JP2015119723A - 発泡性ビールテイスト飲料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】植物原料液及びホップを使用して製造される未発酵の発泡性ビールテイスト飲料であって、難消化性デキストリンの含有量が0.50〜5.00w/v%であり、pHが3.5〜5.0であり、ガス圧が0.147〜0.294MPaである未発酵の発泡性ビールテイスト飲料。
【選択図】なし
Description
ノンアルコールの発泡性ビールテイスト飲料の製法としては、ビールを常法に従って製造して脱アルコールする方法や、酵母によるアルコール発酵を抑制して行う方法等があり得る。しかしながら、法的及び技術的な理由から、種々の原料を混合することによってアルコール発酵を経ることなく製造する方法が主流となっている。
そこで、アルコール発酵を経ることなく製造される未発酵のビールテイスト飲料の味や風味を改善するために種々の技術が提案されている。
しかしながら、未発酵の麦汁由来の麦芽飲料に限られず、より広範な原料から製造されるビールテイスト飲料に適用できるような、汎用性のある技術が求められている。
また、未発酵のビールテイスト飲料の香味を向上させる上では、特許文献2に開示されるように味のばらつき感を抑えるだけでなく、よりビール様の香味につながる味ないし香りを付加することによって増強することが望まれている。
したがって本発明の課題は、ビール様の香りが増強され、香味が向上した未発酵の発泡性ビールテイスト飲料を提供することにある。
(1)植物原料液及びホップを使用して製造される未発酵の発泡性ビールテイスト飲料であって、難消化性デキストリンの含有量が0.50w/v%以上5.00w/v%以下であり、pHが3.5以上5.0以下であり、ガス圧が0.147MPa以上0.294MPa以下であることを特徴とする未発酵の発泡性ビールテイスト飲料。
(2)植物原料液及びホップを使用して製造される未発酵の発泡性ビールテイスト飲料において、難消化性デキストリンの含有量を0.50w/v%以上5.00w/v%以下に調整し、pHを3.5以上5.0以下に調整し、ガス圧を0.147MPa以上0.294MPa以下に調整することを特徴とする発泡性ビールテイスト飲料の香味向上方法。
具体的には、一般にノンアルコールビール等と呼ばれるビールテイスト飲料に関する。なお、本明細書において、ビールテイスト飲料とは、ビール様(風)飲料とも称され、ビールのような味わいを奏する、つまり、ノンアルコールでありながらビールを飲用したような感覚を飲用者に与える飲料を意味している。
そして、難消化性デキストリンは、整腸作用や血糖値上昇抑制作用といった有用な作用が認められている。
本実施形態に係る飲料においては、難消化性デキストリンは、炭酸水に溶解されて紙臭を発し、ビール様の香りを増強する作用をもたらしている。そして、ビール様の香りを増強することによって、ビールテイスト飲料としての香味を向上させている。難消化性デキストリンとしては、例えば、「パインファイバー」(登録商標)(松谷化学工業株式会社製)、「ファイバーソル」(松谷化学工業株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態に係る飲料においては、炭酸ガスのガス圧が所定圧力に調整されることによって、難消化性デキストリンがもたらす紙臭で増強されたビール様の香りが、さらに増したものとなっている。
なお、本明細書において、ガス圧は、製造された飲料の20℃におけるガス内圧力を意味し、日本農林規格に定められる方法に準じて測定される圧力である。
本実施形態に係る飲料においては、飲料のpHが所定値に調整されることによって、ビールテイスト飲料としての香味の調和がもたらされている。
pHの調整方法は、特に制限されるものではないが、例えば、後記する酸味料の添加によることができる。酸味料としては、酸味が穏和な乳酸が好適である。
なお、穀物としては、未発芽の穀物及び発芽した穀物のいずれでもよい。
使用される植物原料液は、植物原料として、麦類、麦芽、大豆、エンドウ及びトウモロコシからなる群より選択される少なくとも1種を用いて調製することが好ましい。
このような糖化液又はエキスとしては、特に、麦芽由来のエキス分を含有する麦汁及び/又は麦芽エキスを含有することができる。
なお、本明細書において、エキス分は、糖分、タンパク質、アミノ酸、苦味質、不揮発性有機酸、ミネラル、ポリフェノール、色素成分等からなる不揮発性固形分を意味するものとする。
植物由来タンパクとしては、一般のビールテイスト飲料の製造に用いられる植物から分離されるタンパクであれば特に制限されるものではないが、前記した穀物から分離されるタンパクであることが好ましく、大豆タンパク、トウモロコシタンパク又はエンドウタンパクを含有することがより好ましい。例えば、大豆タンパクとしては、「昭和フレッシュ」(昭和産業株式会社製)、エンドウタンパクとしては、「エンドウタンパク」(オルガノフードテック株式会社製)等が挙げられる。
植物由来タンパク分解物は、植物原料から分離精製された植物由来タンパクを熱処理、酸処理及び酵素処理のいずれで加水分解したものでもよく、分画されたものでもよい。
植物由来タンパク分解物としては、具体的には、大豆タンパク分解物又はエンドウタンパク分解物を含有していることが好ましい。例えば、大豆ペプチドとしては、「ハイニュート−AM」(登録商標)(不二製油株式会社製)や「ハイニュート−DC6」(登録商標)(不二製油株式会社製)や「ソルピー5000」(登録商標)(日清オイリオ株式会社製)等が挙げられる。
苦味成分としては、シス−イソフムロンやトランス−イソフムロン等のイソ−α酸が挙げられ、香気成分としては、リナロール、ゲラニオール、イオノン等のテルペン類や、酪酸エステル、プロパン酸エステル等のエステル類や、1−ヘキサナール、3−ヘキセナール等のアルデヒド類等が挙げられる。本実施形態に係る飲料においては、ホップに由来する香気成分が、難消化性デキストリンによって増強されるビール様の香りの基礎を成している。
本実施形態に係る香味向上方法は、これらの工程を備える限り実施の形態が制限されるものではないが、例えば、以下に説明するように実施形態に係る飲料の製造方法における工程中において行うことができるものである。そこで、本実施形態に係る香味向上方法を実施形態に係る飲料の製造方法に沿って説明する。
すなわち、原料の一部として植物由来の原料を使用し、アルコールの濃度が1v/v%未満である未発酵の発泡性ビールテイスト飲料を製造する方法に関する。
麦芽は、麦類、例えば大麦を水に浸漬させた後、所定の温度及び湿度条件の下で発芽させることによって調製することができる。調製された麦芽は、焙燥されていることが好ましく、除根されていることが好ましく、粉砕されていることが好ましい。
糖化液は、植物原料と冷水又は温水とを混合した後、所定温度に加温して保持し、植物原料が含む糖質を内在性加水分解酵素の作用で糖化することによって調製することができる。調製された糖化液は、固形物が除去されていることが好ましい。
また、植物原料液は、あらかじめ植物原料に含まれる成分を抽出して得られるエキスを含有するように調製してもよい。このようなエキスは、植物原料から成分を溶媒抽出したり、糖化液に含まれる成分を濃縮することによって得ることができる。
本実施形態に係る植物原料液は、特に、麦芽由来のエキス分を含有する麦汁及び/又は麦芽エキスを含有するように調製してもよい。
植物由来タンパクとしては、一般のビールテイスト飲料の製造に用いられる植物から分離されるタンパクであれば特に制限されるものではないが、前記した穀物から分離されるタンパクを使用することが好ましく、大豆タンパク、トウモロコシタンパク又はエンドウタンパクを含有することがより好ましい。なお、このような植物由来タンパクとしては、あらかじめ、植物から分離抽出した後、所定の画分を精製したものを使用してもよい。
植物由来タンパクの加水分解は、酸処理やアルカリ処理、又はプロテアーゼやペプチダーゼ等の分解酵素を用いた酵素処理により行うことができるが、酵素処理によることが好ましい。
植物由来タンパク分解物としては、具体的には、大豆タンパク分解物又はエンドウタンパク分解物を含有することが好ましい。
すなわち、植物原料液調製工程以降において、植物原料液の成分の濃度を調整することなく飲料を製造する場合は、植物原料液における含有量が、飲料中において達成しようとする含有量と同じ量となるように難消化性デキストリンを混合する。その一方で、植物原料液調製工程以降において、植物原料液の成分の濃度を調整して飲料を製造する場合は、濃度調整の率に応じて量を加減して難消化性デキストリンを添加する。
本実施形態に係る香味向上方法及び飲料の製造方法は、このような工程を備えることによって、紙臭が好ましい程度に得られ、ビール様の香りが増強された飲料の調製を可能としている。
すなわち、後記する発泡性付与工程において植物原料液のpHが大きく変動するため、製造される飲料において所定のpHが達成されるように、植物原料液におけるpHの調整を行う。
本実施形態に係る香味向上方法及び飲料の製造方法は、このような工程を備えることによって、香味の調和が良好で、ビール様の香味が向上した飲料の調製を可能としている。
pHの調整方法は、特に制限されるものではないが、酸味料を添加する方法を用いることができる。この場合において、酸味料は、一種又は複数種を組み合わせて用いることができるが、製造される飲料の呈味の観点から、乳酸を用いることが好ましい。
なお、必要な場合には、除酸剤等を添加することによりpHを増大させることができる。除酸剤としては、炭酸カルシウム、アンモニア等が挙げられる。
また、植物原料液には、あらかじめホップに由来する成分を溶媒抽出して得られるホップエキスを添加してもよい。
ホップエキスは、例えば、ホップの毬花に含まれる成分を溶媒抽出することによって調製することができる。溶媒としては、飲料製造上許容される溶媒、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、酢酸エチル、酢酸メチル、グリセリン、ジエチルエーテル等を用いることができる。
本実施形態に係る香味向上方法及び飲料の製造方法は、このような工程を備えることによって、難消化性デキストリンがもたらすビール様の香りが増強された飲料の調製を可能としている。
炭酸ガスを混合する方法としては、植物原料液に炭酸ガスを圧入する方法、植物原料液に炭酸水を混合する方法のいずれでもよい。
すなわち、植物原料液の成分の濃度が、製造される飲料の成分の濃度に既に調整されている場合には、炭酸ガスを圧入することにより、発泡性を備える飲料が調製される。その一方で、植物原料液の成分の濃度が、製造される飲料の成分の濃度に調整されていない場合には、所定の混合比で炭酸水を混合して成分の濃度を調整することにより、発泡性を備える飲料が調製される。
なお、このような工程は、充填工程と併せた一体の工程として行うことができる。
殺菌処理としては、用いた植物原料や飲料のpH等に応じて、例えば、65℃以上の所定温度で加熱処理を行う。なお、殺菌処理は、発泡性付与工程の前に植物原料液に対して行うことができ、或いは充填工程の後に容器詰め飲料に対して行うことができる。
除菌処理としては、発泡性付与工程の前に植物原料液に対してろ過を行う。ろ過材としては、珪藻土や樹脂性フィルタを用いることができる。
このようにして行われる未発酵の発泡性ビールテイスト飲料の製造方法は、前記したビール様の香りが増強され、香味が向上した未発酵の発泡性ビールテイスト飲料の製造に好適である。
評価対象サンプルとしては、難消化性デキストリンの含有量が表1に示される濃度となるように溶解させた炭酸水をサンプル(No.C−1〜No.C−7に係るサンプル)としてそれぞれ調製した。
なお、難消化性デキストリンとしては、「パインファイバー」(登録商標)(松谷化学工業株式会社製)を用いた。
各サンプルの評価は、サンプルを試飲した5名のパネリストに下記評価基準に則って1〜5点の5段階評価で独立点数付けさせ、それらの平均値を算出することによって数値化した。
5点:極めて強い紙臭がある。
4点:強い紙臭がある。
3点:紙臭がある。
2点:弱い紙臭がある。
1点:全く紙臭がない。
以下の試験において、評価対象サンプルの発泡性ビールテイスト飲料は、麦汁を植物原料液として使用して製造した。麦汁は、粉砕された大麦麦芽と50℃の温水とを混合し、65℃に加温して保持することによって糖化した後、この糖化液から穀皮を除去し、ホップを加えて煮沸したものを用いた。
また、難消化性デキストリンとしては、「パインファイバー」(登録商標)(松谷化学工業株式会社製)を用い、pHの調整には、乳酸を用いた。
各サンプルの評価は、サンプルを試飲した8名のパネリストに下記評価基準に則って1〜5点の5段階評価で各評価項目について独立点数付けさせ、項目毎に平均値を算出することによって数値化した。
5点:極めて強いビール様の香りがある。
4点:強いビール様の香りがある。
3点:ビール様の香りがある。
2点:弱いビール様の香りがある。
1点:全くビール様の香りがない。
5点:非常に好ましい香味である。
4点:かなり好ましい香味である。
3点:好ましい香味である。
2点:許容できる香味である。
1点:不適な香味である。
評価対象サンプルは、麦汁由来のエキス成分の終濃度が3.0w/v%となるように植物原料液を使用して調製し、難消化性デキストリンの含有量が表2に示される濃度となるサンプル(No.1−1〜No.1−5に係るサンプル)をそれぞれ調製した。
なお、各サンプルのガス圧は、0.147MPa(2.00kg/cm2)となるように炭酸水を加えることによって調整した。
調製された各サンプルのpHは、約4.9であった。
また、「総合評価」の項目では、同様に、難消化性デキストリンの含有量が0.00w/v%から3.00w/v%に増加するにしたがって、評価が向上した。難消化性デキストリンの含有量が0.50w/v%以上であるNo.1−2〜No.1−5に係る各サンプルでは、許容できる香味を超える好ましい香味が感じられ、全体として香味が良好であるとの評価が得られた。
なお、各サンプルのpHは、乳酸水溶液を添加することによって調整した。
また、各サンプルのガス圧は、0.147MPa(2.00kg/cm2)となるように炭酸水を加えることによって調整した。
また、「総合評価」の項目では、No.2−3に係るサンプルにおいて好ましい香味が得られ、最も高い評価が得られた。評価は、pHが4.0付近のNo.2−3に係るサンプルをピークとして、No.2−2及びNo.2−4に係る各サンプルにおいても比較的高く、pHが3.5以上の範囲においては、好ましい香味であるとの評価が多く、発泡性ビールテイスト飲料全体として香味が良好であると判断された。
調製された各サンプルのpHは、約4.9であった。
g/cm2)から0.294MPa(3.00kg/cm2)に増大するにしたがって、評価が向上した。ガス圧が0.147MPa(1.50kg/cm2)以上であるNo.3−3〜No.3−7に係る各サンプルでは、紙臭が感じられ、ビール様の香りが増強されているとの評価が得られた。
また、「総合評価」の項目では、同様に、ガス圧が0.000MPa(0.00kg/cm2)から0.294MPa(3.00kg/cm2)に増大するにしたがって、評価が向上した。ガス圧が0.147MPa(1.50kg/cm2)以上であるNo.3−3〜No.3−7に係る各サンプルでは、好ましい香味であるとの評価が多く、発泡性ビールテイスト飲料全体として香味が良好であると判断された。
Claims (2)
- 植物原料液及びホップを使用して製造される未発酵の発泡性ビールテイスト飲料であって、
難消化性デキストリンの含有量が0.50w/v%以上5.00w/v%以下であり、
pHが3.5以上5.0以下であり、
ガス圧が0.147MPa以上0.294MPa以下である
ことを特徴とする未発酵の発泡性ビールテイスト飲料。 - 植物原料液及びホップを使用して製造される未発酵の発泡性ビールテイスト飲料において、
難消化性デキストリンの含有量を0.50w/v%以上5.00w/v%以下に調整し、
pHを3.5以上5.0以下に調整し、
ガス圧を0.147MPa以上0.294MPa以下に調整する
ことを特徴とする発泡性ビールテイスト飲料の香味向上方法。
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