JP2015124940A - 蓄熱構造体及びそれを用いた住宅 - Google Patents

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雅紀 高田
Masaki Takada
雅紀 高田
和典 西尾
Kazunori Nishio
和典 西尾
真理子 齋藤
Mariko Saito
真理子 齋藤
佐藤 寛
Hiroshi Sato
佐藤  寛
成憲 岩澤
Shigenori Iwazawa
成憲 岩澤
大輔 梅本
Daisuke Umemoto
大輔 梅本
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Abstract

【課題】蓄熱構造体及びそれを用いた住宅に関し、詳しくは、蓄熱部の温度のバラツキを低減すること等が可能な技術に関する。【解決手段】熱を蓄える蓄熱構造体1であって、内部に断熱された空間を区画するケース3と、前記空間内に配された蓄熱部4と、ケース3の内部に形成されかつ熱媒である空気を蓄熱部4と熱交換させるための空気流路5とを含み、ケース3には、空気が供給される給気口Aと、空間を通って蓄熱部4と熱交換した空気が排出される排気口Bとが設けられている。蓄熱部4は、第1蓄熱部4Aと、第1蓄熱部4Aよりも熱抵抗が大きい第2蓄熱部4Bとを含むことを特徴とする。【選択図】図5

Description

本発明は、蓄熱構造体及びそれを用いた住宅に関し、詳しくは、蓄熱部の温度のバラツキを低減すること等が可能な技術に関する。
従来から、空気の熱を蓄え、必要に応じてそれを放出する蓄熱構造体が種々提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
蓄熱構造体は、例えば、断熱材で覆われたケース内に、顕熱型又は潜熱型の蓄熱材を具えている。ケースには、通常、熱媒である空気が供給される給気口と、蓄熱材と熱交換した空気が排出される排気口とが設けられている。蓄熱材は、前記空気と熱交換することにより、自らに熱を蓄えることができる。
特開2012−215346号公報
従来の蓄熱構造体は、同じ材料からなる蓄熱材が用いられている。このため、蓄熱材の熱抵抗は、各部において等しい。一方、例えば、蓄熱構造体の規模が大きい場合、熱媒である空気の温度は、給気口側から排気口側に向かって徐々に低下する。このため、蓄熱材の温度も、熱媒空気の温度変化に伴って、給気口側から排気口側に向かって低くなり、温度のバラツキが生じるという問題があった。
上述のような蓄熱材の温度のバラツキは、放熱時においても、熱交換効率を低下させる原因になる。例えば、蓄熱構造体の熱エネルギーを活用(放熱)する場合、温度の低い空気が給気口から導入される。この空気は、蓄熱材と熱交換し暖められて、排気口から取り出される。前記空気の温度は、蓄熱材との熱交換で徐々に上昇するため、排気口側では、蓄熱材との差が小さく、そこでの効率的な熱交換が期待できないという問題もあった。
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、蓄熱部の温度のバラツキを低減し、効率的な熱交換が可能な蓄熱構造体及びそれを用いた住宅を提供することを主たる目的としている。
本発明は、熱を蓄える蓄熱構造体であって、内部に断熱された空間を区画するケースと、前記空間内に配された蓄熱部と、前記ケースの内部に形成されかつ熱媒である空気を前記蓄熱部と熱交換させるための空気流路とを含み、前記ケースには、前記空気が供給される給気口と、前記空気流路を通って前記蓄熱部と熱交換した空気が排出される排気口とが設けられ、前記蓄熱部は、第1蓄熱部と、前記第1蓄熱部よりも熱抵抗が大きい第2蓄熱部とを含むことを特徴とする。
本発明の蓄熱構造体において、前記空気流路は、前記給気口からのびる供給主流路と、前記供給主流路と平行にのび前記排気口に連通する排気主流路と、前記供給主流路と前記排気主流路とを繋ぐ接続流路とを含み、前記蓄熱部は、前記供給主流路と前記排気主流路との間に設けられ、前記第1蓄熱部は、前記排気主流路側に配されており、前記第2蓄熱部は、前記供給主流路側に配されていることが望ましい。
本発明の蓄熱構造体において、前記接続流路は、前記蓄熱部の底面側を通る第1流路を含むことが望ましい。
本発明の蓄熱構造体において、前記接続流路は、前記蓄熱部の側面側を通る第2流路を含むことが望ましい。
本発明の蓄熱構造体は、例えば、床下空間に配置されていることが望ましい。
本発明の蓄熱構造体は、住宅の敷地内の土中に埋設されていることが望ましい。
請求項1に係る発明によれば、内部に断熱された空間を区画するケースと、ケースの空間内に配された蓄熱部と、蓄熱部と熱交換可能な空気が通る空気流路とが設けられた蓄熱構造体が提供される。ケースには、前記空気が供給される給気口と、ケース内の蓄熱部と熱交換した空気が排出される排気口とが設けられている。さらに、蓄熱部は、第1蓄熱部と、この第1蓄熱部よりも熱抵抗が大きい第2蓄熱部とを含むことを特徴としている。
このような蓄熱構造体は、熱媒である空気の温度が、給気口側から排気口側に向かって低下するような場合でも、最適な熱交換が可能なように、第1蓄熱部及び第2蓄熱部を配置することが可能になる。例えば、蓄熱部は、空気の温度が相対的に高い給気口側に熱抵抗の大きい第2蓄熱部が配置される一方、空気の温度が相対的に低い排気口側に熱抵抗の小さい第1蓄熱部が配置され得る。この場合、蓄熱部の排気口側では、温度が低下した空気と第1蓄熱部との熱交換の速度が高められ、ひいては、蓄熱部の温度のバラツキを低減することができる。その結果、蓄熱部全体を一定温度に近づけることが可能となり、蓄熱構造体全体で効率よく蓄熱することができる。
蓄熱構造体の放熱時において、温度の低い空気が給気口から導入された場合、この空気は、蓄熱部と熱交換し、排気口から取り出される。前記空気の温度は、蓄熱部との熱交換で徐々に上昇するものの、排気口側の蓄熱部は、相対的に熱抵抗が小さいため、両者の温度差が小さくても、熱交換速度を高めることで、熱交換の効率の低下が防止され得る。
本発明の一実施形態の蓄熱構造体の全体斜視図である。 図1の平面図である。 図2のX−X断面図です。 図3の要部拡大図である。 空気流路を説明するための蓄熱構造体の概略平面図である。 蓄熱部の部分拡大斜視図である。 (A)及び(B)は、蓄熱部の他の実施形態を示す平面図である。 本実施形態の住宅の断面図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1には、本発明の一実施形態に係る蓄熱構造体1の全体斜視図が示されている。本実施形態の蓄熱構造体1は、空気から熱を奪って蓄えることができる。蓄熱構造体1に蓄えられた熱は、必要なときに取り出され、例えば、住宅やビル等の暖房に利用される。
本実施形態の蓄熱構造体1は、内部に空間2を区画するケース3と、ケース3の空間2内に配された蓄熱部4と、ケース3の内部に形成されかつ熱媒である空気を蓄熱部4と熱交換させるための空気流路5とを含んでいる。
本実施形態のケース3は、例えば、直方体状であり、底壁部3a、上壁部3b、及び、これらの間を囲む4つの側壁部3cを含んでいる。各壁部3a乃至3cは、例えば、発泡樹脂等の断熱材で形成されている。これにより、ケース3の内部には、外部から断熱された略直方体状の空間2が提供される。ケース3の形状や材料等は、本実施形態に限定されるわけではない。
ケース3には、給気口A及び排気口Bが設けられている。ケース3内の空気流路5は、一端が給気口Aに、他端が排気口Bに連通している。蓄熱時、給気口Aには、熱媒である空気が供給される。ケース3の空間2の中の空気流路5で蓄熱部4と熱交換した空気は、排気口Bからケース3の外部に排出される。本実施形態において、給気口A及び排気口Bは、例えば、側壁部3cに、該側壁部3cを貫通する開口として設けられている。好ましい実施形態では、給気口A及び排気口Bは、一つの側壁部3cの両端部に距離を隔てて設けられている。
図2は、図1の蓄熱構造体1の平面図、図3は、図2のX−X断面図である。図2又は図3に示されるように、本実施形態の蓄熱部4は、例えば、複数個の蓄熱ユニット6を含んで構成されている。ただし、蓄熱部4は、一つの蓄熱ユニット6で構成されても良い。
各蓄熱ユニット6は、例えば、蓄熱体7と、蓄熱体7を収容するタンク8とを含んで構成されている。
図3に示されるように、蓄熱体7は、温度変化による顕熱を利用しうるものであれば、特に限定はされず、液体又は固体が採用される。本実施形態の蓄熱体7は、液体であり、特に好ましくは、対流を生じる程度の粘度を有する液体が望ましい。本実施形態では、蓄熱体7として、水が用いられている。
図2に示されるように、各タンク8は、蓄熱体7を入れるための入口を有する容器状のタンク本体8aと、その入口を閉じるキャップ8bとを具えている。従って、タンク8内の蓄熱体7は、外気との接触が遮断され、熱媒である空気とは、タンク本体8aを介して熱交換される。
タンク本体8aは、例えば、上下方向に長い縦長の略直方体状で構成されている。タンク本体8aは、その外側の空気と、内部の蓄熱体7との熱交換が可能な材料で構成されている。このような材料としては、例えば、金属材料又は樹脂材料が望ましい。金属材料としては、例えば、アルミニウムやステンレスなど、樹脂材料としては、ポリエチレン等が、それぞれ好適に用いられる。いずれも、これらの具体的な材料に限定されるわけではない。
図2の平面図から明らかなように、本実施形態の蓄熱部4は、複数の蓄熱ユニット6…が互いに接触して並べられた蓄熱ユニット列10を含んでいる。各蓄熱ユニット列10は、例えば、7個の蓄熱ユニット6で構成されたものが示されており、この蓄熱ユニット列10が9列(図2では6列しか見えない)設けられている。各蓄熱ユニット列10の両端と、側壁部3cとの間には、例えば、突っ張り治具11が配されている。突っ張り治具11は、蓄熱ユニット列10の各タンク8を互いに密に接触させる力を与える。このような構成によれば、例えば、タンク8の熱膨張等による蓄熱ユニット4の位置ずれ等が防止される。一方、蓄熱ユニット列10、10の間には、隙間が設けられている。
図4は、図3の要部を拡大して示している。図4に示されるように、蓄熱部4のタンク8は、例えば、その上面側がケース3内に供給される空気と断熱されている。本実施形態では、断熱性能を有するケース3の上壁部3bがタンク8の上面を覆うことで、タンク8の上面側の空間が断熱されている。従って、タンク8の上部の空間には、熱媒である空気が進入できない。好適には、上壁部3bと、タンク8の上面との間に、これらの隙間を埋める別の断熱材が配されても良い。
図5には、ケース3内の空気流路5を説明するための蓄熱構造体1の平面図が示されている。空気流路5は、給気口Aからのびる供給主流路20と、供給主流路20と平行にのび排気口Bに連通する排気主流路22と、供給主流路20と排気主流路22との間を繋ぐ接続流路24とを含んでいる。
供給主流路20は、給気口Aの空気供給方向に沿ってのびており、本実施形態では、給気口A側の側壁部3cに沿って形成されている。排気主流路22は、排気口Bの空気排気方向に沿ってのびており、排気口B側の側壁部3cに沿って形成されている。従って、供給主流路20と排気主流路22との間に、蓄熱部4が設けられる。これらの供給主流路20及び排気主流路22を通過する空気は、主として、タンク8の側面と熱交換を行う。
接続流路24は、例えば、第1流路24A及び第2流路24Bを含むことができる。
図4に示されるように、第1流路24Aは、タンク8の下面側を通る流路である。本実施形態では、タンク8の下面と、ケース3(底板部3a)との間に第1スペーサ13が配置されている。第1スペーサ13は、タンク8の下面の少なくとも一部を、ケース3の底板部3aから浮かせることができる。これにより、タンク8の下面と、ケース3(底板部3a)との間に、空気が通過可能な第1流路24Aが形成されている。
第1流路24Aは、タンク8の下面に空気を通すことができるものであれば、第1スペーサ13を用いることなく種々の方法で形成されても良い。例えば、第1流路24Aは、底板部3aの表面に空気が通過可能な溝として形成されても良い。また、第1スペーサ13に代えて、タンク8に、その下面を浮かすことができる脚部などが一体に設けられていても良い。
第2流路24Bは、隣り合う蓄熱ユニット列10、10の間に形成されており、タンク8の側面側を通る流路である。図6の要部斜視図に示されるように、蓄熱ユニット列10、10間に、第2スペーサ14が配されている。第2スペーサ14は、隣接する蓄熱ユニット列10、10の側面間に、上下方向にのびる隙間を提供することで、第2流路24Bを構成している。
第2スペーサ14は、例えば、下方に位置する下側第2スペーサ14Aと、上方に位置する上側第2スペーサ14Bとを含むことができる。
下側第2スペーサ14Aは、底板部3aよりも上方であるが、タンク8、8間の相対的に低い位置に配置されている。下側第2スペーサ14Aには、例えば、ピース材であっても良いし、蓄熱ユニット列10の全長さに亘ってのびる長尺なもののいずれでも良い。
上側第2スペーサ14Bは、下側第2スペーサ14Aよりも上方で、タンク8、8間の相対的に高い位置に配置されている。上側第2スペーサ14Bには、好ましくは、蓄熱ユニット列10の全長さに亘ってのびる長尺なものが採用される。このような長尺の上側第2スペーサ14Bは、隣り合うタンク8,8間の隙間(第2流路24B)の上限位置を定めることができる。即ち、第2流路24Bを流れる空気が、タンク8の上面側へと進入するのを防止することができる。
さらに好ましい態様では、上側第2スペーサ14Bをさらに上から覆うように、断熱性能を有するテープ等の被覆材16が配されるのが望ましい。この被覆材16は、上側第2スペーサ14Bを介して隣り合うタンク8、8間に跨って配されている。このような被覆材16は、第2流路24Bを流れる空気が、タンク8の上面側へと回り込むのをさらに確実に防止することができる。
図5に示したように、本記実施形態の空気流路のレイアウトは、給気口Aから供給された熱媒である空気を、蓄熱部4の各タンク8と広範囲にかつ満遍なく接触させるのに役立つ。空気の流れの偏りを防止するために、蓄熱ユニット列10の長手方向に沿った仕切り材40等が設けられても良い。
以上のように構成された蓄熱構造体1は、給気口Aから供給された熱媒である空気は、供給主流路20、接続流路24(第1流路24A及び第2流路24B)、及び、排気主流路22を通って排気口Bから排出される。蓄熱部4の各タンク8の下面及び側面では、タンク本体8aを介して、空気と蓄熱体7との熱交換が行われる。これにより、蓄熱体7に、熱が蓄えられる。一方、空気流路5を通過する空気は、熱を奪われ、徐々にその温度が低下する。
本実施形態の蓄熱構造体1は、図4に示されるように、第1流路24Aにより、タンク8の下面も熱交換面とされる。従って、第1流路24Aの空気で温められたタンク8の下面付近の蓄熱体7は、対流によってタンク8の上部側に上昇する。一方、タンク8の上部側は上述のように断熱されている。このため、タンク8の上部側の相対的に温度の低い蓄熱体7は、タンク8の下面付近へと移動する。このような蓄熱体7のタンク8内での対流を利用することにより、タンク8の下面(熱交換面)での蓄熱体7の局所的な温度上昇が防止される。
従って、本実施形態の蓄熱構造体1は、蓄熱体7の熱交換面と空気との温度差が大きく確保され、高い熱交換効率を得ることができる。特に好まし態様では、第1流路24Aの上下方向の高さは、20mm以下であり、より好ましくは15mm以下、さらに好ましくは10〜15mmである。
図5に示されるように、本発明で用いられている蓄熱部4は、第1蓄熱部4Aと、第1蓄熱部4Aよりも熱抵抗が大きい第2蓄熱部4Bとを含んでいる。熱抵抗とは、温度の伝えにくさを表す値であり、物体に1Wの電力に相当する熱量を与えた場合にその温度が何度上昇するかを示すものである(単位:℃/W)。従って、第1蓄熱部4Aは、第2蓄熱部4Bよりも熱が、伝わりやすく、かつ、逃げやすい。従って、蓄熱構造体1の蓄熱部4として、熱交換効率が高められるように、空気流路5を流れる空気の温度に応じて、第1蓄熱部4及び第2蓄熱部4Bが配置され得る。
例えば、図5に示される好ましい実施形態では、第1蓄熱部4Aは、蓄熱部4の中で、排気主流路22側に配されている。より具体的には、供給主流路20と排気主流路22との間をほぼ二分する境界線X−Xよりも排気主流路22側に第1蓄熱部4Aが配置されている。一方、第2蓄熱部4Bは、蓄熱部4の中で、境界線X−Xよりも供給主流路20側に配されている。
一般に、蓄熱時、空気流路5を流れる熱媒空気の温度は、給気口A(上流)側から排気口B(下流)側に向かうにつれて低下する。しかし、本発明の蓄熱構造体1によれば、排気口B側で空気の温度が低下しても、そこには、熱抵抗の小さい第1蓄熱部4Aが配置されているため、そこでの熱交換速度を高め、蓄熱部4の温度のバラツキを低減することができる。その結果、蓄熱部4全体を一定温度に近づけることが可能となり、蓄熱構造体1の全体として効率よく蓄熱することができる。
他方、蓄熱構造体1の放熱時では、温度の低い空気が給気口Aから導入される。この空気は、蓄熱部4と熱交換して暖められて排気口Bから取り出される。この際、空気の温度は、蓄熱部4との熱交換で徐々に上昇し、排気口B側に向かうに従い高温になる傾向がある。このため、通常では、排気口B側では、蓄熱材と空気との温度差が小さく、効率的な熱交換が期待できない傾向がある。しかしながら、本実施形態では、排気口B側の第1蓄熱部は、相対的に熱抵抗が小さいため、空気との温度差が小さくでも、熱交換速度を高め、熱交換効率の低下が防止され得る。
蓄熱部4の熱抵抗を異ならせるためには、様々な方法が採用され、特に限定されるものではない。例えば、本実施形態のように、蓄熱部4が、タンク8等のケーシングに封止されて利用される蓄熱材料(液体)7の場合、ケーシングの材料及び/又は蓄熱材料を変えることで実現可能である。ケーシングに関して、例えば、第1蓄熱部4Aには、熱抵抗が小さい材料(例えば、鉄、アルミ合金等の金属材料)が用いられる一方、第2蓄熱部4Bには、熱抵抗が大きい材料(例えば、樹脂材料)が採用され得る。さらに、ケーシングに関して、同一の材料を使用しながら、第1蓄熱部4Aには、熱抵抗が小さくなるよう薄いケーシング厚さが用いられる一方、第2蓄熱部4Bには、熱抵抗が大きくなるように厚いケーシング厚さが採用されても良い。
蓄熱材料に関しては、例えば、第1蓄熱部4Aには、熱抵抗が小さい(熱伝導率が大きい)液体が用いられる一方、第2蓄熱部4Bには、熱抵抗が大きい(熱伝導率が小さい)液体が用いられる。液体としては、本実施形態の水以外にも、エチレングリコールやエチルアルコール等が挙げられる。また、顕熱型の液体以外にも、ポリエチレングリコール、硫酸ナトリウム+水和物、パラフィンワックス等を用いても良い。なお、蓄熱部4が、ケーシング等を利用しない固体である場合、蓄熱材料そのものを異ならせて、熱抵抗を変化させることができる。
第1蓄熱部4Aと第2蓄熱部4Bの境界線X−Xの位置は、ケース3の形状等や空気流路5を流れる空気の温度分布に応じて、任意に定めることができる。図5の実施形態では、第1蓄熱部4Aと第2蓄熱部4Bとの境界線X−Xは、供給主流路20と排気主流路22との間をほぼ二分するように定められている。しかしながら、例えば、図7(A)に示されるように、給気口Aからの空気流路の実長さを考慮して、第1蓄熱部4Aと第2蓄熱部4Bの境界線X−XをL字状に定めることもできる。この実施形態では、蓄熱部4を平面からみたときの平面座標に見立てたときに、第2象限に、第2蓄熱部4Bが配置されており、第1、第3及び第4象限に第1蓄熱部4Aが配置されている。この実施形態においても、蓄熱部4の温度分布を均一化するのに役立つ。
さらに、上記実施形態では、蓄熱部4が、第1蓄熱部4Aと、第2蓄熱部4Bとの2種類の蓄熱部で構成された例を示したが、図7(B)に示されるように、第2蓄熱部4Bよりもさらに熱抵抗の大きい第3蓄熱部4Cを含んでいても良い。この場合、第3蓄熱部4Cは、第2蓄熱部4Bよりもさらに給気口A側に配置されているのが望ましい。このような実施形態では、さらに蓄熱部4の温度のバラツキを小さく抑えることが可能になる。図7(B)では、各蓄熱部4A乃至4Cの境界線が、X1、X2で示されている。
図8には、本発明の蓄熱構造体1が住宅に利用された実施形態が示されている。この実施形態の住宅30は、基礎31と1階の床32とで囲まれた床下空間33を具えている。基礎31は、例えば、断熱されている。蓄熱構造体1は、住宅30の床下空間33に配置されている。このような蓄熱構造体1は、居住スペースを占有しないため、スペースの有効利用が図られる。
蓄熱構造体1の給気口Aには、住宅30の集熱装置で暖められた空気が供給される。この実施形態の集熱装置は、例えば、外壁に設けられた二重サッシ窓35である。二重サッシ窓35は、隙間を隔てて配された室内側サッシ35aと、屋外側サッシ35bとを具えている。二重サッシ窓35は、室内側サッシ35aと屋外側サッシ35bとの隙間の空気が日射によって暖められる。従って、二重サッシ窓35は、集熱装置として機能し、蓄熱構造体1へ供給するための好適な熱媒を提供する。
本実施形態では、二重サッシ窓35の前記隙間と、蓄熱構造体1の給気口Aとが、給気ダクト36で接続されている。好ましい態様では、ファン37が設けられ、強制的に、二重サッシ窓35の隙間の空気が蓄熱構造体1へと給気される。供給された空気の熱は、蓄熱部4に蓄えられる。
蓄熱構造体1の排気口Bには、例えば、排気ダクト38が接続されている。排気ダクト38は、蓄熱構造体1で熱交換を終えた空気を、例えば、床下空間33又は居室39に選択的に供給することができる。
蓄熱構造体1の給気口Aには、種々の空気が供給可能である。例えば、集熱装置は、屋根上に置かれたものでも良い。この集熱装置は、太陽熱によって、暖められた空気を生成することができる。
集熱装置に代えて、エアコンの排熱などが、蓄熱構造体1の給気口Aに供給されても良い。さらには、床下空間33は、冬季でも外気に比べて比較的暖かい温度の空気で満たされているので、この床下空気が蓄熱構造体1の給気口Aに供給されても良い。
上記実施形態では、蓄熱構造体1は、床下空間33に設けられているが、例えば、地中に埋設されても良い。好ましくは、住宅の敷地内の土中に埋設され得る。
以上、本発明の実施形態が詳細に説明されたが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施され得る。
1 蓄熱構造体
2 空間
3 ケース
4 蓄熱部
5 空気流路
6 蓄熱ユニット
7 蓄熱体
8 タンク
10 蓄熱ユニット列
20 供給主流路
22 排気主流路
24 接続流路
24A 第1流路
24B 第2流路
30 住宅
A 給気口
B 排気口

Claims (6)

  1. 熱を蓄える蓄熱構造体であって、
    内部に断熱された空間を区画するケースと、前記空間内に配された蓄熱部と、前記ケースの内部に形成されかつ熱媒である空気を前記蓄熱部と熱交換させるための空気流路とを含み、
    前記ケースには、前記空気が供給される給気口と、前記空気流路を通って前記蓄熱部と熱交換した空気が排出される排気口とが設けられ、
    前記蓄熱部は、第1蓄熱部と、前記第1蓄熱部よりも熱抵抗が大きい第2蓄熱部とを含むことを特徴とする蓄熱構造体。
  2. 前記空気流路は、前記給気口からのびる供給主流路と、前記供給主流路と平行にのび前記排気口に連通する排気主流路と、前記供給主流路と前記排気主流路とを繋ぐ接続流路とを含み、
    前記蓄熱部は、前記供給主流路と前記排気主流路との間に設けられ、
    前記第1蓄熱部は、前記排気主流路側に配されており、前記第2蓄熱部は、前記供給主流路側に配されている請求項1記載の蓄熱構造体。
  3. 前記接続流路は、前記蓄熱部の底面側を通る第1流路を含んでいる請求項2記載の蓄熱構造体。
  4. 前記接続流路は、前記蓄熱部の側面側を通る第2流路を含んでいる請求項2又は3記載の蓄熱構造体。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載された蓄熱構造体が床下空間に配置されていることを特徴とする住宅。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載された蓄熱構造体が、住宅の敷地内の土中に埋設されていることを特徴とする住宅。
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