JP7299778B2 - 筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具 - Google Patents

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Description

本発明は筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具に関するものである。
従来、筆記具用インキ組成物において、ボールペンの場合には、筆記先端部の間隙よりインキ漏れ(ボールとチップ先端の間隙よりインキ漏れ)や、マーキングペン、サインペンなどの場合には、筆記先端部からのインキ漏れを抑制するために、25℃での蒸気圧が0.001mmHg以上である溶剤を用いたり、インキ漏れ抑制剤として、シリカやテルペンフェノール樹脂を用いたり、ゲル化剤を用いてインキ粘度を高く設定した、筆記具用インキ組成物の技術が提案されている。
このような筆記具用インキ組成物として、25℃での蒸気圧が0.001mmHg以上であるアルコール、多価アルコール、グリコールエーテル溶剤を用いた技術としては、特開2004-107591号公報「筆記具用油性インキ組成物」や、インキ漏れ抑制剤を用いた技術として、一次平均粒子径7~40nmのシリカを用いた特開平10-195365号公報「ボールペン用油性インキ」や、OH価が150以上であるテルペンフェノール樹脂を用いた技術としては、特開2007-126528号公報「ボールペン用油性インキ」、剪断減粘性付与剤として、水添ヒマシ油や脂肪酸アミドワックスを用いた技術としては、特開平7-196972号公報「ボ-ルペン用油性インキ組成物」に開示されている。
「特開2004-107591号公報」 「特開平10-195365号公報」 「特開2007-126528号公報」 「特開平7-196972号公報」
しかし、特許文献1では、ある程度インキ漏れを抑制する効果はあるが、インキ粘度を低粘度化した場合には特許文献1で用いている溶剤だけでは、インキ漏れを十分抑制できなかった。また、特許文献2では、一次平均粒子径7~40nmのシリカでは、粒径が小さく、シリカの比重が大きいため、油性インキ中での分散安定性が劣ってしまい、特許文献3では、OH価が150以上であるテルペンフェノール樹脂では、OH価が多いため、油性インキ中での溶解性が悪く、それぞれ十分な効果を発揮できなかった。また、特許文献4では、水添ヒマシ油や脂肪酸アミドワックスでは、ある程度インキ漏れを抑制することは可能であるが、静止時のインキ粘度が高くなり、インキ追従性が劣りやすく、筆跡にカスレが発生することもあり、書き味に影響する問題を抱えていた。
特に、ボールペンの場合は、ボール径が1.0~2.0mmとした場合は、インキ吐出量を多くなるようにボールペンチップを設定するため、インキ漏れの影響が出やすく、さらに筆記先端部が乾燥した時の書き出し性能が劣りやすい。
さらに最近では、滑らかな筆感を得るため、筆記具用インキではインキ粘度が低粘度化してきており、その分インキ吐出量も多くなり、筆記先端部の間隙よりインキ漏れが発生しやすく、問題となりやすい。
本発明の目的は、インキ漏れを抑制し、書き味を良好とし、筆記性が優れた筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具を得ることである。
本発明は、上記課題を解決するために
「1.着色剤、溶媒、油性成分、アシルアミノ酸リシンまたはその塩を含んでなることを特徴とする筆記具用インキ組成物。
2.前記アシルアミノ酸リシンが、脂肪酸アシルアミノ酸リシンであることを特徴とする第1項に記載の筆記具用インキ組成物。
3.前記アシルアミノ酸リシンまたはその塩の含有量が、インキ組成物全量に対して、0.01~5質量%であることを特徴とする第1項または第2項に記載の筆記具用インキ組成物。
4.前記油性成分が、油脂であることを特徴とする第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
5.前記溶媒が、少なくとも水を含んでなることを特徴とする第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
6.前記筆記具用インキ組成物に、さらにノニオン系界面活性剤を含んでなることを特徴とする第1項ないし第5項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
7.20℃、剪断速度1.0sec-1におけるインキ粘度が、100~10000mPa・sであることを特徴とする第1項ないし第6項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
8.インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に第1項ないし第7項のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とするボールペン。」とする。
本発明は、溶媒、油性成分、アシルアミノ酸リシンまたはその塩を含んでなることで、溶媒に油性成分が微分散し、溶媒分子とネットワーク構造を形成し、安定したゲル構造を有することで、擬塑性を有し、静止時のインキ粘度を高くすることで、筆記先端部の間隙からのインキ漏れ(ボールペンの場合はボールとチップ先端の間隙からのインキ漏れ)を抑制し、筆記時にはインキ粘度を低くすることで、書き味を良好とし、筆跡カスレを抑制した、筆記性に優れた筆記具用インキ組成物およびそれを用いた筆記具を得ることができた。さらに、前記アシルアミノ酸リシンまたはその塩は脂肪酸とアミノ酸を結合してなることから、生分解性に優れ、人体に対する刺激性が少ないので、より好適に用いることができた。
本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」等は特に断らない限り質量基準である。
本発明の特徴は、筆記具用インキ組成物に、溶媒、油性成分、アシルアミノ酸リシンまたはその塩を含んでなることを特徴とする。
筆記具用インキ組成物に、溶媒、油性成分、アシルアミノ酸リシンまたはその塩を含んでなることで、溶媒に油性成分が微分散して安定したゲル構造を有することで、擬塑性を有し、筆記先端部の間隙からのインキ漏れを抑制し、書き味を良好とし、筆跡カスレを抑制し、筆記性に優れることが解った。さらに、前記アシルアミノ酸リシンまたはその塩は、脂肪酸とアミノ酸を結合してなることから、生分解性に優れ、人体に対する刺激性が少ないので、より好適に用いることができる。
(アシルアミノ酸リシンまたはその塩)
本発明で用いるアシルアミノ酸リシンまたはその塩については、アシル基を有するアミノ酸系界面活性剤で、アミノ酸を原料とする両親媒性化合物であるため、分子中に疎水基と親水基を有しており、前記疎水基が、油性成分に対して吸着すると同時に、一方では、前記親水基が溶媒中でバランスを取りながら安定していることで、溶媒に油性成分を安定に微分散することができる。また、前記親水基は溶媒分子と安定したネットワーク構造を形成し、ゲル構造を有することができ、インキ粘度発現性を有することが可能となるものと推測する。
アシルアミノ酸リシンまたはその塩の構造において、疎水基が、より油性成分に対して吸着しやすく、溶媒中に油性成分を安定に微分散することができるため、アシル基が脂肪酸由来である脂肪酸アシルグルタミン酸リシンまたはその塩が好ましく、より考慮すれば、複数の脂肪酸アシル基をリンカーである親水基へ双子型に結合させた、ジ脂肪酸アシルアミノ酸リシンまたはその塩を用いることが好ましい。
また、アシルアミノ酸リシンまたはその塩の構造中の親水基は溶媒分子と安定したネットワーク構造を形成し、ゲル構造を有することによって、静止時のインキ粘度を高く設定することができ、インキの流動を抑えることで、筆記先端部の間隙から(ボールペンの場合はボールとチップ先端の間隙からのインキ漏れ)インキがしみ出ることを抑えることで、筆記先端部の間隙からのインキ漏れ(ボールとチップ先端の間隙からのインキ漏れ)を抑制する効果が得られる。さらに、筆記時に剪断などの衝撃により、一時的にゲル構造が解けることで、インキ粘度が低くなり、書き味を良好に保つことが可能である。特に、ボールペンに用いた場合は、筆記時にボールの剪断などの衝撃により、書き味を向上させやすい効果が得られるものと推測する。
さらに、着色剤として、顔料を用いた場合は、ゲル構造により、顔料分散性を向上しやすいため、より好適に用いることができ、好ましい。
本発明で用いるアシルアミノ酸リシンまたはその塩は、インキ中で安定して溶媒に油性成分を微分散し、溶媒分子と安定したネットワーク構造を形成し、ゲル構造を有することで、筆記先端部の間隙からのインキ漏れ(ボールペンの場合はボールとチップ先端の間隙からのインキ漏れ)抑制、および書き味を良好にすることを考慮すれば、1分子中に疎水基と親水基とをそれぞれ2個以上有するジェミニ型界面活性剤であることが好ましい。なお、ジェミニ型界面活性剤とは、二つの界面活性剤分子がリンカーを介して互いに結合した構造を有する界面活性剤を意味する。具体的には、親水基部分がアミノ酸であるような一対の1鎖型界面活性剤を、リシンのようなリンカーを介して結合させた構造の界面活性剤である。前記ジェミニ型界面活性剤は、一対の1鎖型界面活性剤の親水基部分を、親水性基を有するリンカーを介して互いに結合させた構造の、2鎖3親水基型界面活性剤であることが好ましい。さらに、インキ中で油性成分の分散安定性を考慮すれば、ジ脂肪酸アシルアミノ酸リシンまたはその塩を用いることが好ましく、(化1)を用いることが好ましい。また、1分子中に疎水基と親水基とをそれぞれ2個以上有するアシルアミノ酸リシンまたはその塩は、「ペリセア(Pellicer)」(旭化成ケミカルズ株式会社製)等が挙げられる。
また、アシルアミノ酸リシンまたはその塩については、アシルグルタミン酸リシン、アシルアスパラギン酸リシンまたはその塩などが挙げられ、インキ中で安定して溶媒に油性成分が微分散して、安定したネットワーク構造を形成し、ゲル構造を有することで、本発明の効果が得られやすいため、アシルグルタミン酸リシンまたはその塩を用いることが好ましい。これらは、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
本発明では、塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩、アルギニン等の塩基性アミノ酸塩が挙げられるが、溶媒に対する安定性を考慮すれば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩が好ましく、より考慮すれば、ナトリウム塩とすることが好ましい。
また、アシルアミノ酸リシンまたはその塩については、(化1)のような脂肪酸アシルグルタミン酸リシンまたはその塩が好ましく、(化1)については、構造内のR(アルキル基の炭素数)は、より安定したネットワーク構造の形成に適したRの炭素数(アルキル基の炭素数)の長さであることを考慮すれば、Rの炭素数(アルキル基の炭素数)は、3~20が好ましく、より考慮すれば、Rの炭素数(アルキル基の炭素数)は、6~14であることが好ましい。より本発明の効果を得られやすくするには、(m、n)については、0~4の整数であることが好ましく、より考慮すれば、0~3の整数であることが好ましい。
また、脂肪酸アシルグルタミン酸リシンまたはその塩については、具体的には、ジ脂肪酸アシルグルタミン酸またはその塩が挙げられ、ジ脂肪酸アシルグルタミン酸またはその塩としては、ジラウロイルグルタミン酸リシンまたはその塩、ジミリストイルグルタミン酸リシンまたはその塩、ジステアロイルグルタミン酸リシンまたはその塩、ジリノレオイルグルタミン酸リシンまたはその塩などが挙げられる。その中でも、インキ中で安定して溶媒に油性成分が微分散して安定したネットワーク構造を形成しやすいため、ジラウロイルグルタミン酸リシンまたはその塩を用いることが好ましく、最も好ましくは、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムである。
また、脂肪酸アシルグルタミン酸リシンおよびまたはその塩については、インキ中での安定性を考慮すれば、N-アシル-L-グルタミン酸と、L-リジンの縮合物のナトリウム塩とすることが好ましい。さらに、より安定性を考慮すれば、N-アシル-L-グルタミン酸と、L-リジンの縮合物とのモル比は、1:1~1:4であることが好ましく、さらに考慮すれば、1:1~1:3であることが好ましい。
Figure 0007299778000001
前記アシルアミノ酸リシンまたはその塩の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1~10質量%が好ましい。これは、0.1質量%より少ないと、インキ中で安定して溶媒に油性成分が微分散する効果が得られにくく、インキ漏れを抑制しづらく、10質量%を越えると、インキ粘度が高くなることで、書き味やインキ追従性が劣りやすいためである。さらに、上記効果を考慮すれば、0.1~5質量%が好ましく、より考慮すれば、0.5~3質量%が好ましい。
(油性成分)
本発明で用いる油性成分としては、常温で液体である液状油または常温で固体である固体脂のいずれをも使用することができる。エステル油、植物油、動物油のような油脂類、炭化水素類、脂肪酸、高級アルコール、シリコ-ン油などが挙げられるが、アシルアミノ酸リシンまたはその塩の構造中の疎水基と、油性成分が吸着しやすいことを考慮すれば、少なくとも油脂類または脂肪酸を用いることが好ましく、より油性成分と吸着しやすいことを考慮すれば、油脂類を用いることが好ましい。さらに、生分解性に優れ、人体に対する刺激性が少なく、環境安全性を考慮すれば、植物油が好ましく、より考慮すれば、後述する大豆油が好ましい。
油性成分について、具体的には、エステル油としては、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸エチル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、2-エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ラウリン酸ヘキシル、イソパルミチン酸オクチル、ジイソノナン酸ブチレングリコール、パルミチン酸エチルヘキシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、エチルヘキサンセチル、トリイソステアリンなどが挙げられる。植物油、動物油としてはオリーブ油、大豆油、あまに油、綿実油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、アボカド油、ヒマワリ種子油等、炭化水素油としては流動パラフィン、スクワラン、ミネラルオイル、イソヘキサデカンなど、シリコーン油としてはジメチコン、シクロペンタシロキサン、フェニルトリメチコン、シクロメチコン等、脂肪酸としてはイソステアリン酸、オレイン酸等、高級アルコールとしてはオクチルドデカノール、オレイルアルコール等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
前記油性成分の含有量は、インキ組成物全量に対し、1~40質量%が好ましい。これは、1質量%より少ないと、溶媒中に微分散した油性成分と溶媒分子が安定したネットワーク構造を形成し難く、ゲル構造を有し難いため、インキ漏れの抑制、書き味の向上をしづらく、40質量%を越えると、インキ中で油性成分が微分散する効果が得られにくいためである。さらに、上記効果を考慮すれば、5~35質量%が好ましく、より考慮すれば、6~30質量%が好ましい。
(溶媒)
本発明で用いる溶媒としては、水、および水と有機溶剤との混合溶媒が挙げられ、溶媒を用いることで、アシルアミノ酸リシンまたはその塩の疎水基が吸着された油性成分はアシルアミノ酸リシンまたはその塩の親水基部分が溶媒と親和性があるため、安定したO/Wエマルジョン構造を形成することが可能となり、溶媒中に微分散した油性成分と溶媒分子が安定したネットワーク構造を形成したO/Wエマルジョンインキ組成物になりやすい。さらに、溶媒の中でも、水を含んでなることが好ましい、これは、水を含んでなることで、筆記先端部の間隙から水が蒸発することで、インキ中に含まれる樹脂などが筆記先端部の間隙に被膜を生じやすくなり、筆記先端部の間隙からのインキ漏れを抑制する効果が得られやすいためである。また、インキが紙面に筆記された際、水が素早く蒸発することで、良好な筆跡乾燥性も得られやすいためである。
また、有機溶剤としては、水溶性有機溶剤を含んでなることが好ましい、これは、水溶性有機溶剤を含んでなることで、アシルアミノ酸リシンまたはその塩の親水基が水溶性有機溶剤分子と水素結合をしやすいため、安定なネットワーク構造を形成し、ゲル構造を有しやすいためである。さらに、水溶性有機溶剤のなかでも、インキ中で安定なネットワーク構造を形成しやすくすることを考慮すれば、多価アルコール溶剤が好ましく、多価アルコールの中でも水酸基が3基以上ある多価アルコール溶剤の方が、水素結合しやすく、より安定したネットワーク構造を形成したしやすいため、好ましく、最も好ましくは、グリセリンである。多価アルコール溶剤とは、二個以上の水酸基が脂肪族あるいは脂環式化合物の相異なる炭素原子に結合した構造を有する溶剤である。
そのため、本発明では、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒としたO/Wエマルジョンインキ組成物とすることが好ましい。
また、水としては、イオン交換水、蒸留水および水道水などの慣用の水を用いることができる。また、有機溶剤としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t-ブタノール、アリルアルコール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタートやその他の高級アルコール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール等のグリコールエーテル類などが挙げられる。なお、有機溶剤の含有率は、溶媒の総質量に対して、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。これらは、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
筆記具用インキ組成物における溶媒の含有量は、インキ組成物全量に対し、10~70質量%であることが好ましく、20~60質量%であることがより好ましく、さらに好ましくは、30~50質量%であることがより好ましい。溶媒の含有量は、上記数値範囲内であれば、油性成分と安定したO/Wエマルジョン構造を形成することが可能となり、アシルアミノ酸リシンまたはその塩の親水基と溶媒分子が水素結合により、安定したネットワーク構造を形成し、ゲル構造を有することで、筆記先端部の間隙からのインキ漏れを抑制し、筆記時にはインキ粘度が低くなるため、筆跡カスレを抑制し、筆記性に優れ、書き味を向上しやすい。
また、溶媒として、水を含んでなる場合は、水の含有量は、インキ組成物全量に対し、50質量%以下であることが好ましく、10~50質量%であることがより好ましく、より好ましくは、15~40質量%であることがより好ましい。水の含有量は、上記数値範囲内であれば、油性成分と安定したO/Wエマルジョン構造を保ちやすく、筆記先端部の間隙からのインキ漏れを抑制する効果も得られやすく、インキが紙面に筆記された際、水が素早く蒸発することで、良好な筆跡乾燥性も得られやすい。
また、前記アシルアミノ酸リシンに対する、前記油性成分の配合比(油性成分/アシルアミノ酸リシン)については、質量基準で0.1倍~5倍であることが好ましく、0.1倍~3倍であることが好ましく、0.5倍~2.5倍であることが好ましい。これは、上記範囲であると、インキ中で安定してO/Wエマルジョン構造を保ちやすく、また溶媒分子と安定したネットワーク構造を形成し、ゲル構造を形成しやすく、インキ漏れ抑制、書き味向上の効果が得られやすいためである。
また、前記溶媒に対する、前記油性成分の配合比(油性成分/溶媒)については、質量基準で0.01倍~1倍であることが好ましく、より好ましくは、0.1倍~1倍であることが好ましく、さらに考慮すれば、0.1倍~0.3倍であることが好ましい。これは、上記範囲であると、インキ中で安定して溶媒に油性成分が微分散して、溶媒分子と安定したネットワーク構造を形成し、ゲル構造を形成しやすく、インキ漏れ抑制、書き味向上の効果が得られやすいためである。
(着色剤)
本発明に用いる着色剤は、染料、顔料等、特に限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。染料、顔料を併用しても良い。
染料としては、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料などや、それらの各種造塩タイプの染料等として、酸性染料と塩基性染料との造塩染料、有機酸と塩基性染料との造塩染料、酸性染料と有機アミンとの造塩染料などの種類が挙げられる。
顔料としては、無機、有機、加工顔料などが挙げられるが、具体的にはカーボンブラック、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、ジケトピロロピロール系、キノフタロン系、スレン系、トリフェニルメタン系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、メタリック顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等が挙げられる。これらの染料は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
着色剤としては、顔料を用いることが好ましい、これは、顔料粒子を用いることで、ボールペンの場合はボールとチップ先端の内壁との間の隙間に物理的な障害を起こして、インキ漏れを抑制しやすいためである。また、顔料は、筆跡の堅牢性に優れ、特に耐光性に優れるため、好ましい。
さらに、顔料を用いることで、ボールペンの場合は、ボールとチップ本体の隙間に顔料粒子が入り込むことで、ベアリングのような作用が働きやすく、金属接触を抑制することで、潤滑性を向上し、書き味を向上し、ボール座の摩耗を抑制する効果が得られやすいため、顔料を用いることが好ましい。本発明のように、アシルアミノ酸リシンまたはその塩を用いることで、インキをゲル構造とし、筆記時のインキ粘度が低粘度化するため、ボールとチップ本体の金属接触が起こりやすくなるため、潤滑性を向上し、ボール座の摩耗が抑制できるため、顔料を用いることは好ましい。
着色剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、5~30質量%が好ましい。これは5質量%未満だと、濃い筆跡が得られにくい傾向があり、30質量%を越えると、インキ中での溶解性や分散性に影響しやすい傾向があるためで、よりその傾向を考慮すれば、7~25質量%が好ましく、さらに考慮すれば、10~25質量%である。
(ノニオン系界面活性剤)
本発明においては、潤滑性を向上することで書き味を向上しやすく、チップ先端部を大気中に放置した状態で、該チップ先端部が乾燥したときの書き出し性能を向上し、さらに紙面へのインキ浸透をしやすくし、筆跡乾燥性を向上することを考慮すれば、界面活性剤を用いることが好ましいが、アシルアミノ酸リシンまたはその塩による溶媒と油性成分との安定したO/Wエマルジョン構造を維持しやすいことを考慮すれば、ノニオン系界面活性剤を用いることが好ましい。ノニオン系界面活性剤は、形成される潤滑層によって、潤滑性を向上しやすくし、さらにインキ中に含まれる樹脂などによって形成される被膜を柔らかくし、書き出し性能を改良しやすくすることができるためである。
前記ノニオン系界面活性剤については、溶媒、油性成分、前記アシルアミノ酸リシンまたはその塩とインキ中での安定性を考慮して、HLB値が5~16であることが好ましい。よりインキ中での安定性と、書き味、書き出し性能を考慮し、本発明の効果を得られやすくするには、HLB値が6~14であることが好ましく、より考慮すれば、HLB値が6~10であることが好ましい。
尚、HLBは、グリフィン法、川上法などから求めることができる。特に、ノック式筆記具や回転繰り出し式筆記具等の出没式筆記具においては、キャップ式筆記具とは異なり、常時ペン先が外部に露出した状態であるため、筆記先端部の乾燥時の書き出し性能に影響しやすいため、上記HLB値とした界面活性剤を用いることはより好ましい。
また、ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどの脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、アセチレン結合を有する界面活性剤などが挙げられる。その中でも、上記のような書き味、書き出し性能、筆跡乾燥性を向上しつつ、溶媒と油性成分との安定したO/Wエマルジョン構造を維持しやすいことを考慮すれば、脂肪酸エステル類またはポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることが好ましく、より書き味、書き出し性能を向上することを考慮すれば、脂肪酸類エステルを用いることが好ましい。
また、脂肪酸エステル類の中でも、書き味、書き出し性能を考慮すれば、ソルビタン脂肪酸エステルまたは脂肪酸エステルを用いることが好ましく、より考慮すれば、ソルビタン脂肪酸エステルと脂肪酸エステルを併用して用いることが好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルについては、ソルビタンモノ脂肪酸エステルが好ましい。
前記ソルビタン脂肪酸エステルについては、書き味、書き出し性能を考慮すれば、水酸基を4つ有するソルビタンと脂肪酸とのエステルである、ソルビタンモノ脂肪酸エステルが好ましい。前記脂肪酸として具体的には、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、オレイン酸等が挙げられる。具体的な化合物としては例えば、ソルビタンモノカプリレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノココエート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンジオレエート、ソルビタントリラウレート、ソルビタントリパルミテート、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリオレエート等やそれらの複合物等が挙げられる。
さらに、ソルビタン脂肪酸エステルの中でも、書き味を考慮すれば、ソルビタン脂肪酸エステルのアルキル基に含まれる炭素数が1~20であることが好ましく、より考慮すれば、潤滑層を形成するのに適した長さである、前記アルキル基に含まれる炭素数が10~20であるソルビタン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。
前記脂肪酸エステルについては、脂肪酸と、1価アルコールや多価アルコールなどのアルコールとをエステル化反応させたものである。前記脂肪酸エステルの中でも、書き出し性能を向上することを考慮すれば、分岐鎖アルキル基を有する脂肪酸エステルを用いることが好ましい。これは、分岐鎖アルキル基を有する脂肪酸エステルは、直鎖構造よりも、嵩高い構造をしているため、分岐鎖アルキル基の嵩高さによって、金属製のボール表面やチップ本体のボール座に吸着しやすく、さらに厚い潤滑層を形成して、より潤滑性が向上しやすいためで、同時に分岐鎖アルキル基の嵩高さによって、チップ先端部のインキ乾燥時に形成される被膜強度が軟化し、書き出し性能を向上するためである。
さらに、 前記脂肪酸エステルのエステル化反応に用いられるアルコールは、多価アルコールが好ましい。これは、前記脂肪酸エステルの水酸基が多いと、吸湿作用が働き、チップ先端部が乾燥したときに形成する被膜の強度を和らげ、ボールの回転をスムーズにする効果が得られるので、ドライアップ時の書き出しにおいて、筆跡カスレが発生せずに、書き出し性能が向上するものと推測されるためである。より書き出し性能を向上することを考慮すれば、水酸基が4価以上の多価アルコールを用いることが好ましく、より好ましくは水酸基が5価以上であることが好ましい。また、水酸基が多すぎると、インキ中での安定性に影響が出やすいため、水酸基が8価以下であることが好ましい。
ノニオン系界面活性剤の含有量は、インキ組成物全量に対し、1~15質量%がより好ましい。これは、1質量%より少ないと、所望の書き味、書き出し性能、筆跡乾燥性が得られにくく、15質量%を越えると、インキ経時が不安定性になりやすい傾向があるためであり、その傾向を考慮すれば、インキ組成物全量に対し、2~13質量%が好ましく、より考慮すれば、4~12質量%が、最も好ましい。
(脂肪酸)
本発明については、前記油性成分以外のものとして、より書き味、書き出し性能を向上することを考慮すれば、少なくとも脂肪酸を用いることが好ましい。脂肪酸は、該脂肪酸が有するアルキル基が、筆記先端部が金属類であるボールとチップ本体に吸着することで、吸着層を形成して、筆記先端部と被筆記面との間(ボールペンの場合は、ボールとチップ本体との間の潤滑性も含む)の潤滑性を保ち、筆記先端部の筆記抵抗を抑制して、書き味を向上することを可能とする。特に、ノニオン系界面活性剤によって形成される潤滑層と、脂肪酸によって形成される吸着層による相互作用によって、より滑らかな潤滑効果が得られ、ボール座の摩耗を抑制し、書き味を一層向上することが可能となり、好ましい。さらに、脂肪酸は、短時間書き出し性能を向上しつつ、長時間チップ先端部を大気中に放置した場合でも、ボールペンチップ先端で形成されるインキ被膜を柔らかくする効果があり、書き出し性能(長時間書き出し性能)を向上することができる。
前記脂肪酸の炭素数は10~30であることが好ましく、炭素数が14~22であることが好ましく、炭素数が16~20であることが好ましい。これは、上記数値範囲内であれば、油性成分中で溶解安定させることができ、金属類であるボールとチップ本体に吸着しやすい吸着層を形成しやすく、ボールの潤滑性を保ちやすいためである。アルキル基の炭素数が、過度に多すぎると、分子同士が立体的に反発するおそれがあり、金属表面への吸着を阻害し、潤滑性を損ないやすいためである。
前記脂肪酸は、アルキル基が直鎖構造のもの、分岐鎖を有する構造のものがあるが、アルキル基が分岐鎖を有する脂肪酸であることが好ましい。これは、ボールペンチップのボールやチップ本体の金属表面に吸着した前記分岐鎖を有するアルキル鎖が嵩高い構造を有することで、該金属表面を覆う面積が多くなることで、金属接触を緩和し、潤滑性を向上しやすくし、ボール座の摩耗の抑制と、書き味を向上しやすくなるためである。特に、より潤滑性を考慮すれば、イソパルミチン酸(炭素数16)、イソステアリン酸(炭素数18)、イソアラキン酸(炭素数20)の中から1種以上選択することが好ましいが、特に、潤滑性を向上しやすいバランスのとれた嵩高い構造を有することで、潤滑性が向上しやすいため、イソステアリン酸(炭素数18)、イソアラキン酸(炭素数20)が好ましく、より考慮すれば、イソステアリン酸(炭素数18)が最も好ましい。これらは、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
前記脂肪酸については、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸、イソアラキン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、イソミリスチン酸などが挙げられる。
また、前記脂肪酸の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1質量%より少ないと、潤滑効果や書き出し効果が得られないおそれがあり、5質量%を越えると、インキ経時安定性に影響するおそれがあるため、インキ組成物全量に対し、0.1~5質量%が好ましく、より潤滑性を考慮すれば、0.3~4質量%が好ましく、さらに、インキ経時安定性などを考慮すれば、0.3~3質量%が最も好ましい。
また、本発明の筆記具用インキ組成物は、インキ粘度調整剤、顔料分散剤、筆跡の定着などを目的として、樹脂を含むことが好ましい。樹脂として、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ケトン樹脂、ポリアセタール樹脂、テルペン樹脂、アルキッド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレンオキサイド重合体などを用いることができる。さらに、樹脂エマルジョンとして、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂など含むエマルジョンを添加することができる。これらの樹脂の中でも、インキ中での油性成分の分散安定性を考慮すれば、水溶性樹脂を用いることが好ましく、より考慮すれば、アクリル系樹脂を用いることが好ましく、より好ましくはスチレン-アクリル系樹脂が好ましい。これらは、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
前記樹脂の総含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1質量%より少ないと、インキ粘度調整剤、顔料分散剤、筆跡の耐擦性が十分ではないため、20質量%を越えると、インキ中で溶解性が劣りやすいため、インキ組成物全量に対し、0.1~20質量%が好ましい。さらに、考慮すれば0.5~10質量%が好ましく、より考慮すれば、0.5~5質量%が好ましい。
また、本発明の筆記具用インキ組成物には、その他の添加剤として、潤滑性やインキ経時安定性を向上させるために、(i)界面活性剤、例えば脂肪酸アルカノールアミド、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤や、陰イオン性界面活性剤および/または陽イオン性界面活性剤の造塩体を、(ii)擬塑性付与剤として、例えば、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、グアーガム、ローカストビーンガム、λ-カラギーナン、セルロース誘導体、ダイユータンガムなどの多糖類、ポリアクリル酸、脂肪酸アマイド、水添ヒマシ油など、また、(iii)着色剤安定剤、可塑剤、キレート剤、pH調整剤、防菌剤、防腐剤などを適宜用いても良い。これらは、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
本発明の筆記具用インキ組成物のインキ粘度は、特に限定されるものではないが、アシルアミノ酸リシンまたはその塩を用いる場合は、溶媒に油性成分が微分散して安定したゲル化構造を有することによって、格段にインキ漏れ抑制効果が得られやすいため、20℃、剪断速度1.0sec-1(静止時)におけるインキ粘度が100~10000mPa・sが好ましく、より書き味、インキ漏れ抑制、インキ追従性能を考慮すれば、インキ粘度が500~5000mPa・sが好ましく、より考慮すれば、インキ粘度が3000~5000mPa・sが好ましい。
また、ノック式筆記具や回転繰り出し式筆記具等の出没式筆記具においては、インキ漏れ抑制をより考慮する必要があるため、効果的である。
また、アシルアミノ酸リシンまたはその塩を用いる場合は、非ニュートン粘性指数については、非ニュートン粘性指数はS=αDn(但し、1>n>0)で示される粘性式中、「n」を指す。なお、Sは剪断応力(dyne /cm2)、Dは剪断速度(s-1)、αは非ニュートン粘性係数を示す。非ニュートン粘性付与指数nが0.4未満であると、書き味、インキ追従性などの筆記性能が劣りやすく、nが0.90を越えると、インキ漏れ出しが発生し易い。そのため、非ニュートン粘性付与指数n=0.4~0.9である方が好ましい。より上記効果を考慮すれば、0.5~0.85が好ましく、さらに好ましくは、0.6~0.8である。
(筆記具)
本発明の筆記具用インキ組成物は、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップなどのペン芯またはボールペンチップなどをペン先としたマーキングペンやボールペンなどの筆記具に用いることができる。
本発明の筆記具は、筆記具用インキ組成物を直に充填する構成のものであってもよく、筆記具用インキ組成物を充填することのできるインキ収容体またはインキ吸蔵体を備えるものであってもよい。
本発明の筆記具の出没機構は、特に限定されず、ペン先を覆うキャップを備えたキャップ式、ノック式、回転式およびスライド式などが挙げられる。また、軸筒内にペン先を収容可能な出没式であってもよい。
また、筆記具におけるインキ供給機構についても特に限定されるものではなく、例えば、(1)繊維束などからなるインキ誘導芯をインキ流量調節部材として備え、インキ組成物をペン先に供給する機構、(2)櫛溝状のインキ流量調節部材を備え、これを介在させ、インキ組成物をペン先に供給する機構、(3)弁機構によるインキ流量調節部材を備え、インキ組成物をペン先に供給する機構、および(4)ペン先を具備したインキ収容体または軸筒より、インキ組成物を直接、ペン先に供給する機構などを挙げることができる。
一実施形態において、筆記具は、マーキングペンであり、ペン先は、特に限定されず、例えば、繊維チップ、フェルトチップまたはプラスチックチップなどであってよく、さらに、その形状は、砲弾型、チゼル型または筆ペン型などであってよい。
一実施形態において、筆記具は、ボールペンであり、インキ逆流防止体を備えたボールペンであることが好ましい。
(ボールペンチップ)
また、ボールペンの場合、ボールペンチップのボールの縦軸方向の移動量が、3~25μmとするのが好ましい。これは、3μm未満であると、濃い筆跡や良好な書き味が得られづらくなり、25μmを越えると、インキ漏れ抑制、泣きボテ、インキ追従性能に影響が出やすくなるためで、より考慮すれば、3~20μmとするのが好ましく、より考慮すれば、前記縦軸方向の移動量を5~16μmとするのが好ましい。
ボールペンチップのボール表面の算術平均粗さ(Ra)については、0.1~12nmとすることが好ましい。これは、算術平均粗さ(Ra)が0.1nm未満だと、ボール表面に十分にインキが載りづらく、筆記時に濃い筆跡が得られづらく、筆跡に線とび、カスレが発生しやすく、算術平均粗さ(Ra)が12nmを越えると、ボール表面が粗すぎて、ボールとボール座の回転抵抗が大きいため、書き味が劣りやすく、さらに、筆跡にカスレ、線とび、線ムラなどの筆記性能に影響が出やすくなるためである。また、前記算術平均粗さ(Ra)が0.1~10nmであると、ボール表面にインキが載りやすいためより好ましく、より書き味を考慮すれば、2~8nmが好ましい。なお、表面粗さの測定は(セイコーエプソン社製の機種名SPI3800N)で求めることができる。
また、ボールに用いる材料は、特に限定されるものではないが、タングステンカーバイドを主成分とする超硬合金ボール、ステンレス鋼などの金属ボール、炭化珪素、窒化珪素、アルミナ、シリカ、ジルコニアなどのセラミックスボール、ルビーボールなどが挙げられる。
また、ボールの直径は、特に限定されないが、ボールの直径が大きいと、ボールペンチップ本体とボールとの隙間からインキ漏れがしやすく、筆記先端部の乾燥時に書き出し性能が劣りやすいため、ボール径を通常よりも大きくして、1.0mm~2.0mmとした場合では、影響が出やすく、本発明で用いるアシルアミノ酸リシンまたはその塩を用いると効果的であり、特に1.2mm~2.0mmとした場合は顕著で、より効果的である。
また、ボ-ルペンチップの材料は、ステンレス鋼、洋白、ブラス(黄銅)、アルミニウム青銅、アルミニウムなどの金属材、ポリカーボネート、ポリアセタール、ABSなどの樹脂材が挙げられるが、ボール座の摩耗、経時安定性、コストを考慮するとステンレス製のチップ本体とすることが好ましい。
実施例1
実施例1の筆記具用インキ組成物は、まず、顔料を大豆油で分散させて、顔料分散体を得た。その後、顔料分散体、大豆油、ノニオン系界面活性剤、脂肪酸を混合し、油相とした。その後、水、水溶性有機溶剤の混合溶媒と、アクリル系樹脂、アシルアミノ酸リシンとを含有した水相に、油相を滴下し、ディスパー攪拌機を用いて、微分散させて、ゲル状組成物(O/Wエマルジョン組成物)を作成した。その後、ゲル状組成物(O/Wエマルジョン組成物)に、エチレンオキサイド重合体を攪拌して筆記具用インキ組成物(O/Wエマルジョンインキ組成物)を得た。
具体的な配合量は下記の通りである。尚、ブルックフィールド株式会社製粘度計 ビスコメーターRVDVII+Pro CP-52スピンドルを使用して、実施例1のインキ粘度を測定したところ、20℃の環境下、剪断速度1.0sec-1、インキ粘度=4400mPa・s、20℃の環境下、剪断速度200sec-1でインキ粘度=830mPa・sであった。また、非ニュートン粘性付与指数nは、0.69であった。
実施例1(インキ配合)
着色剤(顔料、カーボンブラック分散体) 35.0質量%
溶媒(水) 23.5質量%
溶媒(グリセリン) 15.5質量%
油性成分(大豆油) 7.0質量%
アシルアミノ酸リシン([化1構造式:Rの炭素数(アルキル基の炭素数)=11、m=0、n=2]、 脂肪酸アシルグルタミン酸リシンナトリウム塩、有効成分29%含有) 5.0質量%
ノニオン系界面活性剤(ソルビタン脂肪酸エステル、HLB値:8.6) 4.0質量%
ノニオン系界面活性剤(分岐鎖アルキル基を有する脂肪酸エステル) 3.0質量%
脂肪酸(イソステアリン酸、炭素数18) 0.5質量%
樹脂(スチレン-アクリル樹脂) 2.0質量%
エチレンオキサイド重合体 0.5質量%
実施例2~13
表1に示すように、インキ成分を変更した以外は、実施例1と同様な手順でインキを配合し、実施例2~13の筆記具用インキ組成物を得た。表に評価結果を示す。
比較例1~4
表に示すように、インキ成分を変更した以外は、実施例1と同様の手順で、比較例1~4の筆記具用インキ組成物を得た。表に評価結果を示す。
Figure 0007299778000002
Figure 0007299778000003
試験および評価
実施例1~13および比較例1~4で作製した筆記具用インキ組成物(0.27g)を、インキ収容筒(ポリプロピレン)に、ボール径がφ0.7mmのボールを回転自在に抱持したボールペン用チップ(チップ内にボールを直接チップ先端縁の内壁に押圧したコイルスプリングを有する、ボールの軸方向の移動量:8μm、ボール表面の算術平均粗さ(Ra):5nm)を装着したボールペン用レフィルに充填し、ボールペンを作製した。筆記試験用紙として筆記用紙JIS P3201を用いて以下の試験および評価を行った。
インキ漏れ抑制試験:30℃、85%RHの環境下にペン先下向きで7日放置し、チップ先端からのインキ漏れを確認した。
チップ先端のインキ滴がないもの ・・・◎
チップ先端のインキ滴がテーパー部の1/4以内のもの ・・・○
チップ先端のインキ滴がテーパー部の1/4以上、1/2以内のもの ・・・△
チップ先端のインキ滴がテーパー部の1/2以上のもの ・・・×
書き味:手書きによる官能試験を行い評価した。
非常に滑らかなもの ・・・◎
滑らかであるもの ・・・○
実用上問題ないレベルの滑らかさであるもの ・・・△
重いもの ・・・×
筆記性能試験:荷重200gf、筆記角度70°、4m/minの走行試験機にて、100m筆記試験後の筆跡を観察した。
筆跡にカスレ、点ムラがない、または少ないもの ・・・◎
筆跡にカスレ、点ムラが若干あるが、実用上問題ないレベルのもの ・・・○
筆跡にカスレ、点ムラがあり、実用上に影響があるもの ・・・△
筆跡にカスレ、点ムラが多いもの ・・・×
書き出し性能試験:手書き筆記した後、チップ先端部を出したまま20℃、65%RHの環境下に24時間放置し、その後、走行試験で下記筆記条件にて筆記し、書き出しにおける筆跡カスレの長さを測定した。
<筆記条件>筆記荷重200gf、筆記角度70°、筆記速度4m/minの条件で、走行試験機にて直線書きを行い評価した。
筆跡カスレの長さが、15mm未満であるもの ・・・◎
筆跡カスレの長さが、15mm以上、30mm未満であるもの ・・・○
筆跡カスレの長さが、30mm以上、40mm未満であるもの ・・・△
筆跡カスレの長さが、40mm以上であるもの ・・・×
実施例1~13では、インキ漏れ抑制試験、書き味、筆記性能、書き出し性能ともに良好な性能が得られた。
また、実施例1~13で、顔料インキを、顕微鏡で見たところ、顔料分散性が良好で、析出物もなく良好であった。
尚、ブルックフィールド株式会社製粘度計 ビスコメーターRVDVII+Pro CP-52スピンドルを使用して、実施例2、3のインキ粘度を測定し、非ニュートン粘性付与指数nを算出した。
実施例2では、20℃の環境下、剪断速度1.0sec-1、インキ粘度=3500mPa・s、20℃の環境下、剪断速度200sec-1でインキ粘度=800mPa・s、非ニュートン粘性付与指数nは、0.72であった。
実施例3では、20℃の環境下、剪断速度1.0sec-1、インキ粘度=5000mPa・s、20℃の環境下、剪断速度200sec-1でインキ粘度=900mPa・s、非ニュートン粘性付与指数nは、0.68であった。
比較例1~3では、アシルアミノ酸リシンまたはその塩を用いなかったため、インキ漏れ抑制性能、筆記性能が劣ってしまった。
比較例4では、剪断減粘性付与剤として、脂肪酸アマイドワックスを添加してインキ粘度を上げたが、十分なインキ漏れ抑制効果、書き味、筆記性能、書き出し性能については、得られなかった。
また、ノック式筆記具や回転繰り出し式筆記具等の出没式筆記具(出没式ボールペン)を用いた場合では、インキ漏れ抑制性能が最も重要な性能の 1つであるため、本発明のように筆記先端部の間隙からインキ漏れ(ボールとチップ先端の間隙からのインキ漏れ)を抑制して、インキ漏れ抑制性能が良好とすることが可能である本発明のような前記アシルアミノ酸リシンまたはその塩を含んだ筆記具用インキ組成物を用いると効果的である。
本発明のように、インキ漏れ抑制や、書き出し性能を向上するためには、ボールペンチップ先端に回転自在に抱持したボールを、コイルスプリングにより直接又は押圧体を介してチップ先端縁の内壁に押圧して、筆記時の押圧力によりチップ先端縁の内壁とボールに間隙を与えインキを流出させる弁機構を具備し、チップ先端の微少な間隙も非使用時に閉鎖することが好ましい。
また、本実施例では、便宜上、軸筒内に、筆記具用インキ組成物を直に収容したボールペン用レフィルを収容したボールペンを例示しているが、本発明の筆記具は、軸筒をインキ収容筒とし、軸筒内に、筆記具用インキ組成物を直に収容した直詰め式のボールペン、マーキングペン、サインペンとした筆記具であってもよい。また、軸筒内に、筆記具用インキ組成物を直に収容したマーキングペン、サインペンとした場合は、インキ漏れやインキボタ落ちなどを抑制する効果が得られるため、好適に用いることができる。
また、本実施例では便宜上、線材を切削によって形成したボールペンチップを例示しているが、パイプ材を押圧加工によって形成するボールペンチップであってもよい。
本発明は、筆記具として利用でき、さらに詳細としては、キャップ式、出没式等の筆記具としてボールペン、マーキングペン、サインペンとして広く利用することができる。

Claims (9)

  1. 着色剤、溶媒、油性成分、アシルアミノ酸リシンまたはその塩を含んでなり、前記油性成分は大豆油、あまに油、オリーブ油の中から選択することを特徴とする筆記具用インキ組成物。
  2. 請求項1に記載の筆記具用インキ組成物において、20℃の環境下、非ニュートン粘性付与指数nは0.5~0.85であることを特徴とする筆記具用インキ組成物。
  3. 前記油性成分の含有量が、インキ組成物全量に対して、6~30質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の筆記具用インキ組成物。
  4. 前記アシルアミノ酸リシンが、脂肪酸アシルアミノ酸リシンであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
  5. 前記溶媒が、少なくとも水を含んでなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
  6. 前記筆記具用インキ組成物に、さらにノニオン系界面活性剤を含んでなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
  7. 20℃、剪断速度1.0sec-1におけるインキ粘度が、100~10000mPa・sであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物。
  8. インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に請求項1ないしのいずれか1項に記載の筆記具用インキ組成物を収容してなることを特徴とするボールペン。
  9. 前記ボールペンチップのボールの縦軸方向の移動量が、3~25μmであることを特徴とする請求項8に記載のボールペン。
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