JP7112195B2 - 油性ボールペン - Google Patents
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Description
特に、ノック式油性ボールペンや回転繰り出し式油性ボールペン等の出没式油性ボールペンを用いた場合では、書き出し性能に影響が出やすいので重要となる。
そのため、高筆圧筆記性と書き出し性能の両性能を満足することが必要とされている。
「1.着色剤、有機溶剤、リン酸エステル、脂肪酸エステルを含んでなり、前記リン酸エステルが、一般式(化1)または(化2)であることを特徴とする油性ボールペン用インキ組成物。
2.前記リン酸エステルの末端アルキル基(l、m)が、1~10であることを特徴とする第1項に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
3.前記脂肪酸エステルが、分岐鎖アルキル基を有する脂肪酸エステルであることを特徴とする第1項または第2項に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
4.前記脂肪酸エステルが、脂肪酸と多価アルコールによってエステル化した脂肪酸エステルであることを特徴とする第1項ないし第3項のいずれか1項に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
5.前記着色剤が、アゾ系骨格またはトリアリルメタン系骨格を有する染料で造塩した造塩染料であることを特徴とする第1項ないし第4項のいずれか1項に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
6.20℃、剪断速度5sec-1におけるインキ粘度が、50000mPa・s以下であることを特徴とする第1項ないし第5項のいずれか1項に記載の油性ボールペン用インキ組成物。
7.インキ収容筒の先端部に、ボールを回転自在に抱持したボールペンチップを有し、前記インキ収容筒内に第1項ないし第6項のいずれか1項に記載の油性ボールペン用インキ組成物を収容してなることを特徴とする油性ボールペン。」とする。
また、前記脂肪酸エステルについては、脂肪酸と、1価アルコールや多価アルコールなどのアルコールとをエステル化反応させたものであるが、脂肪酸エステルを併用することで、脂肪酸基が金属製のボールペンチップ本体やボールに吸着することで、潤滑層を形成し、前記リン酸エステルのアルコキシエチル基(ClH2l+1OCH2CH2O)やアルコキシル基(CmH2m+1O)によって、形成される潤滑層との相互作用により、より高い潤滑性を有する潤滑層を形成するため、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)でもボール座の摩耗の抑制し、書き味を向上することが可能となる。さらに、前記脂肪酸エステルによって、チップ先端部のインキ乾燥時に形成される被膜強度が軟化し、書き出し性能を向上することができる。
そのため、一般式(化1)または(化2)で表されるリン酸エステルと、脂肪酸エステルを併用することで、ボール座の摩耗の抑制(高筆圧筆記性)と、書き味、書き出し性能を全て向上することが可能である。
また、一般式(化1)、(化2)のようなリン酸エステルの中でも、アルコキシエチル基(ClH2l+1OCH2CH2O)、アルコキシル基(CmH2m+1O)の末端アルキル基の炭素鎖(l,m)について特定の炭素鎖(l,m)とすることが好ましいが、この効果については、以下のように推測する。
アルコキシエチル基(ClH2l+1OCH2CH2O)、アルコキシル基(CmH2m+1O)の末端アルキル基の炭素鎖(l,m)については、1~10とすることが好ましい。これは、アルコキシエチル基(ClH2l+1OCH2CH2O)やアルコキシル基(CnH2n+1O)の末端アルキル基の炭素鎖が長くなり過ぎて、書き味や書き出し性能は良好であるものの、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)でのボール座の摩耗抑制が得られづらい。これは、末端アルキル基の炭素鎖(l,m)が10を越えた場合、特に前記炭素鎖(l,m)が5以下とした場合は、お互いの炭素鎖間で立体障害が出やすく、金属に吸着したリン酸基が密になっても、炭素鎖の配列が密になりづらく、潤滑性が十分な潤滑層が得られず、高筆圧下でのボール座の摩耗抑制が得られづらいためである。さらに、末端アルキル基の極性が油性側に寄ってしまうため、有機溶剤に対する親和性が劣ることで、溶解安定性に影響しやすく、特にグリコールエーテル溶剤では影響が生じやすく、インキ中での溶解安定性に問題が出やすくなる。このため、長期間保存により金属製チップ中の金属イオン等の影響により、金属塩析出物が発生しやすくなり、インキ経時安定性が劣りやすく、本発明のような潤滑効果が得られづらい。そのため、前記末端アルキル基の炭素鎖(l,m)については、1~10とすることが好ましく、より考慮すれば、前記末端アルキル基の炭素鎖(l,m)は、1~5であることが好ましい。
一方、末端アルキル基の炭素鎖(l,m)が3以下とした場合には、高筆圧下でのボール座の摩耗抑制は良好であるものの、インキ中において、前記アルキル基が十分に伸びず、ボールとボール座の間のクッション性が十分でない潤滑層であるため、書き味や書き出し性能に影響が出やすい。そのため、前記末端アルキル基が、ブチル基(末端アルキル基の炭素鎖:4)を有するブトキシエチルアシッドホスフェート(l=4)、ブチルアシッドホスフェート(m=4)などを用いることで、高筆圧下でのボール座の摩耗を抑制し、書き味、書き出し性能を向上する効果が得られやすいため、好ましい。
さらに、上記高筆圧下(筆記荷重300~500gf)でも潤滑性を考慮すれば、リン酸エステルのモノエステルと、リン酸エステルのジエステルとの混合物とした場合の質量比については、リン酸エステルのジエステル(化1、化2のn=2)を用いると、アルコキシエチル基(ClH2l+1OCH2CH2O)、アルコキシル基(CmH2m+1O)が多いため、潤滑性に有利に働き、さらにインキ経時安定性も保てるため、リン酸エステルのジエステルが多い方が好ましい。そのため、質量比1:1~1:5の範囲である混合物が好ましく、さらに考慮すれば、質量比1:1~1:3の範囲の混合物が好ましい。
脂肪酸エステルについては、脂肪酸と、1価アルコールや多価アルコールなどのアルコールとをエステル化反応させたものであるが、前記脂肪酸エステルの中でも、より書き出し性能を向上することを考慮すれば、分岐鎖アルキル基を有する脂肪酸エステルを用いることが好ましい。これは、分岐鎖アルキル基を有する脂肪酸エステルは、直鎖構造よりも、嵩高い構造をしているため、分岐鎖アルキル基の嵩高さによって、金属製のボール表面やチップ本体のボール座に吸着しやすく、さらに厚い潤滑膜を形成して、より潤滑性が向上しやすいためで、同時に分岐鎖アルキル基の嵩高さによって、チップ先端部のインキ乾燥時に形成される被膜強度が軟化し、書き出し性能を向上するためである。
なお、酸価については、試料1g中に含まれる酸性成分(遊離脂肪酸)を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表すものとする。
また、本発明のように一般式(化1)、(化2)のようなリン酸エステルを用いる場合は、有機アミンを用いることが好ましい。これは、前記リン酸エステルであるため、有機アミンによって、中和させることで、インキ中で溶解安定し、前記リン酸エステルによる潤滑層を形成しやすく、潤滑性効果を得られやすくし、さらに着色剤、界面活性剤など他のインキ成分の経時安定性を良好としやすくするためである。前記有機アミンと、前記リン酸エステル、着色剤との安定性を考慮すれば、2級アミンまたは3級アミンを用いることが好ましい。これは、油性インキ中での反応性については、1級アミンが最も強く、次いで2級アミン、3級アミンと反応性が小さくなり、1級アミンは、前記一般式(化1)、(化2)のようなリン酸エステル、着色剤やその他の成分と反応しやすく、インキ経時安定性に影響が出やすい。そのため、2級アミンまたは3級アミンを用いることが好ましく、より考慮すれば、3級アミンを用いることが好ましい。
なお、全アミン価については、1級、2級、3級アミンの総量を示すもので、試料1gを中和するのに要する塩酸に当量の水酸化カリウムのmg数で表すものとする。
本発明に用いる着色剤は、染料、顔料等、特に限定されるものではなく、適宜選択して使用することができ、染料、顔料は併用して用いても良い。染料としては、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料などや、それらの各種造塩タイプの染料等として、酸性染料と塩基性染料との造塩染料、塩基性染料と有機酸との造塩染料、酸性染料と有機アミンとの造塩染料などの種類が挙げられる。これらの染料は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。染料について、具体的には、バリファーストブラック1802、バリファーストブラック1805、バリファーストブラック1807、バリファーストバイオレット1701、バリファーストバイオレット1704、バリファーストバイオレット1705、バリファーストブルー1601、バリファーストブルー1605、バリファーストブルー1613、バリファーストブルー1621、バリファーストブルー1631、バリファーストレッド1320、バリファーストレッド1355、バリファーストレッド1360、バリファーストイエロー1101、バリファーストイエロー1151、ニグロシンベースEXBP、ニグロシンベースEX、BASE OF BASIC DYES ROB-B、BASE OF BASIC DYES RO6G-B、BASE OF BASIC DYES VPB-B、BASE OF BASIC DYES VB-B、BASE OF BASIC DYES MVB-3(以上、オリエント化学工業(株)製)、アイゼンスピロンブラック GMH-スペシャル、アイゼンスピロンバイオレット C-RH、アイゼンスピロンブルー GNH、アイゼンスピロンブルー 2BNH、アイゼンスピロンブルー C-RH、アイゼンスピロンレッド C-GH、アイゼンスピロンレッド C-BH、アイゼンスピロンイエロー C-GNH、アイゼンスピロンイエロー C-2GH、S.P.T.ブルー111、S.P.T.ブルーGLSH-スペシャル、S.P.T.レッド533、S.P.T.オレンジ6、S.B.N.バイオレット510、S.B.N.イエロー530、S.R.C-BH(以上、保土谷化学工業(株)製)等が挙げられる。
アゾ系骨格を有する染料で造塩した造塩染料については、アゾ系酸性染料またはアゾ系塩基性染料で造塩した造塩染料を用いることが好ましく、その中でも、結合が安定していて、一般式(化1)、(化2)のようなリン酸エステルへの影響が出にくいため、アゾ系酸性染料と塩基性染料との造塩染料、アゾ系酸性染料と有機アミンとの造塩染料、アゾ系塩基性染料と有機酸との造塩染料の中から選択することが好ましい。
さらに、造塩染料を構成する有機酸については、フェニルスルホン基を有する有機酸であれば、金属に吸着し易い潤滑膜を形成しやすく、潤滑性を向上し、書き味やボール座の摩耗抑制を良好とするため好ましく、具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸-ホルムアルデヒド縮合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸が挙げられる。また、よりアゾ系塩基性染料と中和反応させても、インキ中で長期安定することを考慮すれば、有機酸として、アルキルベンゼンスルホン酸を用いることが好ましい。
本発明に用いる有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール等のグリコールエーテル溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール等のグリコール溶剤、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t-ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタートやその他の高級アルコール等のアルコール溶剤など、筆記具用インキとして一般的に用いられる有機溶剤が例示できる。
その中でも、グリコールエーテル溶剤を用いることが好ましい。これは、一般式(化1)、(化2)のようなリン酸エステルのアルコキシエチル基(ClH2l+1OCH2CH2O)、アルコキシル基(CmH2m+1O)とのグリコールエーテル溶剤に対する親和性が良好となりやすく、溶解安定するため、長期間保存においてもインキ経時が安定しやすい。さらに、グリコールエーテル溶剤を用いると、吸湿しやすいため、チップ先端部が乾燥したときに形成する被膜の強度を軟化させ、書き出し性能も向上しやすいためであり、後述する界面活性剤と併用するとより効果的で、インキ中での安定性を考慮すれば、芳香族グリコールエーテル溶剤を用いることが好ましい。さらに、グリコールエーテル溶剤以外の有機溶剤については、アルコール溶剤を用いることが好ましいが、これは、アルコ-ル溶剤は揮発して、チップ先端での乾燥をしやすく、筆記先端部内(チップ先端部内)をより早く増粘させることで、筆記先端部の間隙からインキ漏れを抑制するため、好ましい。さらに、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコ-ルは、潤滑性を向上する効果もあるため、少なくとも用いる方が好ましい。そのため、グリコールエーテル溶剤とアルコ-ル溶剤を併用することが好ましい。
また、インキ漏れ抑制をより向上するためには、樹脂をインキ粘度調整剤として、用いることが好ましい、樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ケトン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、テルペン樹脂、アルキッド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂などが挙げられるが、その中でも、ポリビニルブチラール樹脂またはケトン樹脂を含んでなることが好ましい。
ここで、ポリビニルブチラール樹脂は、ポリビニルアルコール(PVA)をブチルアルデヒド(BA)と反応させたものであり、ブチラール基、アセチル基、水酸基を有した構造である。
なお、前記ポリビニルブチラール樹脂の水酸基量(mol%)とは、ブチラール基(mol%)、アセチル基(mol%)、水酸基(mol%)の 全mol量に対して、水酸基(mol%)の含有率を示すものである。
本発明においては、上記潤滑性と、チップ先端部を大気中に放置した状態で、該チップ先端部が乾燥したときの書き出し性能を向上することを考慮すれば、界面活性剤を用いることが好ましい。これは、界面活性剤を用いると、形成される被膜を柔らかくする傾向があり、書き出し性能を改良でき、さらに潤滑性も向上することができる。界面活性剤としては、脂肪酸、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤(一般式(化1)、(化2)のリン酸エステルを除く)などが挙げられる。その中でも、上記効果を考慮すれば、脂肪酸、シリコーン系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤(一般式(化1)、(化2)のリン酸エステルを除く)の中から1種以上を用いることが好ましい。
特に、本発明で用いる一般式(化1)、(化2)のようなリン酸エステルについては、リン酸エステル系界面活性剤(一般式(化1)、(化2)のリン酸エステルを除く)は同骨格としてリン酸を有することで、相性が良く、相乗的な潤滑効果が得られやすいため、リン酸エステル系界面活性剤(一般式(化1)、(化2)のリン酸エステルを除く)を用いることが好ましい。これは、一般式(化1)、(化2)のようなリン酸エステルとリン酸エステル系界面活性剤(一般式(化1)、(化2)のリン酸エステルを除く)を併用することで、前記一般式(化1)、(化2)のようなリン酸エステルの潤滑層とリン酸エステル系界面活性剤との潤滑層とが相互作用することで、より高い潤滑性を有する潤滑層を形成できるため、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)においても潤滑性を保ち、ボール座の摩耗の抑制しやすくする効果を奏するものと推測する。さらに、前記したポリビニルブチラール樹脂を用いる場合は、ポリビニルブチラールによって形成するインキ層と前記潤滑層によって、より潤滑性を向上しやすいため、より好ましい。
尚、HLBは、グリフィン法、川上法、デイビス法、アトラス法などから求めることができる。特に、ノック式筆記具や回転繰り出し式筆記具等の出没式筆記具においては、キャップ式筆記具とは異なり、常時ペン先が外部に露出した状態であるため、筆記先端部の乾燥時の書き出し性能に影響しやすいため、上記HLB値とした界面活性剤を用いることはより好ましい。
なお、酸価については、試料1g中に含まれる酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表すものとする。
また、ボールの直径は、ボール直径が0.7mm以下とした比較的小さいボール径であると、同一距離の筆記をする場合にボールの直径が小さいほどボールの回転数が多くなるので、ボール座の摩耗が激しくなりやすいため、効果的であり、さらに、ボール直径が0.5mm以下であると、高筆圧下(筆記荷重300~500gf)での、ボール座の摩耗が進みやすいため、より効果的である。
実施例1の油性ボールペン用インキ組成物は、予め有機溶剤、顔料、顔料分散剤を添加し、3本ロール分散機で分散させて、顔料分散体を作製した。その後、顔料分散体、染料、有機溶剤、一般式(化1)、(化2)のようなリン酸エステル、脂肪酸エステル、界面活性剤、有機アミン、ポリビニルブチラール樹脂、ケトン樹脂、曳糸性付与樹脂としてポリビニルピロリドンを採用し、これを所定量秤量して、60℃に加温した後、ディスパー攪拌機を用いて完全溶解させて油性ボールペン用インキ組成物を得た。具体的な配合量は下記の通りである。
尚、ブルックフィールド株式会社製粘度計 ビスコメーターRVDVII+Pro CP-52スピンドルを使用して20℃の環境下で剪断速度5sec-1(回転数2.5rpm)にて実施例1のインキ粘度を測定したところ、インキ粘度18000mPa・sであった。
また、pH値を東亜ディーケーケー社製pHメーター HM-30R型を用いて、20℃にて測定したところ、pH値=6であった。
着色剤(アゾ系塩基性染料とアルキルベンゼンスルホン酸との造塩染料)15.0質量%
着色剤(塩基性染料とアゾ系酸性染料との造塩染料) 2.0質量%
顔料分散体(顔料分20%、キナクリドン系顔料) 5.0質量%
一般式(化1)リン酸エステル(化1:l=4として、n=1とn=2の混合物)
1.0質量%
分岐鎖アルキル基を有する脂肪酸エステル(脂肪酸とジペンタエリスリトールによってエステル化した脂肪酸エステル) 1.0質量%
アルコール溶剤(ベンジルアルコール) 12.5質量%
グリコールエーテル溶剤(エチレングリコールモノフェニルエーテル) 45.0質量%
界面活性剤 2.0質量%
有機アミン (2級アミン) 1.0質量%
ポリビニルブチラール樹脂 10.0質量%
ケトン樹脂 5.0質量%
曳糸性付与樹脂(ポリビニルピロリドン樹脂) 0.5質量%
表に示すように、各成分、チップ仕様を変更した以外は、実施例1と同様な手順でインキ配合し、実施例2~28の油性ボールペン用インキ組成物を得た。表に測定、評価結果を示す。
実施例1~28および比較例1~5で作製した油性ボールペン用インキ組成物を、インキ収容筒(ポリプロピレン製)の先端に、ボール(φ0.7mm)を回転自在に抱時したボールペンチップ(ボールの縦軸方向の移動量:8μm)を装着するとともに、インキ収容筒内に、実施例1の油性ボールペン用インキ(0.2g)を直に収容してボールペンレフィルを(株)パイロットコーポレーション製の油性ボールペン(商品名:スーパーグリップ(登録商標))に配設して、油性ボールペンを作製し筆記試験用紙として筆記用紙JIS P3201を用いて以下の試験および評価を行った。
ボール座の摩耗が5μm未満のもの ・・・◎
ボール座の摩耗が5μm以上、10μm未満であるもの ・・・○
ボール座の摩耗が10μm以上、20μm未満であるが、筆記可能であるもの ・・・△
ボール座の摩耗がひどく、筆記不良になってしまうのもの ・・・×
非常に滑らかなもの ・・・◎
滑らかであるもの ・・・○
実用上問題ないレベルの滑らかさであるもの ・・・△
重いもの ・・・×
<筆記条件>筆記荷重70gf、筆記角度70°、筆記速度4m/minの条件で、走行試験機にて直線書きを行い評価した。
筆跡カスレの長さが、15mm未満であるもの ・・・◎
筆跡カスレの長さが、15mm以上、25mm未満であるもの ・・・○
筆跡カスレの長さが、25mm以上、45mm未満であるもの ・・・△
筆跡カスレの長さが、45mm以上であるもの ・・・×
析出物がなく、良好のもの ・・・◎
析出物が微少に発生したもの ・・・○
析出物が発生したが、実用上問題のないもの ・・・△
析出物が発生し、カスレや筆記不良などの原因になるもの ・・・×
また、ブルックフィールド株式会社製粘度計 ビスコメーターRVDVII+Pro CP-52スピンドルを使用して20℃の環境下で、剪断速度5sec-1(回転数2.5rpm)にて、インキ粘度を測定したところ、実施例10:19000mPa・s、実施例26:16000mPa・s、実施例28:3000mPa・sであった。
また、pH値を東亜ディーケーケー社製pHメーター HM-30R型を用いて、20℃にて測定したところ、実施例10:pH値=6、実施例26:pH値=6、実施例28:pH値=7であった。
比較例1、4、5では、書き出し性能がひどく、書き味も劣っていた。
Claims (8)
- 前記ペンタエリスリトール類が、ジペンタエリスリトールであることを特徴とする請求項1に記載の油性ボールペン。
- 前記リン酸エステルの末端アルキル基(l、m)が、1~10であることを特徴とする請求項1または2に記載の油性ボールペン。
- 前記脂肪酸エステルが、分岐鎖アルキル基を有する脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の油性ボールペン。
- 前記脂肪酸エステルに対する、前記リン酸エステルの配合比(リン酸エステル/脂肪酸エステル)が、質量基準で0.01倍~5倍であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の油性ボールペン。
- 前記油性ボールペン用インキ組成物に、ポリビニルブチラール樹脂を含んでなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の油性ボールペン。
- 前記着色剤が、アゾ系骨格またはトリアリルメタン系骨格を有する染料で造塩した造塩染料であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の油性ボールペン。
- 20℃、剪断速度5sec-1におけるインキ粘度が、50000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の油性ボールペン。
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