以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。尚、各図面は、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。
図1は、本発明の一実施形態に係るタッチパネルを表示装置に設置した状態を示す概略構成断面図である。このタッチパネル100は、静電容量式のタッチパネルであり、図1に示すように第1面状体1と第2面状体2とを備えている。これら第1面状体1と第2面状体2とは、上下方向に並んで配置されている。第1面状体1は、図1及び図2に示すように、第1基板11と、該第1基板11の一方面側に形成される第1電極群12とを備えている。第1電極群12は、互いに同一方向に向けて延びる所定形状の第1電極12aの集合体として形成されている。第2面状体2も第1面状体1と同様に、図1及び図3に示すように、第2基板21と、該第2基板21の一方面側に形成される第2電極群22とを備えている。第2電極群22は、第1電極12aが延びる方向とは異なる方向であって、互いに同一方向に向けて延びる所定形状の第2電極22aの集合体として形成されている。第1面状体1と第2面状体2とは、図1に示すように第1電極群12及び第2基板21の他方面側(第2電極群22が形成されていない面側)が互いに離間して対向するようにして、粘着層3を介して貼着されている。なお、第1面状体1と第2面状体2とを重ね合わせた際に、第1電極12aが延びる方向と、第2電極22aが延びる方向とが直交するように、第1電極群12及び第2電極群22を構成している。ここで、第1電極群12及び第2電極群22が互いに離間して対向するようにして、第1面状体1と第2面状体2とを粘着層3を介して貼着してもよく、或いは、第1基板11の他方面側(第1電極群12が形成されていない面側)及び第2電極群22とが互いに離間して対向するようにして、第1面状体1と第2面状体2とを粘着層3を介して貼着してもよい。また、例えば、第1基板11の一方面側に第1電極群12を形成し、その他方面側に第2電極群22を形成するようにして第1面状体1を構成し、第2面状体2を用いることなく、当該第1面状体1単体でタッチパネル100を構成してもよい。
このような構成のタッチパネル100は、例えば、銀行端末(キャッシュディスペンサー)、券売機、パソコン、OA機器、電子手帳、PDA、携帯電話等の表示装置9に取り付けられて使用される。なお、タッチパネル100の取り付けに際しては、例えば、第1面状体1の基板の他方面側(第1電極12aが形成されていない面側)が露出面(タッチ面)となるように、透明な粘着層4を介して表示装置9に取り付けられる。
第1基板11及び第2基板21は、絶縁層を構成する誘電体基板であり、透明性が高い材料からなることが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリアミド(PA)、アクリル、非晶性ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、脂肪族環状ポリオレフィン、ノルボルネン系の熱可塑性透明樹脂などの合成樹脂製の可撓性フィルムやこれら2種以上の積層体、或いは、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどのガラス板により形成される。第1基板11及び第2基板21の厚みは、特に限定されないが、例えば、合成樹脂製の可撓性フィルムにより第1基板11及び第2基板21を構成する場合には、10μm〜2000μm程度とすることが好ましく、50μm〜500μm程度とすることがさらに好ましい。また、ガラス板により第1基板11及び第2基板21を構成する場合には、0.1mm〜5mm程度とすることが好ましい。
また、可撓性を有する材料から第1基板11及び第2基板21を形成する場合、当該第1基板11及び第2基板21に剛性を付与するために支持体を貼着してもよい。支持体としては、ガラス板や、ガラスに準ずる硬度を有する樹脂材料を例示することができ、その厚さは100μm以上であることが好ましく、0.2mm〜10mmであることがより好ましい。
第1電極群12を構成する各第1電極12aは、図4の模式図に示すように、第1頂点T1及び第2頂点T2が繰り返して配される折線形状の電極線(所定の角度で曲折を繰り返すジグザグ形状の電極線)として構成されている。同様に、第2電極群22を構成する各第2電極22aは、図5の模式図に示すように、第1頂点T1及び第2頂点T2が繰り返して配される折線形状の電極線(所定の角度で曲折を繰り返すジグザグ形状の電極線)として構成されている。第1電極12a及び第2電極22aを構成する電極線は、金属細線により形成されている。また、第1電極12aを構成する折線形状の電極線は、同一周期かつ同一振幅を有している折線形状の電極線であり、この電極線が、単一の電極線幅及び電極線ピッチを有する繰り返しパターンとして複数並列に配置されている。同様に、各第2電極22aを構成する折線形状の電極線も、同一周期かつ同一振幅を有している折線形状の電極線であり、この電極線が、単一の電極線幅及び電極線ピッチを有する繰り返しパターンとして複数並列に配置されている。本実施形態においては、第1電極群12を構成する各第1電極12aは、全て同一の形状を有するように構成されており、また、第2電極群22を構成する各第2電極22aは、全て同一の形状を有するように構成されている。具体的に説明すると、ある一の第1電極12aに隣接する他の第1電極12aの形状は、第1電極12aが延びる方向に垂直な方向に所定ピッチ分だけ一の第1電極12aを移動させた形状となっている。第2電極22aに関しても同様である。第1電極12a及び第2電極22aをこのように構成しているため、各第1電極12aにおける第1頂点T1を結ぶ線分L1と、各第2電極22aにおける第1頂点T1を結ぶ線分L2とが、互いに直交することとなる。つまり、各第1電極12aが隣接する方向と、各第2電極22aが隣接する方向とが、互いに直交する方向となるように形成されている。また、任意の第1電極12aの任意の第1頂点T1と、この第1電極12aに隣り合う他の第1電極12aにおける第1頂点T1であって、互いに近接配置される第1頂点同士を結ぶ線分L3は、各第2電極22aにおける第1頂点T1を結ぶ線分L2と平行となる。同様に、任意の第2電極22aの任意の第1頂点T1と、この第2電極22aに隣り合う他の第2電極22aにおける第1頂点T1であって、互いに近接配置される第1頂点同士を結ぶ線分L4は、各第1電極12aにおける第1頂点T1を結ぶ線分L1と平行となる。
また、第1電極12a及び第2電極22aのパターンを見えにくくし、タッチパネル100の視認性・見栄えを向上させるために、第1電極12a及び第2電極22aをそれぞれ以下のように構成することが好ましい。つまり、図6(a)に示すように、第1電極12a(第2電極22a)である折線形状の電極線における第1頂点T1及び第2頂点T2のそれぞれを挟む折れ角度θ(内角θ)を40°以上70°以下に設定する。更に、図6(b)に示すように、一の電極線D1における任意の第1頂点T11a及び該第1頂点T11aの両側に配される二つの第2頂点T21a,T21bにより囲まれる領域内であって、当該一の電極線D1に重ならない第1囲繞領域Z1に、一の電極線D1の片側(図6(b)においては下側)において隣り合う他の電極線D2における任意の第1頂点T12aを配置するように構成する。なお、図6(b)において符号D2で示される電極線を一の電極線とした場合には、この電極線D2の片側(図6(b)においては下側)に配置される電極線D3が、他の電極線となる。
ここで、他の電極線における第1頂点T12a及び該第1頂点T12aの両側に配される二つの第2頂点T22a,T22bにより囲まれる第2囲繞領域Z2と、第1囲繞領域Z1とが重なり合う領域Z3は、各第1電極12a(第2電極22a)が延びる方向に対して垂直な方向の距離に関して、一の電極線D1における第1頂点T11a及び第2頂点T21a(T21b)間の距離K1に対して、0%よりも大きく、20%以下となるように、より好ましくは、5%以上、20%以下となるように設定する。また、図6(b)に示すように、第2囲繞領域Z2と第1囲繞領域Z1とが重なり合う領域Z3が、一の電極線D1の第2頂点T12a(T12b)における、各第1電極12a(各第2電極22a)が延びる方向に対して垂直な方向の線幅Wの2倍以下の距離に設定することが更に好ましい。
また、第1電極12a及び第2電極22aを構成する折線形状の電極線の線幅は、例えば1μm〜30μmの範囲となるように構成することが好ましい。また、折線形状の各電極線の振幅は、100μm〜1000μmの範囲となるように構成することが好ましく、150μm〜500μmの範囲となるように構成することがより好ましい。なお、折線形状の各電極線の周期や、隣り合う第1電極12a間における電極線ピッチ(隣り合う第2電極22a間における電極線ピッチ)は、第1電極12a及び第2電極22aを構成する折線形状の各電極線の振幅や、折線形状の電極線における第1頂点T1及び第2頂点T2のそれぞれを挟む折れ角度θ(内角θ)を上記範囲で設定することにより、おのずと決定される。
なお、折れ線形状の電極線として形成される第1電極12a及び第2電極22aは、それぞれ上述のように、折れ角度θ(内角θ)を40°以上70°以下となるように構成されるが、このような数値範囲内であれば、第1電極12aと第2電極22aとが、それぞれ同じ折れ角度θ(内角θ)を備えるように構成してもよく、或いは、第1電極12aと第2電極22aとが、それぞれ異なる折れ角度θ(内角θ)を備えるように構成してもよい。例えば、第1電極線12aを、折れ角度θ=40°となるように構成し、第2電極線22aを、折れ角度θ=70°となるように構成してもよい。このように、第1電極12aと第2電極22aとが、それぞれ異なる折れ角度θを備えるようにしてタッチパネル100を形成することにより、タッチパネル100を液晶表示装置の表示面に設置した場合において懸念されるモアレの発生を効果的に抑制することが可能となる。
同様に、折れ線形状の電極線として形成される第1電極12a及び第2電極22aは、それぞれ上述のように、第1囲繞領域Z1と第2囲繞領域Z2とが重なり合う領域Z3が、各第1電極12a(第2電極22a)が延びる方向に対して垂直な方向の距離に関して、一の電極線D1における第1頂点T11a及び第2頂点T21a(T21b)間の距離K1に対して、その重なり率が、0%よりも大きく、20%以下となるように構成されるが、このような数値範囲内であれば、第1電極12aにおける第1囲繞領域Z1及び第2囲繞領域Z2の重なり率と、第2電極22aにおける第1囲繞領域Z1及び第2囲繞領域Z2の重なり率とが、同じ重なり率となるように構成してもよく、或いは、異なる重なり率となるように構成してもよい。例えば、第1囲繞領域Z1と第2囲繞領域Z2とが重なり合う領域Z3を上記距離K1の5%となるように第1電極線12aを構成し、第1囲繞領域Z1と第2囲繞領域Z2とが重なり合う領域Z3を上記距離K1の20%となるように第2電極線22aを構成してもよい。このように、第1電極12aにおける第1囲繞領域Z1及び第2囲繞領域Z2の重なり率と、第2電極22aにおける第1囲繞領域Z1及び第2囲繞領域Z2の重なり率とが、異なるようにしてタッチパネル100を形成することによっても、タッチパネル100を液晶表示装置の表示面に設置した場合において懸念されるモアレの発生を効果的に抑制することが可能となる。
第1基板11及び第2基板21上に形成される第1電極群12及び第2電極群22は、例えば、スクリーン印刷法により形成される。具体的に説明すると、第1電極群12及び第2電極群22のパターン形状に対応する所定形状の開口部を有するスクリーン印刷版を用いて、スキージにより第1電極12a及び第2電極22a用の導電インクを開口部を介して押し出すことによって、第1基板11及び第2基板21上に第1電極群12及び第2電極群22を形成する。なお、スクリーン印刷法の他、グラビアオフセット印刷方式や、ナノインプリント方式等の各種印刷法により第1電極群12及び第2電極群22を第1基板11及び第2基板21上に形成してもよい。また、印刷法を用いる代わりに、フォトリソグラフィによって第1電極群12及び第2電極群22を第1基板11及び第2基板21上に形成してもよい。
第1電極12a及び第2電極22aを形成する際に用いられる導電インクは、樹脂成分と溶剤からなる溶媒中に導電性の微粒子が凝集することなく均一に分散されている流動体である。流動体中に含まれる導電性の微粒子の一例として、銀を主成分とする微粒子を挙げることができる。また、例えば、金、銀、銅、金と銀の合金、金と銅の合金、銀と銅の合金、金と銀と銅の合金のいずれか一を主成分とする微粒子でもよい。また、他の導電性インクとしては、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子や、カーボンナノワイヤーや金属ナノワイヤーなどの極細導電繊維を導電体とする導電性材料を使用してもよい。
また、第1面状体1は、図2に示すように、複数の第1結束部16aを備えている。各第1結束部16aは、第1基板11の一方面側に形成されており、互いに隣接する所定本数(例えば、6本〜12本)の第1電極12aにおける一方の各端部が電気的に接続されている。同様に、第2面状体2も、図3に示すように、複数の第2結束部26aを備えている。各第2結束部26aは、第2基板21の一方面側に形成されており、互いに隣接する所定本数(例えば、6本〜12本)の第2電極22aにおける一方の各端部が電気的に接続されている。また、各第1結束部16a及び各第2結束部26aは、引き回し配線15,25を介して、それぞれ外部に配置されるタッチパネル駆動用の外部回路(図示せず)と電気的に接続している。このように隣接する複数の第1電極12a(第2電極22a)を束としたものを一つの検出用電極10(20)とした場合、当該検出用電極10(20)の抵抗値を低くすることが可能となり、タッチパネルの位置検出感度を向上させることが可能となる。ここで、図7に示すように、第1電極12a(第2電極22a)の他方の端部に電気的に接続する第1結束部16b(第2結束部26b)を更に備えるように構成してもよい。このような構成を採用した場合、隣接する複数の第1電極12a(第2電極22a)を束状に構成した各検出用電極10(20)全体の抵抗値をより一層低くして、タッチパネルの位置検出感度を向上させることが可能となる。また、例えば、ある第1電極12a(第2電極22a)の一部分が断線している場合であっても、当該断線した第1電極12a(第2電極22a)に入力された静電容量の変化信号は、第1電極12a(第2電極22a)の他方の端部に接続される第1結束部16b(第2結束部26b)及び他の第1電極12a(第2電極22a)を介して、引き回し配線15,25が接続される第1結束部16a(第2結束部26a)に伝達されるため、安定的にタッチ位置の検出を行うことが可能となる。また、タッチパネルの位置検出精度を向上させるために、隣接する束状に構成される検出用電極10(20)同士の間に、引き回し配線15,25に電気的に接続されない第1電極12a(第2電極22a)を設けるように構成してもよい。
第1結束部16a,16bや第2結束部26a,26bは、例えば、スクリーン印刷法により形成することができる。具体的に説明すると、第1結束部16a,16bや第2結束部26a,26bの形状に対応する所定形状の開口部を有するスクリーン印刷版を用いて、スキージにより導電インクを開口部を介して押し出すことによって、第1基板11及び第2基板21上に第1結束部16a,16bや第2結束部26a,26bを形成する。なお、スクリーン印刷法の他、インクジェット方式、グラビア印刷、オフセット印刷等の各種印刷法により形成してもよい。また、導電インクとしては、上述の第1電極群12及び第2電極群22を形成する際に用いられる導電インクと同等なものを利用することができる。同じ導電インクを用いる場合、第1電極群12及び第2電極群22を印刷等で形成する際に、第1結束部16a,16bおよび第2結束部26a,26bを同時に形成してもよい。また、図2、図3及び図7においては、第1結束部16a,16bや第2結束部26a,26bを平面視矩形状となるように形成しているが、このような形状に特に限定されず、例えば、複数の屈曲点を有する折線形状となるように構成してもよく、或いは、網目状となるように構成してもよい。
また、引き回し配線15,25の形成方法は、(A)極微細な導電性粒子を含む導電性ペーストを基板上にスクリーン印刷する方法(特開2007−142334等参照)、(B)銅などの金属箔を基板上に積層し、金属箔の上にレジストパターンを形成し、金属箔をエッチングする方法(特開2008−32884等参照)が挙げられる。
上記(A)の形成方法における導電性粒子としては、銀を主成分とする微粒子を挙げることができる。また、例えば、金、銀、銅、金と銀の合金、金と銅の合金、銀と銅の合金、金と銀と銅の合金のいずれか一を主成分とする微粒子でもよい。また、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛を混合した導電性酸化物(IZO[indium
zinc oxide])、または酸化インジウムに酸化珪素を混合した導電性酸化物(ITSO)を主成分とする微粒子でもよい。また、他の導電性ペーストとして、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子や、カーボンナノワイヤーや金属ナノワイヤーなどの極細導電繊維を導電体とする導電性材料を使用することができる。なお、配線導体の形成方法は、上記(A)(B)の形成方法に限定されることはなく、上記(A)以外のグラビア印刷などの印刷方法や上記(B)以外のフォトリソグラフィを使用してもよい。
粘着層3,4は、エポキシ系やアクリル系など、一般的な透明接着剤を用いることができ、ノルボルネン系樹脂の透明性フィルムからなる芯材を含むものであってもよい。また、シート状粘着材を複数枚重ね合わせることにより粘着層3を形成してもよく、更に、複数種類のシート状粘着材を重ね合わせて形成してもよい。粘着層3の厚みは、特に指定はないが、実用上では200μm以下であることが好ましい。
以上の構成を備えるタッチパネル100において、タッチ位置の検出方法は、従来の静電容量式のタッチパネル100と同様であり、第1面状体1の表面側における任意の位置を指などで触れると、第1電極12a(第2電極22a)を束状に構成した各検出用電極10(20)が接触位置において人体の静電容量を介して接地され、当該検出用電極10(20)を流れる電流値を検出することにより、接触位置の座標が演算される。
本発明に係るタッチパネル100は、互いに重ね合わされる第1面状体1及び第2面状体2がそれぞれ備える第1電極群12及び第2電極群22を、折線形状の電極線の集合体として構成しているため、第1面状体1が備える第1電極群12(複数の第1電極12a)のパターン形状と、第2面状体2が備える第2電極群22(複数の第2電極22a)のパターン形状とが、互いに独立した形状となるように構成しつつ、第1電極群12及び第2電極群22を重ね合わせた場合にタッチ面側から視認されうる網目集合体を、様々な大きさや形状の網目がタッチ面全域に略均等に分散して配置されるように構成することができる。このように、一方の電極(例えば、第1電極12a)を基板上に形成する際に、他方の基板上に形成される他方の電極(例えば、第2電極22a)の形成位置を考慮せず、一方の電極(例えば、第1電極12a)の形成位置とは無関係に他方の電極(例えば、第2電極22a)を形成することができるため、高い貼り合わせ精度により第1面状体1及び第2面状体2を重ね合わせる必要がない。つまり、第1電極12a及び第2電極22aの貼り合わせ精度を緩和することが可能となり、容易にタッチパネル100を作製することが可能となる。また、第1電極群12と第2電極群22とを重ね合わせることにより構成される網目集合体は、様々な大きさや形状の網目がタッチ面全域に略均等に分散して配置される形態になるため、細かい網目が局所的に密集する領域や網目が形成されない領域が発生せず、タッチ面をマクロ的に見れば均一な見栄えとして視認される。
また、第1電極12a及び第2電極22aを各基板(第1基板11及び第2基板21)上に形成後、焼成する場合には、第1基板11及び第2基板21が収縮するという問題が発生しうる。しかしながら、このような基板(第1基板11及び第2基板21)の収縮が発生したとしても、本発明に係るタッチパネル100においては、第1電極12aと第2電極22aとにより構成される網目集合体は、様々な大きさや形状の網目がタッチ面全域に略均等に分散して配置されることになるため、基板(第1基板11及び第2基板21)の収縮によって、分散配置される各網目の大きさや形状が設計時に想定した大きさや形状と異なったとしても、タッチパネル100の視認性が悪化するほどの影響を与えることはない。つまり、基板(第1基板11及び第2基板21)の収縮が生じた場合であっても、良好な視認性を維持することが可能となる。また、このように本タッチパネル100においては、基板(第1基板11及び第2基板21)の収縮が視認性に影響を与えないことから、スクリーン印刷法等の印刷法により各電極12a,22aを各基板11,21上に形成する際に、各基板11,21が収縮することを考慮する必要もなくなり、第1面状体1や第2面状体2の製造が容易となる。
また、本発明に係るタッチパネル100においては、第1電極12a及び第2電極22aが、各々、同一周期かつ同一振幅を有する折線形状の電極線により構成されている。従って、複数の第1電極12a及び複数の第2電極22aを重ねることにより形成される電極の網目集合体に関して、タッチ面全域に分布する各網目を略同程度の形状や大きさに設定することができるため、タッチパネル100の視認性を良好なものとすることができる。
また、複数の第1電極12a及び第2電極22aのパターン形状は、それぞれ単一の電極線幅及び電極線ピッチを有する繰り返しパターンにより形成されているため、タッチ面全域に分布する各網目の形状や大きさをより一層同程度のもの(均一なもの)に設定することができ、タッチパネル100の視認性をより良好なものとすることができる。
また、本発明においては、上述のように、第1電極12a(第2電極22a)である折線形状の電極線における第1頂点T1及び第2頂点T2のそれぞれを挟む折れ角度θ(内角θ)を40°以上70°以下に設定している。更に、第1囲繞領域Z1に、一の電極線D1の片側(図6(b)においては下側)において隣り合う他の電極線D2における任意の第1頂点T12aを配置するように構成すると共に、第2囲繞領域Z2と、第1囲繞領域Z1とが重なり合う領域Z3を、各第1電極12a(第2電極22a)が延びる方向に対して垂直な方向の距離に関して、一の電極線D1における第1頂点T11a及び第2頂点T21a(T21b)間の距離K1に対して、0%よりも大きく、20%以下となるように設定している。このような構成により、第1電極12a(第2電極22a)により構成される第1電極群12(第2電極群22)のパターン形状を大幅に視認しにくくすることが可能となり、タッチパネルの見栄えを良好なものとすることができる。
本発明の発明者は、本発明の構成が、第1電極群12(第2電極群22)のパターン形状を大幅に視認しにくくできるという効果を発揮することを確認するための官能試験を行った。この試験内容及び結果について以下に示す。
試験内容は、第1面状体1に係る各種サンプルを作成し、通常の室内の蛍光灯下において、各サンプルのパターン形状の目立ちやすさ(視認性の良否)について目視により判定した。また、判定に際しては、複数の試験員の各人が、視認性が悪いものを0点、比較的良好といえるものを0.5点、良好なものを1点として採点し、その採点結果の平均値を算出することにより、各サンプルに対する官能試験結果を数値化した。つまり、試験員の全員が視認性が悪いと判断したサンプルの官能試験結果点数は0点であり、試験員の全員が視認性が良好であると判断したサンプルの官能試験結果点数は1点となる。
まず、第1電極12a(第2電極22a)である折線形状の電極線における第1頂点T1(第2頂点T2)を挟む折れ角度θ(内角θ)を変化させた場合の好ましい角度θの範囲を確認するために表1に示すサンプルA〜Cを作成し、官能評価を行った。
ここで、表1中の角度は、第1頂点T1(第2頂点T2)を挟む折れ角度θ(°)に対応する。また、振幅、電極線ピッチ、周期は、図4において示す振幅、電極線ピッチ、周期に対応する。なお、振幅、電極線ピッチ、周期のそれぞれの単位は、μmである。また、重なり(%)は、上述した第2囲繞領域Z2と第1囲繞領域Z1とが重なり合う領域Z3の、上記距離K1に対する割合を百分率表記したものに対応する。なお、サンプルA〜Cにおける第1電極12aの線幅は、15μmに設定している。
これらサンプルA〜Cについての官能試験結果を表2に示す。また、横軸を角度(°)とし、縦軸を点数としたグラフにサンプルA〜Cについての官能試験結果をプロットしたものを図8に示す。また、図8中には、二次関数による近似曲線を書き込んでいる。
表1及び表2から、角度(°)が45°〜53°であり、重なり(%)が10%〜12%となる第1面状体は、点数が1、或いは、1に極めて近い値であることから、極めて視認性が良好なものであることが分かる。また、図8に示すグラフから、角度θ(°)が40°以上70°以下の範囲に設定すれば、官能試験結果点数が極めて高い値を示すと考えられ、良好な視認性を得られることが推測される。
次に、第1電極12a(第2電極22a)である折線形状の電極線における第1頂点T1(第2頂点T2)を挟む折れ角度θ(内角θ)を45°とし、重なり(%)の程度を変化させた場合の好ましい重なり(%)の範囲を確認するために表3に示すサンプルD〜Gを作成し、官能評価を行った。
なお、サンプルD〜Gにおける第1電極12aの線幅は、15μmに設定している。これらサンプルD〜Gについての官能試験結果を表4に示す。
表3及び表4に示すサンプルF及びGの結果から、重なり(%)が、0%よりも大きく12%以下となる第1面状体は、視認性が良好なものであることが分かる。また、サンプルEの官能試験結果点数が0.3点であり、サンプルFの官能試験結果点数が0.9点であることを勘案すると、重なり(%)が、33%(サンプルE)と12%(サンプルF)との間に、視認性が良好であるか否かの境界が存在すると考えられ、その境界となる重なり(%)は、両者の算術平均より22.5%程度であると考えられる。したがって、重なりが、20%以下であれば、良好な視認性が得られると考えられる。
次に、第1電極12a(第2電極22a)である折線形状の電極線における第1頂点T1(第2頂点T2)を挟む折れ角度θ(内角θ)を90°とし、重なり(%)の程度を変化させた場合の好ましい重なり(%)の範囲を確認するために表5に示すサンプルH〜Jを作成し、官能評価を行った。
なお、サンプルH〜Jにおける第1電極12aの線幅は、15μmに設定している。これらサンプルH〜Jについての官能試験結果を表6に示す。
表5及び表6から、折線形状の電極線における第1頂点T1(第2頂点T2)を挟む折れ角度θ(内角θ)が90°の場合には、重なり率を変化させても視認性が良好とはならず、いずれの場合も視認性が悪いという結果となった。また、上記の折線形状の電極線における第1頂点T1(第2頂点T2)を挟む折れ角度θ(内角θ)が45°の場合の結果(表3及び表4)と合わせて考察すると、視認性を良好なものとするためには、電極線における第1頂点T1(第2頂点T2)を挟む折れ角度θ(内角θ)を90°よりも小さい範囲に設定する必要があると考えられる。
以上、本発明に係るタッチパネル100の一実施形態について説明したが、具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、隣接する所定本数(例えば、6本〜12本)の第1電極12a(第2電極22a)を一つの束として構成した検出用電極10(20)において、図9に示すように、互いに隣接する第1電極12a(第2電極22a)同士を接続する第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)を複数設けるように構成してもよい。このような第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)を設けることにより、束状の各検出用電極10(20)を構成する一の第1電極12a(第2電極22a)の一部分が断線した場合であっても、当該断線した第1電極12a(第2電極22a)に入力された静電容量の変化信号(タッチ信号)は、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)を介して、他の第1電極12a(第2電極22a)に伝達させて外部に配置されるタッチパネル駆動用の外部回路(図示せず)に導くことが可能となり、安定的にタッチ位置の検出を行うことが可能となる。
第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)は、図9(a)に示すように、隣り合う第1電極12a(第2電極22a)同士を接続する直線状の配線タイプとして構成することができる。ここで、このような配線タイプの第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)は、第1電極12a(第2電極22a)の線幅と同一の線幅を有するように構成することが好ましい。配線タイプの第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)の形成方法として、スクリーン印刷方式や、グラビアオフセット印刷方式、ナノインプリント方式等の各種印刷法により形成することができる。また、印刷法を用いる代わりに、フォトリソグラフィによって、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)を形成してもよい。なお、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)は、第1電極群12(第2電極群22)と同時に形成することが好ましいが、異なるタイミングで形成してもよい。
また、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)としては、配線タイプの他、図9(b)に示すように、ドットタイプ(例えば、平面視円形の膜体)の構造を採用してもよい。このようなドットタイプの第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)を構成する場合、目立ちにくくするという観点から透明導電インクにより形成することが好ましい。透明導電インクとしては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛を混合した導電性酸化物(IZO[indium
zinc oxide])、または酸化インジウムに酸化珪素を混合した導電性酸化物(ITSO)を主成分とする微粒子を、樹脂成分と溶剤からなる溶媒中に均一に分散した流動体を使用することができる。他の第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)の形成に用いる透明な導電性材料としては、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子や、カーボンナノワイヤーや金属ナノワイヤーなどの極細導電繊維を導電体とする導電性材料を使用することができる。ドットタイプの第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)は、スクリーン印刷やグラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット方式等の各種印刷法により形成することができる。また、ドットタイプのブリッジ部のドット形状としては、平面視円形の形状に限定されず、例えば、平面視四角形状や平面視楕円形状であってもよい。
また、束状に構成される検出用電極10(20)において形成される第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)の個数は、検出用電極10(20)を構成する第1電極12a(第2電極22a)の抵抗や、第1電極12a(第2電極22a)の形状等を考慮し、視認性を損なわないように適宜設定すればよい。
また、上記実施形態においては、図4〜図6に示すように、折線形状の電極線として構成される一の第1電極12a(第2電極22a)に隣接する他の第1電極12a(第2電極22a)の形状は、第1電極12a(第2電極22a)が延びる方向に垂直な方向に所定ピッチ分(電極線ピッチ分)だけ一の第1電極12a(第2電極22a)を平行移動させた形状となるように構成し、第1電極群12(第2電極群22)を構成する各第1電極12a(第2電極22a)は、全て同一の形状を有するように構成されているが、このような構成に限定されず、例えば、図10に示すように、各第1電極12a(第2電極22a)が延びる方向に対して垂直な方向に沿って延び、折線形状の電極線として構成される一の第1電極12a(第2電極22a)における任意の第1頂点T11aを通過する第1仮想線L5と、各第1電極12a(第2電極22a)が延びる方向に対して垂直な方向に沿って延び、第1囲繞領域Z1に配置される他の第1電極12a(第2電極22a)における第1頂点T12aを通過する第2仮想線L6とが、互いに重複せずに離間するように各第1電極12a(第2電極22a)を構成してもよい。ここで、第1仮想線L5と第2仮想線L6との離間距離K2は、折線形状の電極線として構成される一の第1電極12a(第2電極22a)における任意の第1頂点T11aの両側に配置される二つの第2頂点T21a,T21b間に関する各第1電極12a(第2電極22a)が延びる方向の距離K3の15%以上35%以下の範囲となるように構成することが好ましい。
また、図11に示すように、折線形状の電極線として構成される一の第1電極12a(第2電極22a)における各第1頂点T11aを通過する各第1仮想線L5と、この一の第1電極12a(第2電極22a)の片側に配置される他の第1電極12a(第2電極22a)における各第1頂点T12aを通過する各第2仮想線L6との各離間距離K2は、一の第1電極12a(第2電極22a)における各第1頂点T11aと、他の第1電極12a(第2電極22a)における各第1頂点T12aとの組み合わせにおいて一定となるように構成すること、すなわち、互いに隣接する各第1電極12a間(互いに隣接する各第2電極22a間)において、第1電極12a(第2電極22a)が延びる方向に関する、第1頂点(第2頂点)が形成される位置のずれ量を一定とするように構成することがより好ましい。
図10や図11に示すように各第1電極12a(第2電極22a)を構成する場合であっても、上述した効果と同様の効果、すなわち、第1基板11(第2基板21)に対する第1電極12a(第2電極22a)の形成位置精度や、第1面状体1と第2面状体2との貼り合わせに関する位置精度に依存せず、第1電極12a(第2電極22a)のパターンが視認しにくい見栄えが良好なタッチパネルを得ることが可能となる。
本出願の発明者は、第1仮想線L5と第2仮想線L6との離間距離K2を、一の第1電極12aにおける任意の第1頂点T11aの両側に配置される二つの第2頂点T21a,T21b間に関する各第1電極12aが延びる方向の距離K3の25%に設定した第1面状体1に係るサンプル品を作成して上記と同様な官能試験を行ったところ、当該サンプル品に係る第1面状体1は、良好な見栄えを発揮することを確認した。なお、官能試験結果点数は、0.7であった。また、サンプル品において、折線形状の電極線として構成される第1電極12aの線幅は、15μmであり、第1頂点T1及び第2頂点T2のそれぞれを挟む折れ角度θは、共に45°とし、周期は246μm、振幅は340μmに設定した。また、隣り合う第1電極12a間における電極線ピッチは、300μmに設定した。また、第2囲繞領域Z2と、第1囲繞領域Z1とが重なり合う領域は、各第1電極12aが延びる方向に対して垂直な方向の距離に関して、一の第1電極12a(電極線)における第1頂点T1及び第2頂点T2間の距離(第1電極12aの振幅:340μm)に対して、12%となるように設定した。
また、図10や図11に示すように、第1仮想線L5と第2仮想線L6とが互いに重複せず離間するように第1電極12a(第2電極22a)を構成する場合、互いに隣り合う第1電極12a同士を接続する上述の第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)の長さを短く設定することが可能となる。第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)を設ける場合、当該第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)の存在に起因して、第1面状体1(第2面状体2)の透光性が低下することとなるが、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)の長さを短く構成できる結果、透光性の低下を効果的に抑制することが可能となる。