JP6389754B2 - ボールペン用油性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン - Google Patents
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Description
更には、前記ボールペン用油性インキ組成物を内蔵してなるボールペンを要件とする。
窒素原子カチオンを含むイオン液体は、カチオンを製造する場合の原料が、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオンを製造する場合の原料よりも比較的安全性が高く、操作性、価格面に優れ、更に、多様性に富み、要求される物性に対してイオン液体の構造を幅広くデザインすることが可能であり、物性を微調整しやすいため好適である。窒素原子を含むカチオンとしては、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリニウムカチオン、ピラジニウムカチオン、トリアゾリウムカチオン、イソキノリニウムカチオン、オキサゾリニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ピリミジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、トリアジニウムカチオン、キノリニウムカチオン、インドリニウムカチオン、キノキサリニウムカチオン、イソオキサゾリウムカチオン、カチオン性アミノ酸等が挙げられる。特に、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオンが好適である。
前記有機溶剤は一種又は二種以上を混合して、インキ組成中40〜95重量%の範囲で用いられる。
前記染料としては、例えば、カラーインデックスにおいてソルベント染料として分類される有機溶剤可溶性染料が挙げられる。
前記ソルベント染料の具体例としては、バリファストブラック3806(C.I.ソルベントブラック29)、同3807(C.I.ソルベントブラック29の染料のトリメチルベンジルアンモニウム塩)、スピリットブラックSB(C.I.ソルベントブラック5)、スピロンブラックGMH(C.I.ソルベントブラック43)、バリファストレッド1320、バリファストレッド1308(C.I.ベーシックレッド1の染料とC.I.アシッドイエロー23の染料の造塩体)、バリファストイエローAUM(C.I.ベーシックイエロー2の染料とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンイエローC2GH(C.I.ベーシックイエロー2の染料の有機酸塩)、スピロンバイオレットCRH(C.I.ソルベントバイオレット8−1)、バリファストバイオレット1701(C.I.ベーシックバイオレット1とC.I.アシッドイエロー42の染料の造塩体)、スピロンレッドCGH(C.I.ベーシックレッド1の染料の有機酸塩)、スピロンピンクBH(C.I.ソルベントレッド82)、ニグロシンベースEX(C.I.ソルベントブラック7)、オイルブルー613(C.I.ソルベントブルー5)、ネオザポンブルー808(C.I.ソルベントブルー70)、バリファストブルー1621等が挙げられる。
前記顔料としては、カーボンブラック、群青、二酸化チタン顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料等の有機顔料、アルミニウム粉やアルミニウム粉表面を着色樹脂で処理した金属顔料、透明又は着色透明フィルムにアルミニウム等の金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、フィルム等の基材に形成したアルミニウム等の金属蒸着膜を剥離して得られる厚みが0.01〜0.1μmの金属顔料、金、銀、白金、銅から選ばれる平均粒子径が5〜30nmのコロイド粒子、蛍光顔料、蓄光性顔料、熱変色性顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料等が挙げられる。
前記着色剤は一種又は二種以上を併用してもよく、インキ組成物中3〜40重量%の範囲で用いられる。
これらの樹脂は一種又は二種以上を混合して用いてもよく、インキ組成中0.5〜40重量%、好ましくは1〜35重量%の範囲で用いられる。0.5重量%未満では筆跡の紙への滲み抑制、定着性向上、堅牢性付与等の充分な効果を発揮できず、40重量%を越えて添加すると、樹脂の溶剤への溶解性が低下し、インキの流動性が低下することがある。
前記添加剤はいわゆる慣用的添加剤と呼ばれるもので、公知の化合物から適宜必要に応じて使用することができる。
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドロキシトルエン、フラボノイド、ブチルヒドロキシアニソール、アスコルビン酸誘導体、α−トコフェロール、カテキン類等が使用できる。
紫外線吸収剤としては、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル5′−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、p−安息香酸−2−ヒドロキシベンゾフェノン等が使用できる。
消泡剤としては、ジメチルポリシロキサン等が使用できる。
前記剪断減粘性付与剤としては、従来公知の化合物を用いることが可能であり、例えば、架橋型アクリル樹脂、架橋型アクリル樹脂のエマルションタイプ、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体の水溶液、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス等のワックス類、ステアリン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、オクチル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、デキストリン脂肪酸エステル、N−アシルアミノ酸系化合物、スメクタイト系無機化合物、モンモリロナイト系無機化合物、ベントナイト系無機化合物、ヘクトライト系無機化合物、シリカ等が例示できる。
前記インキ逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止体としては、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマー、シリコーン油、精製鉱油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、脂肪酸アマイド等を添加することもできる。また、固体のインキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられる。前記液状及び固体のインキ逆流防止体は併用することも可能である。
また、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等からなる汎用のものが適用でき、直径0.1mm〜2.0mm、好ましくは0.15mm〜1.0mmの範囲のものが好適に用いられる。特に、ボール径が0.5mm以下の小径のものでは、筆記距離に対するボールの回転数が多くなることから、本発明のインキがより好適に作用する。また、前記ボールの材質のうち、硬度が高い超硬合金ボールは座摩耗を生じやすいため、本発明の油性インキ組成物が有用なものとなる。
前記軸筒にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記軸筒とチップを連結してもよい。
前記軸筒内に収容されるインキ組成物は、インキ組成物が低粘度である場合は軸筒前部にインキ保留部材を装着し、軸筒内に直接インキ組成物を収容する方法と、多孔質体或いは繊維加工体に前記インキ組成物を含浸させて収容する方法が挙げられる。
尚、前記軸筒は、ボールペン用レフィルの形態として、前記レフィルを外軸内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
前記ノック式は、外軸後端部や外軸側面にノック部を有し、該ノック部の押圧により、ボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成、或いは、外軸に設けたクリップ部を押圧することにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記回転式は、外軸に回転部(後軸等)を有し、該回転部を回すことによりボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
前記スライド式は、軸筒側面にスライド部を有し、該スライドを操作することによりボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成、或いは、外軸に設けたクリップ部をスライドさせることにより、ボールペンレフィルの筆記先端部を外軸前端開口部から出没させる構成を例示できる。
尚、前記出没式ボールペンは、外軸内に一本のボールペンレフィルを収容したもの以外に、複数のボールペンレフィルを収容してなる複合タイプの出没式ボールペンであってもよい。
以下の表に実施例及び比較例のボールペン用油性インキの組成を示す。尚、表中の組成の数値は重量部を示す。
(1)保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名:スピロンブラックGMH−S
(2)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファストバイオレット1701
(3)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファストレッド1320
(4)オリエント化学工業(株)製、商品名:バリファストブルー1621
(5)顔料分散剤、積水化学工業(株)製、商品名:エスレックBL−10
(6)日立化成工業(株)製、商品名:ハイラック110H
(7)日油(株)製、商品名:ナイミーンL207
(8)第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフA208B
(9)日光ケミカルズ(株)製、商品名:サルコシネートLH
(10)〜(32)
有機溶剤に各成分を添加して、40℃で、ディスパーにて400rpm、3時間攪拌することで各インキを調製した。
基油としてポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練してインキ逆流防止体を得た。
前記実施例及び比較例のインキ組成物を、直径0.5mmの超硬合金ボールを抱持するステンレススチール製チップが接続部材を介してポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィルに0.2g充填し、該インキの後端に前記インキ逆流防止体を配設した後、前記ボールペンレフィルを出没式構造を備えた外軸に組み込むことで試料ボールペンを作製した。
機械筆記試験(筆記抵抗値測定)
筆記可能であることを確認した前記ボールペンを、室温にて円板式画線機(筆記角度75°、荷重100g、筆記速度4m/min)を用いて筆記した際の筆記抵抗値を測定した。尚、得られた値は、3本の筆記抵抗値データの平均値(単位:g)である。
手書筆記試験
筆記可能であることを確認した前記ボールペンを、室温にてレポート用紙(JIS P3201筆記用紙A)に手書きで1行に12個の螺旋状の丸を連続筆記した際の筆記感を確認した。
経時筆記試験
筆記可能であることを確認した試料ボールペンを、50℃の環境下に60日間静置した後、自動筆記試験機にて、旧JIS P3201筆記用紙Aに螺旋状の丸を連続筆記し、筆跡の状況と、充填されるインキが完全に消費できるかどうか確認した。尚、前記試験機は、筆記荷重100g、筆記角度70°、筆記速度4m/分の条件で使用した。
前記各試験の結果を以下の表に示す。
手書筆記試験
○:軽くて滑らかな筆記感。
×:軽いが滑らかでない、もしくは滑らかだが重い筆記感。
○:良好な筆跡が形成でき、内蔵するインキを全て書き切ることができた。
×:筆跡に線飛びやカスレが発生し、途中で筆記できなくなりインキが残った。
超硬合金製ボールから溶出が想定されるニッケルイオン、コバルトンイオン、クロムイオンの各イオンに対するイオン液体の溶解性を確認した。表3の各化合物10、12、14、16、17、20、23、25、26、28、29、30、31に、ニッケルイオンが化合物に対して0.1重量%となるように、塩化ニッケル(II)六水和物を添加、超音波で撹拌した。更に、塩化コバルト六水和物、塩化クロム(III)六水和物を用いて、それぞれ同様な操作を行った。その結果いずれの金属塩も溶解した。また、表3の化合物10〜32のいずれも、室温(25℃)で液状であった。
つまり、イオン液体は、金属イオン(金属塩)に対する溶解性が良好で、反応して析出物を発生することがないとともに、不揮発性液体であることからチップ先端部の湿潤状態の保持性が良好なため、本発明のボールペンは優れた筆記性、経時安定性を実現したと考えられる。
Claims (2)
- 着色剤と、有機溶剤と、常圧での融点が100℃以下であるイオン液体を含んでなり、前記イオン液体のアニオンが硫黄系アニオン、リン系アニオン、シアン系アニオン、ホウ素系アニオン、フッ素系アニオン、窒素酸化物系アニオン、カルボン酸アニオンから選ばれるボールペン用油性インキ組成物。
- 前記請求項1に記載のボールペン用油性インキ組成物を内蔵してなるボールペン。
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