JP2015124290A - 抗菌作用を有する押出発泡体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】抗菌作用を有するとともに、自然環境に優しい押出発泡体を提供する
【解決手段】押出発泡体は、主成分であるデンプンと、発泡用プラスチックと、デンプンと発泡用プラスチックとを含む混合物に対する改質剤と、抗菌作用を奏する抗菌剤と、によってつくられる。そして、押出発泡体の製造方法は、主成分であるデンプンと発泡用プラスチックとを含むものを混合物と定義した際、発泡剤が添加された混合物から粉状配合物を調製する粉状配合物調製ステップと、粉状配合物に対して押出発泡を行う押出発泡ステップと、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、抗菌作用を有する押出発泡体及びその製造方法に関する。
ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン等といった発泡用プラスチックを主成分とする発泡体は、断熱性や緩衝性などに富み、断熱材、緩衝材や包装容器として利用されている。
近年、自然環境に対する意識が高まり、環境保護の取り組みが叫ばれている。そして、この取り組みの一環として、環境にやさしい材料(例えば、植物由来の成分)を用いた「発泡体」が求められている。例えば、特許文献1には、植物由来成分と考えられる官製葉書古紙を応用した押出発泡体が開示されている。この押出発泡体は、官製葉書古紙と樹脂成分であるポリプロピレンと補助剤としてのコーンスターチとを混練し、その後、これを押出成形することによって得られる。
特開2001−354795号公報
ところが、特許文献1に記載の押出発泡体の製造プロセスにおいては、官製葉書古紙と他の成分(ポリプロピレンやコーンスターチ)との混練に先だって、ミキサーカッタ方式の粉砕機による官製葉書古紙の粗粉砕と、ミル方式粉砕機による官製葉書古紙の微粉砕とを行い、紙粉未成分を得る必要がある。このため、特許文献1に記載の押出発泡体の製造プロセスにおいては、製造コストも割高となり高価な植物由来原料となるため工業的には課題が多かった。
本発明は、斯かる実情に鑑み、抗菌作用を有する押出発泡体及びその製造方法を提供しようとするものである。
本発明の抗菌作用を有する押出発泡体は、主成分であるデンプンと、発泡用プラスチックと、前記デンプンと前記発泡用プラスチックとを含む混合物に対する改質剤と、抗菌作用を奏する抗菌剤と、を含むことを特徴とする。
前記発泡用プラスチックは、ポリプロピレンを含み、前記改質剤は、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性体であることが好ましい。
前記デンプンの含有量は、前記発泡用プラスチックに対して、100重量%以上であることが好ましい。また、前記デンプンの含有量は、発泡体全体に対して、30重量%以上であることが好ましい。さらに、前記抗菌剤は、銀を有するゼオライト化合物を含むことが好ましい。
押出発泡体の製造方法は、主成分であるデンプンと発泡用プラスチック、添加剤とを含むものを混合物と定義した際、発泡剤が添加された前記混合物から粉状配合物を調製する粉状配合物調製ステップと、前記粉状配合物に対して押出発泡を行う押出発泡ステップと、を有することを特徴とする。
前記混合物を調製する混合物調製ステップと、前記混合物に対し発泡剤を添加する発泡剤添加ステップと、を有することが好ましい。
本発明によれば、抗菌作用を有するとともに、従来に比べ自然環境に優しい押出発泡体を提供することができる。
押出発泡体の製造方法の概要を示すフロー図である。 (A)は、実験2で得られた押出発泡体の写真であり、(B)は、実験2で得られた押出発泡体の切断面における拡大写真である。 (A)は、実験3で得られた押出発泡体の写真であり、(B)は、実験3で得られた押出発泡体の切断面における拡大写真である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
(押出発泡体)
押出発泡体は、主成分と、発泡用プラスチックと、発泡剤と、添加剤とを含む。
(主成分)
主成分は、自然環境にやさしい成分であり、例えば、植物由来の成分を用いることが好ましい。また、植物由来の成分としては、デンプン(例えば、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカデンプン、馬鈴薯デンプン、もち米デンプン、小麦デンプン)等がある。なお、段ボール、官製葉書等の古紙類は、植物由来成分としても微粉砕し粉末化する必要がある。したがって、製造コストを抑えるためにも、段ボールや官製葉書等の古紙類は、主成分には含まれないことが好ましい。
押出発泡体全体に対する主成分の含有量は、30重量%以上であることが好ましく、45重量%以上であることがより好ましい。押出発泡体全体に対する主成分の含有量の上限は、他の成分の含有量との関係で、押出発泡体が得られる程度の範囲であれば、特に限定されない。
また、発泡用プラスチックに対する主成分の含有量の範囲は、押出発泡体が得られる程度の範囲であれば、特に限定されない。例えば、この範囲の下限は、100重量%以上であることが好ましく、120重量%以上であることがより好ましい。また、この範囲の上限は、例えば、350重量%以下であることが好ましく、300重量%以下であることがより好ましい。
(発泡用プラスチック)
発泡用プラスチックは、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン等があるが、押出発泡性の面からは、ポリプロピレンやポリスチレンが好ましい。また、生産された押出発泡体の強度特性、スナッピイ性を有し、しなやかさや割れにくさを得るためには、発泡用プラスチックとしてポリプロピレンを用いることが好ましい。
押出発泡体全体に対する発泡用プラスチックの含有量は、例えば、20重量%以上50重量%以下であることが好ましく、25重量%以上45重量%以下であることがより好ましい。
(発泡剤)
発泡剤としては、有機系発泡剤や無機系発泡剤を適宜選択して用いることができるが、有機系発泡剤の場合には、多くは危険物を取り扱うこととなり設備面、製品安全面からの制約が大きい。このため無機系発泡剤を用いることが好ましい。無機系発泡剤としては、水、空気、炭酸ガス、窒素等があるが、常温、常圧下でしかも開放系での使用が可能な水を用いることが好ましい。
押出発泡体全体に対する発泡剤の含有量は、押出発泡体が得られる程度の範囲であれば、特に限定されない。例えば、その含有量の範囲は、3重量%以上8重量%以下であることが好ましく、5重量%以上6重量%以下であることがより好ましい。
(添加剤)
添加剤としては、例えば、改質剤、核剤、抗菌剤等がある。
以下、説明の便宜上、主成分と、発泡用プラスチックと、添加剤とが混合されたものを混合物と称する。
(改質剤)
改質剤は、主成分と発泡用プラスチックの相溶性の向上、混合物(特に、主成分と発泡用プラスチック)の溶融張力の向上を図るためのものである。改質剤は、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性体であり、より具体的にいえば、ポリテトラフルオロエチレン(A)および炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレート系ポリマー(B)からなるものであり、その具体例として、メタブレンA3000 三菱レイヨン社製がある。押出発泡体全体に対する改質剤の含有量は、例えば、0.1重量%以上0.4重量%以下であることが好ましい。
ポリテトラフルオロエチレン(A)は、テトラフルオロエチレンを主成分とする単量体を公知の方法で重合することにより得られるものである。ポリテトラフルオロエチレンの特性を損なわない範囲で、共重合成分としてヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン等の含フッ素オレフィンを含むことができる。炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレート系ポリマー(B)は、炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレートを含む単量体をラジカル重合あるいはイオン重合等で重合することにより得られるものである。炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な単量体としては、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン等のスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレート系単量体等を挙げることができる。これらの単量体は、単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
炭素数5〜30のアルキル(メタ)アクリレート系ポリマー(B)/ポリテトラフルオロエチレン(A)の重量比は0.2以上が好ましく、0.5以上であることがより好ましい。(B)/(A)の重量比が0.2未満ではポリテトラフルオロエチレンの分散性が低下する恐れがある。
(核剤)
核剤として、公知の物質(例えば、タルク)を適宜選択して用いることができる。核剤としては、粉末のものを用いることが好ましい。押出発泡体全体に対する核剤の含有量は、押出発泡体が得られる程度の範囲であれば、特に限定されない。例えば、その含有量の範囲は、0.1重量%以上3重量%以下であることが好ましい。
(抗菌剤)
抗菌剤として、抗菌作用を奏する公知の物質を適宜選択して用いることができるが、中でも、抗菌作用とともに消臭作用を奏するゼオライト化合物を用いることが好ましい。このようなゼオライト化合物としては、銀を担持したものが好ましい。銀を担持したゼオライト化合物としては、例えば、ゼオライト中に含有されるイオン交換可能な金属が銀により置換された物質がある。ここで、ゼオライトは、天然ゼオライトと合成ゼオライトとのうちいずれか一方でもよいし、両方でも良い。このようなゼオライト化合物としては、例えば、登録商標「ゼオミック」(シナネンゼオミック社製)がある。
押出発泡体全体に対する抗菌剤の含有量は、押出発泡体が得られる程度の範囲であって、添加剤の添加による効果が得られるものであれば、特に限定されない。その含有量は、例えば、0.1重量%以上3重量%以下であることが好ましい。
その他の添加剤として、発泡助剤、補強材、充填剤、軟化剤、加工助剤、活性剤、吸湿剤、難燃剤、離型剤等があり、いずれも本発明に適用できる。
このように、本発明の押出発泡体は、その主成分が自然環境にやさしい成分であるため、主成分の製造・調達課程のみならず、押出発泡体の製造課程においても、自然環境にやさしいものといえる。
(押出発泡体の製造方法)
図1に示すように、押出発泡体の製造方法2は、主成分Aと発泡用プラスチックBと所定の添加剤Cを含む混合物M1を調製する混合物調製ステップ10と、混合物M1に対し発泡剤Fを添加する発泡剤添加ステップ20と、発泡剤Fが添加された混合物M1から粉状の配合物M2を調製する配合物調製ステップ30と、配合物M2に対して押出発泡を行う押出発泡ステップ40とを有する。
混合物調製ステップ10において用いられる主成分Aと発泡用プラスチックBは、それぞれ粉状または粒状で有ることが好ましい。発泡剤添加ステップ20において用いられる発泡剤Fは、常温において液状であることが好ましい。これにより、混合物調製ステップ10、発泡剤添加ステップ20や、配合物調製ステップ30において、各成分を均一に分散させることができる。
混合物調製ステップ10と、発泡剤添加ステップ20と、配合物調製ステップ30とは、混合装置(例えば、ヘンシェルミキサー)を用いて行うことができる。また、押出発泡ステップ40は、押出装置(例えば、二軸押出機)を用いて行う。
なお、押出発泡体の製造方法2は、押出発泡ステップ40によって得られた押出発泡体Xを所定の形状に加工する加工工程を有していても良い。
以下の方法により、実験1〜7を行った。各実験の詳細は、実験1について詳細に行い、実験2〜7については、実験1と異なる部分のみの説明を行い、実験1と同じ部分の説明は省略する。
(実験1)
以下の手順で、押出発泡体の製造方法2(図1参照)を行った。混合物調製ステップ10では、ヘンシェルミキサー(三井三池製作所 FM300A)を用いて、表1に示す各成分(主成分と発泡用プラスチックと添加剤)を混合し、混合物を調製した。発泡剤添加ステップ20及び配合物調製ステップ30においては、ヘンシェルミキサー(三井三池製作所製 FM300A)を用いて、混合物に対し表1に示す添加剤を混合し、粉状の配合物を調製した。押出機として、池貝社製の二軸押出機(φ65mm、L/D=33)を用いて、押出発泡ステップ40を行った。押出発泡ステップ40における二軸押出機のシリンダC5〜C9の温度は110〜150℃であり、金型温度は170〜180℃であった。押出発泡ステップ40により、押出発泡体を得た。
(実験2〜7)
表1に示したこと以外は、実験1と同様にして、実験2〜7を行った。
(測定・評価)
実験1〜6では、押出発泡体の製造方法2によって押出発泡体が得られた。実験7では、押出発泡体が得られなかった。実験1〜6にて得られた押出発泡体に対し、以下の測定や評価を行った。各実験における測定結果や評価結果を表1に示す。
(成型加工性の評価)
得られた押出発泡体に対して目視観察を行い、以下の基準で評価した。
◎:押出ストランドの表面が非常に滑らかである。
○:押出ストランドの表面が滑らかである。
×:押出発泡体が得られず、評価ができなかった。
図2に示すとおり、実験2で得られた押出発泡体は、その押出ストランドの表面における凹凸が極めて小さいため、その表面は非常に滑らかであった。また、図3に示すとおり、実験3で得られた押出発泡体は、その押出ストランドの表面における凹凸が小さく、その表面は滑らかであった。さらに、実験2、3で得られた押出発泡体においては、口金から押し出された紐状体の融着部分がほとんど目立っていなかった。なお、実験1で得られた押出発泡体は、実験3で得られた押し出し発泡体と同様の傾向であり、実験4〜6で得られた押出発泡体は、実験2で得られた押し出し発泡体と同様の傾向であったため、実験1,4〜6で得られた押出発泡体の写真は割愛する。
(圧縮強度の測定)
JIS Z 0235(2002、包装用緩衝材料−評価試験方法)に従って、得られた押出発泡体の圧縮強度を測定した。
(抗菌性の評価)
JIS Z 2801(2010、抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果)に従って、得られた押出発泡体の抗菌活性値を算出した。そして、得られた抗菌活性値に基づいて、押出発泡体の抗菌性を、以下の基準に基づいて評価した。
◎:抗菌活性値が2.0以上
×:抗菌活性値が2.0未満
(臭気の測定)
JTETC(社団法人繊維評価技術協議会)に基づいて、得られた押出発泡体の臭気(減少率)を測定した。
(発泡倍率の測定)
比重測定より、得られた押出発泡体の発泡倍率を算出した。
本発明の押出発泡体は、改質剤(ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性体)を用いることにより、デンプンを主成分とする押出発泡が可能となり、結果として自然環境にやさしい押出発泡体を成型することができる(例えば、実験2と実験7)。また、本発明の押出発泡体は、表面が滑らかで抗菌性に優れ、圧縮強度も十分である(実験1〜6)。したがって、このような押出発泡体を成型加工し製造された発泡体容器、またはプラスチック製容器の中にボード状の該発泡体を敷設することにより、容器に収納された内容物を外的衝撃から保護するとともに、その抗菌特性によって雑菌による腐敗、腐蝕を抑えることができる。
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
2 押出発泡体の製造方法
10 混合物調製ステップ
20 発泡剤添加ステップ
30 配合物調製ステップ
40 押出発泡ステップ

Claims (7)

  1. 主成分であるデンプンと、
    発泡用プラスチックと、
    前記デンプンと前記発泡用プラスチックとを含む混合物に対する改質剤と、
    抗菌作用を奏する抗菌剤と、
    を含むことを特徴とする抗菌作用を有する押出発泡体。
  2. 前記発泡用プラスチックは、ポリプロピレンを含み、
    前記改質剤は、ポリテトラフルオロエチレンのアクリル変性体であることを特徴とする請求項1記載の抗菌作用を有する押出発泡体。
  3. 前記デンプンの含有量は、前記発泡用プラスチックに対して、100重量%以上であることを特徴とする請求項1または2記載の抗菌作用を有する押出発泡体。
  4. 前記デンプンの含有量は、発泡体全体に対して、30重量%以上であることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の抗菌作用を有する押出発泡体。
  5. 前記抗菌剤は、銀を有するゼオライト化合物を含むことを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の抗菌作用を有する押出発泡体。
  6. 主成分であるデンプンと発泡用プラスチックと添加剤とを含むものを混合物と定義した際、発泡剤が添加された前記混合物から粉状配合物を調製する粉状配合物調製ステップと、前記粉状配合物に対して押出発泡を行う押出発泡ステップと、を有することを特徴とする押出発泡体の製造方法。
  7. 前記混合物を調製する混合物調製ステップと、前記混合物に対し発泡剤を添加する発泡剤添加ステップと、を有することを特徴とする請求項6記載の押出発泡体の製造方法。
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