JP2015124256A - 筆記具用インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】イオン液体を溶媒として着色剤を含む筆記具用インキ組成物。前記筆記具用インキ組成物を内蔵してなるボールペン形態の筆記具。
【選択図】なし
Description
前記溶媒となる水は表面張力が高く、水性インキにおいては、ペン先に対する濡れ性が悪く、インキ吐出性及び潤滑性に乏しいため、書き味が重くなるため、水溶性溶剤や界面活性剤等を配合して表面張力を調整したり、潤滑性を付与する必要がある。
また、前記溶媒が有機溶剤の油性インキにおいては、インキ吐出性は得られるものの潤滑性に乏しいため、筆感を向上するために潤滑剤等の添加が必要となる(例えば、特許文献1乃至4参照)。
更に、前記イオン液体は25℃で液体であることを要件とする。
更には、前記筆記具用インキ組成物を内蔵してなる筆記具を要件とし、ボールペン形態であることを要件とする。
窒素原子カチオンを含むイオン液体は、カチオンを製造する場合の原料が、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオンを製造する場合の原料よりも比較的安全性が高く、操作性、価格面に優れ、更に、多様性に富み、要求される物性に対してイオン液体の構造を幅広くデザインすることが可能であり、物性を微調整しやすいため好適である。窒素原子を含むカチオンとしては、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、トリアゾリウムカチオン、イソキノリニウムカチオン、オキサゾリニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、トリアジニウムカチオン、キノリニウムカチオン、インドリニウムカチオン、キノキサリニウムカチオン、イソオキサゾリウムカチオン、カチオン性アミノ酸等が挙げられる。特に、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオンが好適である。
インキ組成物に用いるイオン液体が親水性の場合、生分解性が高く、低環境負荷である。更に、イオン液体のカチオン、アニオンに水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基のような親水性官能基を有する親水性イオン液体は、生分解性が高く、低環境負荷であり、水への溶解度がより高く、好適である。
また、イオン液体が、生体関連物質由来のカチオンとアニオンとの組合せの場合、生分解性が高いだけでなく、ベンジルアルコールのような溶剤と比べて安全性が高い。
水性用着色剤における染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
尚、前記顔料を分散する樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、セルロース、デキストラン、カゼイン等、およびそれらの誘導体、前記した樹脂の共重合体等が挙げられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
また、酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、天然雲母、合成雲母、アルミナ、ガラス片から選ばれる芯物質の表面を二酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料、コレステリック液晶型光輝性顔料等を使用することもできる。
更に、熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(加熱消色型顔料)や、熱変色性組成物と共に、染料や顔料を内包したマイクロカプセル顔料等の熱変色性顔料を使用することもできる。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料が適用できる。
更に、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示すものや、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させ加熱消色型のマイクロカプセル顔料も適用できる。
尚、前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−50〜0℃、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
更に、その他の顔料として、蛍光顔料、パール顔料、蓄光顔料、金属顔料、複合金属顔料、金属酸化物顔料、熱変色性顔料等を使用することもできる。
前記樹脂のうち、水溶性樹脂としては、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等が挙げられる。
油溶性樹脂としては、ケトン樹脂、スルフォアミド樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合体、エステルガム、キシレン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂やその水添化合物、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等が例示できる。
前記樹脂は一種又は二種以上を併用することができ、インキ組成物全量中0.1〜30重量%の範囲で用いられる。
具体的に、従来水性インキに適用されるような、例えば、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、サポニン等の防食剤(防錆剤)、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンの塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を使用してもよい。更に、潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、N−アシルアミノ酸系界面活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、α−リポ酸、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物やその塩等が用いられる。また、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することもできる。
また、剪断減粘性付与剤を添加することもでき、例えば、キサンタンガム、ウェランガム、ゼータシーガム、ダイユータンガム、マクロホモプシスガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ポリN−ビニル−カルボン酸アミド架橋物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、HLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩やアミン塩等を例示できる。
前記範囲においては、紙面への筆記時に特に良好な筆記性能を発現するものとなる。前記範囲より粘度が低い場合は筆跡の滲みや裏抜け、保管時の垂下り等が発生し易くなる虞があり、粘度が高い場合は速記時の追従性が悪くなる虞がある。
また、ペン先を1本備えるものの他、太さや形状の異なるペン先を軸筒の両端に備えた両頭式形態であってもよい。尚、前記両頭式形態においては、一端をボールペンとしたものであってもよい。
尚、本発明のインキ組成物は、特にボールペン形態の筆記具に適用した際により有用である。これはイオン液体がボールとボール受座に作用することで、筆記時に接触抵抗を緩和するため、滑らかな筆感が得られることに起因する。特に、超硬等の金属製ボールを用いた際には、従来技術の不具合として前述した析出等を生じることなく、かすれがなく、軽くて滑らかな筆感が得られるため、特に有用である。
イオン交換水中と、表1、2の各イオン液体1、2、3、5、6、8、12、13、14、17、18、21、22中と、イオン液体2、3、5、6、8、12、17、22にイオン交換水を添加して90wt%に希釈した試料中に直径0.5mmの超硬合金製ボールを浸漬させた。80℃の恒温器中に8日間静置した後、ボールの腐食を、その都度、溶液から取り出して目視により確認した。その結果、水に浸漬したボールのみ変色、腐食したのに対して、他のサンプル中のボールは、8日静置後も腐食しておらず、イオン液体が超硬合金製ボールに対して腐食性が低く、水が存在する環境下でも防食効果を持つことが示された。
超硬合金製ボールから溶出が想定されるニッケルイオン、コバルトンイオン、クロムイオン等の各イオンに対するイオン液体の溶解性を確認した。表1、2の各イオン液体1、2、3、5、6、8、12、13、14、17、18、21、22に、ニッケルイオンがイオン液体に対して0.1重量%となるように、塩化ニッケル(II)六水和物を添加、超音波で撹拌した。更に、塩化コバルト六水和物、塩化クロム(III)六水和物を用いて、それぞれ同様な操作を行った。その結果、いずれの金属化合物も溶解し、イオン液体が、前記金属イオン(金属塩)に対して溶解性を持つことが示された。
表3〜5に示す実施例及び比較例の配合量で各原料を混合し、25℃でディスパーにて400rpm、1時間攪拌した後、濾過することでボールペンインキ組成物を得た。尚、得られた実施例1〜26の各インキ組成物の粘度は100〜100,000mPa・sの範囲であった。
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターブラックR510
(2)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファストレッド1308
(3)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファストブラック3830
(4)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファストブルー1605
(5)オリエント化学工業(株)製、商品名:オイルピンク312
(6)カーボンブラック、三菱化学(株)製、商品名:MA−100
(7)(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン4.5部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T1:−20℃、T2:−9℃、T3:40℃、T4:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm、黒色から無色に色変化する)
(8)ポリビニルピロリドン樹脂、BASF(株)製、商品名:ルビテックK−30
(9)リン酸エステル系界面活性剤、第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
基油としてポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
直径0.5mmの超硬合金製ボールを抱持するステンレススチール製チップが透明ポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィル内に、前記各インキ組成物を充填し、その後端に前記インキ逆流防止体を配設した後、前記ボールペンレフィルを軸筒に組み込み、キャップを装着することでボールペンを作製した。
機械筆記試験(筆記抵抗値測定)
筆記可能であることを確認した前記ボールペンを、室温にて円板式画線機(筆記角度75°、荷重100g、筆記速度4m/min)を用いて筆記した際の筆記抵抗値を測定した。尚、得られた値は、3本の筆記抵抗値データの平均値(単位:g)である。
手書筆記試験
筆記可能であることを確認した前記ボールペンを、室温にてレポート用紙(JIS P3201筆記用紙A)に手書きで1行に12個の螺旋状の丸を連続筆記した際の筆記感を確認した。
各試験の結果を以下に示す。
手書筆記試験
筆記感
○:軽くて滑らかな筆記感。
×:軽いが滑らかでない、もしくは滑らかだが重い筆記感。
Claims (4)
- イオン液体を溶媒として着色剤を含む筆記具用インキ組成物。
- 前記イオン液体は25℃で液体である請求項1に記載の筆記具用インキ組成物。
- 前記請求項1乃至2のいずれかに記載の筆記具用インキ組成物を内蔵してなる筆記具。
- ボールペン形態である前記請求項3に記載の筆記具。
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