後、0.72mLの溶出液を用いて画分を回収した(画分W-2)。回収したW-1とW-2画分を腹腔洗浄液WFA(+)画分としてプールした。
(2)イムノブロッティング
前記プールした各試料をAmicon Ultra-154 centrifugal filter units (10kDaカットオフ、ミリポア社)を用いて濃縮した後、実施例1で得られた上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質のコアタンパク質と特異的に結合する抗体を用いてイムノブロッティングを行った。
上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質は、実施例1で得られた表1に示した262種において、コアタンパク質を特異的に認識する抗体が市販されているものについて、それらの中から任意に5種を選択した。すなわち、表1におけるタンパク質#1の6型コラーゲンα1タンパク質(COL6α1)、同タンパク質#28のリジルオキシダーゼ様2タンパク質(LOXL2)、同タンパク質#35のセルロプラスミンタンパク質(CP)、同タンパク質#42のSERPING1タンパク質、及び同タンパク質#68の血液凝固因子第XII因子タンパク質(F12)である。抗体は、抗COL6α1ポリクローナル抗体(17023-1-AP:ProteinTech社)、抗LOXL2ポリクローナル抗体(GTX105085:GeneTex社)、抗CPポリクローナル抗体(A80-124A:Bethyl社)、抗SERPING1モノクローナル抗体(3F4-1D9、H00000710-M01:Abnova社)及び抗F12抗体(B7C9、GTX21007:GeneTex社)を使用した。これらの抗体を、Biotin Labeling Kit-NH2(同仁化学研究所)を用いてビオチン化処理した。ビオチン化は、添付のプロトコルに従った。
上記(1)で調製した腹腔洗浄液のAAL(+)画分又はWFA(+)画分をXV PANTERA SYSYTEM の10%アクリルアミドゲル(丸幸商会社)を用いてSDS-PAGEで展開した後、200mA、90分でPVDFメンブレン(Bio-Rad社)に転写した。ブロッキング剤には、PBSに0.1% Tween 20を加えたPBSTに溶解した5%スキムミルクもしくは5% BSAを使用し、4℃で一晩ブロッキングした後、PBSTで10分間の洗浄を3回行った。続いて、メンブレンに前記ビオチン化抗体を一次抗体として加え、1時間室温下で反応させた。ここで、AAL(+)画分を転写したメンブレンには、抗COL6α1抗体を、WFA(+)画分を転写したメンブレンには、抗LOXL2抗体、抗CP抗体、抗SERPING1抗体及び抗F12抗体をそれぞれ加えた。反応後、再びPBSTで10分間の洗浄を3回行った後、ビオチン化抗体の二次抗体としてHRP-conjugated streptavidin(1:3000希釈、GE社)を用いて1時間室温下で反応させた。PBSTで10分間の洗浄を3回行った後、Western Lightning Chemiluminescence Reagent Plus (パーキンエルマー社)を用いてHRPの酵素反応を行い、シグナルをAmersham Hyperfilm ECL (GE社)で検出して比較解析を行った。
(結果)
上記各癌患者における腹腔洗浄液中の各上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質の検出結果を図2〜6に示す。
図2の結果から、COL6α1は、非上皮性卵巣癌である胃癌の患者からは、検出されなかった。また、上皮性卵巣癌患者の場合にも、明細胞腺癌患者と漿液性腺癌患者から検出されたが、類内膜型腺癌患者からはほとんど検出されなかった。すなわち、COL6α1は、上皮性卵巣癌の中でも明細胞腫瘍又は漿液性腫瘍への絞り込みが可能な上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質となり得ることが明らかとなった。明細胞腫瘍と同様に、子宮内膜症に合併して発生することの多い類内膜腫瘍では検出されないことから、子宮内膜症合併型における明細胞腫瘍の囲い込みが可能なマーカー糖タンパク質となり得ることが明らかとなった。
図3〜6の結果から、LOXL2、CP、SERPING1及びF12は、いずれも検証した全ての組織型の上皮性卵巣癌患者から検出されたが、胃癌患者からは検出されなかった。したがって、LOXL2、CP、SERPING1及びF12の糖タンパク質は、組織型を問わず、上皮性卵巣癌の鑑別が可能な上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質となり得ることが明らかとなった。
また、実施例1で得られた表1に記載の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質から、任意に選択した5種の全てで、組織型特異的に又は非特異的に上皮性卵巣癌が検出されたことから、表1に記載の糖タンパク質は、いずれも上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質となり得ることが示された。

Claims (13)

  1. 表1に示すタンパク質のアミノ酸配列において、表1に示す糖付加位置のアスパラギン残基の少なくとも一つに糖鎖が付加された上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質。
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  2. 前記糖鎖がフコース修飾を伴う糖鎖及び/又は末端N−アセチルガラクトサミンを含む糖鎖である、請求項1に記載の糖タンパク質。
  3. 前記糖鎖がAALレクチン及び/又はWFAレクチンと結合する、請求項1又は2に記載の糖タンパク質。
  4. 上皮性卵巣癌が明細胞腫瘍、粘液性腫瘍、漿液性腫瘍及び類内膜腫瘍の少なくとも一つである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の糖タンパク質。
  5. 前記タンパク質が6型コラーゲンα1であり、かつ上皮性卵巣癌が明細胞腫瘍又は漿液性腫瘍である、請求項4に記載の糖タンパク質。
  6. 表1に示す糖付加位置に糖鎖が付加されたアスパラギン残基を少なくとも一つ含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質断片。
  7. 被験者より採取された試料から、一以上の請求項1〜5のいずれか一項に記載の上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質、及び/又は一以上の請求項6に記載のタンパク質断片を検出する工程、及び
    前記糖タンパク質及び/又は前記糖タンパク質断片が検出された場合に、その被験者が上皮性卵巣癌に罹患していると判定する工程
    を含む上皮性卵巣癌罹患判定方法。
  8. 前記検出工程が糖タンパク質富化ステップとタンパク質検出ステップを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記上皮性卵巣癌鑑別マーカー用糖タンパク質及び/又はその糖タンパク質断片を、前記糖鎖に結合する一以上の糖鎖プローブを用いて検出する、請求項7又は8に記載の方法。
  10. 前記糖鎖プローブがレクチン、抗体又はファージ抗体である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記レクチンがAAL又はWFAである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記試料が体液、細胞又は腹腔洗浄液である、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 上皮性卵巣癌が明細胞腫瘍、粘液性腫瘍、漿液性腫瘍及び類内膜腫瘍の少なくとも一つである、請求項7〜12のいずれか一項に記載の方法。
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