JP2015124256A - 筆記具用インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具 - Google Patents

筆記具用インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具 Download PDF

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Abstract

【課題】従来より広く普及している水性インキや油性インキとは異なる新規な溶媒を用いることで、添加剤を配合することなく軽くて滑らかな筆記感が得られ、従来、経時に伴い析出していた添加剤由来の析出物がチップ先端部に詰まることなく安定した筆記が可能な筆記具用インキとそれを用いた筆記具を提供する。
【解決手段】イオン液体を溶媒として着色剤を含む筆記具用インキ組成物。前記筆記具用インキ組成物を内蔵してなるボールペン形態の筆記具。
【選択図】なし

Description

本発明は筆記具用インキ組成物に関する。更には、軽くて滑らかな筆記が可能な筆記具用インキ組成物とそれを内蔵した筆記具に関する。
従来、筆記具用インキとしては、水を溶媒とする水性インキと、ベンジルアルコールやフェニルグリコール等の有機溶剤を溶媒とする油性インキに大別される。
前記溶媒となる水は表面張力が高く、水性インキにおいては、ペン先に対する濡れ性が悪く、インキ吐出性及び潤滑性に乏しいため、書き味が重くなるため、水溶性溶剤や界面活性剤等を配合して表面張力を調整したり、潤滑性を付与する必要がある。
また、前記溶媒が有機溶剤の油性インキにおいては、インキ吐出性は得られるものの潤滑性に乏しいため、筆感を向上するために潤滑剤等の添加が必要となる(例えば、特許文献1乃至4参照)。
特開2000−80317号公報 特公平6−74395号公報 特開平5−331403号公報 特開平7−196971号公報
前述のように、通常は水性インキ、油性インキのいずれにおいても、潤滑性を付与するためにリン酸エステル系界面活性剤や、オレイン酸等の脂肪酸やその塩を添加する必要がある。しかしながら、ボールペンインキに前記界面活性剤や脂肪酸を用いた場合、経時に伴いチップ先端部の金属部材からインキ中に溶出してくる金属イオンとの反応によって、溶剤に難溶解性の塩が析出し易くなるため、その析出物がチップ先端部に詰まることで筆記不良を生じる虞がある。
本発明は、従来の水性インキや油性インキとは異なる新規な溶媒を用いることで、添加剤を配合することなく軽くて滑らかな筆感での筆記が可能な筆記具用インキとそれを用いた筆記具を提供するものである。
本発明の筆記具用インキ組成物は、イオン液体を溶媒として着色剤を含むことを要件とする。
更に、前記イオン液体は25℃で液体であることを要件とする。
更には、前記筆記具用インキ組成物を内蔵してなる筆記具を要件とし、ボールペン形態であることを要件とする。
本発明に適用されるイオン液体は液体であるにも関わらず、水や有機溶剤と比較して、不揮発性で、熱的に安定であり、更に、温度に対する粘度変化が小さく、潤滑性が高いため、従来の水性インキや油性インキのように添加剤を配合することなく、軽くて滑らかな筆感での筆記が可能な筆記具用インキ組成物となる。また、イオン液体はカチオンとアニオンの組合せにより極性を調整することができるため、水溶性、油溶性の幅広い染料、顔料等の着色剤に対する溶解性、分散性に優れる。更に、イオン液体は、防食(防錆)性を持ち、金属イオン(金属塩)に対しても溶解性が高いため、チップ先端部の金属部材から発生する金属イオンを溶解するとともに、添加剤を配合することで生じる不溶性析出物が発生し難くなるため、良好な吐出性を発現して、永続的に軽く滑らかな筆感でかすれや濃淡が無い筆跡が形成可能である実用性の高い筆記具を提供できる。
イオン液体とは、カチオンとアニオンとの組み合わせからなる、イオンのみで構成される有機塩であり、一般に、常圧で融点が100℃以下である。本発明の筆記具用インキ組成物に用いるイオン液体は、無水イオン液体及び空気中の水分を吸収した含水イオン液体であってもよく、常温(25℃)で液体であり、特に、0℃で液体であることが望ましい。つまり、イオン液体の融点をより下げることにより、イオン液体を主溶剤とする筆記具用インキは、実使用の温度範囲において、助溶剤を用いることなく液体として存在して流動性を確保できるので、固化してインキの吐出性を損なうことがないものとなる。
前記イオン液体を構成するカチオン、アニオンは、特に限定されるものではなく、例えば、カチオンとしては、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ピロリニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、トリアゾリウムカチオン、イソキノリニウムカチオン、オキサゾリニウムカチオン、チアゾリニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、グアニジウムカチオン、チオフェニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、トリアジニウムカチオン、キノリニウムカチオン、インドリニウムカチオン、キノキサリニウムカチオン、イソオキサゾリウムカチオン、チオオキソニウムカチオン、カチオン性アミノ酸等が挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとしては、アンモニウムカチオン、アンモニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたアンモニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むアンモニウムカチオンが挙げられ、例えば、2−ヒドロキシエチルアンモニウムカチオン、(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)プロピル)アンモニウムカチオン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン、トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン、テトラヘキシルアンモニウムカチオン、テトラデシルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルプロピルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルブチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルペンチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルヘキシルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルヘプチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルオクチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルデシルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチルドデシルアンモニウムカチオン、N−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムカチオン、N−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムカチオン、N−エチル−N,N−ジメチルヘキシルアンモニウムカチオン、N−(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムカチオン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムカチオン、N−エチル−N−(2−メトキシエチル)ジメチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−(2−メトキシエチル)メチルアンモニウムカチオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムカチオン、N−(2−エトキシエチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムカチオン、N−(2−プロポキシエチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムカチオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムカチオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルブチルアンモニウムカチオン、トリメチル(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)アンモニウムカチオン、トリメチル−(4−ビニルベンジル)アンモニウムカチオン、トリブチル−(4−ビニルベンジル)アンモニウムカチオン、2−(メタクリロキシ)エチルトリメチルアンモニウムカチオン、ベンジルジメチル(オクチル)−アンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N−(2−フェノキシエチル)−1−ドデシルアンモニウムカチオン等を挙げることができる。
前記イミダゾリウムカチオンとしては、イミダゾリウムカチオン、イミダゾリウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたイミダゾリウムカチオン、また、そのアルキル基中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むイミダゾリウムカチオンを挙げることができ、例えば、置換基を1個有するイミダゾリウムカチオンとしては、1−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシルイミダゾリウムカチオン等が挙げられ、置換基を2個有するイミダゾリウムカチオンとしては、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクタデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−(2−カルボキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−シアノプロピル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−オクチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−ブチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムカチオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル3−ビニルイミダゾリウムカチオン、1−アリル3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−プロピルルイミダゾリムカチオン、1−アリル−3−ブチルイミダゾリムカチオン、1−アリル−3−ペンチルイミダゾリムカチオン、1−アリル−3−ヘキシルイミダゾリムカチオン、1−アリル−3−へプチルイミダゾリムカチオン、1−アリル−3−オクチルイミダゾリムカチオン、1,3−ジアリルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)イミダゾリウムカチオン、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メトキシエチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−(2−(2−メトキシエトキシ)−エチル)−3−メチルイミダゾリウムカチオン等が挙げられ、置換基を3個有するイミダゾリウムカチオンとしては、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムカチオン、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−ブチルイミダゾリウムカチオン、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−ヘキシルイミダゾリウムカチオン、1,2−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−イソプロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン等を挙げることができる。
前記ピリジニウムカチオンとしては、ピリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたピリジニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むピリジニウムカチオンを挙げることができ、例えば、N−メチルピリジニウムカチオン、N−エチルピリジニウムカチオン、N−ブチルピリジニウムカチオン、N−プロピルピリジニウムカチオン、N−ヘキシルピリジニウムカチオン、N−エチル−3−メチルプリジウム、N−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、N−ブチル−3−メチルピリジニウムカチオン、N−(3−ヒドロキシプロピル)ピリジニウムカチオン等を挙げることができる。
前記ピロリジニウムカチオンとしては、ピロリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたピロリジニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むピロリジニウムカチオンを挙げることができ、例えば、N,N−ジメチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムカチオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−ペンチルピロリジニウムカチオン、N−ヘキシル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−オクチルピロリジニウムカチオン、N−デシル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−ドデシル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−(2−プロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−(2−イソプロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルピロリジニウムカチオン等を挙げることができる。
前記ピペリジニウムカチオンとしては、ピペリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたピペリジニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むピペリジニウムカチオンが挙げられ、例えば、N,N−ジメチルピペリジニウムカチオン、N−エチル−N−メチルピペリジニウムカチオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムカチオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムカチオン、N−メチル−N−ペンチルピペリジニウムカチオン、N−ヘキシル−N−メチルピペリジニウムカチオン、N−メチル−N−オクチルピペリジニウムカチオン、N−デシル−N−メチルピペリジニウムカチオン、N−ドデシル−N−メチルピペリジニウムカチオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムカチオン、N−(2−メトキシエチル)−N−エチルピペリジニウムカチオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウムカチオン、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウムカチオン、N−エチル−N−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウムカチオン、N−エチル−N−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウムカチオン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルピペリジウムカチオン等を挙げることができる。
前記ホスホニウムカチオンとしては、ホスホニウムカチオン、ホスホニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基、アリール基により置換されたホスホニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むホスルホニウムカチオンが挙げられ、例えば、テトラメチルホスホニウムカチオン、テトラエチルホスホニウムカチオン、テトラプロピルホスホニウムカチオン、テトラブチルホスホニウムカチオン、トリイソブチルメチルホスホニウムカチオン、テトラヘキシルホスホニウムカチオン、トリブチル−n−オクチルホスホニウムカチオン、トリヘキシルメテトラデシルホスホニウムカチオン、トリブチル(4−ビニルベンジル)ホスホニウムカチオン、テトラフェニルホスホニウムカチオン、トリフェニルメチルホスホニウムカチオン、(2−シアノエチル)トリオクチルホスホニウムカチオン、3−(トリフェニルホスホニオ)プロパン−1−スルホン酸カチオン、(3−クロロプロピル)トリオクチルホスホニウムカチオン等の第四級ホスホニウムカチオンを挙げることができる。
前記スルホニウムカチオンとしては、スルホニウムカチオン、スルホニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基、アリール基により置換されたスルホニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むスルホニウムカチオンが挙げられ、例えば、トリメチルスルホニウムカチオン、トリエチルスルホニウム、トリプロピルスルホニウムカチオン、トリブチルスルホニウムカチオン、トリフェニルスルホニウムカチオン等の第三級スルホニウムカチオンを挙げることができる。
前記ピロリニウムカチオンとしては、ピロリニウムカチオン、ピロリニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたピロリニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むピロリニウムカチオンが挙げられ、例えば、1−メチルピロリニウムカチオン、1−エチルピロリニウムカチオン、1−プロピルピロリニウムカチオン、1−ブチルピロリニウムカチオン等を挙げることができる。
前記ピラジニウムカチオンとしては、ピラジニウムカチオン、ピラジニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたピラジニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むピラジニウムカチオンが挙げられ、例えば、1−メチルピラジニウムカチオン、1−エチルピラジニウムカチオン、1−プロピルピラジニウムカチオン、1−ブチルピラジニウムカチオン等を挙げることができる。
前記トリアゾリウムカチオンとしては、トリアゾリウムカチオン、トリアゾリウムカチオンに結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたトリアゾリウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むトリアゾリウムカチオンが挙げられ、例えば、1,4−ジメチル−1,2,4−トリアゾリウムカチオン、1,4−ジエチル−1,2,4−トリアゾリウムカチオン等が挙げられる。
前記イソキノリニウムカチオンとしては、イソキノリニウムカチオンカチオン、イソキノリニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたイソキノリニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むイソキノリニウムカチオンが挙げられ、例えば、N−メチルイソキノリニウムカチオン、N−エチルイソキノリニウムカチオン、N−プロピルイソキノリニウムカチオン、N−ブチルイソキノリニウムカチオン、N−ヘキシルイソキノリニウムカチオン、N−オクチルイソキノリニウムカチオン等を挙げることができる。
前記オキサゾリニウムカチオンとしては、オキサゾリニウムカチオン、オキサゾリニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたオキサゾリニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基等の官能基を含むオキサゾリニウムが挙げられ、例えば、3−メチル−4−メチルオキサゾリウムカチオン、3−エチル−4−メチルオキサゾリウムカチオン、3−プロピル−4−メチルオキサゾリウムカチオン、3−ブチル−4−メチルオキサゾリウムカチオン等を挙げることができる。
前記チアゾリニウムカチオンとしては、チアゾリニウムカチオン、チアゾリニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたチアゾリウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むチアゾリウムカチオンが挙げられ、例えば、3−メチルチアゾリウムカチオン、3−エチルチアゾリウムカチオン、3−プロピルチアゾリウムカチオン、3−ブチル−4−メチルチアゾリウムカチオン等を挙げることができる。
前記モルホリニウムカチオンとしては、モルホリニウムカチオン、モルホリニウムカチオンの窒素に結合した水素が炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたモルホリニウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むモルホリニウムカチオンが挙げられ、例えば、N−エチル−N−メチルモルホリニウムカチオン、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムカチオン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルモルホリニウムカチオン等を挙げることができる。
前記グアニジウムカチオンとしては、グアニジウムカチオン、グアニジウムカチオンの窒素に結合した水素と炭素数1〜18の直鎖又は分岐アルキル基により置換されたグアニジウムカチオン、また、そのアルキル鎖中に水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、アルケニル基、アミノ基、ニトリル基、ハロゲン基、アリール基等の官能基を含むグアニジウムカチオンが挙げられ、例えば、グアニジウムカチオン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジウムカチオン、N,N,N′,N′,N″,N″−ヘキサアルキルグアニジウムカチオン、N,N,N′,N′,N″−ペンタアルキル−N″−ベンジルグアニジウムカチオン等を挙げることができる。
また、イオン液体を構成するアニオンとしては、例えば、ハロゲン系アニオン、硫黄系アニオン、リン系アニオン、シアン系アニオン、ホウ素系アニオン、フッ素系アニオン、窒素酸化物系アニオン、カルボン酸アニオン等が挙げられる。
前記ハロゲン系アニオンとしては、例えば、クロリドイオン、ブロミドイオン、ヨードイオン等が挙げられる。
前記硫黄系アニオンとしては、スルファートアニオン、水素スルファートアニオン、アルキルスルホナートアニオン(例えば、メタンスルホナート、エチルスルホナート、ブチルスルホナート、ベンゼンスルホナート、p−トルエンスルホナート、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホナート、スチレンスルホナート、3−スルホプロピルメタクリレートアニオン、3−スルホプロピルアクリレート等)、アルキルスルファートアニオン(例えば、メチルスルファートアニオン、エチルスルファートアニオン、ブチルスルファートアニオン、オクチルスルファートアニオン、2−(2−メトキシエトキシ)エチルスルファートアニオン等)等が挙げられる。
前記リン系アニオンとしては、ホスファートアニオン、水素ホスファートアニオン、二水素ホスファートアニオン、ホスホナートアニオン、水素ホスホナートアニオン、ホスフィナートアニオン、アルキルホスファートアニオン(例えば、ジメチルホスファート、ジエチルホスファート、ジプロピルホスファートアニオン、ジブチルホスファートアニオン等)、アルキルホスホナートアニオン(例えば、メチルホスホナートアニオン、エチルホスホナートアニオン、プロピルホスホナートアニオン、ブチルホスホナートアニオン、メチルメチルホスホナートアニオン等)、アルキルホスフィナートアニオン、ヘキサアルキルホスファートアニオン等が挙げられる。
前記シアン系アニオンとしては、例えば、テトラシアノボレートアニオン、ジシアナミド、チオシアネートアニオン、イソチオシアネートアニオン等が挙げられる。
前記ホウ素系アニオンとしては、例えば、テトラフルオロボレートアニオン、ビスオキサレートボラートアニオン、テトラフェニルボレートのようなテトラアルキルボレートアニオン等が挙げられる。
前記フッ素系アニオンとしては、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドアニオン(例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ノナフルオロブチルスルホニル)イミド等)、パーフルオロアルキルスルホナートアニオン(例えば、トリフルオロメタンスルホナートアニオン、ペンタフルオロエタンスルホナートアニオン、ヘプタフルオロプロパンスルホナートアニオン、ノナフラートアニオン、パーフルオロオクタンスルホーナートアニオン等)、フルオロホスファートアニオン(例えば、ヘキサフルオロホスファートアニオン、トリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスファートアニオン等)、トリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドアニオン(例えば、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオン、トリス(ペンタフルオロエタンスルホニル)メチドアニオン、トリス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)メチドアニオン、トリス(ノナフルオロブタンスルホニル)メチドアニオン等)、フルオロハイドロジェネートアニオン等が挙げられる。
前記窒素酸化物系アニオンとしては、例えば、硝酸アニオン、亜硝酸アニオンが挙げられる。
前記カルボン酸アニオンは、分子中に、少なくとも1個以上のカルボン酸アニオン(−COO)を持つ有機酸アニオンであり、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を持つ官能基を含んでいても良い。特に限定されないが、カルボン酸アニオンとしては、例えば、飽和脂肪族カルボン酸アニオン、不飽和脂肪族カルボン酸アニオン、脂環式カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸アニオン、不飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸アニオン、脂環式ヒドロキシカルボン酸アニオン、芳香族ヒドロキシカルボン酸アニオン、カルボニルカルボン酸アニオン、アルキルエーテルカルボン酸アニオン、ハロゲンカルボン酸アニオン、アミノ酸アニオン等が挙げられる。
前記飽和脂肪族カルボン酸アニオンは、直鎖又は分岐鎖の脂肪族飽和炭化水素基と1個以上のカルボン酸アニオンからなり、炭素数1〜22が好ましい。具体的には、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソ酪酸、2−メチル酪酸、イソ吉草酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
前記不飽和脂肪族カルボン酸アニオンは、直鎖又は分岐鎖の脂肪族不飽和炭化水素基と1個以上のカルボン酸アニオンからなり、炭素数3〜22が好ましい。具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、マレイン酸、フマル酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
前記脂環式カルボン酸アニオンは、芳香族性を持たない飽和もしくは不飽和の炭素環と1個以上のカルボン酸アニオンからなり、炭素数6〜20が好ましい。中でも、シクロヘキサン環骨格を有する脂環式カルボン酸アニオンが好ましく、具体的には、例えば、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
前記芳香族カルボン酸アニオンは、芳香族性を持つ単環又は複数の環と1個以上のカルボン酸アニオンからなり炭素数6〜20が好ましい。中でも、ベンゼン環骨格を有する芳香族カルボン酸アニオンが好ましく、具体的には、例えば、安息香酸、ケイヒ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
前記飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸アニオンは、直鎖又は分岐鎖の脂肪族飽和炭化水素基、1個以上のカルボン酸アニオン及び1個以上の水酸基からなり、炭素数2〜24が好ましい。中でも、1〜4個の水酸基を有する炭素数2〜7の飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸アニオンが好ましい。具体的には、例えば、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシデカンリン酸、3−ヒドロキシデカン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸、セレブロン酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
前記不飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸アニオンは、直鎖又は分岐鎖の脂肪族不飽和炭化水素基、1個以上のカルボン酸アニオン及び1個以上の水酸基からなり、炭素数3〜22が好ましい。具体的には、リシノール酸、リシノレイン酸、リシネライジン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
前記脂環式ヒドロキシカルボン酸アニオンは、芳香族性を持たない飽和もしくは不飽和の炭素環、1個以上のカルボン酸アニオン及び1個以上の水酸基からなり、炭素数6〜20が好ましい。中でも、1〜4個の水酸基を有する6員環骨格の脂環式ヒドロキシカルボン酸アニオンが好ましく、具体的には、例えば、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、ジヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、キナ酸(1,3,4,5−テトラヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸)、シキミ酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸アニオンは、芳香族性を持つ単環あるいは複数の環、1個以上のカルボン酸アニオン及び1個以上の水酸基からなり、炭素数6〜20が好ましい。中でも、1〜3個の水酸基を有するベンゼン環骨格の芳香族カルボン酸アニオンが好ましく、具体的には、例えば、サリチル酸、ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシメチル安息香酸、バニリン酸、シリング酸、ピロトカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
前記カルボニルカルボン酸アニオンは、分子内にカルボニル基を有する炭素数3〜22のカルボン酸アニオンであり、1〜2個のカルボニル基を有する炭素数3〜7のカルボニルカルボン酸アニオンが好ましい。中でも、CH((CHCO(CH)COO(n及びpは0〜2の整数を示す。)で表わされるカルボニルカルボン酸アニオンが好ましい。具体的には、例えば、ピルビン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
前記アルキルエーテルカルボン酸アニオンは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル カルボン酸アニオンを含む、分子内にエーテル基を有する炭素数22〜22のカルボン酸アニオンであり、1〜2個のエーテル基を有する炭素数2〜12のアルキルカルボン酸アニオンが好ましい。中でも、CH(CHO(CHCOO(q及びrは0〜4の整数を示す。)で表わされるアルキルエーテルカルボン酸アニオンが好ましい。具体的には、例えば、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、メトキシ酪酸、エトキシ酪酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
前記ハロゲンカルボン酸アニオンとしては、炭素数2〜22のハロゲンカルボン酸アニオンが好ましい。具体的には、例えば、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、パーフルオロノナン酸等のフッ素置換のハロゲンカルボン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
前記アミノ酸としては、特に限定されないが、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、イソロイシン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、システイン、ロイシン、リシン、プロリン、フェニルアラニン、トレオニン、セリン、トリプトファン、チロシン、メチオニン、バリン、サルコシン、アミノ酪酸、メチルロイシン、アミノカプリル酸、アミノヘキサン酸、ノルバリン、アミノ吉草酸、アミノイソ酪酸、チロキシン、クレアチン、オルニチン、オパイン、テアニン、トリコロミン、カイニン酸、ドウモイ酸、イボテン酸、アクロメリン酸、シスチン、ヒドロキシプロリン、ホスホセリン、デスモシン等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
本発明の筆記具用インキ組成物に用いるイオン液体は、カチオン及びアニオンは特に限定されるものではないが、カチオンに窒素、リン、硫黄などの金属に配位可能な原子を含有し、金属表面に防食膜を形成するため、チップ先端部の金属部材に対する防食の点で優れる。特に、カチオン、アニオンのどちらか、もしくは双方に窒素、酸素、リン、硫黄の原子を含む配位性官能基を持つイオン液体は、良好な防食膜を形成して防食効果を発現するため特に好適である。
窒素原子カチオンを含むイオン液体は、カチオンを製造する場合の原料が、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオンを製造する場合の原料よりも比較的安全性が高く、操作性、価格面に優れ、更に、多様性に富み、要求される物性に対してイオン液体の構造を幅広くデザインすることが可能であり、物性を微調整しやすいため好適である。窒素原子を含むカチオンとしては、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、トリアゾリウムカチオン、イソキノリニウムカチオン、オキサゾリニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、トリアジニウムカチオン、キノリニウムカチオン、インドリニウムカチオン、キノキサリニウムカチオン、イソオキサゾリウムカチオン、カチオン性アミノ酸等が挙げられる。特に、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオンが好適である。
インキ組成物に用いるイオン液体が親水性の場合、生分解性が高く、低環境負荷である。更に、イオン液体のカチオン、アニオンに水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、エーテル基のような親水性官能基を有する親水性イオン液体は、生分解性が高く、低環境負荷であり、水への溶解度がより高く、好適である。
また、イオン液体が、生体関連物質由来のカチオンとアニオンとの組合せの場合、生分解性が高いだけでなく、ベンジルアルコールのような溶剤と比べて安全性が高い。
前記イオン液体は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、特に限定されるものではないが、好ましくは主溶剤としてインキ組成物中の50重量%以上、特に好ましくは60重量%以上の組成比で適用される。その際、補助溶剤として、水を添加することや、アルコール、グリセリン、グリコールエーテル、フェニルグリコール、ベンジルアルコール等の有機溶剤を必要に応じて添加することもできる。特にボールペン形態の筆記具に適用した際、イオン液体の組成比が50%以上であると、筆記時に筆記抵抗値が低くなり、筆記の軽さ、滑らかさが得られ、筆跡のかすれが生じる虞を低減できる。
前記着色剤としては、特に限定されるものではなく、汎用の水性インキや油性インキに適用される、各媒体に溶解もしくは分散可能な染料及び顔料が使用可能であり、その具体例を以下に例示する。
水性用着色剤における染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)、アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
前記顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料や銅フタロシアニンブルー等の有機顔料の他、予め界面活性剤や樹脂を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品等が用いられ、例えば、C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:Sandye Super Blue GLL、顔料分24%、山陽色素株式会社製〕、C.I. Pigment Red 146〔品名:Sandye Super Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、C.I.Pigment Red 220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
尚、前記顔料を分散する樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、セルロース、デキストラン、カゼイン等、およびそれらの誘導体、前記した樹脂の共重合体等が挙げられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
また、酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、天然雲母、合成雲母、アルミナ、ガラス片から選ばれる芯物質の表面を二酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料、コレステリック液晶型光輝性顔料等を使用することもできる。
更に、熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(加熱消色型顔料)や、熱変色性組成物と共に、染料や顔料を内包したマイクロカプセル顔料等の熱変色性顔料を使用することもできる。
前記熱変色性組成物としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物が好適であり、マイクロカプセルに内包させて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料として適用される。
前記可逆熱変色性組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料が適用できる。
更に、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜50℃)を示すものや、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させ加熱消色型のマイクロカプセル顔料も適用できる。
尚、前記色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物として具体的には、完全発色温度を冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−50〜0℃、好ましくは−40〜−5℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50〜95℃、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
油性用着色剤における染料としては、従来公知の油溶性染料を用いることができ、具体的には、ローダミンBベース(C.I.45170B、田岡染料製造(株))、ソルダンレッド3R(C.I.21260、中外化成(株))、ビクトリアブルーF4R(C.I.42563B)、ニグロシンベースLK(C.I.50415)(以上、独国、BASF社製)、バリファストイエロー♯3104(C.I.13900A)、バリファストイエロー♯3105(C.I.18690A)、オリエントスピリットブラックAB(C.I.50415)、バリファストブラック♯3804(C.I.12195)、バリファストイエロー♯1109、バリファストオレンジ♯2210、バリファストレッド♯1320、バリファストブルー♯1605、バリファストバイオレット♯1701(以上、オリエント化学工業(株)社製)、スピロンブラックGMHスペシャル、スピロンイエローC−2GH、スピロンイエローC−GNH、スピロンレッドC−GH、スピロンレッドC−BH、スピロンブルーC−RH、スピロンバイオレットC−RH、S.P.T.オレンジ6,S.P.T.ブルー111(以上、保土ヶ谷化学工業(株)製)などが例示できる。更に、C.I.ベーシックブルー1、同7、同8、C.I.ベーシックバイオレット1、同3、C.I.ベーシックレッド1等の塩基染料とC.I.アシッドイエロー23、同36等から選ばれる酸性染料との造塩染料等が例示できる。
顔料として具体的には、C.I.PIGMENT RED2、同3、同5、同8、同17、同22、同31、同38、同41、C.I.PIGMENT ORANGE 5、同10、同13、同16、同36、同40、同43、同61、同64、同71、同73、C.I.PIGMENT VIOLET 19、同23、同31、同33、同36、同37、同38、同50、C.I.PIGMENT BLUE 2、同9、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同16、同17、同22、同25、同28、同29、同36、同60、同68、同76、C.I.PIGMENT BROWN 23、同25、同26、C.I.PIGMENT YELLOW 1、同3、同12、同13、同24、同83、同93、同94、同95、同97、同99、同128、同139、同153、同173、C.I.PIGMENT GREEN 7、同10、同36等の有機顔料や、黒色酸化鉄、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、ターコイズ、モリブデートオレンジ、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
更に、その他の顔料として、蛍光顔料、パール顔料、蓄光顔料、金属顔料、複合金属顔料、金属酸化物顔料、熱変色性顔料等を使用することもできる。
前記着色剤は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、特に限定されるものではないが、インキ組成物中1〜35重量%、好ましくは2〜20重量%の範囲で用いられる。
更に、紙面への固着性や粘性を付与するために樹脂を添加することもできる。
前記樹脂のうち、水溶性樹脂としては、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等が挙げられる。
油溶性樹脂としては、ケトン樹脂、スルフォアミド樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合体、エステルガム、キシレン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂やその水添化合物、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等が例示できる。
前記樹脂は一種又は二種以上を併用することができ、インキ組成物全量中0.1〜30重量%の範囲で用いられる。
その他、必要に応じて、各種添加剤を添加することもできる。
具体的に、従来水性インキに適用されるような、例えば、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、サポニン等の防食剤(防錆剤)、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンの塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を使用してもよい。更に、潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、N−アシルアミノ酸系界面活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、α−リポ酸、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物やその塩等が用いられる。また、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することもできる。
また、剪断減粘性付与剤を添加することもでき、例えば、キサンタンガム、ウェランガム、ゼータシーガム、ダイユータンガム、マクロホモプシスガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する炭水化物、ポリN−ビニル−カルボン酸アミド架橋物、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、HLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩やアミン塩等を例示できる。
更に、油性インキに適用されている、例えば、ベントナイト、合成微粉シリカ、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス等の粘性調節剤、防腐剤、防食剤(防錆剤)、消泡剤、潤滑剤、分散剤、カスレ防止剤、洩れ防止剤、界面活性剤等の各種添加剤を添加することもできる。
前記インキ組成物をボールペンに適用する場合、インキの粘度が100〜100,000mPa・sの範囲に調整することが好ましい。
前記範囲においては、紙面への筆記時に特に良好な筆記性能を発現するものとなる。前記範囲より粘度が低い場合は筆跡の滲みや裏抜け、保管時の垂下り等が発生し易くなる虞があり、粘度が高い場合は速記時の追従性が悪くなる虞がある。
本発明の筆記具用インキ組成物は、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップ、金属チップ、ボールペンチップを筆記先端部に装着したマーキングペンやボールペン、更には万年筆等の筆記具外装に充填される。尚、前記筆記具は、ペン先を覆うキャップを備えたキャップ式の他、ノック式、回転式、スライド式等の出没機構を有し、軸筒内にペン先を収容可能な出没式であってもよい。
マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップ等のマーキングペン用ペン先(砲弾型、チゼル型、筆ペン型等)を筆記先端部に装着し、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させて筆記先端部に所定量のインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容して、弁機構により筆記先端部に所定量のインキを供給する構造のマーキングペンが挙げられる。
また、ペン先を1本備えるものの他、太さや形状の異なるペン先を軸筒の両端に備えた両頭式形態であってもよい。尚、前記両頭式形態においては、一端をボールペンとしたものであってもよい。
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、更にインキの端面には逆流防止用の液栓が密接している構造のボールペンが挙げられる。また、ボールとしても樹脂製、金属製等汎用のものが適用できる。
尚、本発明のインキ組成物は、特にボールペン形態の筆記具に適用した際により有用である。これはイオン液体がボールとボール受座に作用することで、筆記時に接触抵抗を緩和するため、滑らかな筆感が得られることに起因する。特に、超硬等の金属製ボールを用いた際には、従来技術の不具合として前述した析出等を生じることなく、かすれがなく、軽くて滑らかな筆感が得られるため、特に有用である。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。
表1、2の筆記具用インキの組成物として用いたイオン液体の含水率は、カールフィッシャー法もしくは示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA)で測定した。そして、無水イオン液体(イオン液体7、8、13、14、18)並びに含水イオン液体(イオン液体1〜6、9〜12、15〜17、19〜23)をスクリュー管に添加、密栓したサンプル、及び含水イオン液体をスクリュー管に添加して減圧乾燥して無水イオン液体とした後、密栓したサンプルを−5、0、25℃に設定した恒温器中で24時間放置して性状(液体、固体)を確認した。結果を表1、2に示す。尚、以下の評価試験に用いたイオン液体は、表1、2に示す含水率のものをそのまま使用した。
Figure 2015124256
Figure 2015124256
腐食性試験
イオン交換水中と、表1、2の各イオン液体1、2、3、5、6、8、12、13、14、17、18、21、22中と、イオン液体2、3、5、6、8、12、17、22にイオン交換水を添加して90wt%に希釈した試料中に直径0.5mmの超硬合金製ボールを浸漬させた。80℃の恒温器中に8日間静置した後、ボールの腐食を、その都度、溶液から取り出して目視により確認した。その結果、水に浸漬したボールのみ変色、腐食したのに対して、他のサンプル中のボールは、8日静置後も腐食しておらず、イオン液体が超硬合金製ボールに対して腐食性が低く、水が存在する環境下でも防食効果を持つことが示された。
金属イオン(金属塩)溶解性試験
超硬合金製ボールから溶出が想定されるニッケルイオン、コバルトンイオン、クロムイオン等の各イオンに対するイオン液体の溶解性を確認した。表1、2の各イオン液体1、2、3、5、6、8、12、13、14、17、18、21、22に、ニッケルイオンがイオン液体に対して0.1重量%となるように、塩化ニッケル(II)六水和物を添加、超音波で撹拌した。更に、塩化コバルト六水和物、塩化クロム(III)六水和物を用いて、それぞれ同様な操作を行った。その結果、いずれの金属化合物も溶解し、イオン液体が、前記金属イオン(金属塩)に対して溶解性を持つことが示された。
ボールペンインキの調製
表3〜5に示す実施例及び比較例の配合量で各原料を混合し、25℃でディスパーにて400rpm、1時間攪拌した後、濾過することでボールペンインキ組成物を得た。尚、得られた実施例1〜26の各インキ組成物の粘度は100〜100,000mPa・sの範囲であった。
Figure 2015124256
Figure 2015124256
Figure 2015124256
表3〜5中におけるイオン液体以外の原料の内容について注番号に沿って説明する。
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターブラックR510
(2)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファストレッド1308
(3)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファストブラック3830
(4)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファストブルー1605
(5)オリエント化学工業(株)製、商品名:オイルピンク312
(6)カーボンブラック、三菱化学(株)製、商品名:MA−100
(7)(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン4.5部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T:−20℃、T:−9℃、T:40℃、T:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm、黒色から無色に色変化する)
(8)ポリビニルピロリドン樹脂、BASF(株)製、商品名:ルビテックK−30
(9)リン酸エステル系界面活性剤、第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
インキ逆流防止体の調製
基油としてポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
ボールペンの作製
直径0.5mmの超硬合金製ボールを抱持するステンレススチール製チップが透明ポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィル内に、前記各インキ組成物を充填し、その後端に前記インキ逆流防止体を配設した後、前記ボールペンレフィルを軸筒に組み込み、キャップを装着することでボールペンを作製した。
得られた各ボールペンを用いて以下の試験を行った。
機械筆記試験(筆記抵抗値測定)
筆記可能であることを確認した前記ボールペンを、室温にて円板式画線機(筆記角度75°、荷重100g、筆記速度4m/min)を用いて筆記した際の筆記抵抗値を測定した。尚、得られた値は、3本の筆記抵抗値データの平均値(単位:g)である。
手書筆記試験
筆記可能であることを確認した前記ボールペンを、室温にてレポート用紙(JIS P3201筆記用紙A)に手書きで1行に12個の螺旋状の丸を連続筆記した際の筆記感を確認した。
各試験の結果を以下に示す。
Figure 2015124256
尚、前記表6中の記号に関する評価は以下の通りである。
手書筆記試験
筆記感
○:軽くて滑らかな筆記感。
×:軽いが滑らかでない、もしくは滑らかだが重い筆記感。
実施例1〜26では、イオン液体が、その防食効果により金属部材からの金属イオンを溶出防止するとともに、溶出した金属イオンを溶解して金属イオン由来の析出物の発生を抑制した。更に、水や有機溶媒にはないイオン液体の不揮発性の特性でチップ先端部が湿潤状態を保持することを可能としたことから、書き出しもよく、筆記抵抗値が低く、インキの吐出性が良好となり、軽くて滑らかな筆記感で良好な筆跡が形成できた。

Claims (4)

  1. イオン液体を溶媒として着色剤を含む筆記具用インキ組成物。
  2. 前記イオン液体は25℃で液体である請求項1に記載の筆記具用インキ組成物。
  3. 前記請求項1乃至2のいずれかに記載の筆記具用インキ組成物を内蔵してなる筆記具。
  4. ボールペン形態である前記請求項3に記載の筆記具。
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